説明

車両の後部荷室構造

【課題】荷室の使い勝手がよく、荷室の空間を有効利用できる車両の後部荷室構造を提供する。
【解決手段】フロアパネル11は、その前部よりも後部の方が低い傾斜した上面を有している。フロアボード13は、その前部を支点として後部を上下方向に移動させることにより、上方位置と下方位置を含む複数の位置から配置を選択可能である。フロアボード13が前記上方位置に配置された状態では、フロアボード13の後端部が荷室開口部17の下縁と略同一の高さに位置する。フロアボード13が前記下方位置に配置された状態では、フロアボード13がフロアパネル11の上面の傾斜に沿って配置され、フロアボード13の後端部が荷室開口部17の下縁よりも下方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後部に設けられる荷室の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後部に設けられ、底部がフロアパネルにより形成された荷室と、前記フロアパネル上に配設されたフロアボードとを備えた車両の後部荷室構造が知られている。前記荷室は、その後部に荷物の出し入れが可能な荷室開口部を有している。
【0003】
このような後部荷室構造では、荷室の空間を有効利用できるとともに荷室の使い勝手がよいことが求められている。そこで、前記フロアボードの位置を上方位置と下方位置の間で変位可能にした構造が提案されている。すなわち、前記下方位置では、前記上方位置に比べて荷室の高さを大きくすることができるので、大きな荷物(特に背の高いもの)を荷室に収容する場合に有効である。また、前記上方位置では、例えば、フロアボードの後端部の上面を前記荷室開口部の下縁と略同一の高さにして前記上面と前記下縁とをほぼ連続させることにより、荷物の出し入れがしやすくなるという利点がある。
【0004】
例えば特許文献1に開示されている後部荷室構造では、フロアボードは、前部と後部がともに上下動し、全体が略水平な姿勢を維持した状態で前記上方位置と前記下方位置の間で変位する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−302145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記荷室の底部を構成するフロアパネルの上面は必ずしも水平であるとは限らないため、特許文献1に開示されているように全体が略水平な姿勢を維持した状態でフロアボードを昇降させると、フロアパネルとフロアボードとの間に大きな隙間ができてその隙間がデッドスペースとなることがある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、荷室の使い勝手がよく、荷室の空間を有効利用できる車両の後部荷室構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両の後部荷室構造は、車両の後部に設けられ、底部がフロアパネルにより形成された荷室と、前記フロアパネル上に配設されたフロアボードと、を備えている。前記荷室は、その後部に荷物の出し入れが可能な荷室開口部を有している。前記フロアパネルは、その前部よりも後部の方が低い傾斜した上面を有している。前記フロアボードは、その前部を支点として後部を上下方向に移動させることにより、少なくとも上方位置と下方位置を含む複数の位置から配置を選択可能である。前記フロアボードが前記上方位置に配置された状態では、前記フロアボードの後端部が前記荷室開口部の下縁と略同一の高さに位置する。前記フロアボードが前記下方位置に配置された状態では、前記フロアボードが前記フロアパネルの上面の傾斜に対応して車両前後方向後方に向かうにつれて下方へ傾斜するように配置され、前記フロアボードの後端部が前記荷室開口部の下縁よりも下方に位置する。
【0009】
この構成では、フロアボードの前部を支点としてフロアボードの後部を上下方向に移動させることにより前記上方位置と前記下方位置の間でフロアボードの配置変更を行うので、前記フロアパネルがその前部よりも後部の方が低い傾斜した上面を有している場合であっても、荷室の使い勝手がよく、しかも荷室の空間を有効利用することができる。
【0010】
すなわち、荷物の出し入れ時などにおいて荷室の使い勝手を優先させたい場合には、前記フロアボードの後端部が前記荷室開口部の下縁と略同一の高さに位置するようにフロアボードの後部を上方に移動させてフロアボードを前記上方位置に配置する。一方、荷物が多い、荷物が大きいなど、荷室の空間を広く使いたい場合には、前記フロアボードの後端部が前記荷室開口部の下縁よりも下方に位置するようにフロアボードの後部を下方に移動させてフロアボードを前記下方位置に配置する。この下方位置では、前記フロアボードが前記フロアパネルの上面の傾斜に沿って配置される。これにより、前記フロアパネルがその前部よりも後部の方が低い傾斜した上面を有している場合であっても、荷室の使い勝手がよく、荷室の空間を有効利用することができる。
【0011】
また、前記下方位置では、フロアボードがフロアパネルの上面の傾斜に沿って配置されるので、フロアボードの上面は後ろ下がり状に傾斜している。したがって、このフロアボード上に載置された荷物は、前方への移動が規制される。また、フロアボードの後端部が荷室開口部の下縁よりも下方に位置しているので、荷室の後壁部に当接させた状態で配置された荷物は、後方への移動が規制される。これにより、車両の移動中に振動などが生じた場合であっても、荷物が前後に移動するのを抑制することができる。
