説明

車両の車線逸脱警報装置

【課題】車両の車線からの逸脱が予測されたときに、警報音を発生させる車両の車線逸脱警報装置において、車両の逸脱が予測されかつ車両の周囲の危険対象物が検出されたときに、危険対象物にも注意を向かせる。
【解決手段】車線逸脱警報装置Aは、車両Vの車線Lからの逸脱を予測する逸脱可能性推定部19cと、この逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱が予測されたときに、逸脱擬音を発生させる擬音生成出力部19dと、車両Vの周囲の危険対象物を検出する危険対象物検出部19bとを備えている。擬音生成出力部19dは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱が予測されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検出されたときには、逸脱擬音とは特性及び発生態様のうち少なくとも1つが異なる逸脱危険物擬音を発生させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車線からの逸脱が予測されたときに、警報音を発生させる車両の車線逸脱警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の車線からの逸脱が予測されたときに、警報音を発生させる車両の車線逸脱警報装置が知られている。例えば、特許文献1のものでは、白線が検出されなかった領域に仮想白線を設定し、白線と仮想白線とによって区分される車線からの車両の逸脱が予測されたときに、警報音を発生させるようになっている。
【特許文献1】特開2007−8281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車両の周囲に対向車両や歩行者などの危険対象物が存在する場合、その危険対象物に乗員は注意を払う必要があるが、特許文献1のものでは、車両の車線からの逸脱が予測された場合であって、そのような危険対象物が存在するときも、危険対象物が存在しないときと同じ警報音を発生させるため、危険対象物に乗員の注意が向かない虞がある。特に、警報音を、車両が車線に対して逸脱すると予測される方向から発生させる場合、乗員はその方向を注視する傾向にあるため、危険対象物に乗員の注意が向かない虞がある。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の車線からの逸脱が予測されたときに、警報音を発生させる車両の車線逸脱警報装置において、車両の逸脱が予測されかつ車両の周囲の危険対象物が検出されたときに、危険対象物にも注意を向かせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、車両の車線からの逸脱を予測する逸脱予測手段と、上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されたときに、第1警報音を発生させる警報制御手段と、上記車両の周囲の危険対象物を検出する危険対象物検出手段とを備えており、上記警報制御手段は、上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されたときには、上記第1警報音とは特性及び発生態様のうち少なくとも1つが異なる第2警報音を発生させるように構成されていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置である。
【0006】
これにより、逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されかつ危険対象物検出手段により危険対象物が検出されたときには、警報制御手段により、逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されたときに発生させる第1警報音とは特性及び発生態様のうち少なくとも1つが異なる第2警報音を発生させるので、危険対象物にも乗員の注意を向かせることができる。
【0007】
尚、警報音の特性とは、警報音の連続特性(即ち、連続音か断続音か)や周波数特性、音質特性などを含む。警報音の発生態様とは、警報音の発生位置などを含む。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、乗員の視線を検出する視線検出手段をさらに備えており、上記警報制御手段は、上記第2警報音の発生後、上記視線検出手段により検出された乗員の視線が上記危険対象物に向いたときには、上記第2警報音の発生を停止させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
これにより、第2警報音の発生後、視線検出手段により検出された乗員の視線が危険対象物に向いたときには、警報制御手段により、第2警報音の発生を停止させるので、危険対象物に乗員の注意を向かせた後、第2警報音を不必要に発生させるのを抑制することができ、乗員に煩わしさを感じさせるのを抑制することができる。
【0010】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記第2警報音は、上記第1警報音とは連続特性、周波数特性、音質特性、及び発生位置のうち少なくとも1つが異なることを特徴とするものである。
【0011】
これにより、第2警報音は、第1警報音とは連続特性、周波数特性、音質特性、及び発生位置のうち少なくとも1つが異なるので、危険対象物にも乗員の注意を確実に向かせることができる。
【0012】
第4の発明は、上記第1の発明において、上記警報制御手段は、上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されていないときには、上記第1警報音を発生させるように構成されており、上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されていないときに上記警報制御手段により発生させた第1警報音に対する、上記乗員の反応を検出する反応検出手段をさらに備えていることを特徴とするものである。
【0013】
これにより、逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ危険対象物検出手段により危険対象物が検出されていないときには、警報制御手段により、第1警報音を発生させるので、乗員に車両の逸脱と第1警報音とは関係があることを学習させることができ、第1警報音を発生させてから乗員が反応するまでの反応時間を短くすることができる。
【0014】
