説明

車両検出装置及び通行料課金システム

【課題】車両検出装置の製造・設置・保守管理にかかる費用を抑える。
【解決手段】センサ装置110a及びセンサ装置110bは、所定の放射基点から所定の放射方向へ向けて放射光を放射し、放射した放射光が反射物体に反射した反射光を受光することにより、放射光を反射した反射物体までの距離を算出する。センサ装置110aの放射基点は、通行路801を横断する通行路横断方向において、通行路801から離れた位置にある。センサ装置110bの放射基点は、通行路801を横断する通行路横断方向において、センサ装置110aの放射基点とは反対側に通行路801から離れた位置にあり、車両が進行する車両進行方向において、センサ装置110aの放射基点から離れた位置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の通行路を通行する車両を検出する車両検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所などに設置され、通行する車両を検出し、検出した車両の車種を判定して、自動的に課金を行うシステムがある。
このようなシステムにおいては、車両の料金区分を判定するため、車長、車幅、車高、車軸数、牽引の有無などを検出する必要がある。また、例えば料金所の係員などの人間と車両とを区別する必要がある。また、例えば二輪車の並走などの異常を検出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−175989号公報
【特許文献2】特開2000−215382号公報
【特許文献3】特開平10−105869号公報
【特許文献4】特開平10−105872号公報
【特許文献5】特開平10−105774号公報
【特許文献6】特開平11−288496号公報
【特許文献7】特開2002−183881号公報
【特許文献8】特開2002−74579号公報
【特許文献9】特開2004−272841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両検出装置は、上記のような様々なデータを得るため、多くのセンサを組み合わせて使用している。このため、車両検出装置の製造・設置・保守管理などにかかる費用が高くなる。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、車両検出装置の製造・設置・保守管理などにかかる費用を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる車両検出装置は、所定の通行路を通行する車両を検出する車両検出装置において、
複数のセンサ装置と、開始検出部と、終了検出部と、通過時間算出部と、時間差算出部と、車速算出部と、車長算出部と、車幅算出部とを有し、
上記複数のセンサ装置の各センサ装置は、所定の放射基点から所定の放射方向へ向けて放射光を放射し、放射した放射光が上記放射方向に存在する反射物体に反射した反射光を受光することにより、上記放射光を反射した反射物体までの距離を算出し、
上記複数のセンサ装置のうち第一のセンサ装置は、上記通行路を横断する通行路横断方向において、上記放射基点の位置が上記通行路から離れた位置であり、上記通行路内を上記放射方向として上記放射光を放射し、
上記複数のセンサ装置のうち第二のセンサ装置は、上記通行路横断方向において、上記放射基点の位置が上記第一のセンサ装置の放射基点とは反対側に上記通行路から離れた位置であり、上記車両が進行する車両進行方向において、上記放射基点の位置が上記第一のセンサ装置の放射基点から離れた位置であり、上記通行路内を上記放射方向として上記放射光を放射し、
上記開始検出部は、上記複数のセンサ装置のうち少なくともいずれかのセンサ装置について、上記車両が上記反射物体として上記放射光の反射を開始した反射開始時刻を検出し、
上記終了検出部は、上記複数のセンサ装置のうち少なくともいずれかのセンサ装置について、上記車両が上記反射物体として上記放射光の反射を終了した反射終了時刻を検出し、
上記通過時間算出部は、上記複数のセンサ装置のうち少なくともいずれかのセンサ装置について、上記開始検出部が検出した反射開始時刻と上記終了検出部が検出した反射終了時刻とに基づいて、上記車両が上記センサ装置の前を通過するのにかかった通過時間を算出し、
上記時間差算出部は、上記車両の所定の部位が上記第一のセンサ装置の前を通過した時刻と上記第二のセンサ装置の前を通過した時刻との間の時間差を算出し、
上記車速算出部は、上記時間差算出部が算出した時間差に基づいて、上記車両の速度を算出し、
上記車長算出部は、上記通過時間算出部が算出した通過時間と上記車速算出部が算出した速度とに基づいて、上記車両の車長を算出し、
上記車幅算出部は、上記第一のセンサ装置及び上記第二のセンサ装置が算出した距離に基づいて、上記車両の車幅を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる車両検出装置によれば、2つのセンサ装置だけで車両の車長と車幅とを算出することができるので、センサ装置の数が少なくて済み、車両検出装置の製造・設置・保守管理などにかかる費用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における料金所システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図。
【図2】実施の形態1におけるセンサ装置110のブロック構成の一例を示すブロック構成図。
【図3】実施の形態1におけるセンサ装置110のうち放射光学系120の構造の一例を示す側面視断面図。
【図4】実施の形態1におけるセンサ装置110のうち受光光学系130の構造の一例を示す側面視断面図。
【図5】実施の形態1における3つのセンサ装置110の配置の一例を示す斜視図。
【図6】実施の形態1における3つのセンサ装置110の配置の一例を示す平面図。
【図7】実施の形態1における3つのセンサ装置110の配置の一例を示す正面図。
【図8】実施の形態1における検出装置150の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図。
【図9】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図10】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図11】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図12】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図13】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図14】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図15】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図16】実施の形態1における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図。
【図17】実施の形態1におけるセンサ装置110の前を通過する車両が斜走している様子の一例を示す平面図。
【図18】実施の形態1における車両判定処理S610の流れの一例を示すフローチャート図。
【図19】実施の形態1における車両検出処理S620の流れの一例を示すフローチャート図。
【図20】実施の形態1における車長算出処理S630の流れの一例を示すフローチャート図。
【図21】実施の形態1における車幅算出処理S640の流れの一例を示すフローチャート図。
【図22】実施の形態1における車高算出処理S650の流れの一例を示すフローチャート図。
【図23】実施の形態1における並走判定処理S660の流れの一例を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図23を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における料金所システム800の全体構成の一例を示すシステム構成図である。
料金所システム800は、有料道路の入口や出口に設けられている。料金所システム800は、通行する車両を検出し、検出した車両の料金区分を判定する。料金所システム800は、例えば、車載器と通信することにより、有料道路の入口において、判定した料金区分や車両が有料道路に入った入口を車載器に記憶させ、有料道路の出口において、通行料を算出して、課金する。料金所システム800は、例えばETC(Electronic Toll Collection System)である。
【0010】
料金所システム800は、例えば、車両検出装置100、通信アンテナ810、路側無線装置820、料金収受装置830を有する。
車両検出装置100は、通行する車両を検出し、検出した車両の車長・車幅・車高・車軸数・牽引の有無など、車両の料金区分を判定するために必要なデータを収集する。
通信アンテナ810は、車載器と無線通信するためのアンテナである。
路側無線装置820は、車両検出装置100が車両を検出した場合に、通信アンテナ810を介して車載器と通信する。
料金収受装置830は、車両の通行料を徴収する。例えば、料金収受装置830は、路側無線装置820が車載器と通信することにより取得したクレジットカード情報に基づいて、クレジット会社のサーバ装置と通信して、通行料の引き落としを行う。また、二輪車の並走などの異常を車両検出装置100が検出した場合や路側無線装置820が車載器と正常に通信できない場合など、自動での通行料徴収ができない場合、料金収受装置830は、図示していないゲートを閉じて車両を停止させる。その場合、係員が手動で通行料を徴収する。
【0011】
車両検出装置100は、3つのセンサ装置110(それぞれのセンサ装置110を区別するため、アルファベット小文字を付けて、センサ装置110a、センサ装置110bのように記す場合がある。他の構成についても同様。)と、検出装置150とを有する。
センサ装置110は、光を放射し、放射した方向(以下「放射方向」と呼ぶ。)に存在する物体(以下「反射物体」と呼ぶ。)に反射した光(以下「反射光」と呼ぶ。)を受光することにより、反射物体までの距離を測定する。センサ装置110は、光を放射する方向を所定の範囲(以下「走査方向範囲」と呼ぶ。)内で変えることができる。センサ装置110は、放射方向を変えて走査方向範囲を走査する。これにより、反射物体の形状を測定することができる。
検出装置150は、3つのセンサ装置110がそれぞれ測定した距離に基づいて、反射物体の形状を検出し、反射物体が車両であるか否かを判定する。反射物体が車両であると判定した場合、検出装置150は、検出した車両の形状に基づいて、車長・車幅・車高・車軸数・牽引の有無などを判定する。検出装置150は、判定結果を路側無線装置820に対して通知する。
【0012】
図2は、この実施の形態におけるセンサ装置110のブロック構成の一例を示すブロック構成図である。
センサ装置110は、変調信号生成回路111、連続波変調光源(以下「CW光源112」と呼ぶ。)、走査信号生成回路113、方向算出回路114、長尺フォトダイオード(以下「長尺PD115」と呼ぶ。)、電流電圧変換器(以下「TIA116」と呼ぶ。)、位相検波回路117、距離算出回路118、放射光学系120、受光光学系130を有する。
【0013】
変調信号生成回路111は、正弦波の信号(以下「変調信号」と呼ぶ。)を生成する。変調信号生成回路111が生成する変調信号の周波数fは、例えば、10メガヘルツである。
CW光源112(放射装置)は、レーザ光を放射する。CW光源112が放射するレーザ光(以下「放射光」と呼ぶ。)の波長は、1.4マイクロメートル以上であり、例えば1.48マイクロメートルである。放射光の波長が1.4マイクロメートル以上であれば、日本工業規格(以下「JIS」と呼ぶ。)C6802「レーザ製品の安全基準」に定められたクラス1レーザ製品に対する安全基準において、10秒以上の露光に対して10ミリワットの出力が認められるなど、波長が1.4マイクロメートル未満の場合と比較して、放射光の出力を大きくすることができる。これにより、信号雑音比が改善するので、距離判定の精度が向上する。
また、CW光源112が放射する放射光は、変調信号生成回路111が生成した変調信号により連続波変調されている。連続波変調とは、パルス変調などの不連続な変調方式と異なり、放射光を連続して放射する変調方式である。連続波変調には、例えばレーザ光の強度を変調する強度変調方式がある。
例えば、時刻tにおける変調信号S(t)および放射光の強度A(t)は、次の式で表わされる。
【数11】

ただし、Sは、変調信号の振幅を表わし、0超1未満の実数である。φは、変調信号のt=0における位相を表わし、0以上2π未満の実数である。Aは、放射光の平均強度を表わし、0超の実数である。
【0014】
走査信号生成回路113は、CW光源112が放射した放射光の放射方向を指示する信号(以下「走査信号」と呼ぶ。)を生成する。
放射光学系120(走査装置)は、走査信号生成回路113が生成した走査信号にしたがって、CW光源112が放射した放射光の方向を曲げて、指示された放射方向に向かう光にする。
方向算出回路114は、走査信号生成回路113が生成した走査信号に基づいて、放射光の放射方向を算出する。方向算出回路114は、算出した放射方向を表わす信号(以下「方向信号」と呼ぶ。)を生成し、出力する。
