説明

車両制御システム及び携帯機保持装置

【課題】本発明は、車両制御システム及び携帯機保持装置に関し、車載所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、携帯電話や携帯型オーディオ機器などの車両から独立して実現可能な所定機能の双方を有する携帯機を車両で使用するのに利便性を向上させることにある。
【解決手段】車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、車両から独立して実現可能な所定機能の双方を有する携帯機と、携帯機から送出されるIDコードを照合して所定機器を動作させる車載機器制御装置と、を備える車両制御システムにおいて、車室内に設けられた、携帯機が載置される保持手段と、その保持手段に内蔵された、その保持手段に載置された携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム及び携帯機保持装置に係り、特に、例えば携帯型音楽プレーヤなどの単体で実現可能な所定機能を有する携帯機に、例えばスマートキーなどの車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能を持たせた場合に、車両側でその携帯機から送出されるIDコードを照合して所定機器を動作せるうえで好適な車両制御システム、及び、車室内でその携帯機を載置するうえで好適な携帯機保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両使用者の有する携帯機と、車両に搭載される車載機との間で通信を行う車両制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両制御システムにおいては、車両に搭載された所定機器(例えば車両のドアロックや車両エンジン)を動作させるべく、携帯機が自己のIDコードを送出し、車載機が携帯機からのIDコードを照合する。従って、かかるシステムによれば、所定機器の動作をセキュリティ性を確保しつつ何ら操作を行うことなく実現させることが可能となる。また、この特許文献1には、上記の如くIDコードを送出する機能を有する携帯機が、携帯電話や携帯型オーディオ機器等の他の機能を持つ携帯機と一体的に構成されてもよいことが示唆されている。
【特許文献1】特開2007−150700号公報(特に、段落番号[0015])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、最近、上記した携帯電話や携帯型オーディオ機器等の機能を持つ携帯機が車室内に持ち込まれることを想定して、車室内にその携帯機を載置するホルダを設けた車両が現われ始めている。かかる構成においては、そのホルダに給電機能やオーディオなどのデータ入力機能などの携帯機に直接関係する機能を与えることで、その携帯機の充電や車載スピーカや車載ディスプレイを用いた出力などによって車両での利便性が向上することとなる。
【0004】
一方、上記したIDコードを送出する機能を有する携帯機は、通常、自携帯機の有する電池に蓄えられている電力を用いて、車載機側から送信されるリクエスト信号を受信し、そのリクエスト信号に応答してIDコードをその車載機へ向けて送出する。携帯機の電池の残量が無くなった場合は、その電池を新しいものと交換するのが一般的であるが、これでは、利便性に欠ける。また、この場合における緊急措置対応として、車両ドアのロック/アンロックを実現するためには車両ドアのキーシリンダに差し込むメカニカルキーを携帯機に内蔵してそのメカニカルキーをドアキーシリンダに差し込む操作を行うことが考えられ、また、車両エンジンを始動させるためには、車載機との間で電池不要のトランスポンダ通信を行う機能を携帯機に内蔵して車室内のパワースイッチにその携帯機を近づける操作を行うことが考えられるが、特に、この車両エンジン始動のためには車両使用者が自己の携帯する携帯機をパワースイッチにかざす操作を行うことが必要であり、車両使用者にとって判り辛い。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車載所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、携帯電話や携帯型オーディオ機器などの車両に関係なく単体で実現可能な所定機能の双方を有する携帯機を車両で使用するのに利便性を向上させた車両制御システム及び携帯機保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、車両に関係なく実現可能な所定機能の双方を有する携帯機と、前記携帯機から送出されるIDコードを照合して前記所定機器を動作させる車載機器制御装置と、を備える車両制御システムであって、車室内に設けられた、前記携帯機が載置される保持手段と、前記保持手段に内蔵され又は前記保持手段の近傍の車室内に設けられた、該保持手段に載置された前記携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段と、を備える車両制御システムにより達成される。
【0007】
また、上記の目的は、車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、車両に関係なく実現可能な所定機能の双方を有する携帯機と、前記携帯機から送出されるIDコードを照合して前記所定機器を動作させる車載機器制御装置と、を備える車両制御システムであって、車室内に設けられた、前記携帯機が載置される保持手段と、前記保持手段に内蔵され又は前記保持手段の近傍の車室内に設けられた、該保持手段に載置された前記携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段と、を備える車両制御システムにより達成される。
【0008】
