説明

車両用フレーム構造

【課題】フレーム本体の面外変形を抑制することができるとともにフレーム本体の面外変形の起点をなくし、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができる車両用フレーム構造を提供する。
【解決手段】車両用フレーム構造において、フレーム本体10は、第1面部と第2面部と該第1面部と該第2面部との間で角部を形成する第3面部とを有し、補強部材20は、第3面部から離間した状態で延在する基部21と、基部から第3面部に向けて突出し、少なくとも一部が第3面部と結合される複数の凸部22とを有し、複数の凸部は、隣り合う凸部との間に形成された溝部25がフレーム本体の長手方向に対して所定角度傾斜して網目状に形成されるように設けられ、溝部によってフレーム本体と補強部材の間に形成される網目状の空間部26に接着剤が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両における車体の一部を構成する車両用フレームの構造に関し、より詳しく言えば、外部から荷重が作用し得る管状のフレーム本体の内部に、該フレーム本体の長手方向に沿って補強部材が取り付けられた車両用フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車等の車両における車体の一部を構成するセンターピラーやサイドシルなどの車両用フレーム(車体フレーム)には、高強度及び高剛性が求められるとともに、燃費性能の向上を図るため軽量化が求められている。このため、車体フレームは、多くの場合、金属製の板状素材を管状に形成して構成されている。
【0003】
また、車体フレームとして、管状のフレーム本体の内部に該フレーム本体の長手方向に沿って補強部材を取り付けたものも知られている。例えば特許文献1には、サイドシルの内部に、インナパネルとの間でサイドシルの長手方向に延びる複数の閉断面部を形成する補強部材を設けて、該閉断面部によってサイドシルの曲げ剛性を高めるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−113768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、自動車等の車両では、例えば車体側方からの衝突、所謂側突を受けた際に乗員の安全性を確保するために、車両の側突時に、センターピラーやサイドシルなどの車体フレームに外部から荷重が作用しても曲げ変形しないよう、車体フレームの曲げ抗力をさらに高めることが求められている。
【0006】
本願発明者等は、種々の試験研究を重ねた結果、具体的には後述するが、矩形断面の管状のフレーム本体に外部から荷重が作用して曲げ変形する場合、荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部が荷重の入力方向に沿ってフレーム本体の内方側へ変形し始め、この変形に伴って該第1面部に隣接する面部がフレーム本体の外方側に膨らんで面外変形を生じるとともに、荷重が作用した時に引張方向の力が作用する第2面部がフレーム本体の内方側へ変形し、フレーム本体が曲げ変形して座屈することを見出した。
【0007】
かかる知見によれば、外部から荷重が作用し得るフレーム本体では、フレーム本体の内方側への第1面部の曲げ変形に伴って変形する該第1面部に隣接する面部の面外変形を抑制することができれば、フレーム本体全体の曲げ変形を有効に抑制することができ、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができると考えられる。
【0008】
その場合に、外部から荷重が作用し得るフレーム本体の第1面部に隣接する面部に、前記特許文献1に開示されるような、フレーム本体の長手方向に延びる複数の閉断面部を形成するように補強部材を取り付けることが考えられる。かかる場合には、補強部材によってフレーム本体全体の剛性を高めて曲げ抗力を高めることができるものの、フレーム本体の第1面部に外部から荷重が作用する際に、フレーム本体の長手方向に延びる閉断面部がフレーム本体の第1面部に隣接する面部の面外変形に余り役立たず、フレーム本体の第1面部に隣接する面部と閉断面部とがともにフレーム本体の外方側へ膨らんで面外変形を生じる畏れがある。
【0009】
これに対して、フレーム本体の内部に、該フレーム本体の長手方向に対して所定角度傾斜した方向に延びる複数の閉断面部を形成するように補強部材を取り付けることが考えられる。この場合は、閉断面部がフレーム本体の長手方向に対して所定角度傾斜した方向に延びるように補強部材が取り付けられていることから、閉断面部がフレーム本体の長手方向に延びるように補強部材を取り付けた場合に比べて、フレーム本体の第1面部に隣接する面部が面外変形することを抑制することができる。
【0010】
しかしながら、フレーム本体の第1面部に隣接する面部の面外変形は、フレーム本体の長手方向の一部において外方側へ膨らみ、その外方側へ膨らんだ部分のフレーム本体の長手方向の両端部に面外変形の起点が存在することから、フレーム本体の第1面部に隣接する面部に、該フレーム本体の長手方向に対して所定角度傾斜した方向に延びる複数の閉断面部を形成するように補強部材を取り付けた場合には、フレーム本体の第1面部に隣接する面部と補強部材とが離間した閉断面部を起点としてフレーム本体の面外変形が生じる畏れがある。
【0011】
