説明

車両動揺測定装置および車両動揺測定方法

【課題】鉄道車両の走行試験において、無人で車両の動揺測定を行うことができ、車両の動揺測定の省力化、従って低コスト化を図ることができる車両動揺測定装置および車両動揺測定方法を提供する。
【解決手段】軌道上を走行する車両に設置される3軸加速度センサー12により車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより車両の動揺を測定する。3軸加速度センサー12により検出される車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2以下である時に車両が駅に停止していると判定するように構成され、かつ、車両が駅に停車している時の車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に車両が停止している時の車両の傾きのデータベースと照合することにより、車両が停止している駅の同定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両動揺測定装置および車両動揺測定方法に関し、特に、鉄道車両の走行試験において軌道の状態を動的動揺測定で記録解析するのに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の走行試験において軌道の状態を動的動揺測定で記録解析することは、軌道の状態を正確に把握し、状態が悪い場合には適切な処置を施すことで軌道を良好な状態に維持し、乗客の乗り心地を良くしたり、車両の安全運転を実現する上で重要である。この動的動揺測定では、軌道上の車両の位置(所定の基準点からの距離)を正確に測定する必要がある。言い換えると、車両の動揺測定値が軌道のどの位置のものであるかを正確に測定する必要がある。
【0003】
本出願人は先に、車両の動揺測定を行うために、軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーと、上記車両に設置されるGPSアンテナおよびGPS受信機とを有し、上記GPSアンテナにより上記GPS受信機が受信するGPS信号により取得される位置情報と上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向の加速度とに基づいて上記車両の位置を補正するとともに、上記車両が駅に停止している時に計測者により入力される駅停止信号および上記車両が構造物を通過する時に計測者により入力される構造物信号により上記車両の走行距離を補正する車両走行動揺解析システムを提案した(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3993222号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車両走行動揺解析システムによれば、GPSアンテナによりGPS受信機が受信するGPS信号により取得される位置情報に基づいて車両の位置情報を補正することに加えて、車両が駅に停止している時に計測者により入力される駅停止信号および車両が構造物を通過する時に計測者により入力される構造物信号により車両の走行距離を補正するので、B区間またはW区間の有無にかかわらず、また、トンネルや屋根付き駅舎や地下軌道などのGPS信号の受信不能区間があっても、車両の動揺測定値を高い位置精度または距離精度で正確に得ることができ、しかもキロ程を通過する毎に計測者が記録紙にその地点情報を書き込む作業が不要となるため計測者に負担をかけることがなく、さらに速度発電機などの、車両の車軸や車輪の回転パルスを得るための設備が不要であるためコストも低く抑えることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の車両走行動揺解析システムでは、車両が駅に停止している時に計測者が駅停止信号を入力する必要があるため、省力化の点で不十分であり、車両の動揺測定のコストが高くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、鉄道車両の走行試験において、無人で車両の動揺測定を行うことができ、車両の動揺測定の省力化、従って低コスト化を図ることができる車両動揺測定装置および車両動揺測定方法を提供することである。
【0008】
この発明の上記課題およびその他の課題は、添付図面を参照した本明細書の記述より明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、軌道上を走行する車両が駅に到着した場合、車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に車両が駅に停止していると判定することができることを見出した。
【0010】
一方、本発明者らが独自に得た知見によれば、駅に車両が停止している時の車両の傾きは駅毎に異なる。そこで、各駅に車両が停止している時の車両の傾きのデータベースを予め作成しておき、車両が駅に停車している時の車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により車両の傾きを測定し、上記の予め作成された車両の傾きのデータベースと照合することにより、車両が停止している駅の同定を行うことが可能となる。こうすることで、車両が駅に停車しているか否かの判定だけでなく、停車駅の同定を自動化することが可能となる。
