説明

車両ホイール用タイヤを構築するためのプロセスおよびプラント

車両ホイール用タイヤを構築するためのプラント、方法、およびプロセスが開示され、前記構築プロセスは、カーカス構造構築ライン(2)において行われる以下のステップを含む:a)支持リングを関連付けるための作業ステーション(8)において、一対の支持リング(4)を形成ドラム(6)に関連付けるステップと;b)カーカス構造構築ライン(2)の少なくとも1つの作業ステーションにおいて、加工対象タイヤの少なくとも1つの構造コンポーネントを、前記対をなす支持リング(4)が提供された形成ドラム(6)上に構築するステップと;c)支持リングを除去するための作業ステーション(9)において、対をなす支持リング(4)を形成ドラム(6)から除去するステップと;d)支持リングのための一時格納庫(7)において、形成ドラム(6)から関連解除された対をなす支持リング(4)を搬送するステップと;e)カーカス構造構築ライン(2)の作業ステーションにおいて、加工対象タイヤの少なくとも1つのさらなる構造コンポーネントを、対をなす支持リング(4)を伴わない形成ドラム(6)上に構築するステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ホイール用タイヤを構築するための方法およびプロセスに関する。
【0002】
また、本発明は、上述のプロセスを行うために使用可能な、車両ホイール用タイヤを構築するためのプラントにも関する。
【背景技術】
【0003】
タイヤ生産サイクルは、タイヤ自体の様々なコンポーネントが1つ以上の組立ラインにおいて作製および/または組立される構築プロセスの後に、所望されるトレッドのジオメトリおよび設計に従うタイヤ構造を規定するために適した好適な加硫ラインにおいて、モールドおよび加硫プロセスが行われることを想定している。
【0004】
タイヤは、一般に、実質的に径方向の平面(径方向平面はタイヤの回転軸心を含む)に在する補強コードで強化された、1つ以上のカーカスプライを含むトロイダルリング形状のカーカスを含む。各カーカスプライは、その端部が、ビードコアとして知られる少なくとも1つの金属補強環状構造に一体的に関連付けられており、かかる構造は、ビード、すなわちタイヤの径方向内側端の補強を構成し、かかるビードは、タイヤを対応する装着リムに組み付けることを可能にする機能を有する。前記カーカスに対してクラウン方向に、トレッドバンドと呼ばれるエラストマ材料のバンドが配置され、かかるトレッドバンド内に、モールドおよび加硫プロセスの最後に、地面と接触するための隆起パターンが形成される。カーカスとトレッドバンドとの間には、一般にベルト構造として知られる補強構造が配される。かかる構造は、通常、自動車用タイヤの場合、通常は金属製の補強コードが設けられた、少なくとも2つの径方向に重なるゴム引き生地のストリップを含み、かかる補強コードは、各ストリップにおいて互いに平行に編成されるとともに、隣接するストリップのコードと交差しており、好ましくはタイヤの赤道面に対して対称的に配されている。好ましくは、ベルト構造は、さらに、径方向外側位置に、少なくとも、下にあるベルトストリップの端部に、周方向に(0度に)配された繊維または金属のコードの第3層も含む。
【0005】
最後に、チューブレスタイプのタイヤでは、タイヤ自体の気密性を保証するための不透過性特長を有する、ライナと呼ばれる径方向内側層が存在する。
【0006】
本発明の目的でおよび後続の請求項において、「エラストマ材料」との用語は、少なくとも1つのエラストマ重合体と少なくとも1つの補強フィラとを含む組成物を意図する。好ましくは、かかる組成は、さらに、架橋剤および/または可塑剤などの添加剤を含む。架橋剤により、最終製造物を形成するように、かかる材料を、加熱により架橋させてもよい。
【0007】
本文脈において、「グリーンタイヤ」との用語は、構築プロセスによって得られた、まだモールドおよび加硫されていないタイヤを示す。
【0008】
本説明および後続の請求項において、「基本コンポーネント」とは、下記のうちの少なくとも1つの形態の基本的な半完成品を意味する:エラストマ材料の連続伸長要素;エラストマ材料で被覆されたゴム引き金属または繊維の補強コード;以下で「ストリップ状要素」と呼ぶ、少なくとも2つの繊維または金属のコードを含む適切なサイズに切断されたエラストマ材料のリボン状要素。
【0009】
本説明および後続の請求項において、タイヤの「構造コンポーネント」とは、タイヤの機能またはその一部分を行うために適したタイヤのいずれかの一部を意味する。例えば、構造コンポーネントには、例えば、ライナ、アンダーライナ、耐摩耗性要素、ビードコア、ビードフィラ、カーカスプライ、ベルトストリップ、ベルト下層、トレッドバンド下層、側壁インサート、側壁、トレッドバンド、補強インサートがある。
【0010】
本説明および後続の請求項において、「管理する」との用語は、構築プラント内における移動、または構築中の待機状態における支持および/もしくは保持の操作を意味する。
【0011】
同じ出願人による国際公開第2009/040594号は、車両ホイール用タイヤを生産するためのプラントおよびプロセスを記載しており、前記プロセスは:
a)カーカス構造を組み立てるための少なくとも1つのラインにおいて、第1の形成ドラム上にグリーンタイヤのカーカス構造を構築するステップであって、前記カーカス構造は、少なくとも1つのカーカスプライと一対の係止環状構造とを含む、ステップと;
b)クラウン構造を構築するための少なくとも1つのラインにおいて、少なくとも1つの第2の形成ドラム上にグリーンタイヤのクラウン構造を構築するステップであって、前記クラウン構造は、少なくとも1つのベルト構造とトレッドバンドとを含む、ステップと;
c)加工対象タイヤを組立および成形するための少なくとも1つのステーションにおいて、前記カーカス構造を前記クラウン構造に組み付けて前記カーカス構造をトロイダル成形するステップであって、前記組立および成形ステーションは、カーカス構造を構築するための前記ラインおよびクラウン構造を構築するための前記ラインと同期されている、ステップと;を含み、
各カーカス構造は、それぞれの第1の形成ドラムに関連付けられ、かかる第1の形成ドラム上で、加工対象タイヤの成形および組立ステップc)の最後まで構築され;
d)前記組立および成形ステーションとは別のタイヤをモールドおよび加硫するための少なくとも1つのラインにおいて、成形されたグリーンタイヤをモールドおよび加硫するステップと;を含む。
【0012】
同じ出願人による国際公開第2008/099236号は、タイヤを構築するための形成ドラムを記載しており、かかる形成ドラムは、少なくとも1つの外側表面を有するとともに、軸方向反対側において形成ドラムに近付くように除去可能に移動させることが可能であり外側表面の遂行において軸方向に延在するそれぞれの支持表面を有する補助支持要素が設けられている。
【発明の概要】
【0013】