放射光の放射方向は、例えば4ミリ秒を周期(以下「走査周期」と呼ぶ。)として1往復する。例えば、車両が時速80キロメートルで通過した場合、4ミリ秒の間に移動する距離は、約9センチメートルである。したがって、連続して通過する車両の間隔が50センチメートル程度であったとしても、通過した車両が1台であるか2台であるかを十分判別することができる。
【0015】
放射光学系120から放射された放射光は、反射物体に当たって反射する。反射物体に反射した反射光は、受光光学系130を介して、長尺PD115に入射する。
長尺PD115(受光装置)は、受光面が長尺状のフォトダイオードである。長尺PD115の受光面は、例えば、縦30ミリメートル×横1ミリメートルの長方形である。長尺PD115には、受光した位置にかかわらず、受光した光の強さに比例する電流が流れる。長尺PD115の受光面が長尺状であるため、受光側を走査させる必要がない。これにより、故障の原因となる機械的要素を減らすことができ、車両検出装置100を長寿命化することができる。
TIA116は、長尺PD115を流れる電流を電圧(以下「受光電圧」と呼ぶ。)に変換する。
【0016】
位相検波回路117は、変調信号生成回路111が生成した変調信号と、TIA116が変換した受光電圧とに基づいて、変調信号と受光電圧との位相差を検出する。変調信号と受光電圧との位相差は、放射光が反射物体に当たって反射した反射光を受光するまでの遅延時間に対応するので、これに基づいて、反射物体までの距離を知ることができる。位相検波回路117は、検出した位相差を表わす信号を出力する。
【0017】
例えば、位相検波回路117は、帯域通過フィルタ(以下「BPF」と呼ぶ。)を用いて、受光電圧のうちから、変調信号の周波数fに近い周波数の成分だけを抽出し、他の周波数成分を除去する。抽出した信号(以下「受光信号」と呼ぶ。)をR(t)とすると、
【数12】

ただし、θは、受光信号のt=0における位相を表わし、0以上2π未満の実数である。なお、ここでは、ドップラー効果による周波数シフトを無視している。
【0018】
位相検波回路117は、変調信号S(t)と受光信号R(t)との積を算出する。
【数13】

【0019】
位相検波回路117は、低域通過フィルタ(以下「LPF」と呼ぶ。)を用いて、算出した積のうちから、変調信号の周波数fより高い周波数の成分を除去し、低周波成分(数13の第一項)だけを抽出する。位相検波回路117は、変調信号の振幅Sと受光信号の振幅Rとの積を算出する。位相検波回路117は、抽出した信号を算出した積で割った商を表わす信号(以下「位相信号」と呼ぶ。)を生成する。位相検波回路117が生成する位相信号P(t)は、次の式で表わされる。
【数14】

【0020】
したがって、位相差θ−φが0以上π以下の範囲内であれば、位相検波回路117が生成する位相信号から、変調信号と受光信号との位相差を求めることができる。例えば、変調信号の周波数fが10メガヘルツの場合、位相差θ−φがπになるのは光路長が約15メートルのときだから、センサ装置110と反射物体との距離が約7.5メートル以下であれば、位相信号に基づいて反射物体までの距離を求めることができる。
【0021】
なお、位相検波回路117は、更に、変調信号を90度移相した信号と受光信号との積を算出する構成であってもよい。そうすれば、位相差θ−φが0以上2π未満の範囲内であれば、位相検波回路117が生成する位相信号から、変調信号と受光信号との位相差を求めることができる。
【0022】
距離算出回路118は、位相検波回路117が生成した位相信号に基づいて、光路長を算出し、反射物体までの距離を算出する。距離算出回路118は、算出した距離を表わす信号(以下「距離信号」と呼ぶ。)を生成し、出力する。
【0023】
図3は、この実施の形態におけるセンサ装置110のうち放射光学系120の構造の一例を示す側面視断面図である。
車両検出装置100は、放射光学系120として、微細電子機械素子スキャナ(以下「MEMSスキャナ121」と呼ぶ。)、窓141を有する。
【0024】
MEMSスキャナ121は、半導体集積回路作製技術により、シリコン基板やその他の基板の上に形成された微細機械であり、例えば鏡と駆動部とを有する。鏡は、所定の軸を中心に角度を変えることができる。駆動部は、走査信号生成回路113から入力した走査信号に基づいて鏡を動かす。CW光源112が放射した放射光は、鏡に反射して、放射方向へ向かう。MEMSスキャナ121は、ポリゴンミラーなどと比較して、鏡を高速に動かすことができるので、高速走査が可能である。また、MEMSスキャナ121は、磨耗などによる故障が少なく、長寿命である。
MEMSスキャナ121の鏡は、例えば紙面に垂直な方向を軸として、例えば20度程度の範囲で回転する。したがって、MEMSスキャナ121が反射した放射光は、例えば40度程度の範囲内を一次元的に走査する。
窓141は、センサ装置110全体を覆うケース140に設けられている。窓141は、MEMSスキャナ121に反射して走査方向範囲へ向かう放射光を通すためのものであり、埃などの進入を防ぐため、ガラスなど透明の材料が嵌められている。
【0025】
この例において、センサ装置110が放射する放射光は、MEMSスキャナ121の鏡の位置を中心として、扇状の範囲を走査する。センサ装置110が放射する放射光の中心となる位置を「放射基点」と呼ぶ。
【0026】
図4は、この実施の形態におけるセンサ装置110のうち受光光学系130の構造の一例を示す側面視断面図である。
車両検出装置100は、受光光学系130として、窓142、凸面鏡131を有する。
【0027】
放射光学系120と受光光学系130との間には、CW光源112が放射した放射光が長尺PD115に入射しないよう、図示していない遮光壁が設けられている。
窓142は、ケース140に設けられている。窓142は、反射物体に反射した反射光を通すためのものであり、埃などの進入を防ぐため、ガラスなど透明の材料が嵌められている。窓142は、走査方向範囲外からの光が長尺PD115に入射しないように遮光する構造を有している。窓142は、例えばスリット状である。
凸面鏡131は、窓142から入射した反射光を反射して、長尺PD115に入射させる。なお、凸面鏡131の代わりに、平面鏡や凹面鏡を用いてもよいし、窓142から入射した反射光を長尺PD115が直接受光する構成であってもよい。
【0028】
図5は、この実施の形態における3つのセンサ装置110の配置の一例を示す斜視図である。
車両は、通行路801を通行する。通行路801の両脇には、それぞれ、島802(車両が進行する方向(以下「車両進行方向」あるいは「下流方向」と呼ぶ。)に対して左側を「島802a」、右側を「島802b」と呼ぶ。)が設けられている。島802は、車両の進入を防ぐため、通行路801よりも少し(例えば15センチメートル)高くなっている。
島802の上には、柱803が設けられている。左側の島802aに設置された柱803aには、2つのセンサ装置110a,110cが固定されている。センサ装置110aは、柱803aの下部に設置されている。センサ装置110cは、柱803aの先端付近に設置されている。右側の島802bに設置された柱803bには、センサ装置110bが固定されている。センサ装置110bは、柱803bの下部に設置されている。
【0029】
図6は、この実施の形態における3つのセンサ装置110の配置の一例を示す平面図である。
この図は、図5に示した配置を上から見下ろしたところを表わす。
【0030】
通行路走査範囲501aは、センサ装置110aが放射する放射光が通行路801や島802に当たる範囲である。したがって、車両などがいない状態では、通行路801や島802が反射物体として放射光を反射する。通行路走査範囲501bは、センサ装置110bが放射する放射光が通行路801や島802に当たる範囲である。通行路走査範囲501cは、センサ装置110cが放射する放射光が通行路801や島802に当たる範囲である。
通行路801の幅(以下「通行路幅511」と呼ぶ。)は、例えば4メートルである。
通行路走査範囲501a,501b,501cは、互いにほぼ平行であり、車両進行方向に対してほぼ垂直である。通行路走査範囲501aと通行路走査範囲501bとの間の間隔(以下「進行方向位置差分513」と呼ぶ。)は、例えば50センチメートル以下であり、好ましくは15〜25センチメートルである。進行方向位置差分513は、車両のタイヤの直径(例えば60センチメートル)を基準として、それよりも短く設定する。
通行路走査範囲501cは、2つの通行路走査範囲501a,501bのほぼ中央に位置する。なお、通行路走査範囲501cは、2つの通行路走査範囲501a,501bのいずれかに近い位置であってもよいし、2つの通行路走査範囲501a,501bのいずれかにほぼ一致する位置であってもよい。変調信号の周波数fを、センサ装置110cと、センサ装置110aあるいはセンサ装置110bと異なる周波数に設定しておけば、他のセンサ装置110が放射した放射光が反射物体に反射した反射光を検出しても、位相検波回路117が除去できるので、反射物体までの距離を正しく算出できる。
通行路走査範囲501a,501b,501cは、通行路801の幅方向のほぼ全域をカバーする。
【0031】
図7は、この実施の形態における3つのセンサ装置110の配置の一例を示す正面図である。
この図は、図5に示した配置を車両進行方向と逆の方向(以下「車両後退方向」あるいは「上流方向」と呼ぶ。)から見たところを表わす。
センサ装置110aの放射基点502aおよびセンサ装置110bの放射基点502bの通行路801に対する高さ(以下「側部センサ高さ515」と呼ぶ。)は、例えば1メートルである。側部センサ高さ515は、車高が低い車両の車高(例えば2メートル)を基準として、それよりも低く設定する。なお、側部センサ高さ515は、センサ装置110aとセンサ装置110bとで異なっていてもよい。
車両進行方向に対して垂直に通行路801を横断する方向(以下「通行路横断方向」と呼ぶ。)において、センサ装置110aの放射基点502aとセンサ装置110bの放射基点502bとの間の距離(以下「横断方向位置差分514」と呼ぶ。)は、例えば、6メートルである。放射基点502aと放射基点502bとの間の実際の距離は、直角三角形の斜辺の長さとなるから、進行方向位置差分513が例えば50センチメートルであるとすると、約6.02メートルである。
センサ装置110cの放射基点502cの通行路801に対する高さ(以下「上部センサ高さ516」と呼ぶ。)は、例えば4.7メートルである。上部センサ高さ516は、車高を判定する閾値(例えば2メートル)を基準として、少なくとも、その閾値よりも車高が低い車両の車高を測定できる高さに設定する。
【0032】
走査面503aは、センサ装置110aが放射する放射光が当たる範囲を表わす平面である。走査面503aは、センサ装置110aの放射基点502aを頂点とし、通行路801の側、水平より下に例えば10度から40度ほどの範囲である。
走査面503bは、センサ装置110bが放射する放射光が当たる範囲を表わす平面である。走査面503aは、センサ装置110bの放射基点502bを頂点とし、通行路801の側、水平より下に例えば10度から40度ほどの範囲である。
走査面503cは、センサ装置110cが放射する放射光が当たる範囲を表わす平面である。走査面503cは、センサ装置110cの放射基点502cを頂点とし、水平より下に例えば40度から80度ほどの範囲である。
【0033】
図8は、この実施の形態における検出装置150の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
以下で説明する機能ブロックは、例えばコンピュータがプログラムを実行することによってソフトウェア的に実現してもよいし、専用の回路などによってハードウェア的に実現してもよい。以下では、これらの機能ブロックをコンピュータで実現する場合について説明する。
【0034】
コンピュータは、例えば処理装置(以下「CPU」と呼ぶ。)、記憶装置、入力装置、出力装置などを有する。CPUは、記憶装置が記憶したプログラムを実行することにより、記憶装置が記憶したデータなどを処理するとともに、コンピュータ全体を制御する。記憶装置は、CPUが実行するプログラムやCPUが処理するデータなどを記憶する。記憶装置には、例えば不揮発性メモリ(以下「ROM」と呼ぶ。)や揮発性メモリ(以下「RAM」と呼ぶ。)がある。入力装置は、コンピュータの外部からデジタル信号やアナログ信号などの信号を入力して、CPUが処理できるデータの形式に変換する。入力装置には、例えば、ラッチ回路、シリアルパラレル変換回路(以下「SPC」と呼ぶ。)、アナログデジタル変換回路(以下「ADC」と呼ぶ。)などがある。入力装置が入力したデータは、CPUが直接処理してもよいし、記憶装置が一時的に記憶してもよい。出力装置は、CPUが処理したデータなどをデジタル信号やアナログ信号などの信号の形式に変換して、コンピュータの外部に出力する。出力装置には、例えば、ラッチ回路、パラレルシリアル変換回路(以下「PSC」と呼ぶ。)、デジタルアナログ変換回路(以下「DAC」と呼ぶ。)などがある。
【0035】
検出装置150は、3つの形状検出部151、2つの車両判定部152、2つの開始検出部153、2つの終了検出部154、2つの通過時間算出部155、通過時間推定部156、2つの時間差算出部157、時間差推定部158、車速算出部159、車長算出部160、2つの車軸検出部161、車軸計数部162、車幅算出部163、車高算出部164、並走判定部165を有する。
【0036】