第5の発明は、上記第4の発明において、上記警報制御手段は、上記反応検出手段により検出された乗員の反応が鈍い場合、その後、上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されたときには、上記第1警報音を発生させるのに加えて又は代えて、上記乗員の視覚に訴える警報及びステアリングホイールの操舵トルクをアシストする操舵トルクアシストのうち少なくとも一方を行わせるように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
これにより、反応検出手段により検出された乗員の反応が鈍い場合、その後、逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されたときには、警報制御手段により、第1警報音を発生させるのに加えて又は代えて、乗員の視覚に訴える警報及びステアリングホイールの操舵トルクをアシストする操舵トルクアシストのうち少なくとも一方を行わせるので、音に対する反応が鈍い乗員の注意を車両の逸脱に向けさせることができる。
【0016】
第6の発明は、上記第5の発明において、上記警報制御手段は、ダッシュボードに車幅方向に並設された複数の発光素子を上記ステアリングホイールを操舵すべき方向に向かって順に点灯させることにより上記乗員の視覚に訴える警報を行わせるように構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
これにより、警報制御手段により、ダッシュボードに車幅方向に並設された複数の発光素子をステアリングホイールを操舵すべき方向に向かって順に点灯させるので、乗員にステアリングホイールを操舵すべき方向に操舵させることができる。
【0018】
第7の発明は、上記第1の発明において、上記警報制御手段は、上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により検出された危険対象物の危険度が低いときには、上記第2警報音を発生させるように構成されており、上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により検出された危険対象物の危険度が低いときに上記警報制御手段により発生させた第2警報音に対する、上記乗員の反応を検出する反応検出手段をさらに備えており、上記警報制御手段は、上記反応検出手段により検出された乗員の反応に基づいて、上記第2警報音の特性及び発生態様のうち少なくとも1つを適正化し、その後、上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されたときには、上記適正化した第2警報音を発生させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
これにより、逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ危険対象物検出手段により検出された危険対象物の危険度が低いときには、警報制御手段により、第2警報音を発生させるので、乗員に車両の逸脱及び危険対象物と第2警報音とは関係があることを学習させることができ、第2警報音を発生させてから乗員が反応するまでの反応時間を短くすることができる。
【0020】
また、警報制御手段により、反応検出手段により検出された乗員の反応に基づいて、第2警報音の特性及び発生態様のうち少なくとも1つを適正化し、その後、逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されかつ危険対象物検出手段により危険対象物が検出されたときには、その適正化した第2警報音を発生させるので、乗員の反応特性に適した第2警報音を発生させることができる。
【0021】
第8の発明は、上記第1の発明において、ステアリングホイールの操舵を検出する操舵検出手段をさらに備えており、上記警報制御手段は、上記操舵検出手段により操舵が検出されたときには、上記第1警報音を乗員が知覚することができない程度に発生させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0022】
これにより、操舵検出手段により操舵が検出されたときには、警報制御手段により、第1警報音を乗員が知覚することができない程度に発生させるので、操舵と第1警報音とは関係があることを乗員の意識に刷り込むことができ、第1警報音を発生させてから乗員が操舵するまでの反応時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されかつ危険対象物検出手段により危険対象物が検出されたときには、警報制御手段により、逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されたときに発生させる第1警報音とは特性及び発生態様のうち少なくとも1つが異なる第2警報音を発生させるので、危険対象物にも乗員の注意を向かせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る車線逸脱警報装置Aを搭載した車両(自車両)Vを示している。この車両Vは、車両V前方を撮像するステレオカメラからなる外界カメラ1と、車両Vの車速を検出する車速センサ3(図2のみ図示)と、ステアリングホイール5の舵角を検出する舵角センサ7(操舵検出手段)と、車両V室内を撮像する室内カメラ9(視線検出手段)と、車両Vの右前方、左前方、右後方、及び左後方にそれぞれ配設された第1〜第4スピーカー11a〜11dと、ダッシュボード13にそれぞれ配設された複数のLED15,…(発光素子)と、ステアリング装置(図示せず)に配設された操舵トルクモータ17と、スピーカー11やLED15、操舵トルクモータ17を制御する制御ユニット19(図2のみ図示)とを備えている。そして、車両Vは、車両Vが現在走行中の走行車線Lから逸脱すると予測したときに、その逸脱を抑制するため、スピーカー11が鳴ったり、LED15が点灯したり、操舵トルクモータ17が作動したりするようになっている。
【0026】
上記外界カメラ1は、車両Vの前部の車幅方向中央部に取り付けられていて、車両V前方の車線区分線S(例えば、中央線や車線と車線との境界線、車道と歩道との境界線など)や、車両V前方の危険対象物(例えば、走行車線Lと隣接する隣接車線Mを現在走行中の対向車両Wや歩行者P、走行車線LのカーブCなど)等を撮像するようになっている。外界カメラ1の撮像画像情報は、制御ユニット19の画像取得部19aに入力される。
【0027】
上記車速センサ3の車速情報は、制御ユニット19の逸脱可能性推定部19cに入力される。上記舵角センサ7の舵角情報は、制御ユニット19の逸脱可能性推定部19cや学習制御部19e、効果検出部19f、刷り込み制御部19gに入力される。
【0028】
