説明

車両用ドアミラーの取付構造

【課題】ドアインナパネルにミラーベースを締付固定した際における、ドアアウタパネルとドアミラーのカバーとの間の隙間や段差を抑制する。
【解決手段】車両のドアパネル2aの窓枠部10の前端部分にミラー取付部13を形成し、ドアミラー本体3とミラーベース21とで成るドアミラー1をミラー取付部に取り付けた車両用ドアミラーの取付構造で、ドアアウタパネル7に設けた孔部14の周囲のドアアウタパネル部分16と、孔部内に露出したドアインナパネル部分15とでミラー取付部を構成し、ドアインナパネル部分にミラーベース21を固定し、ミラーベースの外側でミラーベースを覆うカバー6をドアアウタパネル部分に取り付けた。カバーの下端縁に沿って弾性の軟質リップ8を設け、軟質リップを下部ミラーベース4の上面に当接させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のサイドドアミラーのミラーベースとカバーをドアパネルに取り付けて、カバーでミラーベースを覆う車両用ドアミラーの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントサイドドアの窓枠の前端部の外側にドアミラーを取り付ける車両用ドアミラーの取付構造として、例えば特許文献1には、ドアミラー本体(ハウジング)を大型のミラーベースに可倒式に組み付け、ミラーベースの凹部を雄ネジでドアパネルのネジ穴に締付固定し、意匠面を有するカバーを凹部に嵌合させてネジ頭部を隠すようにした構造や、ドアミラー本体を小型のミラーベースに可倒式に組み付け、ミラーベースを雄ネジでドアパネルの凹部内のネジ穴に締付固定し、意匠面を有するベースカバーをミラーベースに爪部と突起部の係合で係止固定させるようにした構造が記載されている。
【0003】
ドアパネルはドアアウタパネルとドアインナパネルとそれらの補強パネル(リインフォース)とで構成されるが、ミラーベースをドアアウタパネルではなくドアインナパネルにねじ締め固定することは公知である。また、ドアミラー本体を可倒式に連結するミラーベースに、パネルを隠すためのアッパカバーを一体に成型することも公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−208374号公報(図1,図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の車両用ドアミラーの取付構造にあっては、ミラーベースの締付けをドアインナパネルに対して行った際に、例えばドアアウタパネルとドアインナパネルとの組付ばらつきによって、外観面となるドアアウタパネルとドアミラーのミラーベースやアッパカバーとの間に隙間や段差を生じたり、左右のドアミラーでミラーベース固定用の雄ネジの締付トルクの負荷方向が異なることに起因して、ドアアウタパネルとドアミラーのミラーベースやアッパカバーとの間の隙間や段差が左右のドアミラーで異なったりして、外観品質を損ない、商品価値が低下し兼ねないという懸念があった。
【0006】
本発明は、上記した点に鑑み、ドアインナパネルにミラーベースを締付固定した場合でも、ドアアウタパネルとドアインナパネルとの組付ばらつきや、左右のドアミラーでミラーベース固定用の雄ネジの締付トルクの負荷方向が異なることに起因する、ドアアウタパネルとドアミラーのミラーベースやアッパカバーとの間の隙間や段差を目立たなくする(抑制する)ことのできる車両用ドアミラーの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る車両用ドアミラーの取付構造は、車両のドアパネルの窓枠部の前端部分にミラー取付部を形成し、ドアミラー本体とミラーベースとで成るドアミラーを該ミラー取付部に取り付けたドアミラーの取付構造において、前記ミラー取付部が、ドアアウタパネルに設けられた孔部の周囲のドアアウタパネル部分と、該孔部内に露出したドアインナパネル部分とで成り、該ドアインナパネル部分に前記ミラーベースが固定され、該ミラーベースの外側で該ドアアウタパネル部分にカバーが該ミラーベースを覆って取り付けられたことを特徴とする。
【0008】
