説明

車両の走行条件評価方法及びその評価装置

【課題】車両の運転のし易さを正確かつ客観的に評価することのできる車両の走行条件評価方法及びその評価装置を提供する。
【解決手段】ドライバにより複数の異なる走行条件で車両が運転されるときの運転のし易さを評価するとき、運転中のドライバの生体情報と、運転中の車両の運動情報とを含む複数の運転負担情報を計測して、代表値を取得する。次に、複数の運転負担情報の代表値の重み付け線形和を、車両の運転のし易さの総合評価の指標とするために、運転負担情報の代表値に基づいて複数設定される重み付け係数の組の中から、複数の運転負担情報の数と同数かそれ以下の数の重み付け係数の組を選択する。次に、選択された重み付け係数の組を用いて重み付け線形和を求め、この重み付け線形和を用いて、各走行条件における運転のし易さの総合評価を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバにより複数の異なる走行条件で車両が運転されるときの運転のし易さを評価する車両の走行条件評価方法及びその評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両を運転するドライバの生体情報を利用して、車両の制御に用いることが種々提案されている。また、車両の運転のし易さを評価するために、ドライバの筋電位を利用する方法も種々提案されている。
例えば、車両の操舵中にドライバの三角筋等の筋電位を計測して、運転のし易さを評価する方法が下記特許文献1には記載されている。
【0003】
下記特許文献1では、作業の快適度の高低を評価する装置が提案されている。この装置は、複数の筋の、車両の操舵等の作業時における人体の筋活動によって生じる筋電位を検出センサで検出し、検出された筋電位を増幅し、この筋電位から得られる筋電位波形を用いて、複数の筋の同時収縮強度を生成する。一方において、作業における作業負担強度のレベルを、同時収縮強度の生成に合わせて算出し、同時収縮強度を算出した作業負担強度レベルで規格化することによって、作業の快適度の高低を評価する。これによって、作業の快適度を評価することができるとされている。
【0004】
一方、ドライバの運転中、ドライバの覚醒度の低下情況を精度良く判定するために、脳波、呼吸、体温、瞬目、心拍等の生体指標群の検出信号を計測し、覚醒度の判定に利用する装置が、下記特許文献2に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−087485号公報
【特許文献2】特開2007−280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、生体情報から得られ、被験者の精神的ストレスに起因して大きく変化する筋の同時収縮強度を規格化することによって、作業の快適度の高低を評価するが、この同時収縮波形のみで、必ずしも作業の快適度、作業のし易さを十分に評価することが保証されない。
一方、特許文献2では、ドライバの覚醒度の低下を判定するものであり、ドライバの運転のし易さを評価するものでもない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、車両の運転のし易さを正確かつ客観的に評価することのできる車両の走行条件評価方法及びその評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本願発明は、ドライバにより複数の異なる走行条件で車両が運転されるときの運転のし易さを評価する車両の走行条件評価方法であって、運転中のドライバの生体情報と、運転中の車両の運動情報とを、運転負担情報として計測し、この計測結果から得られる運転負担情報の代表値の組を、前記複数の走行条件毎に取得するステップと、前記複数の走行条件毎の前記運転負担情報の代表値に基づいて複数設定される重み付け係数の組の中から、前記複数の運転負担情報の数と同数かそれ以下の数の重み付け係数の組を選択するステップと、選択された前記重み付け係数の組を用いて前記重み付け線形和を求め、この重み付け線形和を用いて、各走行条件における運転のし易さの総合評価を行うステップと、を有することを特徴とする車両の走行条件評価方法を提供する。
【0009】
その際、前記異なる走行条件は、走行に用いる車両及び走路が同一である一方、前記車両に装着するタイヤが異なる条件を含むことが好ましい。
また、前記生体情報は、車両の運転操作に応じて成されるドライバの随意運動に伴って計測される筋活動の情報であることが好ましい。
さらに、前記運転負担情報は、前記随意運動に伴って計測される筋活動の情報のうち、一定の時間における筋活動の定常成分、および、一定の時間における筋活動の非定常成分の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
【0010】
前記生体情報は、筋電位、脳波、呼吸数、体温、瞬目の頻度、心拍数、脈拍数、血流量、発汗量、および皮膚電位の中から選ばれた情報であることが好ましい。
