説明

車両用シート装置

【課題】乗車性を向上させることができる車両用シート装置を提供する。
【解決手段】車両用シート装置は、車両用シート1のシートクッション2を上下方向に移動させる電動モータMと、電動モータMを制御するECU4とを備える。又、車両用シート装置は、シートクッション2に乗員が着座する動作を検知するための静電容量センサ5を備え、ECU4は、静電容量センサ5にて乗員が着座する動作が検知されると、シートクッション2を下方に移動させるべく電動モータMを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シート装置としては、車両用シートの座面(シートクッション)を上下方向に移動させる駆動手段(電動モータ)と、スイッチの操作等に基づいて駆動手段を制御する制御部とを備えたものがある。このような車両用シート装置では、車両用シートの座面(シートクッション)を容易に上下方向に移動させることができる。
【0003】
又、車両用シート装置としては、乗員の降車動作に連動して自動的に座面(シートクッション)を上下方向に移動させることで降車性を向上させようとしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−241774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような車両用シート装置は、乗員の降車動作に連動するものであって、乗車性には貢献しないものであった。そして、乗車性としては、乗員が着座する際に受ける衝撃が考えられるが、単にシートクッションを上下方向に柔らかくする(弾性変形する範囲を広げる)といったことは、例えばシートクッションが上下方向に大型化することから搭載スペースの問題等、他の問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、乗車性を向上させることができる車両用シート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、車両用シートの座面を上下方向に移動させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御部とを備えた車両用シート装置であって、前記座面に乗員が着座する動作を検知するための着座検知手段を備え、前記制御部は、前記着座検知手段にて乗員が着座する動作が検知されると、前記座面を下方に移動させるべく前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、着座検知手段にて座面に乗員が着座する動作が検知されると、制御部にて座面が下方に移動されるように駆動手段が制御されるため、乗員が着座する際に受ける衝撃を低減(吸収)させることができる。よって、乗車性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用シート装置において、前記制御部は、乗車意志を検出するための乗車検出手段にて乗車意志が検知された後に、前記着座検知手段を検知可能状態とすることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、制御部は、乗車検出手段にて乗車意志が検知された後に、前記着座検知手段を検知可能状態とする(即ち着座検知手段に電源を投入してスタンバイする)ため、乗車意志が検知されていない状態では検知不能状態(電源を投入していない状態)として、容易に低消費電力化を図ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の車両用シート装置において、前記制御部は、前記乗車検出手段にて乗車意志が検知されると、前記座面を下方に移動させる前に、前記座面の位置が上下移動可能範囲の予め設定された上側エリアにあるか否かを判断し、前記上側エリアにないと判断すると、前記座面を上方に移動させるべく前記駆動手段を制御し、前記上側エリアにあると判断すると、そのまま待機することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、制御部は、前記乗車検出手段にて乗車意志が検知されると、座面を下方に移動させる前に、座面の位置が上下移動可能範囲の予め設定された上側エリアにあるか否かを判断する。そして、座面の位置が上側エリアにないと判断すると、座面を上方に移動させるべく駆動手段を制御するため、座面を下方に確実に所望の(衝撃を低減するために必要となる)ストローク移動させることができ、衝撃を良好に低減させることが可能となる。即ち、座面の位置が上側エリアにない場合、座面を下方に移動させるストロークが、予め設定される所望の(衝撃を低減するために必要となる)ストローク未満となる虞があるが、これを回避することができる。又、勿論、座面の位置が上側エリアにある場合は、それ以上座面を上方に移動させなくても、座面を下方に確実に所望の(衝撃を低減するために必要となる)ストローク移動させることができるので、座面の位置が上側エリアにあると判断すると、そのまま(移動させずに)待機するようにしている。