説明

車両の走行支援装置

【課題】対向車と自車との間の静止物体の有無やその静止物体の形態を考慮して、必要以上に早期に警報発生や自車の制動などの接触対策処理が実行されるのを防止しつつ、適切なタイミングで該接触対策処理を実行することができる車両の走行支援装置を提供する。
【解決手段】対向車と自車1との間に静止物体が検出されている状況で、静止物体が、車両の通過が可能な物体であるか否かを判断する自車・対向車間静止物体判断手段7を備える。接触可能性判断手段9は、自車・対向車間静止物体判断手段7の判断結果が肯定的となる場合に、対向車と自車1との間に静止物体が検出されていない場合よりも、対向車と自車1との接触可能性が有るか否かの判断結果が肯定的な判断結果となるのを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車と周辺の物体との接触回避や接触時の衝撃軽減のための走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車の進行方向前方に存在する物体(対向車、前走車など)を撮像カメラやレーダなどで検出しながら、その物体と自車との接触の可能性が有るか否かを判断し、該判断結果が肯定的となる場合に、運転者に対して警報を発したり、ブレーキ装置による車両の制動などを自動的に行なうようにすることで、自車と物体との接触回避や接触時の衝撃軽減を支援する走行支援装置が知られている。例えば特許文献1に見られる技術では、撮像カメラの撮像画像を基に白線などを検出することで、自車の車線エリアを認識すると共に、その認識した車線エリア内に他車などの障害物を検出する障害物領域を設定するようにしている。そして、該特許文献1の技術では、設定した障害物領域内でレーダにより検出された物体に対して、自車との接触の可能性を判断し、その接触の可能性が高いと判断した場合に、ブレーキ装置による自車の制動を自動的に行なうなどの接触対策処理を実行することで、自車と物体との接触回避や接触時の衝撃軽減を支援するようにしている。
【特許文献1】特開2004−136785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記特許文献1に見られる技術では、ブレーキ装置の作動などの接触対策処理が過度に実行されるのを防止するために、自車の車線エリア内に設定した障害物領域の外側に存在する物体に対しては、自車との衝突の可能性を判断をしないようにしている。
【0004】
このため、特許文献1に見られる技術では、次のような不都合があった。すなわち、例えば、自車の車線エリアと対向車の車線エリアとが、これらの車線に沿って連続的に延在し、且つある程度の高さを有する中央分離帯のような構造物で隔てられているような場合には、対向車が自車の車線エリアに進入してくることは基本的には無い。従って、このような場合には、自車と対向車との衝突の可能性を判断せずとも支障はない。
【0005】
一方、自車の車線エリアと対向車の車線エリアとが、例えば一定間隔で並ぶ柔軟なポールや、低い突起物で隔てられているような場合もある。そして、このような場合には、対向車が運転車の操縦ミスなどによって該ポールや突起物を乗り越えて自車の車線エリアに進入してくることもあり得る。
【0006】
しかるに、特許文献1に見られる従来の技術では、このような場合には、対向車が自車の車線エリアに進入してくるまで、該対向車と自車との接触の可能性が判断されず、ブレーキ装置の作動などの接触対策処理が遅れたり、あるいは、該接触対策処理が実行される前に対向車と自車との接触が生じる恐れがあった。
【0007】
なお、この不都合を回避するために、対向車が自車の車線エリアに進入した場合と同様に、対向車と自車との接触の可能性を判断すると、対向車が対向車線エリア内での進路変更により自車に近づいた場合などに、過度に接触対策処理が実行されてしまうという不都合がある。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、対向車と自車との間の静止物体の有無やその静止物体の形態を考慮して、必要以上に早期に警報発生や自車の制動などの接触対策処理が実行されるのを防止しつつ、適切なタイミングで該接触対策処理を実行することができる車両の走行支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両の走行支援装置は、かかる目的を達成するために、少なくとも自車の進行方向前方の領域を含む周辺領域に存在する物体を検出する物体検出手段と、該物体検出手段により検出された物体の自車に対する相対運動情報を含む物体情報を該物体検出手段の出力に基づいて取得する物体情報取得手段と、少なくとも該物体情報取得手段により取得された物体情報に基づいて前記検出された物体と自車との接触の可能性が有るか否かを判断する接触可能性判断手段と、該接触可能性判断手段により接触の可能性が有ると判断された場合に、所定の接触対策処理を実行する接触対策処理手段とを備えた車両の走行支援装置において、前記物体検出手段により前記物体としての対向車が検出され、且つ、該対向車と自車との間に静止物体が検出されている状況で、該静止物体が、車両の通過が可能な物体であるか否かを前記物体情報に基づいて判断する自車・対向車間静止物体判断手段を備え、前記接触可能性判断手段は、少なくとも該自車・対向車間静止物体判断手段の判断結果が肯定的となる場合に、前記物体検出手段により前記対向車が検出され、且つ、該物体検出手段により該対向車と自車との間に静止物体が検出されていない場合よりも、前記対向車と自車との接触可能性が有るか否かの判断結果が肯定的な判断結果となるのを抑制するように、該接触可能性が有るか否かを判断するための判断条件を変更する手段を備えることを特徴とする(第1発明)。
