車両用ガラスアンテナ
【課題】本発明は、地上デジタルラジオ放送波用の広い周波数帯域幅内の全帯域に亘って電波を受信可能とする。
【解決手段】自動車の窓の金属フランジの開口部近傍のガラス面で互いに近接して並設した芯線側給電点及び接地側給電点と、接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジとは離れる方向に延ばした線条を含む接地側エレメントと、芯線側給電点から前記接地側エレメントの線条と略平行に延ばした芯線側第1線条と、該芯線側第1線条から分岐、または芯線側給電点から直接芯線側第1線条と平行に延ばした芯線側第2線条とを含む芯線側エレメントと、からなり、前記芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さを、それぞれ前記1つの周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の線条長さとする。
【解決手段】自動車の窓の金属フランジの開口部近傍のガラス面で互いに近接して並設した芯線側給電点及び接地側給電点と、接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジとは離れる方向に延ばした線条を含む接地側エレメントと、芯線側給電点から前記接地側エレメントの線条と略平行に延ばした芯線側第1線条と、該芯線側第1線条から分岐、または芯線側給電点から直接芯線側第1線条と平行に延ばした芯線側第2線条とを含む芯線側エレメントと、からなり、前記芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さを、それぞれ前記1つの周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の線条長さとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタルラジオ放送波(DAB:Digital Audio Broadcasting)のDAB規格のバンド3における周波数帯域幅の全帯域に対して高感度で受信可能なアンテナであって、特に自動車用の前部窓ガラス、後部窓ガラス、側部の嵌め殺し固定窓に設ける非接地型のアンテナである。
【背景技術】
【0002】
近年、ラジオ放送においては、従来のアナログ変調方式によるAM、FMラジオ放送に比べて、低ノイズで高品質の各種のデジタル変調方式のデジタルラジオが開発され、世界各国において、DAB(Digital Audio Broadcasting)、DRM(Digital Radio Mondiale)、DMB(Digital Multimedia Broadcasting)、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting、統合デジタル放送サービス)等の各種放送規格のデジタルラジオ放送が実用化に至っている。
【0003】
これらの各種のデジタルラジオ放送規格のうち、日本とアメリカ合衆国を除くほぼ世界各国で使用され標準規格となっている規格が前記DAB規格であり、周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯と、周波数帯域が1452〜1492MHzのLバンド帯の2つの離れた周波数帯域が使用され、国毎にいずれか一方の帯域を採用している。
【0004】
尚、DAB規格のLバンド帯域のような高い周波数帯域内のある周波数で共振周波数が得られるように設定すると、該共振周波数を中心とした帯域を含めて前後の広範囲な帯域で高い受信感度が得られる。
【0005】
一方、前記バンド3帯域のようにやや低い周波数帯域内のある周波数で共振周波数が得られるように設定すると、該共振周波数を中心とした帯域を含めて高い受信感度が得られる帯域幅が狭くなってしまうという傾向にあった。
【0006】
このように、周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯においては、帯域幅が66MHzと幅広い帯域幅を有しており、この帯域内で一つの共振周波数しかもたない場合には、共振できる帯域幅が狭いため該帯域内の全周波数において良好な受信感度を得ることができないという問題点があった。このため、これらを改善すべく種々の工夫がなされたアンテナが開発されている。
【0007】
例えば、特開平7−46016号公報には、窓ガラスに、ホット側アンテナ線条を、水平方向に、かつ前記窓ガラスが取り付けられる車体の金属製窓枠の上部又は下部水平辺と電磁気的に結合するように配設するとともに、アース側アンテナ線条を、前記ホット側アンテナ線条より前記窓ガラスの内方に、かつその一端を前記ホット側アンテナ線条の一端又は中央に近接させて配設したことを特徴とする自動車電話用窓ガラスアンテナが記載されている(特許文献1)。
【0008】
さらに、特開2000−295023号公報には、樹脂製フィルムと、この樹脂製フィルムの表面上に形成されたストリップ状の薄膜導体からなる複合アンテナ素子と、この複合アンテナ素子の給電部に接続された給電ケーブルと、を具備し、前記複合アンテナ素子は、第1の周波数帯域に適合する如く設けられた第1のアンテナ素子と、この第1のアンテナ素子に併設され、前記第1の周波数帯域よりも周波数レベルの低い第2の周波数帯域に適合する如く設けられた第2のアンテナ素子とからなり、前記第2のアンテナ素子は、当該素子上に生じる前記第1の周波数帯域の電磁波に基づく電流分布の零レベルポイント部分で屈曲形成されていることを特徴とするDABフィルムアンテナが記載されている(特許文献2)。
【0009】
さらにまた、特開2001−127519号公報には、アンテナ導体、アース導体、アンテナ導体の給電点及びアース導体のアース点が自動車のサイド窓ガラス板に設けられている自動車用サイド窓ガラスアンテナにおいて、車内側又は車外側から見て給電点及びアース点はサイド窓ガラス板の右側縁部近傍に配設され、かつ、アース点が給電点の略上方に配設されており、アンテナ導体は給電点を起点としてサイド窓ガラス板の周縁部に沿って時計回り方向に、かつ、アース導体を囲んでサイド窓ガラス板をほぼ一周するように伸長されており、アース導体は、アース点又はアース点に付設されている接続アースエレメントを起点として略左方向に伸長される上部アースエレメントと、アース点又は接続アースエレメントを起点として時計回り方向に伸長される下部アースエレメントとを備えることを特徴とする自動車用サイド窓ガラスアンテナが記載されている(特許文献3)。
【0010】
さらにまた、特開2009−49706号公報には、自動車の側部の後部座席側の窓ガラスのコーナー部に設ける地上デジタルTV放送波受信用のアンテナにおいて、該側部窓ガラスのコーナー部近傍に正極と負極の2つの給電点を設け、該正極の給電点より延ばした少なくとも2本の線条のうち少なくとも1本をコーナー方向に向け垂直に延ばした第1の垂直線条と、該第1の垂直線条の先端または途中部より分岐して水平方向に延ばした第1の水平線条とからなる第1のエレメントと、負極の給電点から水平方向に延ばした少なくとも2本の第2の水平線条と、同負極の給電点から垂直方向に延ばした第2の垂直線条とからなる第2のエレメントとからなり、前記正極、負極の各給電点に、それぞれ同軸ケーブルの芯線、および外皮導線を接続した非接地タイプのアンテナとしたことを特徴とする車両用ガラスアンテナが記載されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−46016号公報
【特許文献2】特開2000−295023号公報
【特許文献3】特開2001−127519号公報
【特許文献4】特開2009−49706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記特許文献1の発明は、DAB規格の地上デジタルラジオ放送波用のアンテナではなく、周波数が810MHz〜960MHzの自動車電話用の窓ガラスアンテナであり、ホット側アンテナ線条とアース側アンテナ線条からなる非接地型アンテナであって、金属製窓枠の水平辺にホット側線条を電磁気的に結合させるようにしたものである。しかしながら、この自動車電話用の窓ガラスアンテナをDAB規格のバンド3帯の周波数帯のアンテナとして利用しようとすると、広帯域化に有効であるホット側線条が1本しかないために、DAB規格のバンド3帯の全帯域にわたって、高い受信利得が得られないという問題点があった。
【0013】
前記特許文献2は、デジタルラジオ放送波受信規格のバンド3帯とLバンド帯の異なった2つの周波数帯域の両帯域で共振可能とし、両帯域に跨って受信可能なアンテナパターンとするものであるが、一方の広幅の周波数帯域幅内の全周波数帯域について受信感度を高利得とさせるものではなく、また、アース側エレメントがないので、デフォッガや金属ボディからのノイズの影響を受けやすいという問題点があった。
【0014】
また、前記特許文献3に示されるアンテナは、周波数帯域幅が広範囲のバンド3帯、またはLバンド帯の地上デジタルラジオ放送波受信用のDAB規格のアンテナではなく、周波数が76MHz〜90MHzのFMラジオ放送波受信用の窓ガラスアンテナであり、アース導体を取り囲むように設けられた1本のアンテナ導体からなり、このアンテナをDAB規格のバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波受信用として用いる場合に、バンド3帯の全帯域にわたって、高い受信利得が得られないという問題点があった。
【0015】
また、前記特許文献4に示されるアンテナは、地上デジタルラジオ放送波受信用のDAB規格のアンテナではなく、周波数が470〜710MHzの地上デジタル放送波受信用の非接地型の窓ガラスアンテナであり、芯線側のエレメントが正極の給電点より延ばした少なくとも2本の線条のうち少なくとも1本をコーナー方向に向け垂直に延ばした第1の垂直線条と、該第1の垂直線条の先端または途中部より分岐して水平方向に延ばした金属フランジの内側縦辺に沿って配設したパターンであり、地上デジタルテレビ用として使用する場合は受信特性に問題はないが、DAB規格のバンド3帯やLバンド帯の地上デジタルラジオ用のアンテナとして使用する場合には、芯線側のエレメントが金属フランジに近接しているため、金属ボディの影響を受けやすくなり、受信特性の低下を招いてしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、このような問題点、すなわち、DAB規格のデジタルラジオ放送を受信するにあたり、周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯、または周波数帯域が1452〜1492MHzのLバンド帯の周波数帯域の各帯域幅内の全域において満足できる受信感度を得ることを目的とする。
【0017】