また、上記の目的は、車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、使用者への表示出力又は音声出力を行う情報伝達機能の双方を有する携帯機と、前記携帯機から送出されるIDコードを照合して前記所定機器を動作させる車載機器制御装置と、を備える車両制御システムであって、車室内に設けられた、前記携帯機が載置される保持手段と、前記保持手段に内蔵され又は前記保持手段の近傍の車室内に設けられた、該保持手段に載置された前記携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段と、を備える車両制御システムにより達成される。
【0009】
これらの態様の発明において、車室内に設けられた、携帯機が載置される保持手段或いはその保持手段の近傍の車室内には、その保持手段に載置された携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段が内蔵され或いは設けられている。かかる構成においては、IDコード送出機能、及び、車両から独立して若しくは車両に関係なく実現可能な所定機能又は使用者への表示出力若しくは音声出力を行う情報伝達機能の双方を有する携帯機が保持手段に載置されると、その携帯機はIDコード送出促進手段からIDコードの送出を促されてIDコードを送出することが可能となる。従って、本発明によれば、携帯機にIDコードの送出を行わせるのに車両使用者がその携帯機を保持手段以外の特定箇所に近づけるなどの操作を行うことは不要であるので、その携帯機を車両で使用するのに利便性を向上させることが可能となる。
【0010】
尚、上記した車両制御システムにおいて、前記保持手段に載置された前記携帯機に車両側から給電して該携帯機の有するバッテリを充電する充電手段を備えることとすれば、携帯機が保持手段に載置された際にその携帯機のバッテリを充電することができるので、携帯機の電池交換を不要とすることが可能となる。
【0011】
また、上記した車両制御システムにおいて、前記保持手段に載置された前記携帯機と通信接続して該携帯機の前記所定機能又は前記情報伝達機能を車両に搭載された機器を用いて実現させる車載連携手段を備えることとすれば、携帯機が保持手段に載置された際にその携帯機の所定機能又は情報伝達機能を車両に搭載された機器を用いて実現させることができるので、携帯機を車両で使用するのに利便性を向上させることが可能となる。
【0012】
また、上記した車両制御システムにおいて、前記IDコード送出促進手段と前記携帯機とは、両者間でトランスポンダ通信を行うこととすれば、IDコード送出促進手段と携帯機との間の通信を携帯機側において電池不要で行うことが可能となる。
【0013】
また、この車両制御システムにおいて、前記IDコード送出促進手段は、前記保持手段に前記携帯機が載置された場合に該携帯機にIDコードの送出を促すべく高周波信号を送信するアンテナコイルを有し、前記携帯機は、前記アンテナコイルから送信される高周波信号に応答してIDコードを送出するトランスポンダ部を有することとすればよい。
【0014】
また、この車両制御システムにおいて、前記トランスポンダ部は、前記アンテナコイルから送信される高周波信号のエネルギを電力として用いて該高周波信号に応答したIDコードの送出を行うこととすればよい。
【0015】
尚、この車両制御システムにおいて、前記携帯機は、また、前記トランスポンダ部とは別に、車両側から送信されるリクエスト信号に応答して該携帯機の有するバッテリに蓄えられている電力を用いてIDコードを送出する送受信回路を有することとすれば、携帯機から車両側へのIDコードの送出を、トランスポンダ部による電池不要のトランスポンダ通信と、送受信回路による内蔵電池を用いた通信との双方で実現することが可能となる。
【0016】
また、この車両制御システムにおいて、前記車載機器制御装置は、前記携帯機の前記送受信回路から送出されるIDコードを照合して前記所定機器としての車両ドアを施解錠させるドア制御手段と、前記携帯機の前記トランスポンダ部から送出されるIDコードを照合して前記所定機器としての車両エンジンを始動させるイモビライザ制御手段と、を有することとすれば、車両ドアの施解錠を携帯機の送受信回路による内蔵電池を用いた通信により実現することができると共に、車両エンジンの始動を携帯機のトランスポンダ部による電池不要のトランスポンダ通信により実現することができる。
【0017】
尚、上記した車両制御システムにおいて、前記所定機能又は前記情報伝達機能はオーディオ機能であることとすればよい。
【0018】
また、上記の目的は、車両に搭載された所定機器を動作させるべく照合用IDコードを車両側へ送出するIDコード送出機能、及び、車両から独立して実現可能な所定機能の双方を有する携帯機が載置される、車室内に設けられた携帯機保持装置であって、載置された前記携帯機に照合用IDコードの送出を促すIDコード送出促進手段を内蔵した携帯機保持装置により達成される。
【0019】
また、上記の目的は、車両に搭載された所定機器を動作させるべく照合用IDコードを車両側へ送出するIDコード送出機能、及び、車両に関係なく実現可能な所定機能の双方を有する携帯機が載置される、車室内に設けられた携帯機保持装置であって、載置された前記携帯機に照合用IDコードの送出を促すIDコード送出促進手段を内蔵した携帯機保持装置により達成される。
【0020】
更に、上記の目的は、車両に搭載された所定機器を動作させるべく照合用IDコードを車両側へ送出するIDコード送出機能、及び、使用者への表示出力又は音声出力を行う情報伝達機能の双方を有する携帯機が載置される、車室内に設けられた携帯機保持装置であって、載置された前記携帯機に照合用IDコードの送出を促すIDコード送出促進手段を内蔵した携帯機保持装置により達成される。
【0021】
これらの態様の発明において、車室内に設けられた、携帯機が載置される携帯機保持装置は、その保持装置に載置された携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段を内蔵している。かかる構成においては、IDコード送出機能、及び、車両から独立して若しくは車両に関係なく実現可能な所定機能又は使用者への表示出力若しくは音声出力を行う情報伝達機能の双方を有する携帯機が保持手段に載置されると、その携帯機はIDコード送出促進手段からIDコードの送出を促されてIDコードを送出することが可能となる。従って、本発明によれば、携帯機にIDコードの送出を行わせるのに車両使用者がその携帯機を保持手段以外の特定箇所に近づけるなどの操作を行うことは不要であるので、携帯機を車両で使用するのにその利便性を向上させることが可能となる。
