説明

車両の左折右折表示装置

【課題】夜間等の周囲の暗い状況において、車両の右折あるいは左折状態を対向車両や歩行者に簡易にかつ明確に知らせることができる車両の左折右折表示装置を提供する。
【解決手段】車両の前部左右両側に設けられた左及び右ヘッドライト12,13が点灯時において、ウインカーレバー19が左折操作されると、それに応じて左ウインカーライト14が点灯されると同時に、左メインライト12aが左折表示である消灯状態にさせられる。ウインカーレバー19が右折操作されると、それに応じて右ウインカーライト15が点灯されると同時に、右メインライト13aが右折表示である消灯状態にされる。夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、メインライト12a,13aが通常の点灯状態から消灯状態に表示が変化したことにより、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを確実に知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間等において車両の左折あるいは右折状態を対向車両や歩行者に明確に知らせる車両の左折右折表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が右折あるいは左折を行おうとしていることを、対向車両や歩行者に知らせる手段としては、ウインカーレバーの操作に応じて、車両前側の左右のヘッドライトの近くに設けたウインカーライトを点滅させることにより行われている。しかし、夜間等の周囲の暗い状況においては、車両の前面側に高光度のヘッドライトが点灯されているため、その近くに設けられたウンカーライトの低い光度の点滅表示では、対向車両や歩行者にとって見えにくく、そのため車両が左折右折を行おうとしているかどうかを明確に知ることが困難な場合があった。特に、車両が後方に続いている場合には、後方の車両からのヘッドライトにより、前の車両のウインカーライトが一層見え難くなることがある。
【0003】
これに対して、例えば特許文献1に示すように、従来から用いられているウインカーライトの点灯表示に加えて、自動車の外側の左右にそれぞれ1つ以上の発光体を設け、ウインカースイッチの左折あるいは右折操作に伴い、左あるいは右のウインカーライトの点灯表示に加えて、左あるいは右の発光体も点灯表示させるようにした左折、右折明確化装置が知られている。しかし、この左折、右折明確化装置は、左右発光体が、左右のウインカーライトから離れて設けられているため、両者の関連がわかり難く、そのためかえって混乱が生じやすいという問題がある。また、新たに自動車の外側の左右にそれぞれ1つ以上の発光体を設ける必要があるため、取り付けのコストも高価になるという問題もある。
【特許文献1】特開平5−229384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、夜間等の周囲の暗い状況において車両の右折あるいは左折状態を対向車両や歩行者に簡易にかつ明確に知らせることができる車両の左折右折表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、車両の前部左右両側に設けられた左及び右ヘッドライトが通常の点灯時において、車両に設けられたウインカーレバーの左折操作に応じて、左ヘッドライトを左折表示に切り替えさせ、ウインカーレバーの右折操作に応じて、右ヘッドライトを右折表示に切り替えさせることにある。さらに詳しくは、車両の前部左右両側に設けられた左及び右ヘッドライトをそれぞれ点灯消灯させるヘッドライト駆動部と、車両に設けられたウインカーレバーの左折あるいは右折操作を検出する左折右折検出手段と、左折右折検出手段の左折検出結果に応じて左ヘッドライトを左折表示で動作させ、右折検出結果に応じて右ヘッドライトを右折表示で動作させるようにヘッドライト駆動部の動作を制御する点灯制御装置とを設けたことにある。
【0006】
上記のように構成した本発明においては、車両前部の左右両側に設けられた左及び右ヘッドライトが点灯時において、車両に設けられたウインカーレバーが左折操作されると、それに応じて左ヘッドライトは左折表示させられ、またウインカーレバーが右折操作されると、それに応じて右ヘッドライトを右折表示される。その結果、ヘッドライトが点灯された夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、ヘッドライトが通常の点灯状態から左折表示か右折表示に変化したことを明確に認識でき、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを確実に知ることができるので便利であり、交通安全の観点からも非常に有効である。また、本発明によれば、既設のヘッドライトをそのまま利用できるので、左及び右ヘッドライトを用いて左折及び右折表示を安価に行うことができる。