すなわち、本発明は、DAB規格の地上デジタルラジオ放送波用のバンド3帯の周波数帯域幅内の全帯域に亘って電波を受信可能な非接地型の車両用のガラスアンテナにおいて、 自動車の窓の金属フランジの開口部近傍のガラス面で互いに近接して並設した芯線側給電点及び接地側給電点と、接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジとは離れる方向に延ばした線条を含む接地側エレメントと、芯線側給電点から前記接地側エレメントの線条と略平行に延ばした芯線側第1線条と、該芯線側第1線条から分岐、または芯線側給電点から直接芯線側第1線条と平行に延ばした芯線側第2線条とを含む芯線側エレメントと、からなり、前記芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さを、それぞれ前記1つの周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の線条長さとすることを特徴とする車両用ガラスアンテナである。
【0018】
あるいはまた、本発明は、前記芯線側第1線条及び前記芯線側第2線状並びに前記接地側エレメントの線条が、それぞれ任意の箇所で、互いの線条が交差しないように曲折されていることを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0019】
あるいはまた、本発明は、共振する線条長さは、ガラスの波長短縮率をα、共振周波数の波長をλとしたとき、αλ/4であることを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0020】
あるいはまた、本発明は、前記接地側エレメントを矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0021】
あるいはまた、本発明は、前記芯線側エレメントの第2線条の先端部を第1線条と接続して、略矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0022】
あるいはまた、本発明は、前記金属フランジの開口部の水平辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点をコーナーから離した水平辺近傍に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0023】
あるいはまた、本発明は、前記金属フランジの開口部の縦辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点6をコーナーから離した縦辺近傍に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0024】
あるいはまた、本発明は、前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0025】
あるいはまた、本発明は、前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の後部窓ガラスの開口部のコーナー部近傍位置に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0026】
あるいはまた、本発明は、前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の側部嵌め殺し窓ガラスの開口部内に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0027】
あるいはまた、本発明は、本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面に貼着したことを特徴とする上述のいずれかに記載の車両用ガラスアンテナである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のDAB規格のバンド3のように、周波数帯域が174〜240MHzと低い帯域であるにも係わらず帯域幅が66MHzと広帯域幅であり、この帯域の中心周波数の一つの共振周波数だけで共振させると、あるレベル以上の共振が得られる帯域幅が狭いので、共振できない帯域が存在していたが、本発明により同一帯域幅内で受信特性がピークとなる共振周波数を間隔を離して2つ以上設けるようにしたので、共振周波数が1つだけの場合と比べて、共振周波数から離れている同帯域幅内の周波数において受信感度の低い帯域がなくなり、全帯域で良好な受信特性が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のアンテナパターンの正面拡大図。
【図2】本発明の実施例2のアンテナパターンの正面拡大図。
【図3】本発明の実施例3のアンテナパターンの正面拡大図。
【図4】本発明の実施例4のアンテナパターンの正面拡大図。
【図5】本発明の実施例5のアンテナパターンの正面拡大図。
【図6】本発明の実施例6のアンテナパターンの正面拡大図。
【図7】本発明の実施例7のアンテナパターンの正面拡大図。
【図8】本発明の実施例1のアンテナパターンを自動車の前部窓ガラスに設けた図。
【図9】本発明の実施例1のアンテナパターンを自動車の前部窓ガラスに設けた図。
【図10】本発明の実施例1のアンテナパターンを自動車の後部窓ガラスに設けた図。
【図11】比較例1のアンテナパターンの正面拡大図。
【図12】本発明の実施例1と比較例1のDAB規格のバンド3における周波数特性図。
【図13】本発明の実施例8のアンテナパターンの正面拡大図。
【図14】本発明の実施例8のアンテナパターンを自動車の前部窓ガラスに設けた図。
【図15】本発明の実施例8と比較例1のDAB規格のバンド3における周波数特性図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、芯線側給電点6から延ばした芯線側エレメント10と、接地側給電点7から延ばした接地側エレメント20からなるDAB規格の地上デジタルラジオ放送波を受信するための非接地型のガラスアンテナである。
【0031】
前記芯線側給電点6と接地側給電点7は、自動車の窓の金属フランジの開口辺に沿ったガラス面上に互いに近接して並設し、各給電点と金属フランジ3間の間隔がほぼ同一となるように配設する。該芯線側給電点より延ばした芯線側エレメント10、該接地側給電点より延ばした接地側エレメント20は、それぞれ最も近い位置にある金属フランジ3の開口辺から離れる方向、すなわちガラス板の略中央部方向に、互いに平行に延ばす。
【0032】
芯線側エレメント10及び接地側エレメント20は、それぞれ芯線側給電点6及び接地側給電点7から、互いに平行になるように延ばされるが、任意の箇所で、互いに交差しないように曲折してもよい。
【0033】
<金属フランジの上辺に配設する場合>
すなわち、金属フランジ3の開口部のコーナー近傍位置を除く上辺位置または下辺位置に本発明のアンテナを設ける場合には、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条を、ガラス板の略中央部に向けて垂直方向、かつ互いに平行に線条を延ばして設けるが、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条位置は、左右に位置を入れ替えて配置しても良い。
【0034】
これらの上辺または下辺位置のうち、金属フランジの開口部のコーナー近傍の上辺、または下辺位置に本発明のアンテナを配設する場合においては、本発明のアンテナの垂直方向に設けた芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条の位置として、金属フランジ3のコーナーに接近している側に接地側エレメント20を配設し、芯線側エレメント10を金属フランジ3の開口部のコーナーから離れた位置となるように配設した。
【0035】
<金属フランジの開口部の縦側辺に配置する場合>
一方、金属フランジ3の開口部のコーナー近傍位置を除く縦側辺、すなわち縦側辺の中間部に本発明のアンテナを設ける場合には、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条を、ガラス板の略中央部に向けて水平方向に延ばして設けるが、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条位置は、上下に位置を入れ替えて配置しても良い。
【0036】
これらの金属フランジ3の縦側辺位置で、金属フランジの開口部のコーナー近傍の縦辺位置に本発明のアンテナを配設する場合においては、本発明のアンテナの水平方向に設けた芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条の位置として、金属フランジのコーナーに接近している側に接地側エレメント20を水平に配設し、芯線側エレメント10を金属フランジ3のコーナーから離れた位置で水平に配設した。
【0037】
前記接地側エレメント20は、接地側給電点7に最も近い位置にある金属フランジ3から遠ざかる方向に延ばした接地側第1線条21であり、前記芯線側エレメント10は、芯線側給電点6から前記接地側エレメント20の線条と略平行に延ばした芯線側第1線条11と、該芯線側第1線条11の途中部、または芯線側給電点6から前記芯線側第1線条11と直交する方向に延ばした直交線条を介して、芯線側第1線条11とは間隔を隔てて平行に延ばした芯線側第2線条13からなり、前記芯線側給電点6から芯線側第1線条11、および芯線側第2線条13の各先端までの長さを、それぞれ前記バンド3の周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の波長によって決まる線条長さとした。
【0038】
また、芯線側エレメント10の芯線側第1線条11、芯線側第1線条12は、金属フランジ3の影響を受けないように、金属フランジ3から離隔する位置に配設する。あるいは、接地側エレメントを金属フランジ3と芯線側エレメント10間に配設するようにした。
【0039】
このように、DAB規格のバンド3帯域幅内において、芯線側第1線条の長さで最も共振して受信感度が大きくなる周波数と、芯線側第2線条で最も共振して受信感度が大きくなる周波数の2つの離れた周波数でそれぞれ共振する長さの線条を設けることによって、バンド3帯域幅内の全帯域にわたって電波を広帯域で好適に受信可能とすることができる。
【0040】
このように、前記DAB規格の周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯において好適に受信できることを説明したが、これに限らず、DAB規格のもう一つの周波数帯域である1452〜1492MHzのLバンド帯においても問題なく受信できることは。
【0041】
前記芯線側第1線条、および芯線側第2線条の長さとは、芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さをいう。
【0042】
前記共振する線条長さは、ガラスの波長短縮率をα、共振周波数の波長をλとすると、αλ/4であらわされる。
【0043】
また、前記接地側エレメントは直線形状に限らず、図5に示したように、矩形状の閉ループ線条としても良い。
【0044】
さらに、図6に示したように、前記芯線側エレメントの第2線条の先端部近傍を第1線条と接続して、略矩形状の閉ループ線条としても良い。
【0045】
<自動車の前部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合>
さらにまた、図8、図9に示したように、本発明のアンテナを自動車の前部窓ガラスに設ける場合には、運転者の前方視界を遮らないようにするために、金属フランジの開口部の上辺近傍位置に設けるのが好ましく、特に、開口部のコーナー近傍を除く上辺位置が好ましい。
