説明

車両探索システム

【課題】携帯機を小型化すること。
【解決手段】車両側装置20は、車両の異なる位置に設けられた3本のアンテナ21と、各アンテナ21から所定の周波数の送信信号を送信すると共に携帯機30から返信される返信信号を受信し、送信した各送信信号及び受信した各返信信号とを比較して各アンテナ21と携帯機30との距離情報を測定するレーダー回路22と、測定した距離情報から車両側から見た携帯機30の方角又は当該携帯機30から見た車両の方角を表す方位情報を検出する方位検出手段24とを備え、方位情報を含んだ情報を携帯機30へ送信する。携帯機30は、1本のアンテナと、車両側装置20から送信された送信信号を受信して送信信号と同期した返信信号を送り返すと共に、車両側装置20から送信された方位情報を含んだ情報を受信するトランスポンダと、方位情報に基づいて車両の方向に関する情報を出力する情報出力手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を探索する車両探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両探索システムとして、車両のドアの開閉等を車両の開閉キーにより遠隔操作可能なリモートキーレスエントリー(RKE:Remote Keyless Entry)システムを利用したものが知られている(特許文献1参照)。このシステムでは、車両の開閉キー(エントリーキー)内に三次元特性を持つ3つのアンテナを有するトランスポンダが設けられており、3つのアンテナの受信する信号強度により車両との距離を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−533591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のトランスポンダに設けられた3つのアンテナは、互いに直交した指向性を持つので形状も立体的になり、エントリーキー(携帯機)の小型化の妨げとなる問題があった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、携帯機を小型化することができる車両探索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両探索システムは、車両に設けられた車両側装置と、当該車両側装置と無線通信する携帯機とを備え、前記車両の位置を探索する車両探索システムであって、前記車両側装置は、前記車両の異なる位置に設けられた3本のアンテナと、前記3本のアンテナから所定の周波数の送信信号を送信すると共に、前記携帯機から返信される返信信号を受信し、送信した各送信信号及び受信した各返信信号との比較により各アンテナと前記携帯機との距離情報を測定するレーダー回路と、前記レーダー回路が測定した前記距離情報から前記車両側から見た前記携帯機の方角又は当該携帯機から見た前記車両の方角を表す方位情報を検出する方位検出手段と、を備え、前記方位情報を含んだ情報を前記携帯機へ送信し、前記携帯機は、1本のアンテナと、当該アンテナから前記車両側装置から送信された送信信号を受信して前記送信信号と同期した返信信号を送り返すと共に、前記車両側装置から送信された前記方位情報を含んだ情報を受信するトランスポンダと、前記トランスポンダで受信した前記方位情報に基づいて車両の方向に関する情報を出力する情報出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、各アンテナから送信される各送信信号及び携帯機から返信される各返信信号との比較により、その位相差から測定される距離情報に基づいて車両と携帯機との方位情報を検出して携帯機に送り、携帯機では受信した方位情報に基づいて車両の方向に関する情報を出力するので、従来のように携帯機に3つのアンテナを内蔵させる必要がなく、アンテナ本数を削減して携帯機を小型化することができると共に、携帯機に対して車両の方位情報を案内することができる。
【0008】
また、本発明は、上記車両探索システムにおいて、前記車両側装置は、前記方位情報と共に前記車両から前記携帯機までの距離情報を前記携帯機に送信し、前記情報出力手段は、前記方位情報と共に前記距離情報を出力することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、方位情報に加えて車両から携帯機までの距離情報を送ることができるので、携帯機に対して車両の正確な位置を案内することができる。
【0010】
また、本発明は、上記車両探索システムにおいて、前記携帯機は、当該携帯機の向いている方角を検知する方角検知器を備え、当該方角検知器が検出した前記携帯機の向いている方向を基準として前記車両の方向を示すことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、携帯機の向いている方向(絶対方位)を基準として車両の方向を示すので、携帯機の示す絶対方位と方位情報の示す相対方位とが一致していない場合でも、絶対方位を基準とした車両の正確な方位を案内することができる。
【0012】