【0007】
また、本発明において、ウインカーレバーの左折あるいは右折操作に応じて、左折表示あるいは右折表示にするか、あるいは左折表示あるいは右折表示にしないかの選択が可能であってもよい。これにより、道路の状況や運転時刻等に応じて、ヘッドライト駆動部により左右のヘッドライトを左折表示あるいは右折表示にさせるか、あるいは通常の点灯状態のままにさせるかを表示選択手段によって選択することができる。
【0008】
また、本発明において、左折表示あるいは右折表示が、左ヘッドライトあるいは右ヘッドライトの消灯、又は通常点灯時より光度を弱めることに対応することが好ましい。ここで、左及び右ヘッドライトが、それぞれメインライトとスモールライトとを備えている場合に、メインライトが消灯され、スモールライトが点灯又は通常点灯時より光度を弱められる態様と、メインライトが通常点灯時より光度を弱められ、スモールライトが点灯又は通常点灯時より光度が弱められる態様が含まれるものとする。これにより、車両に設けられたウインカーレバーが左折操作されると、それに応じて点灯中の左ヘッドライトが消灯、又は通常点灯時より光度を弱めるようにされ、また右折操作されると、それに応じて点灯中の右ヘッドライトが消灯、又は通常点灯時より光度を弱めるようにされる。また、それにより、左右のウインカーライトの点滅が相対的に明確に認識されるようになる。その結果、ヘッドライトが点灯された夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、点灯中のヘッドライトが消灯、又は通常点灯時より光度を弱められることにより、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを明確に知ることができる。
【0009】
また、本発明において、左折表示あるいは右折表示が、左ヘッドライトあるいは右ヘッドライトを異色で点灯させることに対応してもよい。異なった色としては、赤色、緑色等がある。これにより、車両に設けられたウインカーレバーが左折操作されると、それに応じて点灯中の左ヘッドライトが異色に変化し、また右折操作されると、それに応じて点灯中の右ヘッドライトが異色に変化する。その結果、ヘッドライトが点灯された夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、点灯中のヘッドライトが異色に変化することにより、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを明確に知ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、車両前部の左右両側に設けられたヘッドライトをそのまま利用し、ウインカーレバーの左折操作と右折操作にされると、それに応じて左ヘッドライトは通常の点灯状態から左折表示にさせられ、右ヘッドライトは右折表示にさせられる。その結果、ヘッドライトが点灯された夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、ヘッドライトが通常の点灯状態から左折表示か右折表示に変化したことを明確に認識でき、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを確実に知ることができるので便利であり、交通安全の観点からも非常に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1は、実施例に係る左折右折表示装置を適用した車両を斜視図により示し、図2は同車両のステアリング周辺を斜視図により示し、図3は、左折右折表示装置をブロック図により示したものである。左折右折表示装置30は、車両10前部の左右両側に設けられた左及び右ヘッドライト12,13をそれぞれ点灯あるいは消灯させるヘッドライト駆動部32と、左及び右ウインカーライト14,15をそれぞれ点灯あるいは消灯させるウインカーライト駆動部33と、車両10に設けられたウインカーレバー19の左折操作と右折操作を検知する左折右折検出部である左折及び右折スイッチ21,22と、左折及び右折スイッチ21,22による左折検出結果に応じてヘッドライト駆動部32により左ヘッドライト12を通常の点灯状態から左折表示に変更させ、右折検出結果に応じてヘッドライト駆動部32により右ヘッドライト13を通常の点灯状態から右折表示に変更させる等の制御を行う点灯制御装置31等を設けている。
【0012】
