説明

車両用ミラー装置

【課題】ミラー本体を倒伏させたときでもフロントドアガラスを介しての側方視界を確保し得る車両用ミラー装置を提供することである。
【解決手段】車両のフロントドアにフロントドアガラスに隣接するようにベース22を固定し、このベース22の上面に車両の側を凸として湾曲するガイドレール25を設ける。ミラー23bを備えたミラー本体23のカバー23aにスライダ26を設け、このスライダ26をガイドレール25に移動自在に装着する。ガイドレール25に対してスライダ26を相対移動させ、ミラー本体23をフロントドアガラスの車両前方側の端部に隣接し且つ車両後方側を向く起立位置からフロントドアガラスよりも車両前方側において車両の側を向く倒伏位置にまで移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフロントドアに装着されるドアミラーなど、自動車等の車両の側部に設けられる車両用ミラー装置に関し、特に、ミラー本体を車両の側に向けて倒伏させることができる可倒式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の側部には、運転者が車両側方側から後方を視認することができるように、車両用ミラー装置(サイドミラー)が設けられている。このような車両用ミラー装置としては、フロントドアに直接装着されるタイプと車体のフロントピラー(Aピラー)に装着されるタイプとがあり、いずれのタイプも車両のフロントドアに設けられるウインドガラスつまりフロントドアガラスの前方側に隣接して設けられる。
【0003】
このようなミラー装置はフロントドアガラスの前方側に隣接してフロントドアまたはフロントピラーに固定されるベースを備えており、このベースにミラー本体が支持された構造となっている。ミラー本体にはミラー(鏡)が取り付けられており、運転者はフロントドアガラスを介してミラーを視認することにより、これに映った後方の様子を確認できるようになっている。
【0004】
ところで、このようなミラー装置では、ミラー本体はその構造上、車両の側部から車両側方に張り出すので、車両を駐車場等において他車に並べて停車させた場合等には、これが邪魔になる場合がある。そのため、ミラー本体を使用位置である起立位置から車両の側を向いて倒伏する倒伏位置にまで倒すことができるようにした可倒式のミラー装置が開発されている。
【0005】
例えば特許文献1には、根本部分を支点としてミラー本体を車両後方側に回動させることにより、当該ミラー本体をフロントドアガラスに向けて倒すことができるようにしたミラー装置が記載されている。
【特許文献1】実開平4−95539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるミラー装置では、起立位置にあるミラー本体を根本部分を支点として車両後方側に回動させて倒伏させるようにしているので、ミラー本体を倒すとフロントドアガラスの一部に当該ミラー本体が被さることになる。そのため、ミラー本体を倒伏させた後、運転者等の乗員がフロントドアから降車する際には、ミラー本体によりフロントドアガラスを介しての側方の視界が一部遮られ、側方の確認が妨げられるおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、ミラー本体を倒伏させたときでもフロントドアガラスを介しての側方視界を確保し得る車両用ミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用ミラー装置は、車両のフロントドアガラスに隣接して設けられるベースと該ベースに支持されるミラー本体とを備えた車両用ミラー装置であって、前記ベースまたは前記ミラー本体のいずれか一方に設けられ、前記車両側を凸として湾曲するガイドレールと、前記ベースまたは前記ミラー本体のいずれか他方に設けられ、前記ガイドレールに相対移動自在に装着されるスライダとを有し、前記ガイドレールに対する前記スライダの相対移動により、前記ミラー本体が、前記フロントドアガラスの車両前方側の端部に隣接し且つ車両後方側を向く起立位置から前記フロントドアガラスよりも車両前方側において前記車両の側を向く倒伏位置にまで移動することを特徴とする。
【0009】
本発明の車両用ミラー装置は、前記ガイドレールは一定の間隔を空けて対向する一対のガイド壁を備え、前記スライダは一対の前記ガイド壁の間に長手方向に並べて配置され該ガイド壁に案内される一対の回転体を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用ミラー装置は、前記ミラー本体を前記起立位置と前記倒伏位置との間で自動的に作動させる電動モータを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の車両用ミラー装置は、一方の前記ガイド壁の内面に全長に亘ってギア部を設けるとともに前記回転体を前記ギア部に噛み合うピニオンとし、少なくともいずれか一方の前記ピニオンを電動モータにより回転駆動して前記ミラー本体を前記起立位置と前記倒伏位置との間で自動的に作動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガイドレールに対するスライダの相対移動によりミラー本体を起立位置から倒伏位置へ案内するようにしたので、当該ミラー本体をフロントドアガラスよりも車両前方側において倒伏させることができる。これにより、倒伏したミラー本体がフロントドアガラスに被さることなく、ミラー本体を倒伏させたときのフロントドアガラスを介しての側方視界を確保することができる。