上記構成により、ハウジングを連結したミラーベースをドアインナパネルに固定した際に、ドアインナパネルとドアアウタパネルとの取付誤差やボルト挿通孔と取付ボルトの隙間に起因するミラーベースの固定位置のずれによってドアアウタパネルの孔部とミラーベースとの位置にばらつきを生じるが、ミラーベースと孔部とをカバーで完全に覆って、カバーを孔部の周囲のドアアウタパネル部分に固定することで、ミラーベースの位置ずれが吸収されると共に、孔部とミラーベースとの間の隙間が隠されて、外観品質が高まる。右側のドアミラーと左側のドアミラーとでミラーベースをボルトでドアインナパネルに締付固定する際の締付け回転方向(トルクがかけられる方向)が異なるが、左右でミラーベースの取付位置誤差を生じても、上記のようにドアアウタパネル部分に位置決め固定されるカバーにてミラーベースと孔部とを覆い隠して、ミラーベースの位置ずれを吸収すると共に、孔部とミラーベースとの間の隙間を隠すことで、トルク方向が異なる影響を受けなくなる。
【0009】
請求項2に係る車両用ドアミラーの取付構造は、請求項1記載の車両用ドアミラーの取付構造において、前記カバーは、前記ミラーベースのうちの上部ミラーベースを覆い、該上部ミラーベースの前方と後方と上方とで前記ドアアウタパネル部分に固定されたことを特徴とする。
【0010】
上記構成により、上部ミラーベースの前方と後方と上方に位置するドアアウタパネルの三点でカバーが位置決め性(取付作業性)良く、且つ高い剛性を維持して、ドアアウタパネルに固定される。ドアアウタパネルの孔部はカバーで補強される。
【0011】
請求項3に係る車両用ドアミラーの取付構造は、請求項1又は2記載の車両用ドアミラーの取付構造において、前記ドアアウタパネル部分に小孔が設けられ、該小孔に係合する爪部が前記カバーに設けられたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、カバーをドアアウタパネルに押し付けることで、爪部が小孔に進入係合して、カバーがワンタッチで簡単にドアアウタパネルに固定される。
【0013】
請求項4に係る車両用ドアミラーの取付構造は、請求項1〜3の何れかに記載の車両用ドアミラーの取付構造において、前記カバーの下端縁に沿って弾性の軟質リップが設けられ、該軟質リップが前記ミラーベースのうちの下部ミラーベースの上面に当接したことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、カバーの軟質リップ(弾性部材)が下部ミラーベースの上面に弾性的に当接し、カバーと下部ミラーベースとの間の隙間やズレや段差が軟質リップで覆い隠される。隙間やズレや段差の大小は、軟質リップの撓み量が弾性的に変化することで吸収される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ドアインナパネルにミラーベースを締付固定した場合でも、ドアアウタパネルに取り付けたカバーでミラーベースを覆い隠すことで、ドアアウタパネルとドアインナパネルとの組付ばらつきや、左右のドアミラーでミラーベース固定用のボルトの締付トルクの負荷方向が異なることに起因する、ドアアウタパネルの孔部とミラーベースとの間の隙間や段差を覆い隠して、外観品質や商品性を向上させることができると共に、隙間に起因する車両走行時の風切音の発生を防ぐことができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、カバーをドアアウタパネルに前後上の三点で位置決め性及び作業性良く取り付けることができ、しかもドアアウタパネルの孔部をカバーで補強して、車両走行時の振動による異音等の発生を防ぐことができる。ドアアウタパネルに対してカバーを正確な位置に取り付けることが可能となって、車両の外観品質をさらに向上させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、カバーを作業性良く簡単にドアアウタパネルに固定することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、カバーの軟質リップでカバーと下部ミラーベースとの間の隙間やズレや段差を覆い隠して、外観品質や商品性を一層向上させることができる。また、隙間に起因する車両走行時の風切音の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る車両用ドアミラーの取付構造の一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】車両用ドアミラーの取付構造におけるカバー取り付け前の状態を示す分解斜視図である。
