車両用ドラムインディスクブレーキ
【課題】ディスクロータの錆の発生を低減する車両用ドラムインディスクブレーキを提供する。
【解決手段】バッキングプレート16には、環状溝16a内の液体62がバッキングプレート16の外周縁部を介してディスクロータ14の側面14cに流れるのを抑制する液体案内部材(液体浸入低減装置)64が備えられているため、その液体案内部材(液体浸入低減装置)64によって、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制されるのでディスクロータ14の錆の発生を低減することができる。
【解決手段】バッキングプレート16には、環状溝16a内の液体62がバッキングプレート16の外周縁部を介してディスクロータ14の側面14cに流れるのを抑制する液体案内部材(液体浸入低減装置)64が備えられているため、その液体案内部材(液体浸入低減装置)64によって、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制されるのでディスクロータ14の錆の発生を低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドラムインディスクブレーキに関し、特に車両用ドラムインディスクブレーキのロータに発生する錆を低減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ドラムインディスクブレーキは、例えば特許文献1に示すように、(a) 円板状のバッキングプレートと、(b) そのバッキングプレート上に拡開可能に配設された円弧状の一対のブレーキシューと、(c) その一対のブレーキシューが内周面に摺接する有底円筒状の有底円筒状中央部とその有底円筒状中央部の外側に配設された円板形状の円板状外周部とを有して車輪と一体的に回転するディスクロータの一面を覆うように前記バッキングプレートに同心円状に重ねて固定されたディスクカバーとを備え、(d) 前記バッキングプレートの外周縁がそのディスクロータの一面に接近するようにそのディスクロータ側に曲げられ、前記ディスクカバーとの間に外周側に開く環状溝を形成するものである。また、例えば特許文献2に示すように、前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、前記バッキングプレートの外周縁がその環状凹溝内に入れられるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−242210号公報
【特許文献2】特開2003−106350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような車両用ドラムインディスクブレーキにおいて、車両走行時または停車時に例えは水、泥入りの融雪水等の液体が浸入した際、その液体は前記ディスクカバー、前記ディスクロータ、前記バッキングプレートの環状溝等に付着し時間が経つと流れ落ちるものである。
【0005】
しかしながら、前記バッキングプレートの環状溝に付着した前記液体はそのバッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面へ流れ落ちるため、前記液体が付着した際前記ディスクロータの一面にその液体が比較的長い時間残ってしまうので前記ディスクロータの一面に錆が発生し易くなるという問題があった。また、前記ディスクロータの一面に前記環状凹溝を有するものは、前記バッキングプレートの環状溝に付着した前記液体がそのバッキングプレートの外周縁部を介してその環状凹部に溜まってしまいその環状凹溝に錆が発生し易くなるという問題があった。前記ディスクロータの一面に錆が発生することによって、そのディスクロータを挟圧するブレーキパッドが早期摩耗することがある。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、ディスクロータの錆の発生を低減する車両用ドラムインディスクブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a) 円板状のバッキングプレートと、(b) そのバッキングプレート上に拡開可能に配設された円弧状の一対のブレーキシューと、(c) その一対のブレーキシューが内周面に摺接する有底円筒状の有底円筒状中央部とその有底円筒状中央部の外側に配設された円板形状の円板状外周部とを有して車輪と一体的に回転するディスクロータの一面を覆うように前記バッキングプレートに同心円状に重ねて固定されたディスクカバーとを備え、(d) 前記バッキングプレートの外周縁がそのディスクロータの一面に接近するようにそのディスクロータ側に曲げられ、前記ディスクカバーとの間に外周側に開く環状溝を形成する車両用ドラムインディスクブレーキであって、(e) 前記バッキングプレートには、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面に流れるのを抑制する液体浸入低減装置が備えられていることにある。
【0008】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部において前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレートの外周縁部を覆うとともに前記ディスクロータの一面から離隔してそのディスクロータに沿って設けられた液体案内部材である。
【0009】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2に係る発明において、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部のうち前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側において前記ディスクロータへ接近しないように形成された切欠である。
【0010】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至3のいずれか1に係る発明において、(a) 前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、(b) 前記バッキングプレートの外周縁がその環状凹溝内に入れられていることにある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、(e) 前記バッキングプレートには、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面に流れるのを抑制する液体浸入低減装置が備えられているため、前記液体浸入低減装置によって、前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの一面へ流れるのが抑制されるので前記ディスクロータの錆の発生を低減することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部において前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレートの外周縁部を覆うとともに前記ディスクロータの一面から離隔してそのディスクロータに沿って設けられた液体案内部材であるため、前記液体案内部材によって、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部においてその環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレートの外周縁部へ流れ難くなるので前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの一面へ流れるのが抑制される。
【0013】
請求項3に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部のうち前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側において前記ディスクロータへ接近しないように形成された切欠であるため、前記切欠によって、前記環状溝内の液体が流れ落ちる際前記ディスクロータへ流れ難くなるので前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの一面へ流れるのが抑制される。