形状検出部151aは、CPUがSPCやADCを制御することにより、センサ装置110aが出力した方向信号と距離信号とを入力して、CPUが処理できるデータ(以下、それぞれ「方向データ」「距離データ」と呼ぶ。)に変換する。形状検出部151aは、CPUが方向データや距離データを処理することにより、反射物体を走査面503aで切断した断面形状を検出する。例えば、センサ装置110の放射基点502の位置や走査方向範囲を表わすデータをROMがあらかじめ記憶しておき、そのデータに基づいてCPUが、方向データと距離データとによって放射基点502aの位置を原点とする極座標表示された座標を、所定の点を原点とする直交座標に変換することにより、反射物体の断面形状を再構成する。形状検出部151aは、CPUがデータを処理することにより、検出した断面形状を表わすデータ(以下「断面形状データ」と呼ぶ。)を生成する。形状検出部151aが生成する断面形状データは、例えば、断面形状を構成する複数の点あるいは線分について、形状検出部151aが変換した直交座標を表わす数値の組を表わす。
【0037】
例えば、形状検出部151aがセンサ装置110aからの距離信号を入力する間隔が2マイクロ秒である場合、データレートは500キロヘルツである。走査周期が4ミリ秒であれば、形状検出部151aは、1回の走査で2000個の点を検出する。走査方向範囲が30度である場合、放射方向は1往復の間に60度変化することになるから、形状検出部151aが検出する点の角度間隔は、0.03度である。これは、6メートル先における分解能が約3.1ミリメートルであることを意味するから、例えば直径15ミリメートルの牽引棒が存在するか否かを十分判別することができる。
【0038】
同様に、形状検出部151bは、センサ装置110bが出力した方向信号と距離信号とに基づいて、反射物体を走査面503bで切断した断面形状を検出し、断面形状データを生成する。形状検出部151cは、センサ装置110cが出力した方向信号と距離信号とに基づいて、反射物体を走査面503cで切断した断面形状を検出し、断面形状データを生成する。
【0039】
例えば、データレートが500キロヘルツ、走査周期が4ミリ秒である場合、センサ装置110cの走査方向範囲が40度なら、形状検出部151cが検出する点の角度間隔は0.04度であるから、7メートル先における分解能は、約4.9ミリメートルである。
【0040】
形状検出部151が検出する断面形状はこのように高い分解能を有するので、反射物体が車両であるか否かの判別、車両の種類の判別、車軸数の判別などが容易にできる。
【0041】
車両判定部152aは、形状検出部151aが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、反射物体が車両であるか否かを判定する。なお、車両判定部152aは、反射物体が車両である場合において、その車両の種別を判定する構成であってもよいし、反射物体が車両でない場合において、反射物体が通行路801や島802であるか人間であるかなどを判定する構成であってもよい。車両判定部152aは、CPUがデータを処理することにより、判定した結果を表わすデータ(以下「車両判定データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、通行路801や島802を走査面503aで切断した断面形状(以下「路面断面形状」と呼ぶ。)を表わすデータ(以下「路面断面形状データ」と呼ぶ。)をROMがあらかじめ記憶しておき、そのデータが表わす断面形状と断面形状データが表わす断面形状とをCPUが比較することにより、車両判定部152aは、走査面503a内に通行路801や島802以外の反射物体が存在するか否かを判定する。また、いくつかの代表的な車両の断面形状の特徴を表わすデータ(以下「プロファイルデータ」と呼ぶ。)をROMがあらかじめ記憶しておき、プロファイルデータが表わす特徴を断面形状データが表わす断面形状が有しているか否かをCPUが判定することにより、車両判定部152aは、評価値を算出する。更に、いくつかの代表的な車両以外の断面形状の特徴を表わすプロファイルデータをROMがあらかじめ記憶しておき、プロファイルデータが表わす特徴を断面形状データが表わす断面形状が有しているか否かをCPUが判定することにより、車両判定部152aは、評価値を算出する。算出した評価値をCPUが比較することにより、車両判定部152aは、その断面形状が車両の断面形状であるか否かを判定する。
【0042】
同様に、車両判定部152bは、形状検出部151bが生成した断面形状データに基づいて、反射物体が車両であるか否かを判定し、車両判定データを生成する。
【0043】
開始検出部153aは、車両判定部152aが生成した車両判定データをCPUが処理することにより、車両が走査面503aを横切り始めた時刻(以下「反射開始時刻」と呼ぶ。)を算出する。開始検出部153aは、CPUがデータを処理することにより、算出した反射開始時刻を表わすデータ(以下「開始時刻データ」と呼ぶ。)を生成する。
なお、車両以外の反射物体が放射光を反射している間に、その後ろで車両が走査面503aを横切り始めた場合など、反射開始時刻を特定できない場合、開始検出部153aは、開始時刻データとして、反射開始時刻が不明であることを意味するデータを生成する構成であってもよい。あるいは、反射開始時刻を特定できない場合、開始検出部153aは、反射開始時刻である可能性がある時刻の範囲を表わすデータを生成する構成であってもよい。
【0044】
同様に、開始検出部153bは、車両判定部152bが生成した車両判定データに基づいて、反射開始時刻を算出し、開始時刻データを生成する。
【0045】
終了検出部154aは、車両判定部152aが生成した車両判定データをCPUが処理することにより、車両が走査面503aを横切り終わった時刻(以下「反射終了時刻」と呼ぶ。)を算出する。終了検出部154aは、CPUがデータを処理することにより、算出した反射終了時刻を表わすデータ(以下「終了時刻データ」と呼ぶ。)を生成する。
なお、開始検出部153aと同様、反射終了時刻が特定できない場合、終了検出部154aは、終了時刻データとして、反射終了時刻が不明であることを意味するデータを生成する構成であってもよいし、反射終了時刻である可能性がある時刻の範囲を表わすデータを生成する構成であってもよい。
【0046】
同様に、終了検出部154bは、車両判定部152bが生成した車両判定データに基づいて、反射終了時刻を算出し、終了時刻データを生成する。
【0047】
通過時間算出部155aは、開始検出部153aが生成した開始時刻データと、終了検出部154aが生成した終了時刻データとをCPUが処理することにより、反射開始時刻から反射終了時刻までの時間、すなわち、車両が走査面503aを通過するのにかかった時間(以下「通過時間」と呼ぶ。)を算出する。通過時間算出部155aは、CPUがデータを処理することにより、算出した通過時間を表わすデータ(以下「通過時間データ」と呼ぶ。)を生成する。
なお、反射開始時刻あるいは反射終了時刻のいずれかが不明である場合、通過時間算出部155aは、通過時間データとして、通過時間が不明であることを意味するデータを生成する構成であってもよい。
【0048】
同様に、通過時間算出部155bは、開始検出部153bが生成した開始時刻データと、終了検出部154bが生成した終了時刻データとに基づいて、通過時間を算出し、通過時間データを生成する。
【0049】
通過時間推定部156は、2つの通過時間算出部155a,155bが生成した通過時間データをCPUが処理することにより、車両がセンサ装置110a,110bの前を通過するのにかかった時間(以下「推定通過時間」と呼ぶ。)を推定する。通過時間推定部156は、推定した推定通過時間を表わすデータ(以下「推定通過時間データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、2つの通過時間算出部155a,155bがいずれも通過時間を特定して算出した場合、通過時間推定部156は、2つの通過時間算出部155a,155bが算出した通過時間を平均することにより、推定通過時間を算出する。また、2つの通過時間算出部155a,155bのうちいずれかが通過時間を特定せず不明であるとした場合、通過時間推定部156は、通過時間を特定したほうの通過時間算出部155が算出した通過時間を推定通過時間とする。これにより、2つのセンサ装置110a,110bのうちいずれか一方で反射開始時刻および反射終了時刻が検出できれば、推定通過時間を推定することができる。また、2つのセンサ装置110a,110bの両方で反射開始時刻および反射終了時刻が検出できれば、平均を取ることにより検出誤差を小さくすることができる。
【0050】
時間差算出部157aは、2つの開始検出部153a,153bが生成した開始時刻データをCPUが処理することにより、2つのセンサ装置110a,110bにおける反射開始時刻の差(以下「開始時間差」と呼ぶ。)を算出する。時間差算出部157aは、CPUがデータを処理することにより、算出した開始時間差を表わすデータ(以下「開始時間差データ」と呼ぶ。)を生成する。
なお、いずれかの反射開始時刻が不明である場合、時間差算出部157aは、開始時間差データとして、開始時間差が不明であることを意味するデータを生成する構成であってもよい。
【0051】
時間差算出部157bは、2つの終了検出部154a,154bが生成した終了時刻データをCPUが処理することにより、2つのセンサ装置110a,110bにおける反射終了時刻の差(以下「終了時間差」と呼ぶ。)を算出する。時間差算出部157bは、CPUがデータを処理することにより、算出した終了時間差を表わすデータ(以下「終了時間差データ」と呼ぶ。)を生成する。
なお、いずれかの反射終了時刻が不明である場合、時間差算出部157bは、終了時間差データとして、終了時間差が不明であることを意味するデータを生成する構成であってもよい。
【0052】
時間差推定部158は、2つの時間差算出部157a,157bが生成した開始時間差データと終了時間差データとをCPUが処理することにより、車両がセンサ装置110aの前を通過した時刻とセンサ装置110bの前を通過した時刻との差(以下「推定時間差」と呼ぶ。)を推定する。時間差推定部158は、CPUがデータを処理することにより、推定した推定時間差を表わすデータ(以下「推定時間差データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、2つの時間差算出部157a,157bが開始時間差および終了時間差をいずれも特定して算出した場合、開始時間差データと終了時間差データとをCPUが処理して開始時間差と終了時間差とを平均することにより、時間差推定部158は、推定時間差を算出する。また、2つの時間差算出部157a,157bのうちいずれかが開始時間差または終了時間差を特定せず不明であるとした場合、時間差推定部158は、特定された開始時間差または終了時間差を、推定時間差とする。これにより、反射開始時刻および反射終了時刻のうちいずれか一方が2つのセンサ装置110a,110bで検出できれば、推定時間差を推定することができる。また、反射開始時刻及び反射終了時刻の両方が2つのセンサ装置110a,110bで検出できれば、平均を取ることにより、通過中に車速が変化した場合の平均を算出することができる。
【0053】
車速算出部159は、時間差推定部158が生成した推定時間差データをCPUが処理することにより、通過した車両の速度(車速)を算出する。車速算出部159は、CPUがデータを処理することにより、算出した車速を表わすデータ(以下「車速データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、進行方向位置差分513を表わすデータ(以下「進行方向位置差分データ」と呼ぶ。)をROMがあらかじめ記憶しておき、進行方向差分データと推定時間差データとをCPUが処理して進行方向位置差分513を推定時間差で割った商を算出することにより、車速算出部159は、車速を算出する。
【0054】
車長算出部160は、通過時間推定部156が生成した推定通過時間データと、車速算出部159が生成した車速データとをCPUが処理することにより、通過した車両の長さ(車長)を算出する。車長算出部160は、CPUがデータを処理することにより、算出した車長を表わすデータ(以下「車長データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、推定通過時間データと車速データとをCPUが処理して推定通過時間と車速との積を算出することにより、車長算出部160は、車長を算出する。
車両検出装置100は、車長算出部160が生成した車長データを路側無線装置820に対して通知する。路側無線装置820は、通知された車長データを用いて、通過した車両の料金区分などを判定する。
【0055】
上述したように、2つのセンサ装置110a,110bのそれぞれにおける反射開始時刻および反射終了時刻という4つの時刻計測ポイントのうち、1つ(場合によっては2つ)が計測不能であっても、通過時間推定部156は推定通過時間を推定でき、時間差推定部158は推定時間差を推定できる。したがって、車長算出部160は、4つの時刻計測ポイントのうちいずれか1つが計測不能であっても、他の3つが計測できれば、車長を算出することができる。
【0056】
