説明

車両用シートのロアシールド

【課題】 リフター機構を備えた車両用シートの後方下部を隠蔽するための車両用シートのロアシールドであって、シートのアッパーモースト時(最も上昇した時)からシートのダウンモースト時(最も下降した時)のいかなるシートシートポジションであっても優れた見栄えを発揮することができる車両用シートのロアシールドを提供すること。
【解決手段】 リフター機構を備えた車両用シート30の後方下部を隠蔽するための車両用シートのロアシールドであって、板状のシールド本体5aとレールカバー部材5bとリヤロッド3に連結する連結板5cとからなり、シールド本体5aはレールカバー部材5bに対し回動自在に取り付けられているとともに、シールド本体5aと連結板5cの境界部は屈曲可能なヒンジ7となっているものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフター機構を備えた車両用シートの後方下部を隠蔽するための車両用シートのロアシールドであって、シートのアッパーモースト時(最も上昇した時)からシートのダウンモースト時(最も下降した時)のいかなるシートポジションであっても優れた見栄えを発揮することができる車両用シートのロアシールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のフロントシート等には着座者の体格に合わせて最適なポジションが得られるように、フロントシートを前後に位置調整するスライド機構を備えているのが普通である。この場合、フロントシートはボディ床面に設けられたレール上をスライドして移動するが、レール後端部が剥き出しになっていると見栄えが悪いうえに、リヤシートの着座者のつま先等がレール後端部に接触することもあるため、シートの後方下部を隠蔽するロアシールドと称される保護板が取り付けてある。
一方、最近のフロントシート等には運転者の体格に合わせて最適なドライビングポジションが得られるように、シートクッションを自在に昇降動可能とするリフター機構を備えたものが実用化されている(特許文献参照)。
【0003】
図4〜図5は、このようなリフター機構付きのフロントシートにおけるロアシールドの一例を示すものであり、図において、21はシートスライド用レール、21aは該レールの取付ブラケット、22はロアアーム、23はリヤロッド、24はアウターシールドである。そして、シートの後方下部にはロアシールド25が取り付けてある。なお、図4はシートのアッパーモースト時(最も上昇した時)の状態、図5はシートのダウンモースト時(最も下降した時)の状態を示すものである。
【0004】
しかしながら、従来のものでは、シートのダウンモースト時においてロアアーム22が下降した場合にロアシールド25との干渉を避ける必要性から、ロアシールド25にロアアーム収納用のスリット25aを形成しておく必要があり、シートの上昇時、特に図4に示すようなアッパーモースト時においては、前記スリット25aが剥き出しになってしまい見栄えに劣るという問題点があった。
【特許文献1】実公平6−7969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、リフター機構を備えた車両用シートの後方下部を隠蔽するための車両用シートのロアシールドであって、シート上昇時から下降時のいかなるシートシートポジションであっても優れた見栄えを発揮することができ、またシート移動用のレール後端部も確実に隠蔽して優れた安全性も発揮することができる車両用シートのロアシールドを提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の車両用シートのロアシールドは、リフター機構を備えた車両用シートの後方下部を隠蔽するための車両用シートのロアシールドであって、シートの後方下部を隠蔽する板状のシールド本体と、該シールド本体の下部にあるレールカバー部材と、該シールド本体の上部にあってリヤロッドに連結する連結板とからなり、シールド本体はレールカバー部材に対し回動自在に取り付けられているとともに、シールド本体と連結板の境界部は屈曲可能なヒンジとなっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用シートのロアシールドは、シールド本体とレールカバー部材と連結板とからなり、シールド本体はレールカバー部材に対し回動自在に取り付けられているとともに、シールド本体と連結板の境界部は屈曲可能なヒンジとなっている構造であるので、シートを下降させるとロアアームも下降するが、シールド本体と連結板がヒンジを中心に断面く字状に屈曲してロアアームとの干渉を避けることとなり、しかも屈曲したシールド本体が常にシートの後方下部を隠蔽するため、シートのアッパーモースト時(最も上昇した時)からシートのダウンモースト時(最も下降した時)のいかなるシートシートポジションであっても優れた見栄えを呈することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい形態を示す。
図面は、本発明をリフター機構を備えた自動車用シートのフロントシートに適用した場合を示すもので、図1はシートのアッパーモースト時を示す斜視図、図2はシートのダウンモースト時を示す斜視図、図3はリフター機構付きのフロントシートを示す全体斜視図である。