上記室内カメラ9は、車両V室内の車幅方向中央部に取り付けられていて、運転者(乗員)を撮像することによりその視線を検出するようになっている。室内カメラ9の撮像画像情報は、制御ユニット19の擬音生成出力部19dや学習制御部19e、効果検出部19fに入力される。
【0029】
上記第1〜第4スピーカー11a〜11dは、ダッシュボード13の右端部、ダッシュボード13の左端部、後部席21の右方、及び後部席21の左方にそれぞれ取り付けられていて、警報音(例えば、ランブルストリップス音やクラクション音、人工音などの擬音等)を発生するようになっている。第1及び第2スピーカー11a,11bの警報音の発生方向は車両V後方である一方、第3及び第4スピーカー11c,11dの警報音の発生方向は車両V前方である。
【0030】
上記複数のLED15,…は、ダッシュボード13の上面上の運転席23側に車幅方向に並設されていて、そのLED15が発した光がフロントウインドガラス(図示せず)で反射されることにより、運転者の視覚に訴える警報を行うようになっている。上記操舵トルクモータ17は、ステアリングホイール5の操舵トルクをアシストする操舵トルクアシストを行うようになっている。
【0031】
上記制御ユニット19は、図2に示すように、外界カメラ1の撮像画像を取得する画像取得部19aと、車両Vの周囲の危険対象物を検出する危険対象物検出部19b(危険対象物検出手段)と、車両Vの走行車線Lからの逸脱の可能性を予測する逸脱可能性推定部19c(逸脱予測手段)と、この逸脱可能性推定部19cにより車両Vの走行車線Lからの逸脱が予測されたときに、擬音をスピーカー11に発生させる擬音生成出力部19dと、擬音をスピーカー11に発生させるように擬音生成出力部19dを制御することにより運転者に学習させる学習制御部19eと、この学習制御部19eによる運転者の学習の効果を検出する効果検出部19f(反応検出手段)と、舵角センサ7によりステアリングホイール5の操舵が検出されたときに、擬音を運転者が知覚することができない程度にスピーカー11に発生させるように擬音生成出力部19dを制御することにより操舵と擬音とは関係があることを運転者の意識に刷り込む刷り込み制御部19gとを有しており、これらは相互通信可能に接続されている。尚、擬音生成出力部19d、学習制御部19e、効果検出部19f、及び刷り込み制御部19gは、警報制御手段を構成している。
【0032】
上記画像取得部19aの取得画像は、危険対象物検出部19bや逸脱可能性推定部19cに入力される。上記危険対象物検出部19bは、画像取得部19aの取得画像に対して画像処理を行い、車両V前方(車両V周囲)の危険対象物を検知して、その危険対象物の危険度を判定するようになっている。具体的には、危険対象物検出部19bは、例えば、車両Vから対象物までの距離が所定距離以下であるときには、その対象物が危険対象物であると判断して、その距離が相対的に近いときには、その危険対象物の危険度が相対的に高く、その距離が相対的に遠いときには、その危険度が相対的に低いと判定する。
【0033】
上記逸脱可能性推定部19cは、画像取得部19aの取得画像に対して画像処理を行い、車両V前方の車線区分線Sを検知して、その車線区分線Sに基づいて、走行車線Lを検知するようになっている。そして、逸脱可能性推定部19cは、車線区分線Sや走行車線L、車速センサ3の車速情報、舵角センサ7の舵角情報に基づいて、車両Vが走行車線Lから逸脱する可能性を推定するようになっている。具体的には、例えば、車線区分線Sや走行車線L、車速、舵角に基づいて、1秒後における車両Vが走行車線Lに対して傾斜する方向の車両V側面と、その方向の車線区分線Sとの距離を計算して、この計算値に基づいて、車両Vが走行車線Lから逸脱する可能性を推定する。
【0034】
上記擬音生成出力部19dは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性がないと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物の危険度が相対的に高いと判定されたときには、運転者の注意をその危険対象物に向けさせるため、危険対象物の種類などに基づいて、危険物用の擬音(以下、危険物擬音という)を生成して、その擬音を危険対象物が車両Vに対して存在する方向のスピーカー11に出力させるようになっている。具体的には、自転車(危険対象物)が車両Vの右前方に存在すると判定された場合は、例えば、自転車のベル音の擬音(危険物擬音)を第1スピーカー11aの音量が第2スピーカー11bの音量よりも大きくなるように生成して、その擬音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。また、歩行者P(危険対象物)が車両Vの右前方に存在すると判定された場合は、例えば、人の叫び声や歩く音などの擬音(危険物擬音)を第1スピーカー11aの音量が第2スピーカー11bの音量よりも大きくなるように生成して、その擬音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。尚、上記のように、車両V右前方の第1スピーカー11aの音量を車両V左前方の第2スピーカー11bの音量よりも大きくしているのは、危険対象物が車両V前方のうち車両V右前方に存在することを知らせるためである。
【0035】
また、擬音生成出力部19dは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に高いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検知されないとき又は危険対象物の危険度が相対的に低いと判定されたときには、運転者の注意を車両Vの逸脱に向けさせるため、逸脱用の擬音(以下、逸脱擬音という。第1警報音)を生成して、その擬音を車両Vが走行車線Lに対して逸脱すると推定される方向のスピーカー11に出力させるようになっている。具体的には、図3(a)に示すように、車両Vが走行車線Lから車両V右方に逸脱すると推定される場合は、例えば、図3(b)に示すように、波形が矩形の、ランブルストリップス音の擬音の連続音(逸脱擬音)を第1スピーカー11aの音量が第2スピーカー11bの音量よりも大きくなるように生成して、その連続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。尚、上記のように、車両V右前方の第1スピーカー11aの音量を車両V左前方の第2スピーカー11bの音量よりも大きくしているのは、車両Vがその前方のうち右前方から逸脱しそうと推定されていることを知らせるためである(以下、同じ)。
【0036】
