説明

車両検知システム

【課題】検知信号の通信に係る信号線を廃止した検知システムを構築する。
【解決手段】交通管制センターX10からの通信線T10と接続された上位光感知器12を、電力線D11〜D13で下位光感知器13−1〜3に接続して車両検知システム10を構築する。下位光感知器13−1〜3には電力線D11〜D13を通じて検知信号を送信する送信手段を設け、上位光感知器12には電力線D11〜D13を通じて下位光感知器13−1〜3の検知信号を受信する受信手段、及び、各信号を通信線T10を通じて交通管制センターX10へ送信する外部送信手段を設けることで、検知信号の電力線搬送を可能にして信号線を廃止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知物の検知システム、特に、交通管制における車両の検知を行うシステムにおいて、検知信号の通信に電力線搬送を用いることで、信号線を廃止してシステム導入に係るコストの低減等を実現した車両検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を通行する車両の交通量等を確認するため、道路沿いに光感知器又は画像感知器等の検知装置を配置した車両の検知システムが導入されている。
【0003】
図18は、交差点に導入された従来の車両検知システム1であり、車両の検知装置に出力光の反射により車両の有無を検知する光感知器を適用している。この車両検知システム1では、外部の交通管制センターX1と通信線T1で接続された上位光感知器2及び3台の下位光感知器3−1〜3を交差点の各角に配置している。さらに、これら上位光感知器2及び下位光感知器3−1〜3には、交差点の出口側に設置されて車両の検出及び外部の交通管制センターX1からの情報の提供を行う光ビーコン4を接続している。
【0004】
上位光感知器2及び各下位光感知器3−1〜3は信号線C1〜C3で夫々接続されており、各下位光感知器3−1〜3は光ビーコン4の車両検出に係る信号の入力に基づく検知信号を信号線C1〜C3を通じて上位光感知器2へ送信している。上位光感知器2は自身に接続された光ビーコン4の信号に基づく検知信号及び下位光感知器3−1〜3からの検知信号を、通信線T1を通じて交通管制センターX1へ送信している。なお、上位光感知器2及び各下位光感知器3−1〜3には交流電源ACから延出する電力線D1〜D4が接続され、電力が供給されている。
【0005】
図19は、4台の信号灯器5−1〜4が設置されている交差点に車両検知システム1が導入された状態を示している。この場合は、上述した車両検知システム1の信号線C1〜C3及び電力線D1〜D4に加えて、信号管制センターX2と通信線T2で接続された信号制御機6に各信号灯器5−1〜4を接続する灯器制御用の信号線C4〜C7、及び、信号制御機6及び各信号灯器5−1〜4へ電力を供給する電力線D5〜D9が夫々交差点に布設されている。
【0006】
また、図20は、車両検知装置に画像感知器を適用した従来の車両検知システム1′であり、停止線の前方に設置された各CCDカメラ7′を接続した上位画像感知器8′及び下位画像感知器9′−1〜3を信号線C1′〜C3′で接続し、CCDカメラ7′からの車両の検出に係る検知信号を下位画像感知器9′−1〜3より上位画像感知器8′へ送信している。その他の構成は、図18の車両検知システム1と略同等である。
【0007】
なお、図18、19、20の車両検知システム1、1′は信号線C1〜C3′による信号の送受に対し「S5型インタフェース規格」及び「S6型インタフェース規格」等を適用しており、2400ビット/s〜9600ビット/sの通信速度を確保している。また、車両検知システム1、1′における信号線C1〜C3′及び電力線D1〜D3′は、交差点の状況等に応じて地中に埋設される場合、又は、空中に張架される場合がある。さらに、車両検知システム1、1′は、近時、光ビーコン4又はCCDカメラ7′に無線通信設備等を設けることで車両の車載端末との無線通信を可能にして、DSRC(狭域通信:Dedicated Short Range Communication)システムに対応できるようにすることもある。
【特許文献1】特開2001−358618号公報
【特許文献2】特開2000−030185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図18の車両検知システム1は、信号線C1〜C3及び電力線D1〜D4を地中に埋設する場合、計7本もの電線を埋設するため地面の各所を掘削する工事等が必要となりシステム導入の手間及び工期が過大になる問題がある。また、このような工事及び信号線C1〜C3と電力線D1〜D4に要する多数本の電線に係る費用がシステム導入のコストを押し上げると云う問題もある。
【0009】
さらに、信号線C1〜C3及び電力線D1〜D4を空中に張架した場合は、7本の電線が交差点の上方を行き交うこととなり、車両検知システム1を構築した場所の美観を損なう問題もある。これらの各問題は、車両検知システム1が、図19に示すように、信号灯器5−1〜4が設置された箇所に導入された場合、信号灯器5−1〜4用の信号線C4〜C7及び電力線D5〜D9が加わることより一段と深刻になる。
【0010】
さらに、また、車両検知システム1では、上位光感知器2と各下位光感知器3−1〜3との間の通信速度が2400ビット/s〜9600ビット/sなので、DSRCシステム等に対応して通信データ量が増加したときに、スムーズな通信の維持が困難になるおそれがある。その上、上位光感知器2に対して接続できる下位光感知器の台数もシステム構成上、3台より多くすることができずシステム形態が限定されると云う問題もある。なお、上述した各問題は、図20の画像感知器を用いた車両検知システム1′でも同様に生じる。
【0011】
本発明は、斯かる問題に鑑みてなされたものであり、車両の検知信号の通信を電力線搬送で行うことで、信号線を廃止して工事費等の削減、導入に係る工期の短縮等を実現した車両検知システムを提供することを目的とする。
また、検知装置と外部への送信先との間に、中継装置を介在させることで通信速度の向上、及び、検知装置の接続可能台数を増加した車両検知システムを提供することを目的とする。