車軸検出部161aは、形状検出部151aが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、車軸を検出する。車軸検出部161aは、CPUがデータを処理することにより、検出した結果を表わすデータ(以下「車軸検出データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、車軸検出部161aは、反射物体が車両であると車両判定部152aが判定した場合、断面形状データをCPUが処理することにより、車両の断面形状が通行路801の断面形状と連続しているか否かを判定する。車両の断面形状が通行路801の断面形状と連続している場合、車両の一部が通行路801に接触していることを意味する。そこで、車軸検出部161aは、断面形状データをCPUが更に処理することにより、車両のうち通行路801に接触している部分の断面形状がタイヤであるか否かを判定する。断面形状がタイヤであると判定した場合、車軸検出部161aは、車軸を検出したと判定する。
【0057】
同様に、車軸検出部161bは、形状検出部151bが生成した断面形状データに基づいて、車軸を検出し、車軸検出データを生成する。
【0058】
車軸計数部162は、2つの車軸検出部161a,161bが生成した車軸検出データをCPUが処理することにより、車軸数を数える。車軸計数部162は、CPUがデータを処理することにより、数えた車軸数を表わすデータ(以下「車軸数データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、車軸計数部162は、2つの車両判定部152a,152bが生成した車両判定データをCPUが処理することにより、新たな車両が通過し始めたか否かを判定する。新たな車両が通過し始めたと判定した場合、0を表わすデータをRAMが記憶することにより、車軸計数部162は、車軸数を初期化する。車軸計数部162は、時間差推定部158が生成した推定時間差データと、2つの車軸検出部161a,161bが生成した車軸検出データと、RAMが記憶したデータとをCPUが処理することにより、時間差推定部158が推定した推定時間差の分だけずらして、2つの車軸検出部161a,161bが検出した結果を重ね合わせ、いずれかの車軸検出部161が車軸を検出した場合に、車軸数に1を加える。車軸計数部162は、2つの車両判定部152a,152bが生成した車両判定データをCPUが処理することにより、通過している車両が通過し終えたか否かを判定する。車両が通過し終えたと判定した場合、車軸計数部162は、CPUがデータを処理することにより、RAMが記憶したデータを車軸数データとする。
車両検出装置100は、車軸計数部162が生成した車軸数データを路側無線装置820に対して通知する。路側無線装置820は、通知された車軸数データを用いて、通過した車両の料金区分などを判定する。
【0059】
車幅算出部163は、2つの形状検出部151a,151bが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、通過した車両の幅(車幅)を算出する。車幅算出部163は、CPUがデータを処理することにより、算出した車幅を表わすデータ(以下「車幅データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、車幅算出部163は、形状検出部151aが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、センサ装置110aの放射基点502aと通過した車両の左端との間の通行路横断方向における距離(以下「左側距離」と呼ぶ。)を算出する。同様に、車幅算出部163は、形状検出部151bが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、センサ装置110bの放射基点502bと通過した車両の右端との間の通行路横断方向における距離(以下「右側距離」と呼ぶ。)を算出する。車幅算出部163は、CPUがデータを処理することにより、算出した左側距離と右側距離との和を算出する。横断方向位置差分514を表わすデータ(以下「横断方向位置差分データ」と呼ぶ。)をROMがあらかじめ記憶しておき、CPUがデータを処理することにより、車幅算出部163は、横断方向位置差分514から左側距離と右側距離との和を差し引いた差を算出して、車幅とする。
なお、「車両の左端」とは、車両のなかで最も左側に突出した部分のことであるが、左側のタイヤが通行路801に接触する部分の左端を「車両の左端」とみなす構成であってもよい。その場合、車軸検出部161aが生成した車軸検出データをCPUが処理することにより、車幅算出部163は、左側のタイヤが通行路801に接触している部分が断面形状に現れるタイミングを検出する。形状検出部151aが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、車幅算出部163は、検出したタイミングにおける断面形状から左側のタイヤが通行路801に接触する部分の左端を検出して、車両の左端とみなし、それをもとに左側距離を算出する。
「車両の右端」についても、同様である。
車両検出装置100は、車幅算出部163が生成した車幅データを路側無線装置820に対して通知する。路側無線装置820は、通知された車幅データを用いて、通過した車両の料金区分などを判定する。
【0060】
車高算出部164は、形状検出部151cが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、通過した車両の高さ(車高)を算出する。車高算出部164は、CPUがデータを処理することにより、算出した車高を表わすデータ(以下「車高データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、車高算出部164は、2つの車両判定部152a,152bが生成した車両判定データをCPUが処理することにより、新たな車両が通過し始めたか否かを判定する。新たな車両が通過し始めたと判定した場合、0を表わすデータをRAMが記憶することにより、車高算出部164は、車高を初期化する。車高算出部164は、形状検出部151cが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、車両の断面形状のなかで最も高い部分を判定する。車高算出部164は、CPUがデータを処理することにより、判定した最も高い部分の高さと、RAMが記憶したデータが表わす数値とを比較して、判定した最も高い部分の高さのほうが高ければ、判定した最も高い部分の高さを表わすデータをRAMが記憶することにより、車高を更新する。車高算出部164は、2つの車両判定部152a,152bが生成した車両判定データをCPUが処理することにより、通過している車両が通過し終えたか否かを判定する。車両が通過し終えたと判定した場合、車高算出部164は、CPUがデータを処理することにより、RAMが記憶したデータを車高データとする。
車両検出装置100は、車高算出部164が生成した車高データを路側無線装置820に対して通知する。路側無線装置820は、通知された車高データを用いて、通過した車両の料金区分などを判定する。
【0061】
並走判定部165は、形状検出部151cが生成した断面形状データをCPUが処理することにより、反射物体が並走している二輪車であるか否かを判定する。並走判定部165は、CPUがデータを処理することにより、判定した結果を表わすデータ(以下「並走判定データ」と呼ぶ。)を生成する。
例えば、並走判定部165は、反射物体が車両であるか否かを車両判定部152が判定するのと同じ方式を用いて、反射物体が並走している二輪車であるか否かを判定する。
車両検出装置100は、並走判定部165が生成した並走判定データを路側無線装置820に対して通知する。路側無線装置820は、通知された並走判定データに基づいて異常を検出し、ゲートを閉じるなどの対処をする。
【0062】
図9は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
二次元断面形状521aは、センサ装置110aの観測結果に基づいて形状検出部151aが検出する断面形状である。二次元断面形状521bは、センサ装置110bの観測結果に基づいて形状検出部151bが検出する断面形状である。二次元断面形状521cは、センサ装置110cの観測結果に基づいて形状検出部151cが検出する断面形状である。
なお、二次元断面形状521は実線で表わす。また、二点鎖線は、走査面503の外であったり他の反射物体などの陰に隠れていたりするなどの原因によりセンサ装置110から見えず、二次元断面形状521として検出されない部分の形状を表わす。図10以降についても同様である。
【0063】
この例において、反射物体は、通行路801や島802だけであり、車両やその他の物体は、3つの走査面503a,503b,503cのいずれをも通過していない。このときの断面形状を表わす断面形状データを路面断面形状データとしてROMが記憶しておくことにより、車両判定部152は、何らかの物体が通過中であるか否かを判定する。路面断面形状データは、ROMがあらかじめ記憶しておく構成であってもよいし、形状検出部151が検出した断面形状のなかから車両判定部152が路面断面形状を判定し、判定した路面断面形状を現す路面断面形状データをROMが記憶する構成であってもよい。路面断面形状には動きがないという特徴があるので、例えば、車両判定部152は、所定の時間より長い時間の間、断面形状に動きがない場合に、その断面形状が路面断面形状であると判定する。
【0064】
図10は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、乗用車がセンサ装置110の前を通過する様子を時系列順に示す。
【0065】
時刻tにおいて、乗用車が進入してきて、先頭部分が走査面503aに差しかかる。二次元断面形状521aは、路面断面形状と異なる形状になる。車両判定部152aは、反射物体が車両であると判定する。開始検出部153aは、時刻tが反射開始時刻であると判定する。二次元断面形状521b,521cは、路面断面形状と同じ形状のままである。車両判定部152bは、反射物体が車両でないと判定する。
時刻tにおいて、乗用車が少し進んで、先頭部分が走査面503cに差しかかる。二次元断面形状521aだけでなく、二次元断面形状521cも路面断面形状と異なる形状になる。車両判定部152aは、反射物体が車両であると判定する。並走判定部165は、反射物体が並走する二輪車ではないと判定する。二次元断面形状521bは、路面断面形状と同じ形状のままである。車両判定部152bは、反射物体が車両でないと判定する。
時刻tにおいて、乗用車が更に進んで、先頭部分が走査面503bに差しかかる。二次元断面形状521bも、路面断面形状と異なる形状になる。車両判定部152a,152bは、反射物体が車両であると判定する。開始検出部153bは、時刻tが反射開始時刻であると判定する。時間差算出部157aは、時刻tと時刻tとの差を計算して、開始時間差とする。
【0066】
時刻tにおいて、乗用車の前輪タイヤの接地部分が走査面503aに差しかかる。車軸検出部161aは、車軸を検出する。車幅算出部163は、左側距離517を算出する。
時刻tにおいて、乗用車の前輪タイヤの接地部分が走査面503aを通り過ぎるが、まだ走査面503bには達していない。
時刻tにおいて、乗用車の前輪タイヤの接地部分が走査面503bに差しかかる。車軸検出部161bは、車軸を検出する。車幅算出部163は、右側距離518を算出する。
時刻t,tにおいて、乗用車の中間部分がセンサ装置110の前を通過する。
【0067】
図11は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、図10に続き、乗用車がセンサ装置110の前を通過する様子を時系列順に示す。
【0068】
時刻tにおいて、乗用車の中間部分がセンサ装置110の前を通過する。
時刻t10において、乗用車の後輪タイヤの接地部分が走査面503aに差しかかる。車軸検出部161aは、車軸を検出する。
時刻t11において、乗用車の後輪タイヤの接地部分が走査面503aを通り過ぎるが、まだ走査面503bには達していない。
時刻t12において、乗用車の後輪タイヤの接地部分が走査面503bに差しかかる。車軸検出部161bは、車軸を検出する。
【0069】
時刻t13において、乗用車の最後尾部分が走査面503aを通り過ぎる。二次元断面形状521aは、路面断面形状と同じ形状に戻る。車両判定部152aは、反射物体が車両でないと判定する。終了検出部154aは、時刻t13が反射終了時刻であると判定する。通過時間算出部155aは、時刻tと時刻t13との差を計算して、通過時間とする。
時刻t14において、乗用車の最後尾部分が走査面503cを通り過ぎる。二次元断面形状521aだけでなく、二次元断面形状521cも、路面断面形状と同じ形状になる。並走判定部165は、反射物体が並走する二輪車でないと判定する。
【0070】
時刻t15において、乗用車の最後尾部分が走査面503bを通り過ぎ、次の乗用車の先頭部分が走査面503aに差しかかる。二次元断面形状521aは、路面断面形状と異なる形状になる。車両判定部152aは、反射物体が車両であると判定する。開始検出部153aは、時刻t15が次の車両の反射開始時刻であると判定する。
二次元断面形状521bは、路面断面形状と同じ形状になる。車両判定部152bは、反射物体が車両でないと判定する。終了検出部154bは、時刻t15が反射終了時刻であると判定する。通過時間算出部155bは、時刻tと時刻t15との差を計算して、通過時間とする。通過時間推定部156は、2つの通過時間算出部155a,155bが算出した通過時間の平均を計算して、推定通過時間とする。時間差算出部157bは、時刻t13と時刻t15との差を計算して、終了時間差とする。時間差推定部158は、2つの時間差算出部157a,157bが算出した開始時間差と終了時間差との平均を計算して、推定時間差とする。