一方、擬音生成出力部19dは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に高いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物の危険度が相対的に高いと判定されたときには、運転者の注意を車両Vの逸脱と危険対象物の両方に向けさせるため、上記逸脱擬音とは特性や発生態様が異なる逸脱・危険対象物用の擬音(以下、逸脱危険物擬音という。第2警報音)をスピーカー11に出力させるようになっている。具体的には、図4(a)に示すように、車両Vが走行車線Lから車両V右方に逸脱すると推定された後、さらに、対向車両W又は歩行者P(図4(a)では対向車両Wを図示。危険対象物)が車両Vの右前方に存在すると判定されたときは、例えば、図4(b)に示すように、まず、波形が矩形の、ランブルストリップス音の擬音の連続音(逸脱擬音)を第1スピーカー11aの音量が第2スピーカー11bの音量よりも大きくなるように生成して、その連続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させて、その後、対向車両W又は歩行者Pが車両Vの右前方に存在すると判定されたときに、波形が矩形の、ランブルストリップス音の擬音の断続音(即ち、上記逸脱擬音とは連続特性が異なる逸脱危険物擬音)を第1スピーカー11aの音量が第2スピーカー11bの音量よりも大きくなるように生成して、その断続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。
【0037】
また、図5(a)に示すように、車両Vが走行車線Lから車両V右方に逸脱すると推定された後、さらに、歩行者P(危険対象物)が車両Vの右前方に存在すると判定されたときは、例えば、図5(b)、(c)に示すように、まず、波形が矩形の、ランブルストリップス音の擬音の連続音(逸脱擬音)を第1スピーカー11aの音量が第2スピーカー11bの音量よりも大きくなるように生成して、その連続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させて、その後、歩行者Pが車両Vの右前方に存在すると判定されたときに、波形が矩形でかつ上記逸脱擬音とは周波数特性が異なる(この例では、逸脱擬音よりも高周波数成分が多い)、ランブルストリップス音の擬音の連続音(逸脱危険物擬音)を第1スピーカー11aの音量が第2スピーカー11bの音量よりも大きくなるように生成して、その連続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。
【0038】
さらに、図6(a)に示すように、車両Vが走行車線Lから車両V左方に逸脱すると推定された後、さらに、右カーブC(危険対象物)が車両V前方に存在すると判定されたときは、例えば、図6(b)に示すように、まず、波形が矩形の、ランブルストリップス音の擬音の連続音(逸脱擬音)を第2スピーカー11bの音量が第1スピーカー11aの音量よりも大きくなるように生成して、その連続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させて、その後、右カーブCが車両V前方に存在すると判定されたときに、波形が三角形状の、ランブルストリップス音の擬音(逸脱危険物擬音)を生成して、その音を上記逸脱擬音とは出力位置が異なるようにスピーカー11に出力させる。この例では、第1スピーカー11a、第3スピーカー11c、第4スピーカー11d、第2スピーカー11bの順に出力させる(即ち、ステアリングホイール5を操舵すべき方向のスピーカー11の順に出力させる)。尚、上記のように、車両V左前方の第2スピーカー11bの音量を車両V右前方の第1スピーカー11aの音量よりも大きくしているのは、車両Vがその前方のうち左前方から逸脱しそうと推定されていることを知らせるためである(以下、同じ)。
【0039】
さらにまた、図7(a)に示すように、車両Vが走行車線Lから車両V左方に逸脱すると推定された後、さらに、右カーブC(危険対象物)が車両V前方に存在すると判定されたときは、例えば、図7(b)に示すように、まず、波形が矩形の、ランブルストリップス音の擬音の連続音(逸脱擬音)を第2スピーカー11bの音量が第1スピーカー11aの音量よりも大きくなるように生成して、その連続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させて、その後、右カーブCが車両V前方に存在すると判定されたときに、ランブルストリップス音の擬音を、同じ周期で第1及び第2スピーカー11a,11bの音量が徐々に大きくなりかつ第3及び第4スピーカー11c,11dの音量が徐々に小さくなる(即ち、同じ周期で音の出力位置があたかも車両V後方から前方から移動する)ように生成して、その音を第1〜第4スピーカー11a〜11dに出力させる。つまり、各スピーカー11の音量配分を変化させる。
【0040】
また、擬音生成出力部19dは、逸脱危険物擬音の出力後(即ち、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に高いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物の危険度が相対的に高いと判定された後)、室内カメラ9により検出された運転者の視線が危険対象物に向いたときには、逸脱危険物擬音の出力を停止させるようになっている。
【0041】
上記学習制御部19eは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に低いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検知されないときには、運転者に車両Vの逸脱と上記逸脱擬音とは関係があることを学習させるため、逸脱擬音をスピーカー11に出力させるべく、擬音生成出力部19dを制御するようになっている。尚、この学習用の逸脱擬音の具体的な出力方法は、上記した、警告用の逸脱擬音の具体的な出力方法と同様である。
【0042】
また、学習制御部19eは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に低いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物の危険度が相対的に低いと判定されたときには、運転者に車両Vの逸脱及び危険対象物と上記逸脱危険物擬音とは関係があることを学習させるため、逸脱危険物擬音をスピーカー11に出力させるべく、擬音生成出力部19dを制御するようになっている。尚、この学習用の逸脱危険物擬音の具体的な出力方法は、上記した、警告用の逸脱危険物擬音の具体的な出力方法と同様である。
【0043】