さらに、車両検知システムを信号灯器が設置された場所に導入する場合、少なくとも信号灯器を制御する信号制御機をシステムに組み込んで電力線搬送を行うことで、信号制御に係る電線数の削減した車両検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る車両検知システムは、車両を検知する車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、信号灯器と、前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、該信号制御機及び前記信号灯器を接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器に電力を供給する灯器電力線と、前記信号灯器及び前記車両検知装置を接続しており、前記車両検知装置に電力を供給する装置電力線とを備え、前記灯器電力線は、直近となる外部電力供給源に接続できるように、外部電力供給源との接続部を備え、前記車両検知装置は、前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、前記信号灯器は、前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、前記信号制御機は、前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車両検知システムは、車両を検知する複数の車両検知装置が出力す
る検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、複数の信号灯器と、前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、該信号制御機及び前記複数の信号灯器をそれぞれ接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器に電力を供給する複数の灯器電力線と、複数の中で直近になる信号灯器及び車両検知装置をそれぞれ接続しており、前記車両検知装置に電力を供給する複数の装置電力線とを備え、前記複数の灯器電力線の中で外部電力供給源と直近になる一の灯器電力線に、外部電力供給源との接続を行う接続部が設けてあり、前記車両検知装置は、前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、前記信号灯器は、前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、前記信号制御機は、前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る車両検知システムは、車両を検知する車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、電力供給源と、信号灯器と、前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、該信号制御機及び前記信号灯器を接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器へ前記電力供給源からの電力を供給する灯器電力線と、前記信号灯器及び前記車両検知装置を接続しており、前記車両検知装置へ前記電力供給源からの電力を供給する装置電力線とを備え、前記電力供給源は、前記信号灯器、前記信号制御機、及び前記装置電力線に比べて前記灯器電力線を直近にして該灯器電力線に接続してあり、前記車両検知装置は、前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、前記信号灯器は、前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、前記信号制御機は、前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
さらにまた、本発明に係る車両検知システムは、車両を検知する複数の車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、電力供給源と、複数の信号灯器と、前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、該信号制御機及び前記複数の信号灯器をそれぞれ接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器へ前記電力供給源からの電力を供給する複数の灯器電力線と、複数の中で直近になる信号灯器及び車両検知装置をそれぞれ接続しており、前記車両検知装置へ前記電力供給源からの電力を供給する複数の装置電力線とを備え、前記複数の灯器電力線の中で前記電力供給源と直近になる一の灯器電力線に、該電力供給源が接続してあり、前記車両検知装置は、前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、前記信号灯器は、前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、前記信号制御機は、前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段と備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、車両検知システムに信号灯器及び信号制御機を組み込むと共に、車両検知装置、信号灯器、及び、信号制御機に対して電力線搬送を行う場合に必要な各種手段を設けて、信号灯器を経由して車両検知装置に電力線を布設することで、従来必要であった信号線を廃止できると共に、信号灯器に接続される電力線を車両検知装置と共用でき、一段と効率的な車両検知システムを構築できる。
【0017】
なお、本発明に係る車両検知システムでは、車両を検知する車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、前記通信線が接続してあり、信号灯器を制御する信号制御機と、該信号制御機及び前記車両検知装置を接続しており、該信号制御機又は前記車両検知装置の少なくとも何れか一方に電力を供給する電力線とを備え、前記車両検知装置は、前記電力線を通じて検知信号を前記信号制御機へ送信する送信手段を備え、前記信号制御機は、前記電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する外部送信手段とを備える構成にすることも可能である。
【0018】
上述した構成では、車両検知システムに信号制御機を組み込むと共に、車両検知装置及び信号制御機に電力線搬送に必要な種々の手段を設けることで、信号灯器の設置箇所に車両検知システムを導入する場合、車両検知装置及び信号制御機に対する信号線を廃止して必要な電線数を削減でき、電線布設に係る手間及び時間等を削減できる。
【0019】