【0012】
具体的には、前記フロアボードの前部の下面と前記フロアパネルの上面との間において車幅方向に沿って配設され、前記フロアボードの前部が載置される支持部材をさらに備え、前記支持部材は、前記フロアボードの前部を支持するとともに、前記フロアボードの後部を上下方向に移動させる際の前記支点として機能する構成が例示できる。
【0013】
この構成では、前記支持部材をフロアボードの前部の下面とフロアパネルの上面との間に配設し、この支持部材にフロアボードの前部を載置することにより、フロアボードの前部を支持するとともに、支持部材を前記支点として機能させることができる。この支持部材は、前記上方位置においてフロアボードの前部を保持する機能と、フロアボードの昇降時の前記支点としての機能を兼ね備えている。また、前記支持部材は、車幅方向に沿って配設されているので、車幅方向に広い領域にわたってフロアボードを支持可能であり、フロアボードが前記上方位置に配置された場合であっても、荷物を安定して支持できる。
【0014】
また、前記フロアボードの後部と前記荷室開口部の下縁とをつなぐように前後方向に延びるとともに、前記フロアボードが前記上方位置と前記下方位置との間で変位する際の動きを規定する案内支持部材をさらに備え、前記案内支持部材は、前記荷室開口部の下縁の近傍を支点として回動可能なように後部が前記荷室開口部の下縁の近傍に係合されているとともに、その回動により上下動する前記案内支持部材の前部が前記フロアボードの後部に軸支されており、前記フロアボードが前記下方位置に配置された状態において、前記案内支持部材の上面が、前記フロアボードから前記荷室開口部の下縁までの間にわたって斜め上方に傾斜するように配置されるのが好ましい。
【0015】
この構成では、前記案内支持部材をさらに備えているので、フロアボードが前記下方位置に配置された状態であっても荷物の出し入れがしやすい。すなわち、前記フロアボードが前記下方位置に配置された状態において、前記案内支持部材の上面は、前記フロアボードから前記荷室開口部の下縁までの間にわたって斜め上方に傾斜しているので、この上面に沿って荷物を移動させることにより、荷物を容易に出し入れすることができる。また、前記案内支持部材は、前記上方位置と前記下方位置との間でフロアボードの動きを規定するので、フロアボードを安定して変位させることができる。
【0016】
また、この構成では、案内支持部材は、フロアボードの動きを規定する機能と、荷物の出し入れをしやすくする機能とを兼ね備えている。したがって、これらの機能を別々の部材に持たせる場合に比べて部品点数を削減でき、重量増を抑制できる。
【0017】
また、前記案内支持部材の上面は、前記フロアボードが前記上方位置に配置された状態において、前記フロアボードの上面とほぼ連続する連続面を形成するのが好ましい。
【0018】
この構成では、前記上方位置において、案内支持部材の上面がフロアボードの上面と連続面を形成しているので、フロアボードと案内支持部材との段差を小さくすることができる。これにより、フロアボードが前記上方位置に配置されている状態において、案内支持部材が荷物の出し入れの障害になるのを抑制できる。また、案内支持部材の上面がフロアボードの上面と連続面を形成しているので、案内支持部材がフロアボードと一体的な外観となる。
【0019】
また、前記案内支持部材の後部は、前記荷室開口部の下縁の近傍との係合を解除可能に構成されており、前記後部の係合が解除された前記案内支持部材の上面は、前記フロアボードが前記下方位置に配置された状態において、前記フロアボードの上面とほぼ連続する連続面を形成するのが好ましい。
【0020】
この構成では、案内支持部材の後部の前記係合を解除可能であり、前記係合を解除した状態で前記下方位置に配置されると、案内支持部材の上面はフロアボードの上面とほぼ連続した連続面を形成するので、荷室の後部における収納スペースをより大きくすることができる。これにより、用途に応じた荷室構造のバリエーションが広がる。
【0021】
また、前記案内支持部材の前部及び前記フロアボードの後部の一方に、車幅方向に延びる軸部が設けられるとともに、前記案内支持部材の前部及び前記フロアボードの後部の他方に、前記軸部を回動可能に支持するとともに前記軸部を前記前後方向に沿って相対的にスライド移動可能に支持する軸支持部が設けられ、前記軸部及び前記軸支持部により前記案内支持部材の前部が前記フロアボードの後部に軸支されているのが好ましい。
【0022】
この構成では、案内支持部材がフロアボードに対して回動可能であり、しかも前後方向にスライド移動可能であるので、円滑で安定したフロアボードの配置変更が可能になる。このように案内支持部材によって前記上方位置と前記下方位置との間で変位するフロアボードの動きが円滑で安定して規定されるので、使用者はフロアボードを簡単に操作することができ、場合によっては操作時の目視も不要になる。
【0023】
また、前記案内支持部材が複数設けられており、これらの案内支持部材が車幅方向に配列されているのが好ましい。
【0024】
