説明

車両の空調システムの冷却液回路の充填レベルを監視するための装置及び方法

本発明は、自動車の空調ユニットの冷却液回路のレベルを監視するための方法及び装置に関する。本発明によれば、車両の外気温度及び/又はエンジン温度並びに冷却液圧力が測定され、冷却液量が休止状態で分析され、そして冷却液回路を動作させるための制御イベント、及び/又は警告イベントが制御される。休止状態の分析の信頼性を向上させるために、車両の均一な温度状態に達するのに必要な時間が規定されるか、あるいは車両の均一な温度状態が少なくとも1つの測定温度(t、t)によって設定され、休止状態が分析されるか、あるいは冷却液回路を動作させるための制御イベント及び/又は車両の警告イベントが、車両の規定及は設定された均一な温度状態に従って制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の車両の空調システムの冷却液回路の充填レベルを監視するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般形式の方法は、特許文献1に開示されている。このような方法において、冷却液圧力及び温度が冷却液回路の休止状態で測定され、また圧力比及び温度比が特定の許容誤差範囲内にない場合に、誤った充填になっていると結論される。
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第100 61 545 A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、そのような方法において又はそのような方法を行うための装置において、車両に既存の温度センサからの測定温度値を利用すること、及びこの過程において、そのような方法の誤った作用をほぼ大部分除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって、また請求項8の特徴を有する装置によって達成される。このような方法及びこのような装置において、冷却液圧力が自動車の空調システムの冷却液回路で測定され、さらに、外気温度が車両の周囲の空気で測定され、及び/又はエンジン温度が車両の駆動アセンブリで測定される。ここで、例えば、ある期間、自動車の通常の基本設備の一部であった車両の外気温度センサによって、外気温度を測定できる。例えば、駆動アセンブリの冷却液温度センサ、さもなければ潤滑油温度センサは、エンジン温度を測定するために利用可能である。
【0006】
冷却液回路の休止状態の分析を行って、冷却液回路の誤った量を検出するために、冷却液の圧力が圧力センサによって測定され、冷却液の温度又は比較可能な温度と関係付けられる。関係の範囲内であるいはその後に行われた測定又は算出された状態変数の評価により、冷却液回路の充填レベル、すなわち、冷却液回路の容量内にある冷却液量に関する結論が導き出されることができる。
【0007】
引き続く評価による冷却液圧力の値の対と、割り当てられた温度との関係の確認の数学的変換を種々の方法で行うことができる。例えば、空調システムを動作させるのに必要な冷却液圧力の許容誤差範囲は、予め規定されたアルゴリズムによって、測定温度値のために規定され、また評価アルゴリズムは、測定された冷却液圧力がこの許容誤差範囲内に又はその範囲外にあるかどうかを決定するために用いられる。関連する許容誤差範囲を規定する最小冷却液量及び最大冷却液量、並びに所定の冷却液回路のこれらの量で発生する冷却液圧力レベルは、温度に基づいて、冷却液回路の特定の形態における許容誤差範囲の限界曲線として決定されなければならない。
【0008】
この代わりに、例えば、測定された圧力値に関連する飽和温度を規定することが可能である。次に、測定温度値が、圧力に割り当てられる飽和温度の値よりも高いかどうかをチェックするように測定温度値を評価するために、評価アルゴリズムが用いられる。最小圧力レベル未満に低下するか又は最大圧力レベルを超える測定された冷却液圧力の結果として、休止状態の分析の範囲内で、誤った量を検出することもできる。
【0009】
