車両用シート
【課題】 溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下を防止することができる車両用シートを提供すること。
【解決手段】 曲げパイプで形成した左フレーム2及び右フレーム3と、シート1の座部の外枠を曲げパイプで形成したクッションフレーム4と、各フレームを通過させる袋状部分71を形成したシート表皮7と、シート表皮7を折り返させるリアメンバ5と、各フレーム部材を固定するボルト8を備え、シート表皮7の袋状部分71に各フレーム部材である曲げパイプを貫通させるように取付け、ボルト8で締結する構造にした。
【解決手段】 曲げパイプで形成した左フレーム2及び右フレーム3と、シート1の座部の外枠を曲げパイプで形成したクッションフレーム4と、各フレームを通過させる袋状部分71を形成したシート表皮7と、シート表皮7を折り返させるリアメンバ5と、各フレーム部材を固定するボルト8を備え、シート表皮7の袋状部分71に各フレーム部材である曲げパイプを貫通させるように取付け、ボルト8で締結する構造にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車両用のシートを左右分割構造にして、軽量化したシート構造にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−281938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下が発生するという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下を防止することができる車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、車両用シートを構成するシートフレームを機械留めにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明にあっては、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の車両用シートを搭載した電気自動車の車体構造を示す図である。
【図2】実施例1の車両用シートの斜視図である。
【図3】実施例1の車両用シートの側面図である。
【図4】実施例1の車両用シートの主要構造部材の分解斜視図である。
【図5】実施例1におけるヘッドレストの説明斜視図である。
【図6】実施例1におけるシート表皮の端部構造を示す説明図である。
【図7】実施例1において、フレーム部材にシート表皮を取り付けた状態を示す説明図である。
【図8】実施例1において、右フレームと左フレームの中間組付状態の説明図である。
【図9】実施例1において、右フレーム、左フレームにクッションフレームを取り付けた状態の説明図である。
【図10】実施例1において、右フレーム、左フレームにリアメンバを取り付けた状態の説明図である。
【図11】実施例1において、右フレーム、左フレームにヘッドレストを取り付けた状態の説明図である。
【図12】シート表皮の取付構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車両用シートを実現する実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両用シートを搭載した電気自動車の車体構造を示す図である。
実施例1のシート1は、電気自動車101に搭載されている。電気自動車101は、各メンバがアルミ材で形成され、軽量化した車体構造を取っている。
図2は実施例1の車両用シートの斜視図である。図3は実施例1の車両用シートの側面断面図である。図4は実施例1の車両用シートの主要構造部材の分解斜視図である。
シート1は、左フレーム2、右フレーム3、クッションフレーム4、リアメンバ5、ヘッドレスト6、シート表皮7、ボルト8を備えている。
左フレーム2は、1本物のパイプで、曲げ形状により、シート1の左側の脚部と、背もたれ部の外枠を構成するフレーム部材である。
右フレーム3は、1本物のパイプで、曲げ形状により、シート1の右側の脚部と、と背もたれ部の外枠を構成するフレーム部材である。
【0011】
そして、左フレーム2の上端及び下端(前端)と、右フレーム3の上端及び下端(前端)は、向かい会うように折曲し、一方の端部に他方を差し込む構造である。実施例1では、左フレーム2の上端部21及び下端部22を拡径し、右フレーム3の上端部31及び下端部32を差し込む構造である。詳細は後述する。
クッションフレーム4は、1本物のパイプで、曲げ形状により、シート1の座部の外枠を構成するフレーム部材である。
リアメンバ5は、1本物のパイプで、シート1の座部と背もたれ部の境目で、シート表皮7を折り返させるフレーム部材である。
【0012】
ヘッドレスト6は、シート1の背もたれ部の頭部部分で、左フレーム2と右フレーム3の上端部分に取り付けるものである。
図5は実施例1におけるヘッドレストの説明斜視図である。
ヘッドレスト6は、フレーム部61、取り付け部62、補強部材63を備えている。フレーム部61は下方を開口するコ字形状になるよう1本物のパイプを曲げた部材で、その下端は取り付け部62に予め取り付けられる。
取り付け部62は、断面が下方を開口したコ字形状の部材で、左フレーム2と右フレーム3の上端部分にボルトで取り付けられる部材である。
補強部材63は、フレーム部61に取り付ける板材である。
【0013】
シート表皮7は、シート1の座部及び背もたれ部で乗員と接する部分である。
図6は実施例1におけるシート表皮の端部構造を示す説明図である。