【0011】
前記車両に与える物理情報は、ドライバがハンドルに与える操舵角、ドライバがハンドルに与える操舵角速度、ドライバがハンドルに与える操舵トルク、ドライバがハンドルに与える操舵仕事率、車両重心の前後加速度、車両重心の前後加加速度、車両重心の横加速度、車両重心の横加加速度、車両重心の上下加速度、車両重心の上下加加速度、車両重心周りのヨー角速度、車両重心周りのヨー角加速度、車両重心周りのロール角、車両重心周りのロール角速度、車両重心の横滑り角、および、車両重心の横滑り角速度の少なくとも1つの情報を含むことが好ましい。
【0012】
なお、前記運転負担情報を計測するとき、複数のドライバについて計測を行い、前記運転負担情報の代表値は、前記運転負担情報のデータをドライバ毎に正規化した値であることが好ましい。
【0013】
前記重み付け係数の値は、前記運転負担情報の代表値に対して、主成分分析を行って得られる固有ベクトルの各成分の値であることが好ましい。
その際、前記重み付け係数の組を選択するステップでは、前記主成分分析を行って得られる固有値の全固有値の総和に対する寄与率を、寄与率の大きい順に加算した累積寄与率を定めたとき、前記累積寄与率の値が0.8未満の条件で、前記累積寄与率に寄与する固有値を取り出し、この固有値に対応する固有ベクトルの各成分の値を前記重み付け係数の値とすることが好ましい。
さらに、前記重み付け係数の組を選択するステップでは、ドライバによる官能評価結果を参照することによって、前記重み付け係数の組を選択することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、ドライバにより複数の異なる走行条件で車両が運転されるときの運転のし易さを評価する車両の走行条件評価装置であって、運転中のドライバの生体情報と、運転中の車両に与える物理情報とを含む複数の運転負担情報を計測し、この計測結果から得られる運転負担情報の代表値を取得するユニットと、前記複数の運転負担情報の代表値の重み付け線形和を、車両の運転のし易さの総合評価の指標とするために、前記運転負担情報の代表値に基づいて複数設定される重み付け係数の組の中から、前記複数の運転負担情報の数と同数かそれ以下の数の重み付け係数の組を選択するユニットと、選択された前記重み付け係数の組を用いて前記重み付け線形和を求め、この重み付け線形和を用いて、各走行条件における運転のし易さの総合評価を行うユニットと、を有することを特徴とする車両の走行条件評価装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、複数の運転負担情報の代表値の重み付け線形和を、車両の運転のし易さの総合評価の指標とするために、運転中のドライバの生体情報と、運転中の車両の運動情報を運転負担情報として用いる。計測により取得した運転負担情報の代表値に基づいて複数設定される重み付け係数の組の中から重み付け線形和を選択し、重み付け線形和を求める。このため、重み付け線形和によって、各走行条件における運転のし易さの総合評価を、ドライバの感覚を反映した形で、正確に行うことができる。
また、重み付け線形和によって、運転のし易さの総合評価をすることができるので、ドライバの官能評価によるばらつきの影響を抑制することができ、ドライバの主観が入らない客観的な総合評価が可能となる。
特に、ドライバによる官能評価結果を参照することによって、重み付け係数の組を選択することにより、ドライバによる官能評価結果に対応した数値による総合評価が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の車両の走行条件評価方法及びその評価装置を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の評価装置の一実施形態の装置の構成を示す図である。
【0017】
図1に示す評価システム10は、複数の走行条件でドライバが車両を運転したとき、複数の運転負担情報を計測し、計測結果から得られる運転負担情報の代表値を求め、この代表値を用いて主成分分析を行って、幾つかの主成分を抽出し、この主成分に対応する、代表値の重み付け線形和を用いて、各走行条件における運転のし易さの総合評価を行うシステムである。以下説明する本実施形態では、ドライバの左右の三角筋の筋電位の情報が、運転負担情報における生体情報として、車両の操舵角および操舵トルクの情報が、運転負担情報における車両の運動情報として用いられる。
【0018】
評価システム10は、筋電位の情報を計測する計測装置12と、車両のハンドル操舵軸回りに取り付けられる操舵角計・トルク計14と、評価装置16とを有する。
評価装置16は、図1に示すように、運転負担情報取得ユニット18、主成分分析ユニット20、入力操作ユニット22、総合評価ユニット24を有し、出力装置26と接続されている。評価装置16は、ドライバによる実際の車両の運転時にオンラインで処理を行うものでなく、計測装置12および操舵角計・トルク計14で計測されたデータを、記録媒体に記録した後、記録したデータを再生して、オフラインで処理を行う。