このようにして、冷却液回路の充填レベルの休止状態の分析は、温度値と冷却液圧力値との関係の確認、及び関係の評価に続いて行われる動作量の又は誤った量の検出から成る。したがって、方法の検出処理のミーティングと称されるものは、評価アルゴリズムによるパラメータ値の数学的評価を意味する。このような検出の結果は、評価アルゴリズムの結果に応じた切り換え処理である。このことは、例えば、データバスのフラグの設定、さもなければ、車両の装置における特定の切り換え処理又は制御処理を含むことができる。冷却液回路の予め規定された正しい動作量が規定された場合、本方法を行うために設けられている装置は、非作動のままであり、また駆動アセンブリが始動された場合に冷却液回路の通常動作を可能にする。
【0010】
冷却液回路の誤った量の検出は、冷却液回路の動作中の制御イベント及び/又は車両の警告イベントの検出の結果として制御されるかあるいは切り換えられる。この過程において、冷却液回路の動作中の制御イベントは、例えば、冷却液圧縮機の供給動作の減少又は遮断を含むことができる。それに加えて又はその代わりに、例えば、車両の音響的な又は視覚的な警告信号をアクティブにすることが可能である。
【0011】
例えば、冷却液回路の熱交換器の内の1つの下流側の熱交換器空気温度を測定するために、車両には、例えば冷却液又は冷却液案内要素と接触することによって冷却液温度を直接的に検知するための温度センサを装備できるか、あるいは冷却液温度を間接的に検知するための温度センサを装備できる。車両が、冷却液温度自体を検知するためのこのような温度センサを有しない場合、一方の冷却液回路の種々の位置における冷却液と、車両が動いている間に及び車両が停止されて駆動アセンブリが停止された後の動作時間に車両の他方の温度センサによってセンサのそれぞれの設置位置で測定される媒体との間には、大きな温度差がある。休止状態の分析のために評価される測定冷却液圧力と温度測定位置の温度値との関係が、この温度値と実際の冷却液温度との差によって正確に評価された場合、この測定位置における冷却液と媒体との過度に高い休止状態温度差により、冷却液回路の充填レベルの誤った解釈及び誤った検出が生じる。
【0012】
本発明による方法、又は本発明の装置で行われる方法は、車両が停止された後の動作時間内に休止状態の分析を行わないか、さもなければ、休止状態の分析で行われる検出が、冷却液回路の制御中の又は車両の警告装置の影響を受けない。このことは、休止状態の分析が行われるか、あるいは前記分析の検出に応じた冷却液回路切り換えイベント又は警告装置切り換えイベントが、車両の均一な温度状態に基づいて行われることによってそのようになる。ここで、車両におけるいくつかの位置の又は車両の媒体の温度が許容される許容誤差範囲内にあるという事実を含めて、車両の温度均一性は相対語であると理解されたい。車両の温度均一性は、本発明による方法、あるいは本発明による装置で行われる方法で検出又は規定される。測定変数、特に、種々の温度測定位置における温度値が評価された後に、対応する状態識別子が「真」に設定されるか、又は対応する下位ステップが使用可能になることによって、温度均一性が検出された場合に、本方法の観点からの均一な温度状態が達成される。
【0013】
温度均一性が規定されると、間接的に温度に依存するか又は温度に依存するように規定された少なくとも1つの特性変数に関する条件が満たされた場合に、均一な温度状態が発生される。この特性変数は、例えば、所定の許容誤差範囲内になければならない冷却液温度のような関連する状態変数であることができる。しかし、例えば、特性変数は、駆動アセンブリが、例えば冷却液温度の測定値に基づいて停止された後に算出される時点又は時間(期間)であることもでき、この場合、この時点に達すること、又はそれに対応する時間を経過していることが条件である。均一な温度状態が規定された場合、特に、動作時間から、少なくとも1つの測定温度に基づいて算出又は決定すべき車両の均一な温度状態に達する時までの時間が意図される。
【0014】
状態に基づいて、代替の又は追加の条件を規定することも可能である。状態変数は、センサの測定値として、又はバスシステムで利用可能になる状態変数として直接利用することができる。ここで、動作時間を種々のパラメータに基づいて規定でき、これらの種々のパラメータは、測定変数として車両で利用可能になる。最も簡単な例では、動作時間は、例えば外気温度又はエンジン温度のような少なくとも1つの温度値に基づいて規定される。方法の品質を向上させるために、これらの2つの温度と、例えば特性線図の日射パラメータのような追加のパラメータとを組み合わせて考慮することが可能である。車両のパラメータ依存冷却動作は、一連の測定で予め決定されている。