そこで、この発明は、前記技術的課題に鑑みてなされたものであり、フレーム本体の面外変形を抑制することができるとともにフレーム本体の面外変形の起点をなくし、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができる車体用フレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本願の請求項1に係る車体用フレーム構造は、外部から荷重が作用し得る管状のフレーム本体の内部に、該フレーム本体の長手方向に沿って補強部材が取り付けられた車両用フレーム構造であって、前記フレーム本体は、外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部と、引張方向の力が作用する第2面部と、該第1面部と第2面部との間に位置し、該第1面部と該第2面部との間でそれぞれ角部を形成する第3面部と、を有し、前記補強部材は、前記第3面部から離間した状態で該第3面部に沿って延在する基部と、該基部から該第3面部に向けて突出して該第3面部と当接し、少なくとも一部が該第3面部と結合される複数の凸部とを有し、前記フレーム本体の第1面部と第3面部との間の角部を含む領域に取り付けられ、前記複数の凸部は、隣り合う凸部との間に形成された溝部が前記フレーム本体の長手方向に対して所定角度傾斜して網目状に形成されるように設けられ、前記溝部によって前記フレーム本体と前記補強部材の間に形成された網目状の空間部に、前記フレーム本体と前記補強部材とを接着する接着剤が充填されている、ことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記接着剤は、所定温度に加熱することにより発泡する熱硬化性接着剤であり、所定厚さを有するシート状に形成され、前記フレーム本体の第3面部と結合される凸部に対応して開口部が形成された状態で前記補強部材のフレーム本体側に重ね合わせて取り付けられている、ことを特徴とする。
【0014】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記接着剤は、該接着剤の発泡前に、前記補強部材のフレーム本体側に重ね合わせて取り付けられ、前記溝部に対応して前記接着剤と前記フレーム本体との間に前記フレーム本体の長手方向に連続する網目状の空隙部が形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に係る発明において、前記補強部材の第3面部と結合される凸部を除く凸部は、前記第3面部と結合される凸部よりも凸部の高さが低く形成され、前記接着剤を介して前記第3面部と当接し、該接着剤により前記第3面部と接着されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願の請求項1に係る車体用フレーム構造によれば、フレーム本体と補強部材との間に形成されフレーム本体の長手方向に対して所定角度傾斜した網目状の空間部によってフレーム本体が外方側に膨らんで面外変形することを抑制することができるとともに、接着剤を介してフレーム本体と補強部材との間の空間部に相当する部位がフレーム本体に拘束されることになるのでフレーム本体の面外変形の起点をなくし、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができる。
【0017】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、接着剤は、所定厚さを有するシート状に形成され、フレーム本体の第3面部と結合される凸部に対応して開口部が形成された状態で補強部材のフレーム本体側に重ね合わせて取り付けられていることにより、接着剤を補強部材に塗布する必要なしに比較的容易に接着剤を補強部材に取り付けることができるとともに、開口部を通じて凸部とフレーム本体とを結合することができ、補強部材を所定位置に精度良く配置することができる。また、接着剤は、所定温度に加熱することにより発泡する熱硬化性接着剤であるので、熱乾燥工程において、結合された補強部材とフレーム本体との間で接着剤を発泡させ、フレーム本体と補強部材とを確実に接着することができる。
【0018】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、接着剤は、発泡前に、補強部材のフレーム本体側に重ね合わせて取り付けられ、溝部に対応して接着剤とフレーム本体との間にフレーム本体の長手方向に連続する網目状の空隙部が形成されていることにより、フレーム本体と補強部材の一部の凸部とを結合した後に電着塗装工程を行う場合に、電着液がフレーム本体と補強部材との間に入り込むことができ、耐食性の向上を図ることが可能である。
【0019】
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、補強部材の第3面部と結合される凸部を除く凸部は、第3面部と結合される凸部よりも凸部の高さが低く形成され、接着剤を介して第3面部と当接し、接着剤により第3面部と接着されていることにより、補強部材とフレーム本体との結合力を高めることができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームを示す斜視図である。
【図2】図1におけるY2A−Y2A線及びY2B−Y2B線に沿った車体フレームの断面図である。
【図3】図2におけるY3−Y3線に沿った車体フレームの断面図である。
【図4】補強部材の凸部を説明するための説明図である。
【図5】補強部材に取り付けられた接着剤が発泡する前の車体フレームの断面図である。
【図6】フレーム本体と補強部材とにより構成された構造体を説明するための説明図である。
