車両用ドアモール及び車両用ドアモールの製造方法
【課題】一体感を備え車両用ドアの意匠性をより向上させることができる車両用ドアモール及び車両用ドアモールの製造方法を提供する。
【解決手段】ドアモール6は、開口部3aの上部外形に沿った意匠面M1を形成するフレームモール部10と、開口部3aの下部に配設されドアパネル9の上端部に沿ってほぼ水平な方向に延びる意匠面M2を形成するベルトモール部20と、が一体的に形成されている。
【解決手段】ドアモール6は、開口部3aの上部外形に沿った意匠面M1を形成するフレームモール部10と、開口部3aの下部に配設されドアパネル9の上端部に沿ってほぼ水平な方向に延びる意匠面M2を形成するベルトモール部20と、が一体的に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアモールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアには、ステンレスやアルミニウムなどの金属からなるモールディング(以下、ドアモールという)が装着されているものがある(例えば特許文献1)。ドアモールは、車両用ドアの意匠性を向上させるためドアパネルの連結部などを覆うとともに、車両用ドアの外周に装着されるウェザーストリップやウインドウガラスの外側面を払拭するリップを係止するため、装着される部位に応じた断面形状を有する複数の部材から構成されている。
【0003】
例えば、図10に示すように、ドアモール101は、リヤドア102の上部外形に沿って延びるフレームモール部110と、ドアパネル109の上端に沿って延びるベルトモール部120と、フレームモール部110及びベルトモール部120を連結するリヤモール部130とから構成されている。フレームモール部110は、図11に示すように、ドアフレーム107の車両外側からウインドウガラス104とボディパネル108との間に延設されてなる略L字状の断面形状を有し、ウェザーストリップ112を係止するためのレール部111を備えている。フレームモール部110は、ドアフレーム107に固定されリヤドア102の上部外形に沿った意匠面M101(図10参照)を有している。ベルトモール部120は、図12に示すように、一枚の板を略逆U字状に折曲成形されてなり、その車両内側の壁部121にはウインドウガラス104に摺接するリップ122が設けられる。ベルトモール部120はドアパネル109を構成するアウターパネル191及びインナーパネル192の継ぎ目を覆うようにしてドアパネル109の上端部に沿った意匠面M102を有している(図10参照)。リヤモール部130は、図10に示すように車両前方側に開口する略コ字状の意匠面M103を有し、該リヤモール部130にフレームモール部110とベルトモール部120とを接続して略U字状の連続的な意匠面M100が形成される。
【特許文献1】特開2001−206067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドアモールは、上述したように、複数の部材110,120,130から構成されているため、各部材110,120,130間の継ぎ目がドアモール101の意匠面M100上に現れる。よって、ドアモール101の一体感を得ることができなかった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、一体感を備え車両用ドアの意匠性をより向上させることができる車両用ドアモール及び車両用ドアモールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、軽金属製の押出材からなり、車両用ドアの開口部を縁取り連続した意匠面を有する車両用ドアモールであって、前記車両用ドアのドアフレームに装着されるとともに前記ドアフレームとボディパネルとの隙間を塞ぐシール部材が固定される第1レール部を有する断面形状に形成されたフレームモール部と、前記フレームモール部と一体形成され、前記車両用ドアのドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるとともにウインドウガラスの外側面を払拭するリップ部材が固定される第2レール部を有し前記フレームモール部と異なる断面形状で形成されたベルトモール部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
同構成によれば、ドアフレームに装着されるフレームモール部とドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるベルトモール部とが一体形成されるため、意匠面上に部材間の継ぎ目が現れない。よって、一体感を備え車両用ドアの意匠性をより向上させることが可能なドアモールを得ることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ドアモールにおいて、前記フレームモール部は、前記ウインドウガラスの端部を車両外側から支持する。
同構成によれば、ウインドウガラスはフレームモール部によって車両外側から支持されるため、ウインドウガラスの外側面とドアモールとの間にウインドウガラスを支持するための部材が配設されない。よって、ウインドウガラスによって開口部が閉塞されたときのドアモールの意匠面とウインドウガラスの外側面との段差を低減することが可能となり、車両ドアの意匠性をより向上させることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用ドアモールにおいて、前記押出材はアルミニウム及びアルミニウム合金の何れか一方から形成され、前記意匠面に陽極酸化被膜処理が施された。
【0010】
同構成によれば、意匠面に陽極酸化被膜処理が施されるため、意匠面における錆などの発生を抑制することが可能となり、意匠性を低下させることなく長期間使用することができる。また、ドアモールにアルミ金属特有の上質感が与えられるため、車両ドアの高級感を醸し出すことができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用ドアモールにおいて、前記フレームモール部及び前記ベルトモール部を連結させるとともに前記フレームモール部の意匠面と前記ベルトモール部の意匠面とに連続する意匠面を有するリヤモール部を備えた。
【0012】