【0011】
この発明は、本発明者らが独自に得た上記の知見に基づいて案出されたものである。
すなわち、上記課題を解決するために、この発明は、
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定するように構成されていることを特徴とする車両動揺測定装置である。
【0012】
また、この発明は、
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の走行中の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定することを特徴とする車両動揺測定方法である。
【0013】
また、この発明は、
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定するように構成され、かつ、上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定装置である。
【0014】
また、この発明は、
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定し、かつ、上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定方法である。
【0015】
また、この発明は、
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定装置である。
【0016】
また、この発明は、
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定方法である。
【0017】
上記の発明において、3軸加速度センサーにより検出される車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動値による、車両が駅に停止しているとの判定は、好適には、車両のドア開閉信号により補正する。具体的には、ドア開の信号が検出された時に上記の判定を有効とし、ドア開の信号が検出されない時には上記の判定を無効とする。必要に応じて、ドア閉の信号が検出されない時に上記の判定を有効とし、ドア閉の信号が検出された時には上記の判定を無効とするようにしてもよいし、ドア開の信号およびドア閉の信号の両方を検出して上記の判定の有効・無効を判断するようにしてもよい。また、車両が分岐器を通過したり、軌道の曲線部を通過したりする際には、車両の左右加速度が特徴的な変化を示すことから、この特徴的な変化により、車両が駅に停止しているとの判定を補正するようにしてもよい。
【0018】
軌道上を走行する車両の位置の測定(あるいは車両の位置情報の取得)は、従来公知の技術を用いることによって行うことができる。例えば、車両の前後方向の加速度の2回積分、速度発電機信号、地点検知信号およびGPS信号のうちの少なくとも一つを用いることにより車両の位置の測定を行うことができる。ここで、速度発電機信号は車両側の既設信号である。地点検知信号も同様に車両側の既設信号であり、例えば、ATC(Automatic Train Control)信号およびATS(Automatic Train Stop) 信号のうちの少なくとも一つである。GPS信号を用いる場合には、車両にGPSアンテナおよびGPS受信機を設置し、GPS受信機によりGPS信号を受信する。また、予め作成された線路データベースを用いて車両の位置を補正してもよい。さらに、軌道上の選択された位置の緯度および経度をGPS受信機により取得し、その近似地点を車両が通過した時に車両の位置を補正するようにしてもよい。
【0019】
車両動揺測定装置は、典型的には車両に常設されるが、これに限定されるものではなく、動揺測定を行う時に車両に設置するようにしてもよい。軌道上を走行する一編成の列車の車両の動揺を測定する場合、車両動揺測定装置は、典型的には、列車の前後の車両に設置され、例えば運転室あるいは車掌室に設置される。
【0020】
車両には、およそ軌道上を走行するものである限り、全てのものが含まれる。具体的には、列車、電車(地下鉄電車を含む)、モノレール、新交通システム、ジェットコースター、リフト、ケーブルカーなどの車両である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、3軸加速度センサーにより検出される車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に車両が駅に停止していると判定することにより、車両が駅に停止しているか否かの判定を自動化することができ、計測者が不要となる。このため、鉄道車両の走行試験において、無人で車両の動揺測定を行うことができ、車両の動揺測定の省力化、従って低コスト化を図ることができる。
【0022】