また、本発明では信号灯器を含ませない場合の検知システムとして、被検知物を検知する複数の検知装置が夫々出力する検知信号を通信線により外部へ送信する検知システムにおいて、一の検知装置に前記通信線を接続しており、前記一の検知装置及び他の検知装置を接続しており、前記一の検知装置又は他の検知装置の少なくとも何れか一方に電力を供給する電力線を備え、前記他の検知装置は、前記電力線を通じて検知信号を前記一の検知装置へ送信する送信手段を備え、前記一の検知装置は、前記電力線を通じて前記他の検知装置からの検知信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知信号及び自身の検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する外部送信手段とを備える構成にすることも考えられる。
この場合では、一の検知装置及び他の検知装置を電力線で接続すると共に、他の検知装置には送信手段、一の検知装置には受信手段及び外部送信手段を設けることで、電力線搬送により電力線を通じて検知信号及び情報の送信が可能となり、検知信号の送信に必要であった信号線を廃止できる。よって、システムに使用される電線数を従来に比べて削減でき、電線布設に係る工事の手間及び工期を低減できる。また、電線を空中に張架する場合も電線数の削減により美観を損なう程度を低減できる。なお、一の検知装置に電力線で外部からの信号等を受信する外部受信手段及び他の検知装置へ信号を送信する手段を設けることで、電力線搬送で双方向の信号通信を実現できる。また、検知装置には、光感知器又は画像感知器のいずれの適用も可能である。
【0020】
さらに、信号灯器を含ませない場合の検知システムは、被検知物を検知する検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する検知システムにおいて、前記通信線が接続してある検知信号中継用の中継装置と、該中継装置及び前記検知装置を接続しており、該中継装置又は前記検知装置の少なくとも何れか一方に電力を供給する電力線とを備え、前記検知装置は、前記電力線を通じて検知信号を前記中継装置へ送信する送信手段を備え、前記中継装置は、前記電力線を通じて前記検知装置からの検知信号を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する外部送信手段とを備える構成にすることもできる。
この場合、検知信号の中継を行う中継装置を新たにシステムに設けると共に、この中継装置と検知装置とを電力線で接続し、検知装置には送信手段、中継装置には受信手段及び外部送信手段を夫々設けることで、各装置をネットワーク的に接続できる上、信号線も廃止でき、必要な電線数を従来に比べて削減できる。また、ネットワーク的な接続が可能になることで、信号の通信速度も高められると共に種々の接続形態にも容易に対応できシステムの拡張性を向上できる。
【0021】
さらにまた、信号灯器を含ませない検知システムとして、前記検知装置は複数であり、検知信号中継用の補助中継装置と、該補助中継装置及び前記検知装置を接続しており、該
補助中継装置又は前記検知装置の少なくとも何れか一方に電力を供給する補助電力線と、該補助中継装置及び前記中継装置を接続しており、該補助中継装置又は前記中継装置の少なくとも何れか一方に電力を供給する中継電力線とを更に備え、前記補助中継装置に接続してある検知装置は、前記補助電力線を通じて検知信号を前記補助中継装置へ送信する補助送信手段を備え、前記補助中継装置は、前記補助電力線を通じて前記補助中継装置に接続してある検知装置からの検知信号を受信する中継受信手段と、該中継受信手段が受信した検知信号を、前記中継電力線を通じて前記中継装置へ送信する中継送信手段とを備え、前記受信手段は、前記中継電力線を通じて前記補助中継装置経由の検知信号を受信する手段を備え、前記外部送信手段は、前記受信手段が受信した前記補助中継装置経由の検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する手段を備えることを特徴にすることが可能である。
この場合、前記中継装置に中継電力線で接続される補助中継装置を新たに設けることで、システムを拡張して更に多くの検知装置を接続可能にして、種々のシステム形態に容易に対応できる。即ち、補助中継装置にも補助電力線を介して検知装置を接続することで、階層的なカスケード接続による検知システムを構築できる。なお、通信によるトラフィックの混雑が生じない限り、理論的には補助中継装置に順次、階層的に下位方向へ複数の補助中継装置を接続すると共に、これら各補助中継装置毎に検知装置を接続して、種々の規模の検知システムを構築できる。
【発明の効果】
【0022】
以上に詳述した如く、本発明にあっては、各検知装置に電力線搬送を可能とした各種手段を設けることで、信号線を廃止して電線布設に係る工事の手間及び工期を低減できる。
また、本発明にあっては、検知信号の中継を行う中継装置を新たにシステムに設けると共に、この中継装置及び検知装置に電力線搬送を可能とした各種手段を設けることで、信号線を廃止できると共に、中継装置と検知装置とをネットワーク的に接続してシステムの拡張性を向上できる。
【0023】
さらに、本発明にあっては、車両検知システムに信号制御機を組み込み、車両検知装置及び信号制御機に電力線搬送に必要な各種手段を設けることで、車両検知装置及び信号制御機に対する信号線を廃止できる。
さらにまた、本発明にあっては、車両検知システムに信号灯器及び信号制御機を組み込むと共に、車両検知装置、信号灯器、及び、信号制御機に電力線搬送に必要な各種手段を設けることで、各種信号線を廃止できると共に、電力線搬送用の電力線を共用でき、一段と効率的なシステムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両検知システム10の全体構成図である。車両検知システム10は交差点に導入されており、交差点の各角に複数の車両検知装置として設置された上位光感知器12及び3台の下位光感知器13−1〜3を電力線D11〜D13で接続している。
【0025】
これら各光感知器12、13−1〜3には交差点の出口側に設置された光ビーコン14を接続しており、光ビーコン14の車両有無の検出に係る信号の入力に基づき各光感知器12、13−1〜3は検知信号を出力している。下位光感知器13−1〜3は出力する検知信号を、電力線D11〜D13を通じて電力線搬送により上位光感知器12へ送信している。また、上位光感知器12は通信線T10を接続し、この通信線T10を通じて各光感知器12、13−1〜3の検知信号を外部の交通管制センターX10へ送信している。
【0026】
図2は、車両検知システム10の接続形態を示しており、上位光感知器12と各下位光
感知器13−1〜3とを接続する電力線D11〜D13の内、電力線D11を交流電源ACに接続し、電力線D11を通じて上位光感知器12及び下位感知器13−1に電力を供給している。また、車両検知システム10は、上位光感知器12に供給された電力を、電力線D12、D13を通じて下位光感知器13−2、3へ供給している。