このようにすると、座面の元の位置がどの位置にあっても、乗員が着座する際に受ける衝撃を良好に低減させることが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の車両用シート装置において、前記制御部は、前記座面の位置が前記上側エリアにないと判断して前記座面を上方に移動させる際、前記着座する動作が検知されて前記座面を下方に移動させる際のストローク分だけ上方に移動させるべく前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、制御部は、座面の位置が上側エリアにないと判断して座面を上方に移動させる際、着座する動作が検知されて座面を下方に移動させる際のストローク分だけ上方に移動させるべく駆動手段を制御するため、後に座面を上方に移動させなくても座面が元の位置となる。よって、着座した後に座面が元の位置に戻るために移動することがなく、乗員が違和感を感じることがない。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載の車両用シート装置において、前記制御部は、前記座面の位置が前記上側エリアにあると判断して、その位置から前記着座する動作の検知に基づいて前記座面を下方に移動させた後、前記座面を下方に移動させた際のストローク分だけ上方に移動させるべく前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、制御部は、座面の位置が上側エリアにあると判断して、その位置から着座する動作の検知に基づいて座面を下方に移動させた後、座面を下方に移動させた際のストローク分だけ上方に移動させるべく駆動手段を制御するため、乗員が特に他の操作を行わなくても座面が元の位置となる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の車両用シート装置において、前記乗車検出手段は、ドアカーテシスイッチであることを要旨とする。
同構成によれば、乗車検出手段は、車両ドアが開状態とされたことで乗車意志を検知するドアカーテシスイッチであるため、一般的な多くの車両に設けられるドアカーテシスイッチを利用(兼用)して、自然と(通常、乗車前に操作する動作だけで)乗車意志を検知することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用シート装置において、前記着座検知手段は、静電容量センサであることを要旨とする。
同構成によれば、着座検知手段は、静電容量センサであるため、座面に接触する直前に着座する動作を検知して、容易にタイミング良く座面を下方に移動させるべく駆動手段を制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乗車性を向上させることができる車両用シート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態における車両用シート装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】本実施の形態におけるECUの処理を説明するためのフロー図。
【図3】衝撃を比較するための時間−衝撃特性図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図3に従って説明する。図1に示すように、車両用シート1は、座面を形成するシートクッション2と、シートクッション2の後端部において傾動可能に支持されたシートバック3とを備えている。
【0022】
そして、車両用シート1には、シートクッション2を上下方向に移動させる駆動手段としての電動モータMと、該電動モータMを制御する制御部としてのECU4と、シートクッション2の上面付近に設けられて乗員(その臀部)の接近に伴い静電容量が変化する着座検知手段としての静電容量センサ5とが設けられている。電動モータMは、図示しない機構を駆動することでシートクッション2を車両フロアに対して上下方向に移動させる所謂リフタ機構の駆動源である。又、電動モータMには、その回転数、ひいてはシートクッション2の上下方向の位置を検出可能な回転センサSが設けられている。又、車両用シート1には、前記電動モータMを操作するための操作スイッチ6が例えばシートクッション2の側方に露出した態様で設けられている。又、静電容量センサ5は、シートクッション2に乗員が着座する動作を検知するためのものであって、乗員(その臀部)がシートクッション2に接触する直前に着座する動作(本実施の形態では、シートクッション2までの距離が例えば5mmに接近したこと)を検知可能とされている。又、特に詳述しないが、車両用シート1には、その他リクライニング機構等も設けられている。
【0023】
次に、本実施の形態の車両用シート装置の電気的構成について説明する。
ECU4には、前記電動モータMとその回転センサSと前記静電容量センサ5と前記操作スイッチ6とが電気的に接続されるとともに、車載ネットワークCAN(controller area network)を介して乗車検出手段としてのドアカーテシスイッチ7が接続されている。尚、ドアカーテシスイッチ7は、車両ドアが開状態とされたこと(その車両ドアと対応した車両用シート1に乗員が着座している場合等は除く)で乗車意志を検知する。