この構成では、複数の案内支持部材が車幅方向に配列されているので、フロアボードを安定して支持できるとともに、各案内支持部材は荷物の車幅方向の動きを規制するストッパーとしての機能も果たす。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、フロアパネルがその前部よりも後部の方が低い傾斜した上面を有している場合であっても、荷室の使い勝手がよく、しかも荷室の空間を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の後部荷室構造を上方から見た状態を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】(A)は、前記後部荷室構造における案内支持部材を下方から見た状態を示す斜視図であり、(B)は、フロアボードの後部を下方から見た状態を示す斜視図である。
【図7】図1のVII−VII線断面図であり、前記フロアボードが上方位置に配置された状態を示している。
【図8】前記フロアボードが下方位置に配置された状態を示す断面図である。
【図9】前記フロアボードが下方位置に配置された状態であって、前記案内支持部材の後部の係合が解除された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<荷室の全体構造>
以下、本発明の一実施形態に係る車両の後部荷室構造について図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図3は、本実施形態に係る車両の後部荷室構造を示している。この車両には、その車室前部に運転席および助手席を含む図略の前席シートが配設されるとともに、その後方に後席シート31と荷室15とが順次配設されている。
【0028】
荷室15は、その後部に荷物の出し入れが可能な荷室開口部17を有している。この荷室開口部17は、リアゲート33により塞がれており、荷物の出し入れ時などにおいてはリアゲート33の上端部を中心にリアゲート33を回動させて開閉することができる。
【0029】
前記前席シートおよび後席シート31は、車室のフロアパネル上に設置されている。具体的には、前記フロアパネルは、前記前席シートの設置部となる図略のフロントフロアパネルと、後席シート31の設置部となる図略のセンタフロアパネルと、フロアボード13の設置部となり、荷室15の底部を構成するリアフロアパネル11と、を含む。以下、リアフロアパネル11を単にフロアパネル11という。
【0030】
図2に示すように、フロアパネル11は、その前部11fよりも後部11rの方が低い傾斜した上面を有している。このフロアパネル11は、部分的には若干の上下の起伏があるものの、前部11fから後部11rに向かうにつれて全体的に下方に傾斜している。このフロアパネル11上には、後述するフロアボード13が配設されている。
【0031】
図1及び図3に示すように、フロアパネル11の車幅方向Wの両側には、前後方向に沿ってリアサイドメンバ37がそれぞれ配設されている。これらのリアサイドメンバ37の車幅方向Wの外側にはフロアパネルサイド43がそれぞれ連設されている。図2及び図3に示すように、各リアサイドメンバ37の上面には、前後方向に沿って発泡樹脂により形成された角柱形状の側方部材(詰め物)45がそれぞれ配設されている。なお、図1においては側方部材45の図示を省略している。
【0032】
各フロアパネルサイド43の上面には、トランクサイドトリム39の下端部がそれぞれ当接している。各トランクサイドトリム39は、フロアパネルサイド43の上面から上方に立設されて荷室15の内側面を形成している。
【0033】
図2に示すように、フロアパネル11の後方Rには、リアエンドメンバ41、リアエンドパネル47及びリアバンパ35がこの順に配設されている。リアエンドメンバ41、リアエンドパネル47及びリアバンパ35は車幅方向Wに沿って延設されている。リアエンドメンバ41の前方F側には、このリアエンドメンバ41を覆うようにしてリアエンドトリム27が車幅方向Wに沿って延設されている。
【0034】
図1、図2及び図7に示すように、リアエンドトリム27は、フロアパネル11の上面に当接する下端部27fと、この下端部27fから上方に立設されてリアエンドメンバ41の前面に対向して配置された後壁部27dとを有している。この後壁部27dは、荷室15の後壁の一部を形成している。リアエンドトリム27の下端部27fは、後壁部27dの下端から前方Fに延びる上面を有している。この上面には、後述するように下方位置に配置されたフロアボード13の後端部が載置される。また、リアエンドトリム27は、リアエンドメンバ41の上面を覆うように配置された上面部27aを有している。この上面部27aは、荷室開口部17の下縁を構成している。
【0035】
リアエンドトリム27の後部は、車幅方向Wの位置によっていくつかの異なる形状を有している。まず、車幅方向Wの中央付近におけるリアエンドトリム27の形状について説明する。図1及びそのIV−IV線断面図である図4に示すように、リアエンドメンバ41の上面の車幅方向Wの中央付近には、リング状のストライカ49が固定されている。リアエンドトリム27の車幅方向Wの中央付近には、車幅方向Wの両サイドと比較して下方に凹み、ストライカ49が挿通された貫通孔を有する凹部27eが設けられている。ストライカ49は、前記貫通孔を通じて凹部27eの上面から上方に突出している。リアゲート33をその上端部を中心に下方に回動させて荷室開口部17を塞ぐと、リアゲート33の下端部に設けられた図略のラッチがストライカ49と係合する。