【0015】
均一な温度状態が検出された場合、測定された温度であるが、有利には、測定された2つの温度の温度差は、予め規定された許容値の範囲に基づいてチェックされる。最も簡単な例では、車両の均一な温度状態の検出は、例えばエンジン温度のような測定された温度値に基づいて決定されるか、又は検出は、前記温度の評価によって行われる。このようにして、例えば、エンジン温度が妥当な周囲温度レベルに達すると、均一な温度状態の検出を行うことができる。温度均一化の結果として互いに近似する例えば外気温度値のような2つの温度値とエンジン温度値とを比較することによって、車両の均一な温度状態の特に確実な検出を有利に行うことができる。温度値又は種々の基本温度値の評価は、例えば日射のような別のパラメータに基づいて行われる。均一な温度状態を検出するための評価基準は、車両固有の及び冷却液回路固有の形態の検査機器で予め決定しなければならない。
【0016】
達している均一な温度状態に応じた休止状態の分析の評価又は有効性により、一方では、誤った測定温度値が存在している場合に、冷却液回路の充填レベルがチェックされないか又は前記チェックが影響を受けず、他方では、この事前チェックなしに、頻繁なチェックが行われても、誤動作が許容されてしまうか、又は誤動作が極めて稀にしか抑制及び測定されないので、休止状態の分析ができるだけ頻繁に行われることが保証される。本発明による方法又は本発明による装置は、休止状態の分析によって、システムの充填レベルに関する情報の信頼性を向上させ、また可能な最大数の情報チェックも可能にする。
【0017】
車両の均一な温度状態とは、休止状態の分析の範囲内で、等しい冷却液温度値として算出するために、既存の温度測定位置の測定値を評価できることも意味する。このようにして、車両の温度が均一になっている場合、車両のアセンブリの、具体的には冷却液回路の構成に応じて、エンジン温度又は外気温度が、冷却液温度からのほんの僅かな偏差を有するという十分な確実性を決定することが可能である。このような決定は、本発明による均一化の確認なしには、十分な確実性を得ることができない。
【0018】
計算容量を節約する方法を利用可能にするために、本方法の一実施形態において、車両の均一な温度状態に達するための動作時間は、測定された外気温度に基づいて規定される。方法の最高品質を保証するために、外気温度に依存する最小の均一化時間が、最大のエンジン加熱を考慮して決定される。このことと同様に、前記時間に関連して補正される均一な温度時点を決定できる。本方法のこの実施形態は、車両の駆動アセンブリの比較的短い動作時間の後に一定となるエンジン温度と、気候帯及び気象条件に応じて変化する外気温度とによって、車両の保証された均一な温度状態に達するための時間を推定する極めて簡単な方法を有する。
【0019】
本方法の特定の一実施形態では、エンジン温度の測定値は、温度均一化時間を決定するために用いられる。この場合、特に、例えば後続の比較的短い間隔、したがってエンジンの小程度の加熱のような均一な温度状態に達するために、比較的短い動作時間をより確実に推定することが可能である。この評価は、特に、車両における外気温度に依存する評価に加えて、エンジン温度に依存するさらなる評価として行うことができる。この場合、例えば、短い走行時間の後には、エンジン温度に基づいて動作時間を規定することが可能であり、比較的長い走行時間の後には、純粋に外気温度に基づいて、動作時間を規定できる。
【0020】
本方法の特定の一改良形態では、均一な温度時点は、駆動アセンブリが停止された直後に規定される。この時点に達した後に、それに引き続いて、車両、例えば駆動アセンブリが始動されなかった場合、この時点に達したときに、あるいはそれに引き続いて車両が作動又は始動されたときに、冷却液回路の充填レベルの休止状態の分析を行うことができる。休止状態の分析の評価に応じて、冷却液回路は、許容動作量であった場合に動作状態になるか、あるいは冷却液回路は、誤った量であった場合に、力が低下しながら動作されて停止されるか、あるいは対応する警告イベントが始動される。
【0021】
本方法の高度な品質を保証するために、本方法の特定の一実施形態では、均一な温度時点が、車両の停止状態において連続的に、又はある時間間隔が経過した時点で繰り返して規定されるように意図することが可能である。結果として、例えば、動作時間中に変化する夜間の外気温度の低下のようなパラメータを考慮できる。