車速算出部159は、時間差推定部158が算出した推定時間差と、進行方向位置差分513との積を計算して、車速とする。車長算出部160は、通過時間推定部156が算出した推定通過時間と、車速算出部159が算出した車速との積を計算して、車長とする。
車軸計数部162は、時間差推定部158が算出した推定時間差の分だけずらして、車軸検出部161aによる判定結果と、車軸検出部161bによる判定結果とを重ね合わせる。すると、時刻tにおける車軸検出部161aによる車軸検出と、時刻tにおける車軸検出部161bによる車軸検出とが重なって1つになるので、車軸計数部162は、車軸数に1を加える。同様に、時刻t10における車軸検出部161aによる車軸検出と、時刻t12における車軸検出部161bによる車軸検出とが重なって1つになるので、車軸計数部162は、車軸数に1を加えて、2とする。
【0071】
図12は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、バスやトラックなどの大型車両がセンサ装置110の前を通過している。
このように、通過する車両の車高が高いと、車両の上部が走査面503cからはみ出す場合があり、車高算出部164が正確に車高を算出できない場合がある。しかし、少なくとも、算出可能な高さより車高が高いことは判定できる。車高算出部164が算出した車高を料金区分の判定などに用いる場合、車高が料金区分の判定閾値より高いことがわかれば十分な場合が多い。そのため、センサ装置110cは、算出可能な高さが料金区分の判定閾値より高くなる位置に設置する。
【0072】
図13は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、トレーラーなどの連結車両がセンサ装置110の前を通過している。
このように、通過する車両が連結車両である場合、牽引棒の断面形状が二次元断面形状521cのような形状として検出される。例えば、車両判定部152は、形状検出部151が検出した断面形状を牽引棒の断面形状と比較することにより、通過している車両が連結車両であるか否かを判定する。
【0073】
図14は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、オートバイなどの二輪車がセンサ装置110の前を通過している。
このように、通過する車両が二輪車である場合、断面形状や車幅から、それが二輪車であることを判定できる。例えば、車両判定部152は、形状検出部151が検出した断面形状を二輪車の断面形状と比較することにより、通過している車両が二輪車であるか否かを判定する。あるいは、車両検出装置100は、通過している車両が二輪車であるか否かを判定せず、車両検出装置100が算出した車幅に基づいて、通過している車両が二輪車であるか否かを路側無線装置820が判定する構成としてもよい。
【0074】
図15は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、オートバイなどの二輪車が並走してセンサ装置110の前を通過している。
このように、通過する車両が並走する二輪車である場合、形状検出部151aが検出する走査面503aにおける断面形状や形状検出部151bが検出する走査面503bにおける断面形状に基づいて判定すると、四輪車や1台の二輪車と誤認する可能性があるが、並走判定部165は、形状検出部151cが検出する走査面503cにおける断面形状に基づいて判定するので、並走する二輪車を容易に判定できる。
【0075】
図16は、この実施の形態における形状検出部151が検出する断面形状の一例を示す図である。
この例では、乗用車が通行路801の左端に極端に寄って走行している。
このように、通過する車両が通行路801の左端に極端に寄っている場合、車軸検出部161aが車軸を正しく検出できない可能性があるが、車軸検出部161bは、車軸を正しく検出する。逆に、通過する車両が通行路801の右端に極端に寄っている場合は、車軸検出部161bが車軸を正しく検出できない可能性があるが、車軸検出部161aは、車軸を正しく検出する。車軸計数部162は、2つの車軸検出部161a,161bの検出結果を重ね合わせて、いずれかの車軸検出部161が車軸を検出した場合に車軸数を数えるので、車軸数を正しく数えることができる。
【0076】
図17は、この実施の形態におけるセンサ装置110の前を通過する車両が斜走している様子の一例を示す平面図である。
このように、通過する車両が車両進行方向と平行ではなく、角度(以下「斜走角519」と呼ぶ。)を有して斜めに走行する場合がある。このような場合であっても、センサ装置110の検出可能距離が長く(例えば7.5メートル)、センサ装置110から遠い位置でも分解能が高い(例えば5ミリメートル)ので、例えばセンサ装置110aから遠い位置に車両の先頭部分(この例では右寄りの部分)が走査面503aに差しかかったことを検出することができる。したがって、開始検出部153aは、その時刻を反射開始時刻と判定する。開始検出部153bは、車両のほぼ同じ位置が走査面503bに差しかかった時刻を反射開始時刻と判定する。
反射終了時刻についても同様に、2つの終了検出部154a,154bは、車両最後尾のほぼ同じ位置(この例では左寄りの部分)が走査面503aあるいは走査面503bを通過した時刻を反射終了時刻と判定する。
したがって、車長算出部160が算出する車長は、車両を斜走角519の分、斜めから見た長さとなる。車速にもよるが斜走角519の絶対値は、概ね10度以下と考えられるから、斜走に起因する車長算出の誤差は、わずかである。
【0077】
なお、車両が斜走している場合、左側のタイヤと右側のタイヤとで走査面503を横切るタイミングが異なる。例えば、この図のように車両が左斜めに走行している場合、右側のタイヤよりも左側のタイヤのほうが遅れて走査面503を通過する。このことを利用して、車両検出装置100は、車両の斜走を判定する構成としてもよい。
例えば、車軸時間差算出部を設け、車軸検出部161aが車軸を検出した時刻と、車軸検出部161bが車軸を検出した時刻との差(以下「車軸時間差」と呼ぶ。)を車軸時間差算出部が算出する。更に、斜走判定部を設け、車軸時間差算出部が算出した車軸時間差を、時間差推定部158が算出した推定時間差で割った商(以下「斜走比」と呼ぶ。)を斜走判定部が算出する。算出した斜走比と1との差が所定の閾値より大きい場合、斜走判定部は、車両が斜走していると判定する。更に、斜走角519を算出する斜走角算出部を設ける構成としてもよい。例えば、斜走角算出部は、斜走判定部が算出した斜走比と、進行方向位置差分513との積を算出する。斜走角算出部は、算出した積を、車幅算出部163が算出した車幅で割った商を算出する。斜走角算出部は、算出した商の逆正弦(アークサイン)を算出することにより、斜走角519を算出する。
【0078】
図18は、この実施の形態における車両判定処理S610の流れの一例を示すフローチャート図である。
車両判定処理S610において、車両判定部152は、反射物体が何であるかを判定する。車両判定処理S610は、路面判定工程S611、プロファイル選択工程S612、評価値算出工程S613、最大評価値判定工程S614を有する。
【0079】
路面判定工程S611において、車両判定部152は、ROMが記憶した路面断面形状データと、形状検出部151が生成した断面形状データとを比較することにより、通行路801や島802以外の反射物体が走査面503内に存在するか否かを判定する。
通行路801や島802以外の反射物体が走査面503内に存在すると判定した場合、車両判定部152は、プロファイル選択工程S612へ進む。
通行路801や島802以外の反射物体が走査面503内に存在しないと判定した場合、車両判定部152は、車両判定処理S610を終了する。
【0080】
プロファイル選択工程S612において、車両判定部152は、ROMが記憶した複数のプロファイルデータのなかから、未選択のプロファイルデータを1つ選択する。
すべてのプロファイルデータが選択済である場合、車両判定部152は、最大評価値判定工程S614へ進む。
未選択のプロファイルデータがあり、プロファイルデータを選択した場合、車両判定部152は、評価値算出工程S613へ進む。
【0081】
評価値算出工程S613において、車両判定部152は、プロファイル選択工程S612で選択したプロファイルデータと、形状検出部151が生成した断面形状データとに基づいて、プロファイルデータが表わす特徴を断面形状データが表わす断面形状が有している度合いを表わす評価値を算出する。
その後、車両判定部152は、プロファイル選択工程S612に戻り、次のプロファイルデータを選択する。
【0082】
最大評価値判定工程S614において、車両判定部152は、評価値算出工程S613で算出した評価値のなかで最も高い評価値を獲得したプロファイルデータを判定する。車両判定部152は、判定したプロファイルデータが、車両の特徴を表わすプロファイルデータであるか、車両以外の物体の特徴を表わすプロファイルデータであるかを判定することにより、反射物体が車両であるか否かを判定する。
【0083】
図19は、この実施の形態における車両検出処理S620の流れの一例を示すフローチャート図である。
車両検出処理S620において、車両検出装置100は、車両を検出する。車両検出処理S620は、4つの車両判定工程S621,S623,S625,S627、3つの距離判定工程S622,S626,S628、開始検出工程S624、終了検出工程S629を有する。
【0084】
車両判定工程S621において、車両判定部152は、車両判定処理S610を実行し、反射物体が何であるかを判定する。
通行路801や島802以外の反射物体が存在しないと判定した場合、車両判定部152は、車両判定工程S621を繰り返し、通行路801や島802以外の反射物体が検出されるのを待つ。
通行路801や島802以外の反射物体が存在し、それが車両であると判定した場合、反射開始時刻が検出されたことになる。車両判定部152は、開始検出工程S624へ進む。
通行路801や島802以外の反射物体が存在するが、車両ではないと判定した場合、車両でない反射物体の後ろに車両が隠されている可能性を検討する必要がある。車両判定部152は、距離判定工程S622へ進む。
【0085】
開始検出工程S624において、開始検出部153は、その時刻が反射開始時刻であると判定する。開始検出部153は、車両判定工程S625へ進む。
【0086】
距離判定工程S622において、開始検出部153は、断面形状データに基づいて、車両でない反射物体までの距離を算出し、所定の閾値と比較する。車両でない反射物体までの距離が近い場合、その後ろに車両が隠れている可能性があるからである。
車両でない反射物体までの距離が閾値以上である場合、その後ろに車両が隠れている可能性はない。開始検出部153は、車両判定工程S621に戻り、通行路801や島802以外の反射物体が検出されるのを待つ。
車両でない反射物体までの距離が閾値未満である場合、その後ろに車両が隠れている可能性がある。開始検出部153は、車両判定工程S623へ進む。
【0087】
車両判定工程S623において、車両判定部152は、車両判定処理S610を実行し、反射物体が何であるかを判定する。
通行路801や島802以外の反射物体が存在しないと判定した場合、車両でない反射物体の後ろに車両が隠れていた可能性はほぼない。車両判定部152は、車両判定工程S621に戻り、通行路801や島802以外の反射物体が検出されるのを待つ。
通行路801や島802以外の反射物体が存在するが、車両ではないと判定した場合、車両判定部152は、距離判定工程S622に戻り、車両でない反射物体の後ろに車両が隠れている可能性を検討する。
通行路801や島802以外の反射物体が存在し、それが車両であると判定した場合、車両でない反射物体の後ろに隠れていた車両が見えるようになった可能性があるので、反射開始時刻は検出できなかったことになる。開始検出部153は、反射開始時刻が不明であると判定し、車両判定工程S625へ進む。
【0088】
車両判定工程S625において、車両判定部152は、車両判定処理S610を実行し、反射物体が何であるかを判定する。
通行路801や島802以外の反射物体が存在しないと判定した場合、反射終了時刻が検出されたことになる。車両判定部152は、終了検出工程S629へ進む。
通行路801や島802以外の反射物体が存在し、それが車両であると判定した場合、車両判定部152は、車両判定工程S625を繰り返し、車両が通過するのを待つ。
通行路801や島802以外の反射物体が存在するが、車両ではないと判定した場合、車両でない反射物体が車両を隠したのか、車両が通過してその後ろに隠れていた反射物体が見えるようになったのかを検討する必要がある。車両判定部152は、距離判定工程S626へ進む。
【0089】
距離判定工程S626において、終了検出部154は、断面形状データに基づいて、車両でない反射物体までの距離を算出し、所定の閾値と比較する。
車両でない反射物体までの距離が閾値以上である場合、車両の後ろに隠れていた反射物体が見えるようになったと考えられるので、反射終了時刻が検出されたことになる。終了検出部154は、終了検出工程S629へ進む。
車両でない反射物体までの距離が閾値未満である場合、車両でない反射物体が車両を隠している可能性がある。終了検出部154は、車両判定工程S627へ進む。
なお、終了検出部154は、車両でない反射物体までの距離を所定の閾値と比較するのではなく、その前まで検出されていた車両までの距離を閾値として用いる構成としてもよい。
【0090】
終了検出工程S629において、終了検出部154は、その時刻を反射終了時刻と判定する。終了検出部154は、車両判定工程S621に戻り、通行路801や島802以外の反射物体が検出されるのを待つ。