国際公開第2009/040594号に記載のタイプのプラントでは、形成ドラムに対して軸方向外側のゾーンにおいて基本コンポーネントを施す必要があることがよくある。そのため、支持しなければ収縮するであろうかかる基本コンポーネントを形成ドラム自体の周囲に支持することが必要である。この目的で、出願人は、国際公開第2008/099236号に記載のタイプの形成ドラムおよび補助支持要素を用いることが可能であることに気が付いた。
【0014】
出願人は、さらに、この種の構築プラントにおいて、形成ドラムとそれらに関連付け可能な補助支持要素とを用いた場合、ドラムの搬送の管理が、関連する補助支持要素の搬送の管理も含むため、複雑になることがよくあることを確認した。
【0015】
その上、かかる場合、プラントの適正な操業およびプラントの好適な保守を保証するために容易に移動可能であるべきはずのオペレータが、作業ステーションにアクセスし難い。
【0016】
出願人は、国際公開第2008/099236号に記載のタイプの形成ドラムおよび補助支持要素を用いて国際公開第2009/040594号に記載のタイプのプロセスによりタイヤを構築するため、および扱いにくいプラントとなることを防止するとともに各作業ステーションへの良好なアクセス性を達成するため、支持要素が必要とされない場合は、これら支持要素を除去および管理するためのステップを提供することが必要であることを認識した。
【0017】
出願人は、上述の問題が、ドラムとそれらに対して関連付け可能および関連解除可能な補助支持要素とを含む構築プラントによりタイヤを構築するための方法であって、少なくとも1つの形成ドラムと、少なくとも一対の支持リングと、一対の支持リングに関連付けられた少なくとも1つの形成ドラムとの管理が、前記構築プラントの定常操業状態において、互いに独立してかつ同時に行われる方法を用いることにより、解決することが可能であることを見出した。
【0018】
より詳細には、本発明の第1の態様によれば、本発明は、構築プラントにおいて車両ホイール用タイヤを構築するための方法に関し、構築プラントは、前記タイヤが上に構築される複数の形成ドラムと、前記複数の形成ドラムのうちの少なくとも1つに除去可能に関連付け可能な複数対の支持リングとを含み、前記方法は:
a’)前記複数の形成ドラムのうち、支持リングが提供されていない少なくとも1つの形成ドラムを管理するステップと;
b’)前記複数対の支持リングのうち、それぞれの形成ドラムから関連解除された少なくとも一対の支持リングを管理するステップと;
c’)前記複数対の支持リングのうちの一対の支持リングに関連付けられた、前記複数の形成ドラムのうちの少なくとも1つの形成ドラムを管理するステップと;を含み、
前記操作a’)、b’)、およびc’)の各々は、前記構築プラントの定常操業状態において、残りの操作a’)、b’)、およびc’)に対して独立してかつ同時に行われる。
【0019】
出願人は、上記解決策により、様々な構築ステップにおいて形成ドラムに対して関連付けおよび関連解除される支持リング自体の管理が形成ドラムの管理とは別々になるが、動作的には関連付けられ、スペースとプラントの構築ラインに沿った構築操作とが最適化されると考える。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、車両ホイール用タイヤを構築するための構築プラントに関し、構築プラントは、前記タイヤが上に構築される形成ドラムと、前記タイヤを構築する際に前記形成ドラムと協働するために適した対をなす支持リングとを含む一組の要素を含み、構築プラントの定常操業状態において:
i)支持リングが提供されていない形成ドラムと;
ii)それぞれの形成ドラムから関連解除された対をなす支持リングと;
iii)対をなす支持リングに関連付けられた形成ドラムと;の3つの要素のサブセットが存在し、
前記サブセットi)、ii)、およびiii)の各々は、残りのサブセットi)、ii)、およびiii)に対して物理的に別々で独立している。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、本発明は、車両ホイール用タイヤを構築するためのプロセスに関し、各タイヤは、少なくとも1つのカーカスプライと一対の係止環状構造とを有するカーカス構造を含み、前記構築プロセスは、カーカス構造構築ラインにおいて行われる:
a)支持リング関連付け作業ステーションにおいて、一対の支持リングを形成ドラムに関連付けるステップと;
b)カーカス構造構築ラインの少なくとも1つの作業ステーションにおいて、加工対象タイヤの少なくとも1つの構造コンポーネントを、前記対をなす支持リングが提供された形成ドラム上に構築するステップと;
c)支持リング除去作業ステーションにおいて、対をなす支持リングを形成ドラムから除去するステップと;
d)支持リング一時格納庫において、形成ドラムから関連解除された対をなす支持リングを搬送するステップと;
e)カーカス構造構築ラインの作業ステーションにおいて、加工対象タイヤの少なくとも1つのさらなる構造コンポーネントを、対をなす支持リングを伴わない形成ドラム上に構築するステップと;を含む。
【0022】
本発明は、上記態様の少なくとも1つにおいて、後続の好適な特長のうちの少なくとも1つを示すことが可能である。
【0023】
好ましくは、前記操作a’)は:
− 少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に少なくとも一対の係止環状構造を付与用するステップと;
− 耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するステップと;
− 加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分を付与するステップと;の構造コンポーネント構築ステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
好ましくは、前記操作b’)は:
− 1つの支持リング除去作業ステーションからの前記少なくとも一対の支持リングをそれぞれの形成ドラムから支持リング一時格納庫に搬送するステップと;
− 前記少なくとも一対の支持リングを、支持リング一時格納庫から、支持リングをそれぞれの形成ドラムに関連付けるための作業ステーションに搬送するステップと;のステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
好ましくは、前記操作c’)は、ビード補強生地、耐摩耗性要素の少なくとも一部分、ライナ、アンダーライナ、自己封止材の層、少なくとも1つの第1のカーカスプライ、前記第1のカーカスプライに関連付けられた内側補強体、前記第1のカーカスプライと前記内側補強体との間に編成された中間要素、の構造コンポーネントのうちの少なくとも1つを構築するステップを含む。
【0026】