また、車両が駅に停車している時の車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に車両が停止している時の車両の傾きのデータベースと照合することにより、車両が停止している駅の同定を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置を示すブロック図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置の内部の詳細を示すブロック図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置の外形を示す斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置により収録した北海道旅客鉄道株式会社のX本線のA駅−F駅走行時の全体動揺波形を示す略線図である。
【図5】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置により収録したA駅停止時の動揺波形を示す略線図である。
【図6】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置により収録したB駅停止時の動揺波形を示す略線図である。
【図7】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置により収録したC駅停止時の動揺波形を示す略線図である。
【図8】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置により収録したD駅停止時の動揺波形を示す略線図である。
【図9】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置により収録したE駅停止時の動揺波形を示す略線図である。
【図10】この発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置により収録したF駅停止時の動揺波形を示す略線図である。
【図11】この発明の第2の実施の形態による車両動揺測定装置により測定したA駅停止時の車両の傾き波形を示す略線図である。
【図12】この発明の第2の実施の形態による車両動揺測定装置により測定したB駅停止時の車両の傾き波形を示す略線図である。
【図13】この発明の第2の実施の形態による車両動揺測定装置により測定したC駅停止時の車両の傾き波形を示す略線図である。
【図14】この発明の第2の実施の形態による車両動揺測定装置により測定したD駅停止時の車両の傾き波形を示す略線図である。
【図15】この発明の第2の実施の形態による車両動揺測定装置により測定したE駅停止時の車両の傾き波形を示す略線図である。
【図16】この発明の第2の実施の形態による車両動揺測定装置により測定したF駅停止時の車両の傾き波形を示す略線図である。
【図17】この発明の第3の実施の形態による車両動揺測定装置を説明するための略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の第1の実施の形態による車両動揺測定装置の構成を示すブロック図、図2はこの車両動揺測定装置の内部の詳細を示すブロック図である。
【0025】
図1および図2に示すように、この車両動揺測定装置においては、本体11内に、軌道上を走行する車両の上下方向の加速度を計測する上下加速度センサー12a、車両の左右方向の加速度を計測する左右加速度センサー12bおよび車両の前後方向の加速度を計測する前後加速度センサー12cからなる3軸加速度センサー12が内蔵されている。本体11の外部にも、この3軸加速度センサー12と同様な3軸加速度センサー13を設置することができるようになっている。この3軸加速度センサー13の上下加速度センサー13a、左右加速度センサー13bおよび前後加速度センサー13cの出力端子は本体11の端子台14の端子と接続される。3軸加速度センサー12、13のうちのいずれを使用するかはスイッチ15の操作により選択することができるようになっている。
【0026】
3軸加速度センサー12、13からは、車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度がアナログ電気信号としてそれぞれ出力される。3軸加速度センサー12、13の出力は本体11内の車両動揺測定ユニット16に送られる。車両動揺測定ユニット16に送られた3軸加速度センサー12、13の出力は、マルチプレクサ17を介して、それぞれ車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度用の加速度アンプ18a、18b、18cにより増幅され、車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度信号としてそれぞれ出力される。これらの加速度信号は、ローパスフィルタ19a、19b、19c(例えば、DC〜8Hz)を通されて低域周波数成分が取り出された後、A/Dコンバータ20によりデジタル信号に変換されてCPU21に送られる。A/Dコンバータ20としては例えば16ビットのものが用いられる。
【0027】