また、本発明は、上記車両探索システムにおいて、前記方位検知手段は、前記方位情報の履歴から前記携帯機の進行方向を検出し、当該進行方向を前記方位情報と共に前記携帯機に送信し、前記情報出力手段は、前記進行方向と前記方位情報とを出力することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、方位情報の履歴から検出した携帯機の進行方向を方位情報と共に携帯機に送るので、携帯機の進行方向が車両の方位と違う方位に移動している場合でも、車両の方向へ適切に案内することができる。
【0014】
本発明は、上記車両探索システムにおいて、前記携帯機は、前記車両に設けられたドアを開閉するエントリーキー又は携帯電話機で構成することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯機を小型化することができる車両探索システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両探索システムを示す概念図である。
【図2】本実施の形態の車両側装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態のレーダー回路の構成を示す回路図である。
【図4】本実施の形態の携帯機の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の車両探索システムの制御動作を説明するためのフロー図である。
【図6】本実施の形態の変形例に係る車両側装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両探索システムを示した概略図である。図1に示す車両探索システム10は、車両11に設けられた車両側装置20と、この車両側装置20と無線通信可能な携帯機30とを備えている。本実施の形態に係る車両探索システム10は、車両側装置20に設けられた各アンテナ(ANT)21a,21b,21cと携帯機30との無線信号の送受信により求めた車両11と携帯機30との距離情報から車両11の方位情報を検出し携帯機30に送り、携帯機30に対して車両11の位置を案内するものである。
【0018】
図2は、車両側装置20の構成を示すブロック図である。図2に示すように、3本のアンテナ21a,21b,21cと、3つのレーダー回路22a,22b,22cと、測距部23と、CPU24と、メモリ25と、GPS装置26と、ロック解除システム27と、を備えている。
【0019】
各アンテナ21(21a,21b,21c)は、例えば、樹脂性のフィルムアンテナ等で構成され、車両11のフロントガラス及びリアガラス等の異なる位置に設けられる。各アンテナ21の取付位置は、三角形の頂点を形成するように設けられ、その三角形は大地に対して概ね水平となるように設けられる。各アンテナ21の車両11への取付位置は、メモリ25に記憶されている。各アンテナ21は、レーダー回路22から送られる質問信号を携帯機30に送ると共に、携帯機30からの応答信号を受信してレーダー回路22に送る。また、各アンテナ21は、各レーダー回路22からの送信信号を携帯機30に送ると共に、携帯機30から送り返される返信信号(受信信号)を受信して各レーダー回路22に送る。さらに、各アンテナ21は、レーダー回路22から送られる方位情報、距離情報及び進行情報を携帯機30に送る。
【0020】
各レーダー回路22(22a,22b,22c)は、携帯機30に対して間欠的に質問電波(質問信号)をアンテナ21を介して携帯機30に送信すると共に、この質問信号に対する携帯機30からの応答信号をアンテナ21を介して受信する。質問信号には、車両11に紐付けられた携帯機30を識別するID情報が含まれており、このID情報と一致する携帯機30からの応答信号を受信することにより、車両側装置20での距離情報測定動作が開始する。また、各レーダー回路22は、各アンテナ21から所定の周波数の送信信号を送信すると共に、携帯機30から返信される返信信号を受信し、自装置が送信した各送信信号及び受信した各返信信号の比較によりその位相差から各アンテナ21と携帯機30との個別の距離情報(個別距離情報)を測定し、これら各個別距離情報を測距部23に送る。ここで、所定の周波数としては、数MHzから数GHzの帯域で使用される。さらに、レーダー回路22は、CPU24から受けた方位情報、距離情報及び進行方向を、アンテナ21を介して携帯機30に送信する。本実施の形態では、レーダー回路22aが、質問信号、方位情報、距離情報及び進行方向を携帯機30に送ると共に、携帯機30からの応答信号を受信するが、この構成に限定されるものではない。ここで、各レーダー回路22a,22b,22cは、例えば、図3に示すような回路で構成可能である。
【0021】
図3は、レーダー回路22の構成例を示す回路構成図である。各レーダー回路22a,22b,22cは同一の構成であるため、ここではレーダー回路22aを例に説明する。図3に示すレーダー回路22aは、発振器221と、増幅器222と、分割器223と、サーキュレータ224と、増幅器225と、混合器226と、検出器(DET)227と、を備えている。CPU24から送信信号の出力指示を受けると、発振器221は所定の周波数帯域で搬送波信号を発振させて送信信号を生成し、増幅器222はこの送信信号を所定のレベルに増幅させて分割器223に送る。分割器223は、増幅器222で増幅された送信信号をサーキュレータ224に送るとともに、同一の送信信号を混合器226に送る。サーキュレータ224に送られた送信信号は、アンテナ21aから携帯機30に無線送信される。アンテナ21aで受信した携帯機30からの返信信号は、サーキュレータ224を介して増幅器225に送られ、所定レベルに増幅された後に混合器226に送られる。混合器225は、レーダー回路22aが送信した送信信号及び携帯機30から受信した返信信号をDET227に送り、DET227は送信信号及び返信信号の位相差からアンテナ21aと携帯機30との個別距離情報を測定する。