好ましくは、本発明によるプラントにおいて、サブセットii)の要素の数がサブセットi)の要素の数よりも大きい。このようにすると、各形成ドラムについて、作製するタイヤの種類に最も適した対をなす支持リングを選定することが可能であり、高い技術的柔軟性を得ることができる。
【0027】
代替として、サブセットii)の要素の数がサブセットi)の要素の数と同等であることも可能である。この場合、各形成ドラムと対をなす支持リングとの間の一対一接続を保証することが可能である。換言すれば、各形成ドラムが、かかる形成ドラムに適した一対の支持リングに一対一で関連付け可能であることを保証することが可能である。
【0028】
代替として、構築プラントの投資および保守コストを低減するように、サブセットii)の要素の数がサブセットi)の要素の数よりも小さいことも可能である。
【0029】
本発明の車両ホイール用タイヤを構築するためのプラントにおいて、各タイヤは、少なくとも1つのカーカスプライと一対の係止環状構造とを有するカーカス構造を含み、前記プラントはカーカス構造構築ラインを含み、カーカス構造構築ラインは、次いで:
前記形成ドラムと;
前記形成ドラムに除去可能に関連付け可能な前記対をなす支持リングと;
前記対をなす支持リングのうちの少なくとも1つをそれぞれの形成ドラムに関連付けるための少なくとも1つの装置を含む少なくとも1つの支持リング関連付け作業ステーションと;
前記対をなす支持リングのうちの少なくとも1つを形成ドラムから除去するための少なくとも1つの装置を含む少なくとも1つの支持リング除去作業ステーションと;を含むと有利である。
【0030】
プラントは、前記カーカス構造構築ラインにおいて、対をなす支持リングから関連解除された形成ドラムを支持リング除去作業ステーションからカーカス構造構築ラインの作業ステーションに搬送するために適した第1の搬送装置を含むと有利である。
【0031】
プラントは、前記カーカス構造構築ラインにおいて、形成ドラムから関連解除された対をなす支持リングを支持リング一時格納庫に搬送するために適した第2の搬送装置を含むと有利である。
【0032】
本発明の構築プロセスの好適な実施形態によれば、ステップa)の後に:
a1)対をなす支持リングに関連付けられた前記形成ドラムをカーカス構造構築ラインの1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するステップ;が行われる。
【0033】
好ましくは、構築プロセスは、ステップc)の前に:
b1)支持リング除去作業ステーションにおいて、対をなす支持リングに関連付けられた形成ドラムを搬送するステップ;を含む。
【0034】
構築プロセスは、ステップc)の後に:
c1)対をなす支持リングを伴わない形成ドラムを支持リング除去作業ステーションからカーカス構造構築ラインの作業ステーションに搬送するステップ;および/または
c2)対をなす支持リングを伴わない形成ドラムをカーカス構造構築ラインの1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するステップ;を含むと有利である。
【0035】
本発明の好適な実施形態によれば、構築プロセスは、ステップd)の後に:
d1)対をなす支持リングを支持リング一時格納庫から支持リング関連付け作業ステーションに搬送するステップ;を含む。
【0036】
好ましくは、ステップb1)とステップc1)との間の少なくとも1つは、第1の搬送装置により行われる。
【0037】
ステップd)とステップd1)との間の少なくとも1つは、第2の搬送装置により行われると有利である。
【0038】
さらに好ましくは、前記第2の搬送装置は第1の搬送装置と異なる。
【0039】
好ましくは、前記第1の搬送装置と前記第2の搬送装置との間の少なくとも1つは、ロボットアームを含む。
【0040】
本発明のプロセスの好適な実施形態によれば、ステップb)は:
− 形成ドラムに対して径方向外側かつ少なくとも部分的に軸方向外側の位置に少なくとも1つのビード補強生地を付与するステップと;
− 耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するステップと;
− 前記形成ドラムに対して径方向外側の位置にライナ層を付与するステップと;
− 前記ライナに対して径方向外側の位置にアンダーライナ層を付与するステップと;
− アンダーライナ層に対して径方向外側の位置に自己封止材層を付与するステップと;
− 前記形成ドラムに対して径方向外側の位置に少なくとも第1のカーカスプライを付与するステップと;
− 前記少なくとも1つのカーカスプライに複数の内側補強体を付与するステップと;
− 前記少なくとも1つのカーカスプライと前記複数の内側補強体との間に複数の第1の中間要素を付与するステップと;の構造コンポーネント構築ステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0041】
好ましくは、ステップe)は:
− 前記少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に少なくとも一対の係止環状構造を付与するステップと;
− 耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するステップと;
− 前記加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分を付与るステップと;の構造コンポーネント構築ステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0042】
さらに好ましくは、係止環状構造を付与するステップは:
− 前記少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に係止環状構造を配置するステップと;
− 前記係止環状構造を含むフラップを形成するように前記少なくとも1つのカーカスプライの端部を前記少なくとも1つのカーカスプライ上に折り曲げるステップと;のサブステップを含む。
【0043】
また、本発明の構築プロセスは:
− 複数の作業ステーションを含む少なくとも1つのクラウン構造構築ラインにおいてクラウン構造を構築するステップであって、前記クラウン構造は少なくとも1つのベルト構造を含む、ステップ;も含むと有利である。
【0044】
好適な実施形態によれば、構築プロセスは:
− 加工対象タイヤを成形および組立するための少なくとも1つの作業ステーションにおいて、カーカス構造をクラウン構造に組み付けることによりカーカス構造をトロイダル成形するステップ;を含む。
【0045】
また、本発明は、上記のタイヤ構築プロセス後に、タイヤをモールドおよび加硫する少なくとも1つのラインにおいて、成形されたグリーンタイヤをモールドおよび加硫するステップを含む車両ホイール用タイヤを生産するためのプロセスも提供する。
【0046】
