説明

車両用グリル制御機構

【課題】可動部材の作動状態が異常であるか否かを適切に判定でき、コストや搭載性に優れた車両用グリル制御機構を提供する。
【解決手段】開位置と閉位置とに切換可能な可動部材と、可動部材を駆動する電動モータと、ロック電流値を検出するまで電動モータに電流を印加して、可動部材の開作動又は閉作動を実行する制御手段とを備え、制御手段は、開作動又は閉作動の作動開始からロック電流値を検出するまでの時間が予め設定された所定時間の範囲外であれば(#15,Yes)、可動部材を作動開始側の位置に戻す作動と再度開作動又は閉作動とを行う確認作動を実行し(#16)、確認作動において、作動開始側の位置から作動を開始した後にロック電流値を検出するまでの時間が所定回数所定時間の範囲外となった場合に(#18,Yes)、可動部材の作動状態が異常状態にあると判定する(#19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えたラジエータに外気を導入する開位置と、外気の導入を禁止又は抑制する閉位置とに切換可能な可動部材の開閉作動を制御する車両用グリル制御機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用グリル制御機構として、車両のフロントグリルとラジエータとの間に可動部材を設けて、車両の前方からラジエータへの空気の流入量を調整することで、車両の空力特性の調整や、エンジン温度の調整等を図り、好ましい走行を実現しようとするものがあった(例えば、特許文献1参照)。具体的には、可動部材は、横軸芯周りに揺動自在な可動フィンで構成してあり、この可動フィンによる空気流入路の開閉制御によって、空気流入量を調節して、車両に空気抵抗、揚力或いはダウンフォースを付与して、安定した走行状態を確保できるようにするものである。
【0003】
又、特許文献2には、環境条件(外気温等)とエンジン負荷条件(エンジン冷却媒体の温度等)とに応じて、可動部材(可動グリル)の開閉作動を制御する車両用グリル制御機構が開示されている。この車両用グリル制御機構は、ある環境条件とエンジン負荷条件下において適正な冷却効果が得られる可動部材の開閉状態を、記憶手段に記憶された複数の判定条件に基づいて推測し、この推測結果に基づいて可動部材の開閉制御を行うことにより、エンジン冷却媒体の冷却の適正化を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6855号公報
【特許文献2】特開平5−50861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記車両用グリル制御機構はいずれも、各条件に応じて可動部材を開位置又は閉位置に作動制御することにより、エンジン冷却媒体の冷却や車両の走行安定性の向上を図るものである。しかし、可動部材に異物が挟まったり、可動部材の駆動機構に機械的な異常が発生したりすると、制御に応じた作動が適切に行われなくなる場合がある。
【0006】
このような場合に、異常を認識しないまま可動部材の作動制御が継続されると、可動部材や電動モータ等に過度な負荷がかかり破損するおそれがある。一方、可動部材が指令通りの位置にあるか否かの確認のために、ポテンショメータ等を新たに設けることとすれば、車両用グリル制御機構のコストの上昇や搭載性の悪化を招来し望ましくない。また、すぐに取り除くことのできる小石等の異物を、可動部材が挟み込んで動かなくなった場合等に異常と判断してしまうと、ユーザーはその都度対応が必要となり煩わしい。
【0007】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたもので、可動部材の作動状態が異常であるか否かを適切に判定でき、コストや搭載性に優れた車両用グリル制御機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両用グリル制御機構の第1特徴構成は、車両に備えたラジエータに外気を導入する開位置と、外気の導入を禁止又は抑制する閉位置とに切換可能な可動部材と、前記可動部材を駆動する電動モータと、ロック電流値を検出するまで前記電動モータに電流を印加して、前記可動部材を前記開位置に移動させる開作動又は前記閉位置に移動させる閉作動を実行する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記開作動又は前記閉作動の作動開始から前記ロック電流値を検出するまでの時間が予め設定された所定時間の範囲外であれば、前記可動部材を前記作動開始側の位置に戻す作動と再度前記開作動又は前記閉作動とを行う確認作動を実行し、前記確認作動において、前記作動開始側の位置から作動を開始した後に前記ロック電流値を検出するまでの時間が所定回数前記所定時間の範囲外となった場合に、前記可動部材の作動状態が異常状態にあると判定する点にある。