【0024】
そして、ECU4は、静電容量センサ5にて乗員が着座する動作が検知されると、シートクッション2を下方に移動させるべく電動モータMを制御する。
詳述すると、ECU4は、ステップS1において、ドアカーテシスイッチ7から車載ネットワークCANを介して入力される信号に基づき乗車意志が検知されると、それ以降、図2に示すステップS2〜S16の処理を実行する。
【0025】
ステップS2において、ECU4は、シートクッション2(座面)の位置(現在位置)が、シートクッション2の上下移動可能範囲における予め設定された上側エリアにあるか否かを判断する。尚、上側エリアとは、後述するシートクッション2を下方に移動させる際のストローク分以上、下側に移動可能となるように設定されるエリアであり、例えば、前記上下移動可能範囲が40mmで、前記ストロークが10mmの場合、前記上下移動可能範囲の下端から10mm以上離れた(例えば上端から15mmの)エリアが上側エリアに設定される。又、前記ストロークは、予め設定される所望の(乗員が着座する際に受ける衝撃を低減させるために必要となる)ストロークである。
【0026】
ここで、ステップS2において、シートクッション2が上側エリアにあると判断されると、後述するステップS3に移行する。又、この際、ECU4は、記憶領域に後述するステップS9,S13で使用するためのフラグを立てて記憶する(FG=1とする)。
【0027】
又、ステップS2において、シートクッション2が上側エリアにないと判断されると、ステップS4に移行する。又、この際、ECU4は、記憶領域に前記フラグを立てない(FG=0とする)。
【0028】
ステップS4において、ECU4は、シートクッション2を上方に移動させるべく電動モータMを制御する。即ち、ここでECU4は、シートクッション2が上方に移動するように電動モータMへの駆動電流の供給を開始する。
【0029】
そして、次のステップS5において、ECU4は、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動したか否かを判断する。
ここで、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動していないと判断されると、前記ステップS4に移行し、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動したと判断されるまで、電動モータMへの駆動電流の供給を継続することになる。
【0030】
そして、ステップS5において、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動したと判断されると、ステップS6に移行する。
ステップS6において、ECU4は、シートクッション2の移動を停止すべく電動モータMへの駆動電流の供給を停止し、ステップS3に移行する。
【0031】
ステップS3において、ECU4は、前記静電容量センサ5を検知可能状態とすべく静電容量センサ5に電源を投入してスタンバイする。尚、このステップS3の前段階では静電容量センサ5には電源が投入されておらず、静電容量センサ5は検知不能状態とされている。
【0032】
次のステップS7において、ECU4は、静電容量センサ5にて乗員が着座する動作が検知されたか否かを判断する。
ここで、ステップS7において、静電容量センサ5にて乗員が着座する動作が検知されていないと判断されると、ステップS8に移行する。
【0033】
そして、ステップS8において、ECU4は、静電容量センサ5が検知可能状態(スタンバイ)となってから予め設定された所定時間(例えば1分)が経過したか否か(スタンバイ時間タイムアウト?)を判断し、経過していないと判断されると、前記ステップS3に移行して、着座する動作が検知されたか否かの判断を継続することになる。尚、この所定時間は、車両ドアが開状態とされたもののしばらくしても着座されない場合に、着座する意志がないものと推測して処理を終了させるステップに進むための時間として設定されたものである。
【0034】
又、ステップS8において、予め設定された所定時間(例えば1分)が経過したと判断されると、ステップS9に移行する。
そして、ステップS9において、ECU4は、前記フラグが立っているか否か(FG=1か、FG=0か)を判断する。
【0035】
ここで、前記フラグが立っている(FG=1)と判断されると、即ち、前記ステップS2でシートクッション2の元の位置が上側エリアにあると判断してシートクッション2を予め上方に移動させた経緯がないと、処理を終了することになる。
【0036】
又、ここで、前記フラグが立っていない(FG=0)と判断されると、即ち、前記ステップS2でシートクッション2の元の位置が上側エリアにないと判断してシートクッション2を予め上方に移動させた経緯があると、着座する動作が検知されなくても、ステップS10に移行する。
【0037】