【図7】車体フレームに荷重を負荷する圧子の下降ストロークに対する曲げ荷重の測定結果を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームを示す斜視図である。
【図9】図8におけるY9−Y9線に沿った車体フレームの断面図である。
【図10】車体フレームの曲げ変形挙動を解析するためのシミュレーションについて説明するための説明図である。
【図11】車体フレームの曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す斜視図である。
【図12】図11における車体フレームの屈曲部の断面を示す断面図である。
【図13】車体フレームに荷重を負荷する圧子の下降ストロークと該荷重に対する反力との関係、及び圧子の下降ストロークとエネルギー吸収量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語など特定の方向を意味する用語を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0022】
本願発明者等は、管状のフレーム本体の内部に、該フレーム本体の長手方向に沿って補強部材が取り付けられた車両用フレーム構造において、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができる車両用フレーム構造の開発にあたり、先ず、管状の車体フレームに外部から曲げ荷重を入力して車体フレームが曲げ変形する際の変形挙動について、CAE(Computer Aided Enginnering)によるシミュレーション解析を行った。
【0023】
図10は、管状の車体フレームの曲げ変形挙動を解析するためのシミュレーションについて説明するための説明図であり、図10(a)は、車体フレームの曲げ変形挙動を解析するのに用いたモデルを示す図、図10(b)は、車体フレームに荷重が付加されて車体フレームが湾曲した状態を示す図、図11は、車体フレームの曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す斜視図、図12は、図11における車体フレームの屈曲部の断面を示す断面図である。なお、図11では、車体フレームの各部の変形量の大小を色の濃淡で表し、変形量が大きいほど濃い色で表している。また、図11及び図12では、車体フレームの曲げ変形の進行状態を(a)、(b)、(c)、(d)の順に表しており、後述する図13に示す圧子の下降ストロークがS、S、S、Sの場合を順に示している。
【0024】
このシミュレーションでは、管状の車体フレームとして、図11及び図12に示すように、上面部200aと、上面部200aと離間した状態で上面部200aと平行に設けられる下面部200bと、上面部200aと下面部200bとに隣接し上面部200aと下面部200bとの間に位置する両側の側面部200c、すなわち図11及び図12において上面部200aの右側端部と下面部200bの右側端部との間に位置する右側面部200c及び上面部200aの左側端部と下面部200bの左側端部との間に位置する左側面部200cとを有し、略矩形閉断面状に形成した管状のフレーム本体200をモデルとして用い、この車体フレームに外部から曲げ荷重を付加して車体フレームが曲げ変形する際の変形挙動をシミュレーション解析した。
【0025】
具体的には、図10(a)に示すように、所定長さX1を有するフレーム本体200を、この長さX1より短い所定距離X2だけ離間させた2つの固定点201で支持させ、2つの固定点201の中間位置に対応するフレーム本体200の上面部200aの長手方向における中央部分P1に上方から圧子202を一定速度で下降させ、圧子202を介して、車両の側突時に外部から作用される荷重を模擬した荷重Fをフレーム本体200に付加して、車体フレームの曲げ変形挙動を調べた。
【0026】
このようにして車体フレームに外部から荷重Fが付加される場合、図10(b)に示すように、フレーム本体200は下側に凸状に湾曲して変形し、フレーム本体200は、上面部200aでは長手方向両端から圧縮方向の力が作用して圧縮応力が生じ、下面部200bでは長手方向両端から引張方向の力が作用して引張応力が生じることとなる。また、側面部200cには、中立軸210より上面部200a側では圧縮応力が生じ、中立軸210より下面部200b側では引張応力が生じることとなる。
【0027】
図13は、車体フレームに荷重を付加する圧子の下降ストロークと該荷重に対する反力との関係、及び圧子の下降ストロークとエネルギー吸収量との関係を示すグラフであり、図13では、圧子202がフレーム本体200の上面部200aに接触した位置からフレーム本体200の曲げ変形とともに下降する圧子202の下降ストロークを横軸にとり、荷重Fに対する反力F’を左側縦軸にとって表示し、エネルギー吸収量EAを右側縦軸にとって表示している。エネルギー吸収量EAは、フレーム本体200が曲げ変形されることにより吸収できるエネルギーであり、荷重Fに対する反力F’と圧子202の下降ストロークとの積で表されるものである。
【0028】
図11から図13を参照して、シミュレーション解析による車体フレームの曲げ変形挙動について説明する。
【0029】
