説明

車両の挙動制御装置

【課題】車両の挙動がドリフトアウト(アンダーステア)傾向に移行しつつある状態でも車両挙動を抑制することができ、期待する抑制方向の逆方向にはモーメントが働かないようにして車両挙動制御が阻害されることがない車両の挙動制御装置を提供する。
【解決手段】駆動可能な左右後輪23の差動を制限するディファレンシャルロックと、差動制限しているか否かを検出する4輪駆動制御部13と、アンダーステア状態か否か判断する走行状態判断部15とを備え、アンダーステア状態のときに、後輪23の旋回内輪側へ制動力を付与して車両の挙動を制御するVDC装置16を有し、車両走行時、左右後輪23への差動制限を行っていることを検知し、且つ、アンダーステア状態にあってVDC装置16による旋回内輪への制動力付与時には、後輪23の旋回外輪側へ、路面と当該輪とのグリップ力が低下するように制動力を付与する制動力付与部12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の挙動制御装置に関し、特に、車輪の制動力を調整して旋回時の車両の挙動を安定させる車両の挙動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の挙動を制御する挙動制御装置を4輪駆動(Four Wheel Drive:4WD)車に適用したものとして、「車両の挙動制御装置」(特許文献1参照)が知られている。
従来の「車両の挙動制御装置」は、差動装置(センターディファレンシャル)が作動状態であるか否かを判断し、作動状態では、エンジン出力の抑制処理、各車輪の制動力制御を禁止する。つまり、センターディファレンシャルが作動状態であるか否かに応じて、実ヨーレート(yaw rate)と目標ヨーレートの値から、車両のスピン及びドリフトアウト状態量に対応し各車輪に発生させる制動力制御量を変更する。
【特許文献1】特開2000−344077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の「車両の挙動制御装置」の場合、ディファレンシャルロック付き車両において、エンジン駆動力を伝達させるディファレンシャル差動状態であるとき、VDC(Vehicle Dynamics Control)装置による各車輪に対する制動力制御及びエンジン出力抑制制御を禁止すると、車両の挙動がドリフトアウト(アンダーステア)傾向に移行しつつある状態では、付与した制動力がディファレンシャルを介して、十分なヨーモーメントを発生させることができないため車両挙動を抑制できなかった。
【0004】
また、ディファレンシャル作動状態にあるときに、車両の挙動がスピン傾向やドリフトアウト傾向に移行しつつある状況で車輪への制動力制御量を変更した場合も、ブレーキ制御が介入した車輪の反対側の車輪にディファレンシャルを介して制動力が回り込み、期待する抑制方向とは逆方向にモーメントが働くため、車両挙動制御が阻害されてしまうことになる。
この発明の目的は、車両の挙動がドリフトアウト(アンダーステア)傾向に移行しつつある状態でも車両挙動を抑制することができ、期待する抑制方向の逆方向にはモーメントが働かないようにして車両挙動制御が阻害されることがない車両の挙動制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明に係る車両の挙動制御装置は、車両を後輪により駆動可能であり、左右後輪の差動を制限する手段と、差動制限しているか否かを検出する手段と、アンダーステア状態か否か判断する手段とを備え、アンダーステア状態のときに、前記後輪の旋回内輪側へ制動力を付与して前記車両の挙動を制御するVDC装置を有する車両の挙動制御装置であって、前記車両の走行に際し、前記左右後輪への差動制限を行っていることを検知し、且つ、アンダーステア状態にあって前記VDC装置による旋回内輪へ制動力を付与しているときには、前記後輪の旋回外輪側へ、路面と当該輪とのグリップ力が低下するように制動力を付与する制動力付与手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、車両を後輪により駆動可能であり、左右後輪の差動を制限する手段と、差動制限しているか否かを検出する手段と、アンダーステア状態か否か判断する手段とを備え、アンダーステア状態のときに、後輪の旋回内輪側へ制動力を付与して車両の挙動を制御するVDC装置を有する車両の挙動制御装置は、車両の走行に際し、左右後輪への差動制限を行っていることが検知され、且つ、アンダーステア状態にあってVDC装置による旋回内輪へ制動力が付与されているときには、制動力付与手段により、後輪の旋回外輪側へ、路面と当該輪とのグリップ力が低下するように制動力を付与する。