【0010】
かかる第1発明によれば、前記物体検出手段により前記物体としての対向車が検出され、且つ、該対向車と自車との間に静止物体が検出されている状況で、該静止物体が、車両の通過が可能な物体である場合には、該対向車と自車との間に静止物体が検出されていない場合よりも、自車の進行方向前方の領域で前記物体検出手段により検出される物体と自車との接触可能性が有るか否かの判断結果が肯定的な判断結果となるのを抑制するように、該対向車と自車との接触可能性が有るか否かの判断結果が肯定的な判断結果となるのを抑制するように、該接触可能性が有るか否かを判断するための判断条件が変更される。
【0011】
ここで、前記対向車と自車との間に静止物体が検出され、且つ、その静止物体が車両の通過が可能な物体である場合には、該対向車が自車に向かって来るような状況であっても、該対向車は静止物体と接触して減速するので、該対向車と自車との間に静止物体が存在しない場合よりも、自車に接触するタイミングが遅くなる。従って、上記のように対向車と自車との間に、車両の通過が可能な静止物体が検出されている場合と、該静止物体が検出されていない場合とで、前記判断条件を変更することで、それぞれの場合に適したタイミングで、対向車と自車との接触の可能性が有るという判断をして、前記接触対策処理を実行することができる。また、対向車と自車との間に、車両の通過が可能な静止物体が検出されている場合には、該静止物体が検出されていない場合よりも対向車と自車との接触の可能性が有ると判断されるのが抑制される(該接触の可能性の判断がなされ難くなる)ので、前者の場合に過剰に早期に前記接触対策処理が実行されるのが防止される。
【0012】
よって、第1発明によれば、対向車と自車との間の静止物体の有無やその静止物体の形態を考慮して、必要以上に早期に警報発生や自車の制動などの接触対策処理が実行されるのを防止しつつ、適切なタイミングで該接触対策処理を実行することができる。
【0013】
なお、前記物体情報に含まれる相対運動情報としては、前記物体検出手段により検出された物体の自車に対する相対位置、相対速度などが挙げられる。また、物体情報には、前記物体検出手段により検出された物体の相対運動情報のほか、該物体のサイズ、形状、種類などの情報が含まれていてもよい。
【0014】
かかる第1発明では、前記接触可能性判断手段は、例えば前記物体情報取得手段により取得された物体情報に基づいて、前記検出された物体と自車とが接触するまでの予測時間である接触時間を逐次予測する手段と、該接触時間が所定の閾値以下であるか否かを前記判断条件とし、該接触時間が該所定の閾値以下になった場合に前記接触の可能性が有ると判断する手段とを具備する。この場合、接触可能性判断手段は、さらに、少なくとも前記自車・対向車間静止物体判断手段の判断結果が肯定的となる場合に、前記物体検出手段により前記対向車が検出され、且つ、該物体検出手段により該対向車と自車との間に静止物体が検出されていない場合よりも、前記所定の閾値を小さくするように該所定の閾値を変更することにより前記判断条件を変更する手段を備える(第2発明)。
【0015】
この第2発明によれば、前記自車・対向車間静止物体判断手段の判断結果が肯定的となる場合に、前記物体検出手段により前記対向車が検出され、且つ、該物体検出手段により該対向車と自車との間に静止物体が検出されていない場合よりも、前記所定の閾値を小さくするように該所定の閾値を変更するので、該対向車と自車との間に車両の通過が可能な静止物体が存在する場合には、該静止物体が存在しない場合よりも、前記接触時間がより小さい閾値に達するまでは、前記接触可能性判断手段によって、該対向車と自車との接触の可能性が無いと判断されることとなる。従って、前記物体検出手段によって前記物体としての対向車が検出されるようになってから、該接触可能性判断手段によって、自車と該対向車との接触の可能性が有ると判断されるようになるまでの時間が、該対向車と自車との間に車両の通過が可能な静止物体が存在する場合の方が、該静止物体が存在しない場合よりも長くなる。これにより、該対向車と自車との間に車両の通過が可能な静止物体が存在する場合の方が、該静止物体が存在しない場合よりも、該対向車との接触の可能性が有ると判断されるタイミングが遅くなり、当該判断が抑制される。そして、前記接触時間に基づいて、該対向車と自車との接触の可能性を判断するので、該接触の可能性の判断を適切に行なうことができる。
【0016】
前記第1発明または第2発明では、前記接触可能性判断手段は、前記物体検出手段により前記対向車が検出され、且つ、該対向車と自車との間に静止物体が検出されている状況で、前記自車・対向車間静止物体判断手段の判断結果が否定的となる場合に、該対向車と自車との接触の可能性が無いと判断することが好ましい(第3発明)。
【0017】