【0013】
また、本発明によれば、ガイドレールに一定の間隔を空けて対向する一対のガイド壁を設け、スライダに設けられる一対の回転体を一対のガイド壁の間に長手方向に並べて配置して当該ガイド壁に案内させるようにしたので、ミラー本体を起立位置と倒伏位置とに案内する構造を簡素化することができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、電動モータによりミラー本体を起立位置と倒伏位置との間で自動的に作動させるようにしたので、ミラー本体を起立位置から倒伏させる操作や倒伏位置にあるミラー本体を起立位置に復帰させる操作を容易にすることができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、ガイド壁の内面にギア部を設け、回転体をギア部に噛み合うピニオンとし、ピニオンを電動モータにより回転駆動してミラー本体を起立位置と倒伏位置との間で自動的に作動させるようにしたので、ミラー本体を自動的に作動させるための構造を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施の形態であるドアミラーを備えた車両の一部を示す斜視図であり、ミニバンタイプの乗用車であるこの車両11の車体12の側部には運転者等の乗員が乗降するための開口部12aが設けられ、この開口部12aを閉塞するために車体12の側部にはフロントドア13が設けられている。このフロントドア13はいわゆるスライド式となっており、車体12の側部に固定されたスライドレール14に案内されて車両前方に向けてスライド式に開かれるようになっている。このフロントドア13はドア本体13aの上部にサッシ13bが固定されたサッシドアとなっており、サッシ13bにはフロントドアガラス15が上下方向に開閉自在に装着されている。乗員はこのフロントドアガラス15を介して車室内から車両側方側の外部の様子を視認することができる。
【0018】
なお、図示する場合では、フロントドア13は車両前方側に開くスライド式とされているが、これに限らず、車両後方側に開くスライド式や前ヒンジ後ろ開き式など、他の開閉構造であってもよい。また、フロントドア13はドア本体13aの上部にサッシ13bが固定されたサッシドアとされているが、これに限らず、サッシレスのハードトップドアやドア本体13aとサッシ13bとが一体に形成されたフルドアであってもよい。
【0019】
フロントドア13には、運転者の車両側方側からの後方確認を可能とするために、車両用ミラー装置としてのドアミラー21が装着されている。図1に示すように、ドアミラー21は左右両側のフロントドア13にそれぞれ設けられるが、これらのドアミラー21は左右対称である以外は基本的に同一の構造となっているので、以下では、運転席側のドアミラー21に基づいて説明する。
【0020】
図2は図1に示すドアミラーの構造を示す斜視図であり、図3は同平面図である。
【0021】
このドアミラー21はベース22にミラー本体23が支持された構造となっており、ベース22は板状に形成され、図1に示すように、車両前方側のサッシ13bの根本部分においてドア本体13aの上部に固定されている。つまり、ベース22はフロントドアガラス15に対して車両前方側に隣接してフロントドア13に固定されている。一方、ミラー本体23は樹脂製のカバー(筐体)23aにミラー(鏡)23bが取り付けられた構造となっており、図1に示す使用位置つまり起立位置にあるときには、フロントドアガラス15の車両前方側の端部に隣接するとともにミラー23bを車両後方側に向けた姿勢となってベース22に支持されるようになっている。そして、運転者は、ミラー本体23が起立位置にあるときには、車室内からフロントドアガラス15を介してこのミラー23bに映った後方の様子を視認することができるようになっている。
【0022】
一方、このドアミラー21には倒伏機構(格納機構)24が設けられており、例えば停車時など車室内からの後方確認が不要な場合には、ミラー本体23を使用位置である起立位置から倒伏位置(格納位置)つまりミラー23bを起立位置つまりフロントドアガラス15よりも車両前方側において車両11の側つまり車室内側に向けるように伏せた位置にまで移動させることができるようになっている。
【0023】
次に、倒伏機構24の構造について説明する。
【0024】
図2、図3に示すように、この倒伏機構24はベース22とミラー本体23との間に設けられており、ミラー本体23は倒伏機構24を介してベース22に取り付けられて当該ベース22に支持されている。この倒伏機構24はガイドレール25とスライダ26とを備えており、図示する場合では、ガイドレール25はベース22に設けられ、スライダ26はミラー本体23に設けられている。
【0025】