車両動揺測定ユニット16には、メモリ22、RTC(リアルタイムクロック)チップ23およびSDカードソケット24が設けられている。SDカードソケット24にはMMC(マルチメディアカード)25が挿入されるようになっている。メモリ22としては、例えば容量が1MBのSRAM(スタチックRAM)が用いられる。RTCチップ23としては、例えば32.768kHzのものが用いられる。また、車両動揺測定ユニット16には、USBモジュール基板26が設置され、このUSBモジュール基板26にTypeAのUSBコネクタ27が設置されている。このUSBコネクタ27にUSBメモリ28を接続することができるようになっている。USBメモリ28は、測定条件設定のためのデータの記憶、動揺測定データの収録などに用いられる。車両動揺測定ユニット16にはさらに、USB−シリアル変換器29およびTypeBのUSBコネクタ30が設置されている。車両動揺測定ユニット16は、USB−シリアル変換器29を介して、USBコネクタ30に接続される外部のコンピュータなどの機器との間でシリアル通信を行うことができるようになっている。
【0028】
車両動揺測定装置には、端子台14の端子より、車両に設置された速度発電機からの速度発電機信号(例えば、AC0.5V〜AC150V)を取り込むことができるようになっている。この速度発電機信号は絶縁DC−DCコンバータ31に供給される。絶縁DC−DCコンバータ31は、抵抗32、33、34、反転アンプ35、振幅制限フィルタ36、比較器37、TTL38および周波数(F)/速度(V)変換器39からなる。F/V変換器39からの速度信号はA/Dコンバータ20に送られ、デジタル信号に変換されてCPU21に送られる。
【0029】
車両動揺測定装置にはさらに、運転室に設けられている接続箱から車両のドア開閉信号を取り出し、端子台14の端子よりそのドア開閉信号を取り込むことができるようになっている。このドア開閉信号は、図示省略した絶縁DC−DCコンバータを介してCPU21に送られる。
【0030】
また、車両動揺測定装置には、端子台14の端子より、地点検知信号としてATC信号(ATCパルス)を取り込むことができるようになっている。このATC信号は絶縁DC−DCコンバータ40に送られ、TTL41を介してCPU21に送られる。
【0031】
また、車両動揺測定装置にはGPS信号を取り込むことができるようになっている。具体的には、本体11に設けられたBNCコネクタに同軸ケーブルによりGPSアンテナ42が接続される。そして、このGPSアンテナ42を用いて、GPS受信ユニット43が人工衛星から送信されるGPS信号を受信する。このGPS信号は、増幅された後、CPU21に送られる。
【0032】
本体11にはパネル44が設けられている。パネル44には、この車両動揺測定装置の動作に必要な各種のスイッチや表示素子(発光ダイオードなど)などが設けられている。具体的には、パネル44には、例えば、記録スイッチ/LED45、測定スイッチ/LED46、停止スイッチ/LED47、電源スイッチ/LED48、速度発電機信号を使用していることを示す速度動作LED49、ATC信号を使用していることを示すATC動作LED50など設けられている。
【0033】
本体11には端子台51が設けられ、この端子台51にAC100V電源が供給されるようになっている。AC100V電源は絶縁AC−DCコンバータ52によりDC電源に変換され、電源部53に送られる。この車両動揺測定装置の各種の素子や回路などにはこのDC電源が供給される。CPU21はバッテリ54によりバックアップされている。
【0034】
本体11の外形の一例を図3に示す。図3に示すように、本体11は、例えば直方体の形状を有する。本体11の外形寸法は、例えば、幅が180mm、奥行が176mm、高さが76mm(脚部を除く)である。本体11の一面にパネル44が設置される。
【0035】
この車両動揺測定装置は主として次の4つの機能を持つ。
・測定条件設定(メモリー媒体へ)
・動揺測定(動揺データのメモリー媒体への収録)
・測定データの読み取り、解析(メモリー媒体より)
・警報データファイルの作成
・ラボックス対応データファイルの作成
【0036】
以下順にこの車両動揺測定装置の機能について説明する。
(1)測定条件設定1(ATC地点情報)
路線情報として、ATCの設置地点の情報をマーク信号として、路線データファイルとして作成する。
(最初の8文字は、英数字とする)
【0037】
(2)測定条件設定2
動揺データを集録するための、測定条件を設定する。
次の条件を設定する。
ファイル名 8桁の略語で設定(例 SA−KU−D1)
ATC情報設定 有り/無しを選択
距離演算モード 速度発電機/GPSを両用
車輪径 8桁の数字で設定(例 0860.000)〔mm〕
速度発電機パルスレート 8桁の数字で設定(例 060.0000)〔p/r〕
データ保存 3チャネル(上下、左右、前後)で固定
サンプルモード 距離サンプル/時間サンプルを選択
クロック分周比 1/1〜1/99で設定(例1/16、1/24等)
収録周波数帯域 DC−8Hzで固定
【0038】
(3)データ収録用メモリ媒体作成
(1)(2)で作成した測定条件のファイルをUSBメモリ28に記憶し、データ収録用の媒体とする。
USBメモリ28としては、容量が1Gbyteのものを用いる。
【0039】
(4)データの測定、収録
動揺データの収録を以下の手順で行う。
USBメモリ28を車両動揺測定装置のUSBコネクタ27に挿入し、装置の電源をONとする。
車両停止時に、測定開始ボタンを押し、測定、収録を開始する。
測定終了時、測定停止ボタンを押し、測定、収録を停止する。