同構成によれば、フレームモール部の意匠面とベルトモール部の意匠面とに連続する意匠面を有するリヤモール部によって、フレームモール部の意匠面とベルトモール部の意匠面とを連続させることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用ドアモールの製造方法であって、前記フレームモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第1端部と、前記ベルトモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第2端部と、を同一断面上に有し、前記第1端部と前記第2端部とが連続して形成された軽金属製の押出材を成形する工程と、前記押出材から第1端部および第2端部のうち少なくとも何れか一方の端部を除去する工程と、前記意匠面が前記車両ドアの車両外側に配設され、前記第1端部が意匠幅方向外周側に配設され、前記第2端部が意匠幅方向内周側に配設されるよう、前記押出材を曲成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
このような方法によれば、単一の押出材からドアフレームに装着されるフレームモール部とドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるベルトモール部とが形成されるため、意匠面上に部材間の継ぎ目が現れない。よって、一体感を備え車両用ドアの意匠性をより向上させることが可能なドアモールを得ることができる。また、フレームモール部の断面形状の一部を含む断面形状を有する第1端部と、ベルトモール部の断面形状の一部を含む断面形状を有する第2端部と、を有する軽金属製の押出材からドアモールが形成されるため、各部で必要な断面形状を成形するための工程が不要となり、加工費を低減させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両用ドアの意匠性をより向上させることができる車両用ドアモール及び車両用ドアモールの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は車両としての自動車の側面図である。なお、図1図示状態で左側が車両前方側となり、右側を車両後方側となる。
【0017】
図1に示すように、自動車の後部には、後部座席側から乗員が乗り降りするための乗降口1を開閉する車両用ドアとしてのリヤドア2が設けられている。リヤドア2の上部には、ほぼ上下方向に沿って伸びるデビジョンバー3によって前後方向で区画された開口部3a,3bが設けられている。デビジョンバー3よりも前方側の第1開口部3aは可動ガラス(以下、ウインドウガラスという)4によって開閉され、デビジョンバー3よりも後方側の第2開口部3bは固定ガラス5によって閉塞されている。また、リヤドア2の外側面には、開口部3a,3bを縁取り連続した意匠面Mを有する車両用ドアモール(以下、ドアモール6という)が設けられている。
【0018】
ドアモール6は、第1開口部3aの上側に配設されるフレームモール部10と、第1開口部3aの下側に配設されるベルトモール部20と、を備えている。また、ドアモール6は、第2開口部3bに沿って配設されフレームモール部10とベルトモール部20とを連結するリヤモール部30を備えている。ドアモール6はフレームモール部10とベルトモール部20とリヤモール部30とが一体的に形成されており、その意匠面Mは前方側に開口する略U字状となっている。なお、以下の説明では、開口部3a,3bに沿った意匠面Mの幅方向を意匠幅方向とし、ドアモール6の各モール部10,20,30において開口側を内周側とし、反開口部側を外周側とする(図4参照)。
【0019】
まず、フレームモール部10について説明する。図2は図1のA−A断面図であり、図示状態左斜め下側が内周側となり、図示状態右斜め上側が外周側となる。また、図示状態左斜め上側が車両外側となり、図示状態右斜め下側が車両内側となる。
【0020】
図2に示すように、フレームモール部10は、ドアフレーム7の外側面に配設されウインドウガラス4の外側面に対して略垂直な方向を板厚方向とする板状の第1外装部11と、該第1外装部11に対して垂直をなしドアフレーム7の外周側に配設される第1レール部12とを有し、略L字状の断面形状を有して形成されている。
【0021】
第1外装部11は、ドアフレーム7の第1開口部3aの上側に沿った部分の意匠面M1を形成する。フレームモール部10はドアフレーム7に沿って略同一断面となっており、フレームモール部10の意匠面M1は開口部3a(図1参照)の上部外形に沿って一定の意匠幅W1(図4参照)を有している。
【0022】
第1レール部12は、フレームモール部10の外周側の面を凹設されるようにして形成され外周側に開口する略コ字状に形成されている。第1レール部12の外装面側には車両内側へと突出する凸部12aが形成され、第1レール部12の内装面側壁部12bは車両外側へと傾斜しており、ドアフレーム7の外周側に配設されドアフレーム7とボディパネル8との隙間を塞ぐシール部材としてのウェザーストリップ9aを係止可能となっている。ウェザーストリップ9aは、第1レール部12に係止されることによって、リヤドア2の外周側に固定される。また、第1レール部12は、ドアフレーム7の車両外側壁部71に設けられウインドウガラス4の端面4aに対向する板状のチャネル部72の外周側に配設される。ドアモール6は、フレームモール部10の第1レール部12とチャネル部72とがリベット72aにて固定されることによって、ドアフレーム7に装着される。
【0023】
また、第1レール部12がチャネル部72に固定されることにより、第1外装部11とドアフレーム7の車両外側壁部71とが対向するよう配置される。第1外装部11はガラスラン9bを係止するガラスラン係止爪11aを備え、第1外装部11とドアフレーム7の車両外側壁部71とによってチャネル部72を底部とするガラスラン嵌合部74が形成される。ガラスラン嵌合部74に配設されたガラスラン9bは第1外装部11とドアフレーム7の車両外側壁部71に設けられた係合凹部71aとに係止され固定される。第1外装部11はガラスラン嵌合部74に収容されたウインドウガラス4の端部を車両外側から支持する。
【0024】
次に、ベルトモール部20について説明する。図3は図1のB−B断面図であり、図示状態上側が内周側、図示状態下側が外周側となる。また、図示状態左側が車両外側となり図示状態右側が車両内側となる。
【0025】
図3に示すように、ベルトモール部20は、ドアパネル9よりも車両外側に配設される第2外装部21と、ドアパネル9よりも車両内側に配設される第2レール部22を有し、前記フレームモール部10と異なる略逆U字状の断面形状を有して形成されている。
【0026】