左及び右ヘッドライト12,13は、それぞれ上側の大型の左及び右メインライト12a,13aと、下側の小型の左及び右スモールライト12b、13bとからなる。各メインライト12a,13aの横方向外側に隣接して左及び右ウインカーライト14,15が配設されている。また、ステアリング17のコラム18に突設されたウインカーレバー19は、ニュートラル位置から上方への屈曲操作により左折検出部である左折スイッチ21がオンされ、下方への屈曲操作により右折検出部である右折スイッチ22がオンされる。また、ウインカーレバー19の上端には、ヘッドライト操作部23が設けられており、ヘッドライト操作部23の回動操作によりヘッドライトスイッチ24がオンオフするようになっている。ヘッドライト操作部23の回動操作により、メインライト12a,13aについては通常の光度(ローライト)の点灯状態と、通常より高い光度(ハイライト)の点灯状態の二段階に切り替え可能になっており、スモールライト12b、13bについては単一の光度のままである。
【0013】
さらに、ウインカーレバー19のヘッドライト操作部23の下側には、点灯状態選択レバー25が設けられている。点灯状態選択レバー25は、左及び右ヘッドライト12,13に左折右折表示を行わせるか否かを選択する点灯状態選択レバー25と共に表示選択手段を構成する選択スイッチ26のオンオフを切り替えるものである。点灯状態選択レバー25が初期位置では選択スイッチ26はオフであり、各ヘッドライト12,13は通常の点灯状態となる。点灯状態選択レバー25を右回りに回動させることにより、選択スイッチ26はオンとなり、ウインカーレバー19の左折あるいは右折操作に応じて、左及び右ヘッドライト12,13が左折表示あるいは右折表示にさせられる。車両10内には、上記左折スイッチ21、右折スイッチ22、ヘッドライトスイッチ24、選択スイッチ26と、ヘッドライト駆動部32、ウインカーライト駆動部33と共に左折右折表示装置30を構成する点灯制御装置31が設けられており、左及び右ヘッドライト12,13及び左及び右ウインカーライト14,15の点灯制御を行うようになっている。
【0014】
点灯制御装置31は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイクロコンピュータを備えており、図3に示すように、上記左折スイッチ21、右折スイッチ22、ヘッドライトスイッチ24、選択スイッチ26、ヘッドライト駆動部32、ウインカーライト駆動部33との協働により、図4に示す「ウインカー制御プログラム」を実行し、図5に示す「ヘッドライト点灯制御プログラム」を実行するものである。なお、両プログラムにおいて、Sはステップを示し、Yは「YES」の判断を示し、Nは「NO」の判断を示すものである。点灯制御装置41の入力側には、左折スイッチ21、右折スイッチ22、ヘッドライトスイッチ24、選択スイッチ26が接続されている。また、点灯制御装置41の出力側には、左及び右ヘッドライト12,13を駆動するヘッドライト駆動部32と、左及び右ウインカーライト14,15を駆動するウインカーライト駆動部33が接続されている。
【0015】
つぎに、上記実施例の動作について説明する。
車両10のスタータースイッチがオンされると、点灯制御装置31は、図4に示す「ウインカー制御プログラム」の実行をステップ40(以下、S40のように表す)にて開始すると共に、図5に示す「ヘッドライト点灯制御プログラム」の実行をS70にて開始する。夜間のような周囲の暗い状態での運転に際して、ヘッドライト操作部23の回動操作によりヘッドライトスイッチ24がオンにされ、左右のメインライト12a,13aが通常光度の点灯状態にされ、左右のスモールライト12b,13bが点灯される(S71,72)。
【0016】
「ウインカー制御プログラム」の実行開始において、左右ウインカースイッチフラグLSF,RSFがそれぞれ「0」に設定されている(S41)。また、ウインカーレバー19の左折あるいは右折操作に応じて、左及び右ヘッドライト12,13を左折表示あるいは右折表示にさせるように、ウインカーレバー19に設けた点灯状態選択レバー25が右回りに回動され、選択スイッチ26がオンにされている(S42)。現時点では、まだウインカーレバー19は操作されていないので、左折及び右折スイッチ21,22はオフにされている(S43,S49)。ここで、左右ウインカースイッチフラグLSF,RSFは、選択スイッチ26がオンにされた状態で、左折及び右折スイッチ21,22がオフのときは「0」に設定され、オンのときは「1」に設定されるようになっている。
【0017】