車両動揺測定装置の電源をOFFとし、USBメモリ28をUSBコネクタ27より取り外す。
メモリ22およびUSBメモリ28には、同様のデータが記憶される。
メモリ22はリングメモリとし、常に最新のデータが記憶されているものとする。
記憶データは、3軸の加速度信号、速度信号、ATC信号の有無とする。
また、GPSデータも記憶できるものとする。
【0040】
(5)データの読み出し、解析
測定、収録が行われたUSBメモリ28のデータは、パソコンで読み出し、ファイルとする。
データは、パソコン上で再生し、トレンドグラフとして表示できる。
また、設定される振幅値を上回った値を、警報値としてリスト化し、表示、プリントできるものとする。
【0041】
(6)データの再生、解析
データの再生、解析を以下のようにして行う。
(6.1)解析条件設定
データの解析における各種条件の設定を行う。
・解析方法 加速度信号の解析方法を選択。
立ち上がり方向のP−P値、立ち下がり方向のP−P値、両方向、 より選択する。
(デフォルトは、立ち下がり方向のP−P値に設定)
・警報レベル 加速度信号の警報判定レベルを設定。
(加速度が、設定された判定レベルを超えた場合、警報値とし
て判定する)
警報発生時の時刻、位置、発生軸、数値を表示し、記憶する。
(デフォルトとして、2.4m/s2 に設定)
・ATC解析 ATC信号の距離補正の有無を選択。
・GPS解析 GPS信号をキロ程補正に使用するかを選択。
【0042】
(6.2)表示条件設定
取得した波形データを再生または解析して表示するための各種条件を設定する。
表示信号は、加速度信号、速度データ、ATCデータ、等とする。
・DC成分処理 加速度の表示データを、DC〜0.3Hzまでの成分を除去して
表示するか、生データのまま表示するかを選択。
(デフォルトとして、生データに設定)
・表示グラフ数 表示数を1、2、3より選択。
表示数1とした場合は、3信号まで重ね表示できる。
・加速度軸 加速度の表示幅を、最小値、最大値、目盛値で設定。
・速度軸 速度の表示幅を、最小値、最大値、目盛値で設定。
・表示選択 重ね表示の信号選択、上下位置の表示選択。
・表示線色 グラフの表示線の色を設定。
・距離軸 距離の表示幅を、最小値、最大値、目盛値、補助目盛値で設定
第何区間かを設定。
【0043】
(7)警報データファイルの作成
収録したデータの振幅解析を行い、警報データファイルを作成する。
【0044】
(8)ラボックス対応データファイルの作成
収録したデータを、ラボックス対応のデータに変換し、ファイルを作成する。
変換したファイルは、ラボックスに読み取られ、解析できるファイルとする。
【0045】
(9)収録データファイル
取得したデータをハードディスクに保存する。
保存したデータは、再生が可能。
波形データのファイルは、バイナリ形式。
また、テキストデータ形式の保存も可能とする。
【0046】
(10)プリント
表示されたグラフ、警報データは、プリンタ出力できる。
【0047】
(11)通信
機器内情報、収録されたデータは、シリアル通信を介して、パソコンで読みとれるものとする。
【0048】
この車両動揺測定装置による測定、収録の機能は次の通りである。
・電源スイッチが投入される。
・USBメモリ28より測定条件を読み取り、装置内部を設定する。
・発電機パルスの分周率を設定する。
・測定開始ボタンをPUSHにされると、測定、収録を開始する。
・ATCパルスを常に監視し、ATCパルスが来た場合、次のデータ測定時に取得したデータとともにATC信号も記憶する。
・データ測定は、分周期パルスを常に監視し、分周期パルスが来た場合、加速度信号3軸、速度信号のアナログ信号をA/D変換し、測定、収録する。
・測定停止ボタンをPUSHとされると、測定、収録を終了する。
・電源スイッチをOFFとし、USBメモリ28を取り出す。
【0049】
この車両動揺測定装置の仕様について説明する。
測定装置に関しては次の通りである。
加速度入力 入力電圧 ±6V/±2G
応答特性 DC〜8Hz、F特性+0.5〜−3dB
(ソフト対応時0.3〜8Hz)
(バターワース型ローパスフィルタを使用)
(減衰特性、−18dB/octを基本とする)
A/D変換 分解能 12bit
サンプリング速度は速度発電器パルスの分周トリガに従う
ただし、最高速度により制限される場合がある。
速度発電機パルス TTLオープンコレクタ信号
分周比を選択(1/4、1/8、1/16、1/32、
1/64、1/12、1/24、1/48)
ATC信号 TTLオープンコレクタ信号(または、接点信号)
GPS信号 NMEAフォーマット信号で収録
電源 AC100V、0.5A
DC16V、3Ahバッテリ1個(予備1個付属)
(本バッテリで約4時間バックアップ可)
データ記憶 32Mbyteメモリーカード使用時、走行4時間程度の収 録を行える。
【0050】
パネル部のスイッチ、ランプは次の通りである。
電源スイッチ 電源のON/OFF(トグルスイッチ)
測定開始ボタン 測定のリスタートボタン
測定停止ボタン 測定の停止ボタン
【0051】
電源LED 電源投入時LED点灯
測定LED 測定時LED点灯
モニターLED 各信号の状態を表示するモニターLED点灯
【0052】
3軸加速度センサー12、13の一例を挙げると、次のとおりである。