本発明の構築プラントの好適な実施形態によれば、第1の搬送装置は、対をなす支持リングが関連付けられている形成ドラムを、カーカス構造構築ラインの作業ステーションから支持リング除去ステーションに搬送するためにも適している。
【0047】
好ましくは、第2の搬送装置は、対をなす支持リングを支持リング一時格納庫から支持リング関連付け作業ステーションに搬送するためにも適している。
【0048】
また、第1の搬送装置は、対をなす支持リングから関連解除された形成ドラムを、カーカス構造構築ラインの1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するためにも適していると有利である。
【0049】
好ましくは、前記第1の搬送装置と前記第2の搬送装置との間の少なくとも1つは、ロボットアームを含む。
【0050】
本発明のプラントの好適な実施形態によれば、カーカス構造構築ラインは、形成ドラム一時格納庫をさらに含む。
【0051】
好ましくは、カーカス構造構築ラインは:
− 対をなす支持リングが形成ドラムから関連解除された後に、前記少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に少なくとも一対の係止環状構造を付与するための装置が設けられた、係止環状構造を付与するためのステーションと;
− 対をなす支持リングが形成ドラムから関連解除された後に、耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第1の耐摩耗付与ステーションと;
− 対をなす支持リングが形成ドラムから関連解除された後に、加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第1の側壁構築ステーションと;の作業ステーションのうちの少なくとも1つを含む。
【0052】
好適な実施形態によれば、カーカス構造構築ラインは、さらに:
− 一対の支持リングが関連付けられている形成ドラム上に少なくとも1つのビード補強生地を付与するための装置が設けられた、補強生地付与ステーションと;
− 一対の支持リングが関連付けられている前記形成ドラムに対して径方向外側の位置において、耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第2の耐摩耗付与ステーションと;
− 一対の支持リングが関連付けられている形成ドラムに対して径方向外側の位置において、ライナ層を付与するための装置が設けられた、ライナ付与ステーションと;
− 前記ライナに対して径方向外側の位置において、アンダーライナ層を付与するための装置が設けられた、アンダーライナ付与ステーションと;
− 形成ドラムに対して径方向外側の位置において、少なくとも1つの第1のカーカスプライを付与するための装置が設けられた、プライ付与ステーションと;
− 前記少なくとも1つのカーカスプライにおいて複数の第1の中間要素を付与するための装置が設けられた、第1の中間要素を付与するためのステーションと;
− 第1の中間要素において複数の内側補強体を適用するための装置が設けられた、内側補強体付与ステーションと;の作業ステーションのうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
好ましくは、カーカス構造構築ラインは、自己封止材の層を付与するための装置が設けられた、自己封止材を付与するためのステーションも含む。
【0054】
また、係止環状構造付与ステーションには、前記係止環状構造を含むフラップを形成するように前記少なくとも1つのカーカスプライの端部を前記少なくとも1つのカーカスプライ上に折り曲げるための装置も設けられると有利である。
【0055】
好適な実施形態によれば、本発明の構築プラントは、複数の作業ステーションを含む少なくとも1つのクラウン構造構築ラインであって、各クラウン構造は少なくとも1つのベルト構造を含む、クラウン構造構築ラインを含む。
【0056】
好ましくは、構築プラントは、カーカス構造を加工対象タイヤのクラウン構造に組み付けることによりカーカス構造を成形するために適した、加工対象タイヤを成形および組立するための少なくとも1つのステーションを含む。
【0057】
好ましくは、構築プラントは、前記カーカス構造構築ラインにおいて、支持リングに関連付けられたまたは関連付けられていない形成ドラムを、構造コンポーネントが構築される1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するために適した複数の搬送装置を含む。
【0058】
また、本発明は、上記のようにタイヤを構築するためのプラントとタイヤを成形および加硫する少なくとも1つのラインとを含む、タイヤを製造するためのプラントも提供する。
【0059】
本発明のさらなる特長および利点は、付属の図面を参照して非限定的な例を通じて行う、本発明によるタイヤを構築するためのプロセスおよびプラントのいくつかの好適な例の後続の説明からより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態による方法およびプロセスが実装される、車両ホイール用タイヤを構築するためのプラントの概略レイアウトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1を参照して、参照符号1は、全体として、本発明の好適な実施形態による車両ホイール用グリーンタイヤを構築するためのプラントを示している。
【0062】
図示の好適な実施形態において、かかる構築プラント1は、カーカス構造構築ライン2およびクラウン構造構築ライン3を含む。カーカス構造は、少なくとも1つのカーカスプライと一対の係止環状構造とを含み、クラウン構造は、少なくとも1つのベルト構造を含む。好ましくは、クラウン構造はトレッドバンドも含む。
【0063】
前記カーカス構造構築ライン2およびクラウン構造構築ライン3の各々は、複数の作業ステーションを含む。
【0064】
構築プラント1は、加工対象タイヤを成形および組立するためのステーション10を含み、かかるステーションにおいて、カーカス構造を加工対象タイヤのクラウン構造に組み付けることによりカーカス構造が成形される。
【0065】
カーカス構造構築ライン2は、少なくとも加工対象タイヤのカーカス構造が構築される少なくとも1つの形成ドラム6と、形成ドラム6に除去可能に関連付け可能な少なくとも一対の支持リング4とを含む。かかる支持リングは、加工対象タイヤのカーカス構造を構築する際に形成ドラム6と協働する。
【0066】
カーカス構造構築ライン2は、さらに、対をなす支持リング4を形成ドラム6に関連付けるために適した少なくとも1つの支持リング関連付けステーション8を含む。かかるステーションは、対をなす支持リング4を形成ドラム6に関連付けるための少なくとも1つの装置を含む。
【0067】