【0022】
図2に戻り、測距部23は、各レーダー回路22から送られた各アンテナ21と携帯機30との各個別距離情報と、メモリ25に格納された各アンテナ21の取付位置情報とに基づいて、例えば、三角測量方法を用いて車両11と携帯機30との距離情報を測定し、測定した距離情報をCPU24に送る。
【0023】
GPS装置26は、車両11の向いている方位を示す絶対方位情報と、車両11の位置を示す位置座標情報を取得し、取得した絶対方位情報及び位置座標情報をCPU24に送る。本実施の形態では、GPS装置26により車両11の絶対方位情報を検出したが、例えば、磁気方位センサ等により検出してもよい。
【0024】
ロック解除システム27は、車両11に設けられたドアのロックを解除するものである。ロック解除システム27は、例えば、測距部23が測定する車両11と携帯機30との距離情報に基づいて、この距離情報が所定値以下になった場合、携帯機30の近づいてくる側のドア11aのロックを解除する(図1参照)。
【0025】
CPU24は、レーダー回路22に対して間欠的に質問電波の生成指示を送っており、車両11と携帯機30との方位情報及び距離情報の検出動作全体を制御している。CPU24は、測距部23が測定した距離情報とGPS装置26から受けた車両11の絶対方位情報とに基づいて、車両11側から見た携帯機30の方角又は当該携帯機30から見た車両11の方角を表す相対的な方位情報(相対方位情報)を検出し、検出した相対方位情報をレーダー回路22に送る(方位検出手段)。この相対方位情報はメモリ25に格納され、携帯機30の進行方向を検出するために利用される。また、CPU24は、測距部23が測定した車両11と携帯機30との距離情報をレーダー回路22に送る。これら相対方位情報及び距離情報は、レーダー回路22等を介して携帯機30に送られ、携帯機30において車両の方向に関する情報(車両方向関連情報)を構成する。さらに、CPU24は、メモリ25に格納された相対方位情報の履歴から携帯機30の進行方向を検出し、検出した進行方向を相対方位情報と共にレーダー回路22に送る(方位検出手段)。
【0026】
図4は、携帯機30の構成を示すブロック図である。携帯機30は、1本のアンテナ31と、トランスポンダ32と、CPU33と、方角検知器35と、情報出力部34と、を備えている。携帯機30は、例えば、車両11に設けられたドア11aを開閉するエントリーキー又は携帯電話機で構成可能である。
【0027】
アンテナ31は、車両側装置20から送られた質問電波(質問信号)を受信してトランスポンダ32に送ると共に、トランスポンダ32から受けた応答電波(応答信号)を車両側装置20に送る。また、アンテナ31は、車両側装置20から送られた送信信号を受信してトランスポンダ32に送ると共に、トランスポンダ32から受けた返信信号を車両側装置20に送信する。
【0028】
トランスポンダ32は、アンテナ31から受けた質問信号をCPU33に送り、CPU33から応答信号の出力指示に従い応答信号を生成してアンテナ31に送る。また、トランスポンダ32は、車両側装置20から送られた送信信号をアンテナ31から受信して、この送信信号と同期した信号として同一周波数かつ同一位相の返信信号をアンテナ31に送り返す。さらに、トランスポンダ32は、車両側装置20から送られる相対方位情報、距離情報及び進行方向情報を受けるとCPU33に送る。
【0029】
方角検知器35は、携帯機30の向いている方角(絶対方位)を検知するものであり、検知した携帯機30の絶対方位情報をCPU33に送る。
【0030】
CPU33は、トランスポンダ32から質問信号を受けると、質問信号に含まれるID情報と携帯機30のID情報とが一致するか否かを判断し、一致した場合にはトランスポンダ32に応答信号の出力指示を送る。また、CPU33は、トランスポンダ32から受けた相対方位情報、距離情報、進行方向に基づいて、車両の方向に関する情報(車両方向関連情報)を生成し、生成した車両方向関連情報を情報出力部34に送出する。これにより、携帯機30の進行方向が車両11の方位と違う方向に移動している場合でも、車両11の方向へ適切に案内することができる。
【0031】
また、CPU33は、上記相対方位情報と、方角検知器35から受け取った携帯機30の絶対方位情報とに基づいて、携帯機30の向いている方向(絶対方位情報)を基準とした車両11の方向を示す情報を生成し、この情報を車両方向関連情報として情報出力部34に出力する。これにより、携帯機30の絶対方位と、方位情報の相対方位とが一致していない場合でも、絶対方位を基準とした車両11の正確な方位を案内することができる。
【0032】
情報出力部34は、CPU33で生成された車両方向関連情報を、LEDやLCD等の表示部34a及び/又はスピーカ34b等により表示出力及び/又は音声出力する(図1参照)。情報出力部34は、例えば、相対方位情報及び進行方向情報を表示部34aにより表示出力し、距離情報をスピーカ34bにより音声出力する。