【0007】
これにより、車両の挙動がドリフトアウト(アンダーステア)傾向に移行しつつある状態でも、期待する抑制方向の逆方向にはモーメントが働かないようにすることでドリフトアウト傾向を抑制することができるので、車両挙動制御が阻害されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る車両の挙動制御装置を備えた4輪駆動車の制御構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、車両の挙動制御装置10は、4輪駆動(Four−Wheel Drive)車11に備えられており、駆動車輪である後輪に制動力を付与する制動力付与部(制動力付与手段)12を有している。
【0009】
4輪駆動車11は、挙動制御装置10と共に、4輪駆動制御部13、ブレーキ圧制御ユニット14、走行状態判断部15、及びVDC装置16を有しており、挙動制御装置10は、4輪駆動制御部13からのリアディファレンシャルロックモード情報(差動制限情報)a、ブレーキ圧制御ユニット14からのブレーキ圧制御情報b、走行状態判断部15からの走行状態(アンダステア或いはオーバステア)検出情報cの入力により、VDC装置16へ、制動力付与部12によって付与される制動力付与情報dを出力する。
【0010】
図2は、図1の車両の挙動制御装置を備えた4輪駆動車の駆動構成を概略的に示す説明図である。図2に示すように、4輪駆動車11は、エンジン17、クラッチ(図示しない)、トランスミッション18、トランスファ19、プロペラシャフト20、ファイナルドライブ21、及び前後ドライブシャフト(アクスルシャフト)22を主たる構成要素とするパワートレインと、このパワートレインにより駆動される前後輪(例えば4個)23を有している。前後輪23a〜23dのそれぞれには、ブレーキ作動部24a〜24dが備えられている。
【0011】
この4輪駆動車11において、エンジン17が発生させた駆動トルクは、クラッチ(図示しない)を介して、トランスミッション18に、更にトランスファ19へと伝達される。トランスファ19へと伝達された駆動トルクは、プロペラシャフト20aを介して前輪側ファイナルドライブ21aへ、プロペラシャフト20bを介して後輪側ファイナルドライブ21bへと分配される。
更に、駆動トルクは、前輪側ファイナルドライブ21aから、前輪側ドライブシャフト22aを介して前輪23a、前輪側ドライブシャフト22bを介して前輪23bへ、後輪側ファイナルドライブ21bから、後輪側ドライブシャフト22cを介して後輪23c、後輪側ドライブシャフト22dを介して後輪23dへ、それぞれ伝達される。
【0012】
これにより、4輪駆動車11は、前輪23a,23bと後輪23c,23dが何れも駆動輪として機能する。
この4輪駆動車11は、通常、直進状態の場合は4輪とも同一回転数により駆動されて走行するが、例えばカーブを曲がるときに旋回し易いように、ファイナルドライブ21内に、左右輪に生じる回転差を吸収するための左右差回転吸収機構(ディファレンシャルギヤ)が組み込まれている。なお、エンジン17の作動制御は、スロットル操作により可能である。
【0013】
つまり、4輪駆動車11は、パートタイムトランスファを有するメカニカル4輪駆動車であり、モードスイッチで、2WD、4WDのハイ(Hi)、4WDのロー(Lo)に切替可能であると共に、後輪側ファイナルドライブ(リアディファレンシャル)21bは、ディファレンシャルロックスイッチの操作により、摩擦クラッチの接続・断続で後輪23の差動を許容し或いは禁止(ディファレンシャルロック)することができる。このディファレンシャルロックスイッチの操作信号は、VDC装置16へ入力される。
VDC装置16は、車両の、例えば旋回走行時や凍結路面走行時等における、ドライバの操作状態を検知すると共に車両の走行状態(アンダステア、オーバステア)を判断して、4輪ブレーキ制御とエンジン出力制御を行うことにより、車両の横滑りを抑制する制御を行う。
【0014】
このように、4輪駆動車11は、後輪により駆動可能であり、左右後輪23c,23dの差動を制限する手段(ディファレンシャルロックスイッチ)と、差動制限しているか否かを検出する手段(4輪駆動制御部13)と、アンダーステア状態か否か判断する手段(走行状態判断部15)とを備え、アンダーステア状態のときに、後輪の旋回内輪側へ制動力を付与して車両の(旋回)挙動を制御するVDC装置16を有している。