この第3発明によれば、前記対向車と自車との間に静止物体が検出され、且つ、その静止物体が車両の通過が不可能な物体である場合、すなわち、該対向車と自車との接触が該静止物体によって遮られる場合に、該対向車と自車との接触の可能性が無いと判断される。これにより、該対向車と自車との接触が接触し得ない状況で、前記接触対策処理が実行されるのが防止され、必要以上に過剰に該接触対策処理が実行されるのを効果的に防止できる。
【0018】
また、前記第1〜第3発明においては、前記対向車と自車との間に静止物体が検出されている場合において、例えば、次のようにして、該静止物体が車両の通過が可能な静止物体であるか否かを判断することができる。すなわち、前記対向車と自車との前記物体情報取得手段が取得する前記物体情報は、前記物体検出手段により検出された物体の形状および大きさの情報を含み、前記自車・対向車間静止物体判断手段は、前記対向車と自車との間の静止物体の高さが所定値以下であるか否かを該静止物体に関する前記物体情報に基づいて判断する高さ判断手段と、該静止物体が自車の進行方向に所定の長さ以上に連続した構造物であるか否かを該静止物体に関する前記物体情報に基づいて判断する連続性判断手段とを備え、該高さ判断手段の判断結果が肯定的となることと、該連続性判断手段の判断結果が否定的となることとのいずれか一方が成立する場合に、該静止物体が車両の通過が可能な物体であると判断する(第4発明)。
【0019】
この第4発明によれば、前記対向車と自車との間の静止物体の高さが所定値以下である場合、すなわち、該対向車が静止物体を乗り越えることできる程度に該静止物体の高さが低い場合、あるいは、該静止物体が自車の進行方向に所定の長さ以上に連続した構造物でない場合(例えば、該静止物体が自車の走行車線と、対向車線との間にこれらの車線沿いに一定間隔で1列に配列されたポールのような物体である場合)には、該静止物体が車両の通過が可能な物体であると判断される。また、該静止物体の高さが所定値を超える高さ(車両が乗り越えることできないような高さ)であって、且つ、該静止物体が自車の進行方向に所定の長さ以上に連続した構造物(例えば、自車の走行車線と、対向車線との間にこれらの車線沿いに連続的に延在する中央分離体のような構造物)である場合には、該静止物体が車両の通過が不可能な物体であると判断される。
【0020】
これにより、該静止物体が、車両の通過が可能な物体であるか否かを適切に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施形態を図1〜図5を参照して説明する。図1は本実施形態の装置の概略構成を示すブロック図、図2は図1の装置に備えたコントローラの処理を示すフローチャート、図3は図2のSTEP6の処理の詳細を示すフローチャート、図4および図5は本実施形態の装置の作動を説明するための図である。
【0022】
図1に示すように本実施形態の車両(自車)1には、その進行方向前方の領域に存在する他車両などの物体を検出するレーダ装置2と、該レーダ装置2により検出された物体と自車1との接触の可能性が有るか否かを判断したり、その判断結果に応じて車両1に備えた警報器4およびブレーキ装置5を適宜作動させるコントローラ3とが走行支援装置の構成要素として備えられている。なお、車両1は、エンジンを走行用動力源とする通常の自動車、エンジンと電動モータとを走行用動力源とするハイブリッド車、電動モータを走行用動力源とする電動車両のいずれであってもよい。
【0023】
レーダ装置2は、自車1のフロントグリルなどの前部に搭載されており、例えば図4(aまたは図5(a)に示すような領域A(自車1の進行方向前方の領域)にミリ波、レーザ光などの電磁波を放射し、その電磁波の反射波から該領域A(以下、監視領域Aという)に存在する他車両などの物体を検出する。
【0024】
なお、本実施形態では、物体検出手段としてレーダ装置2を備えるようにしたが、レーダ装置2の代わりに、撮像カメラを用いてもよく、あるいは、レーダ装置2と撮像カメラとの両者を物体検出手段として併用してもよい。また、複数のレーダ装置あるいは複数の撮像カメラを自車1に搭載し、自車1の進行方向前方の領域だけでなく、自車1の後方や側方の領域を含めた自車1の周辺領域に存在する物体を検出し得るようにしてもよい。
【0025】
コントローラ3は、マイクロコンピュータやインターフェース回路などを含む電子回路ユニットであり、レーダ装置2の出力が入力されると共に、図示しないセンサから自車1の車速、ヨーレートなどの自車1の運動状態の検出値が入力される。
【0026】
そして、コントローラ3は、これに実装されたプログラムにより実現される機能として、物体情報取得手段6、対向車・自車間静止物体判断手段7、接触可能性判断手段8、接触対策処理手段9を備えている。
【0027】
物体情報取得手段6は、レーダ装置2の出力に基づいて、前記監視領域Aに存在する個々の物体(レーダ装置2で検出された物体)に関する物体情報を取得する手段である。該物体情報には、個々の物体の自車1に対する相対位置(もしくは該物体と自車1の距離)および相対速度を含む該物体の相対運動情報や、該物体のサイズ、形状、種類に関する情報などが含まれる。
【0028】