【0046】
図8に示したように、開口部の上辺近傍位置に設けるアンテナは、芯線側給電点6および接地側給電点7からそれぞれ延ばした芯線側エレメント10および接地側エレメント20は、ガラス板の略中央部に向けて垂直方向、かつ互いに平行に延ばした。
【0047】
これは、芯線側エレメント10、接地側エレメント20のそれぞれを、芯線側給電点、および接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジから遠ざかる方向、すなわちガラス板の中央部方向に、それぞれ延ばしたことによって、金属ボディによる悪影響を軽減させるようにした。
【0048】
図9に示したように、特に、本発明のアンテナを、金属フランジの開口部のコーナー部近傍位置に配設する場合においては、金属フランジ3の開口辺の縦側辺側の前記コーナー寄りの位置に接地側エレメント20を配設し、該側辺から離れた側に芯線側エレメント10を配設することによって、金属ボディからのノイズ等の悪影響を接地側エレメントによって遮断することができる。
【0049】
もちろん、図8に示したように、金属フランジ3の開口部のコーナー部から離れている上辺の中央部側位置に、本発明のアンテナを設ける場合においては、金属フランジの縦側辺から離れているので、芯線側エレメント10と、接地側エレメント20のいずれが前記縦側辺側にあっても良い。
【0050】
また、図14に示したように、芯線側エレメント10と接地側エレメント20とをお互いに交差しないように、各エレメントの任意の箇所で曲折すると、運転者の視界を、各エレメントをただ平行に延ばした場合よりも広く確保できるため、より好ましい実施形態となる。
【0051】
<自動車の後部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合>
さらにまた、図10に示したように、自動車の後部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合には、殆どの場合、後部窓ガラスにデフォッガ4を有していたり、デフォッガ4の上部余白部か、下部余白部の中央部に別のアンテナ(図示しない)が設けられていることが多いため、金属フランジ3の開口部の四隅近傍に設けざるを得ない。しかしながら、本発明のアンテナの各エレメントを垂直方向に配設すると、エレメントの長さによっては、デフォッガ4と干渉する恐れもあるため、本発明のアンテナの各エレメント20、30を水平方向に配設するのが望ましい。
【0052】
このため、金属フランジ3の開口部の四隅のコーナー部近傍で、コーナーを除く縦側辺にコーナーに近い側から順に接地側給電点、芯線側給電点を設け、接地側エレメント20、および芯線側エレメント10の各線条を、フランジの縦側辺から遠ざかる水平方向に向けて延ばすように設けた。
【0053】
コーナーに近い側から順に接地側給電点7、芯線側給電点6を設け、それぞれの給電点から水平方向に接地側エレメント20、芯線側エレメント10を設けるようにしたのは、芯線側エレメント10を金属フランジ3の水平辺側からも遠ざけることによって、金属ボディフランジ3からのノイズ等の悪影響を接地側エレメント20によって遮断することができるからである。
【0054】
また、芯線側エレメント10、および接地側エレメント20のそれぞれを、芯線側給電点および接地側給電点に最も近い位置にある金属フランジの縦側辺から遠ざかる水平方向、すなわちガラス板の中央部方向に、それぞれ延ばしたのは、金属ボディによるノイズ等の悪影響を軽減させるためである。
【0055】
<自動車の側部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合>
本発明のアンテナを自動車の側部窓ガラスに設ける場合には、側部嵌め殺し窓の金属フランジのコーナー部を除いたすべての開口辺に沿って、芯線側給電点、接地側給電点を並設して設けることができる。
【0056】
また、金属フランジ3の開口部のコーナーを除く上辺または下辺に沿って設ける本発明のアンテナは、芯線側給電点6および接地側給電点7からそれぞれ延ばした芯線側エレメント10および接地側エレメント20が、ガラス板の略中央部に向けて略垂直方向、かつ互いに略平行に延ばすようにしたものである。
【0057】
さらに、金属フランジ3の開口部のコーナーを除く縦側辺に沿って設ける本発明のアンテナは、芯線側給電点6および接地側給電点7からそれぞれ延ばす芯線側エレメント10および接地側エレメント20が、ガラス板の略中央部に向けて略水平方向で、かつ互いに略平行に延ばすようにしたものである。
【0058】
さらにまた、本発明のアンテナを、金属フランジの開口部の上辺または下辺のコーナー部近傍位置に配設する場合においては、前記コーナー側の金属フランジ3の開口辺の縦側辺に近い側に接地側エレメント20を配設し、該側辺から離れている側に芯線側エレメント10を配設することによって、金属ボディからの悪影響を接地側エレメントによって遮断することができる。
【0059】
同様に、本発明のアンテナを、金属フランジの開口部の縦側辺のコーナー部近傍位置に配設する場合においては、金属フランジ3の開口辺の前記コーナー側の水平辺に近い側(コーナーを除く)に接地側エレメント20を配設し、該水平辺から離れている側に芯線側エレメント10を配設することによって、金属ボディからの悪影響を接地側エレメントによって遮断することができる。
【0060】
尚、芯線側エレメント10、接地側エレメントの線条幅は、概ね0.3〜0.8mm程度とする。
【0061】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナの芯線側給電点6に同軸ケーブルの中心導体を接続し、接地側給電点に該同軸ケーブルの外被導体を接続する。
【0062】
このような地上デジタルラジオ放送用の前記ガラスアンテナを図8で示すように自動車の前部窓の金属フランジの開口部のコーナー近傍を除いた上辺近傍位置、または、図9で示すように自動車の前部窓の金属フランジの開口部の上辺のコーナー近傍位置、あるいはまた、図10で示すように後部窓ガラスの金属フランジのコーナー近傍の水平辺、または縦側辺、または図示しない側部の嵌め殺しの固定窓の金属フランジのコーナー部を除く上辺、下辺、または側辺のいずれかに設けると、単独でも良好な受信利得が得られる。
【0063】
前記窓ガラスのいずれかに複数個所設ける、あるいは他の地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナと組み合わせてダイバーシティ受信させると、車両の側部方向から到来する電波であっても受信利得を向上させることができ、指向性を向上させることができる。
【0064】
尚、ガラス板の周辺部に、例えば黒色等に着色した絶縁製のセラミックペースト層2を印刷したものを自動車用の窓ガラス1として用いる場合には、該セラミックペースト層2を乾燥後、地上デジタルラジオ用アンテナの芯線側給電点6と接地側給電点7を前記セラミックペースト層2上に重ねて配設することによって、該アンテナの各給電点6、7が車外から見えなくなるので、見栄えが向上し好ましい。
【0065】
また、以上説明したような本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面、建築用の窓ガラス面、各種のパネル等に貼り付けるようにすることもできる。
【0066】
さらにまた、本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面に貼着するようにしても良い。
【実施例】
【0067】
以下に本発明の各実施例について、説明する。
【0068】
[実施例1]
図1に示すような本発明の実施例1のアンテナを、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設した。該アンテナは、芯線側エレメント10と接地側エレメント20の2つのエレメントからなる非接地型の地上デジタルラジオ用アンテナである。
【0069】
前記接地側エレメント20は、縦横12mmの正方形の接地側給電点7の上辺より金属フランジ3の開口部の縦側辺から遠ざかる水平方向に向けて、長さ50mmの接地側第1線条21を設けた。
【0070】
一方、前記芯線側エレメント10は、縦横12mmの正方形の芯線側給電点6の上辺より、金属フランジ3の開口部の縦側辺から遠ざかる水平方向に向けて、長さ120mmの芯線側第1線条11を設け、さらに、該芯線側第1線条11の途中部より接地側エレメント20に向けて垂直方向に分岐して長さ25mmの直交線条12を延ばし、その先端から芯線側第1線条の延びる方向と同一方向に25mmの芯線側第2線条13を設けた。
【0071】
前記第直交線条12の芯線側第1線条からの分岐位置は、前記芯線側給電点6の端部から長さ10mmの位置であり、芯線側給電点6と接地側給電点7との間隔は18mmである。
【0072】
前記芯線側エレメント10、接地側エレメント20の各線条、および各給電点は、窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって、各線条の幅を0.7mmで印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0073】
このようにして作成した実施例1の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信した。
【0074】
実施例1のパターン(図1参照)と、後述する比較例1のパターン(図11参照)によって得られたバンド3帯域における周波数特性を図12に示す。
【0075】
図12に示したように、実線で示した本発明の実施例1のパターンの受信感度が、点線で示した比較例1のパターンの受信感度に比べて、バンド3の全周波数帯域にわたって高い受信感度が得られていることがわかる。
【0076】
[実施例2]
図2に示す実施例2のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図1に示す実施例1のアンテナパターンと比べて、パターンとしては、芯線側エレメント10の第2線条が直接芯線側給電点6から垂直方向に延ばした点が異なっているのに加えて、芯線側エレメント10の直交線条12と芯線側第2線条13の各線条の長さは、実施例1と実施例2ではそれぞれ異なっている。しかしながら、芯線側給電点6から芯線側第2線条の先端までの線条の合計長さは、実施例1と実施例2とでは、略同一長さの60mmである。
【0077】
また、芯線側第1線条11の長さ、接地側エレメント20の長さ、2つの給電点間の間隔は、実施例1と同一である。
【0078】
実施例2のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0079】
このようにして作成した実施例2の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例1と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0080】
[実施例3]