【0091】
車両判定工程S627において、車両判定部152は、車両判定処理S610を実行し、反射物体が何であるかを判定する。
通行路801や島802以外の反射物体が存在しないと判定した場合、車両でない反射物体の後ろに隠れていた車両がいつの間にかいなくなったので、反射終了時刻は検出できなかったことになる。終了検出部154は、反射終了時刻が不明であると判定し、車両判定工程S621に戻る。
通行路801や島802以外の反射物体が存在するが、車両ではないと判定した場合、車両判定部152は、距離判定工程S628へ進み、車両でない反射物体の後ろに車両が隠れている可能性を検討する。
通行路801や島802以外の反射物体が存在し、それが車両であると判定した場合、車両でない反射物体の後ろに隠れていた車両が再び見えるようになったと考えられる。車両判定部152は、車両判定工程S625に戻り、車両が通過するのを待つ。
【0092】
距離判定工程S628において、終了検出部154は、断面形状データに基づいて、車両でない反射物体までの距離を算出し、所定の閾値と比較する。
車両でない反射物体までの距離が閾値以上である場合、反射物体の後ろに車両が隠れている可能性はほぼないので、反射終了時刻は検出できなかったことになる。終了検出部154は、反射終了時刻が不明であると判定し、車両判定工程S621に戻る。
車両でない反射物体までの距離が閾値未満である場合、車両でない反射物体が車両を隠している可能性がある。終了検出部154は、車両判定工程S627に戻る。
【0093】
図20は、この実施の形態における車長算出処理S630の流れの一例を示すフローチャート図である。
車長算出処理S630において、車長算出部160は、車両の車長を算出する。車長算出処理S630は、開始時間差算出工程S631、終了時間差算出工程S632、時間差推定工程S633、車速算出工程S634、第一通過時間算出工程S635、第二通過時間算出工程S636、通過時間推定工程S637、車長算出工程S638を有する。
【0094】
開始時間差算出工程S631において、時間差算出部157aは、2つの開始検出部153a,153bが検出した反射開始時刻の差を計算して、開始時間差を求める。
終了時間差算出工程S632において、時間差算出部157bは、2つの終了検出部154a,154bが検出した反射終了時刻の差を計算して、終了時間差を求める。
時間差推定工程S633において、時間差推定部158は、開始時間差算出工程S631で時間差算出部157aが算出した開始時間差と、終了時間差算出工程S632で時間差算出部157bが算出した終了時間差とに基づいて、推定時間差を算出する。
車速算出工程S634において、車速算出部159は、時間差推定工程S633で時間差推定部158が算出した推定時間差と、進行方向位置差分513との積を計算することにより、車速を求める。
【0095】
第一通過時間算出工程S635において、通過時間算出部155aは、開始検出部153aが検出した反射開始時刻と、終了検出部154aが検出した反射終了時刻との差を計算して、通過時間を求める。
第二通過時間算出工程S636において、通過時間算出部155bは、開始検出部153bが検出した反射開始時刻と、終了検出部154bが検出した反射終了時刻との差を計算して、通過時間を求める。
通過時間推定工程S637において、通過時間推定部156は、第一通過時間算出工程S635で通過時間算出部155aが算出した通過時間と、第二通過時間算出工程S636で通過時間算出部155bが算出した通過時間とに基づいて、推定通過時間を算出する。
【0096】
車長算出工程S638において、車長算出部160は、車速算出工程S634で車速算出部159が算出した車速と、通過時間推定工程S637で通過時間推定部156が算出した推定通過時間との積を計算することにより、車長を求める。
【0097】
図21は、この実施の形態における車幅算出処理S640の流れの一例を示すフローチャート図である。
車幅算出処理S640において、車幅算出部163は、車幅を算出する。車幅算出処理S640は、左側車軸検出判定工程S641、左側車軸距離算出工程S642、左側最短距離算出工程S643、右側車軸検出判定工程S644、右側車軸距離算出工程S645、右側最短距離算出工程S646、車幅算出工程S647を有する。
【0098】
左側車軸検出判定工程S641において、車幅算出部163は、車軸検出部161aが生成した車軸検出データに基づいて、車軸検出部161aが左側の車軸を検出したか否かを判定する。
車軸検出部161aが左側の車軸を検出したと判定した場合、車幅算出部163は、左側車軸距離算出工程S642へ進む。
車軸検出部161aが左側の車軸を検出していないと判定した場合、車幅算出部163は、左側最短距離算出工程S643へ進む。
【0099】
左側車軸距離算出工程S642において、車幅算出部163は、車軸検出部161aが左側の車軸を検出した断面形状データに基づいて、左側のタイヤの接地点を判定する。車幅算出部163は、判定した接地点と放射基点502aとの間の距離を計算して、左側距離とする。
車幅算出部163は、右側車軸検出判定工程S644へ進む。
【0100】
左側最短距離算出工程S643において、車幅算出部163は、形状検出部151が生成した断面形状データに基づいて、車両のうち左側に最も突出した位置を判定する。車幅算出部163は、判定した位置と放射基点502aとの間の距離を計算して、左側距離とする。
【0101】
右側車軸検出判定工程S644において、車幅算出部163は、車軸検出部161bが生成した車軸検出データに基づいて、車軸検出部161bが右側の車軸を検出したか否かを判定する。
車軸検出部161bが右側の車軸を検出したと判定した場合、車幅算出部163は、右側車軸距離算出工程S645へ進む。
車軸検出部161aが右側の車軸を検出していないと判定した場合、車幅算出部163は、右側最短距離算出工程S646へ進む。
【0102】
右側車軸距離算出工程S645において、車幅算出部163は、車軸検出部161bが右側の車軸を検出した断面形状データに基づいて、右側のタイヤの接地点を判定する。車幅算出部163は、判定した接地点と放射基点502bとの間の距離を計算して、右側距離とする。
車幅算出部163は、車幅算出工程S647へ進む。
【0103】
右側最短距離算出工程S646において、車幅算出部163は、形状検出部151が生成した断面形状データに基づいて、車両のうち右側に最も突出した位置を判定する。車幅算出部163は、判定した位置と放射基点502bとの間の距離を計算して、右側距離とする。
【0104】
車幅算出工程S647において、車幅算出部163は、左側車軸距離算出工程S642または左側最短距離算出工程S643で算出した左側距離と、右側車軸距離算出工程S645または右側最短距離算出工程S646で算出した右側距離とを合計した和を計算する。車幅算出部163は、計算した和を横断方向位置差分514から差し引いた差を計算することにより、車幅を求める。
【0105】
図22は、この実施の形態における車高算出処理S650の流れの一例を示すフローチャート図である。
車高算出処理S650において、車高算出部164は、車高を算出する。車高算出処理S650は、車高初期化工程S651、最高判定工程S652、車高更新工程S653、終了判定工程S654を有する。
【0106】
車高初期化工程S651において、車高算出部164は、車高を初期化して0とする。
最高判定工程S652において、車高算出部164は、形状検出部151cが生成した断面形状データに基づいて、車両のうち最も高い位置の高さを算出する。車高算出部164は、算出した高さと車高とを比較する。
算出した高さが車高より高い場合、車高算出部164は、車高更新工程S653へ進む。
算出した高さが車高以下の場合、車高算出部164は、終了判定工程S654へ進む。
【0107】
車高更新工程S653において、車高算出部164は、最高判定工程S652で算出した高さを車高とする。
【0108】
終了判定工程S654において、車高算出部164は、形状検出部151cが生成した断面形状データに基づいて、車両が通過し終わったか否かを判定する。
車両がまだ通過し終わっていないと判定した場合、車高算出部164は、最高判定工程S652に戻る。
車両が通過し終わったと判定した場合、車高算出部164は、車高算出処理S650を終了する。
【0109】
図23は、この実施の形態における並走判定処理S660の流れの一例を示すフローチャート図である。
並走判定処理S660において、並走判定部165は、二輪車の並走を判定する。並走判定処理S660は、路面判定工程S661、プロファイル選択工程S662、評価値算出工程S663、最大評価値判定工程S664を有する。
【0110】
路面判定工程S661において、並走判定部165は、ROMが記憶した路面断面形状データと、形状検出部151cが生成した断面形状データとを比較することにより、通行路801や島802以外の反射物体が走査面503c内に存在するか否かを判定する。
通行路801や島802以外の反射物体が走査面503c内に存在すると判定した場合、並走判定部165は、プロファイル選択工程S662へ進む。
通行路801や島802以外の反射物体が走査面503c内に存在しないと判定した場合、並走判定部165は、並走判定処理S660を終了する。
【0111】
プロファイル選択工程S662において、並走判定部165は、ROMが記憶した複数のプロファイルデータのなかから、未選択のプロファイルデータを1つ選択する。
すべてのプロファイルデータが選択済である場合、並走判定部165は、最大評価値判定工程S664へ進む。
未選択のプロファイルデータがあり、プロファイルデータを選択した場合、並走判定部165は、評価値算出工程S663へ進む。
【0112】
評価値算出工程S663において、並走判定部165は、プロファイル選択工程S662で選択したプロファイルデータと、形状検出部151cが生成した断面形状データとに基づいて、プロファイルデータが表わす特徴を断面形状データが表わす断面形状が有している度合いを表わす評価値を算出する。
その後、並走判定部165は、プロファイル選択工程S662に戻り、次のプロファイルデータを選択する。
【0113】
最大評価値判定工程S664において、並走判定部165は、評価値算出工程S663で算出した評価値のなかで最も高い評価値を獲得したプロファイルデータを判定する。並走判定部165は、判定したプロファイルデータが、並走する二輪車の特徴を表わすプロファイルデータであるか、それ以外の物体の特徴を表わすプロファイルデータであるかを判定することにより、反射物体が並走する二輪車であるか否かを判定する。
【0114】
この実施の形態における車両検出装置100は、所定の通行路801を通行する車両を検出する。
上記車両検出装置100は、複数のセンサ装置110と、開始検出部153と、終了検出部154と、通過時間算出部155(通過時間推定部156)と、時間差算出部157(時間差推定部158)と、車速算出部159と、車長算出部160と、車幅算出部163とを有する。
上記複数のセンサ装置110の各センサ装置110は、所定の放射基点502から所定の放射方向へ向けて放射光を放射し、放射した放射光が上記放射方向に存在する反射物体に反射した反射光を受光することにより、上記放射光を反射した反射物体までの距離を算出する。
上記複数のセンサ装置110のうち第一のセンサ装置110aは、上記通行路801を横断する通行路横断方向において、上記放射基点502aの位置が上記通行路801から離れた位置であり、上記通行路801内を上記放射方向として上記放射光を放射する。
上記複数のセンサ装置110のうち第二のセンサ装置110bは、上記通行路横断方向において、上記放射基点502bの位置が上記第一のセンサ装置110aの放射基点502aとは反対側に上記通行路801から離れた位置であり、上記車両が進行する車両進行方向において、上記放射基点502bの位置が上記第一のセンサ装置110aの放射基点502aから離れた位置であり、上記通行路801内を上記放射方向として上記放射光を放射する。
上記開始検出部153は、上記複数のセンサ装置110のうち少なくともいずれかのセンサ装置110について、上記車両が上記反射物体として上記放射光の反射を開始した反射開始時刻を検出する。
上記終了検出部154は、上記複数のセンサ装置110のうち少なくともいずれかのセンサ装置110について、上記車両が上記反射物体として上記放射光の反射を終了した反射終了時刻を検出する。
上記通過時間算出部155(通過時間推定部156)は、上記複数のセンサ装置110のうち少なくともいずれかのセンサ装置110について、上記開始検出部153が検出した反射開始時刻と上記終了検出部154が検出した反射終了時刻とに基づいて、上記車両が上記センサ装置110の前を通過するのにかかった通過時間を算出する。
上記時間差算出部157(時間差推定部158)は、上記車両の所定の部位(先頭部分、最後尾)が上記第一のセンサ装置110aの前を通過した時刻と上記第二のセンサ装置110bの前を通過した時刻との間の時間差を算出する。
上記車速算出部159は、上記時間差算出部157(時間差推定部158)が算出した時間差に基づいて、上記車両の速度(車速)を算出する。
上記車長算出部160は、上記通過時間算出部155(通過時間推定部156)が算出した通過時間と上記車速算出部159が算出した速度とに基づいて、上記車両の車長を算出する。
上記車幅算出部163は、上記第一のセンサ装置110a及び上記第二のセンサ装置110bが算出した距離に基づいて、上記車両の車幅を算出する。
【0115】