【0022】
本方法の特定の一実施形態では、冷却液回路の充填レベルの休止状態の分析の前に、車両の温度の均一化分析が先に行われるように意図される。この場合、特に、車両のエンジン温度と外気温度との関係、例えば、前記温度の差又は指数が評価され、またこの評価に基づいて、車両の温度均一化が検出される。均一化分析の検出により、休止状態の分析が行われるか、あるいはそれに対応する介入手段又は警告手段が作動される。この場合、外気温度測定位置、及びエンジン温度測定位置、例えば冷却水温度測定位置が用いられ、代わりに、例えば車両の他のアセンブリにおいては、他の温度測定位置を評価できる。2つの温度値のこの比較考慮により、考慮される温度値の対に応じて、車両の温度均一化を間接的にも直接的にも検出することが可能になる。結果として、本方法の特に高度な信頼性が得られる。さらに、均一な温度状態に達した直後に、休止状態の分析を行うことができ、また冷却液充填レベルに関する前記分析で生じた検出を記憶できる。次のエンジン始動において、冷却液回路は次に動作状態になるか、さもなければ停止されるか、又は警告イベントが切り換えられる。
【0023】
このような方法の特定の一実施形態では、駆動アセンブリが動作状態になる直前に、特に、車両のロックシステム又は始動システム又はシステム作動装置が作動された後に、均一化分析が行われる。ここで、可能な最大均一化時間が保証され、これにより、方法の品質が向上する。車両が動作状態になるか又は作動される場合に、均一化分析と、それに引き続くか又はそれと並行する休止状態の分析とを行うことによって、車両の電源が節約される。本発明による装置の一実施形態では、自動車の空調システムの冷却液回路の充填レベルを監視するために、コンピュータ、外気温度センサ及び/又はエンジン温度センサ並びに冷却液圧力センサが設けられる。分析できる方法において、センサをコンピュータに接続できる。コンピュータは、車両の冷却液回路及び/又は車両の警告装置で制御介入を行う。コンピュータには休止状態の分析のアルゴリズムが記憶されており、このアルゴリズムにより、冷却液圧力センサで測定された冷却液圧力と測定温度値との関係に基づいて、冷却液回路の誤った充填を検出することが可能である。誤った量の検出に基づき、コンピュータによって、冷却液回路における上述の制御介入、及び/又は車両の警告装置における警告イベントを切り換えることができる。さらに、このアルゴリズムによって、均一化時間を規定すること、又は測定温度値の1つに基づいて車両の温度均一化を検出することが可能である。この装置では、休止状態の分析の実行及び/あるいは警告イベント又は制御イベントの切り換えは、均一化アルゴリズムによる車両の温度均一化の検出に基づいて行われる。車両の温度均一化の温度依存評価又は規定、及びこの評価又は規定に基づく警告イベント又は制御イベントの切り換え及び/又は制御に関する、コンピュータに記憶されているアルゴリズムにより、休止状態の情報分析を行って、自動車の冷却液回路の充填レベルを決定することが可能になる。このような装置は、均一化分析及び休止状態の分析のために、特に、上記の本発明による方法を行うために、温度センサと、コンピュータと、その制御接続部と、コンピュータに記憶されているアルゴリズムとを選択することによって装備される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図面は、本発明による方法の実施形態のフローチャート、本発明による装置の略図及び冷却液量評価曲線を示している。
【0025】
図1は、最初に、車両の外気温度とエンジン温度とに基づいて車両が冷却され、このようにして温度均一化がチェックされ、冷却液回路における量の休止状態の分析が、チェックによって行われる検出に基づく冷却、すなわち温度均一化によって行われる本発明による方法のフローチャートを示している。
【0026】