ガイドレール25は一定の間隔を空けて対向する一対のガイド壁25a,25bを備えており、これらのガイド壁25a,25bはそれぞれベース22の車両上方側を向く上面に一体に形成されている。図3に示すように、ガイドレール25は、その車両前方側の長手方向端部(倒伏位置の側の長手方向端部)を車両11の前方に向け、車両後方側の長手方向端部(起立位置の側の長手方向端部)を車両11の幅方向の外側に向けるとともに、長手方向の中間部分を長手方向の両端部を結ぶ直線Lよりも車両11の側つまり車室内側に向けて突出させるように湾曲して形成されている。つまり、ガイドレール25は車両前方側から後方側に向けて徐々に車両11(フロントドア13)から離れるように中間部分を車両11の側に凸として滑らかに湾曲している。ガイドレール25の内側部分つまり車体12に近い側のガイド壁25aの内面(他方のガイド壁25bと対向する面)には長手方向の全長に亘ってギア部27が形成されている。また、ベース22の各ガイド壁25a,25bに挟まれた部分にはガイドレール25に沿って延びるスリット28が形成されている。
【0026】
一方、スライダ26は回転体としての一対のピニオン31,32を備えている。一方のピニオン31は駆動軸33に固定され、他方のピニオン32は支軸34に固定されており、駆動軸33と支軸34はそれぞれ軸方向を車両上下方向に向けてブラケット35に回転自在に支持されている。ブラケット35は各ピニオン31,32がミラー23bと略平行な方向に並ぶようにミラー本体23のカバー23aの底面に固定されており、これにより、各ピニオン31,32はミラー本体23に回転自在に支持された状態となっている。各ピニオン31,32の直径はガイド壁25a,25bの間隔よりも若干小さく設定されており、各ピニオン31,32はそれぞれガイドレール25の各ガイド壁25a,25bの間に長手方向に所定の間隔を空けて並ぶようにガイドレール25に配置され、それぞれガイド壁25aに設けられたギア部27に噛み合わされている。これにより、各ピニオン31,32は各ガイド壁25a,25bの間でギア部27との噛み合いが保持され、また、回転することにより、ギア部27との噛み合いによって各ガイド壁25a,25bの間で案内されながらガイドレール25に沿って移動することができるようになっている。
【0027】
図2に示すように、ピニオン31を支持する駆動軸33はブラケット35からピニオン31とは反対側つまりカバー23aの内部に突出しており、その突出部分には従動ギア36が固定されている。また、カバー23aの内部には電動モータ37が設けられており、この電動モータ37の出力軸37aに固定された駆動ギア38が従動ギア36に噛み合わされている。電動モータ37の給電線37bはベース22に形成されたスリット28からベース22の裏面側を介して車体12の内部に導かれており、図1に示すように、車体12の内部に配置された制御装置41に接続されている。なお、図示はしないが、このカバー23aの内部には、カバー23aに対するミラー23bの角度を調整するための公知の調整機構等も設けられている。
【0028】
制御装置は図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリ等を備えたマイクロコンピュータとなっており、車室内に設けられた図示しないミラー操作スイッチや車体12に搭載された図示しないバッテリ(電源)等に接続されている。運転者によりミラー操作スイッチが操作されると、その操作に応じて電動モータ37が制御装置41により作動制御され、出力軸37aが正逆両方向に回転するように作動する。電動モータ37が作動すると、駆動ギア38と従動ギア36とを介して出力軸37aの回転が減速して駆動軸33に伝達され、ピニオン31が電動モータ37に回転駆動される。そして、ピニオン31が回転することにより、スライダ26つまりミラー本体23がガイドレール25に沿って自動的に移動する。また、ミラー操作スイッチの操作に応じて電動モータ37の作動方向が制御装置41によって切り替えられることにより、ミラー本体23の移動方向が切り替えられる。
【0029】
図4(a)〜(c)はそれぞれミラー本体が起立位置から倒伏位置にまで移動する様子を示す平面図であり、図5(a)〜(c)は同側面図である。次に、図4、図5に基づいて、このドアミラー21の倒伏動作について説明する。
【0030】
車両11の走行時など、ドアミラー21による運転者の後方確認が必要なときには、図4(a)、図5(a)に示すように、ミラー本体23は起立位置とされる。ミラー本体23が起立位置にあるときには、図4(a)に示すように、スライダ26はガイドレール25の車両後方側の長手方向端部(起立位置側のストローク端)にあり、ミラー本体23はミラー23bを車両11の後方側に向けた状態となってフロントドアガラス15の車両前方側の端部に隣接して配置される。これにより、運転者はフロントドアガラス15を介してミラー23bに映った後方の様子を確認することができる。
【0031】