図11及び図12の(a)に示すように、圧子202がフレーム本体200の上方から下降し、圧子202が上面部200aに接触した位置である圧子の下降ストロークがSの場合、フレーム本体200において、上面部200aと側面部200cとの間に形成される角部200dの頂点P2は、下面部200bと側面部200cとの間に形成される角部200eの頂点P3の略垂直方向上方側に位置している。なお、これら頂点P2、P3は、フレーム本体200が曲げ変形する際の屈曲部、すなわち中央部分P1を有する断面における角部200d、200eの頂点を表している。
【0030】
この状態から圧子202を下方へ移動し、フレーム本体200に荷重Fを付加すると、図13に示すように、圧子202の下降ストロークが大きくなるにつれて荷重Fに対する反力F’が大きくなり、フレーム本体200が下側に凸状に湾曲して変形され、フレーム本体200は、上面部200aで圧縮方向の力が作用し、下面部200bで引張方向の力が作用し、荷重Fが付加される中央部分P1から曲げ変形される。
【0031】
そして、圧子202の下降ストロークがSの場合に荷重Fに対する反力F’が最大となり、図11及び図12の(b)に示すように、フレーム本体200は下側に凸状に湾曲して変形されるとともに管状のフレーム本体200の内方側へ変形され、この変形に伴って上面部200aに隣接する側面部200cが断面方向における外方側に膨らんで面外変形を生じ、角部200eの頂点P3に対して角部200dの頂点P2が略垂直方向から外方側に傾斜し、図11における変形箇所αで示すように、角部200dに変形量の大きい部分が生じる。また、図12(b)に示すように、この変形に伴って下面部200bがフレーム本体200の内方側に変位している。
【0032】
このフレーム本体200の上面部200aに隣接する側面部200cの面外変形は、フレーム本体200の長手方向の一部において、具体的にはフレーム本体200の長手方向の中央部分においてのみ外方側へ膨らみ、その外方側へ膨らんだ部分のフレーム本体200の長手方向の両端部に、図11における変形箇所βで示すように側面部200cが折れ曲がって変形された面外変形の起点(谷になる部分)が存在している。
【0033】
さらに圧子202の下降ストロークが大きくなると、図13に示すように、圧子202の下降ストロークに伴って荷重Fに対する反力F’が小さくなり、図11及び図12の(c)及び(d)に示すように、フレーム本体200はさらに曲げ変形され、上面部200aがフレーム本体200の内方側へさらに変形され、この変形に伴って側面部200cがフレーム本体200の長手方向と直交する直交断面方向における外方側へさらに膨らんで面外変形を生じるとともに、下面部200dがフレーム本体200の内方側へさらに変位し、フレーム本体200が曲げ変形して座屈している。
【0034】
このシミュレーション解析結果から、本願発明者等は、矩形断面の管状のフレーム本体に外部から荷重が作用して曲げ変形する場合、荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部(上面部)が荷重の入力方向に沿ってフレーム本体の内方側へ変形し始め、この変形に伴って該第1面部に隣接する面部(側面部)がフレーム本体の外方側に膨らんで面外変形を生じるとともに、荷重が作用した時に引張方向の力が作用する第2面部(下面部)がフレーム本体の内方側へ変形し、フレーム本体が曲げ変形して座屈することを見出した。
【0035】
なお、本願発明者等は、前述したシミュレーション解析に加えて、矩形断面の管状に形成した実際の車体フレームについても同様に、車体フレームに外部から荷重を作用して曲げ変形する際の変形挙動を調べる実験を行ったが、かかる実験においても、前述したシミュレーション解析結果と略同様の結果が得られた。また、本願発明者等は、後述するように、比較例1、比較例2、実施例の車体フレームについてもそれぞれ実際の車体フレームを作成して同様に変形挙動を調べる実験を行った。
【0036】
そこで、これらシミュレーション解析結果及び実験結果に基づいて、外部から荷重が作用し得るフレーム本体では、フレーム本体の内方側への第1面部の曲げ変形に伴って変形する該第1面部に隣接する面部の面外変形を抑制することができれば、フレーム本体全体の曲げ変形を有効に抑制することができ、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができると考えられる。
【0037】
以下、本発明の実施形態に係る車両用フレーム構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームを示す斜視図、図2は、図1におけるY2A−Y2A線及びY2B−Y2B線に沿った車体フレームの断面図、図3は、図2におけるY3−Y3線に沿った車体フレームの断面図である。なお、図1及び後述する図8では、フレーム本体内の補強部材を明瞭に図示するため、フレーム本体と補強部材を接着する接着剤を省略するとともにフレーム本体を一点鎖線で示し、これを透過状態で示している。
【0038】
図1から図3に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレーム1は、略矩形断面の管状のフレーム本体10と、フレーム本体10の長手方向に沿ってフレーム本体10の内部に取り付けられるフレーム本体10を補強するための補強部材20とを有している。
【0039】
フレーム本体10は、鋼板などの金属製の板状素材を断面ハット状にプレス加工して得られる第1の板状部材11と、鋼板などの金属製の板状素材でなる第2の板状部材12とから構成され、第1の板状部材11は、略平面状に形成される底面部11aと、底面部11aの両側において底面部11aから略垂直方向に延びる側面部11bと、側面部11bから略直角方向に外側に延びるフランジ部11cとを備え、第2の板状部材12は、略平面状に形成される平面部12aを備えている。