2つのセンサ装置110a,110bだけで車両の車長と車幅とを算出することができるので、センサ装置110の数が少なくて済み、車両検出装置100の製造・設置・保守管理などにかかる費用を抑えることができる。
【0116】
上記複数のセンサ装置110の各センサ装置110は、所定の走査方向範囲を上記放射方向とし、上記走査方向範囲を走査する放射光を放射する。
上記第一のセンサ装置110aは、上記通行路801上にあって上記通行路横断方向に略平行な第一走査線分(通行路走査範囲501a)の存在する方向を上記走査方向範囲として走査する放射光を放射する。
上記第二のセンサ装置110bは、上記通行路801上にあって上記第一走査線分(通行路走査範囲501a)に略平行な第二走査線分(通行路走査範囲501b)の存在する方向を上記走査方向範囲として走査する放射光を放射する。
【0117】
センサ装置110が走査方向範囲を走査する放射光を放射することにより、反射物体の形状を検出することが可能となる。また、走査方向範囲が互いにほぼ平行であり、通行路横断方向にほぼ平行であることにより、車両の車速(ひいては車長)を高い精度で算出することが可能となる。
【0118】
上記複数のセンサ装置110の各センサ装置110は、放射装置(CW光源112)と、走査装置(放射光学系120)と、受光装置(長尺PD115)と、距離算出装置(距離算出回路118)とを有する。
上記放射装置(CW光源112)は、所定の変調信号により変調した変調光を放射する。
上記走査装置(放射光学系120)は、上記放射装置(CW光源112)が放射した変調光を曲げて、上記走査方向範囲を走査する放射光とする。
上記受光装置(長尺PD115)は、上記走査装置(放射光学系120)が曲げた放射光が上記反射物体に反射した反射光を受光する。
上記距離算出装置(距離算出回路118)は、上記受光装置(長尺PD115)が受光した反射光を復調して復調信号とし、上記変調信号に対する上記復調信号の遅延時間(位相差)を算出し、算出した遅延時間に基づいて上記反射物体までの距離を算出する。
【0119】
変調信号に対する復調信号の遅延時間(位相差)に基づいて反射物体までの距離を算出するので、反射物体までの距離を高い精度で算出することができる。
【0120】
上記放射装置(CW光源112)は、正弦波信号により連続波変調(CW変調)したレーザ光を上記変調光として放射する。
【0121】
変調光の変調方式として正弦波信号による連続波変調方式を用いるので、データレートが高くなる。
【0122】
上記走査装置(放射光学系120)は、微細電子機械素子により構成された走査鏡(MEMSスキャナ121)を有し、上記放射装置(CW光源112)が放射した変調光を上記走査鏡(MEMSスキャナ121)が反射することにより、上記変調光の光路を曲げる。
【0123】
走査鏡(MEMSスキャナ121)が微細電子機械素子により構成されているので、高速の走査が可能であり、かつ、長寿命である。
【0124】
上記受光装置は、長尺状の受光面を備えるフォトダイオード(長尺PD115)を有する。
上記フォトダイオード(長尺PD115)は、上記受光面にて上記反射光を受光する。
【0125】
フォトダイオード(長尺PD115)が長尺状の受光面を備えるので、機械的な走査の必要がなく、長寿命である。
【0126】
上記第一のセンサ装置110a及び第二のセンサ装置110bは、上記通行路801面に対して垂直な垂直方向において、上記通行路801面と上記放射基点502a,502bとの間の距離(側部センサ高さ515)が10センチメートル以上2メートル以下であり、上記車両進行方向において、上記第一のセンサ装置110aの放射基点502aと上記第二のセンサ装置110bの放射基点502bとの間の距離(進行方向位置差分513)が10センチメートル以上50センチメートル以下である。
【0127】
側部センサ高さ515が10センチメートル以上2メートル以下なので、車両のタイヤ(車軸)の検出が可能である。また、進行方向位置差分513が10センチメートル以上なので、車速を高い精度で算出することができる。更に、進行方向位置差分513が50センチメートル以下なので、センサ装置110を設置する場所を取らない。
【0128】
上記車両検出装置100は、更に、形状検出部151と、車両判定部152とを有する。
上記形状検出部151は、上記複数のセンサ装置110の各センサ装置110について、上記センサ装置110が算出した距離に基づいて、上記反射物体の断面形状を検出する。
上記車両判定部152は、上記形状検出部151が検出した断面形状に基づいて、上記反射物体が車両であるか否かを判定する。
【0129】
形状検出部151が検出した断面形状に基づいて反射物体が車両であるか否かを判定するので、精度の高い判定ができる。
【0130】
上記車両検出装置100は、更に、車軸検出部161を有する。
上記車軸検出部161は、上記形状検出部151が検出した断面形状に基づいて、上記車両の車軸を検出する。
【0131】
形状検出部151が検出した断面形状に基づいて車軸を検出するので、精度の高い検出ができる。
【0132】
上記車両検出装置100は、更に、車高算出部164と、並走判定部165とを有する。
上記複数のセンサ装置110のうち第三のセンサ装置110cは、上記通行路801面に対して垂直な垂直方向において、上記放射基点502cの位置が上記第一のセンサ装置110a及び上記第二のセンサ装置110bの放射基点502a,502bよりも上にあり、上記通行路801内を上記放射方向として上記放射光を放射する。
上記車高算出部164は、上記第三のセンサ装置110cが算出した距離に基づいて、上記車両の車高を算出する。
上記並走判定部165は、上記第三のセンサ装置110cが算出した距離に基づいて、上記反射物体が並走しているか否かを判定する。
【0133】
通行路801を見下ろす位置に第三のセンサ装置110cを設けることにより、車高や並走を検出することができる。
【0134】
この実施の形態における通行料課金システム(料金所システム800)は、上記車両検出装置100と、料金区分判定部(路側無線装置820)とを有する。
上記車両検出装置100は、有料区間の入口及び出口の少なくともいずれかに設置される。
上記料金区分判定部(路側無線装置820)は、上記反射物体が車両であると上記車両判定部152が判定した場合に、上記車長算出部160が算出した車長及び上記車幅算出部163が算出した車幅の少なくともいずれかに基づいて、上記車両の料金区分を判定する。
【0135】
車両検出装置100の製造・設置・保守管理にかかる費用が抑えられるので、通行料課金システム(料金所システム800)全体の製造・設置・保守管理にかかる費用を抑えることができる。
【0136】
なお、形状検出部151は、センサ装置110が一回(一往復あるいは半往復)の走査をすることにより得られた情報に基づいて、反射物体の断面の二次元形状を検出する構成であってもよいし、センサ装置110が複数回の走査をすることにより得られた情報に基づいて、反射物体の三次元形状を検出する構成であってもよい。この場合、車両進行方向の走査は、反射物体自身の移動によって行われる。したがって、形状検出部151が検出する反射物体の三次元形状において、車両進行方向の(擬似的)長さは、反射物体の移動速度によって伸び縮みする。これを防ぐため、車速算出部159が算出した車速に基づいて、形状検出部151が検出した反射物体の三次元形状における車両進行方向の長さを補正する構成としてもよい。逆に、形状検出部151が検出した反射物体の三次元形状の歪み(例えば検出したタイヤの形状の真円からのずれ)に基づいて、車速算出部159が車速を算出する構成としてもよい。
【0137】
また、車両検出装置100は、車両の逆進を検出する逆進検出部を有する構成であってもよい。
車両が車両進行方向に移動している場合、図10及び図11に示したように、上流方向に位置するセンサ装置110aから車両の検出が開始あるいは終了し、センサ装置110c,110bの順で進む。したがって、この順序が逆になり、センサ装置110bから車両の検出が開始あるいは終了し、センサ装置110c,110aの順で進んだ場合、車両が車両進行方向とは逆の方向に進んでいることがわかる。逆進検出部は、例えばこのようにして車両の逆進を検出する。
あるいは、逆進検出部は、形状検出部151が検出した反射物体の三次元形状の歪みに基づいて、車両の逆進を検出する構成であってもよい。逆進検出部は、例えば形状検出部151が検出した反射物体の三次元形状において、同じ形状が逆の順序で現れる部分があるか否かを判定する。同じ形状が逆の順序で現れる部分があると判定した場合、逆進検出部は、その前後で車両の進行方向が逆転したことを検出する。
【0138】
以上説明した車両検出装置100は、レーザ光を放射することにより車両を検知するレーザ車両検知装置である。
レーザ車両検知装置は、第一の側方レーザセンサ(センサ装置110a)、第二の側方レーザセンサ(センサ装置110b)、上方レーザセンサ(センサ装置110c)、情報処理器(検出装置150)を有する。
第一及び第二の側方レーザセンサは、レーザ光を垂直面(走査面503a,503b)内で走査し、レーザ光の送受信により反射光の位相情報および強度情報を得る。
上方レーザセンサは、レーザ光を垂直面(走査面503c)内で走査し、レーザ光の送受信により反射光の位相情報(レーザ反射点までの距離に応じた送信波との位相ずれ)および強度情報を得る。
情報処理器は、第一及び第二の側方レーザセンサおよび上方レーザセンサにより得られた情報に基いて、車両の検出情報を得る。
第一及び第二の側方レーザセンサは、走査中心軸が斜め下方を向くように設置され、通行路両側の路肩(島802)における、車高よりも低い所定高さ(側部センサ高さ515)にそれぞれ位置し、タイヤ幅よりも短い距離(進行方向位置差分513)だけ通行路の進行方向に互いにずれて配置される。
上方レーザセンサは、走査中心軸が斜め下方を向くように設置され、側方レーザセンサよりも上方における車高よりも高い位置(上部センサ高さ516)に配置される。
【0139】
情報処理器は、少なくとも1つの側方レーザセンサからの情報に基づいて、車両の進入または退出を検知し、車軸、および車長を検知する。これにより、車両が路肩に寄っても車軸検出ロバスト性が高くなる。また、情報処理器は、一対の側方レーザセンサからの情報に基いて車幅を検知する。これにより、車両が路肩に寄っても車幅を検出できる。更に、情報処理器は、上方レーザセンサからの距離画像情報に基いて、車高を検知して、車種判別装置(路側無線装置820)に検知データを送信する。
【0140】
また、情報処理器は、一対の側方レーザセンサからの情報に基づいて後進を検知したり、少なくとも一つの側方レーザセンサからの情報に基づいて道路進行方向(車両進行方向)の情報の連続性から車両分離を行ったりすることも可能である。これにより、ノーズの短い車両でも路車間通信時点で後進を検知することができる。
【0141】
情報処理器は、上方レーザセンサからの情報に基づいて、道路幅員方向(通行路横断方向)の高さ情報の変化から車両の並走を検知する。
【0142】
情報処理器は、側方レーザセンサまたは上方レーザセンサからの情報に基づいて、牽引棒を検知する。
【0143】
側方レーザセンサは、CW変調したレーザ光を送信し、送信信号と受信信号との混合処理によって得られる位相情報に基づいて、レーザ反射位置までの距離情報を得る。これにより、高データレートを得ることができる。
【0144】
側方レーザセンサは、更に、MEMSスキャナによりレーザ送信光を走査する。これにより、高データレートを得ることができる。また、側方レーザセンサは、長尺フォトダイオードにより受信光を電気信号に変換し、走査角度からレーザ反射位置の方向を示す情報を得る。
【0145】
これにより、車両分離の分解能が50cm以下となるので、渋滞時でも車両分離できる。また、レーザ光としてアイセーフレーザ(例えば波長1.48μm)を用いることにより、波長が長いので高データレート・高感度・低コストな長尺PD、TIA(Trans Impedance Amplifier)を使用できる。また、歩行者に対しても問題がない。データレートを256kHz以上(余裕を見て500kHz以上)とすれば、80km/hで車両が走行するときに、50cm以下の車両分離性能を得ることができる。
【0146】
以上説明したレーザ車両検知装置によれば、踏み板センサなどを用いることなく、車両の軸数を検出することができる。また、車両検出センサの機器構成が簡素であり、小型化でき、道路への敷設工事の手間を少なくでき、コストを抑えることができる。また、二輪車の並走を検出することができる。
【0147】
以上説明したレーザ車両検知装置は、例えばETCシステムの車種判別装置に接続して使用する。
ETCシステムは、レーザ車両検知装置(以下、単に「車両検知装置」と呼ぶ。)と、アンテナ(通信アンテナ810)と、路側無線装置(車線サーバ)と、料金収受装置(料金所サーバ)とを備える。また、自動車や二輪車などの車両は、車載器を搭載している。
車両検知装置は、料金所ゲートを通過する道路(通行路801)の周辺に設けられる。アンテナは道路の上方に設けられ、路面に通信領域を形成し、通信領域に送信電波を送るとともに、車載器からの通信情報を受信する。
路側無線装置は、アンテナとの間で通信信号を送受信し、車載器との通信制御を行う。また、車両検知装置から送信される車両検出データに基いて、車種を判別する車種判別装置として機能する。
料金収受装置は、路側無線装置を介して車載器から送られる車載器情報に基いて、通行料金の課金処理を行う。
【0148】