センサー方式 3軸静電容量型IC加速度
測定範囲 ±2G
周波数特性 DC〜80Hz/DC〜8Hzの切替
測定誤差 ±2%/FS
耐衝撃 500G
電源電圧 5VDC
寸法 125mm×45mm×110mm
【0053】
速度発電機絶縁アンプの一例を挙げると、次のとおりである。
入力 0.5〜150Vrms
入力抵抗 100kΩ以上
しきい値 0.2V
周波数範囲 1〜10kHz(LPF fC =10kHz、
−18dB/oct)
出力 TTLオープンコレクタ出力
耐衝撃 500G
電源電圧 AC100V
寸法 180mm×80mm×70mm
耐圧 DC/AC連続150V
絶縁 10MΩ以上
【0054】
ATC地点検知信号の一例を挙げると、次の通りである。
ATC地点検知信号は車両側より出力される。
信号 TTLオープンコレクタ出力(または接点信号)
(絶縁入力)
【0055】
GPS信号の一例を挙げると、次のとおりである。
GPSアンプ スタート時間 40sec
取得衛星個数 最大15個
算出間隔 1sec
I/F USB
【0056】
AC電源の一例を挙げると、次のとおりである。
AC電源は車両側より出力される。
電源 AC100V、0.5A以下(絶縁入力)
【0057】
この車両動揺測定装置により実際に測定した動揺データについて説明する。
北海道旅客鉄道株式会社のX本線の特急列車Y号の運転室内にこの車両動揺測定装置を設置し、始発駅A駅を出発してから途中、B駅、C駅、D駅およびE駅に順に停車して終着駅F駅まで走行し、動揺測定を行った。GPSアンテナ42は、運転席の前面右方向にマグネット用鉄板を設置し、その上に両面テープを用いて貼り付けた。
【0058】
この車両動揺測定装置により収録したデータを株式会社ニシヤマ製レールナビ(登録商標)(特許文献1の車両走行動揺解析システムを製品化したもの)のフォーマットに変換処理し、レールナビ(登録商標)にて表示、解析を行った。
【0059】
変換処理の手順は次の通りである。
1.この車両動揺測定装置により収録したデータをレールナビ(登録商標)のフォーマットに変換する。
2.レールナビ(登録商標)対応の路線データベースを作成する。
3.レールナビ(登録商標)の収録時と同様の、コンディションファイルを作成する。
4.レールナビ(登録商標)のDateフォルダに転送し、表示、解析を行う。
【0060】
この車両動揺測定装置により収録した、A駅からF駅までの走行時の特急列車Yの全体動揺波形を図4に示す(図4に記載された「加速度」のボックス内において、上段の波形が前後加速度の波形、中段の波形が左右加速度の波形、下段の波形が上下加速度の波形を示す。以下同様。)。また、A駅、B駅、C駅、D駅、E駅およびF駅に停車時の特急列車Yの動揺波形をそれぞれ図5、図6、図7、図8、図9および図10に示す。また、各駅に停車時の特急列車Yの前後加速度、左右加速度および上下加速度の測定値を停車時間および停車距離(キロ程)の値とともに表1に示す。時間はA駅出発時を0とし、A駅出発後の経過時間を秒単位で0.315として表示した。
【0061】
【表1】

【0062】
表1より、各駅に停車時の特急列車Yの前後加速度、左右加速度および上下加速度のそれぞれについて最大値と最小値との差を求め、その平均値を求めると、前後加速度の平均値は0.075m/s2 、左右加速度の平均値は0.103m/s2 、上下加速度の平均値は0.133m/s2 となる。ここで、特急列車Yが駅に停車しているとの判定値を、各平均値の150%に設定すると、各判定値は、前後加速度が0.12m/s2 、左右加速度が0.16m/s2 、上下加速度が0.20m/s2 となる。各駅での停車時間は、A駅は27秒、B駅は16秒、C駅は23秒、D駅は25秒、E駅は29秒、F駅は17秒である。この結果は、前後加速度、左右加速度および上下加速度の変動値が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に駅に停止していると判定することの裏付けとなるものである。
【0063】
上述の前後加速度、左右加速度および上下加速度の変動値による駅停止の判定は、好適には、車両側のドア開閉信号により補正する。すなわち、上述のように前後加速度、左右加速度および上下加速度の変動値が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に駅に停止していると判定した時、ドア開の信号を検出した時にはこの判定を有効とし、ドア開の信号を検出しない時にはこの判定を無効とし、駅に停止していないと判定する。ここで、ドア開の信号は、図5、図6、図7、図8、図9および図10の下部に記載された「スイッチBOX信号」に表示されている。また、上述の前後加速度、左右加速度および上下加速度の変動値による駅停止の判定は、分岐器あるいは軌道の曲線部の通過により補正することもできる。例えば、図7に示すように、C駅出発後の左右動の波形挙動には特徴的な変化があり、この挙動により9:42:55付近までは曲線部、その後は分岐器を特定することができる可能性があることから、これを補正に役立ててもよい。
【0064】