シート表皮7は、全体を一枚物の布形状とし、端部は図6に示すように、シート1の各フレーム部材を通過させるようにして取り付ける貫通した袋状部分71を設けるよう縫製する。袋状部分は、例えば布形状の端部を折り返して縫製したものである。
ボルト8は、シート1のフレーム部材を固定する締結部材である。なお、ボルト8で取り付けられる部材部分の詳細については図示及び説明を省略するが、対応するナットを設けてもよく、また、部材の孔部分を歯面に係合させてもよい。なお、実施例1のシート1では、張り渡されたシート表皮7のみで、座部及び背もたれ部を構成する。材質の例として、高弾性ポリエステルメッシュシートを例として挙げておく。高弾性ポリエステルメッシュシートでは、表皮を引っ張り、ある程度の張力をかけて取り付けることにより適度な弾性を発生させ、快適な座り心地やしわのない良好な外観を得るものである。
【0014】
次に、実施例1における腰椎S字姿勢を確保する構造について説明する。
シート1では、左フレーム2及び右フレーム3の背もたれを構成する部分を図3に示すように、乗員の腰椎S字姿勢に合わせるようS字に湾曲させる形状にする。
この湾曲形状では、背もたれ部の上部は、後方へ凹む湾曲形状にし、下部は、前方へ膨らむ湾曲形状にする。
そして、リアメンバ5の位置を左フレーム2及び右フレーム3の背もたれ部の下部より後方位置とする。言い換えると、つまりクッションフレーム4の後端より後方位置とする。シート表皮7はシート1の背もたれ部では、左右の袋状部分71を左フレーム2及び右フレーム3が貫通することにより、S字の湾曲形状に沿って、S字に湾曲した背もたれ部を張り渡すように構成する。そして、後方のリアメンバ5で折り返すことにより、シート表皮7が背もたれ部のS字の湾曲を下方に延長するように後方へ伸長する構成にする。
【0015】
次に作用を説明する。
[シートの組み立てとシート表皮を張ることを同時に行う作用]
なお、組立て順序に沿って、一部構成とともに説明する。なお、符号201で示すのは、シート表皮7におけるテンションがかかっていることを説明する矢印で、符号202では、シート表皮7において撓んだ部分を示す矢印である。
図7は実施例1において、フレーム部材にシート表皮を取り付けた状態を示す説明図である。
実施例1の車両用シートを組み付ける際には、まず、左フレーム2、右フレーム3、クッションフレーム4を、シート表皮7の袋状部分71へ貫通させるようにして、シート表皮7を取り付ける(図7参照)。この状態では、シート表皮7は、クッションフレーム4の前端部分のみ張っていて、残りは張りのない撓んだ状態である。
図8は実施例1において、左フレームと右フレームの組付中間状態の説明図である。図9は実施例1において、左フレーム2、右フレーム3にクッションフレーム4を取り付けた状態の説明図である。
【0016】
シート表皮7を各フレーム部材に取り付けたならば、次に、左フレーム2の下端部22に右フレーム3の下端部32を差し込み、且つ左フレーム2の上端部21に右フレーム3の上端部31を差し込む。この状態では、差し込み深さによって、左フレーム2と右フレーム3の左右間隔(シート幅)は、シート1の左右間隔より短いものになる。なお、この差し込みは、シート表皮7が自由な状態であるため、小さな力で容易に行われる。この状態を組付中間状態とする(図8参照)。
この状態の左フレーム2及び右フレーム3に、クッションフレーム4を取り付ける。その際には、まず、クッションフレーム4の左右に長い前端部分に、左フレーム2及び右フレーム3の下端部22,32をボルト8で締結する。この締結によって、下端部22,32の左右間隔はシート1の左右間隔となる。そして、クッションフレーム4の両端は、それぞれ、左フレーム2及び右フレーム3の中間の背もたれ部にボルトで締結する(図9参照)。
【0017】
この図9に示す状態では、シート1の座部の前部となるクッションフレーム4の前部では、シート表皮7が張った状態となるが、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31は、シート1の左右間隔より短い状態にしているため、座部の後部では、弛んだ状態となる。なお、この締結では、既にシート1の座部の前部が形成されているクッションフレーム4に、既に差し込まれた左フレーム2及び右フレーム3の下端部22,32のみを拡げて締結するのみであり、下端部22,32はテンション等を受けていないため、小さな力で容易に行われる。
【0018】
図10は実施例1において、左フレーム2、右フレーム3にリアメンバ5を取り付けた状態の説明図である。
左フレーム2及び右フレーム3に、クッションフレーム4を取り付けたならば、次に、リアメンバ5を取り付ける。リアメンバ5は、シート表皮7が座部から背もたれ部へ90度に近い角度で折り返させるように、シート表皮7の表側を押さえる。そして、両端を左フレーム2及び右フレーム3にボルト8で締結する(図10参照)。この状態では、シート1の座部の後部、及び背もたれ部の下端部の左右間隔が、ほぼシート1の左右間隔となる。そのため、シート表皮7におけるシート1の座部部分及び背もたれ部の下端部分の左右方向は、テンションがかかりほぼ張った状態となる。
【0019】
なお、それより上部の背もたれ部では、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31が、シート1の左右間隔より短くすることにより、シート表皮7に撓みを生じさせた状態となる。また、シート1の座部の前後方向、及び背もたれ部の上下方向では、テンションはかかるものの、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31が、シート1の左右間隔より短くすることにより、少しの撓みを生じさせた状態となる。