【0019】
計測装置12は、筋電センサ30,32と、接地電極34と、生体アンプ36とを有して構成される。
筋電センサ30は、銀−塩化銀(Ag/AgCl)の皿型電極が対になって構成され、この一対の皿型電極が所定の間隔、数mm離間して皮膚表面に貼り付けられる。本実施形態では、ドライバの左肩の三角筋の筋電位を検出するため、筋電センサ30は、一対の皿型電極同士を略5mm離間して三角筋の位置する左肩の表面に貼り付ける。銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極は、金属銀の表面を塩化銀でコートしたものであり、再使用可能な汎用電極の中では電気特性上有効なものであるが、筋電センサ30、32の電極は、銀−塩化銀(Ag/AgCl)電極に限定されず、ステンレススチール、カーボン、カーボンコンポジット、白金、金、銀、チタン、導電性樹脂、導電性高分子ゲルなど、その他の材料によって構成されたものであってもよい。
【0020】
筋電センサ32は、筋電センサ30と同様に、銀−塩化銀(Ag/AgCl)皿型電極が対になって構成され、ドライバの右肩の三角筋の筋電位を検出するため、皿型電極同士を略5mm離間して三角筋の位置する右肩の表面に貼り付けられる。
【0021】
筋電センサ30,32から得られる筋電位信号は微弱であり、周囲のノイズを除去するために接地電極34が用いられる。接地電極34は生体アンプ36に接続され、生体アンプ36を介してアースされる。
【0022】
生体アンプ36は筋電センサ30,32とリード線により接続される。筋電センサ30,32によって検出される筋電位は大抵の場合、数マイクロボルトから数ミリボルトの微小な電圧であるため、生体アンプ36により電圧をAD変換可能なレベルまで増幅する。生体アンプ36で増幅された筋電位信号は、所定のサンプリング周波数でA/D変換されてデジタル信号として評価装置16に送られる。
【0023】
なお、筋電センサ30,32の貼り付けは、図2に示すように行われる。三角筋は肩部表面を広く覆う三角形の筋肉であり、腕を外転させたり、肩関節を屈曲、内旋させたりするときに使われる。以下、筋電センサ32を例にして説明する。筋電センサ32は鎖骨の外側の端部Xから指三本分、腕長手方向に離れた位置Yに、所定の間隔を開けて貼り付けられる。また、筋電センサ32の一対の電極は測定する筋の筋腹に、筋繊維に対し平行に装着される。
筋電センサ32の皮膚表面への貼り付けは、スクラブで擦り汚れを落とし、皮膚と筋電センサの電極との間の抵抗をできるだけ小さくするためアルコール等で拭いて、電極糊を用いて行われる。筋電センサ32の貼り付けの際に、皮膚と筋電センサの電極との間の電気抵抗が30kΩ以下になる状態にする。なお、皮膚表面への貼り付けの際の電気抵抗は5kΩ以下にすることが望ましい。
なお、左肩の三角筋に貼り付ける筋電センサ30についても同様に貼り付けられる。
【0024】
操舵角計・トルク計14は、車両のハンドル操舵軸回りに装着され、ハンドルの操舵角および操舵トルクを計測する機器である。計測信号は図示されないアンプで増幅され、さらにデジタル化されて評価装置16に送られる。
【0025】
評価装置16の運転負担情報取得ユニット18は、生体アンプ36および操舵角計・トルク計14から送られる運転負担情報(筋電位、操舵角、操舵トルクの情報)から、その代表値を算出する。
運転負担情報取得ユニット18は、筋電位の代表値を算出するための信号処理部を有する。
この信号処理部では、全波整流処理と平滑化処理が行われる。全波整流処理前の筋電位信号に対して所定の時間範囲におけるRMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)値を求めるとともに、全波整流処理およびローパスフィルタを用いた平滑化処理後の筋電位に対して、隣接する筋電位のデータ間の変化分を取り出し、筋電位の変化量を算出し、この変化量の信号に対して上記所定の時間範囲におけるRMS値を求める。このRMS値の算出は、左右の三角筋の筋電位のそれぞれについて行われる。
さらに、信号処理部は、全波整流処理および平滑化処理後の左右の三角筋の筋電位の信号の幾何平均をとり、この幾何平均によって得られる波形を左右の三角筋の同時収縮波形として求める。さらに、この同時収縮波形に対して、上記所定の時間範囲におけるRMS値を求める。さらに、同時収縮波形の隣接するデータ間の変化分を取り出し、同時収縮波形の変化量を算出する。この変化量の波形に対して、上記所定の時間範囲におけるRMS値を求める。
【0026】
このように、信号処理部は、左右の三角筋の筋電位について、左右それぞれの三角筋の筋電位のRMS値(定常成分の値)、左右それぞれの筋電位の筋電位の変化量のRMS値(非定常成分の値)、左右の三角筋の同時収縮波形のRMS値(定常成分の値)、同時収縮波形の変化量の波形のRMS値(非定常成分の値)を求める。