第2外装部21は、ドアパネル9の上端側からドアパネル9の車両外側に曲折する曲成部21aと、該曲成部21aの先端からドアパネル9を構成するアウターパネル91とインナーパネル92の連結部93に沿って延びる板状の直線部21bとを備え、ドアモール6の第1開口部3aの下側に沿った部分の意匠面Mを形成する。第2レール部22は、ウインドウガラス4の外側面4bに対して略垂直な方向を板厚方向とする平板状に形成されており、ベルトモール部20はドアパネル9の上端部を覆うようにして装着される。
【0027】
また、第2レール部22には、ウインドウガラス4の外側面4bを払拭するリップ部材としてのリップ9cが固定されるリップ係合部22aが形成されている。リップ9cは、ドアパネル9の連結部93に係止されるクリップ73と一体的に形成されており、第2レール部22のリップ係合部22aに係合するフック部73aを備えている。リップ9cは、該フック部73aがリップ係合部22aに係止されるとともに第2レール部22の車両内側の面22bに接着されることによって、ドアパネル9の車両内側に固定される。
【0028】
次に、リヤモール部30について説明する。
図4に示すように、リヤモール部30は、フレームモール部10の意匠面M1とベルトモール部20の意匠面M2とに連続する意匠面M3,M4を有している。フレームモール部10の後方側に設けられた第1リヤモール部31は、ドアモール6の第2開口部3bの上部外形に沿って配設され、ドアフレーム7の外形及びボディパネル8(図2参照)の間隔に応じて設定された意匠幅W3(図4参照)を有しフレームモール部10の意匠面M1に連続する意匠面M3を備えている。また、ベルトモール部20の後方側に設けられた第2リヤモール部32は、第2開口部3bの下側に沿って配設され、ベルトモール部20と同一の意匠幅W2(図4参照)を有しベルトモール部20の意匠面M2に連続する意匠面M4を備えている。
【0029】
次に、ドアモール6の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、フレームモール部10の断面形状の一部を含む断面形状の第1端部41と、ベルトモール部20の断面形状の一部を含む断面形状の第2端部42と、を同一断面上に有し、第1端部41と第2端部42とが連続して形成された軽金属の押出材40を成形する。なお、図5図示状態においては左側が車両外側となり、右側が車両内側となる。また、図5図示状態で上下方向が意匠幅方向となり、上側が外周側、下側が内周側となる。
【0030】
第1端部41はフレームモール部10の第1レール部12と同一の断面形状を含み、略L字状の断面形状を有している形成されている。また、第2端部42はベルトモール部20の曲成部21aと第2レール部22とを含み意匠幅方向内周側に開口する略U字状に形成されている。第1端部41及び第2端部42は板状の本体部43の両端にそれぞれ配設され、第1端部41から第2端部42にかけて連続する意匠面M5を備えている。
【0031】
次に、前述した断面形状を有する押出材40に切削加工を施し、押出材40から第1端部41および第2端部42のうち少なくとも何れか一方の端部を除去する。
例えば、図6に示すように、フレームモール部10に相当する部分においては、押出材40から第2端部42を除去する。また、図7に示すように、ベルトモール部20に相当する部分においては、押出材40から第1端部41を除去する。また、図8に示すように、第1リヤモール部31に相当する部分においては、第2端部42を除去する。また、図9に示すように、第2リヤモール部32に相当する部分おいては、第1端部41および第2端部42を除去する。
【0032】
次に、図4において二点鎖線で示すように、押出材40の意匠面M5が車両外側に配設され、第1端部41が外周側に配設され、第2端部42が内周側に配設されるよう、押出材40を曲成する。
【0033】
次に、曲成された押出材40にプレス加工を施し押出材40の本体部43からドアモール6の各モール部10,20,30に応じた意匠面M(M1,M2,M3,M4)を成形する。
【0034】
例えば、図6に示すように、フレームモール部10に相当する部分においては、押出材40の本体部43から意匠幅W1を有する意匠面M1とガラスラン係止爪11aとを曲成する。また、図7に示すように、ベルトモール部20に相当する部分においては、押出材40の本体部43から意匠幅W2を有する意匠面M2を形成する。また、図8に示すように、第1リヤモール部31においては、押出材40の本体部43から、ドアフレーム7の外形及びボディパネル8(図2参照)の間隔に応じて設定された意匠幅W3を有する意匠面M3と固定ガラス5の端部を支持する鍔部12cとを形成する。また、図9に示すように、第2リヤモール部32においては、押出材40の本体部43から、ベルトモール部20と同様の意匠幅W2(図4参照)を有する意匠面Mを形成する。すなわち、ドアモール6の意匠面Mは単一の押出材40の意匠面M5から形成される。なお、第2リヤモール部32においては、ベルトモール部20の意匠面M2と同一の意匠幅W2を有するよう形成されるため、押出し方向に沿った断面形状における意匠面M4の意匠幅W4は、ベルトモール部20の意匠幅W2と異なっている。なお、押出材40を曲成した際に本体部43に生じた歪などはプレス加工が施されることによって修正される。また、ドアモール6の意匠面Mは押出材40の本体部43から形成されるため、プレス加工にて意匠幅W1,W2,W3,W4を容易に変化させることが可能となる。
【0035】
次に、ドアモール6に陽極酸化被膜処理を施し、その表面を光輝色に発色若しくは着色させる。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0036】
(1)ドアフレーム7に装着されるフレームモール部10とドアパネル9の上端部を覆うようにして装着されるベルトモール部20とが一体成形されるため、意匠面M上にフレームモール部10、ベルトモール部20及びリヤモール部30間の継ぎ目が現れない。よって、一体感を備えリヤドア2の意匠性をより向上させることが可能なドアモール6を得ることができる。
【0037】
(2)ウインドウガラス4はフレームモール部10によって車両外側から支持されるため、ウインドウガラス4の外側面4bとドアモール6との間にウインドウガラス4を支持するための部材が配設されない。よって、ウインドウガラス4によって開口部が閉塞されたときのドアモール6の意匠面Mとウインドウガラス4の外側面4bとの段差を低減することが可能となり、リヤドア2の意匠性をより向上させることができる。
【0038】