一方、前記ステップS7において、静電容量センサ5にて乗員が着座する動作が検知されたと判断されると、ステップS10に移行する。即ち、本実施の形態では、乗員が着座しようとしてその臀部とシートクッション2との距離が例えば5mmに接近した状態となると、シートクッション2に接触する直前にそれが着座する動作として静電容量センサ5に検知され、その検知に基づいてステップS10に移行する。
【0038】
ステップS10において、ECU4は、シートクッション2を下方に移動させるべく電動モータMを制御する。即ち、ここでECU4は、シートクッション2が下方に移動するように電動モータMへの駆動電流の供給を開始する。
【0039】
そして、次のステップS11において、ECU4は、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ下方に移動したか否かを判断する。
ここで、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ下方に移動していないと判断されると、前記ステップS10に移行し、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ下方に移動したと判断されるまで、電動モータMへの駆動電流の供給を継続することになる。
【0040】
そして、ステップS11において、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ下方に移動したと判断されると、ステップS12に移行する。
ステップS12において、ECU4は、シートクッション2の移動を停止すべく電動モータMへの駆動電流の供給を停止し、ステップS13に移行する。
【0041】
そして、次のステップS13において、ECU4は、前記フラグが立っているか否か(FG=1か、FG=0か)を判断する。
ここで、前記フラグが立っていない(FG=0)と判断されると、即ち、前記ステップS2でシートクッション2の元の位置が上側エリアにないと判断してシートクッション2を予め上方に移動させた経緯があると、処理を終了することになる。
【0042】
又、ここで、フラグが立っている(FG=1)と判断されると、即ち、前記ステップS2でシートクッション2の元の位置が上側エリアにあると判断してシートクッション2を予め上方に移動させた経緯がない(元の位置よりも下方に移動されている経緯がある)と、ステップS14に移行する。
【0043】
ステップS14において、ECU4は、前記ステップS4と同様に、シートクッション2を上方に移動させるべく電動モータMを制御する。即ち、ここでECU4は、シートクッション2が上方に移動するように電動モータMへの駆動電流の供給を開始する。
【0044】
そして、次のステップS15において、ECU4は、前記ステップS5と同様に、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動したか否かを判断する。
【0045】
ここで、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動していないと判断されると、前記ステップS14に移行し、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動したと判断されるまで、電動モータMへの駆動電流の供給を継続することになる。
【0046】
そして、ステップS15において、シートクッション2が前記ストローク(例えば10mm)分だけ上方に移動したと判断されると、ステップS16に移行する。
ステップS16において、ECU4は、前記ステップS6と同様に、シートクッション2の移動を停止すべく電動モータMへの駆動電流の供給を停止し、処理を終了する。
【0047】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)静電容量センサ5にてシートクッション2に乗員が着座する動作が検知されると、ECU4にてシートクッション2が下方に移動されるように電動モータMが制御されるため、乗員が着座する際に受ける衝撃を低減(吸収)させることができる。尚、図3は、着座する動作が検知されるとシートクッション2が下方に移動される本実施の形態における衝撃を測定した特性X1と、シートクッション2が不動(従来)のものにおける衝撃を測定した特性X2とを示す。図3に示すように、本実施の形態における特性X1は、従来の特性X2に比べて、衝撃の最大値が小さいことがわかる。よって、乗車性を向上させることができる。尚、電動モータM(駆動手段)を含む所謂リフタ機構は、元々車両用シート装置に設けられるものを兼用しているので、特に装置(機構)が複雑化したり大型化してしまうことはない。
【0048】
(2)ECU4は、乗車検出手段(ドアカーテシスイッチ)にて乗車意志が検知された後に、静電容量センサ5を検知可能状態とする(即ち静電容量センサ5に電源を投入してスタンバイする)ため、乗車意志が検知されていない状態では検知不能状態(電源を投入していない状態)として、容易に低消費電力化を図ることができる。
【0049】