さらに、信号処理部は、操舵角・操舵トルク計14からの操舵角、操舵トルクに対して、上記所定の時間範囲におけるRMS値(定常成分の値)を求める。さらに、操舵角、操舵トルクの隣接するデータ間の変化分を取り出し、操舵角の変化量、操舵トルクの変化量を算出し、この変化量の波形の上記所定の時間範囲におけるRMS値(非定常成分の値)を求める。すなわち、操舵角・トルク計14からの信号を用いて、操舵角及び操舵トルクのRMS値、および操舵角及び操舵トルクの変化量のRMS値を求める。
以上、信号処理部で求められた計10個のRMS値は、運転負担情報の代表値として、以降の主成分分析の対象とされる。
【0027】
本実施形態では、全波整流処理前の左右の三角筋の筋電位の波形のRMS値を定常成分の値として用いたが、本発明では、定常成分の値として、前記所定の時間範囲における、全波整流処理及び平滑化処理後の滑らかな運転負担情報の波形のRMS値を用いることができる。さらに、全波整流処理及び平滑化処理後の滑らかな運転負担情報の波形の値の標準偏差、分散または分布範囲を用いることもできる。
【0028】
このような運転負担情報は、種々の走行条件で計測されてその代表値が取得される。走行条件は、例えば、車両を変更することによって異なる走行条件としてもよいし、車両に装着されるタイヤを変更することによって異なる走行条件とすることもできる。さらに、異なる走行条件には、ドライバ、走行モード、天候、路面状況、時間帯、交通状況が変わる場合も含まれる。
また、本発明では、同一の走行条件で複数回計測を繰り返し、繰り返しの度に取得されるRMS値を平均したものを、主成分分析に用いる運転負担情報の代表値とすることもできる。取得された運転負担情報の代表値は、主成分分析ユニット20および総合評価ユニット24に送られる。
【0029】
主成分分析ユニット20は、送られた運転負担情報の代表値を用いて、主成分分析を行う。
主成分分析は周知の分析手法である。運転負担情報の代表値は上述したように合計10個のデータであるので、この10個のデータの組が、走行条件毎に得られている。
主成分分析では、この走行条件毎の代表値のデータの組を、各運転負担情報を座標軸とし、この座標軸が互いに直交する10次元の空間を想定して、点としてプロットしたとき、この点の群の分散(ばらつき)が小さくなる直線方向を定める。まず、分散が最も小さくなる直線の方向を主成分1の方向として定め、その次に分散の小さい、主成分1の方向と直交する主成分を主成分2として定め、さらに、その次に分散の小さい、主成分1および主成分2の方向と直交する主成分を主成分3として定める。このようにして、10個のデータの組を主成分に分解して、主成分毎にその特徴を調べる。
【0030】
主成分分析ユニット20は、主成分分析を行って、固有値を求めるとともに、少なくとも複数の主成分の方向を定める固有ベクトルを算出し、この固有ベクトルの各成分の値を、後述する車両の運転のし易さの総合評価の指標とする重み付け線形和に用いる重み付け係数とする。
重み付け係数は主成分毎に求まるので、固有値に対応して複数組存在し、この中からドライバによる官能評価結果を参照することによって、官能評価に適した重み付け線形和を算出するような主成分が選択される。
このようにして選択された重み付け係数は総合評価ユニット24に送られる。
なお、重み付け係数を選択するために参照するドライバによる官能評価結果は、キーボードやマウスとで構成される入力操作ユニット22によって入力されたデータである。
【0031】
総合評価ユニット24は、選択された重み係数と、総合評価ユニット24から送られた運転負担情報の代表値とを用いて、重み付け線形和(主成分得点)を算出し、この重み付け線形和を用いて、各走行条件における運転のし易さの総合評価を行う。
得られた総合評価は、出力装置26に供給されて画面表示される。
【0032】
このような評価装置16の評価方法について、より具体的に説明する。
図3は、本発明の車両の走行条件評価方法を実施するフローを示す図である。以下の説明では、生体情報として、ドライバの左右の三角筋の筋電位を用い、車両の運動情報は、ハンドルの操舵軸回りの操舵角および操舵トルクを用いる場合について説明する。
【0033】
生体情報は、三角筋の筋電位の他、ドライバが運転のために行う随意運動に用いる左右の筋肉の筋電位であってもよい。また、筋電位の他、脳波、呼吸数、体温、瞬目の頻度、心拍数、脈拍数、血流量、発汗量、および皮膚電位の中から選ばれた情報を生体情報として用いることもできる。
一方、車両運転情報は、操舵角、操舵トルクの他に、ドライバがハンドルに与える操舵角速度、ドライバがハンドルに与える操舵仕事率、車両重心の前後加速度、車両重心の前後加加速度、車両重心の横加速度、車両重心の横加加速度、車両重心の上下加速度、車両重心の上下加加速度、車両重心周りのヨー角速度、車両重心周りのヨー角加速度、車両重心周りのロール角、車両重心周りのロール角速度、車両重心の横滑り角、および、車両重心の横滑り角速度の少なくとも1つの情報を含むとよい。加加速度とは、加速度を時間微分した物理量である。
【0034】