本発明によれば、カーカス構造構築ライン2は、対をなす支持リング4を形成ドラム6から除去するために適した少なくとも1つの支持リング除去ステーション9を含む。かかるステーションは、対をなす支持リング4を形成ドラム6から除去するための少なくとも1つの装置を含む。
【0068】
本発明によれば、カーカス構造構築ライン2は、さらに、第1の搬送装置R1と、第1の搬送装置R1と異なる第2の搬送装置R2とを含む。
【0069】
前記第1の搬送装置R1は、対をなす支持リング4から関連解除された形成ドラム6を、支持リング除去ステーション9からカーカス構造構築ライン2の作業ステーションに搬送するために適しており;前記第2の搬送装置R2は、形成ドラムから関連解除された対をなす支持リング4を支持リング一時格納庫7に搬送するために適している。
【0070】
また、第1の搬送装置R1は、対をなす支持リング4が関連付けられている形成ドラム6をカーカス構造構築ライン2の1つの作業ステーションから支持リング除去ステーション9に搬送するためにも適している。代替として、さらなる搬送装置を提供することが可能である。
【0071】
また、かかる第1の搬送装置R1は、対をなす支持リング4から関連解除された形成ドラム6をカーカス構造構築ライン2の1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するためにも適している。代替として、さらなる搬送装置を提供することが可能である。
【0072】
また、第2の搬送装置R2は、対をなす支持リング4を支持リング一時格納庫7から支持リング関連付けステーション8に搬送するためにも適している。この場合も、この機能を行うためにさらなる搬送装置を提供することが可能である。
【0073】
図示の好適な実施形態において、前記第1の搬送装置R1および前記第2の搬送装置R2は、ロボットアームを含む。
【0074】
カーカス構造構築ライン2は、さらに、形成ドラム6を一時的に格納するために適した形成ドラム一時格納庫5を含む。
【0075】
本発明の好適な実施形態によれば、カーカス構造構築ライン2は、さらに:
− 対をなす支持リングが形成ドラム6から関連解除された後に、前記少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に少なくとも一対の係止環状構造を付与するための装置が設けられた、係止環状構造を付与するためのステーション18と;
− 対をなす支持リングが形成ドラム6から関連解除された後に、耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第1の耐摩耗付与ステーション19と;
− 対をなす支持リングが形成ドラム6から関連解除された後に、加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第1の側壁構築ステーション20と;のうちの少なくとも1つを含む。
【0076】
好ましくは、係止環状構造を付与するためのステーション18には、また、前記係止環状構造を含むフラップを形成するように、前記少なくとも1つのカーカスプライの端部を前記少なくとも1つのカーカスプライ上に折り曲げるための装置も設けられる。
【0077】
また、図示のカーカス構造構築ライン2は、好ましくは:
− 一対の支持リングが関連付けられている形成ドラム上に少なくとも1つのビード補強生地を付与するための装置が設けられた、補強生地付与ステーション11と;
− 一対の支持リングが関連付けられている前記形成ドラムに対して径方向外側の位置において、耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第2の耐摩耗付与ステーション12と;
− 一対の支持リングが関連付けられている形成ドラムに対して径方向外側の位置において、ライナ層を付与するための装置が設けられた、ライナ付与ステーション13と;
− 前記ライナに対して径方向外側の位置において、アンダーライナ層を付与するための装置が設けられた、アンダーライナ付与ステーション14と;
− 形成ドラムに対して径方向外側の位置において、少なくとも第1のカーカスプライを付与するための装置が設けられた、プライ付与ステーション15と;
− 前記少なくとも1つのカーカスプライにおいて複数の第1の中間要素を付与するための装置が設けられた、第1の中間要素を付与するためのステーション16と;
− 第1の中間要素において複数の内側補強体を付与するための装置が設けられた、内側補強体付与ステーション17と;を含む。
【0078】
また、カーカス構造構築ライン2は、図示しない自己封止材の層を付与するための装置が設けられた、自己封止材を付与するためのステーションを含んでもよい。
【0079】
構築プラント1とともに完成品のタイヤを生産するためのプラントを形成する、タイヤモールドおよび加硫ラインを設けることが可能である。
【0080】
好ましくは、カーカス構造構築ライン2は、支持リング4に関連付けられたまたは関連付けられていない形成ドラム6を、構造コンポーネントが構築または組立される1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するために適した複数の搬送装置21(一部のみを図1に示す)を含む。
【0081】
さらに好ましくは、少なくとも1つの搬送装置21は、ロボットアームを含む。
【0082】
構築プラント1の下記の動作例において、そうでないと明記されていないときは、支持リング4に関連付けられたまたは関連付けられていない形成ドラム6の搬送が、上記搬送装置21により行われるものと理解される。
【0083】
前記構築プラント1は、さらに、特別な基本コンポーネント供給ステーションを通じてカーカス構造構築ライン2および/またはクラウン構造構築ライン3において供給されるために適した基本コンポーネントを準備するためのラインを含んでもよい。
【0084】
本発明によれば、車両ホイール用タイヤを構築するためのプラント1(前記タイヤが上に構築される形成ドラム6と、前記タイヤを構築する際に前記形成ドラム6と協働するために適した対をなす支持リング4とを含む一組の要素を含む)において、構築プラント1の定常操業状態において:
i)支持リング4が提供されていない形成ドラム6と;
ii)それぞれの形成ドラム6から関連解除された対をなす支持リング4と;
iii)対をなす支持リング4に関連付けられた形成ドラム6と;の3つの要素のサブセットが存在する。
【0085】
特に、本発明によれば、定常操業状態において、前記サブセットi)、ii)、およびiii)の各々は、残りのサブセットi)、ii)、およびiii)に対して物理的に別々で独立している。
【0086】
換言すれば、定常操業状態において、対をなす支持リング4から解放された形成ドラム6と、形成ドラム6から解放された対をなす支持リングと、対をなす支持リング4に関連付けられた形成ドラム6とを見出すことが可能である。
【0087】
サブセットi)、ii)、およびiii)の要素の数は、生産要件によって選択される。
【0088】