(3)ECU4は、乗車検出手段(ドアカーテシスイッチ)にて乗車意志が検知されると、シートクッション2を下方に移動させる前に、シートクッション2の位置が上下移動可能範囲の予め設定された上側エリアにあるか否かを判断する(ステップS2)。そして、シートクッション2の位置が上側エリアにないと判断すると、シートクッション2を上方に移動させるべく電動モータMを制御するため、後にシートクッション2を下方に確実に所望の(衝撃を低減するために必要となる)ストローク移動させることができ、衝撃を良好に低減させることが可能となる。即ち、シートクッション2の位置が上側エリアにない場合、シートクッション2を下方に移動させるストロークが、予め設定される所望の(衝撃を低減するために必要となる)ストローク未満となる虞があるが、これを回避することができる。又、勿論、シートクッション2の位置が上側エリアにある場合は、それ以上シートクッション2を上方に移動させなくても、下方に確実に所望の(衝撃を低減するために必要となる)ストローク移動させることができるので、シートクッション2の位置が上側エリアにあると判断すると、そのまま(移動させずに)待機するようにしている。このようにすると、シートクッション2の元の位置がどの位置にあっても、乗員が着座する際に受ける衝撃を良好に低減させることが可能となる。
【0050】
(4)ECU4は、シートクッション2の位置が上側エリアにないと判断してシートクッション2を上方に移動させる際、シートクッション2を下方に移動させる際のストローク分だけ上方に移動させるべく電動モータMを制御する(ステップS4〜S6)。よって、後にシートクッション2を上方に移動させなくてもシートクッション2が元の位置となる。よって、着座した後にシートクッション2が元の位置に戻るために上下方向に移動することがなく、乗員が違和感を感じることがない。
【0051】
(5)ECU4は、シートクッション2の位置が上側エリアにあると判断してその位置から着座する動作の検知に基づいてシートクッション2を下方に移動させた後、シートクッション2を下方に移動させた際のストローク分だけ上方に移動させるべく電動モータMを制御する(ステップS14〜S16)。よって、乗員が特に他の操作を行わなくてもシートクッション2が元の位置となる。
【0052】
(6)乗車検出手段を、車両ドアが開状態とされたことで乗車意志を検知するドアカーテシスイッチ7としたため、一般的な多くの車両に設けられるドアカーテシスイッチ7を利用(兼用)して、自然と(通常、乗車前に操作する動作だけで)乗車意志を検知することができる。
【0053】
(7)着座検知手段を静電容量センサ5としたため、シートクッション2に接触する直前に着座する動作を検知して、容易にタイミング良く(図3に示す特性X1を得ることができるタイミングで)シートクッション2を下方に移動させるべく電動モータMを制御することが可能となる。
【0054】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、ECU4は、乗車検出手段(ドアカーテシスイッチ)にて乗車意志が検知された後に、着座検知手段(静電容量センサ5)を検知可能状態とする(即ち静電容量センサ5に電源を投入してスタンバイする)としたが、これに限定されず、例えば、着座検知手段を常に検知可能状態としてもよい。
【0055】
・上記実施の形態では、ECU4は、乗車検出手段(ドアカーテシスイッチ)にて乗車意志が検知されると、シートクッション2の位置が上下移動可能範囲の上側エリアにあるか否かを判断し、上側エリアにないと判断するとシートクッション2を上方に移動させるようにしたが、これに限定されず、上側エリアにあるか否かを判断しなくてもよい。尚、このようにすると、シートクッション2を下方に移動させることができるストロークが、予め設定される所望の(衝撃を低減するために必要となる)ストローク(例えば10mm)未満となる虞があるが、そのストローク未満とならない場合は、乗員が着座する際に受ける衝撃を良好に低減させることが可能となる。又、制御が簡単(ステップS2,S4,S5,S6,S9,S13が不要)となる。
【0056】
・上記実施の形態では、ECU4は、シートクッション2の位置が上側エリアにないと判断してシートクッション2を上方に移動させる際、シートクッション2を下方に移動させる際のストローク分だけ上方に移動させるようにしたが、これに限定されず、他の長さ(例えば、予め設定した基準位置まで)移動させるようにしてもよい。尚、この場合、着座した後にシートクッション2の位置が元の位置に戻るように移動させることが好ましいが、元の位置に戻さないようにしてもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、ECU4は、シートクッション2の位置が上側エリアにあると判断してその位置から着座する動作の検知に基づいてシートクッション2を下方に移動させた後、下方に移動させた際のストローク分だけ(即ち元の位置となるように)上方に移動させるようにしたが、これに限定されず、元の位置に戻さないようにしてもよい。
【0058】