【0014】
請求項4に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、(a) 前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、(b) 前記バッキングプレートの外周縁がその環状凹溝内に入れられているため、前記液体浸入低減装置によって、前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの環状凹溝に溜まり難くなるので前記ディスクロータの前記環状凹溝内の錆の発生が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例のデュオサーボ型ドラムインディスクブレーキを示す正面図である。
【図2】一対のブレーキシュー、シューホールドダウン装置、ストラット、間隙調節装置、ブレーキレバー等を取り外した図1のドラムインディスクブレーキの正面図である。
【図3】車両走行時または停車時においてドラムインディスクブレーキに例えは水、泥入りの融雪水等の液体が浸入してきた状態を示す図である。
【図4】図3のIV-IV視断面図である。
【図5】図4のバッキングプレートの外周縁部において環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のバッキングプレートの外周縁部を拡大して示す図4の拡大図である。
【図6】本発明の実施例2の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図3に相当する図である。
【図7】本発明の実施例2の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図4に相当する図である。
【図8】本発明の実施例2の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図5に相当する図である。
【図9】本発明の実施例3の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図3に相当する図である。
【図10】本発明の実施例3の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図4に相当する図である。
【図11】本発明の実施例3の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0017】
図1は、パーキングブレーキ用ドラムブレーキ10が中央部に備えられた本発明の一実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12のハット型のディスクロータ14およびキャリパ等を取り外した正面図である。上記ディスクロータ14は、図4の一点鎖線に示すように、略有底円筒状の有底円筒状中央部14aとその有底円筒状中央部14aの外側に配設された略円板形状の円板状外周部14bとによって一体に構成され車輪と一体的に回転する。円板状外周部14bはディスクブレーキの摩擦板として機能し、有底円筒状中央部14aはブレーキドラムとして機能している。
【0018】
ドラムブレーキ10には、略円板形状を成すバッキングプレート16と、そのバッキングプレート16の左右の外周部に凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能に略対称的に配設された円弧形状の一対のブレーキシュー18,20と、その一対のブレーキシュー18,20の一端部すなわち図1の上端部の間において位置固定に設けられたアンカー22と、そのアンカー22と一対のブレーキシュー18,20との間に張設され一対のブレーキシュー18,20の一端部を互いに接近する方向に常時付勢する一対のリターンスプリング24,26と、一対のブレーキシュー18、20の上端部間に架け渡された長手板状のストラット28と、一対のブレーキシュー18,20の他端部すなわち図1の下端部の間に介在させられてアジャストホイール30aの回転に伴って全長が変化させられることによりシュー間隙を調節する間隙調節装置30と、それら下端部間に張設されてそれら下端部を互いに接近する方向に常時付勢して間隙調節装置30を長手方向に挟圧するための中間部分がコイル状のスプリング32とが備えられている。また、ストラット28には、そのストラット28をブレーキシュー18側に常時付勢させるコイル状のスプリング34が配設されている。
【0019】
スプリング32の中間部分は間隙調節装置30のアジャストホイール30aに接触されており、アジャストホイール30aが振動等によって回転しないようになっている。それら間隙調節装置30およびスプリング32は、一対のブレーキシュー18,20の他端部間を相対回転可能に連結するものであるので、間隙調節機能を備えた連結部材36として機能している。
【0020】
一対のブレーキシュー18,20は、何れも、バッキングプレート16の板面と略平行な平板状を成し且つ図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ38,40と、それらの円弧形状を成す外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すように一体的に固設された帯板状のシューリム42,44と、それらシューリム42,44の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング46,48とを備えてそれぞれ構成されている。バッキングプレート16、シューウェブ38,40、シューリム42,44は、いずれも鋼板から打ち抜かれかつ所定の曲げ成形が施されたプレス部品である。
【0021】
また、一対のブレーキシュー18,20は、シューウェブ38、40の長手方向の中央付近にそれぞれ配設されたシューホールドダウン装置50,52によって拡開可能にバッキングプレート16に設けられている。ブレーキシュー18および20には、ストラット28を支持するために相手に向かって支持突起18aおよび20aがそれぞれ形成されている。
【0022】
ドラムインディスクブレーキ12には、図1乃至図4に示すように、円板状外周部14bのバッキングプレート16側の側面14cを覆うようにバッキングプレート16に略同心円状に重なる略円板状のディスクカバー54と、円板状外周部14bの両側面を一対のブレーキパッドで挟圧するための図示されていないキャリパを支持する支持部56aを有しディスクカバー54をバッキングプレート16に取り付ける平板状の取付部材56と、その取付部材56、ディスクカバー54、バッキングプレート16および図示されていない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置等の車体側部材を一体的に固定する図示されていない複数本のボルトとが備えられている。
【0023】
バッキングプレート16には、図4に示すようにそのバッキングプレート16の外周縁が円板状外周部14bの側面14cに接近するようにディスクロータ14側に曲げられ、ディスクカバー54との間に略全周において外周側に開く環状溝16aが形成されている。
【0024】
ディスクロータ14の円板状外周部14bの側面14cには、図4に示すようにバッキングプレート16の外周縁との間でラビリンスシールを形成する環状凹溝14dが形成され、バッキングプレート16の外周縁がその環状凹溝14d内に入れられている。
【0025】
図1に戻り、ブレーキシュー18の一端部には、平板状のブレーキレバー58の基端部58aがピン60により回動可能に連結されており、ブレーキレバー58の中間部であってピン60に近い部分は、ストラット28のブレーキシュー18側の端部に切り欠かれた切欠面28aにシューウェブ38と共に係合させられている。また、ブレーキレバー58の先端部58bには、図示されていないパーキングブレーキケーブルが連結されている。
【0026】
以上のよう構成されたドラムインディスクブレーキ12は、パーキングブレーキペダル、パーキングブレーキレバー等の図示されていないパーキングブレーキ操作装置が操作されることによって発生するパーキングブレーキ操作力によって、前記パーキングブレーキケーブルを介してブレーキレバー58の先端部58bが図1の矢印B方向に引っ張られブレーキレバー58が回動すると、ブレーキシュー20がストラット28に押されると共にブレーキシュー18がピン60に押されて一対のブレーキシュー18,20の一端部間が拡開し一対のブレーキシュー18,20のライニング46,48がブレーキドラムである有底円筒状中央部14aの内周面に当接する。