【0036】
次に、フロアボード13の後端部と係合して支持する部分におけるリアエンドトリム27の形状について説明する。図1のV−V線断面図である図5に示すように、この係合部分におけるリアエンドトリム27は、上述した上面部27aと後壁部27dとの間に第1係合凸部27b及び凹部27gを有している。第1係合凸部27b及び凹部27gは、車幅方向Wに沿って延設されており、図1に示すように車幅方向Wに沿った複数箇所に設けられている。
【0037】
各第1係合凸部27bの上端は、フロアボード13の厚みを考慮して上面部27aよりも低い位置に設けられている。これにより、フロアボード13が図5に示すように配置されたときに、フロアボード13の上面13cとリアエンドトリム27の上面部27aの上面とがほぼ連続した連続面となる。各第1係合凸部27bには、後述するフロアボード13の後端部の下面に設けられた第1係合凹部13b(図6(B)参照)が係合し、各第1係合凹部13bのさらに後端部分が凹部27gに係合する。
【0038】
次に、後述する案内支持部材21と係合する部分におけるリアエンドトリム27の形状について説明する。図1のII−II線断面図である図2、及び図7に示すように、この係合部分におけるリアエンドトリム27は、上述した上面部27aと後壁部27dとの間に、案内支持部材21の後部の厚み分だけ上面部27aよりも車両上下方向下方に位置する段差部27kと、この段差部27kの上方に配置された第2係合凸部27cと、この第2係合凸部27cと段差部27kとをつなぐ連結部27hと、を有している。第2係合凸部27cは、各案内支持部材21の後部に対応する位置に複数設けられている。第2係合凸部27cの形状は、例えば図7に示すように断面が略円形の円柱形状や球形状にすることができる。
【0039】
各第2係合凸部27cの上端は、案内支持部材21の厚みを考慮して上面部27aよりも低い位置に設けられている。これにより、案内支持部材21が図7に示すように配置されたときに、案内支持部材21の上面21eと、フロアボード13の上面13c及びリアエンドトリム27の上面部27aの上面とがほぼ連続した連続面となる。各第2係合凸部27cには、後述する案内支持部材21の後部の下面に設けられた第2係合凹部21d(図6(A)参照)が係合する。
【0040】
フロアボード13は、フロアパネル11上に配設されている。図1及び図2に示すように、フロアボード13は扁平な板形状を有している。フロアボード13の前端部は後席シート31に近接した位置にあり、フロアボード13の後端部はリアエンドトリム27に近接した位置にあり、フロアボード13の車幅方向Wの両サイドは側方部材45に近接した位置にある。すなわち、フロアボード13は、荷室15の底部を構成するフロアパネル11の上面の形状に合わせた形状を有している。
【0041】
本実施形態では、フロアボード13は、その前部を支点として後部を上下方向に移動させることにより、上方位置と下方位置から配置を選択可能である。図2に実線で示すように、フロアボード13が前記上方位置に配置された状態では、フロアボード13の上面13cは略水平である。一方、図2に二点鎖線で示すように、フロアボード13が前記下方位置に配置された状態では、フロアボード13の上面13cは後方Rに向かうにつれて下方に傾斜している。以下、フロアボード13の昇降機構について具体的に説明する。
【0042】
<フロアボードの昇降機構>
図1〜図3に示すように、フロアパネル11の前部11fの上面には、車幅方向Wに沿って延びる支持部材19が配設されている。この支持部材19は、例えば発泡樹脂により形成され、角柱形状を有している。支持部材19の両端部は、両サイドのリアサイドメンバ37に近接する位置に配置されている。
【0043】
フロアボード13の前部は、その下面が支持部材19の上部に当接するように支持部材19上に載置されている。支持部材19は、フロアボード13の前部を支持するとともに、フロアボード13の後部を上下方向に移動させる際の支点として機能する。フロアボード13の前部は、支持部材19上に載置されているのみであり、支持部材19と連結されていない。したがって、フロアボード13の後部を上下方向に移動させて配置変更を行う際には、フロアボード13の前部の下面を支持部材19に対して摺動させることにより、フロアボード13の前後方向の位置を微調整することができる。
【0044】
なお、支持部材19の上面は、側方部材45の上面よりもフロアボード13の厚さ分だけ車両上下方向下方に低い位置に設定されている。したがって、支持部材19の上面にフロアボード13が載置され、フロアボード13が上方位置にある場合は、図3に示すようにフロアボード13の上面が側方部材45の上面と略連続面を形成するので、実質的に車幅方向に載置面を拡大した荷室を形成することができる。
【0045】
図2に実線で示すように、フロアボード13が上方位置に配置された状態では、フロアボード13の後端部は荷室開口部17の下縁(リアエンドトリム27の上面部27a)と略同一の高さに位置している。一方、図2に二点鎖線で示すように、フロアボード13が下方位置に配置された状態では、フロアボード13はフロアパネル11の上面の傾斜に沿って配置され、フロアボード13の後端部は、荷室開口部17の下縁(リアエンドトリム27の上面部27a)よりも下方に位置している。
【0046】