【0027】
図3は上位光感知器12の内部構成図である。上位光感知器12は、光ビーコン14と接続されて車両検出に係る信号の入力に基づき検知信号を出力する感知通信部12a及び端末通信部12bを設けている。また、端末通信部12bに接続されて下位光感知器13−1〜3からの検知信号の受信手段、及び、各光感知器12、13−1〜3の検知信号を外部へ通信線T10を通じて送信する外部送信手段等として機能する信号送受信部17も設けている。
【0028】
信号送受信部17は内部に、下位光感知器13−1〜3からの検知信号の受信及び全検知信号の送信を通信線T10を通じて行う送受信部17a、アナログ信号とデジタル信号との変換及び信号の送受を行う変調回路17b−1〜3、低周波フィルタ17c−1〜3、及び、ラインカプラー17d−1〜3を設けている。
【0029】
低周波フィルタ17c−1〜3は、送受される信号から低周波成分を除去するものである。即ち、電力線搬送においては、電力線に接続された種々の電気機器の作動等により低周波成分のノイズが電力線に混入するので、この種のノイズを低周波フィルタ17c−1〜3で除去することで、安定した信号送受を確保している。また、ラインカプラー17d−1〜3は、電力線D11〜D13にかかる高電圧から変調回路17b−1〜3を保護すると共に、送受される信号から高周波成分を取り出して信号送受の安定性を維持するものである。
【0030】
なお、上位光感知器12は、前記以外にも、上位光感知器12の内部回路の駆動用の直流電源を確保するために、電力線D13と接続されるノンフューズブレーカーとして遮断器17e及び電源部17fを設けている。遮断器17eは、電力線D13に高電圧がかかった場合に、導通を遮断して電源部17f等の内部回路を保護するものであり、電源部17fは、交流電源を所要電圧の直流電源に変換するものである。
【0031】
一方、図4は、下位光感知器13−1の内部構成図である。下位光感知器13−1は、内部構成を上位光感知器12と略同等にしており、具体的には、光ビーコン14と接続される感知通信部13a及び端末通信部13bを設けていると共に、光ビーコン14の信号に基づく車両の検知信号を電力線D11を通じて送信する送信手段として主に機能する信号送受信部18を設けている。
【0032】
信号送受信部18は、電力線D11に対して信号の送受を行う送受信部18a、信号の復調を行う変調回路18b、低周波成分を除去する低周波フィルタ18c、変調回路18bの保護及び高周波成分の取出用のラインカプラー18d、遮断器18e、及び、内部回路への給電を行う電源部18fを設けている。なお、他の下位光感知器13−2、13−3も図4と同等の内部構成である。
【0033】
車両検知システム10は、電力線搬送を行う上述した上位光感知器12の信号送受信部17と各下位光感知器13−1〜3の信号送受信部18との間を、電力線D11〜D13を通じて2メガビット/s〜45メガビット/sの通信速度で送受信できるようにしている。
【0034】
上述した構成の車両検知システム10は、図1に示すように、上位光感知器12及び下位光感知器13−1〜3を接続する電力線D11〜D13により、電力の供給及び情報の
送受信を行っているため、図18の従来の車両検知システム1における信号線C1〜C3を廃止し電線数を削減している。その結果、車両検知システム10は電線の布設に係る手間及び工期を削減し、システム導入に係る費用を低減している。
【0035】
また、車両検知システム10は上述した構成に基づき電力線搬送を行っているので、従来の「S6形インタフェース規格」等に準じた車両検知システム1に比べて、検知信号の通信速度も向上している。さらに、車両検知システム10は、電線数の減少により、電線が空中を張架される場合の美観が損なわれる程度を軽減している。
【0036】
なお、車両検知システム10は、図1に示す形態に限定されるものではなく種々の変形例が存在する。例えば、導入される道路の形態に応じて、下位光感知器13−1〜3の台数を減少するようにしてもよい。また、このように下位光感知器13−1〜3の台数を減少した場合は、上位光感知器12において減少した分に応じた変調回路、低周波フィルタ及びラインカプラーを省略してもよい。
【0037】
さらに、車両検知システム10は、各光ビーコン14に無線設備等を併設することで、車両の車載端末と通信を可能にしたDSRC(狭域通信:Dedicated Short Range Communication)システムに対応できるようにしてもよい。また、車両検知システム10は、車両以外の他の物体の検知に係るシステムに流用することも可能である。
【0038】
図5は、第2の実施の形態に係る車両検知システム20の全体構成図である。車両検知システム20は、車両検知装置として画像感知器を適用したものであり、交差点の一角に設置した上位画像感知器28及び他の角に設置した下位画像感知器29−1〜3を電力線D21〜D23で接続している。また、上位画像感知器28及び下位画像感知器29−1〜3は、停止線の手前に設置したCCDカメラ27を接続し、各CCDカメラ27から取り込まれた車両検出に係る信号を入力している。
【0039】
下位画像感知器29−1〜3は、CCDカメラ27の車両検出に係る信号を検知信号として、電力線D21〜D23を通じて上位画像感知器28へ電力線搬送により送信しており、上位画像感知器28は自身に接続されたCCDカメラ27の信号による検知信号と、電力線搬送された下位画像感知器29−1〜3の検知信号を、通信線T20で交通管制センターX20へ送信している。
【0040】
車両検知システム20は上述したような電力線搬送を行うために、検知信号の送受信に係る上位画像感知器28を、図3の上位光感知器12と略同様の構成にすると共に、下位画像感知器29−1〜3も、図4の下位光感知器13−1〜3と略同様の構成にしている。なお、相異する箇所としては、図3及び図4における感知通信部12a、13aの代わりに、CCDカメラ27と接続可能な映像入力処理部を上位画像感知器28及び下位画像感知器29−1〜3に夫々設けて、画像に係る信号を処理できるようにしている。
【0041】
図5に示す第2の実施の形態の車両検知システム20も、図20に示す従来の車両検知システム1′に比べて、使用される電線数が削減されており、システム導入に係る工期及びコストも低減している。なお、車両検知システム20にも、第1の実施の形態の車両検知システム10と同様の各種変形例を適用できる。
