車両検知器
【課題】車両検知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置するものであって、かつ、誤作動を防止し、設置及び撤去を繰り返すことができる構造を備えた、安価で再利用可能な車両検知装置を提供する。
【解決手段】所望の周波数の信号を発生する発振器と、前記信号の周波数に共振して導電体を励振する送信用励振器と、前記送信用励振器が接続され、一端が上下方向に可動な導電体のフラップ板と、前記フラップ板の一端が下方に下がったときに接触する鉄板と、前記フラップ板に接続された前記信号の周波数に共振する受信用励振器と、前記受信用励振器により受信される信号を直流電圧に変換して、前記フラップ板が前記鉄板に接触していないときの電圧レベルと、前記フラップ板が前記鉄板に接触しているときの電圧レベルとを比較する検出手段とを備える。
【解決手段】所望の周波数の信号を発生する発振器と、前記信号の周波数に共振して導電体を励振する送信用励振器と、前記送信用励振器が接続され、一端が上下方向に可動な導電体のフラップ板と、前記フラップ板の一端が下方に下がったときに接触する鉄板と、前記フラップ板に接続された前記信号の周波数に共振する受信用励振器と、前記受信用励振器により受信される信号を直流電圧に変換して、前記フラップ板が前記鉄板に接触していないときの電圧レベルと、前記フラップ板が前記鉄板に接触しているときの電圧レベルとを比較する検出手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場等において車両の駐車や在庫の状態を検知(感知)する機能を備える車両検知器に関し、エバネセント波を利用し、あるいは、無線方式により、あるいは、車両の加重の有無を電気信号のレベル変化として車体を検出する車両検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の遊休地を利用して設置される時間貸し駐車場では、車両の駐車や在車を検知することができる車両検知器に関して、図10(a)に示すように地中に埋設した電磁誘導センサを用いたものや、図10(b)に示すような地中に埋設した
ループコイルを用いたループコイル式の車両検知装置が用いられている。
【0003】
図11は、従来から使用されていたループコイル式の車両検知装置のブロック図である。図11に示す従来の車両検知装置は、ループコイル1101と、配線1102と、トランス1103と、発振回路1104と、波形成形回路1105と、CPU1106と、設定回路1107によって構成されている。
【0004】
ループコイル式の車両検知装置は、図11に示すようにループコイル1101自体を発振回路1104の共振周波数を決定する素子として用い、そのインダクタンスにより発振周波数が決まる。ループコイル1101の上を車両が通過することによってインダクタンスが変化すると、それに対応して発振回路1104から出力される発振周波数が変化するため、この変化を波形成形回路1105で波形整形し(デジタル化を含む)、CPU1106においてその変化を検出することにより、車両を検出(感知)する仕組に成っている。
【0005】
しかし、時間貸し駐車場は、屋外の遊休地を利用して設置されることが多いため、駐車場としての利用期間が比較的短く、ビルやホテルなどの建築工事をする場合、埋設したループコイルを撤去する必要が生じる。ループコイル式の車両検知装置は、これを設置、撤去するために工事費用が掛かると共に、再利用することができないので、高価な車両検知装置が使い捨てとなっていた。
【0006】
また、ループコイルを地中に埋設することなく、地上に設置されたケースの中に収納する形態の車両検知装置も存在する。地上に設置した場合、例えば、鉄粉などの導電性を有する汚れがケースのカバー上に堆積し、渦電流が発生している状態で、犬、猫などの小動物や人などが触れた場合には、受信側コイルの検出レベルが急峻に変動し誤検出の原因となる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−338833号公報
【特許文献2】特開平9−251081号公報
【特許文献3】特開2004−295513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置するものであって、かつ、誤作動を防止し、設置及び撤去を繰り返すことができる構造を備えた、安価で再利用可能な車両検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1のものに係る車両検知装置は、
所望の周波数の信号を発生する発振器と、
前記信号の周波数に共振して導電体を励振する送信用励振器と、
前記送信用励振器が接続され、一端が上下方向に可動な導電体のフラップ板と、
前記フラップ板の一端が下方に下がったときに接触する鉄板と、
前記フラップ板に接続された前記信号の周波数に共振する受信用励振器と、
前記受信用励振器により受信される信号を直流電圧に変換して、前記フラップ板が前記鉄板に接触していないときの電圧レベルと、前記フラップ板が前記鉄板に接触しているときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明の第2のものに係る車両検知装置は、
所望の周波数の信号を発生し増幅する送信器と、
前記送信器により増幅された前記信号を電磁波として空間に放出する送信アンテナと、
前記電磁波を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信した信号を直流電圧に変換し、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在するときとの電圧レベルと、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在しないときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴としている。
【0011】
本発明の第3のものに係る車両検知装置は、
交流信号を発振する発振器と、
駐車場において車両が駐車するときに車両のタイヤが位置するスペースに設置されて前記発振器から出力される交流信号が印加される平板導電体と、
前記平板導電体に車両の加重が加わったときの前記交流信号電圧レベルと、前記平板導電体に車両の加重が加わらないときの前記交流信号電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1のものによれば、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置するものであって、アンテナを使用することもなく、かつ、誤作動を防止し、設置及び撤去を繰り返すことができる構造を備えた、安価で再利用可能な車両検知装置を提供することができる。