また、「ヘッドライト制御プログラム」の実行において、左及び右ヘッドライト12,13が点灯されると、左右ウインカースイッチフラグLSF,RSFの読み込みが行われる(S72,S73)。左右のメインライト12a,13aが通常光度の点灯状態にされ、左右のスモールライト12b、13bが点灯されているが、現時点では左右ウインカースイッチフラグLSF,RSFがいずれも「0」になっているので、S74,S75にていずれも「NO」と判定され、点灯状態がそのまま続けられる。
【0018】
ここで、ウインカーレバー19の左折操作が行われると、左折スイッチ21がオンされ、左ウインカーライト14が点灯されると共に、左ウインカースイッチフラグLSFが「1」に変更される(S43,S44,S45)。これに応じて、ヘッドライト駆動部32により左メインライト12aの消灯が行われ、左折操作が解除されるまでこの状態が続けられる(S74,S77,78)。なお、左スモールライト12bについてはそのまま点灯状態が続けられる。ウインカーレバー19の左折操作が解除されると、左折スイッチ21がオフされ、左ウインカーライト14が消灯されると共に、左ウインカースイッチフラグLSFが「0」に変更される(S46,S47,S48)。これに応じて、ヘッドライト駆動部32により左メインライト12aの点灯が行われ(S79)、ヘッドライトスイッチ24がオフにされてヘッドライト12,13が消灯されるまで(S76)、S74〜S76の処理が繰り返される。
【0019】
また、ウインカーレバー19の右折操作が行われると、右折スイッチ22がオンされ、右ウインカーライト15が点灯されると共に、右ウインカースイッチフラグRSFが「1」に変更される(S43,S50,S51)。これに応じて、ヘッドライト駆動部32により右メインライト13aの消灯が行われ、右折操作が解除されるまでこの状態が続けられる(S75,S80,S81)。なお、右スモールライト13bについてはそのまま点灯が続けられる。ウインカーレバー19の右折操作が解除されると、右折スイッチ22がオフされ、右ウインカーライト15が点灯されると共に、右ウインカースイッチフラグRSFが「0」に変更される(S52,S53,S54)。これに応じて、ヘッドライト駆動部32により右メインライト13aの点灯が行われ(S81,S82)、ヘッドライトスイッチ24がオフにされてヘッドライト12,13が消灯されるまで(S76)、S74〜S79の処理が繰り返される。車両の運転終了時等にヘッドライトスイッチ24がオフにされるとヘッドライト12,13が消灯される(S76,S83,S84)。
【0020】
以上のように、本実施例によれば、車両10の前部左右側に設けられた左及び右ヘッドライト12,13が点灯時において、車両に設けられたウインカーレバー19が左折操作されると、それに応じて左ウインカーライト14が点灯されると同時に、左メインライト12aは左折表示である消灯状態にさせられる。また、ウインカーレバー19が右折操作されると、それに応じて右ウインカーライト15が点灯されると同時に、右メインライト13aが右折表示である消灯状態にされる。また、それにより、左右のウインカーライト14,15の点灯状態が相対的に明確に認識されるようになる。その結果、実施例においては、左及び右ヘッドライト12,13が通常の点灯状態にされた夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、左あるいは右メインライト12a,13aが通常の点灯状態から左折表示か右折表示である消灯状態に表示が変化したことを明確に認識でき、車両10が左折しようとしているか右折しようとしているかを確実に知ることができるので便利であり、交通安全の観点からも非常に有効である。また、実施例によれば、既設のヘッドライトをそのまま利用できるので、左及び右ヘッドライト12,13を用いて左折及び右折表示を安価に行うことができる。
【0021】
なお、本実施例において、左右ヘッドライト12,13の動作を左折表示あるいは右折表示にさせる必要がなく、通常の点灯状態のままでよい場合は、点灯状態選択レバー25は操作されることなく選択スイッチ26もオフのままにされる(S42)。そのため、ウインカーレバー19の左折操作が行われると、左折スイッチ21がオンされて、左ウインカーライト14が点灯されるが、左ウインカースイッチフラグLSFは「0」のままである(S55,S56)。これにより、左ヘッドライト12は影響されることなく点灯状態が続けられる(S74,S75,76)。ウインカーレバー19の左折操作が解除されると、左折スイッチ21がオフされ、左ウインカーライト14が消灯されるが、左ウインカースイッチフラグLSFは「0」のままであり、左ヘッドライト12は影響されることなく点灯状態が続けられる(S74,S75,76)。また、ウインカーレバー19の右折操作が行われた場合も、左折操作が行われたと同様、右ウインカーライト15の点灯、消灯が行われるのみであり、左及び右ヘッドライト12,13の点灯には影響がない。