(3)押出材40の意匠面Mに陽極酸化被膜処理が施されるため、意匠面Mにおける錆などの発生を抑制することが可能となり、意匠性を低下させることなく長期間使用することができる。また、ドアモール6にアルミ金属特有の上質感が与えられるため、リヤドア2の高級感を醸し出すことができる。
【0039】
(4)フレームモール部10の意匠面Mとベルトモール部20の意匠面Mとに連続する意匠面Mを有するリヤモール部30によって、フレームモール部10の意匠面Mとベルトモール部20の意匠面Mとを連続させることができる。
【0040】
(5)フレームモール部10の断面形状の一部を含む断面形状を有する第1端部41と、ベルトモール部20の断面形状の一部を含む断面形状を有する第2端部42と、を有する軽金属製の押出材からドアモール6を形成するため、各モール部10,20,30で必要な断面形状を成形するための工程が不要となり、加工費を低減させることが可能となる。また、断面形状の連続性が安定している押出材40の状態で各モール部10,20,30の断面形状が形成されるため、断面形状を変化させることによって意匠面Mに歪が発生することを妨げることができる。また、同一の材料でフレームモール部10からベルトモール部20まで同時に製造されるため、意匠面Mの色調が均一となり、意匠性の高いドアモール6を得ることができる。
【0041】
(6)押出材40の本体部43は板状に形成されているため、プレス加工によって容易に加工することができる。よって、ドアモール6の意匠面Mの意匠幅W1,W2,W3,W4や形状を容易に変更することが可能となりデザインの自由度が向上する。
【0042】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、押出材40の材質はステンレスなどであってもよく、適宜変更可能である。
【0043】
・上記実施形態では、ウインドウガラス4は、フレームモール部10によって、外側面4b側から支持されているがこのような態様に限定されない。例えば、ウインドウガラスを支持するための壁部がドアフレームと一体的に形成され、その壁部を第1外装部が覆うといった構成であってもよい。
【0044】
・上記実施形態では、陽極酸化被膜処理によって光輝色に発色若しくは着色されているが、このような態様に限定されず、適宜変更可能である。
・上記実施形態では、ベルトモール部20やフレームモール部10の断面形状は上述したようなものに限定されない。また、リヤモール部30の意匠幅W3はフレームモール部10と同一であっても良く適宜変更可能である。
【0045】
・上記実施形態では、第1端部41及び第2端部42の少なくとも何れか一方を除去した後に押出材40が曲成されているが、例えば、押出材40を曲成した後にプレス加工を施す際に第1端部41及び第2端部42の少なくとも何れか一方を除去することもできると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るドアモールが装着された車両の側面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】本発明に係るドアモールを車両外側から見た正面図。
【図5】押出材の断面図。
【図6】図4のC−C断面図。
【図7】図4のD−D断面図。
【図8】図4のE−E断面図。
【図9】図4のF−F断面図。
【図10】従来のドアモールが装着された車両の側面図。
【図11】図10のG−G断面図。
【図12】図10のH−H断面図。
【符号の説明】
【0047】
M…ドアモールの意匠面、M1…フレームモール部の意匠面、M2…ベルトモール部の意匠面、M3,M4…リヤモール部の意匠面、M5…押出材の意匠面、W1…フレームモール部の意匠幅、W2…ベルトモール部の意匠幅、W3,W4…リヤモール部の意匠幅、W5…押出材の意匠幅、3a,3b…開口部、4…ウインドウガラス、4b…ウインドウガラスの外側面、6…ドアモール、7…ドアフレーム、8…ボディパネル、9…ドアパネル、9a…シール部材としてのウェザーストリップ、9c…リップ部材としてのリップ、10…フレームモール部、12…第1レール部、20…ベルトモール部、22…第2レール部、30…リヤモール部、40…押出材、41…第1端部、42…第2端部。
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアモールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアには、ステンレスやアルミニウムなどの金属からなるモールディング(以下、ドアモールという)が装着されているものがある(例えば特許文献1)。ドアモールは、車両用ドアの意匠性を向上させるためドアパネルの連結部などを覆うとともに、車両用ドアの外周に装着されるウェザーストリップやウインドウガラスの外側面を払拭するリップを係止するため、装着される部位に応じた断面形状を有する複数の部材から構成されている。
【0003】
例えば、図10に示すように、ドアモール101は、リヤドア102の上部外形に沿って延びるフレームモール部110と、ドアパネル109の上端に沿って延びるベルトモール部120と、フレームモール部110及びベルトモール部120を連結するリヤモール部130とから構成されている。フレームモール部110は、図11に示すように、ドアフレーム107の車両外側からウインドウガラス104とボディパネル108との間に延設されてなる略L字状の断面形状を有し、ウェザーストリップ112を係止するためのレール部111を備えている。フレームモール部110は、ドアフレーム107に固定されリヤドア102の上部外形に沿った意匠面M101(図10参照)を有している。ベルトモール部120は、図12に示すように、一枚の板を略逆U字状に折曲成形されてなり、その車両内側の壁部121にはウインドウガラス104に摺接するリップ122が設けられる。ベルトモール部120はドアパネル109を構成するアウターパネル191及びインナーパネル192の継ぎ目を覆うようにしてドアパネル109の上端部に沿った意匠面M102を有している(図10参照)。リヤモール部130は、図10に示すように車両前方側に開口する略コ字状の意匠面M103を有し、該リヤモール部130にフレームモール部110とベルトモール部120とを接続して略U字状の連続的な意匠面M100が形成される。