【0013】
本発明の第2のものによれば、本発明の第1のものと同様に、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置するものであって、かつ、誤作動を防止し、設置及び撤去を繰り返すことができる構造を備えた、安価で再利用可能な車両検知装置を提供することができる。
【0014】
本発明の第3のものによれば、本発明の第1及び第2のものと同様に、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置することができる。また、本発明の第3のものは、単純な構成であため製造コストが安価で済み、かつ、設置工事及び撤去工事を簡易かつ安価に行うことが可能である。仮に露出あるいは強固なケースに収納した平板導電体が、その上に頻繁に車のタイヤが乗り上げることよって磨耗しても低コストのため、交換が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0016】
以下に示す本発明の各実施形態の回路、ブロック、部品等の各構成要素が屋外の駐車場に設置される場合において、設置状態について記載のない場合は、防水のために、既存のフラップ板、収納スペース、あるいは別途作成された筐体に収納されているものとする。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置のブロック図である。この車両検知装置は、発振器101と、励振器102と、一端が上下方向に可動なフラップ板103と、鉄板104と、受信用の励振器105と、検出器106と、DC−DCコンバータ107とから構成される。なお、検出器106には、検波回路、コンパレータなどの回路が含まれている。
【0018】
発振器101と励振器102とはフラップ板103と隣接する一方のスペースに設置され、受信用の励振器105と検出器106及びDC−DCコンバータ107は、フラップ板103と隣接する他方のスペースに設置される。
【0019】
発振器101は、高周波信号を発振する。次に発信用の励振器102は、発振器101により発振された高周波信号の発振周波数に共振して、鉄製のフラップ板103を励振させ、高周波信号をフラップ板103に伝達する。
【0020】
励振器102によって、発振器101で発生された高周波の電磁波が導電体を伝わることになる。この導電体としては、電線、鉄骨、金属壁、鉛管、又はそれらの組合せがあり、励振器102は、導電体を励振する機能を有している。本発明の第1の実施形態においては、フラップ板103がこの導電体に相当する。
【0021】
エバネセント波とは、鉄骨などの導体に電流を流したときに、導体の近傍にできる電磁場で形成された波である。この電磁場は、鉄骨から離れるに従って大きく減衰するものの、位相は変わらないという特徴がある。
【0022】
鉄製のフラップ板103に流れる信号は、フラップ板103の出力側に接続された受信用の励振器105を通じて検出器106に入力される。検出器106に入力された信号は、検波されて交流信号から直流電圧に変換される。この直流電圧を基準値とし、このときのフラップ板103の状態を「待機状態」と呼称する。
【0023】
駐車する車のタイヤがフラップ板103に乗り上げると、フラップ板103が下がり、フラップ板103の下部が、その下に設置された鉄板104に接触する。このときのフラップ板103の状態を「車乗入れ状態」と呼称する。
【0024】
車乗入れ状態において鉄製のフラップ板103に流れる信号レベルは、待機状態において鉄製のフラップ板103に流れる信号レベルより減衰する。この信号レベルの減衰を検出して駐車する車の存在の有無を把握する。
【0025】
図2は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置の概略回路図である。発振器101は、発振器1011と増幅器1012とから構成される。
【0026】
送信用の励振器102は、コイル1021、1022とコンデンサ1023、1024とから構成される。受信用の励振器も同様の構成であり、コイル1051、1052とコンデンサ1053、1054とから構成される。
【0027】
検出器106は、バンドパスフィルタ1061とローノイズアンプ(LNA)1062により、その後の回路へ不要な信号を除去し、受信信号を増幅し、検波ダイオード1063とコンデンサ1065とによって平滑化し交流信号を直流電圧に変換して検出電圧とする。
【0028】
まず、上記した待機状態の検出電圧を記憶する。この電圧値に応じてコンパレータ1067の基準電圧1066設定する。次に車のタイヤがフラップ板103に乗り上げると、フラップ板103が下がり、フラップ板103の下部が、その下に設置された鉄板104に接触する。この車乗入れ状態の検出電圧は、上記基準電圧1067よりも低い値となるので、コンパレータ1067の出力電圧は、反転する。
【0029】
この反転した信号を捉えて精算機に内蔵された内部回路(図示せず)により、車が駐車しているか否かを判断する。なお、検出器106と精算機112との間の伝送は、無線通信手段を使用するようにしてもよい。
【0030】
なお、発信器101および検出器106の駆動電源は、精算機で生成した直流電源をDC−DCコンバ−タで3.3Vまたは5Vに変換したものを使用する。
【0031】
図3(a)は、車が駐車していないときの、フラップ板103の待機状態を示す図である。これに対し、図3(b)は、駐車する車のタイヤがフラップ板に乗り上げたときの状態を示した図である。図3(b)は、フラップ板の下部が、その下に設置された鉄板104に接触している状態を示している。
【0032】
フラップ板103の下部が鉄板104に接触することにより、送信用励振器102から送信されフラップ板103を通じて受信用励振器105に伝送される信号の振幅が変化する。この変化を捉えるべく、検出器106に入力された信号は、検波されて交流信号から直流電圧に変換される。この直流電圧をコンパレータにより前記した基準値と比較して、基準と一定以上の差が生じたときに、コンパレータの出力が反転する。反転した電圧を精算機112が確認することで、駐車する車が入ってきたか否かを検知する。
【0033】
図4は、励振器102から励振器106へ伝送する信号の伝送利得を示した図である。301が前記待機状態の信号利得であり、302が車のタイヤがフラップ板に乗り上げて、フラップ板と鉄板が接触したときの信号利得を示している。50MHz前後の周波数を使用すると、待機状態の信号利得301と車乗入れ時302との利得差が約5dB程度と大きく、その差異を検出しやすい。