【0009】
第1特徴構成によれば、可動部材の開作動又は閉作動時にロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲外となった場合に、すぐに異常であると判定するのではなく、可動部材を一旦元の位置の側に戻してから再度開作動又は閉作動を行う確認作動を行い、この再度の開作動又は閉作動においてロック電流値を検出するまでの時間が上記所定時間の範囲外か否かにより異常判定を行う。このように、ロック電流値を検出するまでの時間で異常判定を行うため、別途可動部材の位置を検出するためのポテンショメータ等を設ける必要がなく、コストや搭載性に優れた車両用グリル制御機構を提供することができる。
【0010】
又、本構成によれば、直近に得たロック電流値が検出されるまでの時間だけで異常判定を行うので、過去のロック電流値が検出されるまでの時間を記憶しておく必要がなく、制御プログラムの簡易化を図ることができる。さらに、例えば異物が挟まって可動部材が動かなくなったが、可動部材を元の位置の側に戻せば異物が取り除かれて正常状態に戻ることができるような場合に、本構成によれば確認作動にて一旦元の位置の側に戻すため、このときに異常が解消でき、作動制御を継続することができる。
【0011】
第2特徴構成は、前記所定回数を2回に設定した点にある。
【0012】
上記所定回数を1回とすると、可動部材に挟まった異物が十分に取り除けないまま、異常状態と判定してしまうおそれがある。一方、上記所定回数を多く設定すると、異常状態と判定するまでの確認作動の回数が多くなり、電力消費が大きくなる。第2特徴構成のごとく上記所定回数を2回に設定すれば、確認作動において異物を取り除く可能性を高めつつ、電力消費を抑制することができる。
【0013】
第3特徴構成は、前記異常状態と判定され、最後の前記確認作動において前記開作動又は前記閉作動の作動開始直後に前記ロック電流値を検出した場合は、前記可動部材が前記開位置及び前記閉位置のいずれの側にも移動できない移動不可能状態であると判定し、前記異常状態と判定され、最後の前記確認作動において前記開作動又は前記閉作動の作動開始直後に前記ロック電流値を検出しなかった場合は、前記可動部材が前記開位置と前記閉位置との間の一部しか移動できない一部領域移動可能状態であると判定する点にある。
【0014】
第3特徴構成によれば、最後の確認作動における開作動又は閉作動時のロック電流値の検出が作動開始直後であったか否かによって、可動部材が全く動けない移動不可能状態か、一部の領域でのみ移動できる一部領域移動可能状態かの区別を行うことができる。このように、最後の確認作動における開作動又は閉作動時のロック電流値が検出されるまでの時間だけで異常判定を行うので、それまでの確認作動の当該時間を記憶しておく必要がなく、制御プログラムの簡易化を図ることができる。なお、本構成における「最後の確認作動」には、確認作動を1回のみ行った場合のその1回も含まれる。
【0015】
第4特徴構成は、前記移動不可能状態と判定された場合は、前記可動部材の作動制御を停止し、前記一部領域移動可能状態と判定された場合は、前記可動部材を前記作動開始側の位置に戻した後に作動制御を停止する点にある。
【0016】
第4特徴構成によれば、移動不可能状態と判定された場合は作動制御を停止するため、可動部材が動くことができないのに作動制御を続行することにより可動部材や電動モータ等に過大な負荷が発生することを防止できる。又、本構成によれば、一部領域移動可能状態と判定された場合は可動部材を元の位置に戻してから作動制御を停止する。このため、例えば可動部材に異物が挟まって一部領域移動可能状態と判定された場合に、可動部材が異物を挟んだ無理な状態で放置されることにより破損するおそれを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】可動部材が開位置のときの車両前部の断面図である。
【図2】可動部材が閉位置のときの車両前部の断面図である。
【図3】本発明に係る車両用グリル制御機構の構成図である。
【図4】異常判定の流れを示すフローチャートである。
【図5】確認作動の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用グリル制御機構の実施形態について図1〜図5を用いて説明する。
【0019】