【0040】
フレーム本体10は、第1の板状部材11と第2の板状部材12とが、第1の板状部材11のフランジ部11cを第2の板状部材12の平面部12aに重ね合わせてスポット溶接で接合することにより接合され、略矩形閉断面状に形成されている。これにより、フレーム本体10では、第1の板状部材11の底面部11aと側面部11bとの間に略直角をなす角部10aが形成され、第1の板状部材11の側面部11bと第2の板状部材12の平面部12aとの間に略直角をなす角部10bが形成されている。
【0041】
フレーム本体10の内部に取り付けられる補強部材20もまた、鋼板などの金属製の板状素材をプレス加工して得られるものであり、フレーム本体10の長手方向に沿ってフレーム本体10の第1の板状部材11の両側の側面部11bにそれぞれ取り付けられ、フレーム本体10の角部10aを含む領域においてフレーム本体10の内周側を覆うように配設されている。なお、補強部材20として、亜鉛メッキ鋼板などを用いることも可能である。
【0042】
各補強部材20は、フレーム本体10の第1の板状部材11の側面部11bから所定距離離間した状態で側面部11bに沿って延在する基部21と、基部21と一体的に形成され、基部21から側面部11bに向けて突出して四角錐台状に形成される複数の凸部22とを有している。
【0043】
図4は、補強部材の凸部を説明するための説明図であり、補強部材の要部を示す正面図である。図4に示すように、複数の凸部22は、頂面部22aが四角形である四角錐台状に形成され、フレーム本体10の長手方向及び該長手方向に直交する方向(直交断面方向)において周期的に配列されている。
【0044】
複数の凸部22はそれぞれ、頂面部22aの四角形の対角線がフレーム本体10の長手方向及び直交断面方向と平行になるように配置され、フレーム本体10の長手方向に隣り合う凸部22が互いにフレーム本体10の直交断面方向に重なりL1を有するとともに、フレーム本体10の直交断面方向に隣り合う凸部22が互いにフレーム本体10の長手方向に重なりL2を有している。
【0045】
複数の凸部22はまた、隣り合う凸部22との間に基部21と凸部22の側面部22bとによって形成される溝部25が、フレーム本体10の長手方向に対して所定角度、本実施形態では45度傾斜して網目状に形成されるように設けられている。すなわち、複数の凸部22は、フレーム本体10の長手方向及び直交断面方向に直線状に連続した溝部25が形成されないように設けられている。
【0046】
本実施形態では、図1において符号SWを付して黒丸(●)印で示す位置にある一部の凸部22が、フレーム本体10の第1の板状部材11の側面部11bと当接して側面部11bと仮止め溶接されて結合され、側面部11bと結合される凸部22を除く凸部22が、接着剤27を介して側面部11bと当接し、接着剤27により側面部11bに接着されている。
【0047】
図3では、側面部11bと結合される凸部22を符号22Aで示し、接着剤27により側面部11bに接着される凸部22を符号22Bで示している。図3に示すように、凸部22A及び22Bはそれぞれ、基部21からの高さがH及びHであり、側面部11bと結合される凸部22Aを除く凸部22Bは、側面部11bと結合される凸部22Aよりも凸部の高さが低く形成されている。
【0048】
接着剤27としては、所定温度に加熱することにより発泡する熱硬化性接着剤が用いられる。図2及び図3に示すように、接着剤27は、所定厚さを有するシート状に形成されたものが用いられ、該接着剤27は、発泡前に補強部材20に取り付けられ、所定温度に加熱することにより発泡してフレーム本体10と補強部材20との間に充填され、溝部25によってフレーム本体10と補強部材20との間にフレーム本体10の長手方向に対して45度傾斜して形成された網目状の空間部26に充填される。
【0049】
図5は、補強部材に取り付けられた接着剤が発泡する前の車体フレームの断面図であり、図2の(a)及び(b)に示す断面に対応する断面についてそれぞれ図5の(a)及び(b)に示している。図5に示すように、シート状に形成された接着剤27は、発泡前に補強部材20のフレーム本体10側に、具体的には基部21及び凸部22のフレーム本体10側に重ね合わせて取り付けられる。
【0050】
接着剤27はまた、フレーム本体10の第1の板状部材11の側面部11bと結合される凸部22に対応して開口部27aが形成され、該開口部27aは、側面部11bと結合される凸部22の頂面部22aを覆う部分が四角形状に開口して形成されている。
【0051】
このように、シート状に形成された接着剤27が、補強部材20のフレーム本体10側に重ね合わせて取り付けられることにより、接着剤27の発泡前には、溝部25によって接着剤27とフレーム本体10との間にフレーム本体10の長手方向に連続する網目状の空隙部28が形成されることとなる。
【0052】
本実施形態では、接着剤27を補強部材20のフレーム本体10側に重ね合わせて取り付け、開口部27aを通じて補強部材20の凸部22を側面部11bに当接させた状態で、補強部材20をフレーム本体10の内部に配置し、凸部22と側面部11bを仮止め溶接して結合する。その後、熱乾燥工程を施すことにより接着剤27を発泡させて、フレーム本体10と補強部材20との間に接着剤27を充填させ、溝部25によって形成された網目状の空間部26に充填させ、フレーム本体10と補強部材20とを接着させる。
【0053】