本方法は、車両を作動させることによって、例えばロックシステムによって本方法の例示した典型的な実施形態で初期化されるステップ1の開始から開始する。本方法が開始した後、外気温度及びエンジン温度がステップ2で測定される。このことは、車両の既存のセンサで行われることが好ましい。これらのセンサの測定値は、ここで、センサに直接接続することによって、さもなければデータバスシステムによって行うことができる下に記載されている対応する方法部分を行うコンピュータに評価させることができる方法で利用可能になる。エンジン温度は、冷却水の温度、さもなければエンジンの潤滑油の温度であることが好ましい。引き続く次のステップは冷却値を算出するステップ3である。ここで、本方法に示した方法の典型的な実施形態において、エンジン温度と外気温度との温度差が算出される。代わりに、例えば、これらの温度の指数又はこれらの温度の対数値を算出することも可能であろう。冷却値が算出された後、エンジンの冷却値が評価される。この過程において、冷却値は、エンジン温度と外気温度との十分な近似の測定限界値として予め規定されているような予め規定された冷却限界値と比較される。この値は、例えば外気温度のような他のパラメータに基づいてそれ自体が変化することもある。エンジンの冷却を評価する間に、外気温度がエンジン温度よりも高かった場合、例えば、外気温度が1日の始まりにおいて上昇した場合、エンジンの冷却は十分であったと直接結論することが可能である。
【0027】
本方法の範囲内において、特定の状態の終わり又は特定の状態の検出に基づいた場合、このことは、状態インジケータの又は特定の切り換え処理のそれぞれの状態に応じた切り換え処理を意味する。エンジンの冷却の評価に続いて、冷却する/しないの検出というステップ5が行われるか、あるいは割り当てられた切り換え処理又は制御処理が行われる。例示した典型的な実施形態において、十分な冷却が本方法のこの個所で検出されなかった場合、その方法の前に動作状態は変更されない。このことは、エンジンの冷却が不十分であり、したがって、それに関連して、車両の温度均一化が不十分であった場合に、確実に決定するか又は等しく割り当てることができる冷却液の温度値を割り当てることが不可能であるのでそのようになる。このような値に基づいて行われる休止状態の分析は、結果として、冷却液回路の充填レベルの情報値を決定しない。本方法の例示した典型的な実施形態では、エンジンの不完全な冷却が検出された場合に装置を非作動にするためのステップ6の後に、本方法が7の個所で終了される。
【0028】
十分な冷却がステップ5で検出された場合、冷却液回路の充填レベルの休止状態の分析8が行われる。この過程において、最初に、冷却液圧力を測定するためのステップ9で、冷却液圧力が測定される。このステップは、先行位置に配置することもでき、例えば、外気温度及びエンジン温度の測定と共に行うことができ、また同時に、いずれにしても温度測定に続いてすぐに行うべきである。休止状態の分析に先行する冷却液圧力の測定の場合、後者のステップ9は、コンピュータによる、又はそれに対応するメモリを読み出すことによる圧力値の評価を含む。
【0029】
充填レベルを算出するための次のステップ10において、冷却液回路の充填レベルが、例えばエンジン温度のような少なくとも1つの温度値、あるいは外気温度とエンジン温度とから算出された平均値又は比較値に基づいて決定される。このことは、それぞれの冷却液回路の容量及びそれに関連する冷却液について好ましくは具体的に予め規定されておりまたコンピュータに記憶されている特性線図に基づいて行われることが好ましく、このことにより、圧力値と温度値とを割り当てることによって、充填レベルを評価できる。このようにして決定された充填レベルが、充填レベルを評価するための次のステップ11において、引き続き、冷却液回路の充填レベルに関する最小限界値及び/又は最大限界値と定性的な関係で配置され、値の演算比較が行われる。充填レベルを算出するためのステップ10及び充填レベルを評価するためのステップ11を、圧力/温度を組み合わせて評価するための代替ステップ12に置き換えることもできる。ここで、限界曲線が温度/圧力線図で予め規定され、この曲線が、固定限界充填レベルに関する所定の冷却液回路の容量における圧力比及び温度比を予め規定する。結果として、測定温度と、限界曲線から得られる関連する圧力限界値とに基づいて、圧力/温度を組み合わせて評価するこのステップ12により、測定された冷却液圧力が、前記圧力限界値を超えているか又はその値未満であるかどうかを決定するために、前記測定された冷却液圧力が評価される。圧力/温度を組み合わせて評価するこのステップ12、又は充填レベルを評価するステップ11が行われた後に、冷却液回路が、誤った充填量を有しているかどうかを検出するための処理16が行われる。このステップにおいて、冷却液回路が、誤った充填量を有していることが検出された場合、引き続くステップにおいて、空調システムが使用可能になり、また空調システムが標準動作するステップ14、及びそれに割り当てられた方法を終了するステップ15が行われる。