ミラー本体23が起立位置にあるときに、図示しないミラー操作スイッチが倒伏側に操作されると、起立位置にあるミラー本体23は電動モータ37により駆動されて自動的に倒伏位置にまで移動する。つまり、運転者等によりミラー操作スイッチが倒伏側に操作されると、電動モータ37が作動し、ギア部27に噛み合うピニオン31が電動モータ37により所定の方向に回転駆動され、スライダ26がガイドレール25の車両後方側の長手方向端部から車両前方側の長手方向端部(倒伏位置側のストローク端)に向けて移動する。このとき、図4(b)、図5(b)に示すように、スライダ26に設けられる一対のピニオン31,32は長手方向に並んで配置され、これを案内するガイドレール25は車両11の側を凸として湾曲しているので、スライダ26がガイドレール25に沿って移動するに従い、ミラー本体23はミラー23bを車両11つまり車室内側に向ける方向に回動しながら車両前方側に移動する。そして、図4(c)、図5(c)に示すように、スライダ26がガイドレール25の車両前方側の長手方向端部にまで達し、つまりミラー本体23が倒伏位置に達すると、各ピニオン31,32がガイドレール25に沿って車両前後方向に並ぶ状態となり、これにより、ミラー本体23はミラー23bを車両11の側に向けて倒伏した状態となる。
【0032】
なお、スライダ26がガイドレール25に沿って移動したときには、電動モータ37の給電線37bもスライダ26の移動に合わせてスリット28に沿って移動し、スライダ26の作動を妨げることがないようにされている。
【0033】
ここで、倒伏位置にまで達したミラー本体23は、ガイドレール25に沿って起立位置に対して車両前方側に移動しているので、図4(c)、図5(c)に示すように、フロントドアガラス15の車両前方側の端部よりもさらに車両前方側にあるサッシ13bの根本部分に被さるように車両11の側に伏せられることになる。つまり、倒伏位置にあるミラー本体23はフロントドアガラス15に被さることなく、フロントドアガラス15の車両前方側の端部よりもさらに車両前方側にずれた位置において車両11の側を向いて倒伏する。これにより、ミラー本体23を倒伏位置にまで倒しても、車室内からのフロントドアガラス15を介しての車両11の側方の視界がミラー本体23により遮られることがない。そして、これにより、ミラー本体23を倒伏させた状態で車両11から降車する場合であっても、フロントドアガラス15を介しての車両11の側方の視界を確保することができる。
【0034】
なお、倒伏位置にあるミラー本体23を起立位置にまで移動させるには、図示しないミラー操作スイッチが起立側に操作させることで行われる。つまり、運転者等によりミラー操作スイッチが起立側に操作されると、電動モータ37が作動し、ギア部27に噛み合うピニオン31が電動モータ37により上記とは反対の方向に回転駆動され、スライダ26がガイドレール25の車両前方側の長手方向端部から車両後方側の長手方向端部(起立位置側のストローク端)に向けて移動する。なお、スライダ26がガイドレール25の長手方向各ストローク端に達したか否かはモータのロック電流監視、モータの回転検出、リミットスイッチ等で検出することができる。
【0035】
このように、このドアミラー21では、ガイドレール25に対するスライダ26の相対移動によりミラー本体23を案内し、当該ミラー本体23をフロントドアガラス15よりも車両前方側において倒伏させるようにしたので、ミラー本体23を倒伏させたときのフロントドアガラス15を介しての車両11の側方の視界を確保することができる。
【0036】
また、このドアミラー21では、ミラー本体23を案内するガイドレール25に一定の間隔を空けて対向する一対のガイド壁25a,25bを設け、スライダ26に回転自在に支持される一対のピニオン31,32を一対のガイド壁25a,25bの間に配置して当該ガイド壁25a,25bに案内させるようにしたので、ミラー本体23を起立位置と倒伏位置とに案内するための倒伏機構24の構造を簡素化することができる。
【0037】
さらに、このドアミラー21では、ガイド壁25a,25bの内面にギア部27を設け、このギア部27にピニオン31,32を噛み合わせるとともに、一方のピニオン31を電動モータ37により回転駆動してミラー本体23を起立位置と倒伏位置との間で自動的に作動させるようにしたので、ミラー本体23を起立位置から倒伏させる操作や倒伏位置にあるミラー本体23を起立位置に復帰させる操作を容易にすることができる。また、ミラー本体23を電動モータ37により自動的に作動させるための構造を簡素化することができる。
【0038】
図6は本発明の他の実施の形態である車両用ミラー装置を備えた車両の一部を示す斜視図である。
【0039】
図1に示す場合では、本発明の車両用ミラー装置はフロントドア13に装着されるドアミラー21とされているが、これに限らず、図6に示すように、起立位置にあるミラー本体23がフロントドアガラス15の車両前方側に隣接するように車両11のフロントピラー12bの根本部分にベース22を固定するようにした車両用ミラー装置51としてもよい。この場合、ミラー本体23は倒伏機構24により案内されて全閉位置にあるフロントドア13つまり開口部12aよりも車両前方側において車両11の側に倒伏し、フロントドア13を開閉させる際にフロントドア13がミラー本体23と干渉することが防止される。