上記効果検出部19fは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に低いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検知されないときにスピーカー11に出力させた上記逸脱擬音に対する、運転者の反応を検出するようになっている。具体的には、例えば、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に低いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検知されないときにスピーカー11に逸脱擬音を出力させてから、運転者がその逸脱を回避するためステアリングホイール5を操舵するまでの操舵反応時間を計測する。
【0044】
そして、効果検出部19fは、検出した運転者の反応が相対的に鈍い場合(この例では、上記操舵反応時間が所定時間以上である場合)、その後、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に高いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検知されないとき又は危険対象物の危険度が相対的に低いと判定されたときには、擬音生成出力部19dにより逸脱擬音をスピーカー11に出力させるのに加えて又は代えて、LED15をステアリングホイール5を操舵すべき方向に向かって順に点灯させる又はステアリングホイール5の操舵時に操舵トルクモータ17を作動させるようになっている。図8は、LED15をステアリングホイール5を操舵すべき方向(図の例では右方向)に向かって順に点灯させた場合にそのLED15が発した光がフロントウインドガラスで反射されることにより生成された反射光を示している。
【0045】
また、効果検出部19fは、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に低いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物の危険度が相対的に低いと判定されたときにスピーカー11に出力させた上記逸脱擬音に対する、運転者の反応を検出するようになっている。具体的には、例えば、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に低いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物の危険度が相対的に低いと判定されたときにスピーカー11に逸脱擬音を出力させてから、室内カメラ9により検出された運転者の視線が危険対象物に向くまでの前方視認反応時間を計測する。
【0046】
そして、効果検出部19fは、検出した運転者の反応が相対的に鈍い場合(この例では、上記前方視認反応時間が所定時間以上である場合)、その運転者の反応(この例では、前方視認反応時間)に基づいて、逸脱危険物擬音の特性及び発生態様のうち少なくとも1つを適正化し(例えば、逸脱危険物擬音の出力タイミングを早くする)、その後、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に高いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物の危険度が相対的に高いと判定されたときには、その適正化した逸脱危険物擬音をスピーカー11に出力させるべく、擬音生成出力部19dを制御するようになっている。
【0047】
上記刷り込み制御部19gは、舵角センサ7によりステアリングホイール5の舵角が検出されたときには、サブリミナル効果のため、上記逸脱擬音を短時間(この例では、約50ミリ秒)だけスピーカー11に出力させるべく、擬音生成出力部19dを制御するようになっている。
【0048】
以下、図9のフローチャートを参照しながら、制御ユニット19の車線逸脱警報制御について説明する。
【0049】
まず、ステップS1では、各カメラ1,9の画像情報や各センサ3,7の検出情報が入力される。続くステップS2では、外界カメラ1の画像情報や車速センサ3の車速情報、舵角センサ7の舵角情報に基づいて、車両Vが走行車線Lから逸脱する可能性を予測する。続くステップS3では、外界カメラ1の画像情報に基づいて、車両V前方の危険対象物を検出する。続くステップS4では、車両Vが走行車線Lから逸脱する可能性が無いか否かを判定する。ステップS4の判定結果がYESで逸脱可能性が無いときはステップS5に進む一方、その判定結果がNOで逸脱可能性が有るときはステップS9に進む。
【0050】
ステップS5では、危険対象物が有りかつその危険度が高いか否かを判定する。ステップS5の判定結果がYESで危険対象物が有りかつその危険度が高い場合はステップS6に進む一方、その判定結果がNOで危険対象物が無い又はその危険度が低い場合はステップS7に進む。
【0051】
ステップS6では、危険対象物の種類やその存在方位に応じた危険物擬音をスピーカー11に出力させる。具体的には、自転車が車両Vの右前方に存在する場合は、例えば、自転車のベル音の擬音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。また、歩行者Pが車両Vの右前方に存在する場合、例えば、人の叫び声や歩く音などの擬音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。
【0052】
続くステップS7では、舵角センサ7の舵角情報に基づいて、ステアリングホイール5の操舵が有ったか否かを判定する。ステップS7の判定結果がYESで操舵が有った場合はステップS8に進む一方、その判定結果がNOで操舵が無かった場合はスタートにリターンする。ステップS8では、サブリミナル効果用の逸脱擬音を短時間だけスピーカー11に出力させた後、スタートにリターンする。
【0053】
ステップS9では、車両Vが走行車線Lから逸脱する可能性が低いか否かを判定する。ステップS9の判定結果がYESで逸脱可能性が低い場合はステップS10に進む一方、その判定結果がNOで逸脱可能性が高い場合はステップS25に進む。
【0054】
ステップS10では、危険対象物が有りかつその危険度が高いか否かを判定する。ステップS10の判定結果がYESで危険対象物が有りかつその危険度が高い場合はステップS11に進む一方、その判定結果がNOで危険対象物が無い又はその危険度が低い場合はステップS12に進む。
【0055】
ステップS11では、ステップS6と同様、危険対象物の種類やその存在方位に応じた擬音をスピーカー11に出力させた後、ステップS7に進む。
【0056】
ステップS12では、危険対象物が有りかつその危険度が低いか否かを判定する。ステップS10の判定結果がYESで危険対象物が有りかつその危険度が低い場合はステップS13に進む一方、その判定結果がNOで危険対象物が無い場合はステップS19に進む。