【0030】
しかし、誤った充填量を検出するステップ16において、誤った充填量がステップで確認された場合、警告イベント及び/又は制御介入が、引き続くステップ17で行われる。ここで、警告イベントは、好ましくは、冷却液の誤った充填に割り当てられる視覚的警告表示を含み、それに追加して又はその代わりに、冷却液圧縮機の供給動作が遮断される。冷却液回路の誤った量の検出は、サービス動作によってのみ消去できるメモリに記憶されることが好ましい。同一の効果に対するある回数の確認検出の後でも保護を提供するために、介入イベント及び/又は警告イベント、あるいはメモリにおける故障インジケータの記憶を行うことができる。また、反対の効果が検出されると、介入、警告又は故障記憶イベントによって、引き続いて行われる測定が中止されるか又は無効にされる。警告イベント及び/又は制御介入のステップ17に続いて、方法を終了するステップ18が行われる。
【0031】
図2は、本発明による装置の実施形態の概略図である。本発明による装置はコンピュータ1を含み、このコンピュータには、種々の温度センサが、評価できる方法で接続され、また種々のアセンブリが、コンピュータによって切り換えることができる方法で接続される。自動車の実際の冷却液回路2は、自動車の駆動アセンブリ7によって駆動される冷却液圧縮機21を有する。冷却液圧縮機21は、冷却液回路2の冷却液を下流側熱交換器22の方向に送り、この下流側熱交換器は、冷却液を冷却するために、また使用する冷却液に応じて冷却液を濃縮するために設けられる。コンデンサ又はガス冷却器とも呼ばれるこの熱交換器22は、それを通って流れる外気と熱とを交換する処理において、冷却液圧縮機21によって圧縮される冷却液を冷却する。冷却液回路の図示した典型的な実施形態では、冷却液は熱交換器22からコレクタ23に導かれ、このコレクタは、従来の方法において、冷却液から水分を抽出するための乾燥カートリッジを有する。さらに、コレクタ23は、冷却液用の貯蔵容器として機能し、また収集容器内で下方に配置された前記コレクタの流出ラインの移送開口部によって、独占的に流れる冷却液の流れが生じると共に、コレクタ23の下方領域に配置される冷却液回路の潤滑油の流れが生じる。潤滑油は、冷却液圧縮機21の移動部分を潤滑するために設けられ、また循環する冷却液によって冷却液回路にも搬送される。冷却液が極少量であると、冷却力の低下が生じ、特に、圧縮機潤滑油の不足が生じ、このようにして、冷却液圧縮機を損傷させる。冷却液は液体状態でコレクタ23から膨張弁24に送られ、この膨張弁は、冷却液が下流側冷却液熱交換器25に送られる前に、冷却液回路の絞りとして前記冷却液を抜く。蒸発器とも呼ばれる冷却液熱交換器25では、熱は、好ましくは車内に送られる通気空気と交換される。この熱交換中に、冷却液熱交換器25のこの通気空気は、熱を冷却液に送る。蒸発器25内で加熱される冷却液は、冷却液圧縮機21の吸気側に送られ、またこの冷却液圧縮機によって供給され、この結果、冷却液回路が閉じられる。
【0032】
本発明による装置の典型的な実施形態では、車両の周囲空気の領域で温度を測定するための外気温度センサ4、車両の駆動アセンブリ7の冷却水温度を測定するためのエンジン温度センサ5、及び冷却液圧力を測定するための冷却液圧力センサ6が車両に設けられる。冷却液圧力センサ6は、好ましくは、冷却液回路の高圧側に、すなわち、冷却液圧縮機21の下流側にまた膨張弁24の上流側に配置される。センサは、評価できる方法でコンピュータ1に接続され、前記コンピュータ1は、冷却液圧縮機21への及び警告表示装置3への駆動連結も行う。
【0033】
コンピュータ1は、最初に、外気温度センサ4の及びエンジン温度センサ5の信号を少なくとも評価し、有利には、同時に又はそれに続いてすぐに、圧力センサ6の値を読み出して、その値をメモリに記憶する。次に、コンピュータに記憶されているアルゴリズムは、エンジン温度センサ5の温度値と外気温度センサ4の温度値との差を形成し、またこの温度差と冷却閾値とを比較する。この比較は、車両の温度均一化に関する等しい観測変数として、駆動アセンブリの不十分な又は十分な冷却を検出する。