なお、このリアメンバ5の締結による取り付けでは、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31が自由状態になっていて、さらに、クッションフレーム4の両端は、コ字形状を開閉するように撓むことが可能であるため、小さな力で容易に取り付けが行われる。
【0020】
図11は実施例1において、左フレーム2、右フレーム3にヘッドレスト6を取り付けた状態の説明図である。
左フレーム2及び右フレーム3にリアメンバ5を取り付けたならば、最後にヘッドレスト6を左フレーム2及び右フレーム3に取り付ける。その際には、ヘッドレスト6の取り付け部62の下方開口から内部へ、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31を挿入する。そして、上端部21,31の左右間隔を、シート1の背もたれ部の上端部となる位置にし、それぞれヘッドレスト6の取り付け部62にボルト8で締結する(図11参照)。つまり、左フレーム2及び右フレーム3の間隔を所定の間隔となるように拡げるようにして、ヘッドレスト6と締結する。
【0021】
すると、シート1の背もたれ部の上端部がシート1の左右間隔になるため、左フレーム2及び右フレーム3の全体が所定の左右間隔となり、左フレーム2及び右フレーム3に締結したクッションフレーム4の両端も所定のシート1の左右間隔となる。
これによって、シート表皮7におけるシート1の背もたれ部の全体の左右方向は、充分なテンションがかかり所定の張った状態となる。また、シート表皮7における座部全体の左右方向も充分なテンションがかかり所定の張った状態となる。
【0022】
さらに、シート1の背もたれ部の上端部がシート1の左右間隔になると、左フレーム2及び右フレーム3の上端位置が撓み無く固定されるので、シート表皮7の背もたれ部の上下方向、及び座部の前後方向でも充分なテンションがかかり所定の張った状態となる。
このようにヘッドレスト6の取り付けにより、シート1の組立てが完了する。そして、同時にシート表皮7を所定のテンションで張った状態にすることが完了する。
なお、このヘッドレスト6の左フレーム2及び右フレーム3への取り付けは、その次に下段の締結部位であるクッションフレーム4の両端位置から上方へ離れた位置であるため、左フレーム2及び右フレーム3のパイプのしなりにより、少ないモーメントで容易に取付が可能である。このように、実施例1のシート1の組立ては、小さな力で容易に行われる。
【0023】
実施例1において、シートの組み立てとシート表皮を張ることを同時に行う作用を明確にするために、以下に説明を加える。
図12は、従来のシート表皮の取付構造の説明図である。
特開2006-280548には、シート表皮を一枚物の布形状で構成し、張りを持たせるため、図12に示すように、シート表皮の取付部材を備えるようにし、シートフレームの両外側から締め、張力をかける構造にしたものが開示されている。
しかしながら、シート表皮の取付部材を備える構成にすると、部品点数、重量が増し、構造が複雑化する。そして、複雑化した構造が張力を不安定にする。また、図12のような従来構造は、シートフレームを溶接で構成することになり、シートフレームの溶接、組み立て、シート表皮張りというように3工程を必要とする。
【0024】
これに対して、実施例1では、シート1の組み立てを完了すると、同時にシート表皮張りが完了しているため、部品点数、重量、構造の複雑さの点で有利である。またシート表皮張り工程を別に必要とせず、さらに、このことによる構造の簡素化がシート表皮の張力を安定したものにする点で有利である。
【0025】
[溶接による強度の低下、精度の低下を防止する作用]
実施例1のシート1では、左フレーム2、右フレーム3、クッションフレーム4、リアメンバ5、ヘッドレスト6に分割したフレーム構造とし、これを機械留め、つまり締結によって固定する構造にしている。また、シート表皮7は、各フレームによる組立ての際、同時に張力をかけて張り渡される構造である。そのため、機械留めのみで溶接箇所なくシート1が組み立てられる。これにより、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下が防止される。
【0026】
[腰椎S字姿勢を確保する作用]
実施例1のシート1では、左フレーム2及び右フレーム3の湾曲と、リアメンバ5による後方位置での折り返しによって、シート1の背もたれ部を構成するシート表皮7は、腰椎S字姿勢を考慮した、S字に湾曲した形状に張り渡される。
そのため、シート1を用いる乗員の座り心地を向上する。言い換えると、実施例1のシート1は、電気自動車のように軽量化が特に重要な場合に、一枚物のシート表皮7によりシートの座部及び背もたれ部を構成して軽量化を実現しつつ、腰椎S字姿勢を考慮した形状にすることで、座り心地を向上している。
【0027】