【0022】
尚、上記した携帯機保持装置において、前記IDコード送出促進手段は、前記携帯機とトランスポンダ通信を行う通信機であることとすれば、IDコード送出促進手段と携帯機との間の通信を携帯機側において電池不要で行うことが可能となる。
【0023】
また、この携帯機保持装置において、前記IDコード送出促進手段は、前記携帯機が載置された場合に該携帯機にIDコードの送出を促すべく高周波信号を送信するアンテナコイルを有することとすればよい。
【0024】
また、上記した携帯機保持装置において、車載電源に電源線を介して接続し、かつ、載置される前記携帯機の有する電源端子に接続する電源供給端子を備えることとすれば、携帯機が保持手段に載置された際にその携帯機のバッテリを充電することができるので、携帯機の電池交換を不要とすることが可能となる。
【0025】
更に、上記した携帯機保持装置において、前記携帯機の前記所定機能又は前記情報伝達機能を車両に搭載された機器を用いて実現させる車載連携手段にデータ線を介して接続し、かつ、載置される前記携帯機の有するデータ出力端子に接続するデータ入力端子を備えることとすれば、携帯機が保持手段に載置された際にその携帯機の所定機能又は情報伝達機能を車両に搭載された機器を用いて実現させることができるので、携帯機を車両で使用するのにその利便性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、車載所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、携帯電話や携帯型オーディオ機器などの車両に関係なく実現可能な所定機能の双方を有する携帯機を車両で使用するのに利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施例である車両制御システムの構成図を示す。また、図2は、本実施例の車両制御システムの備える携帯機10のシステム構成図を示す。本実施例の車両制御システムは、車両使用者の携帯する携帯機10と、車両に搭載される車載機12と、を備えており、それらの携帯機10と車載機12との間で無線通信を行うことで所定の車載機器を動作させるシステムである。
【0029】
本実施例において、携帯機10は、車両に関係なくすなわち車両から独立して携帯機10単独で実現可能なオーディオ機能14を有している。このオーディオ機能14は、携帯機10に搭載された音楽データや映像データを格納する記憶装置、音声を出力するスピーカ、又は映像を出力するディスプレイを用いて、携帯機10を携帯する人に対して情報提供を行う携帯型音楽プレーヤ,携帯型DVDプレーヤなどの機能である。尚、この携帯機10の有する車両から独立して車両に関係なく実現可能な機能は、他の機器と連携することなく実現可能なオーディオ機能14に限ることなく、例えば携帯電話の電話機能や、PDAやパソコンなどのインターネットなどを介して無線通信を行うことで実現可能な、使用者への表示出力又は音声出力を行う情報伝達機能であることとしてもよい。
【0030】
携帯機10は、また、車載機12との無線通信によるIDコードの照合結果に基づいて車載機器の制御を行わせるためのスマート機能16を有している。スマート機能16は、車両ドアのロック/アンロックやステアリングのロック/アンロック,車両エンジンの始動などを車両使用者が携帯機10を手にすることなく携帯機10と車載機12との無線通信(以下、適宜、スマート通信)により実現する機能である。
【0031】
携帯機10は、また、バッテリ18を有している。バッテリ18は、上記のオーディオ機能14及びスマート機能16に接続されており、それらのオーディオ機能14及びスマート機能16にそれぞれ電力を供給することが可能である。バッテリ18は、充放電可能な二次バッテリであり、所定の容量を有している。携帯機10は、バッテリ18に接続すると共に外部の電源ラインと接続可能な電源端子20を有している。バッテリ18は、外部の電源ラインからこの電源端子20を介して供給される電力を蓄えることで充電することが可能である。
【0032】
携帯機10は、また、オーディオ機能14に接続すると共に外部の信号ラインと接続可能な外部端子21を有している。携帯機10は、外部端子21を介して供給されたデータを記憶装置に格納し、また、記憶装置に格納されているデータを外部端子21を介して外部へ送信することが可能である。尚、この外部端子21と上記した電源端子20とは、互いに隣接していてもよい。
【0033】
携帯機10は、スマート機能16の一部として、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、携帯ECUと称す)22を有している。携帯ECU22には、送受信回路24が接続されている。送受信回路24には、送信アンテナ26及び受信アンテナ28が接続されている。携帯ECU22には、また、メモリ30が接続されている。メモリ30には、ドアロックに関する第1のIDコード、及び、エンジン始動に関する第2のIDコードが格納されている。
【0034】
受信アンテナ28には、後に詳述する如く車載機12から送信される周波数f1(例えば134kHz)のリクエスト信号が受信される。受信アンテナ28に受信されたリクエスト信号は、送受信回路24で復調されて携帯ECU22に供給される。また、携帯ECU22は、リクエスト信号に応答したレスポンス信号を送信する際、メモリ30から第1又は第2のIDコードを読み出す。そして、その読み出された第1又は第2のIDコードは、送受信回路24で変調されて周波数f2(例えば300MHz)の信号となり、送信アンテナ26から車載機12へ向けて送信される。
【0035】