車両検知装置は、一対の側方レーザセンサ(センサ装置110a,110b)と、上方レーザセンサ(センサ装置110c)と、情報処理器(検出装置150)から構成される。一方の側方レーザセンサと上方レーザセンサは、路肩に立設された柱803aに設置される。もう一方の側方レーザセンサは、路肩に立設された柱803bに設置される。
側方レーザセンサの設置高さ(側部センサ高さ515)は、例えば1mである。上方レーザセンサの設置高さ(上部センサ高さ516)は、例えば4.7〜5mである。側方レーザセンサの間の距離は、車両進行方向に例えば15〜25cm、通行路横断方向に例えば4〜6mである。
レーザセンサは、例えば発振器(変調信号生成回路111)、分配器、CW光源112、制御器(走査信号生成回路113)、MEMSスキャナ121、ミラー(凸面鏡131)、長尺PD115、TIA116、位相検波器(位相検波回路117)を有する。
なお、上方レーザセンサは、CW方式ではなく、パルス送信により送受信時間を計測するパルスレーザを用いてもよい。
【0149】
また、車両検知装置は、ETCシステムではなく、道路情報を提供するインフラシステムなど他のシステムに利用してもよい。
また、各レーザセンサや情報処理器の間の通信は、有線接続であってもよいし、無線LANなどの通信装置を設け、両者の間で無線でデータの授受をしてもよい。また、情報処理器を側方レーザセンサのなかに設けてもよい。あるいは、情報処理器を路側無線装置のなかに設けてもよい。
【0150】
情報処理器(車両判定部152)は、2つの側方レーザセンサのいずれかの強度情報に基づいて、車両の発現を検知し、車両の進入または退出を検知する。
情報処理器(形状検出部151)は、2つの側方レーザセンサのいずれかの位相および走査情報から距離画像(断面形状)を得る。情報処理器(車軸検出部161)は、距離画像の路面からの高さから連続して所定以上の長さを有した点群に基づいてタイヤを検出し、車軸を検知する。
情報処理器(車速算出部159)は、2つの側方レーザセンサのいずれかの強度情報または位相および走査情報から距離画像を得て、一対の側方レーザセンサの検出時間差から車両の速度を求める。情報処理器(通過時間算出部155)は、車両を検知している間のサンプルデータ数およびサンプルレート(データレート)から、車両の連続検出時間(通過時間)を得る。情報処理器(車長算出部160)は、連続検出時間と車両の速度から、車長を求める。
情報処理器(車幅算出部163)は、一対の側方レーザセンサからの情報に基づいて、両センサの距離差(横断方向位置差分514)から車幅を検知する。これにより、車両が路肩に寄っても車幅を検出できる。
情報処理器(車高算出部164)は、上方レーザセンサからの距離画像情報(断面形状)に基づいて、車高を検知する。
車種判別装置(路側無線装置)は、これらの検知データから車種を判別する。
【0151】
以上説明した車両検知装置によれば、ETC車線に多数設置されている車両検知器の構成を軽減でき、小型化できるので、装置、設置費用、保守費用が低コストになる。また、島802上に設置すべき設備が少なくて済むので、車両の運転手から見た場合の視認性が高くなり、安全性が向上する。更に、料金所の係員や設備の保守要員が島802上に設置された設備につまづくなどの事故が減り、安全性が向上する。
また、車軸センサに利用される踏み板センサが不要となる。また、二輪車の並走検知が可能となる。また、車両形状プロファイルを三次元計測できるので、車種判定が容易になる。
【0152】
以上説明した車両検知装置は、CW方式で反射物体の形状を検出する。CW方式は、パルス方式と比較して、放射光の連続時間が長く、高い繰り返し頻度で放射・受光するので、出力が小さくても、高い信号雑音比を得ることができる。また、受光装置として、長尺PDのように応答周波数が低いものを利用できるので、製造コストを抑えることができる。
また、走査面503内に人が立ち入り、放射光を見る可能性があるので、網膜障害などの危害の発生を防ぐため、レーザ光の出力は、厳しく制限される。以上説明した車両検知装置は、放射光として、目に対して安全な1400ナノメートル以上の波長を有するレーザ光を使用するので、出力を大きくすることができる。これにより、高い信号雑音比を得ることができる。
【符号の説明】
【0153】
100 車両検出装置、110 センサ装置、111 変調信号生成回路、112 CW光源、113 走査信号生成回路、114 方向算出回路、115 長尺PD、116 TIA、117 位相検波回路、118 距離算出回路、120 放射光学系、121 MEMSスキャナ、130 受光光学系、131 凸面鏡、140 ケース、141,142 窓、150 検出装置、151 形状検出部、152 車両判定部、153 開始検出部、154 終了検出部、155 通過時間算出部、156 通過時間推定部、157 時間差算出部、158 時間差推定部、159 車速算出部、160 車長算出部、161 車軸検出部、162 車軸計数部、163 車幅算出部、164 車高算出部、165 並走判定部、501 通行路走査範囲、502 放射基点、503 走査面、511 通行路幅、513 進行方向位置差分、514 横断方向位置差分、515 側部センサ高さ、516 上部センサ高さ、517 左側距離、518 右側距離、519 斜走角、521 二次元断面形状、800 料金所システム、801 通行路、802 島、803 柱、810 通信アンテナ、820 路側無線装置、830 料金収受装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通行路を通行する車両を検出する車両検出装置において、
複数のセンサ装置と、開始検出部と、終了検出部と、通過時間算出部と、時間差算出部と、車速算出部と、車長算出部と、車幅算出部とを有し、
上記複数のセンサ装置の各センサ装置は、所定の放射基点から所定の放射方向へ向けて放射光を放射し、放射した放射光が上記放射方向に存在する反射物体に反射した反射光を受光することにより、上記放射光を反射した反射物体までの距離を算出し、
上記複数のセンサ装置のうち第一のセンサ装置は、上記通行路を横断する通行路横断方向において、上記放射基点の位置が上記通行路から離れた位置であり、上記通行路内を上記放射方向として上記放射光を放射し、
上記複数のセンサ装置のうち第二のセンサ装置は、上記通行路横断方向において、上記放射基点の位置が上記第一のセンサ装置の放射基点とは反対側に上記通行路から離れた位置であり、上記車両が進行する車両進行方向において、上記放射基点の位置が上記第一のセンサ装置の放射基点から離れた位置であり、上記通行路内を上記放射方向として上記放射光を放射し、
上記開始検出部は、上記複数のセンサ装置のうち少なくともいずれかのセンサ装置について、上記車両が上記反射物体として上記放射光の反射を開始した反射開始時刻を検出し、
上記終了検出部は、上記複数のセンサ装置のうち少なくともいずれかのセンサ装置について、上記車両が上記反射物体として上記放射光の反射を終了した反射終了時刻を検出し、
上記通過時間算出部は、上記複数のセンサ装置のうち少なくともいずれかのセンサ装置について、上記開始検出部が検出した反射開始時刻と上記終了検出部が検出した反射終了時刻とに基づいて、上記車両が上記センサ装置の前を通過するのにかかった通過時間を算出し、
上記時間差算出部は、上記車両の所定の部位が上記第一のセンサ装置の前を通過した時刻と上記第二のセンサ装置の前を通過した時刻との間の時間差を算出し、
上記車速算出部は、上記時間差算出部が算出した時間差に基づいて、上記車両の速度を算出し、
上記車長算出部は、上記通過時間算出部が算出した通過時間と上記車速算出部が算出した速度とに基づいて、上記車両の車長を算出し、
上記車幅算出部は、上記第一のセンサ装置及び上記第二のセンサ装置が算出した距離に基づいて、上記車両の車幅を算出することを特徴とする車両検出装置。
【請求項2】
上記複数のセンサ装置の各センサ装置は、所定の走査方向範囲を上記放射方向とし、上記走査方向範囲を走査する放射光を放射し、
上記第一のセンサ装置は、上記通行路上にあって上記通行路横断方向に略平行な第一走査線分の存在する方向を上記走査方向範囲として走査する放射光を放射し、
上記第二のセンサ装置は、上記通行路上にあって上記第一走査線分に略平行な第二走査線分の存在する方向を上記走査方向範囲として走査する放射光を放射することを特徴とする請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項3】
上記複数のセンサ装置の各センサ装置は、放射装置と、走査装置と、受光装置と、距離算出装置とを有し、
上記放射装置は、所定の変調信号により変調した変調光を放射し、
上記走査装置は、上記放射装置が放射した変調光を曲げて、上記走査方向範囲を走査する放射光とし、
上記受光装置は、上記走査装置が曲げた放射光が上記反射物体に反射した反射光を受光し、
上記距離算出装置は、上記受光装置が受光した反射光を復調して復調信号とし、上記変調信号に対する上記復調信号の遅延時間を算出し、算出した遅延時間に基づいて上記反射物体までの距離を算出することを特徴とする請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項4】
上記放射装置は、正弦波信号により連続波変調したレーザ光を上記変調光として放射することを特徴とする請求項3に記載の車両検出装置。
【請求項5】
上記走査装置は、微細電子機械素子により構成された走査鏡を有し、上記放射装置が放射した変調光を上記走査鏡が反射することにより、上記変調光の光路を曲げることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の車両検出装置。
【請求項6】
上記受光装置は、長尺状の受光面を備えるフォトダイオードを有し、
上記フォトダイオードは、上記受光面にて上記反射光を受光することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の車両検出装置。
【請求項7】
上記第一のセンサ装置及び第二のセンサ装置は、上記通行路面に対して垂直な垂直方向において、上記通行路面と上記放射基点との間の距離が10センチメートル以上2メートル以下であり、上記車両進行方向において、上記第一のセンサ装置の放射基点と上記第二のセンサ装置の放射基点との間の距離が10センチメートル以上50センチメートル以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車両検出装置。
【請求項8】
上記車両検出装置は、更に、形状検出部と、車両判定部とを有し、
上記形状検出部は、上記複数のセンサ装置の各センサ装置について、上記センサ装置が算出した距離に基づいて、上記反射物体の断面形状を検出し、
上記車両判定部は、上記形状検出部が検出した断面形状に基づいて、上記反射物体が車両であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両検出装置。
【請求項9】
上記車両検出装置は、更に、車軸検出部を有し、
上記車軸検出部は、上記形状検出部が検出した断面形状に基づいて、上記車両の車軸を検出することを特徴とする請求項8に記載の車両検出装置。
【請求項10】
上記車両検出装置は、更に、車高算出部と、並走判定部とを有し、
上記複数のセンサ装置のうち第三のセンサ装置は、上記通行路面に対して垂直な垂直方向において、上記放射基点の位置が上記第一のセンサ装置及び上記第二のセンサ装置の放射基点よりも上にあり、上記通行路内を上記放射方向として上記放射光を放射し、
上記車高算出部は、上記第三のセンサ装置が算出した距離に基づいて、上記車両の車高を算出し、
上記並走判定部は、上記第三のセンサ装置が算出した距離に基づいて、上記反射物体が並走しているか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の車両検出装置。
【請求項11】
複数のセンサ装置を用いて所定の通行路を通行する車両を検出する車両検出装置において、
上記複数のセンサ装置の各センサ装置は、所定の放射基点から所定の放射方向へ向けて放射光を放射し、放射した放射光が上記放射方向に存在する反射物体に反射した反射光を受光し、
上記複数のセンサ装置のうち第一のセンサ装置は、上記通行路を横断する通行路横断方向において、上記放射基点の位置が上記通行路から離れた位置であり、上記通行路内を上記放射方向として上記放射光を放射し、
上記複数のセンサ装置のうち第二のセンサ装置は、上記通行路横断方向において、上記放射基点の位置が上記第一のセンサ装置の放射基点とは反対側に上記通行路から離れた位置であり、上記車両が進行する車両進行方向において、上記放射基点の位置が上記第一のセンサ装置の放射基点から離れた位置であり、上記通行路内を上記放射方向として上記放射光を放射することを特徴とする車両検出装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の車両検出装置と、料金区分判定部とを有し、
上記車両検出装置は、有料区間の入口及び出口の少なくともいずれかに設置され、
上記料金区分判定部は、上記反射物体が車両であると上記車両判定部が判定した場合に、上記車長算出部が算出した車長及び上記車幅算出部が算出した車幅の少なくともいずれかに基づいて、上記車両の料金区分を判定することを特徴とする通行料課金システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−96022(P2011−96022A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249629(P2009−249629)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】