【図3】上部ミラーベースをドアパネルに取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図4】カバーをドアパネルに取り付けた状態を示す、図1のA−A相当断面図である。
【図5】カバーの下端の軟質リップの配置形態を示す斜視図である。
【図6】同じく軟質リップと下部ミラーベースとの接触状態を示す、図1のB−B相当断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図6は、本発明に係る車両用ドアミラーの取付構造の一実施形態を示すものである。図1に示すドアミラー1は自動車のフロントの右側ドア2におけるものであり、不図示の左側ドアにおけるドアミラーは右側のドアミラー1と左右対称に形成配置される。
【0021】
図1の如く、このドアミラー1は、ドアミラー本体(ハウジング部)3と、ドアミラー本体3を可倒式に連結した略水平に横方向(車両の左右方向)に突出する下部ミラーベース4と、下部ミラーベース4に一体に設けられ、下部ミラーベース4のドア側の端部から自動車ドア2の金属製のドアインナパネルに固定された略垂直に縦方向(上方)に延びる上部ミラーベース5と、上部ミラーベース5を覆って、金属製のドアアウタパネル7に固定されたガーニッシュとしてのカバー(アッパカバー)6とを備えたものである。
【0022】
カバー6はミラーベース4,5とは別部品のガーニッシュであり、車両の意匠面となる外面6aを有している。カバー6の下端部(詳細には下端面)6bにはその前端6cから後端6dにかけて、後述する下部ミラーベース4の上面4bに当接する合成ゴム等を材料とした軟質リップ(弾性部材)8が設けられている。
【0023】
ドアミラー本体3はドア側の下部に略矩形状の切欠部9を有し、切欠部9内に下部ミラーベース4の外側突出部分4aが配置され、下部ミラーベース4は上面4bから略垂直に上方に突出する不図示の軸部でドアミラー本体3を可倒式に支持している。
【0024】
ドアアウタパネル7とドアインナパネル15とそれらの不図示のリインフォースとでドアパネル2aが構成されている。本例のドア2はプレスドアであり、ドアアウタパネル7とドアインナパネル15とがそれぞれ窓枠部10を構成する部分を一体に有している。例えばドアアウタパネル7は、ドアアウタパネル本体(符号7で代用)と、その上方に位置して窓枠部の外側部分となる外側の窓枠部(ドアアウタサッシュ)(符号10で代用)とで構成されている。窓枠部10は、ドアアウタパネル本体7の前部上端から上方に向かうにつれて車両の前後方向で後ろ側となるように後向きに傾斜した前側の枠部分10aと、前側の枠部分10aの上端から車両の後方に向けて略水平に延びる不図示の上側の枠部分と、ドアアウタパネル本体7の後部上端から上方に向かって延びて上側の枠部分の後端とドアアウタパネル本体7の後部上端を連結する略垂直な後側の枠部分10bとで構成され、ドアパネル本体7の上縁部が下側の略水平な枠部分11となっている。つまり、本発明に係る車両用ドアは昇降する窓ガラスを上部に有するドアであって、ドアの窓ガラス用の開口は、前側の枠部分10a(後述する後辺部10cを含む)と上側の枠部分と後側の枠部分10bと下側の略水平な枠部分11とで囲まれて構成されている。そして、前側、上側、後側の各枠部分には、ガラスランが装着され、ドアアウタパネル本体7の上縁11に、窓ガラスの外面に接触するドアアウタウェザストリップ12が装着されている。
【0025】
図2の如く、ドアパネル2aの窓枠部10の前端部(前側の枠部分10aの下端部分)にミラー取付部13が形成されている。すなわち、ドアアウタパネル7のアウタパネル本体7の前部上端から延びる前側の枠部分10aの下端部分に略三角形状の孔部14が設けられ、車両の外方側から見て孔部14内にドアインナパネル15が露出し、露出したドアインナパネル部分(以後ドアインナパネル部分15と称する)と、孔部14及び孔部14の周縁のドアアウタパネル部分(以後ドアアウタパネル部分16と称する)とでミラー取付部13が構成されている。
【0026】
図2,図3の如く、孔部14内に露出したドアインナパネル部分15に、略三角形状の上部ミラーベース5の取付部が重ねられて締付け固定されている。上部ミラーベース5の取付部は略三角形状に形成され、この略三角形状の三つの角部にボルト挿通孔が形成されており、各ボルト挿通孔にボルト17を格別に挿通して、ドアインナパネルに溶接固定されている不図示のナットにボルト17を締付けることで、上部ミラーベース5はドアインナパネル部分15に固定されている。詳細には、図2の如く、上部ミラーベース5は三方に短い脚部18を有し、各脚部18にボルト挿通孔19が形成されている。なお、図3では、上部ミラーベース5は簡略化して示しており、下部ミラーベース4との接合部分や構造等は省略している。