また、対向車・自車間静止物体判断手段7は、物体情報取得手段6で取得された物体情報から、レーダ装置2により対向車が検出されていることが認識され、且つ、その対向車と自車1との間に静止物体が検出されていることが認識される場合に、その静止物体が車両の通過が可能な静止物体であるか否かを判断する手段である。そして、対向車・自車間静止物体判断手段7は、該静止物体が車両の通過が可能な静止物体であるか否かを判断するために、該静止物体の高さが所定値以下であるか否かを判断する高さ判断手段と、該静止物体が自車1の進行方向で連続する構造物(以下、単に連続構造物という)であるか否かを判断する連続性判断手段11とを具備している。
【0029】
前記接触可能性判断手段8は、基本的には、物体情報取得手段6で取得された物体情報や、自車1の運動状態を基に、前記監視領域Aに存在する個々の物体と自車1との接触の可能性を判断する手段である。ただし、この判断においては、該接触可能性判断手段8は、前記連続性判断手段11の判断結果に応じて、接触の可能性の有無の判断条件を変更する。
【0030】
前記接触対策処理手段9は、接触可能性判断手段8の判断結果が、接触の可能性が有るという判断結果となるような物体が存在する場合に、その接触の回避や接触時の衝撃軽減のための所定の接触対策処理を実行する手段である。本実施形態では、接触対策処理手段9は、自車1と物体との接触の可能性が有ることを運転者に認識させるために警報器4を作動させる処理と、自車1のブレーキ装置5を作動させて自車1の制動(減速)を行なう処理とを上記接触対策処理として実行する。
【0031】
補足すると、警報器4としては、例えばブザー音や音声による聴覚的な警報器、あるいは、運転者の視野領域での表示点滅などによる視覚的な警報器、あるいは、運転者用シートの振動もしくは運転者用シートベルトの張力変化による体感的な警報器、あるいは、これらを組合わせた警報器が使用される。また、接触対策処理として、ブレーキ装置5を作動させる代わりに、自車1の変速機の変速比を低速用変速比側に変化させることで、自車1の制動を行なうようにしてもよい。あるいは、走行用動力源として電動モータを備えたハイブリッド車両もしくは電動車両では、該電動モータの回生運転によって、自車1の制動を行なうようにしてもよい。さらに、接触対策処理として、警報器4の作動と、ブレーキ装置5の作動などによる自車1の制動とのうちのいずれか一方だけを行なうようにしてもよい。
【0032】
次に、前記対向車・自車間静止物体判断手段7および接触可能性判断手段8のより具体的な処理を含めて、前記コントローラ3の全体的な処理を詳説する。
【0033】
自車1の走行中に、コントローラ3は、図2のフローチャートに示す処理を所定の演算処理周期で逐次実行する。
【0034】
コントローラ3は、まず、自車1の車速、ヨーレートなどの運動状態を含む自車状態を図示しない種々のセンサの出力などから検出する(STEP1)。この自車状態には、車速やヨーレートのほか、自車1のウィンカー、ステアリングハンドルの操舵角、アクセルペダル、ブレーキペダルなどの自車1の操縦機器の操作状態の検出データや、GPSもしくは慣性航法システムによる自車1の位置情報、ナビゲーションシステムによる自車1の周辺の道路情報が含まれていてもよい。
【0035】
次いで、コントローラ3は、レーダ装置2の出力を基に、前記物体情報取得手段6によって、前記監視領域Aに存在する個々の物体に関する物体情報を取得する(STEP2)。すなわち、レーダ装置2により検出された個々の物体の自車1に対する相対位置(もしくは該物体と自車1との距離)、相対速度などの相対運動情報と、該物体のサイズ、形状、種類に関する情報とが取得される。
【0036】
次いで、コントローラ3は、レーダ装置2により検出された(監視領域Aに存在する)個々の物体について、該物体が自車1に接触するまでの予測時間である接触時間Tを接触可能性判断手段8により算出する(STEP3)。この場合、接触時間Tの算出は例えば次のように行なわれる。すなわち、接触可能性判断手段8は、自車1の現在の運動状態としての車速およびヨーレートの検出値と該自車1のサイズ(車幅など)とを基に、自車1の所定時間後までの進路領域(自車1の通過領域)を予測すると共に、検出された個々の物体の自車1に対する現在の相対位置および相対速度と該物体のサイズとを基に、該物体1の所定時間後までの進路領域(該物体の通過領域)を予測する。そして、自車1の進路領域と、物体の進路領域とが将来の同時刻において交わる(それらの進路領域の重なりを生じる)場合には、その交わりを生じる時刻と、現在時刻との差を該物体についての接触時間Tとして算出する。
【0037】
また、自車1の進路領域と、物体の進路領域とが同時刻において交わりを生じない場合(例えば物体の相対速度のベクトルが自車1から遠ざかる向きのベクトルである場合や、該相対速度の大きさが0である場合など)には、該物体に関する接触時間Tは、後述する閾値Taiよりも必ず大きくなるようにあらかじめ定められた所定値に設定される。
【0038】