次に、車両の挙動制御装置10の挙動制御処理の流れを説明する。
【0015】
図3は、車両の挙動制御装置の挙動制御処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、先ず、VDC装置16が、リアディファレンシャル(リアデフ)ロックモード(FREE/LOCK)認識信号を読み込む(ステップS101)。即ち、運転者(ドライバ)がリアディファレンシャルロックモードスイッチでどのモード(FREE/LOCK)を選択しているのかを確認する。例えば、「FREE」はリアディファレンシャルロックモードがフリー状態、「LOCK」はリアディファレンシャルロックモードがロック(直結)状態である。
【0016】
次に、リアディファレンシャルロックモードがロック状態か(RrDiff−LOCK?)否か、つまり、リアディファレンシャルロックモードスイッチ位置(ポジション)がどのモードにあるか、を判断する(ステップS102)。判断の結果、リアデフロック状態でない(No)、即ち、リアディファレンシャルロックモードがフリー状態の場合、通常のVDC制御(エンジン出力抑制処理、ブレーキ制御指令)に移行する(ステップS103)。その後、ステップS101へ戻り、以後の処理を繰り返す。
【0017】
一方、リアデフロック状態である(Yes)場合、VDC作動フラグ信号(VDC ACT FLG)を読み込む(ステップS104)。ここで、VDC ACT FLG=1はVDC作動を、VDC ACT FLG=0はVDC非作動を示す。VDC作動フラグ信号は、VDC側から他ユニット、例えば、エンジンや自動変速機(Automatic Transmission:AT)等に出力する信号である。このフラグの読み込みの目的は、VDC作動/VDC非作動を確認するためである。
次に、VDC作動開始か(VDC ACT FLG=1?)否かを判断する(ステップS105)。ここで、VDC作動フラグが1(VDC ACT FLG=1)にセットされている場合は、「VDC作動」であり、VDC作動フラグが0(VDC ACT FLG=0)にセットされている場合は、「VDC非作動」である。
【0018】
判断の結果、VDC作動開始でない(No)場合、ステップS101へ戻り、以後の処理を繰り返す。一方、VDC作動開始である(Yes)場合、VDCはオーバステア(OS)制御か或いはアンダステア(US)制御かを判断する(ステップS106)。ここで、車両の挙動制御装置10にあっては、アンダステア抑制制御時のみ適用するものであることから、車両の挙動に対し、オーバステア抑制制御なのか或いはアンダステア抑制制御なのかを識別する必要がある。
【0019】
VDCはオーバステア制御か或いはアンダステア制御かの判断の結果、VDCはオーバステア制御である場合、通常のVDC制御(エンジン出力の抑制処理、ブレーキ制御指令)に移行する(ステップS107)。つまり、オーバステア抑制制御は、フロント外輪にブレーキをかけるため、リアディファレンシャルロックモードがフリー状態或いはロック状態の何れでも制御への影響は無く、通常(既存)のVDC制御に移行する。その後、ステップS101へ戻り、以後の処理を繰り返す。
【0020】
一方、VDCはアンダステア制御である場合、リア内輪のブレーキ制御の目標制動トルク(TRr−LH)を読み込む(ステップS108)。即ち、アンダステア抑制制御時にリア内輪にブレーキ制御指令が出ているか否かを確認する。目標制動トルク(TRr−LH)は、次式から算出することができる。
Rr−LH=P×F×2×μ×G
ここで、P:目標ホイールシリンダ圧、F:キャリパー受圧面積、μ:パッド摩擦係数、G:ディスクロータ有効半径である。
【0021】
そして、リア内輪のブレーキ制御の目標制動トルク(TRr−LH)を読み込んだ後、目標制動トルク(TRr−LH)が設定されるか否か(TRr−LH>0?)を判断する(ステップS109)。判断の結果、目標制動トルク(TRr−LH)が数値設定されない(No)、即ち、TRr−LH=0の場合、ブレーキ制御指令は無く、エンジン出力抑制のみのVDC制御へ移行する(ステップS110)。
【0022】