図3に示す実施例3は、自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍位置に本発明のアンテナの芯線側給電点6、接地側給電点7を併設し、それぞれの給電点から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を縦方向に延ばした点で、各給電点6、7から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を水平方向に延ばした前記実施例1、2とは異なっている。
【0081】
さらに、図2に示す実施例2のパターンと比べて、芯線側給電点から垂直下方に延ばした芯線側エレメント10の芯線側第2線条が、直接芯線側給電点6から金属フランジ3の開口部の縦側辺から遠ざかる左方に延ばし、その先端から芯線側第1線条に平行、かつ芯線側第1線条が延びる方向に延ばした点が異なっている。
【0082】
一方、接地側給電点7より金属フランジから遠ざかる方向に延ばした接地側エレメント20は同一である。
【0083】
前記アンテナは、実施例2と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0084】
このようにして作成した実施例3の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の前部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側の給電点6に、外被導体については接地側の給電点7に接続して周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0085】
[実施例4]
図4に示す実施例4のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図1に示す実施例1のアンテナパターンと比べると、芯線側エレメント10の第2線条13が芯線側第1線条11の途中部から垂直下方に分岐した直交線条12を設け、その先端より芯線側第1線条11に平行に芯線側第2線条13を延ばした点が異なり、その他については、実施例1と同一である。
【0086】
実施例4のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0087】
このようにして作成した実施例4の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例1と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0088】
[実施例5]
図5に示す実施例5のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺のガラス面上に配設したものであり、図2に示す実施例2のアンテナパターンと比べて、接地側エレメント20の形状が閉ループ形状となっている点で実施例2とは異なり、芯線側エレメント10は実施例と同一である。
【0089】
前記閉ループ形状の接地側エレメント20は、接地側給電点7の幅を保って水平方向に延ばした2本の水平線条の先端を結んだ長方形状である。
実施例5のアンテナを、実施例2と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0090】
このようにして作成した実施例5の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0091】
[実施例6]
図6に示す実施例6のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図2に示す実施例2のアンテナパターンと比べて、芯線側エレメント10の第1線条の途中部より分岐した直交線条の先端より延ばした第2線条の先端を第1線条に接続して、長方形状部を形成した点が異なっている。
【0092】
また、芯線側エレメントの芯線側第1線条11の長さ、接地側エレメント20の長さ、2つの給電点間の間隔は、実施例2と同一である。
【0093】
実施例6のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0094】
このようにして作成した実施例6の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0095】
[実施例7]
図7に示す実施例2のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図2に示す実施例2のアンテナパターンと比べて、芯線側エレメント10の直交線条12、芯線側第2線条13の配設位置が異なっている。すなわち、当該相違点は、芯線側第1線条の途中部より直交するように分岐した直交線条12の先端より左右両方向に芯線側第2線条を延ばした。
【0096】
一方、芯線側第1線条11、接地側エレメント20等は、実施例2と同一である。
【0097】
実施例7のアンテナを、実施例2と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0098】
このようにして作成した実施例7の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0099】
[実施例8]
図13に示す実施例8は、自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍位置に本発明のアンテナの芯線側給電点6、接地側給電点7を併設し、それぞれの給電点から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を縦方向に延ばし、各エレメントを任意に位置で直角に曲折している点で、各給電点6、7から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を水平方向に真っ直ぐ延ばしただけの実施例7とは異なっている。ただし、各線条の長さは、実施例7と同一である。
【0100】
芯線側エレメント10、接地側エレメント20の各線条、および各給電点は、窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって、各線条の幅を0.7mmで印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0101】
このようにして作成した実施例8の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の前部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信した。
【0102】
実施例8のパターン(図13参照)と、後述する比較例1のパターン(図11参照)によって得られたバンド3帯域における周波数特性を図15に示す。
【0103】
図15に示したように、実線で示した本発明の実施例8のパターンの受信感度が、点線で示した比較例1のパターンの受信感度に比べて、バンド3の全周波数帯域にわたって高い受信感度が得られていることがわかる。
【0104】
以上、好適な実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の応用が可能である。
【0105】
[比較例1]
図11に示す比較例1は、芯線側エレメント10’として、実施例1に示すようなバンド3帯域の中間周波数で共振する長さの芯線側第1線条(図1参照)だけを有しており、接地側エレメント20は実施例1と同一パターンである。
【0106】
前記比較例1のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0107】
このようにして作成した比較例1の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側の給電点6に、外被導体については接地側の給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、図12の細い点線で示したように、低い周波数特性を示し、太い点線で示した実施例1の特性が優れていることが明確となった。
【符号の説明】
【0108】
1 窓ガラス
2 セラミックペースト層
3 金属フランジ
4 デフォッガ
6 芯線側給電点
7 接地側給電点
10、10’ 芯線側エレメント
11 芯線側第1線条
12 直交線条
13 芯線側第2線条
20 接地側エレメント
21 接地側第1線条
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタルラジオ放送波(DAB:Digital Audio Broadcasting)のDAB規格のバンド3における周波数帯域幅の全帯域に対して高感度で受信可能なアンテナであって、特に自動車用の前部窓ガラス、後部窓ガラス、側部の嵌め殺し固定窓に設ける非接地型のアンテナである。
【背景技術】
【0002】
近年、ラジオ放送においては、従来のアナログ変調方式によるAM、FMラジオ放送に比べて、低ノイズで高品質の各種のデジタル変調方式のデジタルラジオが開発され、世界各国において、DAB(Digital Audio Broadcasting)、DRM(Digital Radio Mondiale)、DMB(Digital Multimedia Broadcasting)、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting、統合デジタル放送サービス)等の各種放送規格のデジタルラジオ放送が実用化に至っている。
【0003】
これらの各種のデジタルラジオ放送規格のうち、日本とアメリカ合衆国を除くほぼ世界各国で使用され標準規格となっている規格が前記DAB規格であり、周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯と、周波数帯域が1452〜1492MHzのLバンド帯の2つの離れた周波数帯域が使用され、国毎にいずれか一方の帯域を採用している。
【0004】
尚、DAB規格のLバンド帯域のような高い周波数帯域内のある周波数で共振周波数が得られるように設定すると、該共振周波数を中心とした帯域を含めて前後の広範囲な帯域で高い受信感度が得られる。
【0005】
一方、前記バンド3帯域のようにやや低い周波数帯域内のある周波数で共振周波数が得られるように設定すると、該共振周波数を中心とした帯域を含めて高い受信感度が得られる帯域幅が狭くなってしまうという傾向にあった。
【0006】
このように、周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯においては、帯域幅が66MHzと幅広い帯域幅を有しており、この帯域内で一つの共振周波数しかもたない場合には、共振できる帯域幅が狭いため該帯域内の全周波数において良好な受信感度を得ることができないという問題点があった。このため、これらを改善すべく種々の工夫がなされたアンテナが開発されている。
【0007】
例えば、特開平7−46016号公報には、窓ガラスに、ホット側アンテナ線条を、水平方向に、かつ前記窓ガラスが取り付けられる車体の金属製窓枠の上部又は下部水平辺と電磁気的に結合するように配設するとともに、アース側アンテナ線条を、前記ホット側アンテナ線条より前記窓ガラスの内方に、かつその一端を前記ホット側アンテナ線条の一端又は中央に近接させて配設したことを特徴とする自動車電話用窓ガラスアンテナが記載されている(特許文献1)。