図6(B)に示すように、フロアボード13の後端部の下面には、上述したように車幅方向Wに沿って形成された複数の第1係合凹部13bが設けられている。図1及び図5に示すように、各第1係合凹部13bは、フロアボード13が前記上方位置に配置された状態において、リアエンドトリム27の各第1係合凸部27bに係合している。
【0047】
図1、図2及び図7に示すように、フロアボード13の後部には、複数の案内支持部材21が連結されている。これらの案内支持部材21は車幅方向Wに配列されている。図6に示すように、各案内支持部材21は、四角柱形状の部材本体21aとこの部材本体21aの一端に設けられ、第2係合凸部27cが係合する後部21bとを含む棒状の部材である。各案内支持部材21は、フロアボード13の後部と荷室開口部17の下縁とをつなぐように前後方向に延びている。
【0048】
図8に示すように、各案内支持部材21の前方の端面21cは、フロアボード13が前記下方位置に配置された状態において、フロアボード13の下面とほぼ連続面を形成するように案内支持部材21の長手方向に対して傾斜した傾斜面である。各案内支持部材21の後方の端面21fは、前記下方位置において、リアエンドトリム27の上面部27aの上面とほぼ連続面を形成するように案内支持部材21の長手方向に対して傾斜した傾斜面である。
【0049】
また、各案内支持部21は、フロアボード13が前記下方位置に配置された状態において、前部側から後部21b側に向かって斜め上方に傾斜する上面(ガイド面)21eを有している。案内支持部材21のガイド面21eは、図7に示すフロアボード13が前記上方位置に配置された状態においては、フロアボード13の上面13cとほぼ連続する連続面を形成する。
【0050】
図1及び図6(B)に示すように、フロアボード13の後部には、各案内支持部材21が嵌り込むことが可能な複数の凹部13aが設けられている。複数の凹部13aは、車幅方向Wに沿って配置されている。
【0051】
各案内支持部材21は、後述するように、フロアボード13が前記上方位置と前記下方位置との間で変位する際の動きを規定する。各案内支持部材21は、荷室開口部17の下縁の近傍を支点として回動可能なように後部21bが荷室開口部17の下縁の近傍に係合されている。各案内支持部材21は、その回動により上下動する案内支持部材21の前部がフロアボード13の後部に軸支されている。
【0052】
具体的には、図1、図6(B)及び図7に示すように、フロアボードの凹部13aの前方側の部位には、車幅方向Wに対向する一対の内面間に架け渡された軸部23が設けられている。一方、案内支持部材21の部材本体21aの前部には、車幅方向Wに貫通し、長手方向に延びる長孔からなる軸支持部25が設けられている。
【0053】
図1及び図7に示すように、軸支持部25に軸部23が挿通されている。軸部23は軸支持部25内を前後方向に沿って軸支持部25に対して相対的にスライド移動可能である。したがって、案内支持部材21は、フロアボード13に対して前後方向に沿って相対的にスライド移動可能である。このように案内支持部材21の前部は、軸部23及び軸支持部25によりフロアボード13の後部に連結されて軸支されている。
【0054】
また、案内支持部材21の後部には、荷室開口部17の下縁の近傍であるリアエンドトリム27に設けられた第2係合凸部27cに回動可能に係合された第2係合凹部21dが形成されている。第2係合凹部21dの内面は、円柱形状又は球形状を有する第2係合凸部27cに沿った曲面である。図6に示すように、第2係合凹部21dの開口部は、車両前後方向の前方側に位置する前方縁部21g、後方側に位置する後方縁部21h、及び車幅方向の両サイドに位置する縁部21k,21mにより形成されている。
【0055】
この第2係合凹部21dは、第2係合凹部21dが第2係合凸部27cから離れる方向に案内支持部材21に力を加えることによって第2係合凸部27cとの係合を解除可能である。また、係合が解除された第2係合凹部21dは、第2係合凸部27cに再度係合可能である。第2係合凸部27cと第2係合凹部21dとの係合及びその解除を可能にするには、例えば第2係合凸部27cの外径と、第2係合凹部21dの開口部の寸法とを適宜調整すればよい。また、第2係合凸部27cと第2係合凹部21dの一方又は両方を、前記係合及びその解除が可能な程度に弾性変形可能な合成樹脂などの材料で形成してもよい。
【0056】
リアエンドトリム27の連結部27hは、図8に示す下方位置においてフロアボード13の上面13cからリアエンドトリム27の上面部27aの上面にわたって案内支持部材21が傾斜するように第2係合凹部21dを十分に移動可能(回動可能)な構造にするために、図7に示す上方位置において、連結部27hは、第2係合凹部21dの開口部に対して車両前後方向後方に偏った位置(前方縁部21gよりも後方縁部21hに近い位置)に配置されている。
【0057】
第2係合凹部21dの係合が解除された案内支持部材21の上面21eは、図9に示すフロアボード13が前記下方位置に配置された状態において、フロアボード13の上面13cとほぼ連続する連続面を形成する。
【0058】