一方、目標制動トルク(TRr−LH)が数値設定される(Yes)場合、ブレーキ制御指令が出ていることになるので、リア外輪におけるスリップ状態をコントロールしてスリップ率を所定の範囲(例えば、80〜90%)に持って行くために必要な制動トルク(TRr−RH)を求める(ステップS111)。必要な制動トルク(TRr−RH)の求め方を、以下に示す。
ブレーキのスリップ率λ=(V−V)/V・(80〜90%)
車輪回転速度V=r・ω
制動力F=μ・G
制動トルクT=F・r=μ・G・r
ここで、r:タイヤ動半径、ω:角速度、V:車速、G:重量、μ:摩擦係数である。
【0023】
図4は、ブレーキのスリップ率に対する摩擦係数μとサイドフォース係数μsの関係をグラフで示す説明図である。図4に示す、“摩擦係数μ/ブレーキのスリップ率λ曲線”から、スリップ状態をコントロールしてスリップ率が80〜90%になる摩擦係数μを求め、更に、制動力(FRr−RH)から制動トルク(TRr−RH)を求める。
Rr−RH=μ・G
Rr−RH=FRr−RH・r=μ・G・r
なお、上述したスリップ率が80〜90%でなくても、タイヤの前後方向及び横方向のグリップ力が低下し、スリップ率が80〜90%の場合と同様の効果が得られれば、例えば、スリップ率が60%や70%でも良い。
【0024】
ステップS111で、リア外輪におけるスリップ状態をコントロールしてスリップ率を所定の範囲(例えば、80〜90%)に持って行くために必要な制動トルク(TRr−RH)を求めた後、リア外輪に制動トルク(TRr−RH)を発生させるために必要な、ブレーキ圧制御ユニットである液圧ユニット(Hydraulic Unit:HU)のアクティブ増圧分の制動トルク(THU−PRESS)を算出する(ステップS112)。
上述したように、TRr−RH=TRr−LH+THU−PRESSであるため、
HU−PRESS=TRr−RH−TRr−LH
である。
【0025】
次に、リア内輪とリア外輪に対するブレーキ制御指令、
リア内輪:目標制動トルク(TRr−LH
リア外輪:HUアクティブ増圧分の制動トルク(THU−PRESS
を実行する(ステップS113)。その後、ステップS101へ戻り、以後の処理を繰り返す。
【0026】
このように、車両の挙動制御装置10は、制動力付与部12により、後輪で駆動可能な車両の走行に際し、左右後輪への差動制限を行っていることを検知し、且つ、アンダーステア状態にあってVDC装置16による旋回内輪へ制動力を付与しているときには、後輪の旋回外輪側へ、スリップ状態をコントロールしてスリップ率を所定の範囲(例えば、80〜90%)に持って行くように、即ち、結果的に、路面と当該輪とのグリップ力(横力)が低下した状態になるように、対応するブレーキ作動部24を作動させて制動力を付与する。
【0027】
これにより、アンダーステア抑制を阻害させないために、アンダーステア抑制方向とは逆方向のモーメントを発生させないようにする。つまり、リアディファレンシャルロック状態において、ドリフトアウト(=アンダステア)抑制によるブレーキ制御がリア内輪側に働くと、その反対側のリア外輪側に制動トルクが回り込むことにより、アンダーステア抑制方向とは逆方向にモーメントが働いてアンダーステア抑制を阻害してしまうが、アンダーステア抑制を阻害させないためには、HUのアクティブ増圧機能を使用してリア外輪のスリップ状態をコントロールし、アンダーステア抑制方向とは逆方向のモーメントを発生させないようにする。即ち、リア外輪のスリップ状態をコントロールすることにより、リア外輪のスリップ率を増加させて、リア外輪における横方向のグリップ力(横力)を徐々に減少させる。
【0028】
このため、車両の挙動がドリフトアウト(アンダーステア)傾向に移行しつつある状態でも、車両挙動を抑制することができ、期待する抑制方向の逆方向にはモーメントが働かないようにして、VDC装置16による車両挙動制御が阻害されることを防止している。
更に、リア外輪(後輪の旋回外輪)のスリップ状態をコントロールしてスリップ率を所定の範囲(例えば、80〜90%)に持って行くようにすることは、車両にとってはオーバステア方向へ作用するので、ドリフトアウト(=アンダステア)抑制への応援的効果を得ることができる。
【0029】
また、制動力付与部12は、リア外輪(後輪の旋回外輪)におけるスリップをコントロールするために発生させた制動トルクの回り込みにより、リア内輪(後輪の旋回内輪)に発生する制動トルクを、リア内輪にかかる目標制動トルクになるように補正する。つまり、制動力付与部12は、リア内輪に発生する制動トルクを、リア外輪に発生させた制動トルクに基づき算出し、リア外輪におけるスリップをコントロールするための制動トルクをアクティブ増圧分として発生させたHUによる増減圧機能を使用して、リア内輪にかかる制動トルクを、リア内輪にかかる目標制動トルクになるように補正する。