次に、効果を説明する。実施例1の車両用シートにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)シート1の脚部と背もたれ部の外枠を左右に分割し、それぞれを一本物の曲げパイプで形成した左フレーム2及び右フレーム3と、シート1の座部の外枠を一本物の曲げパイプで形成したクッションフレーム4と、シート1の背もたれ部と座部を形成する一枚物の布部材として設けられ、周縁に左フレーム2と右フレーム3及びクッションフレーム4を通過させる袋状部分71を形成したシート表皮7と、曲げパイプで形成され、シート表皮7を座部部分と背もたれ部分に折り返させるリアメンバ5と、各フレーム部材を固定するボルト8を備え、シート表皮7の袋状部分71に各フレーム部材である曲げパイプを貫通させるように取付け、ボルト8で締結する構造にしたため、各フレームを溶接することなく、シート表皮7に取り付けたパイプ部材で形成した各フレームをボルト8で締結して機械留めにて組み付けて、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下を防止することができる。
【0028】
(2)左フレーム2及び右フレーム3の上端を接続し、背もたれ部の頭部部分となるヘッドレスト6を備え、左フレーム2及び右フレーム3は、シート表皮7を取り付けた状態で、左フレーム2の上端部21及び下端部22を拡径し、右フレーム3の上端部31及び下端部32を差し込み、シート1の左右幅が短い組付中間状態となる形状になる左右の分割構造にし、脚部側の一端をクッションフレーム4へのボルト8によるシート左右幅での取付位置とし、背もたれ部の下部をリアメンバ5へのボルト8によるシート左右幅での取付位置とし、上端部をヘッドレスト6へのボルト8によるシート左右幅での取付位置とし、クッションフレーム4は、曲げパイプの両端部を左フレーム2及び右フレーム3へのボルト8による取付位置とし、組付中間状態での両端部の間の距離の撓みを許容するように、背もたれ部と連結する部分を両端部とする形状にしたため、各フレーム部材の組付けの進行と同時に左フレーム2及び右フレーム3の各部が所定の左右幅となることにより、組付中間状態で周縁が各フレームに取り付けられているシート表皮7を、所定のテンションで張った状態にすることができ、小さな力による容易な組付けで、作業工程を省略することができる。
【0029】
(3)左フレーム2及び右フレーム3は、曲げパイプの背もたれ部を腰椎S字形状に湾曲させ、リアメンバ5によるシート表皮7の折り返し位置を、左フレーム2及び右フレーム3の腰椎S字形状の湾曲の延長位置にしたため、軽量化を行いつつ、腰椎S字姿勢を考慮した形状にすることで、座り心地を向上することができる。
【0030】
以上、本発明の車両用シートを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0031】
例えば、実施例1では、ボルト8による締結する構造を示したが、リベットやネジ等、他の機械留めを行う構造であってもよい。
例えば、実施例1では、シートの左右幅が短い組付中間状態となる形状になる左右の分割構造として、左フレーム2の上端部21及び下端部22を拡径し、右フレーム3の上端部31及び下端部32を差し込む構造にしたが、シートの左右の中央を省略して左右に分割した構造にしてもよい。
また例えば、実施例1では、シート表皮にフレーム部材を通過させる取付穴として貫通した袋形状部分を形成したが、シート表皮に切れ目を入れるように取付穴が設けられたもの等、他の形状であってもよく、フレーム部材の組付け前に、各フレーム部材に取り付けられるものが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、他の移動体等に設置されるシートに利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 シート
2 左フレーム
21 上端部
22 下端部
3 右フレーム
31 上端部
32 下端部
4 クッションフレーム
5 リアメンバ
6 ヘッドレスト
61 フレーム部
62 取り付け部
63 補強部材
7 シート表皮
71 袋状部分
8 ボルト
101 電気自動車
201 (シート表皮のテンションがかかっている部分を示す)符号
202 (シート表皮の撓んだ部分を示す)符号
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車両用のシートを左右分割構造にして、軽量化したシート構造にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−281938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下が発生するという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下を防止することができる車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、車両用シートを構成するシートフレームを機械留めにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明にあっては、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の車両用シートを搭載した電気自動車の車体構造を示す図である。
【図2】実施例1の車両用シートの斜視図である。
【図3】実施例1の車両用シートの側面図である。
【図4】実施例1の車両用シートの主要構造部材の分解斜視図である。
【図5】実施例1におけるヘッドレストの説明斜視図である。
【図6】実施例1におけるシート表皮の端部構造を示す説明図である。
【図7】実施例1において、フレーム部材にシート表皮を取り付けた状態を示す説明図である。
【図8】実施例1において、右フレームと左フレームの中間組付状態の説明図である。
【図9】実施例1において、右フレーム、左フレームにクッションフレームを取り付けた状態の説明図である。