また、車載機12は、車両に搭載されたバッテリ等から電力が供給されることにより作動可能である。車載機12は、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、車載ECUと称す)32を有している。車載ECU32には、第1送信部34を介して第1送信アンテナ36が、第2送信部38を介して第2送信アンテナ40が、また、受信部42を介して受信アンテナ44が、それぞれ接続されている。第1送信アンテナ36は、車両の例えば車両ドアの外部取っ手近傍に設けられており、第2送信アンテナ40は、車室内の例えばインストルメントパネル近傍に設けられている。また、受信アンテナ44は、車両の例えば車室内天井などに設けられている。
【0036】
車載ECU32は、車室外へ向けてリクエスト信号を送信する際、第1送信部34に対して第1のリクエストコードを供給する。第1のリクエストコードは、第1送信部34で変調されて周波数f1の信号となり、第1送信アンテナ36から携帯機10へ向けて送信される。また、車室内へ向けてリクエスト信号を送信する際、第2送信部38に対して第2のリクエストコードを供給する。第2のリクエストコードは、第2送信部38で変調されて周波数f1の信号となり、第2送信アンテナ40から携帯機10へ向けて送信される。尚、第1送信アンテナ36の信号送信範囲は、その配設位置から車室外の所定距離(例えば1m程度)であり、また、第2送信アンテナ40の信号送信範囲は、略車室内全域である。
【0037】
受信アンテナ44には、携帯機10から送信される周波数f2のレスポンス信号が受信される。受信アンテナ44に受信されたレスポンス信号は、受信部42で復調されて車載ECU32に供給される。
【0038】
車載ECU32には、また、EEPROM等の不揮発性のメモリ46が接続されている。メモリ46には、上記したドアロックに関する第1のIDコード及びエンジン始動に関する第2のIDコード、並びに、トランスポンダIDコード等が格納されている。
【0039】
車載ECU32には、更に、エンジン制御部50、ステアリングロック部52、ドアロック部54、イモビライザ部56、及びイモビアンプ58が接続されている。エンジン制御部50は、車両エンジン60の始動を制御すると共に、車両エンジン60の駆動停止を制御するための機構である。ステアリングロック部52は、車両運転者によるステアリングの操作を機械的に禁止するための機構である。ドアロック部54は、各車両ドアのロック/アンロックを制御するための機構である。
【0040】
また、イモビライザ部56は、エンジン60への燃料供給及びイグニション動作を禁止するための機構である。更に、イモビアンプ58は、通電により高周波信号を送信する(磁界を形成する)アンテナコイルからなる。イモビアンプ58は、後述の如く、非常時や異常時,緊急時に、携帯機10の有するトランスポンダ回路へ高周波信号を送信してその携帯機10への給電を行うと共に、そのトランスポンダ回路から送信されるIDコードを復調して車載ECU32へ供給する装置である。
【0041】
また、携帯機10は、携帯ECU22や送受信回路24などとは別に、トランスポンダ回路70を有している。トランスポンダ回路70は、バッテリ18からの電力供給なく作動することが可能であり、共振回路及びIC回路を内蔵している。トランスポンダ回路70は、車載機12のイモビアンプ58から送信される高周波信号を共振回路で受信すると、その高周波信号のエネルギを電力として共振回路に蓄積すると共に、その高周波信号をIC回路に供給して高周波信号に含まれるIDコードとIC回路内に記憶された固有のトランスポンダIDコードとを照合する。そして、両IDコードが一致する場合は、共振回路に蓄積された電力を用いて、トランスポンダIDコードを共振回路から車載機12へ向けて送出する。
【0042】
携帯機10は、また、自車両の車両ドアのキーシリンダに対応するメカニカルキー72を着脱可能に内蔵している。メカニカルキー72は、非常時(例えば、携帯機10の充電量が不足している時やスマート機能16における無線通信が困難である時)に携帯機10から離されて、車両ドアのアンロック或いはロックを切り替えるべく車両ドアのキーシリンダに挿入されて回転操作される。
【0043】
次に、本実施例の車両制御システムにおける動作について説明する。
【0044】
図3は、本実施例の車両制御システムにおける携帯機10と車載機12との通常時における通信を模式的に表した図を示す。尚、図3(A)には第1送信部34及び第1送信アンテナ36を用いた車外通信の場合を、また、図3(B)には第2送信部38及び第2送信アンテナ40を用いた車内通信の場合を、それぞれ示す。図4は、本実施例の車両制御システムにおいて車載ECU32が通常時に実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0045】
本実施例において、車載機12の車載ECU32は、車両ドアやステアリングがロックされているすなわち車両がイグニションオフ状態にあるときは、定期的(例えば250ms毎)に、第1送信部34に、第1のリクエストコードを変調した周波数f1の第1のリクエスト信号を第1送信アンテナ36から送信させる(ステップ100)。この際、車両近傍の車室外には、第1のリクエスト信号の送信による検知領域が形成される。
【0046】
かかる検知領域に携帯機10を携帯する使用者が進入しない場合は、その携帯機10は、車載機12からの周波数f1の第1のリクエスト信号を受信することはできない。一方、この検知領域にその使用者が進入した場合は、携帯機10は、周波数f1の第1のリクエスト信号を受信アンテナ28で受信することが可能となる。携帯機10の携帯ECU22は、車載機12からの第1のリクエスト信号を受信すると、メモリ30から第1のIDコードを読み出し、その第1のIDコードを変調した周波数f2の第1のレスポンス信号を送信アンテナ26から送信させる。
【0047】
車載ECU32は、第1のリクエスト信号の送信後、携帯機10からの周波数f2のレスポンス信号が受信アンテナ44で受信されるか否かを判別する(ステップ102)。そして、携帯機10からのレスポンス信号が受信されたと判別した場合は、次に、受信部42から供給されるそのレスポンス信号を復調して得たコードを、メモリ46に格納されている第1のIDコードと照合する(ステップ104)。
【0048】