以上のように、この第1の実施の形態による車両動揺測定装置によれば、3軸加速度センサー12、13により検出される車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に車両が駅に停止していると判定するので、車両が駅に停止しているか否かの判定を自動化することができる。このため、計測者が不要となり、無人で車両の動揺測定を行うことができる。これによって、車両の動揺測定の省力化を図ることができ、従って車両の動揺測定の低コスト化を図ることができる。また、車両の動揺測定を高い位置精度または距離精度で正確に行うことができる。さらに、無人で車両の動揺測定を行うことができるため、動揺測定の結果から軌道の状態を常時監視することにより、異常動揺値が測定された場合には、データを運行管理司令室に転送するようにし、それによって軌道の保守管理を行うことができる。ここで、軌道の保守管理の具体例を挙げると、軌道の高低変位(上下動)、軌道の水準変位(上下動・左右動)、軌道の通りの変位(左右動)、走行安全性(著大な上下動・左右動)、乗り心地の確保(走行安全性に係わらない程度の上下動・左右動)などが含まれる。例えば、異常動揺値が測定された場合には、軌道の異常個所に対して補修などの適切な処置を施し、その後、動揺測定を再度行って処置の効果を確認することにより、軌道を良好な状態に維持することができる。
【0065】
加えて、この車両動揺測定装置は、車両の改善などにも活用することができる。すなわち、営業車両での動揺測定データは、軌道の保守管理のためだけでなく、乗り心地を良くするための車両の改善などのためにも必要であり、車両上で計測した動揺測定データの解析には、地上の軌道状態を考慮に入れる必要があり、走行経路に対応する位置の正確な把握が必要となる。車両側の乗り心地向上策としては、車両に生じる加速度は車両や編成列車の運動特性や速度や加減速度によって変化するので、車両に不要な加速度が生じないように台車および車体の設計(改造)や台車の軽量化やバネ下質量の削減などの改善が考えられる。また、車両保守面では、車輪踏面、車輪径の管理などが考えられる。
【0066】
次に、この発明の第2の実施の形態による車両動揺測定装置について説明する。
この車両動揺測定装置においては、動揺測定を行う路線の各駅に車両が停止している時の車両の傾きのデータベースを予め作成しておき、車両が駅に停車している時の車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により車両の傾きを測定し、上記のデータベースと照合することにより、車両が停止している駅の同定を行う。その他のことは第1の実施の形態による車両動揺測定装置と同様である。
【0067】
北海道旅客鉄道株式会社のX本線の特急列車Y号の運転室内にこの車両動揺測定装置を設置し、始発駅A駅を出発してから途中、B駅、C駅、D駅およびE駅に順に停車して終着駅F駅まで走行し、各駅に停車時の車両傾斜を求めた。
【0068】
この車両動揺測定装置により収録した、A駅からF駅までの走行時の特急列車Yの全体動揺波形は図4に示した通りである。図11〜図16はそれぞれ、A駅停車時、B駅停車時、C駅停車時、D駅停車時、E駅停車時およびF駅停車時の傾き波形を示す。
【0069】
図11〜図16に示す測定結果から各駅での車両の傾斜加速度を求めた結果を表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
表2より、各駅での停車時の車両の傾斜加速度、すなわち各駅での車両の傾斜は各駅毎に異なっていることが分かる。このため、各駅に車両が停止している時の車両の傾きのデータベースを予め作成しておくことにより、車両が駅に停車している時の車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により車両の傾きを測定し、上記のデータベースと照合することにより、車両が停車している駅の同定を自動的に行うことができる。
【0072】
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、停車駅の同定を自動化することが可能となるという利点を得ることができる。
【0073】
次に、この発明の第3の実施の形態による車両動揺測定装置について説明する。
この車両動揺測定装置においては、前後加速度、左右加速度および上下加速度の変動値による駅停止の判定をGPS信号により補正する。その他のことは第2の実施の形態による車両動揺測定装置と同様である。
【0074】
具体的には、この第3の実施の形態においては、GPS信号を受信可能な停止駅の前後位置、例えば踏切やキロ程などの緯度経度をデータベースに登録しておく。そして、図17に示すように、車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に車両が駅に停止していると判定した時、車両が登録された緯度経度の間に位置し、かつ車両の傾きより車両が駅に停車していることが検知された時にはこの判定を有効とし、検知されない時にはこの判定を無効とし、駅に停止していないと判定する。
この第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0075】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施の形態において挙げた仕様、数値、構成、機能などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる仕様、数値、構成、機能などを用いてもよい。