【0034】
次に車が駐車した状態について説明する。図1に示すブロック図で説明すると、車乗入れ時に検出器106から出力される反転信号が、精算機112に伝達されると精算機112からフラップ板駆動部111へフラップ板を駆動する電圧が供給される。フラップ板駆動部111に電圧が供給されることで、フラップ板103が作動し、フラップ板の端部が上に上がって、車のストッパーとしての機能を果たす。
【0035】
以上に示した流れで車が駐車されているか否かを検出する。本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置によれば、フラップ板103にエバネセント波を伝播させる方法を採用しているので、従来のようなコイルを地中に埋設する必要がない。また、フラップ板103に車が乗り上げたことによって、フラップ板103と鉄板104とが接触し、フラップ板103に伝播されるエバネセント波の利得が変化することを検出する方法を採用しているので、従来のような、犬、猫などの小動物や人などが触れたことによる誤検出を防止することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置のブロック図である。本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置は、無線方式によるものであって、電磁波を送信し、反射して来る電磁波を受信し、その受信電力の差を検出することによって、車が駐車されているか否かを検出する実施形態である。
【0037】
図5に示した本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置は、外部に設置された精算機112と、フラップ板103内に設置された、DC−DCコンバータ107と、送信器121と、送信アンテナ122と、受信アンテナ123と、受信器124と、検出回路(検出器)125とから構成される。
【0038】
送信器121で発振された高周波信号を送信アンテナ122で常時電磁波として放出する。反射して戻ってくる電磁波(反射波)は、受信アンテナ123を介して受信器で受信され検出器に伝送される。なお、この送信アンテナ122と受信アンテナ123とを一つのアンテナで共用し、高周波スイッチあるいで送信、受信を切り替えるようにしてもよい。
【0039】
この反射波は、車体に反射して戻ってくるときと、そうでないときとで受信される信号レベルが異なる。車体に反射して戻ってくるときの方が受信される信号レベルは高い。このレベル差を検出して駐車する車の有無を判断する。
【0040】
本発明の第2の実施形態も、上記した本発明の第1の実施形態と同様にして、駐車する車がない待機状態の受信信号を検出器で検波し交流信号を直流電圧に変換しこれを基準値とする。
【0041】
次に、車が駐車している駐車状態では、車体から反射される受信信号を検出器125に内蔵される検波回路で検波し交流信号を直流電圧に変換し、これと前記待機状態の基準値とを比較する。そうすると駐車状態と待機状態とでは、検波された電圧値が異なるので、検出器125から出力される信号は反転する。この反転信号を精算機112へ送り、精算機112は、車が駐車されたことを認識する。なお、検出器125と精算機112との間の伝送は、無線通信手段を使用するようにしてもよい。
【0042】
精算機112は、上記した反転信号が入力されて車が駐車されたことを認識すると、フラップ板に供給する駆動電圧をフラッパ板駆動部111に供給する。これにより、フラップ板103が作動し、フラップ板の端部が上に上がって、車のストッパーとしての機能を果たし、車をブロックする。
【0043】
送信器121、受信器124および検出器125の駆動電源は、精算機からの直流電源をDC−DCコンバ−タ107で3.3Vまたは5Vに変換したものを使用する。
【0044】
次に、図6に待機状態(待機時)と駐車状態(車体検出時)の受信器124の周波数対受信電力特性の実験結果を示す。この図6に示す実験結果は、図7に示すように、実際の自動車体下面の鉄板に見立てた鉄板と、送受信アンテナ122との間隔を30cmにして設置したときと、40cmにして設置したときの各受信電力特性と、待機時(鉄板がない時)の受信電力特性を評価したものである。なお、送信アンテナ122と受信アンテナ123との間隔は40cmにした。
【0045】
図6の横軸は、周波数であり、実験では800MHz〜1000MHzを測定した。図6の縦軸は、受信電力値(単位はdBm)である。測定条件は、鉄板がない状態131、送信アンテナ122と鉄板との間隔が40cmの状態132、送信アンテナ122と鉄板との間隔が30cmの状態133の3つの条件とした。
【0046】
車体の検出は、待機時受信電力131と鉄板からの反射電力の差が大きいほど検出が容易である。この実験結果から、周波数800〜1000MHzの間のいずれの周波数においても実用的に検出は可能となる。
【0047】
本発明の第2の実施形態によれば、無線装置による電磁波の反射波のレベルを検出して車両の存在を検出する方法を採用しているので、従来のようなコイルを地中に埋設する必要がない。また、送信波を反射する対象物は、鉄など電磁波を反射する材質であるため、犬、猫などの小動物や人などが触れたことによる誤検出を防止することができる。
【0048】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る車両検出装置を駐車場に設置したときの概略図である。図9は、本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置のブロック図である。本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置は、高周波信号を発振する発振回路95と平板導電体91〜94と負荷96とレベル検出器97とそれぞれを接続するケーブルとから構成される。ただし、発振回路95と負荷96との間に接続される平板導電体は望ましくは4個であるが、少なくとも1個接続されていればよい。
【0049】
平板導電体91〜94は、露出した形態でも良いが、車両の重量に耐えうる防水性のケースに収納される形態であることが望ましい。また、発振回路95、負荷96及びレベル検出器97は、既存の収納スペース90を利用して設置してもよく、フラップ板駆動部111に設置してもよく、別途防水性の筐体を設けて設置してもよい。
【0050】