まず、計測装置12で生体情報の計測が行われ(ステップS10)、操舵角計・トルク計14で、車両運動情報の計測が行われる(ステップS20)。
生体情報および車両運動情報は、同じ計測時間を範囲として計測される。生体情報は、生体アンプ36で増幅され、さらにサンプリングされてデジタル化され、評価装置16の運転負担情報取得ユニット18に送られる。車両運動情報は、操舵角計・トルク計14で増幅されデジタル化されて、評価装置16の運転負担情報取得ユニット18に送られる。
計測は、複数の走行条件で行われる。走行条件は、異なる車両を用いる場合、車両に装着するタイヤを異なるタイヤにする場合、異なる走路を走行する場合、走行速度等の走行モードが異なる場合、異なる路面状況(乾燥路面、湿潤路面、積雪路面等)を走行する場合、走行する時間帯が異なる場合、あるいは、周囲の交通状況が異なる場合、走行条件が異なるとされる。
【0035】
次に、運転負担情報取得ユニット18では、送られた情報に基づいて、各情報の代表値が算出される(ステップS30)。
生体情報の場合、所定の計測時間範囲の左右の筋電位のRMS値が算出され、代表値として算出される。さらに、運転負担情報取得ユニット18では、筋電位に対して全波整流処理および平滑化処理を行って滑らかな波形を得、この波形に対して、微分処理、すなわち、隣接するデータとの変化量を算出し、上記変化量の所定の計測時間範囲のRMS値が算出される。さらに、運転負担情報取得ユニット18では、左右の三角筋の筋電位の滑らかな波形の同時刻における値に対して幾何平均処理が行われ、このときの幾何平均値について、所定の計測時間範囲のRMS値が算出される。さらに、上記幾何平均処理によって得られる波形の微分処理、すなわち、隣接するデータとの変化量を算出し、所定の計測時間範囲の上記変化量のRMS値が算出される。なお、幾何平均処理によって得られた波形は、特開2004−49622号公報に記載されるように同期的的収縮波形として用いる。
幾何平均処理の替わりに、左右の筋電位の、平滑化処理後の滑らかな波形のうち、値の小さい方を選択した波形を同期的的収縮波形として用いることもできる。
【0036】
一般に、ドライバによる操舵は、車両のハンドル(ステア)を操舵する動作によって行われるが、ハンドルの操舵は、例えば車両の右旋回の場合ハンドルを握る左手を上方向にまわすために、ドライバの左肩の三角筋が収縮する。一方、右手はハンドルに添える程度であるため、ドライバの右肩の三角筋は弛緩する。一方、車両の左旋回の場合、ドライバの左肩の三角筋は弛緩し、ドライバの右肩の三角筋が収縮する。このように、左右対称に人体が備える一対の三角筋のうち一方の筋を収縮させ、他方の筋を弛緩させて行うドライバの操舵は、本発明における、左右対称に備えた人体の一対の筋が拮抗して行う作業に対応する。
【0037】
しかし、何らかのドライバの精神的負担等に起因してハンドルを握る手に余分な力が入る場合やハンドルの操舵が難しく力む場合、左右一対の三角筋が拮抗して行うハンドルの操舵においても左右一対の三角筋が同期して収縮する。この時の筋電位の波形を同期的収縮波形という。本実施形態では、幾何平均処理が行われて得られた波形を、同期的収縮波形として用いる。
このような三角筋の収縮によりドライバがハンドルを保持する力が得られるが、この場合のハンドルを保持する力は、加速度やロードセル等の計測センサを設けて車両の挙動を表す物理計測データで得ることのできない情報である。
【0038】
このように、ステップ30では、代表値として、左右の筋電位のRMS値、左右の筋電位の変化量のRMS値、左右の三角筋の同期的収縮波形のRMS値、同期的収縮波形の変化量のRMS値の合計6個のRMS値が算出される。
図4(a)には、一例として、左側の三角筋の筋電位の全波整流処理前の筋電位の波形が、図4(b)には、右側の三角筋の筋電位の全波整流処理前の筋電位の波形が記されている。図4(c)には、左側の三角筋の筋電位の全波整流処理および平滑化処理後の滑らかな波形が、図4(d)には、右側の三角筋の筋電位の全波整流処理および平滑化処理後の滑らかな波形が、記されている。
【0039】
さらに、ステップ30では、操舵角および操舵トルクに基づいて、代表値が算出される。この場合も、操舵角に対して前記所定の計測時間範囲のRMS値が算出され、操舵トルクに対して前記所定の計測時間範囲のRMS値が算出される。さらに、操舵角および操舵トルクの時間波形の微分処理、すなわち隣接するデータとの変化量を算出し、所定の計測時間範囲の上記変化量のRMS値が算出される。
すなわち、操舵角および操舵トルクの情報に対して、代表値として、操舵角のRMS値、操舵トルクのRMS値、操舵角の変化量のRMS値、操舵トルクの変化量のRMS値の合計4個のRMS値が算出される。
図4(e)には、操舵トルクの波形の一例が、図4(f)には、操舵角の波形の一例が記されている。図4(e),(f)中、右側へハンドルを操舵するときの操舵トルク、操舵角が正で表されている。
【0040】