その結果、携帯機10からのレスポンス信号が受信されないと判別した場合、又は、復調されたコードが第1のIDコードと一致しない場合は、再び上記ステップ100の処理を実行する。一方、復調されたコードが第1のIDコードと一致した場合は、正規の車両使用者が車両に近づいたと判断して、ドアロック部54を制御して車両ドアをロック状態からアンロック状態へ移行させる(ステップ106)。
【0049】
次に、車載ECU32は、車両ドアがアンロックされると、第2送信部38に、第2のリクエストコードを変調した周波数f1の第2のリクエスト信号を第2送信アンテナ40から送信させる(ステップ108)。この際、車両の車室内には、第2のリクエスト信号の送信による検知領域が形成される。
【0050】
かかる検知領域に携帯機10を携帯する使用者が進入しない場合すなわち車両に乗車しない場合は、その携帯機10は、車載機12からの周波数f1の第2のリクエスト信号を受信することはできない。一方、この検知領域にその使用者が進入した場合すなわち車両に乗車した場合は、携帯機10は、周波数f1の第2のリクエスト信号を受信アンテナ28で受信することが可能となる。携帯ECU22は、車載機12からの第2のリクエスト信号を受信すると、メモリ30から第2のIDコードを読み出し、その第2のIDコードを変調した周波数f2の第2のレスポンス信号を送信アンテナ26から送信させる。
【0051】
車載ECU32は、第2のリクエスト信号の送信後、携帯機10からの周波数f2のレスポンス信号が受信アンテナ44で受信されるか否かを判別する(ステップ110)。そして、携帯機10からのレスポンス信号が受信されたと判別した場合は、次に、受信部42から供給されるそのレスポンス信号を復調して得たコードを、メモリ46に格納されている第2のIDコードと照合する(ステップ112)。そして、携帯機10からのレスポンス信号が受信されないと判別した場合、又は、復調されたコードが第2のIDコードと一致しない場合は、再び上記ステップ108の処理を実行する。
【0052】
一方、復調されたコードが第2のIDコードと一致した場合は、正規の車両使用者が車両に乗車したと判断して、ステアリングロック部52を制御してステアリングロックを解除させ、イモビライザ部56を制御してエンジン60への燃料供給の禁止及びイグニション動作の禁止を共に解除させる(ステップ114)。かかる状態で車両使用者によりパワースイッチの押下等が行われてエンジン始動が要求されると、エンジン制御部50によりエンジン60が始動される。
【0053】
このように、本実施例の車両制御システムにおいては、携帯機10を携帯する使用者が車両に接近したときに自動的に、携帯機10と車載機12とが無線通信を行ってIDコードの照合が行われることで車両ドアをアンロックすることができる。また、車両ドアのアンロック後、携帯機10を携帯する使用者が車室内に乗車したときに自動的に、携帯機10と車載機12とが無線通信を行ってIDコードの照合が行われることで、各種のロック状態を解除してエンジンの始動を許可することができる。そして、その後、イグニション操作が行われることで、エンジンを始動させることができる。このため、本実施例によれば、車両ドアのアンロック及びエンジンの始動許可を、高いセキュリティ性を確保しつつ車両使用者に携帯機10を持たせることなく実現させることが可能となっている。
【0054】
また、本実施例において、携帯機10は、常時、携帯する使用者の操作によりオーディオ機能14を発揮することが可能である。このため、使用者は、自車両に乗車しなくても或いは自車両に接近しなくても、携帯機10を携帯して単独で利用することで音楽を聴いたり映像・音声を視聴することが可能となっている。
【0055】
図5は、本実施例の車両制御システムにおける車室内で携帯機10が載置される保持ベース80及びその保持ベース80の周辺部分の斜視図を示す。また、図6は、本実施例の車両制御システムが備える保持ベース80の構成図を示す。
【0056】
本実施例の車両制御システムは、車両の車室内で携帯機10が載置される保持ベース80を備えている。保持ベース80は、例えば図5に示す如くセンターコンソールボックス82内に設けられている。保持ベース80は、携帯機10のサイズに合致したサイズを有している。保持ベース80には、携帯機10が載置された際にその携帯機10と連結接続される車載ターミナル84が設けられている。
【0057】
車載ターミナル82は、コントロールケーブル86を介して車載バッテリに接続する電源供給端子、及び、コントロールケーブル86を介して車載オーディオ装置に接続するデータ入出力端子を有している。車載ターミナル84は、携帯機10がその保持ベース80に載置された際に携帯機10の電源端子20が上記の電源供給端子に接続しかつ携帯機10の外部端子21が上記のデータ入出力端子に接続するように形成されている。
【0058】
かかる構成において、携帯機10が保持ベース80に載置されて車載ターミナル84に連結接続されると、携帯機10のバッテリ18が電源端子20を介して車載バッテリに接続しかつ携帯機10のオーディオ機能14が外部端子21を介して車載オーディオ装置に接続されることとなる。この場合、携帯機10は、車載バッテリからコントロールケーブル86を介して給電されることによりバッテリ18の充電が行われると共に、オーディオ機能14がコントロールケーブル86を介して車載オーディオ装置に接続されるので携帯機10側のデータを車載オーディオ装置に提供することが可能となる。
【0059】
このため、本実施例によれば、携帯機10を携帯する使用者が車両に乗車して携帯機10が車室内に持ち込まれた場合に、その携帯機10が保持ベース80に載置されることで、その携帯機10のバッテリ18を車載バッテリを用いて充電することができると共に、その携帯機10のオーディオ機能14を車両に搭載された車載オーディオ装置のスピーカやディスプレイを用いて実現させて音の出力や映像の表示を行うことができる。この点、携帯機10のバッテリ18が充電不足に陥っても、以後の携帯機10の機能(オーディオ機能14やスマート機能16)を発揮させるのに、携帯機10の電池交換を不要とすることが可能となっている。また、車両使用者は、自車両への乗車後、携帯機10を保持ベース80に載置することで、車載オーディオ装置を利用して携帯機10に格納されている音楽を聴いたり映像・音声を視聴することが可能となっている。