図1、2において、1はシートスライド用レール、1aは該レールの取付ブラケット、2はロアアーム、3はリヤロッド、4はアウターシールドであり、シートの後方下部にはロアシールド5が取り付けてある。また、図3において、30はフロントシート、31は装飾用のカーペットである。
【0009】
前記ロアシールド5は、シートの後方下部を隠蔽するためのものであり、例えばポリプロピレン等の合成樹脂で形成され、シートの後方下部を隠蔽する板状のシールド本体5aと、該シールド本体5aの下部にあるレールカバー部材5bと、該シールド本体5aの上部にあってリヤロッド3に連結する連結板5cとから構成されている。また、シールド本体5aはレールカバー部材5bに対し下端縁にあるヒンジ6を中心に後方側へ回動自在に取り付けられている。一方、シールド本体5aと連結板5cの境界部は屈曲可能なヒンジ7となっており、該ヒンジ7を中心に断面く字状に屈曲するように構成されている。なお、図示のものではヒンジ7としてインテグラルヒンジを採用してある。
なお、5dは連結板5cの先端部をリヤロッド3に連結するための断面C字状の係止部である。また、図示のものは、シートの右側後方部を示しているが、左側後方部にも同様のロアシールドが装着されている。
【0010】
以上のロアシールド5は、レールカバー部材5bをレール1の端部に嵌合装着するとともに、該レールカバー部材5bと一体成形されたブラケット5eをネジ止め等によりシートに固定し、また断面C字状の係止部5dをリヤロッド3に引っ掛けて固定することで簡単に取り付けることができる。
【0011】
次に、本発明のロアシールドの作動について説明する。
図1に示されるように、シートが最も上昇しているアッパーモースト時には、ロアシールド5は係止部5dをリヤロッド3に引き上げられてシールド本体5aがカーペット端末から露出している下方部を確実に隠蔽した状態を保っている。
【0012】
次いで、リフター機構を作動してシートを下降させると、リヤロッド3も下降することになる。このリヤロッド3には係止部5dが係合しているため、下降に伴い連結板5cには下向きの力が加わることとなるが、レールカバー部材5bがレール1に固定されているためロアシールド5全体が下降することはない。一方、シールド本体5aはレールカバー部材5bに対し下端縁にあるヒンジ6を中心に後方側へ回動自在に取り付けられているとともに、シールド本体5aと連結板5cの境界部は屈曲可能なヒンジ7となっているので、シートの下降に伴いシールド本体5aと連結板5cとはヒンジ7を屈曲点として断面く字状に屈曲することとなる(図2参照)。また、シールド本体5aと連結板5cが屈曲するため、リヤロッド3との干渉もない。
このように、シートが下降してもカーペット端末から露出している下方部は常にシールド本体5aにより隠蔽した状態が保持されるため、レール1等が剥き出し状態になることがなく常時優れた外観を呈することとなる。
【0013】
以上の説明からも明らかなように、本発明は板状のシールド本体5aとレールカバー部材5bとリヤロッド3に連結する連結板5cとからなり、シールド本体5aはレールカバー部材5bに対し回動自在に取り付けられているとともに、シールド本体5aと連結板5cの境界部は屈曲可能なヒンジ7となっているものとしたので、シートを下降させるとロアアーム2も下降するが、シールド本体5aと連結板5cがヒンジ7を中心に断面く字状に屈曲してロアアーム2との干渉を避けることとなり、しかも屈曲したシールド本体5aが常にシートの後方下部を隠蔽するため、シートのアッパーモースト時(最も上昇した時)からシートのダウンモースト時(最も下降した時)のいかなるシートシートポジションであっても優れた見栄えを呈することが可能となる。しかもリヤロッド3との干渉もないため、シートの昇降動も円滑に行われることとなり、優れた使い勝手を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態を示すアッパーモースト時の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示すダウンモースト時の斜視図である。
【図3】自動車用のフロントシートを示す全体斜視図である。
【図4】従来例を示すアッパーモースト時の斜視図である。
【図5】従来例を示すダウンモースト時の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 レール
2 ロアアーム
3 リヤロッド
4 アウターシールド
5 ロアシールド
5a シールド本体
5b レールカバー部材
5c 連結板
5d 係止部
6 ヒンジ
7 屈曲可能なヒンジ
30 車両用シート
31カーペット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフター機構を備えた車両用シートの後方下部を隠蔽するための車両用シートのロアシールドであって、シートの後方下部を隠蔽する板状のシールド本体と、該シールド本体の下部にあるレールカバー部材と、該シールド本体の上部にあってリヤロッドに連結する連結板とからなり、シールド本体はレールカバー部材に対し回動自在に取り付けられているとともに、シールド本体と連結板の境界部は屈曲可能なヒンジとなっていることを特徴とする車両用シートのロアシールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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