本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置は、まず、発振回路95で高周波信号を発振し、平板導電体91〜94を通じて負荷96に対して信号を送出する。
【0051】
レベル検出器97は、負荷96の信号レベルを検出する。駐車する車がない待機状態の負荷96の信号レベルを直流電圧に変換しこれを基準値とする。
【0052】
駐車場に車が駐車している駐車状態では、車両のタイヤが平板導電体91〜94の上部に位置するので、平板導電体91〜94には車両の重量が掛かる。平板導電体91〜94に流れる高周波信号レベルは、この車両の重量が加わったときに減衰することになる。
【0053】
車両のタイヤが平板導電体91〜94の上部に位置し車両の重量が掛かっているときの負荷96の高周波信号を直流電圧に変換し、これと前記待機状態の基準値とを比較する。そうすると駐車状態と待機状態とでは、検出された電圧値が異なるので、レベル検出器97から出力される信号は反転する。この反転信号を精算機112へ送り、精算機112は、車が駐車されたことを認識する。
【0054】
次に、第2の実施形態と同様に、精算機112は、上記した反転信号が入力されて車が駐車されたことを認識すると、フラップ板に供給する駆動電圧をフラッパ板駆動部に供給する。これにより、フラップ板103が作動し、フラップ板の端部が上に上がって、車のストッパーとしての機能を果たし、車をブロックする。
【0055】
本発明の第3の実施形態は、単純な構成であため製造コストが安価で済み、かつ、設置工事及び撤去工事を簡易かつ安価に行うことが可能である。仮に露出あるいは強固なケースに収納した平板導電体が、その上に頻繁に車のタイヤが乗り上げることよって磨耗しても低コストのため、交換が容易である。
【0056】
以上、本発明の第1の実施形態乃至第3の実施形態により、本発明の車両検知器について説明したが、本発明の車両検知器は、前記第1の実施形態乃至第3の実施形態に特に限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置のブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置の概略回路図。
【図3】図3(a)は、車が駐車していないときの、フラップ板103の待機状態を示す図。図3(b)は、駐車する車のタイヤがフラップ板に乗り上げたときの状態を示した図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置の信号の伝送利得を示した図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置のブロック図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置の待機状態と駐車状態の受信器の周波数対受信電力特性の実験結果を示した図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置の待機状態と駐車状態の受信器の周波数対受信電力特性の実験方法を示した図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置を示した図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置の概略回路図。
【図10】図10(a)は、従来の電磁誘導センサを地中に埋め込んだ車両検知装置を示した図。図10(b)は、従来のループコイルを地中に埋め込んだ車両検知装置を示した図。
【図11】従来のループコイルを地中に埋め込んだ車両検知装置のブロック図。
【符号の説明】
【0058】
91〜94 平板導電体
95、101 発振器
96 負荷
97 レベル検出器
102、105 励振器
103 フラップ板
104 鉄板
106 検出器
107 DC−DCコンバータ
111 フラップ板駆動部
112 精算機
121 送信器
122 送信アンテナ
123 受信アンテナ
124 受信器
125 検出器
301 待機状態
302 車乗り入れ状態
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場等において車両の駐車や在庫の状態を検知(感知)する機能を備える車両検知器に関し、エバネセント波を利用し、あるいは、無線方式により、あるいは、車両の加重の有無を電気信号のレベル変化として車体を検出する車両検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の遊休地を利用して設置される時間貸し駐車場では、車両の駐車や在車を検知することができる車両検知器に関して、図10(a)に示すように地中に埋設した電磁誘導センサを用いたものや、図10(b)に示すような地中に埋設した
ループコイルを用いたループコイル式の車両検知装置が用いられている。
【0003】
図11は、従来から使用されていたループコイル式の車両検知装置のブロック図である。図11に示す従来の車両検知装置は、ループコイル1101と、配線1102と、トランス1103と、発振回路1104と、波形成形回路1105と、CPU1106と、設定回路1107によって構成されている。
【0004】
ループコイル式の車両検知装置は、図11に示すようにループコイル1101自体を発振回路1104の共振周波数を決定する素子として用い、そのインダクタンスにより発振周波数が決まる。ループコイル1101の上を車両が通過することによってインダクタンスが変化すると、それに対応して発振回路1104から出力される発振周波数が変化するため、この変化を波形成形回路1105で波形整形し(デジタル化を含む)、CPU1106においてその変化を検出することにより、車両を検出(感知)する仕組に成っている。
【0005】
しかし、時間貸し駐車場は、屋外の遊休地を利用して設置されることが多いため、駐車場としての利用期間が比較的短く、ビルやホテルなどの建築工事をする場合、埋設したループコイルを撤去する必要が生じる。ループコイル式の車両検知装置は、これを設置、撤去するために工事費用が掛かると共に、再利用することができないので、高価な車両検知装置が使い捨てとなっていた。
【0006】
また、ループコイルを地中に埋設することなく、地上に設置されたケースの中に収納する形態の車両検知装置も存在する。地上に設置した場合、例えば、鉄粉などの導電性を有する汚れがケースのカバー上に堆積し、渦電流が発生している状態で、犬、猫などの小動物や人などが触れた場合には、受信側コイルの検出レベルが急峻に変動し誤検出の原因となる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−338833号公報
【特許文献2】特開平9−251081号公報