【0060】
図7は、本実施例の車両制御システムにおける携帯機10と車載機12との非常時における通信を模式的に表した図を示す。尚、図7(A)には携帯機10がイモビアンプ58に近づけられる前の状態を、また、図7(B)には携帯機10がイモビアンプ58に近づけられた後の状態を、それぞれ示す。図8は、本実施例の車両制御システムにおいて車載ECU32が非常時に実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0061】
本実施例において、保持ベース80には、上記したイモビアンプ58のアンテナコイル58aが内蔵されている。アンテナコイル58aは、イモビライザケーブル90を介して上記の車載ECU32に接続されている。アンテナコイル58aは、携帯機10が保持ベース80に載置された際に例えばその携帯機10の背面に対向するように設けられており、発生した高周波信号がその携帯機10のトランスポンダ回路70に受信されるように配置されている。
【0062】
かかる構成において、携帯機10が保持ベース80に載置されていないときは、その保持ベース80に内蔵されたアンテナコイル58aに携帯機10が接近しないので、そのアンテナコイル58aからは高周波信号が送信されない。一方、携帯機10が保持ベース80に載置されていると、アンテナコイル58aに携帯機10が接近するので、そのアンテナコイル58aに車載ECU32から給電が行われることによりそのアンテナコイル58aから高周波信号が送信される(ステップ150)。この高周波信号は、メモリ46に格納されているトランスポンダIDコードを変調した周波数f3(例えば、上記リクエスト信号の周波数f1と同じ134kHz)の信号である。
【0063】
保持ベース80に携帯機10が載置された状態でアンテナコイル58aから高周波信号が送信されると、その高周波信号は、携帯機10のトランスポンダ回路70に受信される。トランスポンダ回路70は、車載機12からの高周波信号を共振回路で受信すると、その高周波信号のエネルギを電力としてその共振回路に蓄積すると共に、その高周波信号に含まれるIDコードをIC回路内に記憶された固有のトランスポンダIDコードと照合する。その結果、両IDコードが一致する場合、このトランスポンダIDコードを周波数f3の信号で共振回路から返送する。
【0064】
車載機12において、アンテナコイル58aへの給電によってそのアンテナコイル58aから高周波信号が送信されると、その後、その送信が停止される。この場合、アンテナコイル58aは、携帯機10から返送される周波数f3の信号を受信することが可能である。車載ECU32は、アンテナコイル58aからの高周波信号の送信後、アンテナコイル58aに受信される信号を読み取り(ステップ152)、携帯機12からの周波数f3の信号がアンテナコイル58aに受信されるか否かを判別する(ステップ154)。そして、携帯機12からの周波数f3の信号がアンテナコイル58aに受信されたと判別した場合は、次に、その信号に含まれるトランスポンダIDコードを、メモリ46に格納されているトランスポンダIDコードと照合する(ステップ156)。
【0065】
その結果、携帯機12からの周波数f3の信号がアンテナコイル58aに受信されないと判別した場合、又は、受信信号に含まれるトランスポンダIDコードがメモリ46のトランスポンダIDコードと一致しない場合は、再び上記ステップ152の処理を実行する。一方、受信信号に含まれるトランスポンダIDコードがメモリ46のトランスポンダIDコードと一致する場合は、正規の車両使用者が車両に乗車したと判断して、ステアリングロック部52を制御してステアリングロックを解除させ、イモビライザ部56を制御してエンジン60への燃料供給の禁止及びイグニション動作の禁止を共に解除させる(ステップ158)。かかる状態で車両使用者によりパワースイッチの押下等が行われてエンジン始動が要求されると、エンジン制御部50によりエンジン60が始動される。
【0066】
このように、本実施例の車両制御システムにおいては、携帯機10が車室内の保持ベース80に載置されている場合、その携帯機10と車載機12との間で携帯機10にとって電池不要のトランスポンダ通信を行うことができる。具体的には、車載機12のイモビアンプ58のアンテナコイル58aから高周波信号を送信させ、かつ、携帯機10のトランスポンダ回路70にその高周波信号の受信によって電力を蓄積させると共に、その蓄積電力を用いてその高周波信号に応答した信号を送信させる。そして、車載機12側で携帯機10からの信号に含まれるトランスポンダIDコードの照合を行うことで、各種のロック状態を解除してエンジン60の始動を許可することができる。
【0067】
すなわち、本実施例において、各種のロック状態を解除してエンジン60の始動を許可するには、(1)携帯機10が車載機12との間で送受信回路24、送信アンテナ26、及び受信アンテナ28を用いた第2のIDコードについてのスマート通信を行い、又は、(2)携帯機10が保持ベース80に載置されたうえで車載機12との間でトランスポンダ回路70を用いたトランスポンダIDコードについてのトランスポンダ通信を行うこととすればよい。上記のスマート通信は、携帯機10が自己の有するバッテリ18の電力を用いて行うものである一方、上記のトランスポンダ通信は、携帯機10がバッテリ18の電力を用いることなく車載機12のアンテナコイル58aから送信される高周波信号のエネルギを蓄えて行うものである。
【0068】
このため、本実施例においては、携帯機10のバッテリ18が充電不足であるときや電波抑圧などに起因して上記のスマート通信が不可能であるときにも、携帯機10を保持ベース80に載置したうえでその携帯機10と車載機12との間で携帯機10にとって電池不要のトランスポンダ通信を行うことで、具体的には、車載機12がアンテナコイル58aによる高周波信号の送信によって携帯機10にトランスポンダIDコードの送出を促し、かつ、保持ベース80に載置された携帯機10がその高周波信号に応答してトランスポンダIDコードを車載機12側へ送出することで、エンジン60の始動を許可することが可能である。
【0069】