なお、物体の現在の相対速度のベクトルの向きが自車1に進行方向とほぼ一致し、且つ、該ベクトルの向きが自車1に近づく向きである場合には、該物体および自車1の進路領域を予測することなく、該物体と自車1との距離を該物体の相対速度の大きさで除算することにより、該物体についての接触時間Tを算出するようにしてもよい。また、自車1に対する物体の現在の相対速度のベクトルが、自車1から遠ざかる向きのベクトルである場合、あるいは、該相対速度の大きさが0である場合にも、自車1および物体の進路領域を予測することなく、該物体についての接触時間Tを上記所定値に設定するようにしてもよい。さらに、自車1の進路領域を予測する場合には、自車1の現在の車速およびヨーレートに加えて該車速およびヨーレートの過去履歴や、自車1のアクセルペダルやブレーキペダルの操作状態を考慮したり、ナビゲーションシステムに登録された目標経路を考慮してもよい。また、物体の進路領域を予測する場合においても、該物体の現在の相対位置および相対速度だけでなく、該相対位置および相対速度の過去履歴を考慮するようにしてもよい。
【0039】
次いで、前記対向車・自車間静止物体判断手段7によって、STEP4〜6の判断処理意を実行する。すなわち、対向車・自車間静止物体判断手段7は、まず、レーダ装置2により検出された個々の物体が対向車であるか否かを前記物体情報を基に判断する(STEP4)。この場合、検出された物体が対向車であるか否かは、例えば、該物体が一般的な車両相当のサイズを有すること、該物体の相対速度のベクトルの向きが自車1の進行方向とほぼ逆向きであること、並びに、該物体の相対速度の大きさが自車1の車速よりも大きいこと、という条件が満たされるか否かによって判断される。
【0040】
さらに、STEP4の判断結果が肯定的である場合には、対向車・自車間静止物体判断手段7は、該対向車と自車1との間に静止物体が存在するか否かを前記物体情報を基に判断する(STEP5)。この場合、例えば対向車と自車とを結ぶ直線に平行で、且つ該対向車の幅とほぼ同等の幅を有する領域上で、該対向車と自車との間に該対向車以外の物体が存在することが認識され、且つその物体が静止物体であるか否かによって、該対向車と自車1との間に静止物体が存在するか否かが判断される。なお、対向車と自車1との間の物体が静止物体であるか否かは、例えば、該物体の相対速度のベクトルの向きが自車1の進行方向とほぼ逆向きで、且つ、その相対速度の大きさが自車1の車速とほぼ等しいという条件が満たされるか否かによって判断される。
【0041】
そして、STEP5の判断結果が肯定的である場合には、対向車・自車間静止物体判断手段7は、対向車と自車との間の静止物体が車両の通過が可能な静止物体であるか否かを判断する(STEP6)。
【0042】
STEP6の判断処理は、具体的には、図3のフローチャートに示すように実行される。すなわち、まず、対向車・自車間静止物体判断手段7は、前記連続性判断手段11によって、対向車と自車1との間の静止物体が前記連続構造物であるか否かを判断する(STEP61)。この場合、前記物体情報から認識される該静止物体の形状が、自車1の進行方向に所定長以上、連続している形状である場合に、該静止物体が連続構造物であると判断される。そして、これ以外の場合には、該静止物体が連続構造物でないと判断される。
【0043】
STEP61の判断結果が肯定的となる場合には、対向車・自車間静止物体判断手段7はさらに、前記高さ判断手段10によって、連続構造物であると判断された静止物体の高さ(路面からの高さ)が所定値以下であるか否かを判断する(STEP62)。この場合、該静止物体のサイズに関する物体情報から、該静止物体(連続構造物)の高さが推定され、その推定された高さが所定値以下であるか否かが判断される。ここで、該静止物体(連続構造物)の高さが所定値以下であるということは、該静止物体の高さが低く、対向車が該静止物体を乗り越えて自車1の車線に進入することが可能であることを意味する。また、該静止物体の高さが所定値を超えるということは、該静止物体の高さが高く、対向車が該静止物体を乗り越えることが不可能であることを意味する。
【0044】
そして、対向車・自車間静止物体判断手段7は、STEP61の判断結果が否定的である場合、または、STEP62の判断結果が肯定的である場合に、対向車と自車1との間の静止物体が、車両の通過が可能な静止物体であると判断する(STEP63)。また、対向車・自車間静止物体判断手段7は、STEP61の判断結果が肯定的で、且つ、STEP62の判断結果が否定的である場合に、対向車と自車1との間の静止物体が、車両の通過が不可能な静止物体であると判断する(STEP64)。
【0045】
以上が、STEP6の判断処理の詳細である。このSTEP6の判断処理によって、対向車と自車1との間の静止物体が、連続構造物であり、且つ、その高さが所定値よりも高い場合に、該静止物体が車両の通過が不可能な物体であると判断される。また、該静止物体が連続構造物でない場合、あるいは、連続構造物であってもその高さが所定値以下である場合には、該静止物体が車両の通過が可能な物体であると判断される。
【0046】
ここで、具体的な例を図4および図5を参照して説明する。図4(a),(b)は、対向車線と自車1の走行車線との間に、自車1の進行方向に連続的に延在する連続構造物としての中央分離体Bが設けられている道路などを、それぞれ平面視、側面視で示している。この場合、自車1のレーダ装置2によって、対向車が検出される状況において、該対向車と自車1との間に、静止物体としての中央分離体Bがレーダ装置2によって検出される。このような状況では、前記STEP61の判断結果が肯定的となり、該中央分離体Bが連続構造物であると判断される。そして、該中央分離体Bの高さHが所定値よりも高い場合、すなわち、中央分離体Bが、レーダ装置2により検出されている対向車を含めて一般的な車両が乗り越えることができない程度の高さを有する場合には、前記STEP62の判断結果が否定的となる。この場合には、該中央分離体Bは、車両の通過が不可能な静止物体であると判断される。また、中央分離体Bがの高さHが所定値以下である場合、すなわち、中央分離体Bが、車両が乗り越えることができる程度の低いものである場合には、前記STEP62の判断結果が肯定的となる。この場合には、該中央分離対Bは、車両の通過が可能な静止物体であると判断される。