【0057】
ステップS13では、逸脱危険物擬音をスピーカー11に出力させることにより運転者に車両Vの逸脱及び危険対象物と逸脱危険物擬音とは関係があることを学習させる学習(下記ステップS14〜S17を参照)をすでに複数回実施しているか否かを判定する。ステップS13の判定結果がNOで学習を1回実施した又は実施していない場合はステップS14に進む一方、その判定結果がYESで学習を複数回実施した場合はステップS18に進む。
【0058】
ステップS14では、学習用の逸脱危険物擬音をスピーカー11に出力させる。具体的には、下記ステップS28と同様である。
【0059】
続くステップS15では、室内カメラ9の画像情報に基づいて、ステップS14でスピーカー11に逸脱危険物擬音を出力させてから、運転者の視線が危険対象物に向くまでの前方視認反応時間を計測する。続くステップS16では、前方視認反応時間が所定時間以上であるか否かを判定する。ステップS16の判定結果がYESで所定時間以上である場合はステップS17に進む一方、その判定結果がNOで所定時間未満である場合はステップS7に進む。
【0060】
ステップS17では、下記ステップS26でスピーカー11に出力させる警報用の逸脱危険物擬音の出力パターンを変更させる。具体的には、例えば、逸脱危険物擬音の出力タイミングを早くさせる。その後、ステップS7に進む。
【0061】
ステップS18では、ステップS26でスピーカー11に出力させる警報用の逸脱危険物擬音の出力パターンを前方視認反応時間が最短となる出力パターンに固定させた後、ステップS7に進む。
【0062】
ステップS19では、逸脱擬音をスピーカー11に出力させることにより運転者に車両Vの逸脱と逸脱擬音とは関係があることを学習させる学習(下記ステップS20〜S23を参照)をすでに複数回実施しているか否かを判定する。ステップS19の判定結果がNOで学習を1回実施した又は実施していない場合はステップS20に進む一方、その判定結果がYESで学習を複数回実施した場合はステップS24に進む。
【0063】
ステップS20では、学習用の逸脱擬音をスピーカー11に出力させる。具体的には、下記ステップS29と同様である。
【0064】
続くステップS21では、舵角センサ7の舵角情報に基づいて、ステップS20でスピーカー11に逸脱擬音を出力させてから、運転者がステアリングホイール5を操舵するまでの操舵反応時間を計測する。続くステップS22では、操舵反応時間が所定時間以上であるか否かを判定する。ステップS22の判定結果がYESで所定時間以上である場合はステップS23に進む一方、その判定結果がNOで所定時間未満である場合はステップS7に進む。
【0065】
ステップS23では、下記ステップS29でスピーカー11に逸脱擬音を出力させるのに追加又は変更して、LED15を点灯させる又はステアリングホイール5の操舵時にその操舵トルクを補助する。尚、上記追加又は変更に代えて、ステップS29でスピーカー11に出力させる逸脱擬音の出力タイミングを早くさせてもよい。その後、ステップS7に進む。
【0066】
ステップS24では、ステップS29での警報方法を操舵反応時間が最短となる警報方法に固定させた後、ステップS7に進む。
【0067】
ステップS25では、危険対象物が有りかつその危険度が高いか否かを判定する。ステップS25の判定結果がYESで危険対象物が有りかつその危険度が高い場合はステップS26に進む一方、その判定結果がNOで危険対象物が無い又はその危険度が低い場合はステップS29に進む。
【0068】
ステップS26では、警報用の逸脱危険物擬音をスピーカー11に出力させる。具体的には、車両Vが走行車線Lから車両V右方に逸脱すると推定された場合であって、対向車両W又は歩行者Pが車両Vの右前方に存在するときは、例えば、ランブルストリップス音の擬音の断続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。また、車両Vが走行車線Lから車両V右方に逸脱すると推定された場合であって、歩行者Pが車両Vの右前方に存在するときは、例えば、逸脱擬音よりも高周波数成分が多いランブルストリップス音の擬音の連続音を第1及び第2スピーカー11a,11bに出力させる。さらに、車両Vが走行車線Lから車両V左方に逸脱すると推定された場合であって、右カーブCが車両V前方に存在するときは、ランブルストリップス音の擬音をステアリングホイール5を操舵すべき右回り方向のスピーカー11の順に出力させる。さらにまた、車両Vが走行車線Lから車両V左方に逸脱すると推定された場合であって、右カーブCが車両V前方に存在するときは、例えば、ランブルストリップス音の擬音を、同じ周期で第1及び第2スピーカー11a,11bの音量が徐々に大きくなりかつ第3及び第4スピーカー11c,11dの音量が徐々に小さくなるように第1〜第4スピーカー11a〜11dに出力させる。尚、ステップS26でスピーカー11に出力させる逸脱危険物擬音の出力パターンは、ステップS17やステップS18で適正化されたものである。
【0069】
ステップS27では、室内カメラ9の画像情報に基づいて、運転者による危険対象物の視認が有ったか否かを判定する。ステップS27の判定結果がYESで視認が有った場合はステップS28に進む一方、その判定結果がNOで視認が無かった場合は逸脱危険物擬音をスピーカー11に出力させたままステップS7に進む。
【0070】
ステップS28では、警報用の逸脱危険物擬音の出力を中止させる。続くステップS29では、警報用の逸脱擬音をスピーカー11に出力させる、又はこれに追加若しくは変更して、LED15を点灯させる若しくはステアリングホイール5の操舵時にその操舵トルクを補助する。具体的には、車両Vが走行車線Lから車両V右方に逸脱すると推定された場合は、例えば、ランブルストリップス音の擬音の連続音を第1及び第2スピーカー11に出力させる、又はこれに追加若しくは変更して、LED15をステアリングホイール5を操舵すべき左方向に向かって順に点灯させる若しくはステアリングホイール5の操舵時にその操舵トルクを補助する。尚、ステップS29での警報方法は、ステップS23やステップS24で設定されたものである。
【0071】
続くステップS30では、ステアリングホイール5の操舵により、高かった、車両Vが走行車線から逸脱する可能性が低くなった又は無くなったか否かを判定する。ステップS30の判定結果がYESで逸脱可能性が低くなった又は無くなった場合はステップS31に進む一方、その判定結果がNOで逸脱可能性が高いままの場合は逸脱擬音をスピーカー11に出力させたままステップS7に進む。
【0072】
ステップS31では、警報用の逸脱擬音の出力を中止させた後、ステップS7に進む。