また、補強部材20には、フレーム本体10の直交断面方向の上端部に平面状のフランジ部23が形成されており、該フランジ部23は、フレーム本体10の第1の板状部材11の底面部11aに沿って該底面部11aに取り付けられている。
【0054】
このようにして構成される車体フレーム1は、荷重が作用することが想定される方向に第1の板状部材11の底面部11aが対向するように配置される。これにより、外部から荷重が作用する時には、第1の板状部材11の底面部11aに圧縮方向の力が作用して圧縮応力が生じ、第2の板状部材12の平面部12aに引張方向の力が作用して引張応力が生じることとなる。
【0055】
このように、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造では、フレーム本体10の内部に取り付けられる補強部材20が、基部21と複数の凸部22とを有し、複数の凸部22は、隣り合う凸部22との間に形成された溝部25がフレーム本体10の長手方向に対して所定角度傾斜して網目状に形成されるように設けられている。これにより、網目状の空間部26によってフレーム本体10が外方側に膨らんで面外変形することを抑制することができ、フレーム本体10の曲げ抗力を高めることができる。
【0056】
図6は、フレーム本体と補強部材とにより構成された構造体を説明するための説明図であり、図3に示すフレーム本体の内部に補強部材が取り付けられた車体フレームの要部断面図を示している。図6に示すように、フレーム本体10と該フレーム本体10の第1の板状部材11の側面部11bに取り付けられた補強部材20とによって、フレーム本体10と補強部材20との間には閉断面部29aを有する構造体29が形成されている。
【0057】
構造体29では、図6に示すように、フレーム本体10と補強部材20とが曲げの中立軸30から離間して配置されることにより、構造体29によって、フレーム本体10はその断面二次モーメントが高められた構造となっている。なお、図6では、フレーム本体10の長手方向における断面について説明しているが、フレーム本体10の直交断面方向においても同様に、フレーム本体10と補強部材20との間には閉断面部を有する構造体が形成され、フレーム本体10はその断面二次モーメントが高められた構造となっている。
【0058】
車体フレーム1に外部から荷重が作用して曲げ変形する場合、フレーム本体10の第1の板状部材11の側面部11bが車体フレーム1の外方側に膨らんで面外変形を生じ、構造体29には、図6に示すような曲げ変形がフレーム本体10の長手方向及び直交断面方向に生じることとなるが、閉断面部29aを有する構造体29によってフレーム本体10の側面部11bの剛性を高めて側面部11bが外方側に膨らんで面外変形することを抑制することができ、フレーム本体10の曲げ抗力を高めることができる。
【0059】
また、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造では、溝部25によってフレーム本体10と補強部材20の間に形成された網目状の空間部26に接着剤27が充填されている。これにより、接着剤27を介してフレーム本体10と補強部材20との間の空間部26に相当する部位がフレーム本体10に拘束されることになるのでフレーム本体10の面外変形の起点になりやすい補強部材20による側面部11bとの不連続な部分、例えば図6においてβ’で示す部分をなくし、フレーム本体10の曲げ抗力を更に高めることができる。
【0060】
このように、本発明の第1の実施形態に係る車体用フレーム構造によれば、フレーム本体10と補強部材20との間に形成されフレーム本体10の長手方向に対して所定角度傾斜した網目状の空間部26によってフレーム本体10が外方側に膨らんで面外変形することを抑制することができるとともに、接着剤27を介してフレーム本体10と補強部材20との間の空間部26に相当する部位がフレーム本体10に拘束されることになるのでフレーム本体10の面外変形の起点をなくし、フレーム本体10の曲げ抗力を高めることができる。
【0061】
また、接着剤27は、所定厚さを有するシート状に形成され、フレーム本体10の第1の板状部材11の側面部11bと結合される凸部22に対応して開口部27aが形成された状態で補強部材20のフレーム本体10側に重ね合わせて取り付けられていることにより、接着剤27を補強部材20に塗布する必要なしに比較的容易に接着剤27を補強部材20に取り付けることができるとともに、開口部27aを通じて凸部22とフレーム本体10とを結合することができ、補強部材20を所定位置に精度良く配置することができる。また、接着剤27は、所定温度に加熱することにより発泡する熱硬化性接着剤であるので、熱乾燥工程において、結合された補強部材20とフレーム本体10との間で接着剤27を発泡させ、フレーム本体10と補強部材20とを確実に接着することができる。
【0062】
更に、接着剤27は、発泡前に、補強部材20のフレーム本体10側に重ね合わせて取り付けられ、溝部25に対応して接着剤27とフレーム本体10との間にフレーム本体10の長手方向に連続する網目状の空隙部28が形成されていることにより、フレーム本体10と補強部材20の一部の凸部22とを結合した後に電着塗装工程を行う場合に、電着液がフレーム本体10と補強部材20との間に入り込むことができ、耐食性の向上を図ることが可能である。
【0063】
また更に、補強部材20の側面部11bと結合される凸部22Aを除く凸部22Bは、側面部11bと結合される凸部22Aよりも凸部の高さが低く形成され、接着剤27を介して側面部11bと当接し、接着剤27により側面部11bと接着されていることにより、補強部材20とフレーム本体10との結合力を高めることができる。