【0027】
上記パーキングブレーキ操作装置の操作時に、車輪が回転すなわちディスクロータ14が回転しようとするとその有底円筒状中央部14aの内周面と当接しているブレーキシュー18および20は、ディスクロータ14のその回転方向に連れ回されるために、一対のブレーキシュー18,20のどちらか一方の一端部がアンカー22に受け止められブレーキシュー18および20のライニング46および48が有底円筒状中央部14aの内周面に強く押し付けられるので、ディスクロータ14の回転すなわち車輪の回転が制動される。
【0028】
その後、パーキングブレーキ操作力が解除されると一対のブレーキシュー18,20の一端部間はリターンスプリング24,26の付勢力によって接近し、有底円筒状中央部14aの内周面と一対のブレーキシュー18,20のライニング46,48とが離間させられドラムブレーキ10の制動力は解除される。
【0029】
また、図示されていないブレーキペダルが操作されることによって発生する油圧によって、キャリパに備えられた図示されていない一対のブレーキパッドがディスクロータ14の円板状外周部14bの両側面を挟圧しディスクブレーキに制動力が発生する。また、上記ブレーキペダルの操作が解除されると上記一対のブレーキパッドが円板状外周部14bから離れてディスクブレーキの制動状態が解除される。
【0030】
図3乃至図5は、車両走行時または停車時にドラムインディスクブレーキ12に例えは水、泥入りの融雪水等の液体62が浸入した状態を示す図である。その図3乃至図5によれば、液体62が浸入してディスクカバー54、ディスクロータ14、バッキングプレート16の環状溝16a等に付着するとその液体62は下流方向すなわち矢印方向に流れ落ちるものである。
【0031】
以下において、バッキングプレートの環状溝16a内に付着した液体62がそのバッキングプレート16の外周部を介してディスクロータ14の側面14cに流れるのを抑制する液体浸入低減装置について上記図3乃至図5を用いて説明する。また、図3乃至図5の一点鎖線で示す矢印は、ディスクカバー54に付着した液体62が流れ落ちる方向を示すものであり、図3乃至図5の破線で示す矢印は、バッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62が流れ落ちる方向を示すものである。また、図4および図5に示されている黒点はディスクカバー54およびバッキングプレート16の環状溝16aに付着した液体62を仮想的に示すものである。
【0032】
前記液体浸入低減装置は、図3乃至図5に示すように、バッキングプレート16に一体的に固定され、そのバッキングプレート16の外周縁部において環状溝16a内に付着した液体62が流れ落ちる下流側のバッキングプレート16の外周縁部を覆うとともにディスクロータ14の円板状外周部14bの側面14cから離隔してその円板状外周部14bの側面14cに沿って延長された液体案内部材64から構成される。液体案内部材64は、図4に示すようにバッキングプレート16の板面と略平行な平板状を成し且つ図3に示す正面図において全体が略円弧形状に湾曲したものであり、例えば鋼板から打ち抜かれて成形されたプレス部品である。
【0033】
液体案内部材64を備えるドラムインディスクブレーキ12によれば、図5に示すようにバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62は、液体案内部材64へ伝わりディスクカバー54に滴り落ちるため、その液体案内部材64によってバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62がバッキングプレート16の外周縁部においてその環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレート16の外周縁部へ流れ難くなるので、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。すなわち、ドラムインディスクブレーキ12に液体62が浸入した際、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れ落ち難くなるため、例えばディスクロータ14の側面14cに液体62が付着しても比較的短い時間で液体62が流れ落ちるのでディスクロータ14の側面14cの錆の発生を低減することができる。
【0034】
また、液体案内部材64は、バッキングプレート16に例えばボルト、ナット等の締結部材或いは溶接等によって固定されるものであるため、液体案内部材64を固定するスペースが確保できれば従来のドラムインディスクブレーキに適用することができるので、本発明のドラムインディスクブレーキ12を安価に製造することができる。
【0035】
また、液体案内部材64によって、バッキングプレート16の環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制されてディスクロータ14の環状凹溝14d内に溜まり難くなるので、ディスクロータ14の環状凹溝14d内の錆の発生を低減することができる。
【0036】
本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12によれば、バッキングプレート16には、環状溝16a内の液体62がバッキングプレート16の外周縁部を介してディスクロータ14の側面14cに流れるのを抑制する液体浸入低減装置(液体案内部材)64が備えられているため、液体浸入低減装置64によって、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制されるのでディスクロータ14の錆の発生を低減することができる。
【0037】
また、本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12によれば、液体浸入低減装置64は、バッキングプレート16の外周縁部において環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレート16の外周縁部を覆うとともにディスクロータ14の側面14cから離隔してそのディスクロータ14の側面14cに沿って設けられた液体案内部材64であるため、液体案内部材64によって、環状溝14a内の液体62がバッキングプレート16の外周縁部においてその環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレート16の外周縁部へ流れ難くなるので環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。
【0038】
また、本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12によれば、(a) ディスクロータ14の側面14cには、ラビリンスシールを形成する環状凹溝14dが形成され、(b) バッキングプレート16の外周縁がその環状凹溝14d内に入れられているため、液体浸入低減装置64によって、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の環状凹溝14dに溜まり難くなるのでディスクロータ14の環状凹溝14d内の錆の発生が低減する。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の他の実施例において実施例相互間で共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキは、前述の液体案内部材64とは異なる液体浸入低減装置を備える以外は前述のドラムインディスクブレーキ12と略同様であって、図6乃至図8はその液体浸入低減装置を説明する図であり、実施例1の図3乃至図5に対応するものである。
【0041】
図6乃至図8によれば、前記液体浸入低減装置は、バッキングプレート16の外周縁部のうち環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側においてディスクロータ14の側面14cへ接近しないように切り欠かれた切欠16bである。
【0042】