技術的柔軟性を重視する必要があれば、サブセットii)の要素の数をサブセットi)の要素の数よりも大きくする。投資および保守コストを低減すべきであれば、サブセットii)の要素の数をサブセットi)の要素の数よりも小さくなるように選定する。最後に、生産要件のためにサブセットi)の各要素がサブセットii)の要素に一対一で接続され、その逆も成り立つ必要があれば、上記数は等しくなければならない。このようにすると、実際、対応する形成ドラム6から一旦除去された支持リング4の各対は、同じ形成ドラム6に関連付けられるまで待機し続ける。
【0089】
ここで、図1に示す構築プラント1を参照して、本発明によるタイヤを構築するためのプロセスの好適な実施形態を説明する。
【0090】
支持リング関連付けステーション8に形成ドラム6が搬送される。同時に、ステップd1)に従い、第2の搬送装置R2が、支持リング一時格納庫7から一対の支持リング4を選択して拾い上げ、それを同じ支持リング関連付けステーション8に搬送する。
【0091】
上記支持リング関連付けステーション8において、支持リング4を形成ドラム6に関連付けるステップa)が行われる。
【0092】
続いて、対をなす支持リング4が提供された形成ドラム6が、補強生地付与ステーション11に搬送され、かかるステーションにおいて、ステップb)に従い、構造コンポーネントが構築され、本例では、形成ドラム6に対して径方向外側かつ少なくとも部分的に軸方向外側の位置に少なくとも1つのビード補強生地が構築される。
【0093】
その後、ステップa1)に従い、対をなす支持リング4が提供された形成ドラム6が、第2の耐摩耗付与ステーション12に搬送される。かかるステーションにおいて、形成ドラム6に対して径方向外側の位置に耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与することにより、さらなるステップb)が行われる。
【0094】
この時点で、対をなす支持リング4が提供された形成ドラム6が、ライナ付与ステーション13に搬送され、かかるステーションにおいて、形成ドラム6に対して径方向外側の位置にライナの層を付与することにより、さらなるステップb)が行われる。
【0095】
その後、対をなす支持リング4が提供された形成ドラム6が、アンダーライナ付与ステーション14に搬送され、かかるステーションにおいて、ライナ層に対して径方向外側の位置にアンダーライナの層が付与される。
【0096】
次いで、対をなす支持リング4が提供された形成ドラム6は、プライ付与ステーション15と、第1の中間要素付与ステーション16と、内側補強体付与ステーション17とに順に搬送され、かかるステーションにおいて、それぞれ、形成ドラム6に対して径方向外側の位置に少なくとも1つの第1のカーカスプライを付与するステップと、カーカスプライに複数の内側補強体を付与するステップと、カーカスプライと複数の内側補強体との間に複数の第1の中間要素を付与するステップとが行われる。
【0097】
その後、第1の搬送装置R1により、ステップb1)に従い、対をなす支持リング4が提供された形成ドラム6が、支持リング除去ステーション9に搬送される。
【0098】
ここでは、対をなす支持リング4を形成ドラム6から除去するステップc)が行われる。
【0099】
この時点で、形成ドラム6の搬送と対をなす支持リング4の搬送とが、別々で独立したものになる。実際、対をなす支持リング4を伴わない形成ドラム6は、第1の搬送装置R1により、ステップc1)に従い、係止環状構造付与ステーション18に搬送され、一方、形成ドラム6から関連解除された対をなす支持リング4は、第2の搬送装置R2により、ステップd)に従い、支持リング一時格納庫7に搬送される。
【0100】
本発明のプロセスのステップe)に従い、係止環状構造付与ステーションにおいて、少なくとも一対の係止環状構造がカーカスプライの軸方向対向端に付与される。特に、係止環状構造を、まず、カーカスプライの軸方向対向端に配置し、次いで、カーカスプライの端部をそれら自体の上または径方向最内側のプライ層上に折り曲げることにより得られるフラップを形成することによりカーカスプライにより取り囲む。
【0101】
そのため、ステップc2)に従い、形成ドラム6は、第1の耐摩耗付与ステーション19に搬送され、かかるステーションにおいて耐摩耗性要素の一部分が付与され、次いで、側壁構築ステーション20に搬送され、かかるステーションにおいて加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分が構築される。
【0102】
この時点で、形成ドラム6は、生産サイクルの要件に従い、待機位置に残してもよいし、成形および組立ステーション10に即座に搬送してもよい。
【0103】
成形および組立ステーション10において、カーカス構造は、トロイダル成形され、それまでの間にクラウン構造構築ライン3において構築された、かかるラインからの加工対象タイヤのクラウン構造に組み付けられる。
【0104】
次いで、形成ドラム6から成形されたタイヤを除去する。次いで、タイヤをモールドおよび加硫ラインに搬送し、完成品を得ることが可能である。
【0105】
この時点で、加工対象タイヤを伴わない形成ドラム6は、支持リング関連付けステーション8に直接搬送され、かかるステーションにおいて、一対の支持リング4に関連付けられ、生産要件によって、形成ドラム一時格納庫5に搬送されるか、または新たな構築サイクルを開始することが可能である。
【0106】
同時に、形成ドラム6から除去され支持リング一時格納庫7に搬送された対をなす支持リング4は、前記第2の搬送装置R2により、上記ステップd1)に従い、支持リング関連付けステーション8に搬送され、形成ドラム6に関連付けられ、新たな構築サイクルを開始する準備がなされる。
【0107】
上記構築プロセスは、同時に構築される複数のタイヤに対して同時に適用される。特に、上記のタイプのプロセスおよび構築プラント1の高い柔軟性のため、異なる種類のタイヤを同時に構築することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築プラントにおいて車両ホイール用タイヤを構築するための方法であって、前記構築プラントは、前記タイヤが上に構築される複数の形成ドラム(6)と、前記複数の形成ドラム(6)のうちの少なくとも1つに除去可能に関連付け可能な複数対の支持リング(4)とを含み、前記方法は:
a’)支持リングが提供されていない少なくとも1つの形成ドラム(6)を管理するステップと;
b’)前記それぞれの形成ドラム(6)から関連解除された少なくとも一対の支持リング(4)を管理するステップと;
c’)一対の支持リング(4)に関連付けられた少なくとも1つの形成ドラム(6)を管理するステップと;を含み、
前記操作a’)、b’)、およびc’)の各々は、前記構築プラントの定常操業状態において、残りの操作a’)、b’)、およびc’)に対して独立してかつ同時に行われる、方法。