【特許文献3】特開2004−295513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置するものであって、かつ、誤作動を防止し、設置及び撤去を繰り返すことができる構造を備えた、安価で再利用可能な車両検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1のものに係る車両検知装置は、
所望の周波数の信号を発生する発振器と、
前記信号の周波数に共振して導電体を励振する送信用励振器と、
前記送信用励振器が接続され、一端が上下方向に可動な導電体のフラップ板と、
前記フラップ板の一端が下方に下がったときに接触する鉄板と、
前記フラップ板に接続された前記信号の周波数に共振する受信用励振器と、
前記受信用励振器により受信される信号を直流電圧に変換して、前記フラップ板が前記鉄板に接触していないときの電圧レベルと、前記フラップ板が前記鉄板に接触しているときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明の第2のものに係る車両検知装置は、
所望の周波数の信号を発生し増幅する送信器と、
前記送信器により増幅された前記信号を電磁波として空間に放出する送信アンテナと、
前記電磁波を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信した信号を直流電圧に変換し、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在するときとの電圧レベルと、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在しないときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴としている。
【0011】
本発明の第3のものに係る車両検知装置は、
交流信号を発振する発振器と、
駐車場において車両が駐車するときに車両のタイヤが位置するスペースに設置されて前記発振器から出力される交流信号が印加される平板導電体と、
前記平板導電体に車両の加重が加わったときの前記交流信号電圧レベルと、前記平板導電体に車両の加重が加わらないときの前記交流信号電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1のものによれば、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置するものであって、アンテナを使用することもなく、かつ、誤作動を防止し、設置及び撤去を繰り返すことができる構造を備えた、安価で再利用可能な車両検知装置を提供することができる。
【0013】
本発明の第2のものによれば、本発明の第1のものと同様に、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置するものであって、かつ、誤作動を防止し、設置及び撤去を繰り返すことができる構造を備えた、安価で再利用可能な車両検知装置を提供することができる。
【0014】
本発明の第3のものによれば、本発明の第1及び第2のものと同様に、車両感知に用いる装置を地中に埋設することなく、地上に設置することができる。また、本発明の第3のものは、単純な構成であため製造コストが安価で済み、かつ、設置工事及び撤去工事を簡易かつ安価に行うことが可能である。仮に露出あるいは強固なケースに収納した平板導電体が、その上に頻繁に車のタイヤが乗り上げることよって磨耗しても低コストのため、交換が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0016】
以下に示す本発明の各実施形態の回路、ブロック、部品等の各構成要素が屋外の駐車場に設置される場合において、設置状態について記載のない場合は、防水のために、既存のフラップ板、収納スペース、あるいは別途作成された筐体に収納されているものとする。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置のブロック図である。この車両検知装置は、発振器101と、励振器102と、一端が上下方向に可動なフラップ板103と、鉄板104と、受信用の励振器105と、検出器106と、DC−DCコンバータ107とから構成される。なお、検出器106には、検波回路、コンパレータなどの回路が含まれている。
【0018】
発振器101と励振器102とはフラップ板103と隣接する一方のスペースに設置され、受信用の励振器105と検出器106及びDC−DCコンバータ107は、フラップ板103と隣接する他方のスペースに設置される。
【0019】
発振器101は、高周波信号を発振する。次に発信用の励振器102は、発振器101により発振された高周波信号の発振周波数に共振して、鉄製のフラップ板103を励振させ、高周波信号をフラップ板103に伝達する。
【0020】
励振器102によって、発振器101で発生された高周波の電磁波が導電体を伝わることになる。この導電体としては、電線、鉄骨、金属壁、鉛管、又はそれらの組合せがあり、励振器102は、導電体を励振する機能を有している。本発明の第1の実施形態においては、フラップ板103がこの導電体に相当する。
【0021】
エバネセント波とは、鉄骨などの導体に電流を流したときに、導体の近傍にできる電磁場で形成された波である。この電磁場は、鉄骨から離れるに従って大きく減衰するものの、位相は変わらないという特徴がある。
【0022】
鉄製のフラップ板103に流れる信号は、フラップ板103の出力側に接続された受信用の励振器105を通じて検出器106に入力される。検出器106に入力された信号は、検波されて交流信号から直流電圧に変換される。この直流電圧を基準値とし、このときのフラップ板103の状態を「待機状態」と呼称する。
【0023】
駐車する車のタイヤがフラップ板103に乗り上げると、フラップ板103が下がり、フラップ板103の下部が、その下に設置された鉄板104に接触する。このときのフラップ板103の状態を「車乗入れ状態」と呼称する。
【0024】
車乗入れ状態において鉄製のフラップ板103に流れる信号レベルは、待機状態において鉄製のフラップ板103に流れる信号レベルより減衰する。この信号レベルの減衰を検出して駐車する車の存在の有無を把握する。
【0025】
図2は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置の概略回路図である。発振器101は、発振器1011と増幅器1012とから構成される。
【0026】