前記液体浸入低減装置である切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキによれば、図8に示すようにバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62は、バッキングプレート16の外周縁部に伝わりディスクカバー54に滴り落ちるため、その切欠16bによってバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62がバッキングプレート16の外周縁部から流れ落ちる際ディスクロータ14の側面14cへ流れ難くなるので、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。すなわち、ドラムインディスクブレーキ12に液体62が浸入した際、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れ落ち難くなるため、例えばディスクロータ14の側面14cに液体62が付着しても比較的短い時間で液体62が流れ落ちるのでディスクロータ14の側面14cの錆の発生を低減することができる。
【0043】
また、前記液体浸入低減装置である切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキによれば、前述のドラムインディスクブレーキ12に比較して液体案内部材64を備える必要がないため安価に本発明のドラムインディスクブレーキを製造することができる。
【0044】
本実施例のドラムインディスクブレーキによれば、液体浸入低減装置は、バッキングプレート16の外周縁部のうち環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側においてディスクロータ14の側面14cへ接近しないように形成された切欠16bであるため、その切欠16bによって、環状溝16a内の液体62が流れ落ちる際ディスクロータ14の側面14cへ流れ難くなるので環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。
【実施例3】
【0045】
更に、本発明の他の実施例を説明する。本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキは、車両のサスペンション装置の車体側部材の形状に対応したバッキングプレート16の絞り形状が異なるために液体62の流れる経路が実施例1と異なり、且つ、実施例1の液体案内部材64とは異なる液体浸入低減装置を備える以外は前述のドラムインディスクブレーキ12と略同様であって、図9乃至図11はその液体浸入低減装置を説明する図であり、実施例1の図3乃至図5に対応するものである。
【0046】
図9乃至図11によれば、バッキングプレート16の絞り形状によって液体62が流れ落ちる経路が変化するため、液体浸入低減装置16cは、それら液体62が流れ落ちる経路の変化に対応してバッキングプレート16の外周縁部のうち環状溝16a内の液体62が流れ落ちる場所にディスクロータ14の側面14cへ接近しないように切り欠かれた複数(本実施例では3つの)切欠16cが形成されており、その液体62が真下に落ちてディスクロータ14の側面14cへ接近しないようになっている。
【0047】
このように、車両のサスペンション装置の車体側部材の形状に対応してバッキングプレート16の絞り形状が異なるため液体62が流れ落ちる経路が変化する場合でも、その液体62が流れ落ちる場所に対応して液体浸入低減装置である複数の切欠16cを備えたドラムインディスクブレーキによれば、図11に示すようにバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62は、バッキングプレート16の外周縁部に伝わりディスクカバー54に滴り落ちるため、その複数の切欠16cによってバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62がバッキングプレート16の外周縁部から流れ落ちる際ディスクロータ14の側面14cへ流れ難くなるので、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。すなわち、ドラムインディスクブレーキ12に液体62が浸入した際、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れ落ち難くなるため、例えばディスクロータ14の側面14cに液体62が付着しても比較的短い時間で液体62が流れ落ちるのでディスクロータ14の側面14cの錆の発生を低減することができる。
【0048】
また、前記液体浸入低減装置である複数の切欠16cを備えるドラムインディスクブレーキによれば、前述の切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキ12に比較してディスクロータ14側に曲げられたバッキングプレートの外周縁部を部分的に切り欠くため、バッキングプレートの剛性を前述の切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキ12に比較して向上させることができる。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適応される。
【0050】
たとえば、本発明のドラムインディスクブレーキにおいて、液体浸入低減装置は実施例1乃至3に示すようにドラムインディスクブレーキに一つしか備えられていなかったが、実施例1の液体案内部材64を備えるドラムインディスクブレーキに加えて、実施例2の切欠16bまたは実施例3の複数の切欠16cを設けるなど、複数の液体浸入低減装置を設けることもできる。
【0051】
また、本発明のドラムインディスクブレーキにおいて、液体浸入低減装置である複数の切欠16cは、バッキングプレートの絞り形状によって液体62が流れ落ちる経路が変化することに対応して、その切欠16cの切り欠き位置、その切欠16cの大きさ、その切欠16cの本数を自由に設定することができ、液体62がディスクロータ14の側面14cへ接近することを好適に防止する。
【0052】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
12:ドラムインディスクブレーキ
14:ディスクロータ
14a:有底円筒状中央部
14b:円板状外周部
14c:側面(一面)
14d:環状凹溝
16:バッキングプレート
16a:環状溝
16b:切欠(液体浸入低減装置)
16c:複数の切欠(液体浸入低減装置)
18,20:一対のブレーキシュー
54:ディスクカバー
62:液体
64:液体案内部材(液体浸入低減装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドラムインディスクブレーキに関し、特に車両用ドラムインディスクブレーキのロータに発生する錆を低減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ドラムインディスクブレーキは、例えば特許文献1に示すように、(a) 円板状のバッキングプレートと、(b) そのバッキングプレート上に拡開可能に配設された円弧状の一対のブレーキシューと、(c) その一対のブレーキシューが内周面に摺接する有底円筒状の有底円筒状中央部とその有底円筒状中央部の外側に配設された円板形状の円板状外周部とを有して車輪と一体的に回転するディスクロータの一面を覆うように前記バッキングプレートに同心円状に重ねて固定されたディスクカバーとを備え、(d) 前記バッキングプレートの外周縁がそのディスクロータの一面に接近するようにそのディスクロータ側に曲げられ、前記ディスクカバーとの間に外周側に開く環状溝を形成するものである。また、例えば特許文献2に示すように、前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、前記バッキングプレートの外周縁がその環状凹溝内に入れられるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−242210号公報