このような6個の生体情報の代表値と、4個の車両の運動情報の代表値とを1つの走行条件における運転負担情報の代表値の組とし、運転負担情報取得ユニット18において、複数の走行条件毎の運転負担情報の代表値の組が取得され、これらの組が主成分分析ユニット20に送られる。
【0041】
次に、主成分分析ユニット20では、複数の走行条件についての運転負担情報の代表値の組を得て、主成分分析が行われる(ステップS40)。
主成分分析では、公知の方法により分析が行われる。本実施形態では、各走行条件における10個の代表値に対して、10個の代表値によって作られる重み付け線形和を求めたとき、走行条件の違いによる重み付け線形和のばらつきまたは分散が小さくなるように、重み付け線形和に用いる重み付け係数が算出される。この線形和の1つが、ドライバ等によって得られる官能評価結果に対応する評価結果として表すことができる。
具体的には、複数の走行条件における代表値の組についての分散共分散行列を算出し、この分散共分散行列における固有値および固有ベクトルを求め、固有値を大きい順に並べ、固有値の大きい順番に固有値を累積したとき、累積固有値が全固有値の総和の80%を超えるまでの固有値の群を取り出す。このときの固有値に対する固有ベクトルのベクトル成分の値が、各主成分の重み付け線形和に用いる重み付け係数となる。
分散共分散行列とは、この行列の第nm成分が、第n番目に定められた代表値と第m番目に定められた代表値との、複数の走行条件における共分散(n=mの場合は分散)として表される行列をいう。
【0042】
図5には、ドライバP1〜P8の計8人に、タイヤA,B,Cの3種類のタイヤを車両に装着して、同一の走行路を同一の走行速度、走行モードで走行したときの10個の代表値の一例を示している。代表値は、同一の走行条件で6回繰り返し車両を走行して計測したときの平均値である。代表値は、ドライバ毎の代表値の平均値が1になるように正規化したものである。例えば、ドライバP1におけるタイヤA,B,Cの操舵角のRMS値の平均値は1とする。
代表値の正規化については、各代表値を、ドライバP1〜P8の代表値の平均値で除算したものを用いてもよい。また、各代表値から上記平均値を減算したものを用いてもよい。あるいは、各代表値から上記平均値を減算したものを、ドライバP1〜P8の代表値の標準偏差で除算したものを用いてもよい。さらに、上記平均値の替わりに、基準とするタイヤの代表値を用いてもよい。このように代表値を正規化することにより、ドライバ間で変わる代表値の大きさを揃えることができ、ドライバ個人差の影響を排除することができる。
【0043】
このような、8人のドライバによる3種類のタイヤによる24個の走行条件について、主成分分析を行った場合、図6(a)に示すように固有値を大きい順に並べると、4.92,2.96,0.86となる。このとき、全固有値の総和に対する累積寄与率(=累積固有値/全固有値の総和)が0.8未満で構成される固有値は、4.92,2.96となる。すなわち、累積寄与率の値が0.8未満の条件で、この累積寄与率に寄与する固有値を取り出す。したがって、固有値4.92とその固有ベクトルを主成分1として対応付け、固有値2.96とその固有ベクトルを主成分2として対応付ける。
【0044】
次に、主成分1および主成分2の固有値に対応する固有ベクトルを重み付け係数として、10個の代表値から重み付け線形和が算出される(ステップS50)。
固有ベクトルは、上述した分散共分散行列と、主成分1の固有値および主成分2の固有値を用いて求める。すなわち、複数の運転負担情報の数と同数かそれ以下の数の重み付け係数の組を求める。
図6(b)には、図5に示す代表値における主成分負荷量が示されている。主成分負荷量は、各主成分における固有ベクトルから求められる重み付け係数と代表値とを用いて算出される重み付け線形和の値(主成分得点の値)と、各代表値との間の相関係数を表すものである。主成分1の主成分負荷量が0.7を超える運転負担情報の数は6個であり、主成分2の主成分負荷量が0.7を超える運転負担情報の数は2個であり、主成分1が主成分2に比べて、図5に示すデータと相関が高いことがわかる。
【0045】
一方、8人の各ドライバが車両走行時に行った走行条件毎の官能評価結果が入力操作ユニット22を用いて入力され、主成分分析ユニット20にて、官能評価結果とステップS50で求めた重み付け線形和との相関係数が求められる。主成分1と主成分2のうち、相関係数の絶対値の高いほうが、官能評価と一致する評価指標として定められる。すなわち、ドライバによる官能評価結果を参照することによって、運転し易さの評価指標が選択される。
【0046】
次に、総合評価ユニット24において、選択された主成分1における重み付け線形和を求めることにより、走行条件毎の評価が行われる(ステップS60)。
図7(a)は、ドライバによる官能評価と主成分1の重み付け線形和との相関を示す図である。図7(a)に示すように主成分1における重み付け線形和は官能評価結果と高い負の相関(相関係数=−0.70)を示すことがわかる。したがって、主成分1における重み付け線形和が低いほど、官能評価が高いと判断することができる。すなわち、官能評価によらず、主成分1における重み付け線形和を用いて、走行条件を評価することができる。