【図10】実施例1において、右フレーム、左フレームにリアメンバを取り付けた状態の説明図である。
【図11】実施例1において、右フレーム、左フレームにヘッドレストを取り付けた状態の説明図である。
【図12】シート表皮の取付構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車両用シートを実現する実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両用シートを搭載した電気自動車の車体構造を示す図である。
実施例1のシート1は、電気自動車101に搭載されている。電気自動車101は、各メンバがアルミ材で形成され、軽量化した車体構造を取っている。
図2は実施例1の車両用シートの斜視図である。図3は実施例1の車両用シートの側面断面図である。図4は実施例1の車両用シートの主要構造部材の分解斜視図である。
シート1は、左フレーム2、右フレーム3、クッションフレーム4、リアメンバ5、ヘッドレスト6、シート表皮7、ボルト8を備えている。
左フレーム2は、1本物のパイプで、曲げ形状により、シート1の左側の脚部と、背もたれ部の外枠を構成するフレーム部材である。
右フレーム3は、1本物のパイプで、曲げ形状により、シート1の右側の脚部と、と背もたれ部の外枠を構成するフレーム部材である。
【0011】
そして、左フレーム2の上端及び下端(前端)と、右フレーム3の上端及び下端(前端)は、向かい会うように折曲し、一方の端部に他方を差し込む構造である。実施例1では、左フレーム2の上端部21及び下端部22を拡径し、右フレーム3の上端部31及び下端部32を差し込む構造である。詳細は後述する。
クッションフレーム4は、1本物のパイプで、曲げ形状により、シート1の座部の外枠を構成するフレーム部材である。
リアメンバ5は、1本物のパイプで、シート1の座部と背もたれ部の境目で、シート表皮7を折り返させるフレーム部材である。
【0012】
ヘッドレスト6は、シート1の背もたれ部の頭部部分で、左フレーム2と右フレーム3の上端部分に取り付けるものである。
図5は実施例1におけるヘッドレストの説明斜視図である。
ヘッドレスト6は、フレーム部61、取り付け部62、補強部材63を備えている。フレーム部61は下方を開口するコ字形状になるよう1本物のパイプを曲げた部材で、その下端は取り付け部62に予め取り付けられる。
取り付け部62は、断面が下方を開口したコ字形状の部材で、左フレーム2と右フレーム3の上端部分にボルトで取り付けられる部材である。
補強部材63は、フレーム部61に取り付ける板材である。
【0013】
シート表皮7は、シート1の座部及び背もたれ部で乗員と接する部分である。
図6は実施例1におけるシート表皮の端部構造を示す説明図である。
シート表皮7は、全体を一枚物の布形状とし、端部は図6に示すように、シート1の各フレーム部材を通過させるようにして取り付ける貫通した袋状部分71を設けるよう縫製する。袋状部分は、例えば布形状の端部を折り返して縫製したものである。
ボルト8は、シート1のフレーム部材を固定する締結部材である。なお、ボルト8で取り付けられる部材部分の詳細については図示及び説明を省略するが、対応するナットを設けてもよく、また、部材の孔部分を歯面に係合させてもよい。なお、実施例1のシート1では、張り渡されたシート表皮7のみで、座部及び背もたれ部を構成する。材質の例として、高弾性ポリエステルメッシュシートを例として挙げておく。高弾性ポリエステルメッシュシートでは、表皮を引っ張り、ある程度の張力をかけて取り付けることにより適度な弾性を発生させ、快適な座り心地やしわのない良好な外観を得るものである。
【0014】
次に、実施例1における腰椎S字姿勢を確保する構造について説明する。
シート1では、左フレーム2及び右フレーム3の背もたれを構成する部分を図3に示すように、乗員の腰椎S字姿勢に合わせるようS字に湾曲させる形状にする。
この湾曲形状では、背もたれ部の上部は、後方へ凹む湾曲形状にし、下部は、前方へ膨らむ湾曲形状にする。
そして、リアメンバ5の位置を左フレーム2及び右フレーム3の背もたれ部の下部より後方位置とする。言い換えると、つまりクッションフレーム4の後端より後方位置とする。シート表皮7はシート1の背もたれ部では、左右の袋状部分71を左フレーム2及び右フレーム3が貫通することにより、S字の湾曲形状に沿って、S字に湾曲した背もたれ部を張り渡すように構成する。そして、後方のリアメンバ5で折り返すことにより、シート表皮7が背もたれ部のS字の湾曲を下方に延長するように後方へ伸長する構成にする。
【0015】
次に作用を説明する。
[シートの組み立てとシート表皮を張ることを同時に行う作用]
なお、組立て順序に沿って、一部構成とともに説明する。なお、符号201で示すのは、シート表皮7におけるテンションがかかっていることを説明する矢印で、符号202では、シート表皮7において撓んだ部分を示す矢印である。
図7は実施例1において、フレーム部材にシート表皮を取り付けた状態を示す説明図である。
実施例1の車両用シートを組み付ける際には、まず、左フレーム2、右フレーム3、クッションフレーム4を、シート表皮7の袋状部分71へ貫通させるようにして、シート表皮7を取り付ける(図7参照)。この状態では、シート表皮7は、クッションフレーム4の前端部分のみ張っていて、残りは張りのない撓んだ状態である。
図8は実施例1において、左フレームと右フレームの組付中間状態の説明図である。図9は実施例1において、左フレーム2、右フレーム3にクッションフレーム4を取り付けた状態の説明図である。
【0016】