【0008】
さらに、特開2000−295023号公報には、樹脂製フィルムと、この樹脂製フィルムの表面上に形成されたストリップ状の薄膜導体からなる複合アンテナ素子と、この複合アンテナ素子の給電部に接続された給電ケーブルと、を具備し、前記複合アンテナ素子は、第1の周波数帯域に適合する如く設けられた第1のアンテナ素子と、この第1のアンテナ素子に併設され、前記第1の周波数帯域よりも周波数レベルの低い第2の周波数帯域に適合する如く設けられた第2のアンテナ素子とからなり、前記第2のアンテナ素子は、当該素子上に生じる前記第1の周波数帯域の電磁波に基づく電流分布の零レベルポイント部分で屈曲形成されていることを特徴とするDABフィルムアンテナが記載されている(特許文献2)。
【0009】
さらにまた、特開2001−127519号公報には、アンテナ導体、アース導体、アンテナ導体の給電点及びアース導体のアース点が自動車のサイド窓ガラス板に設けられている自動車用サイド窓ガラスアンテナにおいて、車内側又は車外側から見て給電点及びアース点はサイド窓ガラス板の右側縁部近傍に配設され、かつ、アース点が給電点の略上方に配設されており、アンテナ導体は給電点を起点としてサイド窓ガラス板の周縁部に沿って時計回り方向に、かつ、アース導体を囲んでサイド窓ガラス板をほぼ一周するように伸長されており、アース導体は、アース点又はアース点に付設されている接続アースエレメントを起点として略左方向に伸長される上部アースエレメントと、アース点又は接続アースエレメントを起点として時計回り方向に伸長される下部アースエレメントとを備えることを特徴とする自動車用サイド窓ガラスアンテナが記載されている(特許文献3)。
【0010】
さらにまた、特開2009−49706号公報には、自動車の側部の後部座席側の窓ガラスのコーナー部に設ける地上デジタルTV放送波受信用のアンテナにおいて、該側部窓ガラスのコーナー部近傍に正極と負極の2つの給電点を設け、該正極の給電点より延ばした少なくとも2本の線条のうち少なくとも1本をコーナー方向に向け垂直に延ばした第1の垂直線条と、該第1の垂直線条の先端または途中部より分岐して水平方向に延ばした第1の水平線条とからなる第1のエレメントと、負極の給電点から水平方向に延ばした少なくとも2本の第2の水平線条と、同負極の給電点から垂直方向に延ばした第2の垂直線条とからなる第2のエレメントとからなり、前記正極、負極の各給電点に、それぞれ同軸ケーブルの芯線、および外皮導線を接続した非接地タイプのアンテナとしたことを特徴とする車両用ガラスアンテナが記載されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−46016号公報
【特許文献2】特開2000−295023号公報
【特許文献3】特開2001−127519号公報
【特許文献4】特開2009−49706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記特許文献1の発明は、DAB規格の地上デジタルラジオ放送波用のアンテナではなく、周波数が810MHz〜960MHzの自動車電話用の窓ガラスアンテナであり、ホット側アンテナ線条とアース側アンテナ線条からなる非接地型アンテナであって、金属製窓枠の水平辺にホット側線条を電磁気的に結合させるようにしたものである。しかしながら、この自動車電話用の窓ガラスアンテナをDAB規格のバンド3帯の周波数帯のアンテナとして利用しようとすると、広帯域化に有効であるホット側線条が1本しかないために、DAB規格のバンド3帯の全帯域にわたって、高い受信利得が得られないという問題点があった。
【0013】
前記特許文献2は、デジタルラジオ放送波受信規格のバンド3帯とLバンド帯の異なった2つの周波数帯域の両帯域で共振可能とし、両帯域に跨って受信可能なアンテナパターンとするものであるが、一方の広幅の周波数帯域幅内の全周波数帯域について受信感度を高利得とさせるものではなく、また、アース側エレメントがないので、デフォッガや金属ボディからのノイズの影響を受けやすいという問題点があった。
【0014】
また、前記特許文献3に示されるアンテナは、周波数帯域幅が広範囲のバンド3帯、またはLバンド帯の地上デジタルラジオ放送波受信用のDAB規格のアンテナではなく、周波数が76MHz〜90MHzのFMラジオ放送波受信用の窓ガラスアンテナであり、アース導体を取り囲むように設けられた1本のアンテナ導体からなり、このアンテナをDAB規格のバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波受信用として用いる場合に、バンド3帯の全帯域にわたって、高い受信利得が得られないという問題点があった。
【0015】
また、前記特許文献4に示されるアンテナは、地上デジタルラジオ放送波受信用のDAB規格のアンテナではなく、周波数が470〜710MHzの地上デジタル放送波受信用の非接地型の窓ガラスアンテナであり、芯線側のエレメントが正極の給電点より延ばした少なくとも2本の線条のうち少なくとも1本をコーナー方向に向け垂直に延ばした第1の垂直線条と、該第1の垂直線条の先端または途中部より分岐して水平方向に延ばした金属フランジの内側縦辺に沿って配設したパターンであり、地上デジタルテレビ用として使用する場合は受信特性に問題はないが、DAB規格のバンド3帯やLバンド帯の地上デジタルラジオ用のアンテナとして使用する場合には、芯線側のエレメントが金属フランジに近接しているため、金属ボディの影響を受けやすくなり、受信特性の低下を招いてしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、このような問題点、すなわち、DAB規格のデジタルラジオ放送を受信するにあたり、周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯、または周波数帯域が1452〜1492MHzのLバンド帯の周波数帯域の各帯域幅内の全域において満足できる受信感度を得ることを目的とする。
【0017】
すなわち、本発明は、DAB規格の地上デジタルラジオ放送波用のバンド3帯の周波数帯域幅内の全帯域に亘って電波を受信可能な非接地型の車両用のガラスアンテナにおいて、 自動車の窓の金属フランジの開口部近傍のガラス面で互いに近接して並設した芯線側給電点及び接地側給電点と、接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジとは離れる方向に延ばした線条を含む接地側エレメントと、芯線側給電点から前記接地側エレメントの線条と略平行に延ばした芯線側第1線条と、該芯線側第1線条から分岐、または芯線側給電点から直接芯線側第1線条と平行に延ばした芯線側第2線条とを含む芯線側エレメントと、からなり、前記芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さを、それぞれ前記1つの周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の線条長さとすることを特徴とする車両用ガラスアンテナである。
【0018】
あるいはまた、本発明は、前記芯線側第1線条及び前記芯線側第2線状並びに前記接地側エレメントの線条が、それぞれ任意の箇所で、互いの線条が交差しないように曲折されていることを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0019】
あるいはまた、本発明は、共振する線条長さは、ガラスの波長短縮率をα、共振周波数の波長をλとしたとき、αλ/4であることを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0020】
あるいはまた、本発明は、前記接地側エレメントを矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0021】
あるいはまた、本発明は、前記芯線側エレメントの第2線条の先端部を第1線条と接続して、略矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0022】
あるいはまた、本発明は、前記金属フランジの開口部の水平辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点をコーナーから離した水平辺近傍に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0023】
あるいはまた、本発明は、前記金属フランジの開口部の縦辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点6をコーナーから離した縦辺近傍に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0024】
あるいはまた、本発明は、前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0025】
あるいはまた、本発明は、前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の後部窓ガラスの開口部のコーナー部近傍位置に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0026】
あるいはまた、本発明は、前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の側部嵌め殺し窓ガラスの開口部内に設けたことを特徴とする上述の車両用ガラスアンテナである。
【0027】
あるいはまた、本発明は、本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面に貼着したことを特徴とする上述のいずれかに記載の車両用ガラスアンテナである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のDAB規格のバンド3のように、周波数帯域が174〜240MHzと低い帯域であるにも係わらず帯域幅が66MHzと広帯域幅であり、この帯域の中心周波数の一つの共振周波数だけで共振させると、あるレベル以上の共振が得られる帯域幅が狭いので、共振できない帯域が存在していたが、本発明により同一帯域幅内で受信特性がピークとなる共振周波数を間隔を離して2つ以上設けるようにしたので、共振周波数が1つだけの場合と比べて、共振周波数から離れている同帯域幅内の周波数において受信感度の低い帯域がなくなり、全帯域で良好な受信特性が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のアンテナパターンの正面拡大図。
【図2】本発明の実施例2のアンテナパターンの正面拡大図。
【図3】本発明の実施例3のアンテナパターンの正面拡大図。
【図4】本発明の実施例4のアンテナパターンの正面拡大図。
【図5】本発明の実施例5のアンテナパターンの正面拡大図。
【図6】本発明の実施例6のアンテナパターンの正面拡大図。
【図7】本発明の実施例7のアンテナパターンの正面拡大図。
【図8】本発明の実施例1のアンテナパターンを自動車の前部窓ガラスに設けた図。
【図9】本発明の実施例1のアンテナパターンを自動車の前部窓ガラスに設けた図。
【図10】本発明の実施例1のアンテナパターンを自動車の後部窓ガラスに設けた図。