【特許文献1】特開2001−206067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドアモールは、上述したように、複数の部材110,120,130から構成されているため、各部材110,120,130間の継ぎ目がドアモール101の意匠面M100上に現れる。よって、ドアモール101の一体感を得ることができなかった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、一体感を備え車両用ドアの意匠性をより向上させることができる車両用ドアモール及び車両用ドアモールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、軽金属製の押出材からなり、車両用ドアの開口部を縁取り連続した意匠面を有する車両用ドアモールであって、前記車両用ドアのドアフレームに装着されるとともに前記ドアフレームとボディパネルとの隙間を塞ぐシール部材が固定される第1レール部を有する断面形状に形成されたフレームモール部と、前記フレームモール部と一体形成され、前記車両用ドアのドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるとともにウインドウガラスの外側面を払拭するリップ部材が固定される第2レール部を有し前記フレームモール部と異なる断面形状で形成されたベルトモール部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
同構成によれば、ドアフレームに装着されるフレームモール部とドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるベルトモール部とが一体形成されるため、意匠面上に部材間の継ぎ目が現れない。よって、一体感を備え車両用ドアの意匠性をより向上させることが可能なドアモールを得ることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ドアモールにおいて、前記フレームモール部は、前記ウインドウガラスの端部を車両外側から支持する。
同構成によれば、ウインドウガラスはフレームモール部によって車両外側から支持されるため、ウインドウガラスの外側面とドアモールとの間にウインドウガラスを支持するための部材が配設されない。よって、ウインドウガラスによって開口部が閉塞されたときのドアモールの意匠面とウインドウガラスの外側面との段差を低減することが可能となり、車両ドアの意匠性をより向上させることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用ドアモールにおいて、前記押出材はアルミニウム及びアルミニウム合金の何れか一方から形成され、前記意匠面に陽極酸化被膜処理が施された。
【0010】
同構成によれば、意匠面に陽極酸化被膜処理が施されるため、意匠面における錆などの発生を抑制することが可能となり、意匠性を低下させることなく長期間使用することができる。また、ドアモールにアルミ金属特有の上質感が与えられるため、車両ドアの高級感を醸し出すことができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用ドアモールにおいて、前記フレームモール部及び前記ベルトモール部を連結させるとともに前記フレームモール部の意匠面と前記ベルトモール部の意匠面とに連続する意匠面を有するリヤモール部を備えた。
【0012】
同構成によれば、フレームモール部の意匠面とベルトモール部の意匠面とに連続する意匠面を有するリヤモール部によって、フレームモール部の意匠面とベルトモール部の意匠面とを連続させることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用ドアモールの製造方法であって、前記フレームモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第1端部と、前記ベルトモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第2端部と、を同一断面上に有し、前記第1端部と前記第2端部とが連続して形成された軽金属製の押出材を成形する工程と、前記押出材から第1端部および第2端部のうち少なくとも何れか一方の端部を除去する工程と、前記意匠面が前記車両ドアの車両外側に配設され、前記第1端部が意匠幅方向外周側に配設され、前記第2端部が意匠幅方向内周側に配設されるよう、前記押出材を曲成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
このような方法によれば、単一の押出材からドアフレームに装着されるフレームモール部とドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるベルトモール部とが形成されるため、意匠面上に部材間の継ぎ目が現れない。よって、一体感を備え車両用ドアの意匠性をより向上させることが可能なドアモールを得ることができる。また、フレームモール部の断面形状の一部を含む断面形状を有する第1端部と、ベルトモール部の断面形状の一部を含む断面形状を有する第2端部と、を有する軽金属製の押出材からドアモールが形成されるため、各部で必要な断面形状を成形するための工程が不要となり、加工費を低減させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両用ドアの意匠性をより向上させることができる車両用ドアモール及び車両用ドアモールの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は車両としての自動車の側面図である。なお、図1図示状態で左側が車両前方側となり、右側を車両後方側となる。
【0017】
図1に示すように、自動車の後部には、後部座席側から乗員が乗り降りするための乗降口1を開閉する車両用ドアとしてのリヤドア2が設けられている。リヤドア2の上部には、ほぼ上下方向に沿って伸びるデビジョンバー3によって前後方向で区画された開口部3a,3bが設けられている。デビジョンバー3よりも前方側の第1開口部3aは可動ガラス(以下、ウインドウガラスという)4によって開閉され、デビジョンバー3よりも後方側の第2開口部3bは固定ガラス5によって閉塞されている。また、リヤドア2の外側面には、開口部3a,3bを縁取り連続した意匠面Mを有する車両用ドアモール(以下、ドアモール6という)が設けられている。
【0018】