図1は可動部材21が開位置のときの車両前部の断面図を、図2は可動部材21が閉位置のときの車両前部の断面図を示したものである。車両前部に形成されたエンジンルーム1には、エンジン2と、エンジン2の冷却媒体を冷却するためのラジエータ3とが設けられている。ラジエータ3の前方には可動部材21が設けられ、可動部材21を制御手段11で開閉制御することにより、フロントグリル4から導入した外気をエンジンルーム1に導入するか否かを切換可能に構成されている。フロントグリル4はバンパー5の上下に設けられ、主にフロントグリル4の意匠を形成する枠部4aと、外気をエンジンルーム1に導入するための開口部4bとからなる。
【0020】
可動部材21は隣接する主動部材21aと従動部材21bとが1組となって作動するよう構成されている。主動部材21aの端部に連結された車幅方向に沿う回動軸22aと、従動部材21bの端部に連結された車幅方向に沿う回動軸22bとは、図示しないギアを介して一体的に作動するよう構成されている。すなわち、制御手段11からの指令により駆動する電動モータ12(図3参照)の動力は、回動軸22aを介して直接的に主動部材21aに伝達される。この伝達系を伝達するモータ12からの動力が、上記ギアによって回動軸22bへも伝達されることにより、従動部材21bが主動部材21aと同時的に回動する。
【0021】
図1に示すように可動部材21が開位置にあるときは、フロントグリル4から導入された外気がそのままエンジンルーム1に取り入れられ、ラジエータ3の内部を流れる冷却媒体の冷却を促進する。一方、図2に示すように可動部材21が閉位置にあるときは、フロントグリル4から導入された外気はエンジンルーム1に流入しないため、車両に作用する空気抵抗や揚力が小さくなる。又、可動部材21で遮断された外気が、車両の床面の下側に流れてダウンフォースを発生させる。したがって、可動部材21を閉位置にすれば、車両の走行安定性の向上を図ることができる。
【0022】
図3は車両用グリル制御機構の構成図を示したものである。制御手段11には、車両に設けられた速度センサ13、外気温センサ14及び冷却媒体温度センサ15からの検出値を読み取り、これらの検出値に応じて可動部材21を開位置とすべき開作動条件が成立しているか、閉位置とすべき閉作動条件が成立しているかを判定する。例えば、速度センサ13から検出される速度が大きい場合には、走行安定性を向上させるため閉作動を行い、冷却媒体温度センサ15から検出される冷却媒体温度が高い場合には、これを効率的に冷却するため開作動を行うといった制御を行うことができる。
【0023】
本実施形態では、制御手段11が開作動条件及び閉作動条件の判断を速度センサ13、外気温センサ14及び冷却媒体温度センサ15からの検出値により行うとしたが、必ずしもこれらの検出値を判断要素に用いる必要はなく、又、別のセンサからの検出値を判断要素に用いてもよい。制御手段11が開作動又は閉作動を行うべきと判断すると、電動モータ12に電流が印加され、可動部材21が作動する。また、制御手段11は電動モータ12への印加電流を監視し、ロック電流値を検出すると電流印加を停止して、可動部材21の作動を停止する。
【0024】
制御手段11にて行われる異常判定の流れを、図4のフローチャートに基づいて説明する。車両走行中、制御手段11は、適宜速度センサ13、外気温センサ14及び冷却媒体温度センサ15からの検出値を読み取り、これらの検出値に応じて可動部材21を開位置とすべき開作動条件が成立しているか、閉位置とすべき閉作動条件が成立しているかを確認する(#11)。その結果に応じて制御手段11は電動モータ12に電流を印加し、開作動又は閉作動を開始する(#12)。
【0025】
ステップ#13以降の説明については、説明を明瞭にするためステップ#11にて開作動条件が成立し、ステップ#12にて開作動を開始した場合について説明する。図5に示した確認作動のフローチャートの説明についても同様である。なお、図4及び図5のフローチャートにおいて、括弧書きで記載している作動に読み替えれば、ステップ#11にて閉作動条件が成立した場合の異常判定及び確認作動の流れとなる。
【0026】
電動モータ12からの動力により可動部材21が開作動を開始すると(#12)、制御手段11は電動モータ12に印加される電流値を監視し、ロック電流値を検出したか否かを随時確認する(#13)。ロック電流値を検出していない場合は(#13,No)、ロック電流値を検出するまで電流印加を継続する。ロック電流値を検出すると(#13,Yes)、制御手段11は電流印加を停止して可動部材21の開作動を停止し(#14)、上記ロック電流値を検出するまでの時間が予め設定した所定時間の範囲外か否かを判断する(#15)。
【0027】
ロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲内だった場合(#15,No)、すなわち可動部材21が問題なく開位置まで移動したと判断された場合は、その後適宜作動条件を確認しながら通常の開閉制御を継続する(#11〜#15)。一方、ロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲外であった場合は(#15,Yes)、可動部材21が開位置に至るまでに何らかの異常が発生して、途中で停止したと考えられる。そこで、作動状態が異常状態にあるか否かを判定するため確認作動を実行する(#16)。
【0028】
確認作動の内容を、図5のフローチャートに基づいて説明する。開作動中のロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲外となった場合には(図4,#15,Yes)、電動モータ12を逆回転させて、可動部材21を元の位置の側に戻す作動、すなわちこの場合は閉作動を開始する(#31)。以下、この閉作動を「確認閉作動」と称する。確認閉作動をロック電流値が検出されるまで行い、ロック電流値を検出したら(#32,Yes)、確認閉作動を停止し(#33)、電動モータ12を逆回転させて開作動を開始する(#34)。以下、この開作動を「確認開作動」と称する。確認開作動をロック電流値が検出されるまで行い、ロック電流値を検出したら(#35,Yes)、確認開作動を停止して(#36)、確認作動が終了する。
【0029】
図4のフローチャートに戻って、確認作動後の異常判定の流れについて説明する。確認作動を終えると、確認開作動においてロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲外だったか否かを判断する(#17)。このように、確認閉作動においてロック電流値を検出するまでの時間を判断要素とせずに、直近の確認開作動においてロック電流値が検出されるまでの時間だけで判断するので、当該時間を記憶しておく必要がなく、制御プログラムの簡易化を図ることができる
【0030】
確認開作動においてロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲内だった場合は(#17,No)、その後適宜作動条件を確認しながら通常の開閉制御を継続する(#11〜#15)。一方、確認開作動においてロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲外だった場合は(#17,Yes)、当該時間が所定時間の範囲外となったのが連続で所定回数目であるか否かを判断する(#18)。
【0031】
上記所定回数とは予め設定しておくものであり、1回も含めて何回に設定してもよいが、所定回数を多く設定すると、異常状態と判定するまでの確認作動の回数が増え、電力消費が大きくなる。一方、所定回数を1回とすると、可動部材21に挟まった異物が十分に取り除けないまま、異常状態と判定してしまうおそれがある。したがって、所定回数は2回程度に設定するのが好ましいと考えられる。
【0032】
確認開作動において、ロック電流値を検出するまでの時間が所定時間の範囲外となるのが所定回数未満の場合は(#18,No)、再度確認作動を実行する(#16)。一方、連続で所定回数目であった場合は(#18,Yes)、可動部材21の作動状態が異常状態であると判定する(#19)。なお、本実施形態のように、上記所定時間の範囲外となったのが連続で所定回数目に至った場合だけでなく、連続でなくても累積で所定回数目に至った場合に異常状態と判定するように構成してもよい。
【0033】
異常状態であると判定された場合は、確認開作動においてロック電流値を検出したのが作動開始直後であったか否かを判断する(#20)。ここで「直後」に検出するとは、電流を印加すると瞬間的にロック電流値を検出することを意味する。ロック電流値を検出したのが確認開作動開始直後であった場合は(#20,Yes)、確認閉作動によって可動部材21を閉位置側に戻すことができなかった、すなわち可動部材21が開位置側にも閉位置側にも移動できない移動不可能状態であったと判定する(#21)。このとき、可動部材21が動くことができないのに作動させようとすることにより、可動部材21や電動モータ12等に過大な負荷が発生することを防止するため作動制御を停止する(#22)。
【0034】
一方、確認開作動においてロック電流値を検出したのが作動開始直後でなかった場合は(#20,No)、確認閉作動によって可動部材21を閉位置側に戻すことができた、すなわち可動部材21が開位置と閉位置との間の一部の領域のみを移動できる一部領域移動可能状態であったと判定する(#23)。このとき、例えば可動部材21に異物が挟まって異常状態となっている場合、可動部材21が異物を挟んだ無理な状態で放置されることにより破損するのを回避するため、可動部材21を作動開始側の位置に戻す作動、すなわちこの場合は閉作動を実行してから作動制御を停止する(#24)。