送信用の励振器102は、コイル1021、1022とコンデンサ1023、1024とから構成される。受信用の励振器も同様の構成であり、コイル1051、1052とコンデンサ1053、1054とから構成される。
【0027】
検出器106は、バンドパスフィルタ1061とローノイズアンプ(LNA)1062により、その後の回路へ不要な信号を除去し、受信信号を増幅し、検波ダイオード1063とコンデンサ1065とによって平滑化し交流信号を直流電圧に変換して検出電圧とする。
【0028】
まず、上記した待機状態の検出電圧を記憶する。この電圧値に応じてコンパレータ1067の基準電圧1066設定する。次に車のタイヤがフラップ板103に乗り上げると、フラップ板103が下がり、フラップ板103の下部が、その下に設置された鉄板104に接触する。この車乗入れ状態の検出電圧は、上記基準電圧1067よりも低い値となるので、コンパレータ1067の出力電圧は、反転する。
【0029】
この反転した信号を捉えて精算機に内蔵された内部回路(図示せず)により、車が駐車しているか否かを判断する。なお、検出器106と精算機112との間の伝送は、無線通信手段を使用するようにしてもよい。
【0030】
なお、発信器101および検出器106の駆動電源は、精算機で生成した直流電源をDC−DCコンバ−タで3.3Vまたは5Vに変換したものを使用する。
【0031】
図3(a)は、車が駐車していないときの、フラップ板103の待機状態を示す図である。これに対し、図3(b)は、駐車する車のタイヤがフラップ板に乗り上げたときの状態を示した図である。図3(b)は、フラップ板の下部が、その下に設置された鉄板104に接触している状態を示している。
【0032】
フラップ板103の下部が鉄板104に接触することにより、送信用励振器102から送信されフラップ板103を通じて受信用励振器105に伝送される信号の振幅が変化する。この変化を捉えるべく、検出器106に入力された信号は、検波されて交流信号から直流電圧に変換される。この直流電圧をコンパレータにより前記した基準値と比較して、基準と一定以上の差が生じたときに、コンパレータの出力が反転する。反転した電圧を精算機112が確認することで、駐車する車が入ってきたか否かを検知する。
【0033】
図4は、励振器102から励振器106へ伝送する信号の伝送利得を示した図である。301が前記待機状態の信号利得であり、302が車のタイヤがフラップ板に乗り上げて、フラップ板と鉄板が接触したときの信号利得を示している。50MHz前後の周波数を使用すると、待機状態の信号利得301と車乗入れ時302との利得差が約5dB程度と大きく、その差異を検出しやすい。
【0034】
次に車が駐車した状態について説明する。図1に示すブロック図で説明すると、車乗入れ時に検出器106から出力される反転信号が、精算機112に伝達されると精算機112からフラップ板駆動部111へフラップ板を駆動する電圧が供給される。フラップ板駆動部111に電圧が供給されることで、フラップ板103が作動し、フラップ板の端部が上に上がって、車のストッパーとしての機能を果たす。
【0035】
以上に示した流れで車が駐車されているか否かを検出する。本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置によれば、フラップ板103にエバネセント波を伝播させる方法を採用しているので、従来のようなコイルを地中に埋設する必要がない。また、フラップ板103に車が乗り上げたことによって、フラップ板103と鉄板104とが接触し、フラップ板103に伝播されるエバネセント波の利得が変化することを検出する方法を採用しているので、従来のような、犬、猫などの小動物や人などが触れたことによる誤検出を防止することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置のブロック図である。本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置は、無線方式によるものであって、電磁波を送信し、反射して来る電磁波を受信し、その受信電力の差を検出することによって、車が駐車されているか否かを検出する実施形態である。
【0037】
図5に示した本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置は、外部に設置された精算機112と、フラップ板103内に設置された、DC−DCコンバータ107と、送信器121と、送信アンテナ122と、受信アンテナ123と、受信器124と、検出回路(検出器)125とから構成される。
【0038】
送信器121で発振された高周波信号を送信アンテナ122で常時電磁波として放出する。反射して戻ってくる電磁波(反射波)は、受信アンテナ123を介して受信器で受信され検出器に伝送される。なお、この送信アンテナ122と受信アンテナ123とを一つのアンテナで共用し、高周波スイッチあるいで送信、受信を切り替えるようにしてもよい。
【0039】
この反射波は、車体に反射して戻ってくるときと、そうでないときとで受信される信号レベルが異なる。車体に反射して戻ってくるときの方が受信される信号レベルは高い。このレベル差を検出して駐車する車の有無を判断する。
【0040】
本発明の第2の実施形態も、上記した本発明の第1の実施形態と同様にして、駐車する車がない待機状態の受信信号を検出器で検波し交流信号を直流電圧に変換しこれを基準値とする。
【0041】
次に、車が駐車している駐車状態では、車体から反射される受信信号を検出器125に内蔵される検波回路で検波し交流信号を直流電圧に変換し、これと前記待機状態の基準値とを比較する。そうすると駐車状態と待機状態とでは、検波された電圧値が異なるので、検出器125から出力される信号は反転する。この反転信号を精算機112へ送り、精算機112は、車が駐車されたことを認識する。なお、検出器125と精算機112との間の伝送は、無線通信手段を使用するようにしてもよい。
【0042】
精算機112は、上記した反転信号が入力されて車が駐車されたことを認識すると、フラップ板に供給する駆動電圧をフラッパ板駆動部111に供給する。これにより、フラップ板103が作動し、フラップ板の端部が上に上がって、車のストッパーとしての機能を果たし、車をブロックする。
【0043】
送信器121、受信器124および検出器125の駆動電源は、精算機からの直流電源をDC−DCコンバ−タ107で3.3Vまたは5Vに変換したものを使用する。
【0044】