シート表皮7を各フレーム部材に取り付けたならば、次に、左フレーム2の下端部22に右フレーム3の下端部32を差し込み、且つ左フレーム2の上端部21に右フレーム3の上端部31を差し込む。この状態では、差し込み深さによって、左フレーム2と右フレーム3の左右間隔(シート幅)は、シート1の左右間隔より短いものになる。なお、この差し込みは、シート表皮7が自由な状態であるため、小さな力で容易に行われる。この状態を組付中間状態とする(図8参照)。
この状態の左フレーム2及び右フレーム3に、クッションフレーム4を取り付ける。その際には、まず、クッションフレーム4の左右に長い前端部分に、左フレーム2及び右フレーム3の下端部22,32をボルト8で締結する。この締結によって、下端部22,32の左右間隔はシート1の左右間隔となる。そして、クッションフレーム4の両端は、それぞれ、左フレーム2及び右フレーム3の中間の背もたれ部にボルトで締結する(図9参照)。
【0017】
この図9に示す状態では、シート1の座部の前部となるクッションフレーム4の前部では、シート表皮7が張った状態となるが、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31は、シート1の左右間隔より短い状態にしているため、座部の後部では、弛んだ状態となる。なお、この締結では、既にシート1の座部の前部が形成されているクッションフレーム4に、既に差し込まれた左フレーム2及び右フレーム3の下端部22,32のみを拡げて締結するのみであり、下端部22,32はテンション等を受けていないため、小さな力で容易に行われる。
【0018】
図10は実施例1において、左フレーム2、右フレーム3にリアメンバ5を取り付けた状態の説明図である。
左フレーム2及び右フレーム3に、クッションフレーム4を取り付けたならば、次に、リアメンバ5を取り付ける。リアメンバ5は、シート表皮7が座部から背もたれ部へ90度に近い角度で折り返させるように、シート表皮7の表側を押さえる。そして、両端を左フレーム2及び右フレーム3にボルト8で締結する(図10参照)。この状態では、シート1の座部の後部、及び背もたれ部の下端部の左右間隔が、ほぼシート1の左右間隔となる。そのため、シート表皮7におけるシート1の座部部分及び背もたれ部の下端部分の左右方向は、テンションがかかりほぼ張った状態となる。
【0019】
なお、それより上部の背もたれ部では、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31が、シート1の左右間隔より短くすることにより、シート表皮7に撓みを生じさせた状態となる。また、シート1の座部の前後方向、及び背もたれ部の上下方向では、テンションはかかるものの、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31が、シート1の左右間隔より短くすることにより、少しの撓みを生じさせた状態となる。
なお、このリアメンバ5の締結による取り付けでは、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31が自由状態になっていて、さらに、クッションフレーム4の両端は、コ字形状を開閉するように撓むことが可能であるため、小さな力で容易に取り付けが行われる。
【0020】
図11は実施例1において、左フレーム2、右フレーム3にヘッドレスト6を取り付けた状態の説明図である。
左フレーム2及び右フレーム3にリアメンバ5を取り付けたならば、最後にヘッドレスト6を左フレーム2及び右フレーム3に取り付ける。その際には、ヘッドレスト6の取り付け部62の下方開口から内部へ、左フレーム2及び右フレーム3の上端部21,31を挿入する。そして、上端部21,31の左右間隔を、シート1の背もたれ部の上端部となる位置にし、それぞれヘッドレスト6の取り付け部62にボルト8で締結する(図11参照)。つまり、左フレーム2及び右フレーム3の間隔を所定の間隔となるように拡げるようにして、ヘッドレスト6と締結する。
【0021】
すると、シート1の背もたれ部の上端部がシート1の左右間隔になるため、左フレーム2及び右フレーム3の全体が所定の左右間隔となり、左フレーム2及び右フレーム3に締結したクッションフレーム4の両端も所定のシート1の左右間隔となる。
これによって、シート表皮7におけるシート1の背もたれ部の全体の左右方向は、充分なテンションがかかり所定の張った状態となる。また、シート表皮7における座部全体の左右方向も充分なテンションがかかり所定の張った状態となる。
【0022】
さらに、シート1の背もたれ部の上端部がシート1の左右間隔になると、左フレーム2及び右フレーム3の上端位置が撓み無く固定されるので、シート表皮7の背もたれ部の上下方向、及び座部の前後方向でも充分なテンションがかかり所定の張った状態となる。
このようにヘッドレスト6の取り付けにより、シート1の組立てが完了する。そして、同時にシート表皮7を所定のテンションで張った状態にすることが完了する。
なお、このヘッドレスト6の左フレーム2及び右フレーム3への取り付けは、その次に下段の締結部位であるクッションフレーム4の両端位置から上方へ離れた位置であるため、左フレーム2及び右フレーム3のパイプのしなりにより、少ないモーメントで容易に取付が可能である。このように、実施例1のシート1の組立ては、小さな力で容易に行われる。
【0023】
実施例1において、シートの組み立てとシート表皮を張ることを同時に行う作用を明確にするために、以下に説明を加える。
図12は、従来のシート表皮の取付構造の説明図である。