・上記実施の形態では、乗車検出手段を、車両ドアが開状態とされたことで乗車意志を検知するドアカーテシスイッチ7としたが、これに限定されず、乗車意志を検知することができれば他の乗車検出手段に変更してもよい。例えば、電波キーからのアンロック信号を受信したことで乗車意志を検知する受信器を乗車検出手段としてもよい。
【0059】
・上記実施の形態では、着座検知手段を静電容量センサ5としたが、これに限定されず、シートクッション2(座面)に乗員が着座する動作を検知することができれば他の着座検知手段に変更してもよい。例えば、メンブレン式スイッチや光センサ等に変更してもよい。
【0060】
・上記実施の形態では、ECU4は、シートクッション2の位置が上側エリアにないと判断して上方に移動させた後、静電容量センサ5が検知可能状態となってから予め設定された所定時間が経過した場合、着座する動作が検知されなくてもシートクッション2を元の位置に移動させるとしたが、これに限定されず、そのままの位置としておいてもよい。尚、この場合、例えば、その情報を記憶領域に記憶させておき、再度乗車意志が検知された際に、その情報に応じて、最終的にシートクッション2が元の位置に戻るように制御することが好ましい。
【0061】
・上記実施の形態の各数値は、乗員が着座する際に受ける衝撃を低減させることができれば、他の数値に変更してもよい。例えば、上記実施の形態では、乗員が着座する動作が検知された際にシートクッション2を下方に移動させるストロークを10mmとしたが、前記衝撃を低減することができれば、前記ストロークを5mmとする等、他の数値に変更してもよい。又、上記実施の形態では、静電容量センサ5は、乗員のシートクッション2までの距離が5mmとなると着座する動作として検知するようにしたが、これを10mmとする等、他の数値に変更してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…車両用シート、2…座面を形成するシートクッション、4…ECU(制御部)、5…静電容量センサ(着座検知手段)、7…ドアカーテシスイッチ(乗車検出手段)、M…電動モータ(駆動手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートの座面を上下方向に移動させる駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御部と
を備えた車両用シート装置であって、
前記座面に乗員が着座する動作を検知するための着座検知手段を備え、
前記制御部は、前記着座検知手段にて乗員が着座する動作が検知されると、前記座面を下方に移動させるべく前記駆動手段を制御することを特徴とする車両用シート装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シート装置において、
前記制御部は、乗車意志を検出するための乗車検出手段にて乗車意志が検知された後に、前記着座検知手段を検知可能状態とすることを特徴とする車両用シート装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用シート装置において、
前記制御部は、前記乗車検出手段にて乗車意志が検知されると、前記座面を下方に移動させる前に、前記座面の位置が上下移動可能範囲の予め設定された上側エリアにあるか否かを判断し、前記上側エリアにないと判断すると、前記座面を上方に移動させるべく前記駆動手段を制御し、前記上側エリアにあると判断すると、そのまま待機することを特徴とする車両用シート装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用シート装置において、
前記制御部は、前記座面の位置が前記上側エリアにないと判断して前記座面を上方に移動させる際、前記着座する動作が検知されて前記座面を下方に移動させる際のストローク分だけ上方に移動させるべく前記駆動手段を制御することを特徴とする車両用シート装置。
【請求項5】
請求項3に記載の車両用シート装置において、
前記制御部は、前記座面の位置が前記上側エリアにあると判断して、その位置から前記着座する動作の検知に基づいて前記座面を下方に移動させた後、前記座面を下方に移動させた際のストローク分だけ上方に移動させるべく前記駆動手段を制御することを特徴とする車両用シート装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の車両用シート装置において、
前記乗車検出手段は、ドアカーテシスイッチであることを特徴とする車両用シート装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用シート装置において、
前記着座検知手段は、静電容量センサであることを特徴とする車両用シート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−96624(P2012−96624A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244559(P2010−244559)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】