次に、図6に待機状態(待機時)と駐車状態(車体検出時)の受信器124の周波数対受信電力特性の実験結果を示す。この図6に示す実験結果は、図7に示すように、実際の自動車体下面の鉄板に見立てた鉄板と、送受信アンテナ122との間隔を30cmにして設置したときと、40cmにして設置したときの各受信電力特性と、待機時(鉄板がない時)の受信電力特性を評価したものである。なお、送信アンテナ122と受信アンテナ123との間隔は40cmにした。
【0045】
図6の横軸は、周波数であり、実験では800MHz〜1000MHzを測定した。図6の縦軸は、受信電力値(単位はdBm)である。測定条件は、鉄板がない状態131、送信アンテナ122と鉄板との間隔が40cmの状態132、送信アンテナ122と鉄板との間隔が30cmの状態133の3つの条件とした。
【0046】
車体の検出は、待機時受信電力131と鉄板からの反射電力の差が大きいほど検出が容易である。この実験結果から、周波数800〜1000MHzの間のいずれの周波数においても実用的に検出は可能となる。
【0047】
本発明の第2の実施形態によれば、無線装置による電磁波の反射波のレベルを検出して車両の存在を検出する方法を採用しているので、従来のようなコイルを地中に埋設する必要がない。また、送信波を反射する対象物は、鉄など電磁波を反射する材質であるため、犬、猫などの小動物や人などが触れたことによる誤検出を防止することができる。
【0048】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る車両検出装置を駐車場に設置したときの概略図である。図9は、本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置のブロック図である。本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置は、高周波信号を発振する発振回路95と平板導電体91〜94と負荷96とレベル検出器97とそれぞれを接続するケーブルとから構成される。ただし、発振回路95と負荷96との間に接続される平板導電体は望ましくは4個であるが、少なくとも1個接続されていればよい。
【0049】
平板導電体91〜94は、露出した形態でも良いが、車両の重量に耐えうる防水性のケースに収納される形態であることが望ましい。また、発振回路95、負荷96及びレベル検出器97は、既存の収納スペース90を利用して設置してもよく、フラップ板駆動部111に設置してもよく、別途防水性の筐体を設けて設置してもよい。
【0050】
本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置は、まず、発振回路95で高周波信号を発振し、平板導電体91〜94を通じて負荷96に対して信号を送出する。
【0051】
レベル検出器97は、負荷96の信号レベルを検出する。駐車する車がない待機状態の負荷96の信号レベルを直流電圧に変換しこれを基準値とする。
【0052】
駐車場に車が駐車している駐車状態では、車両のタイヤが平板導電体91〜94の上部に位置するので、平板導電体91〜94には車両の重量が掛かる。平板導電体91〜94に流れる高周波信号レベルは、この車両の重量が加わったときに減衰することになる。
【0053】
車両のタイヤが平板導電体91〜94の上部に位置し車両の重量が掛かっているときの負荷96の高周波信号を直流電圧に変換し、これと前記待機状態の基準値とを比較する。そうすると駐車状態と待機状態とでは、検出された電圧値が異なるので、レベル検出器97から出力される信号は反転する。この反転信号を精算機112へ送り、精算機112は、車が駐車されたことを認識する。
【0054】
次に、第2の実施形態と同様に、精算機112は、上記した反転信号が入力されて車が駐車されたことを認識すると、フラップ板に供給する駆動電圧をフラッパ板駆動部に供給する。これにより、フラップ板103が作動し、フラップ板の端部が上に上がって、車のストッパーとしての機能を果たし、車をブロックする。
【0055】
本発明の第3の実施形態は、単純な構成であため製造コストが安価で済み、かつ、設置工事及び撤去工事を簡易かつ安価に行うことが可能である。仮に露出あるいは強固なケースに収納した平板導電体が、その上に頻繁に車のタイヤが乗り上げることよって磨耗しても低コストのため、交換が容易である。
【0056】
以上、本発明の第1の実施形態乃至第3の実施形態により、本発明の車両検知器について説明したが、本発明の車両検知器は、前記第1の実施形態乃至第3の実施形態に特に限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置のブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置の概略回路図。
【図3】図3(a)は、車が駐車していないときの、フラップ板103の待機状態を示す図。図3(b)は、駐車する車のタイヤがフラップ板に乗り上げたときの状態を示した図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両検知装置の信号の伝送利得を示した図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置のブロック図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置の待機状態と駐車状態の受信器の周波数対受信電力特性の実験結果を示した図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両検知装置の待機状態と駐車状態の受信器の周波数対受信電力特性の実験方法を示した図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置を示した図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る車両検知装置の概略回路図。
【図10】図10(a)は、従来の電磁誘導センサを地中に埋め込んだ車両検知装置を示した図。図10(b)は、従来のループコイルを地中に埋め込んだ車両検知装置を示した図。
【図11】従来のループコイルを地中に埋め込んだ車両検知装置のブロック図。
【符号の説明】
【0058】
91〜94 平板導電体
95、101 発振器
96 負荷
97 レベル検出器
102、105 励振器
103 フラップ板
104 鉄板
106 検出器
107 DC−DCコンバータ
111 フラップ板駆動部
112 精算機
121 送信器
122 送信アンテナ
123 受信アンテナ
124 受信器
125 検出器
301 待機状態
302 車乗り入れ状態
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の周波数の信号を発生する発振器と、