【0033】
次に、本実施の形態に係る車両探索システム10の制御動作について説明する。図5は、本実施の形態に係る車両探索システム10の制御動作を示すフロー図であり、携帯機30が車両11の車外にあってオートロックを解除するまでのフローを示したものである。ここでは、車両側装置20から携帯機30に対して制御動作開始のトリガとなる質問電波が送られる場合を例に説明する。
【0034】
図5に示すように、車両側装置20において一定時間スリープ状態が続いた後(ステップS501)、質問電波が携帯機30に送信される(ステップS502)。携帯機30において質問電波を受信すると(ステップS551)、質問電波に含まれるID情報と携帯機30とのID情報とが一致するか判定され、これらID情報が一致する場合には応答信号を自車に送信すると判断され(ステップS552:Yes)、応答電波が車両側装置20に対して送信される(ステップS553)。応答信号を送信すると、携帯機30は、応答信号の送信先である車両側装置20との距離を測定するモード(測距モード)に移行する(ステップS554)。
【0035】
次に、携帯機30からの応答信号を受信し(ステップS503)、車両側装置20が設けられた車両11に対応する携帯機30からの応答がある場合(ステップS504:Yes)、当該携帯機30との距離を測定する測距モードに移行する(ステップS505)。なお、自車両11に対応する携帯機30からの応答が無い場合には(ステップS504:No)、間欠的に質問電波の送信が行われる。
【0036】
測距モード(ステップS505、ステップS554)においては、各レーダー回路22により、各アンテナ21から送信信号が送信され、携帯機30から返信される返信信号を受信して自装置が送信した各送信信号及び受信した各返信信号の位相差から各アンテナ21と携帯機30との個別距離情報が測定され、測距部23により、これら個別距離情報に基づいて車両11と携帯機30との距離情報が測定される。車両11と携帯機30との測距処理が完了すると(ステップS506、ステップS555)、測距部23により測距完了信号がCPU24に送られる(ステップS507)。
【0037】
次に、CPU24により、測距部23が測定した距離情報と、GPS装置26から受けた車両11の絶対方位情報及び位置情報とに基づいて、車両11と携帯機30との測位計算が行われ、測位変換される(ステップS508、ステップS509)。そして、車両11と携帯機30との相対方位情報及び距離情報は、携帯機30に送信される(ステップS510)。
【0038】
車両側装置20からの相対方位情報及び距離情報を受信すると(ステップS556)、情報出力部34によりこれら相対方位情報及び距離情報が表示・音声出力される(ステップS557)。そして、相対方位情報及び距離情報に従って、携帯機30を所有するユーザは、車両11に近づきながら車両の位置を探索する。
【0039】
次に、車両11と携帯機30との距離が車両11のドア11aのロックを解除する解除距離にまで近づくと(ステップS511:Yes)、ロック解除システム27により、携帯機30が近付いてくる側のドア11aのロックが解除され(ステップS512)、携帯機30に対してドアロック解除信号が送信される(ステップS513)。そして、携帯機30において、ドアロック解除信号が受信され(ステップS558)、ドアロック解除がされたか否か確認される(ステップS559)。
【0040】
なお、図5に示すフローでは、車両側装置20から携帯機30に対して制御動作開始のトリガとなる質問電波を送る構成としたが、携帯機30から車両側装置20に対してトリガとなる質問電波を送ることにより車両側装置20に対して制御動作を開始させることも可能である。この場合、質問電波には、携帯機30を識別するID情報と車両側装置20を起動させる起動信号が含まれる。
【0041】
このように本実施の形態によれば、車両側装置20において、各アンテナ21a,21b,21cから送信される各送信信号及び携帯機30から返信される各返信信号との位相差から測定される車両11と携帯機30との距離情報と、車両11の絶対方位情報とに基づいて車両11と携帯機30との方位情報を検出して携帯機30に送り、携帯機30では、受信した方位情報に基づいて車両11の方向に関する車両方向関連情報を生成して出力する。このため、従来のように携帯機に3つのアンテナを内蔵させる必要がなく、携帯機30のアンテナ本数を削減して携帯機30を小型化することができると共に、携帯機30に対して車両11との方位情報を案内することができる。また、方位情報に加えて車両11から携帯機30までの距離情報を送るので、携帯機30に対して車両11の正確な位置を案内することができる。さらに、携帯機30の向いている方向(絶対方位)を基準として方位情報に基づいて車両11の方向を示すので、携帯機30の絶対方位と方位情報の相対方位とが一致していない場合でも、絶対方位を基準とした車両11の正確な方位を案内することができる。さらに、方位情報の履歴から検出した携帯機30の進行方向を方位情報と共に携帯機30に送るので、携帯機30の進行方向が車両の方位と違う方向に移動している場合でも、車両11の方向へ適切に案内することができる。
【0042】