【0073】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱が予測されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検出されたときには、擬音生成出力部19dにより、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱が予測されたときに発生させる逸脱擬音とは特性又は発生態様が異なる逸脱危険物擬音を発生させるので、危険対象物にも運転者の注意を向かせることができる。
【0074】
また、逸脱危険物擬音の発生後、室内カメラ9により検出された運転者の視線が危険対象物に向いたときには、擬音生成出力部19dにより、逸脱危険物擬音の発生を停止させるので、危険対象物に運転者の注意を向かせた後、逸脱危険物擬音を不必要に発生させるのを抑制することができ、運転者に煩わしさを感じさせるのを抑制することができる。
【0075】
また、逸脱危険物擬音は、逸脱擬音とは連続特性、周波数特性、又は発生位置が異なるので、危険対象物にも運転者の注意を確実に向かせることができる。
【0076】
また、逸脱可能性推定部19cにより予測された車両Vの逸脱の可能性が低くかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検出されていないときには、擬音生成出力部19dにより、逸脱擬音を発生させるので、運転者に車両Vの逸脱と逸脱擬音とは関係があることを学習させることができ、逸脱擬音を発生させてから運転者が反応するまでの反応時間を短くすることができる。
【0077】
また、効果検出部19fにより検出された運転者の反応が鈍い場合、その後、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱が予測されたときには、逸脱擬音を発生させるのに加えて又は代えて、効果検出部19fにより、LED15を点灯させる又は操舵トルクモータ17を作動させるので、音に対する反応が鈍い運転者の注意を車両Vの逸脱に向けさせることができる。
【0078】
また、効果検出部19fにより、ダッシュボード13の上面上に車幅方向に並設された複数のLED15,…をステアリングホイール5を操舵すべき方向に向かって順に点灯させるので、運転者にステアリングホイール5を操舵すべき方向に操舵させることができる。
【0079】
また、逸脱可能性推定部19cにより予測された車両Vの逸脱の可能性が低くかつ危険対象物検出部19bにより検出された危険対象物の危険度が低いときには、擬音生成出力部19dにより、逸脱危険物擬音を発生させるので、運転者に車両Vの逸脱及び危険対象物と逸脱危険物擬音とは関係があることを学習させることができ、逸脱危険物擬音を発生させてから運転者が反応するまでの反応時間を短くすることができる。
【0080】
また、擬音生成出力部19dにより、効果検出部19fにより検出された運転者の反応に基づいて、逸脱危険物擬音の特性及び発生態様のうち少なくとも1つを適正化し、その後、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱が予測されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検出されたときには、その適正化した逸脱危険物擬音を発生させるので、運転者の反応特性に適した逸脱危険物擬音を発生させることができる。
【0081】
また、舵角センサ7により操舵が検出されたときには、擬音生成出力部19dにより、逸脱擬音を運転者が知覚することができない程度に発生させるので、操舵と逸脱擬音とは関係があることを運転者の意識に刷り込むことができ、逸脱擬音を発生させてから運転者が操舵するまでの反応時間を短くすることができる。
【0082】
(その他の実施形態)
上記逸脱危険物擬音は、上記実施形態のものに限らず、上記逸脱擬音と特性及び発生態様のうち少なくとも1つが異なっていればよい。
【0083】
また、上記実施形態では、操舵反応時間が所定時間以上である場合、その後、逸脱可能性推定部19cにより車両Vの逸脱可能性が相対的に高いと推定されかつ危険対象物検出部19bにより危険対象物が検知されないとき又は危険対象物の危険度が相対的に低いと判定されたときには、逸脱擬音をスピーカー11に出力させるのに加えて又は代えて、LED15を点灯させる又はステアリングホイール5の操舵時に操舵トルクモータ17を作動させているが、LED15の点灯及び操舵トルクモータ17の作動の両方を行ってもよい。
【0084】
さらに、上記実施形態では、LED15を点灯させることにより運転者の視覚に訴える警報を行っているが、これに限らず、例えば、画像を映し出すことにより運転者の視覚に訴える警報を行ってもよい。
【0085】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0086】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明にかかる車両の車線逸脱警報装置は、車両の逸脱が予測されかつ車両の周囲の危険対象物が検出されたときに、危険対象物にも注意を向かせることが必要な用途等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施形態に係る車線逸脱警報装置を搭載した車両を示す概略上面図である。
【図2】車線逸脱警報装置を示すブロック図である。
【図3】(a)は、車両の車線からの逸脱が予測されたときの様子を示す概略上面図であり、(b)は、車両の車線からの逸脱が予測されたときにスピーカーに発生させる警報音の波形を示す図である。
【図4】(a)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方の対向車両が検出されたときの様子を示す概略上面図であり、(b)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方の対向車両が検出されたときにスピーカーに発生させる警報音の波形を示す図である。
【図5】(a)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方の歩行者が検出されたときの様子を示す概略上面図であり、(b)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方の歩行者が検出されたときにスピーカーに発生させる警報音の波形を示す図であり、(c)は、車両の車線からの逸脱が予測されたときにスピーカーに発生させる警報音、及び車両の車線からの逸脱が予測されかつ車両前方の歩行者が検出されたときにスピーカーに発生させる警報音の周波数特性を示すグラフ図である。