【0042】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る車両検知システム30の全体構成図である。車両検知システム30は、車両検知装置として光感知器33−1〜4を適用すると共に、各光感知器33−1〜4を検知信号の中継装置であるルータ31に電力線D31〜D34で夫々接続している。なお、各光感知器33−1〜4は、第1の実施の形態と同様に交差
点の出口側に設置した光ビーコン34を接続し、光ビーコン34の車両検出に係る信号を取り込んでいる。
【0043】
図7は、車両検知システム30の接続構成図を示し、ルータ31及び各光感知器33−1〜4を接続する電力線D31〜D34の内、電力線D31を交流電源ACに接続し、ルータ31及び光感知器33−1へ電力を供給すると共に、ルータ31へ供給された電力を他の電力線D32〜D34を介して残りの光感知器33−2〜4へ分配している。
【0044】
図8は、ルータ31の内部構成図である。ルータ31は、通信線T30と接続されて外部の交通管制センターX30へ検知信号を送信する外部送信手段として主に機能する中央通信部31a及び通信制御部31bを設けている。また、ルータ31は通信制御部31bに、各電力線D31〜D34を通じて各光感知器33−1〜4からの検知信号を受信する受信手段として機能する信号送受信部37−1〜8を接続している。
【0045】
各信号送受信部37−1〜8は夫々同様の内部構成であり、代表して1番目の信号送受信部37−1で内部構成を説明する。信号送受信部37−1は通信制御部31bとの接続を行うと共に電力線D31に対して信号の送受を行う端末送受信部37a−1を設けており、他には図3の上位光感知器12と同様に変調回路37b−1、低周波フィルタ37c−1及びラインカプラー37d−1を設けている。なお、ラインカプラー37d−1に接続される電力線D31には、遮断器31e及び電源部31fを接続しルータ31の内部回路に直流電源を供給している。
【0046】
ルータ31は、このような信号送受信部37−1〜8を最大8個まで実装しており、図8において電力線と接続されていない信号送受信部37−5〜8は光感知器増設用の予備としてルータ31に実装している。なお、光感知器の増設の必要がなければ、車両検知システム30に使用される光感知器33−1〜4と同数の信号送受信部37−1〜4のみを使用することで対応できる。また、後にシステムの構成等を変更する場合等は、信号送受信部37(37−1〜8)の使用、又は、未使用によりルータ31に接続できる光感知器の数を増減できる。
【0047】
一方、ルータ31の信号送受信部37−1〜4に電力線D31〜D34を介して接続される4台の光感知器33−1〜4は、図4に示す第1の実施の形態における下位光感知器13−1と同等の構成のものを使用しており、光ビーコン34による車両検出の信号に応じた検知信号をルータ31へ電力線D31〜D34で送信している。
【0048】
車両検知システム30は、ルータ31を用いることで、各電力線D31〜D34による接続形態をネットワーク的な接続にしており、光感知器33−1〜4からの検知信号を、電力線D31〜D34を通じて2メガビット/s〜45メガビット/sの通信速度で送信できるようにしている。
【0049】
上述した構成の車両検知システム30は、ルータ31と各光感知器33−1〜4との間を、計4本の電力線D31〜D34のみで接続しているので、検知信号送信用の信号線を廃止してシステム全体の電線数を削減し、システム構築に係る工期及び電線費用を低減している。また、車両検知システム30は、電力線D31〜D34を通じて2メガビット/s〜45メガビット/sの通信速度で信号の送受信が可能となる上に、ルータ31には最大計8台の光感知器等の車両検知装置を接続できるので、種々の検知形態及びシステム変更等に対しても容易に対応できる。
【0050】
図9は、第3の実施の形態の変形例に係る車両検知システム30′の全体構成図である。車両検知システム30′は、外部の交通管制センターX30′と通信線T30′で接続
されるルータ31′に、道路Rで間隔を隔てて配置した計8台の光感知器33′−1〜8を電力線D31′〜D38′で接続すると共に、各光感知器33′−1〜8には光ビーコン34′を夫々接続し、各光感知器33′−1〜8の検知信号を電力線搬送でルータ31′に送信し、交通管制センターX30′で道路Rを通行する車両を管理できるようにしている。なお、電力線D31′には交流電源ACを接続し、各電力線D31′〜D38′を通じてルータ31′及び光感知器33′−1〜8に給電している。
【0051】
このような構成の車両検知システム30′は、8台の光感知器33′−1〜8に対して計8本のみの電力線D31′〜D38′で電力の供給及び検知信号の送信を行うので、大規模のシステムに対しても最小限の電線数でシステム構築が可能になる。また、車両検知システム30′でも電力線D31′〜D38′による電力線搬送で2メガビット/s〜45メガビット/sの通信速度を確保し、「S6形インタフェース規格」等に基づいて通信していた従来のシステムに比べて高速通信を実現している。
【0052】
図10は、第3の実施の形態の別の変形例に係る車両検知システム30″の全体構成図である。車両検知システム30″は、第1ルータ31″−1に補助中継装置に相当する第2ルータ31″−2をカスケード接続して、2階層でシステムを構築し、計15台の光感知器33″−1〜15で車両を検知するようにしている。
【0053】
車両検知システム30″は、通信線T30″で外部の交通管制センターX30″と接続される第1ルータ31″−1に、電力線D31″〜D37″で、道路Rの一車線R1側に間隔を隔てて配置された計7台の光感知器33″−1〜7を接続すると共に中継電力線に相当する電力線D38″で第2ルータ31″−2を接続している。また、第2ルータ31″−2には、補助電力線に相当する電力線D39″〜D46″で、道路Rの他車線R2側に間隔を隔てて配置された計8台の光感知器33″−8〜15を接続している。
【0054】
なお、各光感知器33″−1〜15は基本的に図4の下位光感知器13−1と同様の構成であり、光ビーコン34″を夫々接続し、車両の検出に係る信号を入力して検知信号として出力している。なお、第2ルータ31″−2に接続された各光感知器33″−8〜15は、電力線D39″〜D46″を通じて検知信号を第2ルータ31−2″へ送信する補助送信手段を具備している。
【0055】
また、第2ルータ31″−2は、図8のルータ31と略同等の内部構成を具備しており、電力線D39″〜D46″を通じて各光感知器33″−8〜15からの検知信号を受信する中継受信手段、及び、電力線D38″を通じて受信した検知信号を第1ルータ31″−1へ送信する中継送信手段等を具備している。
【0056】
さらに、第1ルータ31″−1は、図8のルータ31と同等の機能を具備している上に、電力線D38″を通じて第2ルータ31″−2を経由した検知信号を受信する手段、及び、受信した検知信号を通信線T30″を通じて外部の交通管制センターX30″へ送信する手段も具備している。