特開2006-280548には、シート表皮を一枚物の布形状で構成し、張りを持たせるため、図12に示すように、シート表皮の取付部材を備えるようにし、シートフレームの両外側から締め、張力をかける構造にしたものが開示されている。
しかしながら、シート表皮の取付部材を備える構成にすると、部品点数、重量が増し、構造が複雑化する。そして、複雑化した構造が張力を不安定にする。また、図12のような従来構造は、シートフレームを溶接で構成することになり、シートフレームの溶接、組み立て、シート表皮張りというように3工程を必要とする。
【0024】
これに対して、実施例1では、シート1の組み立てを完了すると、同時にシート表皮張りが完了しているため、部品点数、重量、構造の複雑さの点で有利である。またシート表皮張り工程を別に必要とせず、さらに、このことによる構造の簡素化がシート表皮の張力を安定したものにする点で有利である。
【0025】
[溶接による強度の低下、精度の低下を防止する作用]
実施例1のシート1では、左フレーム2、右フレーム3、クッションフレーム4、リアメンバ5、ヘッドレスト6に分割したフレーム構造とし、これを機械留め、つまり締結によって固定する構造にしている。また、シート表皮7は、各フレームによる組立ての際、同時に張力をかけて張り渡される構造である。そのため、機械留めのみで溶接箇所なくシート1が組み立てられる。これにより、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下が防止される。
【0026】
[腰椎S字姿勢を確保する作用]
実施例1のシート1では、左フレーム2及び右フレーム3の湾曲と、リアメンバ5による後方位置での折り返しによって、シート1の背もたれ部を構成するシート表皮7は、腰椎S字姿勢を考慮した、S字に湾曲した形状に張り渡される。
そのため、シート1を用いる乗員の座り心地を向上する。言い換えると、実施例1のシート1は、電気自動車のように軽量化が特に重要な場合に、一枚物のシート表皮7によりシートの座部及び背もたれ部を構成して軽量化を実現しつつ、腰椎S字姿勢を考慮した形状にすることで、座り心地を向上している。
【0027】
次に、効果を説明する。実施例1の車両用シートにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1)シート1の脚部と背もたれ部の外枠を左右に分割し、それぞれを一本物の曲げパイプで形成した左フレーム2及び右フレーム3と、シート1の座部の外枠を一本物の曲げパイプで形成したクッションフレーム4と、シート1の背もたれ部と座部を形成する一枚物の布部材として設けられ、周縁に左フレーム2と右フレーム3及びクッションフレーム4を通過させる袋状部分71を形成したシート表皮7と、曲げパイプで形成され、シート表皮7を座部部分と背もたれ部分に折り返させるリアメンバ5と、各フレーム部材を固定するボルト8を備え、シート表皮7の袋状部分71に各フレーム部材である曲げパイプを貫通させるように取付け、ボルト8で締結する構造にしたため、各フレームを溶接することなく、シート表皮7に取り付けたパイプ部材で形成した各フレームをボルト8で締結して機械留めにて組み付けて、溶接による強度の低下、溶接ひずみによる精度の低下を防止することができる。
【0028】
(2)左フレーム2及び右フレーム3の上端を接続し、背もたれ部の頭部部分となるヘッドレスト6を備え、左フレーム2及び右フレーム3は、シート表皮7を取り付けた状態で、左フレーム2の上端部21及び下端部22を拡径し、右フレーム3の上端部31及び下端部32を差し込み、シート1の左右幅が短い組付中間状態となる形状になる左右の分割構造にし、脚部側の一端をクッションフレーム4へのボルト8によるシート左右幅での取付位置とし、背もたれ部の下部をリアメンバ5へのボルト8によるシート左右幅での取付位置とし、上端部をヘッドレスト6へのボルト8によるシート左右幅での取付位置とし、クッションフレーム4は、曲げパイプの両端部を左フレーム2及び右フレーム3へのボルト8による取付位置とし、組付中間状態での両端部の間の距離の撓みを許容するように、背もたれ部と連結する部分を両端部とする形状にしたため、各フレーム部材の組付けの進行と同時に左フレーム2及び右フレーム3の各部が所定の左右幅となることにより、組付中間状態で周縁が各フレームに取り付けられているシート表皮7を、所定のテンションで張った状態にすることができ、小さな力による容易な組付けで、作業工程を省略することができる。
【0029】
(3)左フレーム2及び右フレーム3は、曲げパイプの背もたれ部を腰椎S字形状に湾曲させ、リアメンバ5によるシート表皮7の折り返し位置を、左フレーム2及び右フレーム3の腰椎S字形状の湾曲の延長位置にしたため、軽量化を行いつつ、腰椎S字姿勢を考慮した形状にすることで、座り心地を向上することができる。
【0030】
以上、本発明の車両用シートを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0031】
例えば、実施例1では、ボルト8による締結する構造を示したが、リベットやネジ等、他の機械留めを行う構造であってもよい。
例えば、実施例1では、シートの左右幅が短い組付中間状態となる形状になる左右の分割構造として、左フレーム2の上端部21及び下端部22を拡径し、右フレーム3の上端部31及び下端部32を差し込む構造にしたが、シートの左右の中央を省略して左右に分割した構造にしてもよい。