【特許文献2】特開2003−106350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような車両用ドラムインディスクブレーキにおいて、車両走行時または停車時に例えは水、泥入りの融雪水等の液体が浸入した際、その液体は前記ディスクカバー、前記ディスクロータ、前記バッキングプレートの環状溝等に付着し時間が経つと流れ落ちるものである。
【0005】
しかしながら、前記バッキングプレートの環状溝に付着した前記液体はそのバッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面へ流れ落ちるため、前記液体が付着した際前記ディスクロータの一面にその液体が比較的長い時間残ってしまうので前記ディスクロータの一面に錆が発生し易くなるという問題があった。また、前記ディスクロータの一面に前記環状凹溝を有するものは、前記バッキングプレートの環状溝に付着した前記液体がそのバッキングプレートの外周縁部を介してその環状凹部に溜まってしまいその環状凹溝に錆が発生し易くなるという問題があった。前記ディスクロータの一面に錆が発生することによって、そのディスクロータを挟圧するブレーキパッドが早期摩耗することがある。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、ディスクロータの錆の発生を低減する車両用ドラムインディスクブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a) 円板状のバッキングプレートと、(b) そのバッキングプレート上に拡開可能に配設された円弧状の一対のブレーキシューと、(c) その一対のブレーキシューが内周面に摺接する有底円筒状の有底円筒状中央部とその有底円筒状中央部の外側に配設された円板形状の円板状外周部とを有して車輪と一体的に回転するディスクロータの一面を覆うように前記バッキングプレートに同心円状に重ねて固定されたディスクカバーとを備え、(d) 前記バッキングプレートの外周縁がそのディスクロータの一面に接近するようにそのディスクロータ側に曲げられ、前記ディスクカバーとの間に外周側に開く環状溝を形成する車両用ドラムインディスクブレーキであって、(e) 前記バッキングプレートには、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面に流れるのを抑制する液体浸入低減装置が備えられていることにある。
【0008】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部において前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレートの外周縁部を覆うとともに前記ディスクロータの一面から離隔してそのディスクロータに沿って設けられた液体案内部材である。
【0009】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項1または2に係る発明において、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部のうち前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側において前記ディスクロータへ接近しないように形成された切欠である。
【0010】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至3のいずれか1に係る発明において、(a) 前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、(b) 前記バッキングプレートの外周縁がその環状凹溝内に入れられていることにある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、(e) 前記バッキングプレートには、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面に流れるのを抑制する液体浸入低減装置が備えられているため、前記液体浸入低減装置によって、前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの一面へ流れるのが抑制されるので前記ディスクロータの錆の発生を低減することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部において前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレートの外周縁部を覆うとともに前記ディスクロータの一面から離隔してそのディスクロータに沿って設けられた液体案内部材であるため、前記液体案内部材によって、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部においてその環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレートの外周縁部へ流れ難くなるので前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの一面へ流れるのが抑制される。
【0013】
請求項3に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部のうち前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側において前記ディスクロータへ接近しないように形成された切欠であるため、前記切欠によって、前記環状溝内の液体が流れ落ちる際前記ディスクロータへ流れ難くなるので前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの一面へ流れるのが抑制される。
【0014】
請求項4に係る発明の車両用ドラムインディスクブレーキによれば、(a) 前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、(b) 前記バッキングプレートの外周縁がその環状凹溝内に入れられているため、前記液体浸入低減装置によって、前記環状溝内の液体が前記ディスクロータの環状凹溝に溜まり難くなるので前記ディスクロータの前記環状凹溝内の錆の発生が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例のデュオサーボ型ドラムインディスクブレーキを示す正面図である。
【図2】一対のブレーキシュー、シューホールドダウン装置、ストラット、間隙調節装置、ブレーキレバー等を取り外した図1のドラムインディスクブレーキの正面図である。
【図3】車両走行時または停車時においてドラムインディスクブレーキに例えは水、泥入りの融雪水等の液体が浸入してきた状態を示す図である。
【図4】図3のIV-IV視断面図である。
【図5】図4のバッキングプレートの外周縁部において環状溝内の液体が流れ落ちる下流側のバッキングプレートの外周縁部を拡大して示す図4の拡大図である。
【図6】本発明の実施例2の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図3に相当する図である。
【図7】本発明の実施例2の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図4に相当する図である。
【図8】本発明の実施例2の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図5に相当する図である。
【図9】本発明の実施例3の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図3に相当する図である。
【図10】本発明の実施例3の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図4に相当する図である。
【図11】本発明の実施例3の液体浸入低減装置を説明する図であって、実施例1の図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0017】
図1は、パーキングブレーキ用ドラムブレーキ10が中央部に備えられた本発明の一実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12のハット型のディスクロータ14およびキャリパ等を取り外した正面図である。上記ディスクロータ14は、図4の一点鎖線に示すように、略有底円筒状の有底円筒状中央部14aとその有底円筒状中央部14aの外側に配設された略円板形状の円板状外周部14bとによって一体に構成され車輪と一体的に回転する。円板状外周部14bはディスクブレーキの摩擦板として機能し、有底円筒状中央部14aはブレーキドラムとして機能している。