【0022】
上記実施例の変形例1として、左折表示と右折表示を、左メインライト12aと右メインライト13aを消灯させることに代えて、通常の点灯状態よりさらに光度を弱めるようにしてもよい。これにより、車両に設けられたウインカーレバー19が左折操作されると、それに応じて点灯中の左メインライト12aの光度が通常時より明確に弱められ、また右折操作されると、それに応じて点灯中の右メインライト13aの光度が弱められる。その結果、変形例においても、左及び右ヘッドライト12,13が通常の点灯状態にされた夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、点灯中の左及び右メインライト12a,13aの光度が弱められることにより、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを明確に知ることができる。
【0023】
また、変形例2として、左折表示と右折表示を、左メインライト12aと右メインライト13aを消灯させるかあるいは通常の点灯状態よりも光度を弱め、左スモールライト12bと右スモールライト13bを通常の点灯状態より光度を弱めるようにしてもよい。これにより、車両に設けられたウインカーレバー19が左折操作されると、それに応じて点灯中の左メインライト12aが消灯されあるいは光度が通常時より明確に弱められると共に、左スモールライト12bが通常の点灯状態より光度が弱められ、また右折操作されると、それに応じて点灯中の右メインライト13aが消灯されあるいは光度が弱められると共に、右スモールライト13bが通常の点灯状態より光度が弱められる。その結果、変形例においても、左及び右ヘッドライト12,13が通常の点灯状態にされた夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、点灯中の左及び右メインライト12a,13aと左及び右スモールライト12b,13bの点灯状態の変化により、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを明確に知ることができる。
【0024】
また、上記実施例の変形例3として、左折表示あるいは右折表示を、左ヘッドライト12あるいは右ヘッドライト13を赤色、緑色等の異色で点灯させるようにしてもよい。この場合、左及び右ヘッドライト12,13に、異なった色で発光するライトを設ける必要がある。変形例2によれば、車両に設けられたウインカーレバ19ーが左折操作されると、それに応じて点灯中の左ヘッドライト12が異色に変化し、また右折操作されると、それに応じて点灯中の右ヘッドライト13が異色に変化する。その結果、左及び右ヘッドライト12,13が通常の点灯状態にされた夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者は、点灯中のヘッドライト12,13が異色に変化することにより、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを明確に知ることができる。
【0025】
なお、上記実施例及び各変形例においては、点灯状態選択レバー25の操作により選択スイッチ26をオンオフさせて、左及び右ヘッドライト12,13に左折右折表示を行わせるか否かを選択するようになっているが、これに代えて、選択スイッチ26のオンオフによらず、常に左及び右ヘッドライト12,13に左折右折表示を行わせるようにすることも可能である。この場合は、図4に示す「ウインカー制御プログラム」において、S42とS55〜S61を削除することにより対応可能になる。これにより、点灯状態選択レバー25と選択スイッチ26をなくすことができ、また制御装置の構成を簡易にできるため、左及び右ヘッドライト12,13に左折右折表示を安価に実現できる。その他、上記実施例に示した左折右折表示装置、車両の各部の構成については一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、車両前側の左右に設けられた一対のヘッドライトをそのまま利用し、ウインカーレバーの左折操作と右折操作に応じて、左ヘッドライトを通常の点灯状態から左折表示にさせ、右ヘッドライトを右折表示にさせるので、ヘッドライトが点灯された夜間等の周囲の暗い状況において、対向車両や歩行者が、ヘッドライトが通常の点灯状態から左折表示か右折表示に変化したことから、当該車両が左折しようとしているか右折しようとしているかを確実に知ることができるので便利であり、交通安全の観点からも有効であるため、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例に係る車両を前面側から示す斜視図である。