なお、本実施形態では、図9に示すように、案内支持部材21の後端に第2係合凹部21dを形成したことに伴って、案内支持部材21の後端側の下端部が下方に出っ張った形状を有しているので、その分、上面21eの後端側の部位が上面13cよりも若干上方に位置している。すなわち、本実施形態では、上面21eが上面13cと完全に同一平面上にあるわけではなく、上面21e及び上面13c同士に若干の凹凸があるが、案内支持部材21の一部がフロアボード13の凹部13a内に収容されているので、荷室15の後部における収納スペースを図8に示す状態に比べて大きくすることができる。
【0059】
したがって、本実施形態において、案内支持部材21の上面21eがフロアボード13の上面13cとほぼ連続している状態とは、上面21e及び上面13c同士に若干の凹凸がある場合も含み、フロアボード13の凹部13a内に案内支持部材21の少なくとも一部が収容された状態をいう。
【0060】
<フロアボードの昇降動作>
次に、フロアボード13の昇降動作について説明する。
【0061】
前記上方位置に配置されたフロアボード13を前記下方位置に変位させる場合には、まず、フロアボード13の後端部や側端部を把持するか、又は必要に応じてフロアボード13に設けられる図略の把持部を把持した状態でフロアボード13の後部を上方に持ち上げて、第1係合凹部13bと第1係合凸部27bの係合を解除する。
【0062】
このとき、フロアボード13は、支持部材19に載置されたフロアボード13の前部を中心にして(支点として)僅かに上方に回動し、前部よりも後部が上方に持ち上がった状態となる。これにより、フロアボード13に設けられた軸部23も僅かに上方に移動するので、案内支持部材21は、第2係合凹部21dが係合された第2係合凸部27cを支点として回動し、案内支持部材21の前部が僅かに上方に持ち上がった状態となる。
【0063】
ついで、フロアボード13の後端部がリアエンドトリム27の後壁部27dよりも前方Fに位置するまでフロアボード13を前方Fに移動させる。この前方Fへの移動時には、フロアボード13の前部の下面は支持部材19上を摺動する。
【0064】
ついで、フロアボード13の後端部がリアエンドトリム27の下端部27fの上面に当接するまでフロアボード13の後部を下方に移動させる(図8に示す状態)。この移動中には、図7及び図8に示すように、フロアボード13に設けられた軸部23は、軸支持部(長孔)25の内部を、軸支持部25に対して相対的に前方に移動する。
【0065】
一方、案内支持部材21は、軸部23の下方への移動に伴って第2係合凸部27cを支点として前部が下方に移動する。これにより、フロアボード13が前記下方位置に配置される。
【0066】
図8に示すように、フロアボード13が前記下方位置に配置された状態では、軸部23が軸支持部(長孔)25の前方側の端部に位置しているので、フロアボード13がこれ以上前方に移動するのが規制される。すなわち、図8の状態からフロアボード13が前方に移動するためには、案内支持部材21が第2係合凸部27cを中心に図8における右回り(時計回り)に回動するとともに、フロアボード13が自重に抗して上方に持ち上がる必要がある。したがって、図8に示す下方位置においては、フロアボード13は、前方に移動するのが効果的に規制されている。これにより、フロアボード13の配置は、前記下方位置において安定する。
【0067】
フロアボード13が前記下方位置に配置された状態では、図8に示すように案内支持部材21は、その上面(ガイド面)21eが、フロアボード13の上面13cから荷室開口部17の下縁、すなわちリアエンドトリム27の上面部27aの上面までの間にわたって斜め上方に(後上がり状に)傾斜するように配置される。
【0068】
前記下方位置においては、さらに次の変形が可能である。すなわち、案内支持部材21を図8に示す状態から図9に示す状態に変位させる。具体的には、まず、案内支持部材21の部材本体21aを把持し、第2係合凹部21dが第2係合凸部27cから離れる方向に案内支持部材21に力を加えて第2係合凹部21dと第2係合凸部27cとの係合を解除する。他の案内支持部材21についても同様にして前記係合を解除する。
【0069】
ついで、軸支持部25内を軸部23が相対的に後方に移動するように案内支持部材21を前方にスライド移動させつつ、案内支持部材21が図8に示すように傾斜した状態から図9に示すように略水平な状態になるように案内支持部材21の後部を下方に移動させて、案内支持部材21をフロアボード13の凹部13a内に収容する。図9に示す状態では、案内支持部材21の上面21eは、フロアボード13の上面13cとほぼ連続する連続面を形成している。
【0070】
また、図9に示す前記下方位置に配置されたフロアボード13を図7に示す前記上方位置に変位させる場合には、上記した変位手順のほぼ逆の動作を行えばよい。まず、案内支持部材21を把持して案内支持部材21の後部を上方に移動させ、図8に示すように第2係合凹部21dを第2係合凸部27cに係合(嵌合)させる。
【0071】
ついで、フロアボード13を把持した状態で、フロアボード13の下面が第1係合凹部13bの上端よりも高い位置に配置されるようにフロアボード13の後部を上方に移動させる。ついで、フロアボード13の第1係合凹部13bがリアエンドトリム27の第1係合凸部27bの上方に配置されるまでフロアボード13を後方Rに移動させる。この後方Rへの移動時には、フロアボード13の前部の下面は支持部材19上を摺動する。
【0072】