【請求項2】
前記操作a’)は:
− 少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に少なくとも一対の係止環状構造を付与するステップと;
− 耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するステップと;
− 前記加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分を付与するステップと;の構造コンポーネント構築ステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記操作b’)は:
− 1つの支持リング除去作業ステーションからの前記少なくとも一対の支持リングを前記それぞれの形成ドラムから支持リング一時格納庫に搬送するステップと;
− 前記少なくとも一対の支持リングを、支持リング一時格納庫から、支持リングを前記それぞれの形成ドラムに関連付けるための作業ステーションに搬送するステップと;のステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記操作c’)は、ビード補強生地、耐摩耗性要素の少なくとも一部分、ライナ、アンダーライナ、自己封止材の層、少なくとも1つの第1のカーカスプライ、前記第1のカーカスプライに関連付けられた内側補強体、前記第1のカーカスプライと前記内側補強体との間に配された中間要素、の構造コンポーネントのうちの少なくとも1つを構築するステップを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
車両ホイール用タイヤを構築するための構築プラント(1)であって、前記構築プラント(1)は、前記タイヤが上に構築される形成ドラム(6)と、前記タイヤを構築する際に前記形成ドラム(6)と協働するために適した対をなす支持リング(4)とを含む一組の要素を含み、前記構築プラント(1)の定常操業状態において:
i)支持リング(4)が提供されていない形成ドラム(6)と;
ii)それぞれの形成ドラム(6)から関連解除された対をなす支持リング(4)と;
iii)対をなす支持リング(4)に関連付けられた形成ドラム(6)と;の3つの要素のサブセットが存在し、
前記サブセットi)、ii)、およびiii)の各々は、残りのサブセットi)、ii)、およびiii)に対して物理的に別々で独立している、構築プラント(1)。
【請求項6】
サブセットii)の要素の数がサブセットi)の要素の数よりも大きい、請求項5に記載の構築プラント(1)。
【請求項7】
サブセットii)の要素の数がサブセットi)の要素の数に等しい、請求項5に記載の構築プラント(1)。
【請求項8】
各タイヤは、少なくとも1つのカーカスプライと一対の係止環状構造とを有するカーカス構造を含み、前記プラントはカーカス構造構築ライン(2)を含み、前記カーカス構造構築ライン(2)は、次いで:
− 前記形成ドラム(6)と;
− 前記形成ドラム(6)に除去可能に関連付け可能な前記対をなす支持リング(4)と;
− 前記対をなす支持リング(4)のうちの少なくとも1つを前記それぞれの形成ドラム(6)に関連付けるための少なくとも1つの装置を含む少なくとも1つの支持リング関連付け作業ステーション(8)と;
− 前記対をなす支持リング(4)のうちの少なくとも1つを前記それぞれの形成ドラム(6)から除去するための少なくとも1つの装置を含む少なくとも1つの支持リング除去作業ステーション(9)と;を含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の構築プラント(1)。
【請求項9】
カーカス構造構築ライン(2)は:
−前記対をなす支持リング(4)から関連解除された前記形成ドラム(6)を前記支持リング除去作業ステーション(9)から前記カーカス構造構築ライン(2)の作業ステーションに搬送するために適した第1の搬送装置(R1);を含む、請求項8に記載の構築プラント(1)。
【請求項10】
カーカス構造構築ライン(2)は:
− 前記形成ドラムから関連解除された前記対をなす支持リング(4)を支持リング一時格納庫(7)に搬送するために適した第2の搬送装置(R2);を含む、請求項8または9に記載の構築プラント(1)。
【請求項11】
−前記第1の搬送装置(R1)は、前記対をなす支持リング(4)が関連付けられている前記形成ドラム(6)を前記カーカス構造構築ライン(2)の1つの作業ステーションから前記支持リング除去作業ステーション(9)に搬送するためにも適している;請求項9に記載の構築プラント(1)。
【請求項12】
− 前記第2の搬送装置(R2)は、前記対をなす支持リング(4)を前記支持リング一時格納庫(7)から前記支持リング関連付け作業ステーション(8)に搬送するためにも適している;請求項10に記載の構築プラント(1)。
【請求項13】
前記第1の搬送装置(R1)は、前記対をなす支持リング(4)から関連解除された前記形成ドラム(6)を前記カーカス構造構築ライン(2)の1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するためにも適している、請求項9に記載の構築プラント(1)。
【請求項14】
前記第1の搬送装置(R1)と前記第2の搬送装置(R2)との間の少なくとも1つは、ロボット化アームを含む、請求項9または10に記載の構築プラント(1)。
【請求項15】
前記カーカス構造構築ライン(2)は形成ドラム一時格納庫(5)をさらに含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の構築プラント(1)。
【請求項16】
前記カーカス構造構築ライン(2)は:
− 前記対をなす支持リング(4)が前記形成ドラム(6)から関連解除された後に、前記少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に少なくとも一対の係止環状構造を付与するための装置が設けられた、係止環状構造付与作業ステーション(18)と;
− 前記対をなす支持リング(4)が前記形成ドラム(6)から関連解除された後に、耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第1の耐摩耗付与作業ステーション(19)と;
− 前記対をなす支持リング(4)が前記形成ドラム(6)から関連解除された後に、前記加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分を付与するための装置が設けられた、第1の側壁構築作業ステーション(20)と;の作業ステーションのうちの少なくとも1つを含む、請求項8〜15のいずれか一項に記載の構築プラント(1)。
【請求項17】
前記カーカス構造構築ライン(2)は、自己封止材の層を付与するための装置が設けられた、自己封止材付与作業ステーションも含む、請求項8〜16のいずれか一項に記載の構築プラント(1)。