【0057】
また、車両検知システム30″は、第2ルータ31″−2及び各光感知器33″−8〜15への給電に関しては、交流電源ACと接続された電力線D31″から第1ルータ31″−1に給電された電力を、電力線D38″を通じて第2ルータ31″−2へ供給し、第2ルータ31″−2へ供給された電力を、電力線D39″〜D46″を通じて各光感知器33″−8〜15へ供給している。なお、第1ルータ31″−1及び光感知器33″−1〜7への給電は、図9の車両検知システム30′と同様である。
【0058】
よって、車両検知システム30″は、接続される計15台もの光感知器33″−1〜1
5の数に対して最小限の電力線D31″〜D46″によりシステムを構築しているので、電力線D31″〜D46″の布設に係る工事を低減した上で、高速通信を確保している。なお、車両検知システム30″では、電力線搬送により通信されるデータ量の増加によりスムーズな通信が妨げられない限り、第1ルータ31″−1を最上位階層として、順次、下の階層となるルータを接続することで、より多くの光感知器を接続することも可能である。
【0059】
また、上述した第3の実施の形態に係る各車両検知システム30、30′、30″は、車両検知装置として光感知器ではなく図5の第2の実施の形態の車両検知システム20における補助画像感知器29−1〜3と略同等の構成の画像感知器を適用すると共に、これら画像感知器にCCDカメラを接続してシステムを構成するようにしてもよい。また、各車両検知システム30、30′、30″にも第1の実施の形態の車両検知システム10と同様の各種変形例を適用することが可能である。
【0060】
図11は、本発明の第4の実施の形態に係る車両検知システム40の全体構成図である。車両検知システム40は、交差点に設置されている信号灯器45−1〜4の制御を行う信号制御機46をシステムに組み込み、信号制御機46を電力線D41〜D44で各光感知器43−1〜4と接続してシステムを構築している。なお、信号制御機46は、電力線D45〜D48で信号灯器45−1〜4と接続し、信号灯器45−1〜4に対して電力線搬送を行っている。
【0061】
図12は、車両検知システム40の接続形態を示しており、信号制御機46と各光感知器43−1〜4を接続する電力線D41〜D44の内、電力線D41を交流電源ACに接続して、光感知器43−1及び信号制御機46に電力を供給している。また、車両検知システム40は信号制御機46に供給された電力を、電力線D42〜D44を通じて残りの光感知器43−2〜4へ分配すると共に、電力線D45〜D48を通じて信号灯器45−1〜4にも分配している。
【0062】
図13は、信号制御機46の内部構成図である。信号制御機46は、光感知器43−1〜4からの検知信号の受信手段及び外部送信手段に相当する第1信号送受信部47と、信号灯器45−1〜4に対して制御信号の通信を行う第2信号送受信部48を具備し、その他には全体的な制御を行う制御部46a、第1信号送受信部47と接続される端末通信部46b、第2信号送受信部48と接続される灯器駆動部46cを設けている。なお、信号制御機46は内部回路への直流電源供給用に電力線D41と接続される遮断器46e及び電源部46fも設けている。
【0063】
第1信号送受信部47は、基本的に図3に示す上位光検知器12の信号送受信部17と同様の構成であり、各光感知器43−1〜4の検知信号を受信すると共に接続された通信線T40を通じて外部の交通管制センターX40へ検知信号を送信する送受信部47a、変調回路47b−1〜4、低周波フィルタ47c−1〜4、及び、ラインカプラー47d−1〜4を設けており、このラインカプラー47d−1〜4に電力線D41〜D44の一方の端部を接続している。
【0064】
また、第2信号送受信部48は、電力線D45〜D48で各信号灯器45−1〜4と接続し、内部の構成を上述した第1信号送受信部47と略同等にしている。第2信号送受信部48が第1信号送受信部47と相異する点は、電力線搬送により通信される信号が信号灯器の制御信号であることである。
【0065】
即ち、各信号灯器45−1〜4の点灯状況を制御する制御信号は、図11にも示すように信号管制センターX41からルータ49を介して通信線T40で信号制御機46の第1
信号送受信部47へ送信されると共に、第1信号送受信部47から端末通信部46b及び制御部46a等を経由して第2信号送受信部48へ伝送される。このように伝送された制御信号は、第2信号送受信部48から対応する信号灯器45−1〜4へ電力線D45〜D48を通じて送信される。なお、各信号灯器45−1〜4は、灯器を点灯する回路に加えて各電力線D45〜D48を通じて各種信号を送受信する手段も備えている。
【0066】
一方、信号制御機46に接続される各光感知器43−1〜4は、図4の下位光感知器13−1と同様の内部構成であり、光ビーコン44の車両の検出に係る検知信号を電力線D41〜D44を通じて信号制御機46へ送信する送信手段と、外部の交通管制センターX40からの情報を電力線D41〜D44を通じて受信する受信手段とを備えている。なお、信号制御機46及び各光感知器43−1〜4は、電力線D41〜D44を通じて2メガビット/s〜45メガビット/sの通信速度を確保している。
【0067】
上述した構成の図11に示す車両検知システム40は、信号制御機46と各光感知器43−1〜4との間を電力線D41〜D44で電力線搬送を行うと共に、信号制御機46と各信号灯器45−1〜4との間も電力線D45〜D48で電力線搬送を行っているので、図19に示す信号灯器5−1〜4が設置された交差点に導入された従来の車両検知システム1に比べて、電線数を半減している。よって、信号灯器45−1〜4の制御を行う信号制御機46をシステムに組み込むことで、信号灯器に係るシステムと車両検知システムとを統合して効率的な電線の布設が可能となりシステム全体の電線の布設工事量等を大幅に削減している。
【0068】
なお、第4の実施の形態に係る車両検知システム40も、種々の変形が可能である。例えば、図14に示すように隣接する二つの交差点に車両検知システム40−1、40−2を夫々構築している場合、各車両検知システム40−1、40−2の信号制御機46−1、46−2から延出される通信線Z40−1、Z40−2を一旦、ルータ41へ接続し、ルータ41から通信線T40、T41を延出して、外部の交通管制センターX40及び信号管制センターX41へ接続するようにしてもよい。この場合、ルータ41が各車両検知システム40−1、40−2をまとめて、交通管制センターX40及び信号管制センターX41に接続するので、通信線の本数を低減できる。
【0069】