その後、フロアボード13の後部を下方に移動させて、図5に示すように各第1係合凹部13bを対応する第1係合凸部27bに係合させる。一方、各案内支持部材21は、軸部23と軸支持部25が係合しているので、フロアボード13の上記一連の動作に伴って自動的に図8の状態から図7の状態に変位する。これにより、フロアボード13が前記上方位置に配置される。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、フロアボード13の前部を支点としてフロアボード13の後部を上下方向に移動させることにより前記上方位置と前記下方位置の間でフロアボード13の配置変更を行うので、使用状況に応じて荷室の形態を変更でき、適宜使い勝手の良い形態を選択でき、さらにフロアパネル11がその前部よりも後部の方が低い傾斜している場合であっても、フロアボード13がフロアパネル11の上面の傾斜に対応して車両前後方向後方に向かうにつれて下方に傾斜するように配置したので、上方位置でも下方位置においても荷室の空間を有効利用することができる。
【0074】
また、本実施形態では、支持部材19をフロアボード13の前部の下面とフロアパネル11の上面との間に配設し、この支持部材19にフロアボード13の前部を載置することにより、フロアボード13の前部を支持するとともに、支持部材19を前記支点として機能させることができる。この支持部材19は、前記上方位置においてフロアボード13の前部を保持する機能と、フロアボード13の昇降時の前記支点としての機能を兼ね備えている。支持部材19は、車幅方向Wに沿って配設されているので、フロアボード13が前記上方位置に配置された場合であっても、荷物を安定して支持できる。
【0075】
また、本実施形態では、案内支持部材21を備えているので、フロアボード13が前記下方位置に配置された状態であっても荷物の出し入れがしやすい。すなわち、フロアボード13が前記下方位置に配置された状態において、案内支持部材21の上面は、フロアボード13から荷室開口部17の下縁までの間にわたって斜め上方に傾斜しているので、この上面に沿って荷物を移動させることにより、荷物を容易に出し入れすることができる。また、案内支持部材21は、前記上方位置と前記下方位置との間でフロアボード13の動きを規定するので、フロアボード13安定して変位させることができる。
【0076】
また、案内支持部材21は、フロアボード13の動きを規定する機能と、荷物の出し入れをしやすくする機能とを兼ね備えている。したがって、これらの機能を別々の部材に持たせる場合に比べて部品点数を削減でき、重量増を抑制できる。
【0077】
また、本実施形態では、前記上方位置において、案内支持部材21の上面がフロアボード13の上面と連続面を形成しているので、フロアボード13と案内支持部材21との段差を小さくすることができる。これにより、フロアボード13が前記上方位置に配置されている状態において、案内支持部材21が荷物の出し入れの障害になるのを抑制できる。また、案内支持部材21の上面がフロアボード13の上面と連続面を形成しているので、案内支持部材21がフロアボード13と一体的な外観となる。
【0078】
また、本実施形態では、案内支持部材21の後部の前記係合を解除可能であり、前記係合を解除した状態で前記下方位置に配置されると、案内支持部材21の上面はフロアボード13の上面とほぼ連続した連続面を形成するので、荷室の後部における収納スペースをより大きくすることができる。これにより、用途に応じた荷室構造のバリエーションが広がる。
【0079】
また、本実施形態では、フロアボード13の後部に、車幅方向Wに延びる軸部23が設けられるとともに、案内支持部材21の前部に、軸部23を回動可能に支持するとともに軸部23を前後方向に沿ってスライド移動可能に支持する軸支持部25が設けられ、軸部23及び軸支持部25により案内支持部材21の前部がフロアボード13の後部に軸支されている。これにより、円滑で安定したフロアボードの配置変更が可能になる。このように案内支持部材21によって前記上方位置と前記下方位置との間で変位するフロアボード13の動きが円滑で安定して規定されるので、使用者はフロアボード13を簡単に操作することができ、場合によっては操作時の目視も不要になる。
【0080】
また、本実施形態では、複数の案内支持部材21が車幅方向Wに配列されているので、フロアボード13を安定して支持できるとともに、各案内支持部材21は荷物の車幅方向Wの動きを規制するストッパーとしての機能も果たす。
【0081】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0082】
例えば、前記実施形態では、フロアボードの配置が上方位置と下方位置の2つから選択可能である場合を例に挙げて説明したが、例えば上方位置と下方位置の間に他の中間位置を含む3つ以上の配置を選択可能に構成されていてもよい。前記中間位置に配置する場合には、例えばリアエンドトリムの後壁部にフロアボードの後端部を載置可能な段状の載置面を設けることにより、フロアボードを前記中間位置に配置可能である。
【0083】
また、前記実施形態では、フロアボードの前部が支持部材上に載置され、フロアボードが支持部材に連結されていない構造を例に挙げて説明したが、これに限定されない。フロアボードの前部を支持する構造は、フロアボードがその前部を中心に回動可能であれば、他の構造であってもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、フロアボードと案内支持部材とを連結する軸部がフロアボードに設けられ、軸支持部が案内支持部材に設けられた場合を例に挙げて説明したが、軸部が案内支持部材に設けられ、軸支持部がフロアボードに設けられていてもよい。また、案内支持部材がフロアボードに軸支される構造は前記実施形態に限定されない。