図7(b)は、主成分1の重み付け線形和と主成分2の重み付け線形和との関係を示す図である。タイヤA,B,C毎に送別されていることがわかる。したがって、主成分2の重み付け線形和は、主成分1の重み付け線形和とは異なる評価指標であるといえる。
なお、主成分2は、図6(b)に示す主成分負荷量の値のうち、操舵トルクおよび操舵角の主成分負荷量が高いことから、操舵力の大きさに伴うドライバの操舵負担を評価する評価指標といえる。
【0047】
図8(a)は、ドライバによる官能評価と、従来より評価に用いられる、操舵角の変化量のRMS値(dRMS.STA)との相関(相関係数=−0.59)を示す図である。図8(b)は、ドライバによる官能評価と、従来より評価に用いられる、ドライバの三角筋の同時収縮波形のRMS値(RMS.DltLR)との相関(相関係数=−0.61)を示す図である。
これより、図8(a),(b)に示す相関に対して、図7(a)に示す相関は、相関係数の絶対値が高く、主成分1を用いた評価はドライバによる官能評価と対応することがわかる(主成分1を用いた評価の値が小さいほど、ドライバによる官能評価は高い)。
【0048】
図9(a)には、ドライバP1〜P8のそれぞれの官能評価結果について分散分析を行い、平均値とその標準偏差を示している。タイヤAとタイヤBとでは、標準偏差の数値の範囲が一部分で重なっており、タイヤAとタイヤBとでは有意差が存在するか否か、判断が困難である。図9(b)には、主成分1における重み付け線形和の値について分散分析を行い、平均値とその標準偏差を示している。タイヤAとタイヤBとでは、標準偏差の数値の範囲において重なっておらず、タイヤAとタイヤBとでは有意差が存在することがわかる。
図9(c)には、主成分2における重み付け線形和の値について分散分析を行い、平均値とその標準偏差を示している。タイヤAとタイヤBとでは、標準偏差の数値の範囲において重なっておらず、タイヤAとタイヤBとでは有意差が存在することがわかる。
【0049】
このように、本発明では、運転中のドライバの生体情報と、運転中の車両の運動情報とを含む複数の運転負担情報を計測して、それぞれの代表値を取得し、この代表値を用いて主成分析を行い、このとき求められる重み付け線形和を算出し、この重み付け線形和によって、各走行条件における運転のし易さの総合評価を、ドライバの感覚を反映した形で、正確に行うことができる。しかも、重み付け線形和によって、運転のし易さの総合評価をすることができるので、ドライバの官能評価によるばらつきの影響を抑制することができる。さらに、上記実施形態のように、10個の代表値から2つの主成分に絞るとき、相関係数や固有値の累積寄与率等の数値を用いて絞ることができるので、走行条件について運転のし易さの総合評価を客観的に行うことができる。
【0050】
また、走行条件として、異なるタイヤを装着した同一の車両を同一の走路で走行することにより、車両を固定したときのタイヤの車両に対するマッチングを評価することができる。また、車両以外を固定し、車両を変更することにより、車両の評価、タイヤに対する車両のマッチングを評価することもできる。
また、上記実施形態では、主成分分析を利用するものであるが、主成分分析の替わりに、因子分析を用いることもできる。
【0051】
なお、本発明の車両の走行条件評価方法及びその評価装置は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の車両の走行条件評価装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の車両の走行条件評価方法において用いる生体情報の計測方法を説明する図である。
【図3】本発明の車両の走行条件評価方法のフローを説明する図である。
【図4】(a)〜(f)は、本発明の車両の走行条件評価方法において取得される運転負担情報のデータの例を示す図である。
【図5】本発明の車両の走行条件評価方法において用いる運転負担情報の代表値の例を示す図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の車両の走行条件評価方法において得られる主成分分析の結果の一例を説明する図である。
【図7】(a),(b)は、本発明の車両の走行条件評価方法において得られる主成分分析の結果の他の例を説明する図である。
【図8】(a),(b)は、従来の評価方法において得られる評価結果とドライバの官能評価結果との関係を示す図である。
【図9】(a)は、ドライバによる官能評価を分散分析した結果の一例を示し、(b),(c)は、本発明の車両の走行条件評価方法において得られた主成分について、分散分析した結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 評価システム
12 評価装置
14 操舵角形・トルク計
16 評価装置