【0064】
本実施形態ではまた、車体フレーム1について、外部から荷重を作用して曲げ荷重を測定する実験を行った。この実施では、車体フレーム1の長手方向の中央部分に圧子を一定速度で下降させ、圧子の下降ストロークに対する曲げ荷重を測定した。なお、比較例として、フレーム本体10のみの車体フレーム(比較例1)と、接着剤を用いることなく補強部材の一部の凸部22を仮止め溶接して結合することによりフレーム本体に取り付けた車体フレーム(比較例2)についてもそれぞれ実物を製作して測定した。
【0065】
図7は、車体フレームに荷重を負荷する圧子の下降ストロークに対する曲げ荷重の測定結果を示すグラフであり、図7では、圧子の下降ストロークを横軸にとり、曲げ荷重を縦軸にとって表示している。なお、図7では、車体フレーム1の測定結果を実施例として実線で表し、比較例1を一点鎖線で表し、比較例2を破線で表している。
【0066】
図7に示すように、車体フレームの曲げ荷重については、曲げ荷重の最大値が、実施例では約37kNであり、比較例1では約24kNであり、比較例2では約10kNであり、実施例は、比較例1及び比較例2の場合に比して曲げ荷重の最大値が高くなるという結果が得られた。このように、車体フレーム1では、フレーム本体10と補強部材20との間に接着剤27を充填することにより車体フレームの曲げ荷重を高めることができ、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができる。比較例1より比較例2の曲げ荷重の最大値が大きい理由は、閉断面部29aを有する構造体29によってフレーム本体10の側面部11bの剛性を高めて側面部11bが外方側に膨らんで面外変形することを抑制しているためであり、比較例2より実施例の曲げ荷重の最大値が大きい理由は、更に、接着剤27を介してフレーム本体10と補強部材20を連続的に結合することにより面外変形の起点となりやすい箇所を排除したためである。
【0067】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームを示す斜視図であり、図9は、図8におけるY9−Y9線に沿った車体フレームの断面図である。なお、第2の実施形態に係る車体フレームは、第1の実施形態に係る車体フレーム1において、補強部材20がフレーム本体10の上方側の角部10aから下方側の角部10bにわたって延びているものであり、車体フレーム1と同様の構成を備えて同様の作用をなすものについては、同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
図8に示すように、本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレーム31は、第1の実施形態に係る車体フレーム1と同様に、フレーム本体10の内部にフレーム本体10の長手方向に沿って補強部材40が取り付けられ、補強部材40は、フレーム本体10の第1の板状部材11の側面部11bから所定距離離間した状態で該側面部11bに沿って延在する基部41と、該基部41から該側面部11bに向けて突出して四角錐台状に形成される複数の凸部42とを有している。
【0069】
複数の凸部42は、フレーム本体10の長手方向及び直交断面方向において周期的に配列され、隣り合う凸部42との間に基部41と凸部42の側面部42bとによって形成される溝部45が、フレーム本体10の長手方向に対して、本実施形態では45度傾斜して網目状に形成されるように設けられている。これにより、フレーム本体10と補強部材20との間に、フレーム本体10の長手方向に対して45度傾斜した網目状の空間部46が形成される。
【0070】
複数の凸部42はまた、一部の凸部42が側面部11bと当接して側面部11bと仮止め溶接されて結合され、側面部11bと結合される凸部42を除く凸部42が、フレーム本体10と補強部材40とを接着する接着剤27を介して側面部11bと当接し、接着剤27により側面部11bに接着されている。
【0071】
接着剤27は、車体フレーム1の場合と同様に、所定厚さを有するシート状に形成され、側面部11bと結合される凸部42に対応して、すなわち凸部42の頂面部42aを覆う部分に対応して四角形状の開口部27aが形成された状態で補強部材40のフレーム本体10側に重ね合わせて取り付けられ、これにより、溝部45に対応して接着剤27とフレーム本体10との間にフレーム本体10の長手方向に連続する網目状の空隙部が形成されることとなる。
【0072】
そして、接着剤27を補強部材40のフレーム本体10側に重ね合わせて取り付け、開口部27aを通じて補強部材40の凸部42を側面部11bに当接させた状態で、補強部材40をフレーム本体10の内部に配置し、凸部42と側面部11bと仮止め溶接して結合する。その後、熱乾燥工程を施すことにより接着剤27を発泡させ、フレーム本体10と補強部材40との間に接着剤27を充填させ、溝部45によって形成された網目状の空間部46に充填させ、フレーム本体10と補強部材40とを接着させる。
【0073】
車体フレーム31では、補強部材40は、フレーム本体10の直交断面方向においてフレーム本体10の上方側の角部10aから下方側の角部10bにわたって延びており、補強部材40にはまた、フレーム本体10の直交断面方向の下端部に平面状のフランジ部44が備えられ、フランジ44は、フレーム本体10の第1の板状部材11のフランジ部11cと第2の板状部材12の平面部12aとの間に挟まれた状態で取り付けられている。これにより、外部から荷重が作用する時に補強部材40がフレーム本体10から外れることを防止することができる。