【0027】
図3の如く、上部ミラーベース5は、窓枠部10の前端部の形状(略三角形状の孔部14)に合わせて、後向きに急勾配に傾斜した後辺部5aと緩勾配に傾斜した前辺部5bと、略水平な底辺部5cとを有し、上端側と前端側と後端側との三点でドアインナパネル部分15に固定される。窓枠部10の前端部分は、後向きに急勾配に傾斜した後辺部10cと緩勾配に傾斜した前辺部10dと、ドアアウタパネル本体7の上縁11の延長線上に位置する略水平な下辺部10eとを有し、後辺部10c、前辺部10d、下辺部10eとで略三角形状の孔部14を構成している。ドアインナパネル部分15は、上部ミラーベース5のボルト挿通孔19に対応した位置に形成された孔部20と、ドアインナパネル部分15の内面(車室内側となる裏面)で孔部20の周縁に溶接固定された不図示のナットとを有している。
【0028】
上部ミラーベース5は例えば金属板をプレス加工で打ち抜き・折り曲げて形成され、底辺部5cに続く略水平な折り曲げ部分(図示せず)を合成樹脂製の下部ミラーベース4(図2)にインサート成形やボルト締め等で一体的に固定している。下部ミラーベース4と上部ミラーベース5とでミラーベース21(図2)が構成されている。
【0029】
図2の如く、カバー6は、上部ミラーベース5よりも一回りないし二回り程度大きな略三角形状に形成され、ドアアウタパネル7の略三角形状の孔部14の各辺に沿って、後向きに急勾配に傾斜した後辺部6eと緩勾配に傾斜した前辺部6fと、略水平な下辺部(下端部)6bとを有している。下辺部6bの後端部分6d’は下向きに傾斜している。下辺部6bに沿って軟質リップ8が設けられている。軟質リップ8については図5,図6で後述する。
【0030】
図3の如く、符号22で示す三箇所においてカバー6(図2)が略三角形状の孔部14の周囲でドアアウタパネル部分16に固定される。図4(図1のA−A断面図)の如く、カバー6の内面にはカバー6の略三角形状の三つの角部となる上記三箇所に各一対の爪部23が突設されている。各爪部23は、カバー6の内面に直交した可撓性の突片23aと、突片23aの先端外面に突出した略三角形状の爪本体23bとで構成され、爪本体23bは摺接用の傾斜面23cと、突片23aに略直交する係止面23dとを有している。一対の爪部23は相互に対向して平行に位置し、一対の爪部23の間に撓み用の空間(隙間)24を有している。そして、一対の爪部23が、後述するドアインナパネル15に形成された小孔22に挿入されて小孔22の周縁部に係止面23dが係合することにより、カバー6がドアインナパネル15に取り付けられている。
【0031】
ドアアウタパネル7は、略三角形状の孔部14の周縁部分がドアインナパネル15に向けて凹んだ凹部であるアウタパネル部分16となっており、凹部16におけるカバー6と近接して平行なパネル部分16aに、カバー6の一対の爪部23を同時に進入係合させる円形ないし矩形状の小孔(孔部)22を有している。この小孔(孔部)22は、カバー6の爪部23の位置に対応して形成されており、上部ミラーベースの前方と後方と上方となる略三角形状の孔部14の前方と後方と上方のドアアウタパネル部分に形成されている。
【0032】
平行なパネル部分16aは傾斜状の立ち上げ部16bを経てドアアウタパネル7の外側のパネル部分26に続いている。カバー6は凹部16内に位置し、立ち上げ部16bにカバー6の周端面6e,6f(図2)が近接ないし接触して、カバー6の外面6aがドアアウタパネル6の外側のパネル部分26の外面と同一面に連続している。このようにして、カバー6とドアアウタパネル7との境界部分が目立ちにくくなっている。
【0033】
ドアアウタパネル7の上端部27の内面にドアインナパネル15の上端部28がスポット溶接や折り曲げ加工等で接合され、ドアインナパネル15は上端部28に略直交して続く内向きの周壁29と、周壁29に続くインナパネル主体部30とを有し、ドアアウタパネル7の略三角形状の孔部14はインナパネル主体部30に接近している。略三角形状の孔部14に上部ミラーベース5(図3)が挿通されて、インナパネル主体部30に設けられたボルト挿通孔20とその内側のナットにボルト17(図3)が螺挿されて上部ミラーベース5(図3)が固定される。上部ミラーベース5は図1の如くカバー6で全面的に覆われて隠される。