【図11】比較例1のアンテナパターンの正面拡大図。
【図12】本発明の実施例1と比較例1のDAB規格のバンド3における周波数特性図。
【図13】本発明の実施例8のアンテナパターンの正面拡大図。
【図14】本発明の実施例8のアンテナパターンを自動車の前部窓ガラスに設けた図。
【図15】本発明の実施例8と比較例1のDAB規格のバンド3における周波数特性図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、芯線側給電点6から延ばした芯線側エレメント10と、接地側給電点7から延ばした接地側エレメント20からなるDAB規格の地上デジタルラジオ放送波を受信するための非接地型のガラスアンテナである。
【0031】
前記芯線側給電点6と接地側給電点7は、自動車の窓の金属フランジの開口辺に沿ったガラス面上に互いに近接して並設し、各給電点と金属フランジ3間の間隔がほぼ同一となるように配設する。該芯線側給電点より延ばした芯線側エレメント10、該接地側給電点より延ばした接地側エレメント20は、それぞれ最も近い位置にある金属フランジ3の開口辺から離れる方向、すなわちガラス板の略中央部方向に、互いに平行に延ばす。
【0032】
芯線側エレメント10及び接地側エレメント20は、それぞれ芯線側給電点6及び接地側給電点7から、互いに平行になるように延ばされるが、任意の箇所で、互いに交差しないように曲折してもよい。
【0033】
<金属フランジの上辺に配設する場合>
すなわち、金属フランジ3の開口部のコーナー近傍位置を除く上辺位置または下辺位置に本発明のアンテナを設ける場合には、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条を、ガラス板の略中央部に向けて垂直方向、かつ互いに平行に線条を延ばして設けるが、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条位置は、左右に位置を入れ替えて配置しても良い。
【0034】
これらの上辺または下辺位置のうち、金属フランジの開口部のコーナー近傍の上辺、または下辺位置に本発明のアンテナを配設する場合においては、本発明のアンテナの垂直方向に設けた芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条の位置として、金属フランジ3のコーナーに接近している側に接地側エレメント20を配設し、芯線側エレメント10を金属フランジ3の開口部のコーナーから離れた位置となるように配設した。
【0035】
<金属フランジの開口部の縦側辺に配置する場合>
一方、金属フランジ3の開口部のコーナー近傍位置を除く縦側辺、すなわち縦側辺の中間部に本発明のアンテナを設ける場合には、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条を、ガラス板の略中央部に向けて水平方向に延ばして設けるが、芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条位置は、上下に位置を入れ替えて配置しても良い。
【0036】
これらの金属フランジ3の縦側辺位置で、金属フランジの開口部のコーナー近傍の縦辺位置に本発明のアンテナを配設する場合においては、本発明のアンテナの水平方向に設けた芯線側エレメント10および接地側エレメント20の各線条の位置として、金属フランジのコーナーに接近している側に接地側エレメント20を水平に配設し、芯線側エレメント10を金属フランジ3のコーナーから離れた位置で水平に配設した。
【0037】
前記接地側エレメント20は、接地側給電点7に最も近い位置にある金属フランジ3から遠ざかる方向に延ばした接地側第1線条21であり、前記芯線側エレメント10は、芯線側給電点6から前記接地側エレメント20の線条と略平行に延ばした芯線側第1線条11と、該芯線側第1線条11の途中部、または芯線側給電点6から前記芯線側第1線条11と直交する方向に延ばした直交線条を介して、芯線側第1線条11とは間隔を隔てて平行に延ばした芯線側第2線条13からなり、前記芯線側給電点6から芯線側第1線条11、および芯線側第2線条13の各先端までの長さを、それぞれ前記バンド3の周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の波長によって決まる線条長さとした。
【0038】
また、芯線側エレメント10の芯線側第1線条11、芯線側第1線条12は、金属フランジ3の影響を受けないように、金属フランジ3から離隔する位置に配設する。あるいは、接地側エレメントを金属フランジ3と芯線側エレメント10間に配設するようにした。
【0039】
このように、DAB規格のバンド3帯域幅内において、芯線側第1線条の長さで最も共振して受信感度が大きくなる周波数と、芯線側第2線条で最も共振して受信感度が大きくなる周波数の2つの離れた周波数でそれぞれ共振する長さの線条を設けることによって、バンド3帯域幅内の全帯域にわたって電波を広帯域で好適に受信可能とすることができる。
【0040】
このように、前記DAB規格の周波数帯域が174〜240MHzのバンド3帯において好適に受信できることを説明したが、これに限らず、DAB規格のもう一つの周波数帯域である1452〜1492MHzのLバンド帯においても問題なく受信できることは。
【0041】
前記芯線側第1線条、および芯線側第2線条の長さとは、芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さをいう。
【0042】
前記共振する線条長さは、ガラスの波長短縮率をα、共振周波数の波長をλとすると、αλ/4であらわされる。
【0043】
また、前記接地側エレメントは直線形状に限らず、図5に示したように、矩形状の閉ループ線条としても良い。
【0044】
さらに、図6に示したように、前記芯線側エレメントの第2線条の先端部近傍を第1線条と接続して、略矩形状の閉ループ線条としても良い。
【0045】
<自動車の前部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合>
さらにまた、図8、図9に示したように、本発明のアンテナを自動車の前部窓ガラスに設ける場合には、運転者の前方視界を遮らないようにするために、金属フランジの開口部の上辺近傍位置に設けるのが好ましく、特に、開口部のコーナー近傍を除く上辺位置が好ましい。
【0046】
図8に示したように、開口部の上辺近傍位置に設けるアンテナは、芯線側給電点6および接地側給電点7からそれぞれ延ばした芯線側エレメント10および接地側エレメント20は、ガラス板の略中央部に向けて垂直方向、かつ互いに平行に延ばした。
【0047】
これは、芯線側エレメント10、接地側エレメント20のそれぞれを、芯線側給電点、および接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジから遠ざかる方向、すなわちガラス板の中央部方向に、それぞれ延ばしたことによって、金属ボディによる悪影響を軽減させるようにした。
【0048】
図9に示したように、特に、本発明のアンテナを、金属フランジの開口部のコーナー部近傍位置に配設する場合においては、金属フランジ3の開口辺の縦側辺側の前記コーナー寄りの位置に接地側エレメント20を配設し、該側辺から離れた側に芯線側エレメント10を配設することによって、金属ボディからのノイズ等の悪影響を接地側エレメントによって遮断することができる。
【0049】
もちろん、図8に示したように、金属フランジ3の開口部のコーナー部から離れている上辺の中央部側位置に、本発明のアンテナを設ける場合においては、金属フランジの縦側辺から離れているので、芯線側エレメント10と、接地側エレメント20のいずれが前記縦側辺側にあっても良い。
【0050】
また、図14に示したように、芯線側エレメント10と接地側エレメント20とをお互いに交差しないように、各エレメントの任意の箇所で曲折すると、運転者の視界を、各エレメントをただ平行に延ばした場合よりも広く確保できるため、より好ましい実施形態となる。
【0051】
<自動車の後部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合>
さらにまた、図10に示したように、自動車の後部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合には、殆どの場合、後部窓ガラスにデフォッガ4を有していたり、デフォッガ4の上部余白部か、下部余白部の中央部に別のアンテナ(図示しない)が設けられていることが多いため、金属フランジ3の開口部の四隅近傍に設けざるを得ない。しかしながら、本発明のアンテナの各エレメントを垂直方向に配設すると、エレメントの長さによっては、デフォッガ4と干渉する恐れもあるため、本発明のアンテナの各エレメント20、30を水平方向に配設するのが望ましい。
【0052】
このため、金属フランジ3の開口部の四隅のコーナー部近傍で、コーナーを除く縦側辺にコーナーに近い側から順に接地側給電点、芯線側給電点を設け、接地側エレメント20、および芯線側エレメント10の各線条を、フランジの縦側辺から遠ざかる水平方向に向けて延ばすように設けた。
【0053】
コーナーに近い側から順に接地側給電点7、芯線側給電点6を設け、それぞれの給電点から水平方向に接地側エレメント20、芯線側エレメント10を設けるようにしたのは、芯線側エレメント10を金属フランジ3の水平辺側からも遠ざけることによって、金属ボディフランジ3からのノイズ等の悪影響を接地側エレメント20によって遮断することができるからである。
【0054】
また、芯線側エレメント10、および接地側エレメント20のそれぞれを、芯線側給電点および接地側給電点に最も近い位置にある金属フランジの縦側辺から遠ざかる水平方向、すなわちガラス板の中央部方向に、それぞれ延ばしたのは、金属ボディによるノイズ等の悪影響を軽減させるためである。
【0055】
<自動車の側部窓ガラスに本発明のアンテナを設ける場合>
本発明のアンテナを自動車の側部窓ガラスに設ける場合には、側部嵌め殺し窓の金属フランジのコーナー部を除いたすべての開口辺に沿って、芯線側給電点、接地側給電点を並設して設けることができる。
【0056】
また、金属フランジ3の開口部のコーナーを除く上辺または下辺に沿って設ける本発明のアンテナは、芯線側給電点6および接地側給電点7からそれぞれ延ばした芯線側エレメント10および接地側エレメント20が、ガラス板の略中央部に向けて略垂直方向、かつ互いに略平行に延ばすようにしたものである。
【0057】
さらに、金属フランジ3の開口部のコーナーを除く縦側辺に沿って設ける本発明のアンテナは、芯線側給電点6および接地側給電点7からそれぞれ延ばす芯線側エレメント10および接地側エレメント20が、ガラス板の略中央部に向けて略水平方向で、かつ互いに略平行に延ばすようにしたものである。
【0058】
さらにまた、本発明のアンテナを、金属フランジの開口部の上辺または下辺のコーナー部近傍位置に配設する場合においては、前記コーナー側の金属フランジ3の開口辺の縦側辺に近い側に接地側エレメント20を配設し、該側辺から離れている側に芯線側エレメント10を配設することによって、金属ボディからの悪影響を接地側エレメントによって遮断することができる。
【0059】