【0074】
このようにして構成される車体フレーム31においても、フレーム本体10と補強部材40との間に形成されフレーム本体10の長手方向に対して所定角度傾斜した網目状の空間部46によってフレーム本体10が外方側に膨らんで面外変形することを抑制することができるとともに、接着剤27を介してフレーム本体10と補強部材40との間の空間部46に相当する部位がフレーム本体10に拘束されることになるのでフレーム本体10の面外変形の起点をなくし、フレーム本体10の曲げ抗力を高めることができる。
【0075】
本実施形態では、補強部材20、40の凸部22、42は、四角錐台状に形成されているが、その他の角錐台状に形成してもよく、あるいは円錐台状に形成するようにすることも可能である。また、本実施形態では、補強部材20、40にシート状に形成した接着剤27を重ね合わせて取り付けているが、例えば射出成形等によって、補強部材20、40にシート状に形成した接着剤27を一体的に成形することも可能である。
【0076】
なお、車体フレーム1、31に外部から荷重が作用する時に、圧縮方向の力が作用する第1の板状部材11の底面部11aが本願請求項に記載される第1面部に相当し、引張方向の力が作用する第2の板状部材12の平面部12aが本願請求項に記載される第2面部に相当し、該底面部11aと該平面部12aとの間に位置する第1の板状部材11の側面部11bが本願請求項に記載される第3面部に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、管状のフレーム本体の内部に補強部材が取り付けられた車両用フレーム構造において、フレーム本体の面外変形を抑制することができるとともにフレーム本体の面外変形の起点をなくし、フレーム本体の曲げ抗力を高めることができる車体用フレーム構造を提供することができ、例えばセンターピラーやサイドシルなどの車体の一部を構成する車体フレームに広く利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0078】
1、31 車体フレーム
10 フレーム本体
10a、10b 角部
11 第1の板状部材
11a 第1の板状部材の底面部(第1面部)
11b 第1の板状部材の側面部(第3面部)
12 第2の板状部材
12a 第2の板状部材の平面部(第2面部)
20、40 補強部材
21、41 基部
22、22A、22B、42、凸部
25、45 溝部
26、46 空間部
27 接着剤
27a 開口部
28 空隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から荷重が作用し得る管状のフレーム本体の内部に、該フレーム本体の長手方向に沿って補強部材が取り付けられた車両用フレーム構造であって、
前記フレーム本体は、外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部と、引張方向の力が作用する第2面部と、該第1面部と第2面部との間に位置し、該第1面部と該第2面部との間でそれぞれ角部を形成する第3面部と、を有し、
前記補強部材は、前記第3面部から離間した状態で該第3面部に沿って延在する基部と、該基部から該第3面部に向けて突出して該第3面部と当接し、少なくとも一部が該第3面部と結合される複数の凸部とを有し、前記フレーム本体の第1面部と第3面部との間の角部を含む領域に取り付けられ、
前記複数の凸部は、隣り合う凸部との間に形成された溝部が前記フレーム本体の長手方向に対して所定角度傾斜して網目状に形成されるように設けられ、
前記溝部によって前記フレーム本体と前記補強部材の間に形成された網目状の空間部に、前記フレーム本体と前記補強部材とを接着する接着剤が充填されている、
ことを特徴とする車両用フレーム構造。
【請求項2】
前記接着剤は、所定温度に加熱することにより発泡する熱硬化性接着剤であり、所定厚さを有するシート状に形成され、前記フレーム本体の第3面部と結合される凸部に対応して開口部が形成された状態で前記補強部材のフレーム本体側に重ね合わせて取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用フレーム構造。
【請求項3】
前記接着剤は、該接着剤の発泡前に、前記補強部材のフレーム本体側に重ね合わせて取り付けられ、前記溝部に対応して前記接着剤と前記フレーム本体との間に前記フレーム本体の長手方向に連続する網目状の空隙部が形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用フレーム構造。
【請求項4】
前記補強部材の第3面部と結合される凸部を除く凸部は、前記第3面部と結合される凸部よりも凸部の高さが低く形成され、前記接着剤を介して前記第3面部と当接し、該接着剤により前記第3面部と接着されている、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用フレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−178327(P2011−178327A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46163(P2010−46163)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】