【0034】
この比較の結果に基づいて、駆動アセンブリの十分な冷却が検出された場合、休止状態の分析は、コンピュータ1に記憶されている別の評価及び比較アルゴリズムに基づき行われ、この別の評価及び比較アルゴリズムは、2つの測定温度値の内の1つ、又はそれらの値から算出される温度値の差を算出し、また規定されたこの等しい冷却液温度値と、温度/圧力線図で規定された少なくとも1つの圧力限界曲線とに基づいて圧力限界値を規定する。次に、測定されてメモリに記憶されている冷却液圧力値は、アルゴリズムの評価部で圧力限界値と比較され、このことに基づいて、誤った量の存在が結論される。この評価の結果に基づいて、誤った量が検出された場合、冷却液圧縮機21の供給動作は、作動ラインによって不能になり、また誤った量及び/又は空調システムの動作停止に関することをユーザに通知する警告表示装置3がスイッチオンされる。
【0035】
図3は、必要に応じて固定されて均一にされた冷却液回路の密閉容量における冷却液量と冷却液圧力との関係を定性的に示した線図を示している。一定の温度の線が示されている。所定の冷却液量を超えて、流体成分が冷却液回路に存在するので、この範囲において、一定の圧力が、一定の温度の冷却液回路に付与される。限界量未満では、一定の温度の曲線は、冷却液量の圧力に基づいて検出可能な勾配を有する。このようにして、一定の及び均一な温度で圧力を監視することにより、冷却液量が限界値未満に低下した時点を監視することが可能である。一定の温度における冷却液量と圧力との関係に関するその定性的情報を有する線図は、対応する動作時間によって均一にされる休止状態における冷却液回路に関連しており、すなわち、回路全体の一定の圧力値及び一定の温度値を有する。
【0036】
図4は、冷却液回路を支配する温度に基づいて予め規定された冷却液回路における最小冷却液圧力を示すための圧力限界曲線を定量的に示しており、ここでは、冷却液回路全体の均一な圧力値及び均一な温度値も前提条件である。図示したこの圧力限界曲線は、基準温度値に関連して、冷却液回路の誤った量の休止状態を分析するために用いられる。この温度に関する圧力限界曲線の値は圧力限界値として決定され、また圧力限界値は、測定温度値と比較して、最小量についてチェックするために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による方法のフローチャートである。
【図2】本発明による装置の略図である。
【図3】冷却液回路が固定されて均一にされた場合の種々のシステム温度に関する圧力量と冷却液量との関係を定性的に示した線図である。
【図4】最小冷却液量を検出するための冷却液回路の温度依存最小圧力を概略的に示した線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の空調システムの冷却液回路の充填レベルを監視するための方法であって、前記自動車の外気温度及び/又はエンジン温度並びに冷却液圧力が測定され、冷却液量の休止状態の分析が、温度値と前記冷却液圧力との関係をチェックすることによって行われ、このようにして、誤った量が検出され、誤った量が検出された場合に、前記冷却液回路を動作させるための制御イベント、及び/又は警告イベントが制御される方法において、
少なくとも1つの測定温度(t、t)に基づいて、前記自動車の温度が均一な状態に達する時間が規定され、又は前記自動車の前記均一な温度状態が検出され、前記休止状態の分析が行われ、又は前記冷却液回路の動作中の制御イベント及び/若しくは前記自動車の警告イベントが、前記自動車の前記規定又は検出された均一な温度状態に基づいて制御されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記均一な温度状態が、前記外気温度(t)に基づいて、均一な温度時点、又は均一な温度状態に達するのに必要な時間を規定することによって規定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記均一な温度状態が、前記エンジン温度(t)に基づいて、均一な温度時点、又は均一な温度状態に達するのに必要な時間を規定することによって規定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