また例えば、実施例1では、シート表皮にフレーム部材を通過させる取付穴として貫通した袋形状部分を形成したが、シート表皮に切れ目を入れるように取付穴が設けられたもの等、他の形状であってもよく、フレーム部材の組付け前に、各フレーム部材に取り付けられるものが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、他の移動体等に設置されるシートに利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 シート
2 左フレーム
21 上端部
22 下端部
3 右フレーム
31 上端部
32 下端部
4 クッションフレーム
5 リアメンバ
6 ヘッドレスト
61 フレーム部
62 取り付け部
63 補強部材
7 シート表皮
71 袋状部分
8 ボルト
101 電気自動車
201 (シート表皮のテンションがかかっている部分を示す)符号
202 (シート表皮の撓んだ部分を示す)符号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの脚部と背もたれ部の外枠を左右に分割し、それぞれを一本物の曲げパイプで形成した左右フレームと、
シートの座部の外枠を一本物の曲げパイプで形成したクッションフレームと、
シートの背もたれ部と座部を形成する一枚物の布部材として設けられ、周縁に左右フレーム及びクッションフレームを通過させる取付穴部を形成したシート表皮と、
曲げパイプで形成され、前記シート表皮を座部部分と背もたれ部分に折り返させるリアメンバと、
各フレーム部材を固定する機械留め手段と、
を備え、前記シート表皮の取付穴部に各フレーム部材である曲げパイプを貫通させるように取付け、機械留めする構造にしたことを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記左右フレームの上端を接続し、前記背もたれ部の頭部部分となるヘッドレストを備え、
前記左右フレームは、前記シート表皮を取り付けた状態で、シートの左右幅が短い組付中間状態となる形状になる左右の分割構造にし、脚部側の一端を前記クッションフレームへの前記機械留め手段によるシート左右幅での取付位置とし、前記背もたれ部の下部を前記リアメンバへの前記機械留め手段によるシート左右幅での取付位置とし、上端部を前記ヘッドレストへの前記機械留め手段によるシート左右幅での取付位置とし、
前記クッションフレームは、曲げパイプの両端部を前記左右フレームへの前記機械留め手段による取付位置とし、前記組付中間状態での両端部の間の距離の撓みを許容するように、前記背もたれ部と連結する部分を両端部とする形状にした、
ことを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、
前記左右フレームは、曲げパイプの背もたれ部を腰椎S字形状に湾曲させ、
前記リアメンバによるシート表皮の折り返し位置を、前記左右フレームの腰椎S字形状の湾曲の延長位置にした、
ことを特徴とする車両用シート。
【請求項1】
シートの脚部と背もたれ部の外枠を左右に分割し、それぞれを一本物の曲げパイプで形成した左右フレームと、
シートの座部の外枠を一本物の曲げパイプで形成したクッションフレームと、
シートの背もたれ部と座部を形成する一枚物の布部材として設けられ、周縁に左右フレーム及びクッションフレームを通過させる取付穴部を形成したシート表皮と、
曲げパイプで形成され、前記シート表皮を座部部分と背もたれ部分に折り返させるリアメンバと、
各フレーム部材を固定する機械留め手段と、
を備え、前記シート表皮の取付穴部に各フレーム部材である曲げパイプを貫通させるように取付け、機械留めする構造にしたことを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記左右フレームの上端を接続し、前記背もたれ部の頭部部分となるヘッドレストを備え、
前記左右フレームは、前記シート表皮を取り付けた状態で、シートの左右幅が短い組付中間状態となる形状になる左右の分割構造にし、脚部側の一端を前記クッションフレームへの前記機械留め手段によるシート左右幅での取付位置とし、前記背もたれ部の下部を前記リアメンバへの前記機械留め手段によるシート左右幅での取付位置とし、上端部を前記ヘッドレストへの前記機械留め手段によるシート左右幅での取付位置とし、
前記クッションフレームは、曲げパイプの両端部を前記左右フレームへの前記機械留め手段による取付位置とし、前記組付中間状態での両端部の間の距離の撓みを許容するように、前記背もたれ部と連結する部分を両端部とする形状にした、
ことを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、
前記左右フレームは、曲げパイプの背もたれ部を腰椎S字形状に湾曲させ、
前記リアメンバによるシート表皮の折り返し位置を、前記左右フレームの腰椎S字形状の湾曲の延長位置にした、
ことを特徴とする車両用シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−234839(P2010−234839A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82292(P2009−82292)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000128544)株式会社オーテックジャパン (183)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000128544)株式会社オーテックジャパン (183)
【Fターム(参考)】
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