前記信号の周波数に共振して導電体を励振する送信用励振器と、
前記送信用励振器が接続され、一端が上下方向に可動な導電体のフラップ板と、
前記フラップ板の一端が下方に下がったときに接触する鉄板と、
前記フラップ板に接続された前記信号の周波数に共振する受信用励振器と、
前記受信用励振器により受信される信号を直流電圧に変換して、前記フラップ板が前記鉄板に接触していないときの電圧レベルと、前記フラップ板が前記鉄板に接触しているときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴とする車両検知装置。
【請求項2】
前記検出手段は、バンドパスフィルタと、検波回路と、コンパレータと、前記コンパレータの一方の入力端子に入力される基準電圧を調整する回路と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両検知装置。
【請求項3】
所望の周波数の信号を発生し増幅する送信器と、
前記送信器により増幅された前記信号を電磁波として空間に放出する送信アンテナと、
前記電磁波を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信した信号を直流電圧に変換し、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在するときとの電圧レベルと、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在しないときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴とする車両検知装置。
【請求項4】
前記検出手段は、バンドパスフィルタと、検波回路と、コンパレータと、コンパレータの一方の入力にされる基準電圧を調整する回路と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両検知装置。
【請求項5】
前記受信アンテナと前記送信アンテナとを一つのアンテナで共用し、送信回路と受信回路を切り換えることが可能なスイッチ回路を備えることを特徴とする請求項3に記載の車両検知装置。
【請求項6】
交流信号を発振する発振器と、
駐車場において車両が駐車するときに車両のタイヤが位置するスペースに設置されて前記発振器から出力される交流信号が印加される平板導電体と、
前記平板導電体に車両の加重が加わったときの前記交流信号電圧レベルと、前記平板導電体に車両の加重が加わらないときの前記交流信号電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴とする車両検知装置。
【請求項7】
前記平板導電体は、駐車場において車両が駐車するときに車両のタイヤが位置する4箇所のうち少なくとも1箇所以上に設置される
ことを特徴とする請求項6に記載の車両検出装置。
【請求項1】
所望の周波数の信号を発生する発振器と、
前記信号の周波数に共振して導電体を励振する送信用励振器と、
前記送信用励振器が接続され、一端が上下方向に可動な導電体のフラップ板と、
前記フラップ板の一端が下方に下がったときに接触する鉄板と、
前記フラップ板に接続された前記信号の周波数に共振する受信用励振器と、
前記受信用励振器により受信される信号を直流電圧に変換して、前記フラップ板が前記鉄板に接触していないときの電圧レベルと、前記フラップ板が前記鉄板に接触しているときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴とする車両検知装置。
【請求項2】
前記検出手段は、バンドパスフィルタと、検波回路と、コンパレータと、前記コンパレータの一方の入力端子に入力される基準電圧を調整する回路と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両検知装置。
【請求項3】
所望の周波数の信号を発生し増幅する送信器と、
前記送信器により増幅された前記信号を電磁波として空間に放出する送信アンテナと、
前記電磁波を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信した信号を直流電圧に変換し、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在するときとの電圧レベルと、前記送信アンテナの略垂直方向に導電体が存在しないときの電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴とする車両検知装置。
【請求項4】
前記検出手段は、バンドパスフィルタと、検波回路と、コンパレータと、コンパレータの一方の入力にされる基準電圧を調整する回路と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両検知装置。
【請求項5】
前記受信アンテナと前記送信アンテナとを一つのアンテナで共用し、送信回路と受信回路を切り換えることが可能なスイッチ回路を備えることを特徴とする請求項3に記載の車両検知装置。
【請求項6】
交流信号を発振する発振器と、
駐車場において車両が駐車するときに車両のタイヤが位置するスペースに設置されて前記発振器から出力される交流信号が印加される平板導電体と、
前記平板導電体に車両の加重が加わったときの前記交流信号電圧レベルと、前記平板導電体に車両の加重が加わらないときの前記交流信号電圧レベルとを比較する検出手段と
を備えたことを特徴とする車両検知装置。
【請求項7】
前記平板導電体は、駐車場において車両が駐車するときに車両のタイヤが位置する4箇所のうち少なくとも1箇所以上に設置される
ことを特徴とする請求項6に記載の車両検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【公開番号】特開2008−65569(P2008−65569A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242174(P2006−242174)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(301049423)株式会社ココモ・エムビー・コミュニケーションズ (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(301049423)株式会社ココモ・エムビー・コミュニケーションズ (9)
【Fターム(参考)】
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