【0047】
また、図5(a),(b)は、対向車線と自車1の走行車線との間に、自車1の進行方向に一定間隔で1列に配列されたポールCが設けられている道路などを、それぞれ平面視、側面視で示している。この場合、自車1のレーダ装置2によって、対向車が検出される状況において、該対向車と自車1との間に、静止物体としてのポールCがレーダ装置2によって検出される。このような状況では、ポールCは、自車1の進行方向に間欠的に並んでいるので、前記STEP61の判断結果が否定的となり、該ポールCが連続構造物でないと判断される。そして、該ポールCは、互いに隣合うものどうしの間に間隔があり、また、一般に柔軟なもの(可撓性を有するもの)であることから、対向車などの車両が該ポールCを乗り越えることが可能である。そこで、対向車と自車1との間の静止物体として、このようなポールCが検出されている場合(STEP61の判断結果が否定的となる場合)には、該静止物体としてのポールCは、車両の通過が可能な静止物体であると判断される。
【0048】
補足すると、対向車線と自車1の走行車線との間に高さの低い鋲状突起物が一定間隔で配列されているような場合もある。このような場合にも、基本的には、STEP61の判断結果が否定的となり、該突起物が車両の通過が可能な静止物体であると判断される。なお、該突起物の配列間隔が比較的小さいような場合には、レーダ装置2の分解能などの影響で、該突起物が連続構造物であると認識されるような場合(STEP61の判断結果が肯定的となる場合)もある。ただし、この場合であっても、その突起物の高さは一般に低いので、STEP62の判断結果が肯定的となり、ひいては、該突起物は車両の通過が可能な静止物体であると判断される。
【0049】
図2の説明に戻って、対向車・自車間静止物体判断手段7により上記した如く実行されるSTEP4〜6の判断結果は、接触可能性判断手段8に与えられる。そして、接触可能性判断手段8は、STEP6の判断結果が否定的となる場合を除いて、STEP4〜6の判断結果に応じて、STEP7または8の処理を実行した後、STEP9の処理を実行することによって、レーダ装置2により検出された各物体と自車1との接触の可能性を判断する。
【0050】
本実施形態では、接触可能性判断手段8は、基本的には、前記STEP3で算出した接触時間Tを所定の閾値Taiと比較することによって物体と自車1との接触の可能性を判断する。
【0051】
この場合、接触可能性判断手段8は、STEP4〜6の判断結果に応じて、STEP7,8にて上記閾値Taiを設定する。
【0052】
さらに詳細には、STEP4〜6の判断結果がいずれも肯定的となる物体、すなわち、自車1との間に静止物体が存在し、且つ該静止物体が車両の通過可能な静止物体であるような対向車については、接触可能性判断手段8は、上記閾値Taiを第1所定値TLに設定する(STEP7)。また、STEP4またはSTEP5の判断結果が否定的となるような物体、すなわち、対向車でない物体、あるいは、自車1との間に静止物体が存在しない対向車(例えば自車1の走行車線と対向車線とが単に白線などにより区分されている場合にレーダ装置2によって検出される対向車)については、上記閾値Taiを第2所定値THに設定する(STEP8)。ここで、第1所定値TLは、第2所定値THよりも小さい値である。
【0053】
このSTEP7,8の処理によって、物体と自車1との接触の可能性を判断するための判断条件が変更される(本実施形態では閾値Taiが変更される)こととなる。この場合、特に、物体が対向車である場合において、自車1との間に車両の通過が可能な静止物体がレーダ装置2により検出されている状況(STEP4〜6の判断結果がいずれも肯定的となる状況)では、該対向車と自車1との間にレーダ装置2により静止物体が検出されていない状況(STEP4,5の判断結果がそれぞれ肯定的、否定的となる状況)よりも、閾値Taiがより小さい所定値TLに設定されることとなる。
【0054】
そして、接触可能性判断手段8は、上記STEP7またはSTEP8で閾値Taiの値を設定したときには、その閾値Taiを設定した各物体について、該物体に関する接触時間Tが閾値Tai以下であるか否かを判断する(STEP9)。
【0055】
このとき、接触可能性判断手段8は、STEP9の判断処理を行なったいずれかの物体について該STEP9の判断結果が肯定的となる場合には、該物体と自車1との接触の可能性が有ると判断する。そして、この場合には、コントローラ3は、前記接触対策処理手段9の処理を実行する(STEP10)。これにより、前記警報器4が作動して、運転者に警報が発せられると共に、ブレーキ装置5が作動して、自車1の制動(減速)が行なわれる。
【0056】