また、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態にいて、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0043】
上記実施の形態では、車両側装置20に、3本のアンテナ21a,21b,21cを設ける構成としたが、4本以上のアンテナ21を設ける構成も可能である。例えば、4本以上の各アンテナ21が受信した携帯機30からの返信信号の受信レベルを参照し、受信レベルが高い上位3本のアンテナ21と携帯機30との各個別距離情報を測距部23に送るようにしてもよい。この場合でも、4本以上のアンテナ21の位置は大地に対して概ね水平な平面にあることが好ましい。
【0044】
更に、上記実施の形態ではアンテナ21に対応する数のレーダー回路22を設けたが、、各アンテナ21と携帯機30との個別距離情報を測定可能であればレーダー回路22を共有する構成でもよい。例えば、図6に示す車両側装置20aのように、各アンテナ21をスイッチ回路26を介してレーダー回路22dと接続するようにしてもよい。この場合、CPU24は各アンテナ21を切換えるための制御信号をスイッチ回路26に送出し、各アンテナ21を切換ながらレーダー回路22dで個別距離情報を測定させ、距離情報を測距部23から受け取る。
【0045】
また、上記実施の形態では、車両側装置20で相対方位情報を検出する構成としたが、携帯機30に磁気センサを設ければ、携帯機30側で、車両側装置20から送られる距離情報に基づいて相対方位情報を検出することも可能である。なお、この場合、携帯機30に方角検知器35を設ける必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、自動車等の車両を探索する車両探索システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 車両探索システム
20 車両側装置
21a,21b,21c アンテナ
22a,22b,22c レーダー回路
23 測距部
24 CPU
25 メモリ
26 GPS
27 ロック解除システム
30 携帯機
31 アンテナ
32 送受信回路
33 CPU
34 情報出力部
35 方角検知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた車両側装置と、当該車両側装置と無線通信する携帯機とを備え、前記車両の位置を探索する車両探索システムであって、
前記車両側装置は、
前記車両の異なる位置に設けられた3本のアンテナと、
前記3本のアンテナから所定の周波数の送信信号を送信すると共に、前記携帯機から返信される返信信号を受信し、送信した各送信信号及び受信した各返信信号との比較により各アンテナと前記携帯機との距離情報を測定するレーダー回路と、
前記レーダー回路が測定した前記距離情報から前記車両側から見た前記携帯機の方角又は当該携帯機から見た前記車両の方角を表す方位情報を検出する方位検出手段と、を備え、前記方位情報を含んだ情報を前記携帯機へ送信し、
前記携帯機は、
1本のアンテナと、当該アンテナから前記車両側装置から送信された送信信号を受信して前記送信信号と同期した返信信号を送り返すと共に、前記車両側装置から送信された前記方位情報を含んだ情報を受信するトランスポンダと、
前記トランスポンダで受信した前記方位情報に基づいて車両の方向に関する情報を出力する情報出力手段と、を備えたことを特徴とする車両探索システム。
【請求項2】
前記車両側装置は、前記方位情報と共に前記車両から前記携帯機までの距離情報を前記携帯機に送信し、
前記情報出力手段は、前記方位情報と共に前記距離情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両探索システム。
【請求項3】
前記携帯機は、当該携帯機の向いている方角を検知する方角検知器を備え、当該方角検知器が検出した前記携帯機の向いている方向を基準として前記車両の方向を示すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両探索システム。
【請求項4】
前記方位検出手段は、前記方位情報の履歴から前記携帯機の進行方向を検出し、当該進行方向を前記方位情報と共に前記携帯機に送信し、
前記情報出力手段は、前記進行方向と前記方位情報とを出力することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両探索システム。
【請求項5】
前記携帯機は、前記車両に設けられたドアを開閉するエントリーキーであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両探索システム。
【請求項6】
前記携帯機は、携帯電話機であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両探索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−160017(P2010−160017A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1588(P2009−1588)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】