18 運転負担情報取得ユニット
20 主成分分析ユニット
22 入力操作手段
24 総合評価ユニット
26 出力装置
30,32 筋電センサ
34 接地電極
36 生体アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバにより複数の異なる走行条件で車両が運転されるときの運転のし易さを評価する車両の走行条件評価方法であって、
運転中のドライバの生体情報と、運転中の車両の運動情報とを、運転負担情報として計測し、この計測結果から得られる運転負担情報の代表値の組を、前記複数の走行条件毎に取得するステップと、
前記複数の走行条件毎の前記運転負担情報の代表値に基づいて複数設定される重み付け係数の組の中から、前記複数の運転負担情報の数と同数かそれ以下の数の重み付け係数の組を選択するステップと、
選択された前記重み付け係数の組を用いて前記重み付け線形和を求め、この重み付け線形和を用いて、各走行条件における運転のし易さの総合評価を行うステップと、を有することを特徴とする車両の走行条件評価方法。
【請求項2】
前記異なる走行条件は、走行に用いる車両及び走路が同一である一方、前記車両に装着するタイヤが異なる条件を含む請求項1に記載の走行条件評価方法。
【請求項3】
前記生体情報は、車両の運転操作に応じて成されるドライバの随意運動に伴って計測される筋活動の情報である請求項1に記載の走行条件評価方法。
【請求項4】
前記運転負担情報は、前記随意運動に伴って計測される筋活動の情報のうち、一定の時間における筋活動の定常成分、および、一定の時間における筋活動の非定常成分の少なくともいずれか一方を含む請求項3に記載の走行条件評価方法。
【請求項5】
前記生体情報は、筋電位、脳波、呼吸数、体温、瞬目の頻度、心拍数、脈拍数、血流量、発汗量、および皮膚電位の中から選ばれた情報である請求項1〜4のいずれか1項に記載の走行条件評価方法。
【請求項6】
前記車両に与える物理情報は、ドライバがハンドルに与える操舵角、ドライバがハンドルに与える操舵角速度、ドライバがハンドルに与える操舵トルク、ドライバがハンドルに与える操舵仕事率、車両重心の前後加速度、車両重心の前後加加速度、車両重心の横加速度、車両重心の横加加速度、車両重心の上下加速度、車両重心の上下加加速度、車両重心周りのヨー角速度、車両重心周りのヨー角加速度、車両重心周りのロール角、車両重心周りのロール角速度、車両重心の横滑り角、および、車両重心の横滑り角速度の少なくとも1つの情報を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の走行条件評価方法。
【請求項7】
前記運転負担情報を計測するとき、複数のドライバについて計測を行い、
前記運転負担情報の代表値は、前記運転負担情報のデータをドライバ毎に正規化した値である請求項1〜6のいずれか1項に記載の走行条件評価方法。
【請求項8】
前記重み付け係数の値は、前記運転負担情報の代表値に対して、主成分分析を行って得られる固有ベクトルの各成分の値である請求項1〜7のいずれか1項に記載の走行条件評価方法。
【請求項9】
前記重み付け係数の組を選択するステップでは、前記主成分分析を行って得られる固有値の全固有値の総和に対する寄与率を、寄与率の大きい順に加算した累積寄与率を定めたとき、前記累積寄与率の値が0.8未満の条件で、前記累積寄与率に寄与する固有値を取り出し、この固有値に対応する固有ベクトルの各成分の値を前記重み付け係数の値とする請求項8に記載の走行条件評価方法。
【請求項10】
前記重み付け係数の組を選択するステップでは、ドライバによる官能評価結果を参照することによって、前記重み付け係数の組を選択する請求項1〜9のいずれか1項に記載の走行条件評価方法。
【請求項11】
ドライバにより複数の異なる走行条件で車両が運転されるときの運転のし易さを評価する車両の走行条件評価装置であって、
運転中のドライバの生体情報と、運転中の車両に与える物理情報とを含む複数の運転負担情報を計測し、この計測結果から得られる運転負担情報の代表値を取得するユニットと、
前記複数の運転負担情報の代表値の重み付け線形和を、車両の運転のし易さの総合評価の指標とするために、前記運転負担情報の代表値に基づいて複数設定される重み付け係数の組の中から、前記複数の運転負担情報の数と同数かそれ以下の数の重み付け係数の組を選択するユニットと、
選択された前記重み付け係数の組を用いて前記重み付け線形和を求め、この重み付け線形和を用いて、各走行条件における運転のし易さの総合評価を行うユニットと、を有することを特徴とする車両の走行条件評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−276186(P2009−276186A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127213(P2008−127213)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】