従って、本実施例によれば、携帯機10のバッテリ18が充電不足であるときや電波抑圧などに起因して上記のスマート通信が不可能であるときに各種のロック状態を解除してエンジン60の始動を許可するのにすなわちその始動許可のために携帯機10にトランスポンダIDコードの送出を行わせるのに、車両使用者が携帯機10を車両側の保持ベース80に載置すれば十分であり、他の特定箇所(例えばパワースイッチ)に近づけるなどの操作を行うことは不要である。
【0070】
保持ベース80は、携帯機10のバッテリ18を充電し或いは携帯機10を車載オーディオ装置と通信接続させてオーディオ機能14を車両側で実現させるために、その携帯機10が載置されるものである。このため、携帯機10を車室内で使用するのにその利便性を向上させることが可能となっており、具体的には、携帯機10のバッテリ18が充電不足であるときや上記のスマート通信が不可能であるときであっても、その携帯機10のバッテリ18を充電し或いはその携帯機10のオーディオ機能14を車載オーディオ装置を用いて実現させるべくその携帯機10を保持ベース80に載置することで、携帯機10と車載機12とでトランスポンダ通信を行ってエンジン60の始動を許可することが可能となっている。
【0071】
この点、携帯機10のバッテリ18の充電と、車載オーディオ装置を用いたその携帯機10のオーディオ機能14の実現と、エンジン60の始動許可のための携帯機10と車載機12との間の携帯機10にとって電池不要のトランスポンダ通信と、が同時に実施されるように、携帯機10が載置される保持ベース80を構築したので、それらの機能を同時に発揮させることが可能となっている。
【0072】
尚、本実施例において、携帯機10は、上記の如く、自車両の車両ドアのキーシリンダに対応するメカニカルキー72を着脱可能に内蔵しているので、携帯機10のバッテリ18が充電不足であっても或いは上記のスマート通信が不可能であっても、そのメカニカルキー72を用いて車両ドアをアンロックすることは可能である。そして、乗車後は、上記の如く、車両使用者が携帯機10を保持ベース80に載置することで、携帯機10と車載機12との間で携帯機10にとって電池不要のトランスポンダ通信を行ってエンジン60の始動を許可することが可能である。従って、本実施例によれば、携帯機10のバッテリ18が充電不足であり或いは上記のスマート通信が不可能である非常時や緊急時にも、車両ドアをアンロックさせかつエンジン60を始動させることで車両を作動させることができ、更なる利便性の向上が図られている。
【0073】
尚、上記の実施例においては、スマート機能16が特許請求の範囲に記載した「IDコード送出機能」に、オーディオ機能14が特許請求の範囲に記載した「所定機能」に、車載機12が特許請求の範囲に記載した「車載機器制御装置」に、保持ベース80が特許請求の範囲に記載した「保持手段」及び「携帯機保持装置」に、イモビアンプ58が特許請求の範囲に記載した「IDコード送出促進手段」に、車載オーディオ装置及びコントロールケーブル86が特許請求の範囲に記載した「車載連携手段」に、トランスポンダ回路70が特許請求の範囲に記載した「トランスポンダ部」に、車載ECU32及びドアロック部54が特許請求の範囲に記載した「ドア制御手段」に、車載ECU32及びイモビライザ部56が特許請求の範囲に記載した「イモビライザ制御手段」に、車載ターミナル84の電源供給端子が特許請求の範囲に記載した「電源供給端子」に、車載ターミナル84のデータ入出力端子が特許請求の範囲に記載した「データ入力端子」に、それぞれ相当している。
【0074】
ところで、上記の実施例においては、イモビアンプ58のアンテナコイル58aを保持ベース80に内蔵することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、保持ベース80に携帯機10が載置された際にその携帯機10とトランスポンダ通信が行われるものであれば、その保持ベース80の近傍に配設し或いはその保持ベース80に隣接させることとしてもよい。
【0075】
また、上記の実施例においては、携帯機10が保持ベース80に載置された際にその携帯機10のオーディオ機能14がコントロールケーブル86を介して車載オーディオ装置と有線接続することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その間の接続をブルートゥースなどの短距離無線接続としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施例である車両制御システムの構成図である。
【図2】本実施例の車両制御システムの備える携帯機のシステム構成図である。
【図3】本実施例の車両制御システムにおける携帯機と車載機との通常時における通信を模式的に表した図である。
【図4】本実施例の車両制御システムにおいて車載機が通常時に実行する制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図5】本実施例の車両制御システムにおける車室内で携帯機が載置される保持ベース及びその保持ベースの周辺部分の斜視図である。
【図6】本実施例の車両制御システムが備える保持ベースの構成図である。
【図7】本実施例の車両制御システムにおける携帯機と車載機との非常時における通信を模式的に表した図である。
【図8】本実施例の車両制御システムにおいて車載機が非常時に実行する制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10 携帯機
12 車載機
14 オーディオ機能
16 スマート機能
18 バッテリ
22 携帯ECU
32 車載ECU
58 イモビアンプ
58a アンテナコイル
80 保持ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、車両から独立して実現可能な所定機能の双方を有する携帯機と、前記携帯機から送出されるIDコードを照合して前記所定機器を動作させる車載機器制御装置と、を備える車両制御システムであって、
車室内に設けられた、前記携帯機が載置される保持手段と、