【請求項18】
− 複数の作業ステーションを含む少なくとも1つのクラウン構造構築ライン(3)であって、各クラウン構造は少なくとも1つのベルト構造を含む、クラウン構造構築ライン(3);を含む、請求項8〜17のいずれか一項に記載の構築プラント(1)。
【請求項19】
前記カーカス構造を前記加工対象タイヤの前記クラウン構造に組み付けることにより前記カーカス構造を成形するために適した、前記加工対象タイヤを成形および組立する少なくとも1つの作業ステーション(10);を含む、請求項18に記載の構築プラント(1)。
【請求項20】
前記カーカス構造構築ライン(2)は、前記支持リング(4)に関連付けられたまたは関連付けられていない前記形成ドラム(6)を、構造コンポーネントが構築される1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するために適した複数の搬送装置(21)を含む、請求項8〜19のいずれか一項に記載の構築プラント(1)。
【請求項21】
車両ホイール用タイヤを構築するためのプロセスであって、各タイヤは、少なくとも1つのカーカスプライと一対の係止環状構造とを有するカーカス構造を含み、前記構築プロセスは、カーカス構造構築ライン(2)において行われる:
a)支持リング関連付け作業ステーション(8)において、一対の支持リング(4)を形成ドラム(6)に関連付けるステップと;
b)前記カーカス構造構築ライン(2)の少なくとも1つの作業ステーションにおいて、前記加工対象タイヤの少なくとも1つの構造コンポーネントを、前記対をなす支持リング(4)が提供された前記形成ドラム(6)上に構築するステップと;
c)支持リング除去作業ステーション(9)において、前記対をなす支持リング(4)を前記形成ドラム(6)から除去するステップと;
d)支持リング一時格納庫(7)において、前記形成ドラム(6)から関連解除された前記対をなす支持リング(4)を搬送するステップと;
e)前記カーカス構造構築ライン(2)の作業ステーションにおいて、前記加工対象タイヤの少なくとも1つのさらなる構造コンポーネントを、前記対をなす支持リング(4)を伴わない前記形成ドラム(6)上に構築するステップと;を含む、構築プロセス。
【請求項22】
ステップa)の後に:
a1)前記対をなす支持リング(4)に関連付けられた前記形成ドラム(6)を前記カーカス構造構築ライン(2)の1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するステップ;を含む、請求項21に記載の構築プロセス。
【請求項23】
ステップc)の前に:
b1)支持リング除去作業ステーション(9)において、前記対をなす支持リング(4)に関連付けられた前記形成ドラム(6)を搬送するステップ;を含む、請求項21または22に記載の構築プロセス。
【請求項24】
ステップc)の後に:
c1)前記対をなす支持リング(4)を伴わない前記形成ドラム(6)を前記支持リング除去作業ステーション(9)から前記カーカス構造構築ライン(2)の作業ステーションに搬送するステップ;を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載の構築プロセス。
【請求項25】
ステップc)の後に:
c2)前記対をなす支持リング(4)を伴わない前記形成ドラム(6)を前記カーカス構造構築ライン(2)の1つの作業ステーションから次の作業ステーションに搬送するステップ;を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載の構築プロセス。
【請求項26】
ステップd)の後に:
d1)前記対をなす支持リング(4)を前記支持リング一時格納庫(7)から前記支持リング関連付け作業ステーション(8)に搬送するステップ;を含む、請求項21〜25のいずれか一項に記載の構築プロセス。
【請求項27】
ステップb1)は、第1の搬送装置(R1)を用いることにより行われる、請求項23に記載の構築プロセス。
【請求項28】
ステップc1)は、第1の搬送装置(R1)を用いることにより行われる、請求項24に記載の構築プロセス。
【請求項29】
ステップd)とステップd1)との間の少なくとも1つは、第2の搬送装置(R2)を用いることにより行われる、請求項26に記載の構築プロセスであって、かつ請求項27〜28のいずれか一項に記載の構築プロセス。
【請求項30】
前記第1の搬送装置(R1)と前記第2の搬送装置(R2)との間の少なくとも1つは、ロボット化アームを含む、請求項27〜29のいずれか一項に記載の構築プロセス。
【請求項31】
ステップe)は:
− 前記少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に少なくとも一対の係止環状構造を付与するステップと;
− 耐摩耗性要素の少なくとも一部分を付与するステップと;
− 前記加工対象タイヤの側壁の少なくとも一部分を付与するステップと;の構造コンポーネントを構築するためのステップの、少なくとも1つを含む、請求項21〜30のいずれか一項に記載の構築プロセス。
【請求項32】
前記係止環状構造を付与する前記ステップは:
− 前記少なくとも1つのカーカスプライの軸方向対向端に前記係止環状構造を配置するステップと;
− 前記係止環状構造を含むフラップを形成するように、前記少なくとも1つのカーカスプライの端部を前記少なくとも1つのカーカスプライ上に折り曲げるステップと;のサブステップを含む、請求項31に記載の構築プロセス。
【請求項33】
− 複数の作業ステーションを含む少なくとも1つのクラウン構造構築ライン(3)においてクラウン構造を構築するステップであって、前記クラウン構造は少なくとも1つのベルト構造を含む、ステップ;を含む、請求項21〜32のいずれか一項に記載の構築プロセス。
【請求項34】
− 前記加工対象タイヤを成形および組立するための少なくとも1つの作業ステーション(10)において、前記カーカス構造を前記クラウン構造に組み付けて前記カーカス構造をトロイダル成形するステップ;を含む、請求項33に記載の構築プロセス。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2013−501650(P2013−501650A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524296(P2012−524296)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001925
【国際公開番号】WO2011/018687
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(598164186)ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (123)
【Fターム(参考)】