ドアモール6は、第1開口部3aの上側に配設されるフレームモール部10と、第1開口部3aの下側に配設されるベルトモール部20と、を備えている。また、ドアモール6は、第2開口部3bに沿って配設されフレームモール部10とベルトモール部20とを連結するリヤモール部30を備えている。ドアモール6はフレームモール部10とベルトモール部20とリヤモール部30とが一体的に形成されており、その意匠面Mは前方側に開口する略U字状となっている。なお、以下の説明では、開口部3a,3bに沿った意匠面Mの幅方向を意匠幅方向とし、ドアモール6の各モール部10,20,30において開口側を内周側とし、反開口部側を外周側とする(図4参照)。
【0019】
まず、フレームモール部10について説明する。図2は図1のA−A断面図であり、図示状態左斜め下側が内周側となり、図示状態右斜め上側が外周側となる。また、図示状態左斜め上側が車両外側となり、図示状態右斜め下側が車両内側となる。
【0020】
図2に示すように、フレームモール部10は、ドアフレーム7の外側面に配設されウインドウガラス4の外側面に対して略垂直な方向を板厚方向とする板状の第1外装部11と、該第1外装部11に対して垂直をなしドアフレーム7の外周側に配設される第1レール部12とを有し、略L字状の断面形状を有して形成されている。
【0021】
第1外装部11は、ドアフレーム7の第1開口部3aの上側に沿った部分の意匠面M1を形成する。フレームモール部10はドアフレーム7に沿って略同一断面となっており、フレームモール部10の意匠面M1は開口部3a(図1参照)の上部外形に沿って一定の意匠幅W1(図4参照)を有している。
【0022】
第1レール部12は、フレームモール部10の外周側の面を凹設されるようにして形成され外周側に開口する略コ字状に形成されている。第1レール部12の外装面側には車両内側へと突出する凸部12aが形成され、第1レール部12の内装面側壁部12bは車両外側へと傾斜しており、ドアフレーム7の外周側に配設されドアフレーム7とボディパネル8との隙間を塞ぐシール部材としてのウェザーストリップ9aを係止可能となっている。ウェザーストリップ9aは、第1レール部12に係止されることによって、リヤドア2の外周側に固定される。また、第1レール部12は、ドアフレーム7の車両外側壁部71に設けられウインドウガラス4の端面4aに対向する板状のチャネル部72の外周側に配設される。ドアモール6は、フレームモール部10の第1レール部12とチャネル部72とがリベット72aにて固定されることによって、ドアフレーム7に装着される。
【0023】
また、第1レール部12がチャネル部72に固定されることにより、第1外装部11とドアフレーム7の車両外側壁部71とが対向するよう配置される。第1外装部11はガラスラン9bを係止するガラスラン係止爪11aを備え、第1外装部11とドアフレーム7の車両外側壁部71とによってチャネル部72を底部とするガラスラン嵌合部74が形成される。ガラスラン嵌合部74に配設されたガラスラン9bは第1外装部11とドアフレーム7の車両外側壁部71に設けられた係合凹部71aとに係止され固定される。第1外装部11はガラスラン嵌合部74に収容されたウインドウガラス4の端部を車両外側から支持する。
【0024】
次に、ベルトモール部20について説明する。図3は図1のB−B断面図であり、図示状態上側が内周側、図示状態下側が外周側となる。また、図示状態左側が車両外側となり図示状態右側が車両内側となる。
【0025】
図3に示すように、ベルトモール部20は、ドアパネル9よりも車両外側に配設される第2外装部21と、ドアパネル9よりも車両内側に配設される第2レール部22を有し、前記フレームモール部10と異なる略逆U字状の断面形状を有して形成されている。
【0026】
第2外装部21は、ドアパネル9の上端側からドアパネル9の車両外側に曲折する曲成部21aと、該曲成部21aの先端からドアパネル9を構成するアウターパネル91とインナーパネル92の連結部93に沿って延びる板状の直線部21bとを備え、ドアモール6の第1開口部3aの下側に沿った部分の意匠面Mを形成する。第2レール部22は、ウインドウガラス4の外側面4bに対して略垂直な方向を板厚方向とする平板状に形成されており、ベルトモール部20はドアパネル9の上端部を覆うようにして装着される。
【0027】
また、第2レール部22には、ウインドウガラス4の外側面4bを払拭するリップ部材としてのリップ9cが固定されるリップ係合部22aが形成されている。リップ9cは、ドアパネル9の連結部93に係止されるクリップ73と一体的に形成されており、第2レール部22のリップ係合部22aに係合するフック部73aを備えている。リップ9cは、該フック部73aがリップ係合部22aに係止されるとともに第2レール部22の車両内側の面22bに接着されることによって、ドアパネル9の車両内側に固定される。
【0028】
次に、リヤモール部30について説明する。
図4に示すように、リヤモール部30は、フレームモール部10の意匠面M1とベルトモール部20の意匠面M2とに連続する意匠面M3,M4を有している。フレームモール部10の後方側に設けられた第1リヤモール部31は、ドアモール6の第2開口部3bの上部外形に沿って配設され、ドアフレーム7の外形及びボディパネル8(図2参照)の間隔に応じて設定された意匠幅W3(図4参照)を有しフレームモール部10の意匠面M1に連続する意匠面M3を備えている。また、ベルトモール部20の後方側に設けられた第2リヤモール部32は、第2開口部3bの下側に沿って配設され、ベルトモール部20と同一の意匠幅W2(図4参照)を有しベルトモール部20の意匠面M2に連続する意匠面M4を備えている。
【0029】
次に、ドアモール6の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、フレームモール部10の断面形状の一部を含む断面形状の第1端部41と、ベルトモール部20の断面形状の一部を含む断面形状の第2端部42と、を同一断面上に有し、第1端部41と第2端部42とが連続して形成された軽金属の押出材40を成形する。なお、図5図示状態においては左側が車両外側となり、右側が車両内側となる。また、図5図示状態で上下方向が意匠幅方向となり、上側が外周側、下側が内周側となる。
【0030】
第1端部41はフレームモール部10の第1レール部12と同一の断面形状を含み、略L字状の断面形状を有している形成されている。また、第2端部42はベルトモール部20の曲成部21aと第2レール部22とを含み意匠幅方向内周側に開口する略U字状に形成されている。第1端部41及び第2端部42は板状の本体部43の両端にそれぞれ配設され、第1端部41から第2端部42にかけて連続する意匠面M5を備えている。
【0031】
次に、前述した断面形状を有する押出材40に切削加工を施し、押出材40から第1端部41および第2端部42のうち少なくとも何れか一方の端部を除去する。