【0018】
ドラムブレーキ10には、略円板形状を成すバッキングプレート16と、そのバッキングプレート16の左右の外周部に凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能に略対称的に配設された円弧形状の一対のブレーキシュー18,20と、その一対のブレーキシュー18,20の一端部すなわち図1の上端部の間において位置固定に設けられたアンカー22と、そのアンカー22と一対のブレーキシュー18,20との間に張設され一対のブレーキシュー18,20の一端部を互いに接近する方向に常時付勢する一対のリターンスプリング24,26と、一対のブレーキシュー18、20の上端部間に架け渡された長手板状のストラット28と、一対のブレーキシュー18,20の他端部すなわち図1の下端部の間に介在させられてアジャストホイール30aの回転に伴って全長が変化させられることによりシュー間隙を調節する間隙調節装置30と、それら下端部間に張設されてそれら下端部を互いに接近する方向に常時付勢して間隙調節装置30を長手方向に挟圧するための中間部分がコイル状のスプリング32とが備えられている。また、ストラット28には、そのストラット28をブレーキシュー18側に常時付勢させるコイル状のスプリング34が配設されている。
【0019】
スプリング32の中間部分は間隙調節装置30のアジャストホイール30aに接触されており、アジャストホイール30aが振動等によって回転しないようになっている。それら間隙調節装置30およびスプリング32は、一対のブレーキシュー18,20の他端部間を相対回転可能に連結するものであるので、間隙調節機能を備えた連結部材36として機能している。
【0020】
一対のブレーキシュー18,20は、何れも、バッキングプレート16の板面と略平行な平板状を成し且つ図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ38,40と、それらの円弧形状を成す外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すように一体的に固設された帯板状のシューリム42,44と、それらシューリム42,44の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング46,48とを備えてそれぞれ構成されている。バッキングプレート16、シューウェブ38,40、シューリム42,44は、いずれも鋼板から打ち抜かれかつ所定の曲げ成形が施されたプレス部品である。
【0021】
また、一対のブレーキシュー18,20は、シューウェブ38、40の長手方向の中央付近にそれぞれ配設されたシューホールドダウン装置50,52によって拡開可能にバッキングプレート16に設けられている。ブレーキシュー18および20には、ストラット28を支持するために相手に向かって支持突起18aおよび20aがそれぞれ形成されている。
【0022】
ドラムインディスクブレーキ12には、図1乃至図4に示すように、円板状外周部14bのバッキングプレート16側の側面14cを覆うようにバッキングプレート16に略同心円状に重なる略円板状のディスクカバー54と、円板状外周部14bの両側面を一対のブレーキパッドで挟圧するための図示されていないキャリパを支持する支持部56aを有しディスクカバー54をバッキングプレート16に取り付ける平板状の取付部材56と、その取付部材56、ディスクカバー54、バッキングプレート16および図示されていない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置等の車体側部材を一体的に固定する図示されていない複数本のボルトとが備えられている。
【0023】
バッキングプレート16には、図4に示すようにそのバッキングプレート16の外周縁が円板状外周部14bの側面14cに接近するようにディスクロータ14側に曲げられ、ディスクカバー54との間に略全周において外周側に開く環状溝16aが形成されている。
【0024】
ディスクロータ14の円板状外周部14bの側面14cには、図4に示すようにバッキングプレート16の外周縁との間でラビリンスシールを形成する環状凹溝14dが形成され、バッキングプレート16の外周縁がその環状凹溝14d内に入れられている。
【0025】
図1に戻り、ブレーキシュー18の一端部には、平板状のブレーキレバー58の基端部58aがピン60により回動可能に連結されており、ブレーキレバー58の中間部であってピン60に近い部分は、ストラット28のブレーキシュー18側の端部に切り欠かれた切欠面28aにシューウェブ38と共に係合させられている。また、ブレーキレバー58の先端部58bには、図示されていないパーキングブレーキケーブルが連結されている。
【0026】
以上のよう構成されたドラムインディスクブレーキ12は、パーキングブレーキペダル、パーキングブレーキレバー等の図示されていないパーキングブレーキ操作装置が操作されることによって発生するパーキングブレーキ操作力によって、前記パーキングブレーキケーブルを介してブレーキレバー58の先端部58bが図1の矢印B方向に引っ張られブレーキレバー58が回動すると、ブレーキシュー20がストラット28に押されると共にブレーキシュー18がピン60に押されて一対のブレーキシュー18,20の一端部間が拡開し一対のブレーキシュー18,20のライニング46,48がブレーキドラムである有底円筒状中央部14aの内周面に当接する。
【0027】
上記パーキングブレーキ操作装置の操作時に、車輪が回転すなわちディスクロータ14が回転しようとするとその有底円筒状中央部14aの内周面と当接しているブレーキシュー18および20は、ディスクロータ14のその回転方向に連れ回されるために、一対のブレーキシュー18,20のどちらか一方の一端部がアンカー22に受け止められブレーキシュー18および20のライニング46および48が有底円筒状中央部14aの内周面に強く押し付けられるので、ディスクロータ14の回転すなわち車輪の回転が制動される。
【0028】
その後、パーキングブレーキ操作力が解除されると一対のブレーキシュー18,20の一端部間はリターンスプリング24,26の付勢力によって接近し、有底円筒状中央部14aの内周面と一対のブレーキシュー18,20のライニング46,48とが離間させられドラムブレーキ10の制動力は解除される。
【0029】
また、図示されていないブレーキペダルが操作されることによって発生する油圧によって、キャリパに備えられた図示されていない一対のブレーキパッドがディスクロータ14の円板状外周部14bの両側面を挟圧しディスクブレーキに制動力が発生する。また、上記ブレーキペダルの操作が解除されると上記一対のブレーキパッドが円板状外周部14bから離れてディスクブレーキの制動状態が解除される。
【0030】
図3乃至図5は、車両走行時または停車時にドラムインディスクブレーキ12に例えは水、泥入りの融雪水等の液体62が浸入した状態を示す図である。その図3乃至図5によれば、液体62が浸入してディスクカバー54、ディスクロータ14、バッキングプレート16の環状溝16a等に付着するとその液体62は下流方向すなわち矢印方向に流れ落ちるものである。
【0031】
以下において、バッキングプレートの環状溝16a内に付着した液体62がそのバッキングプレート16の外周部を介してディスクロータ14の側面14cに流れるのを抑制する液体浸入低減装置について上記図3乃至図5を用いて説明する。また、図3乃至図5の一点鎖線で示す矢印は、ディスクカバー54に付着した液体62が流れ落ちる方向を示すものであり、図3乃至図5の破線で示す矢印は、バッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62が流れ落ちる方向を示すものである。また、図4および図5に示されている黒点はディスクカバー54およびバッキングプレート16の環状溝16aに付着した液体62を仮想的に示すものである。
【0032】