また、レーダ装置2で検出されたいずれの物体についても、STEP6の判断結果が否定的となる場合(すなわち、物体が対向車であって、且つ、該対向車と自車1との間に静止物体が有り、且つ、その静止物体が車両の通過が不可能な物体である場合)、あるいは、STEP9の判断結果が否定的となる場合には、接触可能性判断手段8は、レーダ装置2により検出されたいずれの物体についても、自車1との接触の可能性が無いと判断する。そして、この場合には、コントローラ3は、前記接触対策処理手段9の処理を実行することなく、今回の演算処理周期での図2の処理を終了する。
【0057】
以上説明したコントローラ3の処理によって、レーダ装置2により対向車が検出されている場合に、その対向車と自車1との間に静止物体が存在しない状況では、前記閾値Taiとして、大きめの第2所定値THが設定される。このため、例えば、対向車が自車1の走行車線にはみ出して自車1に向かって来るような状況では、余裕を持った早めのタイミングで、該対向車と自車1との接触の可能性が有ると判断されて、前記接触対策処理が実行される。
【0058】
一方、対向車と自車1との間に静止物体が存在し、且つ、その静止物体が前記ポールCのように車両の通過が可能な静止物体である場合には、前記閾値Taiとして、小さめの第1所定値TLが設定される。このため、例えば、対向車が対向車線側で自車1に向かって来るような状況(例えば図5(a)に示すような状況)では、該対向車と自車1との間に、静止物体が存在しない場合よりも、該対向車と自車1との接触の可能性が有ると判断されて、前記接触対策処理が実行されるタイミングが遅くなることとなる。換言すれば、該対向車と自車1との接触の可能性が有ると判断されるのが、該対向車と自車1との間に、静止物体が存在しない場合よりも抑制される。
【0059】
ここで、対向車と自車1との間の静止物体が存在し、且つ、その静止物体が車両の通過が可能な静止物体である場合には、該対向車の運転者の操縦ミスなどにより該対向車が自車1に向かって来て、該対向車が静止物体を乗り越えるような場合であっても、該対向車が、自車1に接触する前に、自車1との間の静止物体に接触することで、該対向車が減速される。このため、該対向車と自車1との間に静止物体が存在しない場合よりも、該対向車と自車1との接触タイミングが遅くなる。従って、対向車と自車1との間に静止物体が存在し、且つ、その静止物体が前記ポールCのように車両の通過が可能な静止物体である場合に、前記閾値Taiとして、小さめの第1所定値TLを設定しても、前記接触対策処理の実行が遅くなり過ぎることはない。また、対向車と自車1との間に、静止物体が存在しない場合よりも、該対向車と自車1との接触の可能性が有ると判断されて、前記接触対策処理が実行されるタイミングが遅くなることから、該対向車と自車1との間に前記ポールCなどの静止物体が存在する状況、すなわち、対向車が本来、自車1の走行車線に進入することが許容されていない状況で、該対向車が対向車線上で自車1の走行車線寄りに進路変更した場合などに、過剰に頻繁に前記接触対策処理が実行されてしまうような事態を防止できる。
【0060】
加えて、本実施形態では、レーダ装置2により検出されている対向車と自車1との間に静止物体が存在し、且つその静止物体が車両の通過が不可能な構造物(例えば図4(a),(b)に示した中央分離体B)である場合には、その対向車については、接触時間Tによらずに、自車1との接触の可能性が無いと判断される。このため、対向車が自車1の走行車線に進入して来ることが無い状況で、該対向車と自車1との接触の可能性が有ると判断されて、前記接触対策処理が実行されてしまうのを防止することができる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、必要以上に過剰に自車1と対向車との接触の可能性が有ると判断されて、前記接触対策処理が実行されるのを防止することができる。ひいては、運転者に煩わしさを及ぼすのを防止することができる。
【0062】
なお、以上説明した実施形態では、レーダ装置2の出力から認識される物体情報に基づいて、対向車と自車1との間の静止物体が車両の通過が可能な静止物体であるか否かを判断したが、自車1に搭載した撮像カメラの撮像画像により、該静止物体の形状や種別を判断して、該静止物体が車両の通過が可能な静止物体であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、接触時間Tと閾値Taiとの比較によって、物体と自車1の接触の可能性を判断したが、例えば、自車1の進路領域と、物体の進路領域とが将来の同時刻において交わる場合に、該物体と自車1との距離が、該物体の相対速度にあらかじめ定めた所定時間を乗じてなる値以下となる場合に、該物体の自車1との接触の可能性が有ると判断するようにしてもよい。
【0064】
また、TL<T≦THとなる状況では、前記STEP9の判断結果が肯定的となる場合に、ブレーキ装置5を作動させずに、警報器4だけを作動させるようにしてもよい。また、前記STEP9の判断結果が肯定的となる場合に、T≦TLとなる状況と、TL<T≦THとなる状況とで、ブレーキ装置5による自車1の制動力を異ならせる(後者の状況よりも、前者の状況の方が制動力を大きくする)ようにしてもよい。
【0065】