また、車両検知システム40において、信号灯器45−1〜4と信号制御機46との間は、電力線搬送を行わずに、信号線と電力線とを夫々布設するようにしてもよい。なお、この場合は、図13の第2信号送受信部48を省略すると共に、各信号灯器からも電力線搬送による信号送受に係る部分を省略して、灯器駆動部46cと各信号灯器とを夫々信号線で接続し、各信号灯器の点灯の制御を行うようにする。
【0070】
さらに、車両検知システム40は、車両検知装置として光感知器ではなく図5の第2の実施の形態の車両検知システム20における補助画像感知器29−1〜3と略同等の構成の画像感知器を適用すると共に、これら画像感知器にCCDカメラを接続してシステムを構成するようにしてもよい。
【0071】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る車両検知システム50の全体構成図である。車両検知システム50は、交差点に設置されている信号灯器55−1〜4及び信号制御機56を組み込んでシステムを構築しており、信号制御機56に信号灯器55−1〜4を灯器電力線に相当する電力線D51〜D54で接続すると共に、各信号灯器55−1〜4に光感知器53−1〜4を装置電力線に相当する電力線D55〜D58で接続している。
【0072】
図16は、車両検知システム50の接続形態を示しており、信号制御機56と各信号灯器55−1〜4とを接続する電力線D51〜D54の内、電力線D51を交流電源ACに
接続し、信号灯器55−1及び信号制御機56に電力を供給している。また、車両検知システム50は、信号制御機56に供給された電力を、電力線D52〜D54を通じて残りの信号灯器55−2〜4へ供給し、さらに各信号灯器55−1〜4へ供給された電力を、電力線D55〜D58を通じて光感知器53−1〜4へ供給している。
【0073】
図17は信号制御機56の内部構成図であり、信号制御機56は図13の信号制御機46に対して第2信号送受信部48を設けていない箇所を除いて略同等の構成にしている。即ち、信号制御機56は、信号送受信部59を信号灯器55−1〜4及び光感知器53−1〜4の共用にしており、この信号送受信部59に端末通信部56bを接続している。
【0074】
信号送受信部59自体は、図13の信号制御機46の第1信号送受信部47と同様の構成であり、交通管制センターX50と通信線T50で接続される送受信部59aに、変調回路59b−1〜4、低周波フィルタ59c−1〜4及びラインカプラー59d−1〜4を順次接続している。但し、送受信部59aは各光感知器53−1〜4の検知信号を受信して通信線T50へ送信する手段及び外部の交通管制センターX50からの情報を電力線D51〜D54を通じて送信する手段を備え、さらに、信号灯器55−1〜4の制御信号を電力線D51〜D54通じて送信する手段も具備している。また、信号制御機56は、灯器駆動部56cに集合部60を接続すると共に、集合部60及び各電力線D51〜D54を中継線D61〜D64で接続し、電力線D51には遮断器56e及び電源部56fを接続している。
【0075】
一方、各光感知器53−1〜4は、図4の下位光感知器13−1と同様の内部構成であり、光ビーコン54の車両の検出に係る検知信号を電力線D55〜D58を通じて各信号灯器55−1〜4へ送信する送信手段と、各信号灯器55−1〜4から各種信号を受信する手段とを備えている。また、各信号灯器55−1〜4は、灯器を点灯する回路に加えて、電力線D55〜D58を通じて光感知器53−1〜4からの検知信号を受信する灯器受信手段、及び、電力線D51〜D54を通じて灯器受信手段が受信した検知信号を信号制御機56へ送信する灯器送信手段を具備している。なお、車両検知システム50でも2メガビット/s〜45メガビット/sの通信速度を確保している。
【0076】
このような構成の第5の実施の形態の車両検知システム50は、電力線D51〜D54が、各信号灯器55−1〜4及び各光感知器53−1〜4に共用されており、光感知器53−1〜4に接続される電力線D55〜D58は、各信号灯器55−1〜各光感知器53−1〜4を接続できるだけの線長に短縮している。よって、車両検知システム50は、使用される電線量が一段と低減されており、システム導入に係る電線布設工事も更に削減している。
【0077】
なお、第5の実施の形態の車両検知システム50は、上述した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、信号制御機56と光感知器53−1〜4とを先に電力線で接続してから、光感知器53−1〜4と信号灯器55−1〜4とを電力線で接続する構成にしてもよい。また、車両検知システム50は、第1の実施の形態に係る車両検知システム10に係る各種変形例を適用することも可能であり、さらに、車両検知装置として光感知器ではなく図5の第2の実施の形態の車両検知システム20における補助画像感知器29−1〜3と略同等の構成の画像感知器を適用すると共に、これら画像感知器にCCDカメラを接続してシステムを構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図2】第1の実施の形態の車両検知システムの接続形態を示すブロック図である。
【図3】上位光感知器の内部構成図である。
【図4】下位光感知器の内部構成図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図7】第3の実施の形態の車両検知システムの接続形態を示すブロック図である。
【図8】ルータの内部構成図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の変形例に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の別の変形例に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図12】第4の実施の形態の車両検知システムの接続形態を示すブロック図である。
【図13】第4の実施の形態に係る信号制御機の内部構成図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態の変形例に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る車両検知システムの全体構成図である。
【図16】第5の実施の形態の車両検知システムの接続形態を示すブロック図である。
【図17】第5の実施の形態に係る信号制御機の内部構成図である。
【図18】従来の車両検知システムの全体構成図である。
【図19】従来の車両検知システムを信号灯器及び信号制御機が設定されている交差点に導入した場合の全体構成図である。