同様に、本発明のアンテナを、金属フランジの開口部の縦側辺のコーナー部近傍位置に配設する場合においては、金属フランジ3の開口辺の前記コーナー側の水平辺に近い側(コーナーを除く)に接地側エレメント20を配設し、該水平辺から離れている側に芯線側エレメント10を配設することによって、金属ボディからの悪影響を接地側エレメントによって遮断することができる。
【0060】
尚、芯線側エレメント10、接地側エレメントの線条幅は、概ね0.3〜0.8mm程度とする。
【0061】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナの芯線側給電点6に同軸ケーブルの中心導体を接続し、接地側給電点に該同軸ケーブルの外被導体を接続する。
【0062】
このような地上デジタルラジオ放送用の前記ガラスアンテナを図8で示すように自動車の前部窓の金属フランジの開口部のコーナー近傍を除いた上辺近傍位置、または、図9で示すように自動車の前部窓の金属フランジの開口部の上辺のコーナー近傍位置、あるいはまた、図10で示すように後部窓ガラスの金属フランジのコーナー近傍の水平辺、または縦側辺、または図示しない側部の嵌め殺しの固定窓の金属フランジのコーナー部を除く上辺、下辺、または側辺のいずれかに設けると、単独でも良好な受信利得が得られる。
【0063】
前記窓ガラスのいずれかに複数個所設ける、あるいは他の地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナと組み合わせてダイバーシティ受信させると、車両の側部方向から到来する電波であっても受信利得を向上させることができ、指向性を向上させることができる。
【0064】
尚、ガラス板の周辺部に、例えば黒色等に着色した絶縁製のセラミックペースト層2を印刷したものを自動車用の窓ガラス1として用いる場合には、該セラミックペースト層2を乾燥後、地上デジタルラジオ用アンテナの芯線側給電点6と接地側給電点7を前記セラミックペースト層2上に重ねて配設することによって、該アンテナの各給電点6、7が車外から見えなくなるので、見栄えが向上し好ましい。
【0065】
また、以上説明したような本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面、建築用の窓ガラス面、各種のパネル等に貼り付けるようにすることもできる。
【0066】
さらにまた、本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面に貼着するようにしても良い。
【実施例】
【0067】
以下に本発明の各実施例について、説明する。
【0068】
[実施例1]
図1に示すような本発明の実施例1のアンテナを、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設した。該アンテナは、芯線側エレメント10と接地側エレメント20の2つのエレメントからなる非接地型の地上デジタルラジオ用アンテナである。
【0069】
前記接地側エレメント20は、縦横12mmの正方形の接地側給電点7の上辺より金属フランジ3の開口部の縦側辺から遠ざかる水平方向に向けて、長さ50mmの接地側第1線条21を設けた。
【0070】
一方、前記芯線側エレメント10は、縦横12mmの正方形の芯線側給電点6の上辺より、金属フランジ3の開口部の縦側辺から遠ざかる水平方向に向けて、長さ120mmの芯線側第1線条11を設け、さらに、該芯線側第1線条11の途中部より接地側エレメント20に向けて垂直方向に分岐して長さ25mmの直交線条12を延ばし、その先端から芯線側第1線条の延びる方向と同一方向に25mmの芯線側第2線条13を設けた。
【0071】
前記第直交線条12の芯線側第1線条からの分岐位置は、前記芯線側給電点6の端部から長さ10mmの位置であり、芯線側給電点6と接地側給電点7との間隔は18mmである。
【0072】
前記芯線側エレメント10、接地側エレメント20の各線条、および各給電点は、窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって、各線条の幅を0.7mmで印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0073】
このようにして作成した実施例1の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信した。
【0074】
実施例1のパターン(図1参照)と、後述する比較例1のパターン(図11参照)によって得られたバンド3帯域における周波数特性を図12に示す。
【0075】
図12に示したように、実線で示した本発明の実施例1のパターンの受信感度が、点線で示した比較例1のパターンの受信感度に比べて、バンド3の全周波数帯域にわたって高い受信感度が得られていることがわかる。
【0076】
[実施例2]
図2に示す実施例2のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図1に示す実施例1のアンテナパターンと比べて、パターンとしては、芯線側エレメント10の第2線条が直接芯線側給電点6から垂直方向に延ばした点が異なっているのに加えて、芯線側エレメント10の直交線条12と芯線側第2線条13の各線条の長さは、実施例1と実施例2ではそれぞれ異なっている。しかしながら、芯線側給電点6から芯線側第2線条の先端までの線条の合計長さは、実施例1と実施例2とでは、略同一長さの60mmである。
【0077】
また、芯線側第1線条11の長さ、接地側エレメント20の長さ、2つの給電点間の間隔は、実施例1と同一である。
【0078】
実施例2のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0079】
このようにして作成した実施例2の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例1と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0080】
[実施例3]
図3に示す実施例3は、自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍位置に本発明のアンテナの芯線側給電点6、接地側給電点7を併設し、それぞれの給電点から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を縦方向に延ばした点で、各給電点6、7から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を水平方向に延ばした前記実施例1、2とは異なっている。
【0081】
さらに、図2に示す実施例2のパターンと比べて、芯線側給電点から垂直下方に延ばした芯線側エレメント10の芯線側第2線条が、直接芯線側給電点6から金属フランジ3の開口部の縦側辺から遠ざかる左方に延ばし、その先端から芯線側第1線条に平行、かつ芯線側第1線条が延びる方向に延ばした点が異なっている。
【0082】
一方、接地側給電点7より金属フランジから遠ざかる方向に延ばした接地側エレメント20は同一である。
【0083】
前記アンテナは、実施例2と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0084】
このようにして作成した実施例3の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の前部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側の給電点6に、外被導体については接地側の給電点7に接続して周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0085】
[実施例4]
図4に示す実施例4のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図1に示す実施例1のアンテナパターンと比べると、芯線側エレメント10の第2線条13が芯線側第1線条11の途中部から垂直下方に分岐した直交線条12を設け、その先端より芯線側第1線条11に平行に芯線側第2線条13を延ばした点が異なり、その他については、実施例1と同一である。
【0086】
実施例4のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0087】
このようにして作成した実施例4の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例1と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0088】
[実施例5]
図5に示す実施例5のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺のガラス面上に配設したものであり、図2に示す実施例2のアンテナパターンと比べて、接地側エレメント20の形状が閉ループ形状となっている点で実施例2とは異なり、芯線側エレメント10は実施例と同一である。
【0089】
前記閉ループ形状の接地側エレメント20は、接地側給電点7の幅を保って水平方向に延ばした2本の水平線条の先端を結んだ長方形状である。
実施例5のアンテナを、実施例2と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0090】
このようにして作成した実施例5の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0091】
[実施例6]
図6に示す実施例6のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図2に示す実施例2のアンテナパターンと比べて、芯線側エレメント10の第1線条の途中部より分岐した直交線条の先端より延ばした第2線条の先端を第1線条に接続して、長方形状部を形成した点が異なっている。
【0092】
また、芯線側エレメントの芯線側第1線条11の長さ、接地側エレメント20の長さ、2つの給電点間の間隔は、実施例2と同一である。
【0093】
実施例6のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0094】
このようにして作成した実施例6の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0095】
[実施例7]
図7に示す実施例2のアンテナパターンは、自動車の後部窓ガラス1のデフォッガ3の上部余白部内で、金属フランジ3の開口部の縦側辺近傍のガラス面上に配設したものであり、図2に示す実施例2のアンテナパターンと比べて、芯線側エレメント10の直交線条12、芯線側第2線条13の配設位置が異なっている。すなわち、当該相違点は、芯線側第1線条の途中部より直交するように分岐した直交線条12の先端より左右両方向に芯線側第2線条を延ばした。
【0096】
一方、芯線側第1線条11、接地側エレメント20等は、実施例2と同一である。
【0097】
実施例7のアンテナを、実施例2と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0098】