また、図2のフローチャートの処理は、適宜実行順序を変更するようにしてもよい。例えばSTEP1,2の処理の実行順序を入れ替えたり、STEP3の処理をSTEP9の処理の直前に行なうようにしてもよい。また、図3のフローチャートにおいても、STEP62の判断処理をSTEP61の判断処理よりも前に実行するようにしてもよい。
【0066】
また、接触対策処理として、警報の発生や、自車1の制動のほか、自車1のステアリング制御や、ステアリングハンドルの操作力の制御、ブレーキペダルの踏力の制御などを含めてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態の装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1の装置に備えたコントローラの処理を示すフローチャート。
【図3】図2のSTEP6の処理の詳細を示すフローチャート。
【図4】図4(a),(b)は実施形態の装置の説明するための図。
【図5】図5(a),(b)は実施形態の装置の作動を説明するための図。
【符号の説明】
【0068】
1…車両(自車)、2…レーダ装置(物体検出手段)、6…物体情報取得手段、7…対向車・自車間静止物体判断手段、8…接触可能性判断手段、9…接触対策処理手段、10高さ判断手段、11…連続性判断手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも自車の進行方向前方の領域を含む周辺領域に存在する物体を検出する物体検出手段と、該物体検出手段により検出された物体の自車に対する相対運動情報を含む物体情報を該物体検出手段の出力に基づいて取得する物体情報取得手段と、少なくとも該物体情報取得手段により取得された物体情報に基づいて前記検出された物体と自車との接触の可能性が有るか否かを判断する接触可能性判断手段と、該接触可能性判断手段により接触の可能性が有ると判断された場合に、所定の接触対策処理を実行する接触対策処理手段とを備えた車両の走行支援装置において、
前記物体検出手段により前記物体としての対向車が検出され、且つ、該対向車と自車との間に静止物体が検出されている状況で、該静止物体が、車両の通過が可能な物体であるか否かを前記物体情報に基づいて判断する自車・対向車間静止物体判断手段を備え、
前記接触可能性判断手段は、少なくとも該自車・対向車間静止物体判断手段の判断結果が肯定的となる場合に、前記物体検出手段により前記対向車が検出され、且つ、該物体検出手段により該対向車と自車との間に静止物体が検出されていない場合よりも、前記対向車と自車との接触可能性が有るか否かの判断結果が肯定的な判断結果となるのを抑制するように、該接触可能性が有るか否かを判断するための判断条件を変更する手段を備えることを特徴とする車両の走行支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両の走行支援装置において、
前記接触可能性判断手段は、前記物体情報取得手段により取得された物体情報に基づいて、前記検出された物体と自車とが接触するまでの予測時間である接触時間を逐次予測する手段と、該接触時間が所定の閾値以下であるか否かを前記判断条件とし、該接触時間が該所定の閾値以下になった場合に前記接触の可能性が有ると判断する手段と、少なくとも前記自車・対向車間静止物体判断手段の判断結果が肯定的となる場合に、前記物体検出手段により前記対向車が検出され、且つ、該物体検出手段により該対向車と自車との間に静止物体が検出されていない場合よりも、前記所定の閾値を小さくするように該所定の閾値を変更することにより前記判断条件を変更する手段とを備えることを特徴とする車両の走行支援装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両の走行支援装置において、前記接触可能性判断手段は、前記物体検出手段により前記対向車が検出され、且つ、該対向車と自車との間に静止物体が検出されている状況で、前記自車・対向車間静止物体判断手段の判断結果が否定的となる場合に、該対向車と自車との接触の可能性が無いと判断することを特徴とする車両の走行支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の走行支援装置において、
前記物体情報取得手段が取得する前記物体情報は、前記物体検出手段により検出された物体の形状および大きさの情報を含み、前記自車・対向車間静止物体判断手段は、前記対向車と自車との間の静止物体の高さが所定値以下であるか否かを該静止物体に関する前記物体情報に基づいて判断する高さ判断手段と、該静止物体が自車の進行方向に所定の長さ以上に連続した構造物であるか否かを該静止物体に関する前記物体情報に基づいて判断する連続性判断手段とを備え、該高さ判断手段の判断結果が肯定的となることと、該連続性判断手段の判断結果が否定的となることとのいずれか一方が成立する場合に、該静止物体が車両の通過が可能な物体であると判断することを特徴とする車両の走行支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−140145(P2009−140145A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314562(P2007−314562)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】