例えば、図6に示すように、フレームモール部10に相当する部分においては、押出材40から第2端部42を除去する。また、図7に示すように、ベルトモール部20に相当する部分においては、押出材40から第1端部41を除去する。また、図8に示すように、第1リヤモール部31に相当する部分においては、第2端部42を除去する。また、図9に示すように、第2リヤモール部32に相当する部分おいては、第1端部41および第2端部42を除去する。
【0032】
次に、図4において二点鎖線で示すように、押出材40の意匠面M5が車両外側に配設され、第1端部41が外周側に配設され、第2端部42が内周側に配設されるよう、押出材40を曲成する。
【0033】
次に、曲成された押出材40にプレス加工を施し押出材40の本体部43からドアモール6の各モール部10,20,30に応じた意匠面M(M1,M2,M3,M4)を成形する。
【0034】
例えば、図6に示すように、フレームモール部10に相当する部分においては、押出材40の本体部43から意匠幅W1を有する意匠面M1とガラスラン係止爪11aとを曲成する。また、図7に示すように、ベルトモール部20に相当する部分においては、押出材40の本体部43から意匠幅W2を有する意匠面M2を形成する。また、図8に示すように、第1リヤモール部31においては、押出材40の本体部43から、ドアフレーム7の外形及びボディパネル8(図2参照)の間隔に応じて設定された意匠幅W3を有する意匠面M3と固定ガラス5の端部を支持する鍔部12cとを形成する。また、図9に示すように、第2リヤモール部32においては、押出材40の本体部43から、ベルトモール部20と同様の意匠幅W2(図4参照)を有する意匠面Mを形成する。すなわち、ドアモール6の意匠面Mは単一の押出材40の意匠面M5から形成される。なお、第2リヤモール部32においては、ベルトモール部20の意匠面M2と同一の意匠幅W2を有するよう形成されるため、押出し方向に沿った断面形状における意匠面M4の意匠幅W4は、ベルトモール部20の意匠幅W2と異なっている。なお、押出材40を曲成した際に本体部43に生じた歪などはプレス加工が施されることによって修正される。また、ドアモール6の意匠面Mは押出材40の本体部43から形成されるため、プレス加工にて意匠幅W1,W2,W3,W4を容易に変化させることが可能となる。
【0035】
次に、ドアモール6に陽極酸化被膜処理を施し、その表面を光輝色に発色若しくは着色させる。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0036】
(1)ドアフレーム7に装着されるフレームモール部10とドアパネル9の上端部を覆うようにして装着されるベルトモール部20とが一体成形されるため、意匠面M上にフレームモール部10、ベルトモール部20及びリヤモール部30間の継ぎ目が現れない。よって、一体感を備えリヤドア2の意匠性をより向上させることが可能なドアモール6を得ることができる。
【0037】
(2)ウインドウガラス4はフレームモール部10によって車両外側から支持されるため、ウインドウガラス4の外側面4bとドアモール6との間にウインドウガラス4を支持するための部材が配設されない。よって、ウインドウガラス4によって開口部が閉塞されたときのドアモール6の意匠面Mとウインドウガラス4の外側面4bとの段差を低減することが可能となり、リヤドア2の意匠性をより向上させることができる。
【0038】
(3)押出材40の意匠面Mに陽極酸化被膜処理が施されるため、意匠面Mにおける錆などの発生を抑制することが可能となり、意匠性を低下させることなく長期間使用することができる。また、ドアモール6にアルミ金属特有の上質感が与えられるため、リヤドア2の高級感を醸し出すことができる。
【0039】
(4)フレームモール部10の意匠面Mとベルトモール部20の意匠面Mとに連続する意匠面Mを有するリヤモール部30によって、フレームモール部10の意匠面Mとベルトモール部20の意匠面Mとを連続させることができる。
【0040】
(5)フレームモール部10の断面形状の一部を含む断面形状を有する第1端部41と、ベルトモール部20の断面形状の一部を含む断面形状を有する第2端部42と、を有する軽金属製の押出材からドアモール6を形成するため、各モール部10,20,30で必要な断面形状を成形するための工程が不要となり、加工費を低減させることが可能となる。また、断面形状の連続性が安定している押出材40の状態で各モール部10,20,30の断面形状が形成されるため、断面形状を変化させることによって意匠面Mに歪が発生することを妨げることができる。また、同一の材料でフレームモール部10からベルトモール部20まで同時に製造されるため、意匠面Mの色調が均一となり、意匠性の高いドアモール6を得ることができる。
【0041】
(6)押出材40の本体部43は板状に形成されているため、プレス加工によって容易に加工することができる。よって、ドアモール6の意匠面Mの意匠幅W1,W2,W3,W4や形状を容易に変更することが可能となりデザインの自由度が向上する。
【0042】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、押出材40の材質はステンレスなどであってもよく、適宜変更可能である。
【0043】
・上記実施形態では、ウインドウガラス4は、フレームモール部10によって、外側面4b側から支持されているがこのような態様に限定されない。例えば、ウインドウガラスを支持するための壁部がドアフレームと一体的に形成され、その壁部を第1外装部が覆うといった構成であってもよい。
【0044】
・上記実施形態では、陽極酸化被膜処理によって光輝色に発色若しくは着色されているが、このような態様に限定されず、適宜変更可能である。
・上記実施形態では、ベルトモール部20やフレームモール部10の断面形状は上述したようなものに限定されない。また、リヤモール部30の意匠幅W3はフレームモール部10と同一であっても良く適宜変更可能である。
【0045】
・上記実施形態では、第1端部41及び第2端部42の少なくとも何れか一方を除去した後に押出材40が曲成されているが、例えば、押出材40を曲成した後にプレス加工を施す際に第1端部41及び第2端部42の少なくとも何れか一方を除去することもできると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るドアモールが装着された車両の側面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】本発明に係るドアモールを車両外側から見た正面図。