このようにして作成した実施例7の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、実施例2と同様に満足できる受信感度が得られ、充分実用レベルにあった。
【0099】
[実施例8]
図13に示す実施例8は、自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍位置に本発明のアンテナの芯線側給電点6、接地側給電点7を併設し、それぞれの給電点から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を縦方向に延ばし、各エレメントを任意に位置で直角に曲折している点で、各給電点6、7から芯線側エレメント10、接地側エレメント20を水平方向に真っ直ぐ延ばしただけの実施例7とは異なっている。ただし、各線条の長さは、実施例7と同一である。
【0100】
芯線側エレメント10、接地側エレメント20の各線条、および各給電点は、窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって、各線条の幅を0.7mmで印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0101】
このようにして作成した実施例8の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の前部窓ガラスに設けて、さらに、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側給電点6に、外被導体については接地側給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信した。
【0102】
実施例8のパターン(図13参照)と、後述する比較例1のパターン(図11参照)によって得られたバンド3帯域における周波数特性を図15に示す。
【0103】
図15に示したように、実線で示した本発明の実施例8のパターンの受信感度が、点線で示した比較例1のパターンの受信感度に比べて、バンド3の全周波数帯域にわたって高い受信感度が得られていることがわかる。
【0104】
以上、好適な実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の応用が可能である。
【0105】
[比較例1]
図11に示す比較例1は、芯線側エレメント10’として、実施例1に示すようなバンド3帯域の中間周波数で共振する長さの芯線側第1線条(図1参照)だけを有しており、接地側エレメント20は実施例1と同一パターンである。
【0106】
前記比較例1のアンテナを、実施例1と同様に窓ガラス板の室内面側の所定位置に導電性のセラミックペーストによって印刷し、乾燥後、加熱炉によって焼付けした。
【0107】
このようにして作成した比較例1の地上デジタルラジオ放送波受信用アンテナを自動車の後部窓ガラスに設けて、図示しないチューナーから延ばした同軸ケーブルの中心導体を芯線側の給電点6に、外被導体については接地側の給電点7に接続し、周波数174〜240MHzのバンド3帯の地上デジタルラジオ放送波帯域のアンテナとして受信したところ、図12の細い点線で示したように、低い周波数特性を示し、太い点線で示した実施例1の特性が優れていることが明確となった。
【符号の説明】
【0108】
1 窓ガラス
2 セラミックペースト層
3 金属フランジ
4 デフォッガ
6 芯線側給電点
7 接地側給電点
10、10’ 芯線側エレメント
11 芯線側第1線条
12 直交線条
13 芯線側第2線条
20 接地側エレメント
21 接地側第1線条
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DAB規格の地上デジタルラジオ放送波用のバンド3帯の周波数帯域幅内の全帯域に亘って電波を受信可能な非接地型の車両用のガラスアンテナにおいて、
自動車の窓の金属フランジの開口部近傍のガラス面で互いに近接して並設した芯線側給電点及び接地側給電点と、
接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジとは離れる方向に延ばした線条を含む接地側エレメントと、
芯線側給電点から前記接地側エレメントの線条と略平行に延ばした芯線側第1線条と、該芯線側第1線条から分岐、または芯線側給電点から直接芯線側第1線条と平行に延ばした芯線側第2線条とを含む芯線側エレメントと、からなり、
前記芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さを、それぞれ前記1つの周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の線条長さとすることを特徴とする車両用ガラスアンテナ。
【請求項2】
前記芯線側第1線条及び前記芯線側第2線状並びに前記接地側エレメントの線条が、それぞれ任意の箇所で、互いの線条が交差しないように曲折されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項3】
共振する線条長さは、ガラスの波長短縮率をα、共振周波数の波長をλとしたとき、αλ/4であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項4】
前記接地側エレメントを矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項5】
前記芯線側エレメントの第2線条の先端部を第1線条と接続して、略矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項6】
前記金属フランジの開口部の水平辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点をコーナーから離した水平辺近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項7】
前記金属フランジの開口部の縦辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点をコーナーから離した縦辺近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項8】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項9】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の後部窓ガラスの開口部のコーナー部近傍位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項10】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の側部嵌め殺し窓ガラスの開口部内に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項11】
本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面に貼着したことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項1】
DAB規格の地上デジタルラジオ放送波用のバンド3帯の周波数帯域幅内の全帯域に亘って電波を受信可能な非接地型の車両用のガラスアンテナにおいて、
自動車の窓の金属フランジの開口部近傍のガラス面で互いに近接して並設した芯線側給電点及び接地側給電点と、
接地側給電点から最も近い位置にある金属フランジとは離れる方向に延ばした線条を含む接地側エレメントと、
芯線側給電点から前記接地側エレメントの線条と略平行に延ばした芯線側第1線条と、該芯線側第1線条から分岐、または芯線側給電点から直接芯線側第1線条と平行に延ばした芯線側第2線条とを含む芯線側エレメントと、からなり、
前記芯線側給電点から芯線側第1線条、および芯線側第2線条の各先端までの長さを、それぞれ前記1つの周波数帯域幅内で共振する2つの離れた共振周波数の線条長さとすることを特徴とする車両用ガラスアンテナ。
【請求項2】
前記芯線側第1線条及び前記芯線側第2線状並びに前記接地側エレメントの線条が、それぞれ任意の箇所で、互いの線条が交差しないように曲折されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項3】
共振する線条長さは、ガラスの波長短縮率をα、共振周波数の波長をλとしたとき、αλ/4であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項4】
前記接地側エレメントを矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項5】
前記芯線側エレメントの第2線条の先端部を第1線条と接続して、略矩形状の閉ループ線条としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項6】
前記金属フランジの開口部の水平辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点をコーナーから離した水平辺近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項7】
前記金属フランジの開口部の縦辺近傍で、かつコーナー近傍に設ける場合、接地側給電点をコーナー寄りで、芯線側給電点をコーナーから離した縦辺近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項8】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の前部窓ガラスの金属フランジの開口部の上辺近傍に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項9】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の後部窓ガラスの開口部のコーナー部近傍位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項10】
前記地上デジタルラジオ放送波受信用のアンテナを自動車の側部嵌め殺し窓ガラスの開口部内に設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項11】
本発明のアンテナパターンを粘着面を有する透明な樹脂フイルムまたはシートに導電性材料によって印刷、またはワイヤー線条等の貼り付けによって作成し、自動車の窓ガラス面に貼着したことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の車両用ガラスアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−23707(P2012−23707A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46057(P2011−46057)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】
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