【0034】
上記のように、カバー6をドアアウタパネル7に直接組み付けることで、ドアアウタパネル7とドアインナパネル15との組付ばらつきの影響と、右側のドアミラー1と左側のドアミラーとで固定用のボルト(雄ネジ)17の締付トルクの方向が異なる影響とを受けずに、ドアミラー1とドアアウタパネル7との間の隙間や段差を均一化して、外観品質を高めることができる。
【0035】
図5,図6(図1のB−B断面図)の如く、カバー6の下端6bにおいて前端6cから後端6dにかけて合成ゴム等を材料とした軟質リップ8が設けられている。図5の如く、軟質リップ8の後端部はカバー6の下部後端の傾斜面6d’に沿って下向きに傾斜して(傾斜部を符号8aで示す)段差状に後端まで続き、軟質リップ8の後端8bはドアアウタウェザストリップ12の前端に接している。
【0036】
図6の如く軟質リップ8の上端(基端)面8cがカバー6の下端面6cに接着剤やゴム一体成型で固着され、軟質リップ8はカバー6の下辺部6bから下部ミラーベース4の内側端部の上面4bにかけて外向きに湾曲状に撓んだ状態で、軟質リップ8の下端(先端)面8d側が下部ミラーベース4の内側端部の上面4bに隙間なく弾性的に接触している。
【0037】
軟質リップ8によって、カバー6の下辺部6bと下部ミラーベース4の上面4bとの間の隙間やズレや段差が隠されて、カバー6とミラーベース4,5との一体感が演出されている。
【0038】
図6で、符号3はドアミラー本体、4cは下部ミラーベース4の下壁、3aは、下部ミラーベース4に可倒式に連結されたドアミラー本体3の下部側部分、をそれぞれ示している。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る車両用ドアミラーの取付構造は、ドアインナパネルにミラーベースを締付固定した場合に、ドアアウタパネルとドアインナパネルとの組付ばらつきや、左右のドアミラーでミラーベース固定用の雄ネジの締付トルクの負荷方向が異なることに起因する、ドアアウタパネルとドアミラーのカバーとの間の隙間や段差を抑制して、外観品質を高めるために利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ドアミラー
2a ドアパネル
3 ドアミラー本体
4 下部ミラーベース
6 カバー
7 ドアアウタパネル
8 軟質リップ
10 窓枠部
13 ミラー取付部
14 孔部
15 ドアインナパネル部分
16 ドアアウタパネル部分
21 ミラーベース
22 小孔
23 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアパネルの窓枠部の前端部分にミラー取付部を形成し、ドアミラー本体とミラーベースとで成るドアミラーを該ミラー取付部に取り付けた車両用ドアミラーの取付構造において、
前記ミラー取付部が、ドアアウタパネルに設けられた孔部の周囲のドアアウタパネル部分と、該孔部内に露出したドアインナパネル部分とで成り、該ドアインナパネル部分に前記ミラーベースが固定され、該ミラーベースの外側で該ドアアウタパネル部分にカバーが該ミラーベースを覆って取り付けられたことを特徴とする車両用ドアミラーの取付構造。
【請求項2】
前記カバーは、前記ミラーベースのうちの上部ミラーベースを覆い、該上部ミラーベースの前方と後方と上方とで前記ドアアウタパネル部分に固定されたことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアミラーの取付構造。
【請求項3】
前記ドアアウタパネル部分に小孔が設けられ、該小孔に係合する爪部が前記カバーに設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ドアミラーの取付構造。
【請求項4】
前記カバーの下端縁に沿って弾性の軟質リップが設けられ、該軟質リップが前記ミラーベースのうちの下部ミラーベースの上面に当接したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用ドアミラーの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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