【0085】
また、前記実施形態では、案内支持部材が設けられた場合を例示したが、案内支持部材は必ずしも設ける必要はなく、省略することもできる。
【符号の説明】
【0086】
11 フロアパネル
13 フロアボード
13a 切り欠き部
13b 第1係合凹部
13c フロアボードの上面
15 荷室
17 荷室開口部
19 支持部材
21 案内支持部材
21a 本体部
21b 後部
21c 前方の端面
21d 第2係合凹部
21e ガイド面
21f 後方の端面
23 軸部
25 軸支持部
27 リアエンドトリム
27a リアエンドトリムの上面(荷室開口部の下縁)
27b 第1係合凸部
27c 第2係合凸部
27d 後壁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に設けられ、底部がフロアパネルにより形成された荷室と、前記フロアパネル上に配設されたフロアボードと、を備えた車両の後部荷室構造であって、
前記荷室は、その後部に荷物の出し入れが可能な荷室開口部を有し、
前記フロアパネルは、その前部よりも後部の方が低い傾斜した上面を有し、
前記フロアボードは、その前部を支点として後部を上下方向に移動させることにより、少なくとも上方位置と下方位置を含む複数の位置から配置を選択可能であり、
前記フロアボードが前記上方位置に配置された状態では、前記フロアボードの後端部が前記荷室開口部の下縁と略同一の高さに位置し、
前記フロアボードが前記下方位置に配置された状態では、前記フロアボードが前記フロアパネルの上面の傾斜に対応して車両前後方向後方に向かうにつれて下方へ傾斜するように配置され、前記フロアボードの後端部が前記荷室開口部の下縁よりも下方に位置する、車両の後部荷室構造。
【請求項2】
前記フロアボードの前部の下面と前記フロアパネルの上面との間において車幅方向に沿って配設され、前記フロアボードの前部が載置される支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記フロアボードの前部を支持するとともに、前記フロアボードの後部を上下方向に移動させる際の前記支点として機能する、請求項1に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項3】
前記フロアボードの後部と前記荷室開口部の下縁とをつなぐように前後方向に延びるとともに、前記フロアボードが前記上方位置と前記下方位置との間で変位する際の動きを規定する案内支持部材をさらに備え、
前記案内支持部材は、前記荷室開口部の下縁の近傍を支点として回動可能なように後部が前記荷室開口部の下縁の近傍に係合されているとともに、その回動により上下動する前記案内支持部材の前部が前記フロアボードの後部に軸支されており、
前記フロアボードが前記下方位置に配置された状態において、前記案内支持部材の上面が、前記フロアボードから前記荷室開口部の下縁までの間にわたって斜め上方に傾斜するように配置される、請求項1又は2に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項4】
前記案内支持部材の上面は、前記フロアボードが前記上方位置に配置された状態において、前記フロアボードの上面とほぼ連続する連続面を形成する、請求項3に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項5】
前記案内支持部材の後部は、前記荷室開口部の下縁の近傍との係合を解除可能に構成されており、前記後部の係合が解除された前記案内支持部材の上面は、前記フロアボードが前記下方位置に配置された状態において、前記フロアボードの上面とほぼ連続する連続面を形成する、請求項3又は4に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項6】
前記案内支持部材の前部及び前記フロアボードの後部の一方に、車幅方向に延びる軸部が設けられるとともに、前記案内支持部材の前部及び前記フロアボードの後部の他方に、前記軸部を回動可能に支持するとともに前記軸部を前記前後方向に沿って相対的にスライド移動可能に支持する軸支持部が設けられ、
前記軸部及び前記軸支持部により前記案内支持部材の前部が前記フロアボードの後部に軸支されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両の後部荷室構造。
【請求項7】
前記案内支持部材が複数設けられており、これらの案内支持部材が車幅方向に配列されている、請求項3〜6のいずれか1項に記載の車両の後部荷室構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−207275(P2011−207275A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74961(P2010−74961)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】