【図5】押出材の断面図。
【図6】図4のC−C断面図。
【図7】図4のD−D断面図。
【図8】図4のE−E断面図。
【図9】図4のF−F断面図。
【図10】従来のドアモールが装着された車両の側面図。
【図11】図10のG−G断面図。
【図12】図10のH−H断面図。
【符号の説明】
【0047】
M…ドアモールの意匠面、M1…フレームモール部の意匠面、M2…ベルトモール部の意匠面、M3,M4…リヤモール部の意匠面、M5…押出材の意匠面、W1…フレームモール部の意匠幅、W2…ベルトモール部の意匠幅、W3,W4…リヤモール部の意匠幅、W5…押出材の意匠幅、3a,3b…開口部、4…ウインドウガラス、4b…ウインドウガラスの外側面、6…ドアモール、7…ドアフレーム、8…ボディパネル、9…ドアパネル、9a…シール部材としてのウェザーストリップ、9c…リップ部材としてのリップ、10…フレームモール部、12…第1レール部、20…ベルトモール部、22…第2レール部、30…リヤモール部、40…押出材、41…第1端部、42…第2端部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽金属製の押出材からなり、車両用ドアの開口部を縁取り連続した意匠面を有する車両用ドアモールであって、
前記車両用ドアのドアフレームに装着されるとともに前記ドアフレームとボディパネルとの隙間を塞ぐシール部材が固定される第1レール部を有する断面形状に形成されたフレームモール部と、
前記フレームモール部と一体形成され、前記車両用ドアのドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるとともにウインドウガラスの外側面を払拭するリップ部材が固定される第2レール部を有し前記フレームモール部と異なる断面形状で形成されたベルトモール部と、を備えた
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアモールにおいて、
前記フレームモール部は、前記ウインドウガラスの端部を車両外側から支持する
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ドアモールにおいて、
前記押出材はアルミニウム及びアルミニウム合金の何れか一方から形成され、
前記意匠面に陽極酸化被膜処理が施された
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用ドアモールにおいて、
前記フレームモール部及び前記ベルトモール部を連結させるとともに前記フレームモール部の意匠面と前記ベルトモール部の意匠面とに連続する意匠面を有するリヤモール部を備えた
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用ドアモールの製造方法であって、
前記フレームモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第1端部と、前記ベルトモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第2端部と、を同一断面上に有し、前記第1端部と前記第2端部とが連続して形成された軽金属製の押出材を成形する工程と、
前記押出材から第1端部および第2端部のうち少なくとも何れか一方の端部を除去する工程と、
前記意匠面が前記車両ドアの車両外側に配設され、前記第1端部が意匠幅方向外周側に配設され、前記第2端部が意匠幅方向内周側に配設されるよう、前記押出材を曲成する工程と、を備えた
ことを特徴とする車両用ドアモールの製造方法。
【請求項1】
軽金属製の押出材からなり、車両用ドアの開口部を縁取り連続した意匠面を有する車両用ドアモールであって、
前記車両用ドアのドアフレームに装着されるとともに前記ドアフレームとボディパネルとの隙間を塞ぐシール部材が固定される第1レール部を有する断面形状に形成されたフレームモール部と、
前記フレームモール部と一体形成され、前記車両用ドアのドアパネルの上端部を覆うようにして装着されるとともにウインドウガラスの外側面を払拭するリップ部材が固定される第2レール部を有し前記フレームモール部と異なる断面形状で形成されたベルトモール部と、を備えた
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアモールにおいて、
前記フレームモール部は、前記ウインドウガラスの端部を車両外側から支持する
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用ドアモールにおいて、
前記押出材はアルミニウム及びアルミニウム合金の何れか一方から形成され、
前記意匠面に陽極酸化被膜処理が施された
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用ドアモールにおいて、
前記フレームモール部及び前記ベルトモール部を連結させるとともに前記フレームモール部の意匠面と前記ベルトモール部の意匠面とに連続する意匠面を有するリヤモール部を備えた
ことを特徴とする車両用ドアモール。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用ドアモールの製造方法であって、
前記フレームモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第1端部と、前記ベルトモール部の断面形状の一部を含む断面形状の第2端部と、を同一断面上に有し、前記第1端部と前記第2端部とが連続して形成された軽金属製の押出材を成形する工程と、
前記押出材から第1端部および第2端部のうち少なくとも何れか一方の端部を除去する工程と、
前記意匠面が前記車両ドアの車両外側に配設され、前記第1端部が意匠幅方向外周側に配設され、前記第2端部が意匠幅方向内周側に配設されるよう、前記押出材を曲成する工程と、を備えた
ことを特徴とする車両用ドアモールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−137144(P2007−137144A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330816(P2005−330816)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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