前記液体浸入低減装置は、図3乃至図5に示すように、バッキングプレート16に一体的に固定され、そのバッキングプレート16の外周縁部において環状溝16a内に付着した液体62が流れ落ちる下流側のバッキングプレート16の外周縁部を覆うとともにディスクロータ14の円板状外周部14bの側面14cから離隔してその円板状外周部14bの側面14cに沿って延長された液体案内部材64から構成される。液体案内部材64は、図4に示すようにバッキングプレート16の板面と略平行な平板状を成し且つ図3に示す正面図において全体が略円弧形状に湾曲したものであり、例えば鋼板から打ち抜かれて成形されたプレス部品である。
【0033】
液体案内部材64を備えるドラムインディスクブレーキ12によれば、図5に示すようにバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62は、液体案内部材64へ伝わりディスクカバー54に滴り落ちるため、その液体案内部材64によってバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62がバッキングプレート16の外周縁部においてその環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレート16の外周縁部へ流れ難くなるので、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。すなわち、ドラムインディスクブレーキ12に液体62が浸入した際、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れ落ち難くなるため、例えばディスクロータ14の側面14cに液体62が付着しても比較的短い時間で液体62が流れ落ちるのでディスクロータ14の側面14cの錆の発生を低減することができる。
【0034】
また、液体案内部材64は、バッキングプレート16に例えばボルト、ナット等の締結部材或いは溶接等によって固定されるものであるため、液体案内部材64を固定するスペースが確保できれば従来のドラムインディスクブレーキに適用することができるので、本発明のドラムインディスクブレーキ12を安価に製造することができる。
【0035】
また、液体案内部材64によって、バッキングプレート16の環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制されてディスクロータ14の環状凹溝14d内に溜まり難くなるので、ディスクロータ14の環状凹溝14d内の錆の発生を低減することができる。
【0036】
本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12によれば、バッキングプレート16には、環状溝16a内の液体62がバッキングプレート16の外周縁部を介してディスクロータ14の側面14cに流れるのを抑制する液体浸入低減装置(液体案内部材)64が備えられているため、液体浸入低減装置64によって、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制されるのでディスクロータ14の錆の発生を低減することができる。
【0037】
また、本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12によれば、液体浸入低減装置64は、バッキングプレート16の外周縁部において環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレート16の外周縁部を覆うとともにディスクロータ14の側面14cから離隔してそのディスクロータ14の側面14cに沿って設けられた液体案内部材64であるため、液体案内部材64によって、環状溝14a内の液体62がバッキングプレート16の外周縁部においてその環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側のそのバッキングプレート16の外周縁部へ流れ難くなるので環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。
【0038】
また、本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキ12によれば、(a) ディスクロータ14の側面14cには、ラビリンスシールを形成する環状凹溝14dが形成され、(b) バッキングプレート16の外周縁がその環状凹溝14d内に入れられているため、液体浸入低減装置64によって、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の環状凹溝14dに溜まり難くなるのでディスクロータ14の環状凹溝14d内の錆の発生が低減する。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の他の実施例において実施例相互間で共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキは、前述の液体案内部材64とは異なる液体浸入低減装置を備える以外は前述のドラムインディスクブレーキ12と略同様であって、図6乃至図8はその液体浸入低減装置を説明する図であり、実施例1の図3乃至図5に対応するものである。
【0041】
図6乃至図8によれば、前記液体浸入低減装置は、バッキングプレート16の外周縁部のうち環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側においてディスクロータ14の側面14cへ接近しないように切り欠かれた切欠16bである。
【0042】
前記液体浸入低減装置である切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキによれば、図8に示すようにバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62は、バッキングプレート16の外周縁部に伝わりディスクカバー54に滴り落ちるため、その切欠16bによってバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62がバッキングプレート16の外周縁部から流れ落ちる際ディスクロータ14の側面14cへ流れ難くなるので、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。すなわち、ドラムインディスクブレーキ12に液体62が浸入した際、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れ落ち難くなるため、例えばディスクロータ14の側面14cに液体62が付着しても比較的短い時間で液体62が流れ落ちるのでディスクロータ14の側面14cの錆の発生を低減することができる。
【0043】
また、前記液体浸入低減装置である切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキによれば、前述のドラムインディスクブレーキ12に比較して液体案内部材64を備える必要がないため安価に本発明のドラムインディスクブレーキを製造することができる。
【0044】
本実施例のドラムインディスクブレーキによれば、液体浸入低減装置は、バッキングプレート16の外周縁部のうち環状溝16a内の液体62が流れ落ちる下流側においてディスクロータ14の側面14cへ接近しないように形成された切欠16bであるため、その切欠16bによって、環状溝16a内の液体62が流れ落ちる際ディスクロータ14の側面14cへ流れ難くなるので環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。
【実施例3】
【0045】
更に、本発明の他の実施例を説明する。本実施例の車両用ドラムインディスクブレーキは、車両のサスペンション装置の車体側部材の形状に対応したバッキングプレート16の絞り形状が異なるために液体62の流れる経路が実施例1と異なり、且つ、実施例1の液体案内部材64とは異なる液体浸入低減装置を備える以外は前述のドラムインディスクブレーキ12と略同様であって、図9乃至図11はその液体浸入低減装置を説明する図であり、実施例1の図3乃至図5に対応するものである。
【0046】
図9乃至図11によれば、バッキングプレート16の絞り形状によって液体62が流れ落ちる経路が変化するため、液体浸入低減装置16cは、それら液体62が流れ落ちる経路の変化に対応してバッキングプレート16の外周縁部のうち環状溝16a内の液体62が流れ落ちる場所にディスクロータ14の側面14cへ接近しないように切り欠かれた複数(本実施例では3つの)切欠16cが形成されており、その液体62が真下に落ちてディスクロータ14の側面14cへ接近しないようになっている。