【図20】別の従来の車両検知システムの全体構成図である。
【符号の説明】
【0079】
10 車両検知システム
12 上位光感知器
13−1〜3 下位光感知器
14 光ビーコン
17、18 信号送受信部
31 ルータ
45−1〜4 信号灯器
46 信号制御機
D11〜D13 電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を検知する車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、
信号灯器と、
前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、
該信号制御機及び前記信号灯器を接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器に電力を供給する灯器電力線と、
前記信号灯器及び前記車両検知装置を接続しており、前記車両検知装置に電力を供給する装置電力線と
を備え、
前記灯器電力線は、
直近となる外部電力供給源に接続できるように、外部電力供給源との接続部を備え、
前記車両検知装置は、
前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、
前記信号灯器は、
前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、
該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、
前記信号制御機は、
前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とする車両検知システム。
【請求項2】
車両を検知する複数の車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、
複数の信号灯器と、
前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、
該信号制御機及び前記複数の信号灯器をそれぞれ接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器に電力を供給する複数の灯器電力線と、
複数の中で直近になる信号灯器及び車両検知装置をそれぞれ接続しており、前記車両検知装置に電力を供給する複数の装置電力線と
を備え、
前記複数の灯器電力線の中で外部電力供給源と直近になる一の灯器電力線に、外部電力供給源との接続を行う接続部が設けてあり、
前記車両検知装置は、
前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、
前記信号灯器は、
前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、
該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、
前記信号制御機は、
前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とする車両検知システム。
【請求項3】
車両を検知する車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、
電力供給源と、
信号灯器と、
前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、
該信号制御機及び前記信号灯器を接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器へ前記電力供給源からの電力を供給する灯器電力線と、
前記信号灯器及び前記車両検知装置を接続しており、前記車両検知装置へ前記電力供給源からの電力を供給する装置電力線と
を備え、
前記電力供給源は、前記信号灯器、前記信号制御機、及び前記装置電力線に比べて前記灯器電力線を直近にして該灯器電力線に接続してあり、
前記車両検知装置は、
前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、
前記信号灯器は、
前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、
該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、
前記信号制御機は、
前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とする車両検知システム。
【請求項4】
車両を検知する複数の車両検知装置が出力する検知信号を通信線により外部へ送信する車両検知システムにおいて、
電力供給源と、
複数の信号灯器と、
前記通信線が接続してあり、該信号灯器を制御する信号制御機と、
該信号制御機及び前記複数の信号灯器をそれぞれ接続しており、該信号制御機及び前記信号灯器へ前記電力供給源からの電力を供給する複数の灯器電力線と、
複数の中で直近になる信号灯器及び車両検知装置をそれぞれ接続しており、前記車両検知装置へ前記電力供給源からの電力を供給する複数の装置電力線と
を備え、
前記複数の灯器電力線の中で前記電力供給源と直近になる一の灯器電力線に、該電力供給源が接続してあり、
前記車両検知装置は、
前記装置電力線を通じて検知信号を前記信号灯器へ送信する装置送信手段を備え、
前記信号灯器は、
前記装置電力線を通じて前記車両検知装置からの検知信号を受信する灯器受信手段と、
該灯器受信手段が受信した検知信号を、前記灯器電力線を通じて前記信号制御機へ送信する灯器送信手段とを備え、
前記信号制御機は、
前記灯器電力線を通じて前記信号灯器経由の検知信号を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した検知信号を、前記通信線を通じて外部へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とする車両検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−85731(P2006−85731A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315013(P2005−315013)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【分割の表示】特願2002−180560(P2002−180560)の分割
【原出願日】平成14年6月20日(2002.6.20)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】