【図6】(a)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方のカーブが検出されたときの様子を示す概略上面図であり、(b)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方のカーブが検出されたときにスピーカーに発生させる警報音の波形を示す図である。
【図7】(a)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方のカーブが検出されたときの様子を示す概略上面図であり、(b)は、車両の車線からの逸脱が予測された後に車両前方のカーブが検出されたときにスピーカーに発生させる警報音の波形を示す図である。
【図8】LEDが発した光がフロントウインドガラスで反射されることにより生成された反射光を示す概略図である。
【図9】制御ユニットの車線逸脱警報制御を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0089】
A 車線逸脱警報装置
C カーブ(危険対象物)
L 走行車線
P 歩行者(危険対象物)
V 車両
W 対向車両(危険対象物)
1 外界カメラ
7 舵角センサ(操舵検出手段)
9 室内カメラ(視線検出手段)
11 スピーカー
13 ダッシュボード
15 LED(発光素子)
17 操舵トルクモータ
19 制御ユニット
19b 危険対象物検出部(危険対象物検出手段)
19c 逸脱可能性推定部(逸脱予測手段)
19d 擬音生成出力部(警報制御手段)
19e 学習制御部(警報制御手段)
19f 効果検出部(警報制御手段、反応検出部)
19g 刷り込み制御部(警報制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車線からの逸脱を予測する逸脱予測手段と、
上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されたときに、第1警報音を発生させる警報制御手段と、
上記車両の周囲の危険対象物を検出する危険対象物検出手段とを備えており、
上記警報制御手段は、上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されたときには、上記第1警報音とは特性及び発生態様のうち少なくとも1つが異なる第2警報音を発生させるように構成されていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両の車線逸脱警報装置において、
乗員の視線を検出する視線検出手段をさらに備えており、
上記警報制御手段は、上記第2警報音の発生後、上記視線検出手段により検出された乗員の視線が上記危険対象物に向いたときには、上記第2警報音の発生を停止させるように構成されていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両の車線逸脱警報装置において、
上記第2警報音は、上記第1警報音とは連続特性、周波数特性、音質特性、及び発生位置のうち少なくとも1つが異なることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。
【請求項4】
請求項1記載の車両の車線逸脱警報装置において、
上記警報制御手段は、上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されていないときには、上記第1警報音を発生させるように構成されており、
上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されていないときに上記警報制御手段により発生させた第1警報音に対する、上記乗員の反応を検出する反応検出手段をさらに備えていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両の車線逸脱警報装置において、
上記警報制御手段は、上記反応検出手段により検出された乗員の反応が鈍い場合、その後、上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されたときには、上記第1警報音を発生させるのに加えて又は代えて、上記乗員の視覚に訴える警報及びステアリングホイールの操舵トルクをアシストする操舵トルクアシストのうち少なくとも一方を行わせるように構成されていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。
【請求項6】
請求項5記載の車両の車線逸脱警報装置において、
上記警報制御手段は、ダッシュボードに車幅方向に並設された複数の発光素子を上記ステアリングホイールを操舵すべき方向に向かって順に点灯させることにより上記乗員の視覚に訴える警報を行わせるように構成されていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。
【請求項7】
請求項1記載の車両の車線逸脱警報装置において、
上記警報制御手段は、上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により検出された危険対象物の危険度が低いときには、上記第2警報音を発生させるように構成されており、
上記逸脱予測手段により予測された車両の逸脱の可能性が低くかつ上記危険対象物検出手段により検出された危険対象物の危険度が低いときに上記警報制御手段により発生させた第2警報音に対する、上記乗員の反応を検出する反応検出手段をさらに備えており、
上記警報制御手段は、上記反応検出手段により検出された乗員の反応に基づいて、上記第2警報音の特性及び発生態様のうち少なくとも1つを適正化し、その後、上記逸脱予測手段により車両の逸脱が予測されかつ上記危険対象物検出手段により危険対象物が検出されたときには、上記適正化した第2警報音を発生させるように構成されていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。
【請求項8】
請求項1記載の車両の車線逸脱警報装置において、
ステアリングホイールの操舵を検出する操舵検出手段をさらに備えており、
上記警報制御手段は、上記操舵検出手段により操舵が検出されたときには、上記第1警報音を乗員が知覚することができない程度に発生させるように構成されていることを特徴とする車両の車線逸脱警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−231337(P2010−231337A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76212(P2009−76212)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】