前記保持手段に内蔵され又は前記保持手段の近傍の車室内に設けられた、該保持手段に載置された前記携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、車両に関係なく実現可能な所定機能の双方を有する携帯機と、前記携帯機から送出されるIDコードを照合して前記所定機器を動作させる車載機器制御装置と、を備える車両制御システムであって、
車室内に設けられた、前記携帯機が載置される保持手段と、
前記保持手段に内蔵され又は前記保持手段の近傍の車室内に設けられた、該保持手段に載置された前記携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
車両に搭載された所定機器を動作させるべくIDコードを送出するIDコード送出機能、及び、使用者への表示出力又は音声出力を行う情報伝達機能の双方を有する携帯機と、前記携帯機から送出されるIDコードを照合して前記所定機器を動作させる車載機器制御装置と、を備える車両制御システムであって、
車室内に設けられた、前記携帯機が載置される保持手段と、
前記保持手段に内蔵され又は前記保持手段の近傍の車室内に設けられた、該保持手段に載置された前記携帯機にIDコードの送出を促すIDコード送出促進手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項4】
前記保持手段に載置された前記携帯機に車両側から給電して該携帯機の有するバッテリを充電する充電手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記保持手段に載置された前記携帯機と通信接続して該携帯機の前記所定機能又は前記情報伝達機能を車両に搭載された機器を用いて実現させる車載連携手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記IDコード送出促進手段と前記携帯機とは、両者間でトランスポンダ通信を行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記IDコード送出促進手段は、前記保持手段に前記携帯機が載置された場合に該携帯機にIDコードの送出を促すべく高周波信号を送信するアンテナコイルを有し、
前記携帯機は、前記アンテナコイルから送信される高周波信号に応答してIDコードを送出するトランスポンダ部を有することを特徴とする請求項6記載の車両制御システム。
【請求項8】
前記トランスポンダ部は、前記アンテナコイルから送信される高周波信号のエネルギを電力として用いて該高周波信号に応答したIDコードの送出を行うことを特徴とする請求項7記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記携帯機は、また、前記トランスポンダ部とは別に、車両側から送信されるリクエスト信号に応答して該携帯機の有するバッテリに蓄えられている電力を用いてIDコードを送出する送受信回路を有することを特徴とする請求項8記載の車両制御システム。
【請求項10】
前記車載機器制御装置は、
前記携帯機の前記送受信回路から送出されるIDコードを照合して前記所定機器としての車両ドアを施解錠させるドア制御手段と、
前記携帯機の前記トランスポンダ部から送出されるIDコードを照合して前記所定機器としての車両エンジンを始動させるイモビライザ制御手段と、
を有することを特徴とする請求項9記載の車両制御システム。
【請求項11】
前記所定機能又は前記情報伝達機能はオーディオ機能であることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項記載の車両制御システム。
【請求項12】
車両に搭載された所定機器を動作させるべく照合用IDコードを車両側へ送出するIDコード送出機能、及び、車両から独立して実現可能な所定機能の双方を有する携帯機が載置される、車室内に設けられた携帯機保持装置であって、
載置された前記携帯機に照合用IDコードの送出を促すIDコード送出促進手段を内蔵したことを特徴とする携帯機保持装置。
【請求項13】
車両に搭載された所定機器を動作させるべく照合用IDコードを車両側へ送出するIDコード送出機能、及び、車両に関係なく実現可能な所定機能の双方を有する携帯機が載置される、車室内に設けられた携帯機保持装置であって、
載置された前記携帯機に照合用IDコードの送出を促すIDコード送出促進手段を内蔵したことを特徴とする携帯機保持装置。
【請求項14】
車両に搭載された所定機器を動作させるべく照合用IDコードを車両側へ送出するIDコード送出機能、及び、使用者への表示出力又は音声出力を行う情報伝達機能の双方を有する携帯機が載置される、車室内に設けられた携帯機保持装置であって、
載置された前記携帯機に照合用IDコードの送出を促すIDコード送出促進手段を内蔵したことを特徴とする携帯機保持装置。
【請求項15】
前記IDコード送出促進手段は、前記携帯機とトランスポンダ通信を行う通信機であることを特徴とする請求項12乃至14の何れか一項記載の携帯機保持装置。
【請求項16】
前記IDコード送出促進手段は、前記携帯機が載置された場合に該携帯機にIDコードの送出を促すべく高周波信号を送信するアンテナコイルを有することを特徴とする請求項15記載の携帯機保持装置。
【請求項17】
車載電源に電源線を介して接続し、かつ、載置される前記携帯機の有する電源端子に接続する電源供給端子を備えることを特徴とする請求項12乃至16の何れか一項記載の携帯機保持装置。
【請求項18】
前記携帯機の前記所定機能又は前記情報伝達機能を車両に搭載された機器を用いて実現させる車載連携手段にデータ線を介して接続し、かつ、載置される前記携帯機の有するデータ出力端子に接続するデータ入力端子を備えることを特徴とする請求項12乃至17の何れか一項記載の携帯機保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−287350(P2009−287350A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143695(P2008−143695)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】