【0035】
本実施形態では、ステップ#20のロック電流値の検出が作動開始直後であったか否かの判断において、確認開作動時(図5,#34)におけるロック電流値を検出するまでの時間だけを判断要素に用いるものとした。このように構成すれば、確認閉作動時(図5,#31)におけるロック電流値が検出されるまでの時間を記憶しておく必要がないため、制御プログラムの簡易化を図ることができる。しかし、この判断において、確認閉作動時におけるロック電流値が検出されるまでの時間を判断要素に用いてもよい。
【0036】
[別の実施形態]
上述の実施形態では、図4のステップ#13においてロック電流値が検出されることを前提としている。しかし、可動部材21と回動軸22の固定が緩んでいる場合等、電動モータ12をどれだけ駆動してもロック電流値が検出されない場合も考えられる。このような場合を想定し、ステップ#12の作動開始後、ロック電流値を検出しないまま所定時間の範囲を超過した場合に、可動部材21の作動状態が異常状態であると判定するように構成してもよい。
【0037】
又、上述の実施形態においては、図1又は図2に示したように可動部材21が主動部材21aと従動部材21bとからなるものとしたが、可動部材21の形態や構成はこれに限られるものではない。例えば、主動部材21aと従動部材21bとの区別なく、全てが独立に駆動するように構成してもよいし、可動部材21の回動軸22が可動部材21の端部以外の場所にあってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
ラジエータに外気を導入する開位置と、外気の導入を禁止又は抑制する閉位置とに切換可能な可動部材の開閉作動を制御する車両用グリル制御機構に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 エンジンルーム
2 エンジン
3 ラジエータ
4 フロントグリル
11 制御手段
12 電動モータ
21 可動部材
21a 主動部材
21b 従動部材
22a 回動軸
22b 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えたラジエータに外気を導入する開位置と、外気の導入を禁止又は抑制する閉位置とに切換可能な可動部材と、
前記可動部材を駆動する電動モータと、
ロック電流値を検出するまで前記電動モータに電流を印加して、前記可動部材を前記開位置に移動させる開作動又は前記閉位置に移動させる閉作動を実行する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記開作動又は前記閉作動の作動開始から前記ロック電流値を検出するまでの時間が予め設定された所定時間の範囲外であれば、前記可動部材を前記作動開始側の位置に戻す作動と再度前記開作動又は前記閉作動とを行う確認作動を実行し、前記確認作動において、前記作動開始側の位置から作動を開始した後に前記ロック電流値を検出するまでの時間が所定回数前記所定時間の範囲外となった場合に、前記可動部材の作動状態が異常状態にあると判定する車両用グリル制御機構。
【請求項2】
前記所定回数を2回に設定した請求項1に記載の車両用グリル制御機構。
【請求項3】
前記異常状態と判定され、最後の前記確認作動において前記開作動又は前記閉作動の作動開始直後に前記ロック電流値を検出した場合は、前記可動部材が前記開位置及び前記閉位置のいずれの側にも移動できない移動不可能状態であると判定し、
前記異常状態と判定され、最後の前記確認作動において前記開作動又は前記閉作動の作動開始直後に前記ロック電流値を検出しなかった場合は、前記可動部材が前記開位置と前記閉位置との間の一部しか移動できない一部領域移動可能状態であると判定する請求項1又は2に記載の車両用グリル制御機構。
【請求項4】
前記移動不可能状態の場合は、前記可動部材の作動制御を停止し、前記一部領域移動可能状態の場合は、前記可動部材を前記作動開始側の位置に戻した後に作動制御を停止する請求項3に記載の車両用グリル制御機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−105221(P2011−105221A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264028(P2009−264028)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】