駆動アセンブリが停止された直後に、均一な温度時点、又は均一な温度状態に達するのに必要な時間が規定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記均一な温度時点、又は均一な温度状態に達するのに必要な時間が、前記自動車の停止状態において連続的に、又はある時間間隔が経過した時点で繰り返して規定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
特に前記エンジン温度(t)と前記外気温度(t)との関係が評価される均一化分析によって、前記自動車の前記均一な温度状態が検出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記駆動アセンブリ(7)が動作状態になる直前に、特に、前記自動車のロックシステム又は始動システム又は作動装置が作動された後に、前記均一化分析が行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
自動車の空調システムの冷却液回路の充填レベルを監視するための装置であって、前記冷却液回路に制御するように介入し及び/又は警告装置を有するコンピュータと、評価可能に前記コンピュータに各々接続される外気温度センサ及び/又はエンジン温度センサ及び冷却液圧力センサとを有し、前記冷却液圧力と温度値との関係によって前記冷却液回路の誤った充填を検出することが可能である休止状態の分析を実行する前記コンピュータに記憶されているアルゴリズムを用いることができ、誤った充填が検出された場合、前記コンピュータによって、前記冷却液回路の制御介入及び/又は警告イベントを切り換えることができる装置において、
前記コンピュータ(1)に記憶されているアルゴリズムによって、及び前記外気温度センサ(4)の又は前記エンジン温度センサ(5)の温度値に基づいて、前記自動車の温度均一化を規定又は検出でき、前記休止状態の分析が実行され、及び/又は前記温度均一化の検出に基づいて、前記警告イベント又は前記制御イベントを切り換えることができることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記コンピュータ(1)に記憶されているアルゴリズムを用いて、前記測定された温度値(t、t)に基づき、均一な温度状態の時点、又は前記均一な温度状態に達する時間を規定することができることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
駆動アセンブリ(7)が停止された直後に、特に、前記駆動アセンブリ(7)の停止又は前記駆動アセンブリに関連するイベントの結果として、前記時点又は前記時間の規定アルゴリズムを作動させることができることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記自動車が停止している間に、前記規定アルゴリズムが連続的に又はある時間間隔に基づいて作動することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記コンピュータに記憶されているアルゴリズムを用いて、前記外気温度センサの前記温度値(t)と前記エンジン温度センサの前記温度値(t)との差に基づき、前記温度均一化を検出することができることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記コンピュータが、前記自動車のロックシステム及び/又は始動システム又はシステム作動装置に接続され、前記装置が開放、始動又は作動された場合に、前記コンピュータを作動させることができることを特徴とする請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−537913(P2007−537913A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517016(P2007−517016)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004812
【国際公開番号】WO2005/115776
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】