【0030】
このように、制動力付与部12により、リア内輪に回り込んでくる制動トルクを考慮し、リア内輪に対し、HUによる増減圧機能を使用して総合的な制動トルクがかかるように、即ち、液圧の加え方を徐々にコントロールして横方向のグリップを徐々に失わせるように、補正されるので、過剰な制動トルクを発生させることがない。
これは、リア外輪おけるスリップをコントロールして所定の範囲内で横方向のグリップ力を徐々に失わせるように制御する、リア外輪への(HUアクティブ増圧分の)制動トルクが、リア内輪に回り込んでくると、リア内輪に回り込んだ制動トルクが、そもそものアンダステア抑制のきっかけとしての制動トルク分に加算されることになり、過剰な制動トルクが発生してリア内輪に付加された状態になってしまうことに対処している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施の形態に係る車両の挙動制御装置を備えた4輪駆動車の制御構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の車両の挙動制御装置を備えた4輪駆動車の駆動構成を概略的に示す説明図である。
【図3】車両の挙動制御装置の挙動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】ブレーキのスリップ率に対する摩擦係数μとサイドフォース係数μsの関係をグラフで示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
10 挙動制御装置
11 4輪駆動車
12 制動力付与部
13 4輪駆動制御部
14 ブレーキ圧制御ユニット
15 走行状態判断部
16 VDC装置
17 エンジン
18 トランスミッション
19 トランスファ
20,20a,20b プロペラシャフト
21 ファイナルドライブ
21a 前輪側ファイナルドライブ
21b 後輪側ファイナルドライブ
22 ドライブシャフト
22a,22b 前輪側ドライブシャフト
22c,22d 後輪側ドライブシャフト
23 前後輪
23a,23b 前輪
23c,23d 後輪
24a〜24d ブレーキ作動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を後輪により駆動可能であり、左右後輪の差動を制限する手段と、差動制限しているか否かを検出する手段と、アンダーステア状態か否か判断する手段とを備え、アンダーステア状態のときに、前記後輪の旋回内輪側へ制動力を付与して前記車両の挙動を制御するVDC装置を有する車両の挙動制御装置であって、
前記車両の走行に際し、前記左右後輪への差動制限を行っていることを検知し、且つ、アンダーステア状態にあって前記VDC装置による旋回内輪へ制動力を付与しているときには、前記後輪の旋回外輪側へ、路面と当該輪とのグリップ力が低下するように制動力を付与する制動力付与手段を有することを特徴とする車両の挙動制御装置。
【請求項2】
前記制動力付与手段は、
前記後輪の旋回外輪におけるスリップをコントロールするために発生させた制動トルクの反力として発生する駆動トルクにより、前記後輪の旋回内輪に発生する制動トルクを、前記後輪の旋回内輪にかかる目標制動トルクになるように補正することを特徴とする請求項1に記載の車両の挙動制御装置。
【請求項3】
前記制動力付与手段は、
前記後輪の旋回内輪に発生する制動トルクを、前記後輪の旋回外輪に発生させた制動トルクに基づき算出し、
前記後輪の旋回外輪におけるスリップをコントロールするための制動トルクをアクティブ増圧分として発生させた液圧ユニットによる増減圧機能を使用して、前記後輪の旋回内輪にかかる制動トルクを、前記後輪の旋回内輪にかかる目標制動トルクになるように補正することを特徴とする請求項2に記載の車両の挙動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−214684(P2009−214684A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59876(P2008−59876)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】