【符号の説明】
【0076】
11…本体、12、13…3軸加速度センサー、14…端子台、15…スイッチ、16…車両動揺測定ユニット、17…マルチプレクサ、18a、18b、18c…加速度アンプ、19a、19b、19c…ローパスフィルタ、20…A/Dコンバータ、21…CPU、22…メモリ、23…RTCチップ、24…SDカードソケット、25…MMC、26…USBモジュール基板、27…USBコネクタ、28…USBメモリ、29…USB−シリアル変換器、30…USBコネクタ、31…絶縁DC−DCコンバータ、32、33、34…抵抗、35…反転アンプ、36…振幅制限フィルタ、37…比較器、38…TTL、39…F/V変換器、40…絶縁DC−DCコンバータ、41…TTL、42…GPSアンテナ、43…GPS受信ユニット、44…パネル、45…記録スイッチ/LED、46…測定スイッチ/LED、47…停止スイッチ/LED、48…電源スイッチ/LED、49…速度動作LED、50…ATC動作LED、51…端子台、52…AC−DCコンバータ、53…電源部、54…バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定するように構成され、かつ、上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定装置。
【請求項2】
上記車両のドア開閉信号により、上記車両が駅に停止しているとの判定を補正することを特徴とする請求項1記載の車両動揺測定装置。
【請求項3】
上記車両の前後方向の加速度の2回積分、速度発電機信号、地点検知信号およびGPS信号のうちの少なくとも一つを用いることにより上記車両の位置を測定することを特徴とする請求項2記載の車両動揺測定装置。
【請求項4】
上記地点検知信号はATC信号およびATS信号のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項3記載の車両動揺測定装置。
【請求項5】
上記車両動揺測定装置は上記車両に常設されることを特徴とする請求項4記載の車両動揺測定装置。
【請求項6】
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定し、かつ、上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定方法。
【請求項7】
上記車両のドア開閉信号により、上記車両が駅に停止しているとの判定を補正することを特徴とする請求項6記載の車両動揺測定方法。
【請求項8】
上記車両の前後方向の加速度の2回積分、速度発電機信号、地点検知信号およびGPS信号のうちの少なくとも一つを用いることにより上記車両の位置を測定することを特徴とする請求項7記載の車両動揺測定方法。
【請求項9】
上記地点検知信号はATC信号およびATS信号のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項8記載の車両動揺測定方法。
【請求項10】
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定装置。
【請求項11】
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記車両が上記駅に停車している時の上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の値により上記車両の傾きを測定し、予め作成された、各駅に上記車両が停止している時の上記車両の傾きのデータベースと照合することにより、上記車両が停止している駅の同定を行うことを特徴とする車両動揺測定方法。
【請求項12】
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定するように構成されていることを特徴とする車両動揺測定装置。
【請求項13】
軌道上を走行する車両に設置され、上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出する3軸加速度センサーを用い、
上記3軸加速度センサーにより上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度を検出することにより上記車両の動揺を測定し、
上記3軸加速度センサーにより検出される上記車両の前後方向、左右方向および上下方向の加速度の変動が、少なくとも15秒間にわたり0.2m/s2 以下である時に上記車両が駅に停止していると判定することを特徴とする車両動揺測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−106554(P2012−106554A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255753(P2010−255753)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(000134903)株式会社ニシヤマ (33)
【出願人】(505075260)有限会社テクノポート (2)
【Fターム(参考)】