【0047】
このように、車両のサスペンション装置の車体側部材の形状に対応してバッキングプレート16の絞り形状が異なるため液体62が流れ落ちる経路が変化する場合でも、その液体62が流れ落ちる場所に対応して液体浸入低減装置である複数の切欠16cを備えたドラムインディスクブレーキによれば、図11に示すようにバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62は、バッキングプレート16の外周縁部に伝わりディスクカバー54に滴り落ちるため、その複数の切欠16cによってバッキングプレート16の環状溝16a内に付着した液体62がバッキングプレート16の外周縁部から流れ落ちる際ディスクロータ14の側面14cへ流れ難くなるので、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れるのが抑制される。すなわち、ドラムインディスクブレーキ12に液体62が浸入した際、環状溝16a内の液体62がディスクロータ14の側面14cへ流れ落ち難くなるため、例えばディスクロータ14の側面14cに液体62が付着しても比較的短い時間で液体62が流れ落ちるのでディスクロータ14の側面14cの錆の発生を低減することができる。
【0048】
また、前記液体浸入低減装置である複数の切欠16cを備えるドラムインディスクブレーキによれば、前述の切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキ12に比較してディスクロータ14側に曲げられたバッキングプレートの外周縁部を部分的に切り欠くため、バッキングプレートの剛性を前述の切欠16bを備えるドラムインディスクブレーキ12に比較して向上させることができる。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適応される。
【0050】
たとえば、本発明のドラムインディスクブレーキにおいて、液体浸入低減装置は実施例1乃至3に示すようにドラムインディスクブレーキに一つしか備えられていなかったが、実施例1の液体案内部材64を備えるドラムインディスクブレーキに加えて、実施例2の切欠16bまたは実施例3の複数の切欠16cを設けるなど、複数の液体浸入低減装置を設けることもできる。
【0051】
また、本発明のドラムインディスクブレーキにおいて、液体浸入低減装置である複数の切欠16cは、バッキングプレートの絞り形状によって液体62が流れ落ちる経路が変化することに対応して、その切欠16cの切り欠き位置、その切欠16cの大きさ、その切欠16cの本数を自由に設定することができ、液体62がディスクロータ14の側面14cへ接近することを好適に防止する。
【0052】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
12:ドラムインディスクブレーキ
14:ディスクロータ
14a:有底円筒状中央部
14b:円板状外周部
14c:側面(一面)
14d:環状凹溝
16:バッキングプレート
16a:環状溝
16b:切欠(液体浸入低減装置)
16c:複数の切欠(液体浸入低減装置)
18,20:一対のブレーキシュー
54:ディスクカバー
62:液体
64:液体案内部材(液体浸入低減装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状のバッキングプレートと、該バッキングプレート上に拡開可能に配設された円弧状の一対のブレーキシューと、該一対のブレーキシューが内周面に摺接する有底円筒状の有底円筒状中央部と該有底円筒状中央部の外側に配設された円板形状の円板状外周部とを有して車輪と一体的に回転するディスクロータの一面を覆うように前記バッキングプレートに同心円状に重ねて固定されたディスクカバーとを備え、前記バッキングプレートの外周縁が該ディスクロータの一面に接近するように該ディスクロータ側に曲げられ、前記ディスクカバーとの間に外周側に開く環状溝を形成する車両用ドラムインディスクブレーキであって、
前記バッキングプレートには、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面に流れるのを抑制する液体浸入低減装置が備えられていることを特徴とする車両用ドラムインディスクブレーキ。
【請求項2】
前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部において前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側の該バッキングプレートの外周縁部を覆うとともに前記ディスクロータの一面から離隔して該ディスクロータに沿って設けられた液体案内部材であることを特徴とする請求項1の車両用ドラムインディスクブレーキ。
【請求項3】
前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部のうち前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側において前記ディスクロータへ接近しないように形成された切欠であることを特徴とする請求項1または2の車両用ドラムインディスクブレーキ。
【請求項4】
前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、前記バッキングプレートの外周縁が該環状凹溝内に入れられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の車両用ドラムインディスクブレーキ。
【請求項1】
円板状のバッキングプレートと、該バッキングプレート上に拡開可能に配設された円弧状の一対のブレーキシューと、該一対のブレーキシューが内周面に摺接する有底円筒状の有底円筒状中央部と該有底円筒状中央部の外側に配設された円板形状の円板状外周部とを有して車輪と一体的に回転するディスクロータの一面を覆うように前記バッキングプレートに同心円状に重ねて固定されたディスクカバーとを備え、前記バッキングプレートの外周縁が該ディスクロータの一面に接近するように該ディスクロータ側に曲げられ、前記ディスクカバーとの間に外周側に開く環状溝を形成する車両用ドラムインディスクブレーキであって、
前記バッキングプレートには、前記環状溝内の液体が前記バッキングプレートの外周縁部を介して前記ディスクロータの一面に流れるのを抑制する液体浸入低減装置が備えられていることを特徴とする車両用ドラムインディスクブレーキ。
【請求項2】
前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部において前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側の該バッキングプレートの外周縁部を覆うとともに前記ディスクロータの一面から離隔して該ディスクロータに沿って設けられた液体案内部材であることを特徴とする請求項1の車両用ドラムインディスクブレーキ。
【請求項3】
前記液体浸入低減装置は、前記バッキングプレートの外周縁部のうち前記環状溝内の液体が流れ落ちる下流側において前記ディスクロータへ接近しないように形成された切欠であることを特徴とする請求項1または2の車両用ドラムインディスクブレーキ。
【請求項4】
前記ディスクロータの一面には、ラビリンスシールを形成する環状凹溝が形成され、前記バッキングプレートの外周縁が該環状凹溝内に入れられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の車両用ドラムインディスクブレーキ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−216527(P2010−216527A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62080(P2009−62080)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
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