【図2】同車両のステアリング周囲を概略的に示す斜視図である。
【図3】同車両の左折右折表示装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】左折右折表示装置の点灯制御装置により実行される「ウインカー制御プログラム」を示すフローチャートである。
【図5】左折右折表示装置の点灯制御装置により実行される「ヘッドライト制御プログラム」を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
10…車両、12…左ヘッドライト、13…右ヘッドライト、12a…左メインライト、12b…左スモールライト、13a…右メインライト、13b…右スモールライト、14…左ウインカーライト、15…右ウインカーライト、19…ウインカーレバー、21…左折スイッチ、22…右折スイッチ、23…ヘッドライト操作部、24…ヘッドライトスイッチ、25…点灯状態選択レバー、26…選択スイッチ、30…左折右折表示装置、31…点灯制御装置、32…ヘッドライト駆動部、33…ウインカーライト駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部左右両側に設けられた左及び右ヘッドライトが通常の点灯時において、該車両に設けられたウインカーレバーの左折操作に応じて、前記左ヘッドライトを左折表示に切り替えさせ、該ウインカーレバーの右折操作に応じて、前記右ヘッドライトを右折表示に切り替えさせることを特徴とする車両の左折右折表示装置。
【請求項2】
前記ウインカーレバーの左折あるいは右折操作に応じて、前記左折表示あるいは右折表示にするか、又は前記左折表示あるいは右折表示にしないかの選択が可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両の左折右折表示装置。
【請求項3】
前記左折表示あるいは右折表示が、前記左ヘッドライトあるいは右ヘッドライトの消灯、又は通常点灯時より光度を弱めることに対応することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の左折右折表示装置。
【請求項4】
前記左折表示あるいは右折表示が、前記左ヘッドライトあるいは右ヘッドライトを異色で点灯させることに対応することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の左折右折表示装置。
【請求項5】
車両の前部左右両側に設けられた左及び右ヘッドライトをそれぞれ点灯消灯させるヘッドライト駆動部と、該車両に設けられたウインカーレバーの左折あるいは右折操作を検出する左折右折検出部と、該左折右折検出部による左折検出結果に応じて前記ヘッドライト駆動部により前記左ヘッドライトを通常の点灯状態から左折表示に変更させ、右折検出結果に応じて前記ヘッドライト駆動部により前記右ヘッドライトを通常の点灯状態から右折表示に変更させるように制御する点灯制御装置とを設けたことを特徴とする車両の左折右折表示装置。
【請求項6】
前記ウインカーレバーの左折あるいは右折操作に応じて、前記左あるいは右ヘッドライトを左折表示あるいは右折表示にさせるか、あるいは通常の点灯状態のままにさせるかを選択し、選択結果を前記点灯制御装置に出力する表示選択手段を設けたことを特徴とする請求項5に記載の車両の左折右折表示装置。
【請求項7】
前記ヘッドライト駆動部による左折表示あるいは右折表示の実行が、前記左ヘッドライトあるいは右ヘッドライトの消灯、又は点灯光度を通常点灯時より弱めることに対応することを特徴とする請求項5又は6に記載の車両の左折右折表示装置。
【請求項8】
前記ヘッドライト駆動部による左折表示あるいは右折表示の実行が、前記左ヘッドライトあるいは右ヘッドライトを異色で点灯させることに対応することを特徴とする請求項5又は6に記載の車両の左折右折表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−220773(P2009−220773A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69751(P2008−69751)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【特許番号】特許第4203534号(P4203534)
【特許公報発行日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(508083998)
【Fターム(参考)】