【0040】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態においては、ベース22をフロントドア13やフロントピラー12bに固定するようにしているが、これに限らず、起立位置にあるミラー本体23がフロントドアガラス15の車両前方側に隣接する部位であれば他の部位に装着するようにしてもよい。
【0041】
また、前記実施の形態においては、ガイドレール25をベース22に設け、スライダ26をミラー本体23に設けるようにしているが、これに限らず、ガイドレール25をミラー本体23に設け、スライダ26をベース22に設けるようにしてもよい。
【0042】
さらに、前記実施の形態においては、ガイドレール25は車両後方側の長手方向端部が車幅方向の外側を向き、車両前方側の長手方向端部が車両11の前方を向くとともに、中間部分が長手方向の両端部を結ぶ直線Lよりも車両11の側に凸となるように湾曲して形成されるが、これに限らず、中間部分が直線Lよりも車両11の側に凸となるように湾曲していればその長手方向両端部が向く方向は任意に設定することができる。
【0043】
さらに、前記実施の形態においては、ガイド壁25a,25bに設けたギア部27に噛み合うピニオン31を電動モータ37により回転駆動してミラー本体23を自動的に作動させるようにしているが、これに限らず、例えばスライダ26にケーブルを連結し、このケーブルを電動モータ37によってガイドレール25に沿って駆動するケーブル式など、電動モータ37を用いた他の構造によりミラー本体23を自動的に作動させるようにしてもよい。
【0044】
さらに、前記実施の形態においては、ミラー本体23を起立位置と倒伏位置との間で電動モータ37により自動的に作動させるようにしているが、これに限らず、電動モータ37を設けることなく、ミラー本体23を手動により起立位置と倒伏位置との間で作動させる構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態であるドアミラーを備えた車両の一部を示す斜視図である。
【図2】図1に示すドアミラーの構造を示す斜視図である。
【図3】図1に示すドアミラーの構造を示す平面図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれミラー本体が起立位置から倒伏位置にまで移動する様子を示す平面図である。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれミラー本体が起立位置から倒伏位置にまで移動する様子を示す側面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である車両用ミラー装置を備えた車両の一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
11 車両
12 車体
12a 開口部
12b フロントピラー
13 フロントドア
13a ドア本体
13b サッシ
14 スライドレール
15 フロントドアガラス
21 ドアミラー(車両用ミラー装置)
22 ベース
23 ミラー本体
23a カバー
23b ミラー
24 倒伏機構
25 ガイドレール
25a,25b ガイド壁
26 スライダ
27 ギア部
28 スリット
31,32 ピニオン(回転体)
33 駆動軸
34 支軸
35 ブラケット
36 従動ギア
37 電動モータ
37a 出力軸
37b 給電線
38 駆動ギア
41 制御装置
51 車両用ミラー装置
L 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントドアガラスに隣接して設けられるベースと該ベースに支持されるミラー本体とを備えた車両用ミラー装置であって、
前記ベースまたは前記ミラー本体のいずれか一方に設けられ、前記車両側を凸として湾曲するガイドレールと、
前記ベースまたは前記ミラー本体のいずれか他方に設けられ、前記ガイドレールに相対移動自在に装着されるスライダとを有し、
前記ガイドレールに対する前記スライダの相対移動により、前記ミラー本体が、前記フロントドアガラスの車両前方側の端部に隣接し且つ車両後方側を向く起立位置から前記フロントドアガラスよりも車両前方側において前記車両の側を向く倒伏位置にまで移動することを特徴とする車両用ミラー装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用ミラー装置において、前記ガイドレールは一定の間隔を空けて対向する一対のガイド壁を備え、前記スライダは一対の前記ガイド壁の間に長手方向に並べて配置され該ガイド壁に案内される一対の回転体を備えることを特徴とする車両用ミラー装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用ミラー装置において、前記ミラー本体を前記起立位置と前記倒伏位置との間で自動的に作動させる電動モータを備えることを特徴とする車両用ミラー装置。
【請求項4】
請求項2記載の車両用ミラー装置において、一方の前記ガイド壁の内面に全長に亘ってギア部を設けるとともに前記回転体を前記ギア部に噛み合うピニオンとし、少なくともいずれか一方の前記ピニオンを電動モータにより回転駆動して前記ミラー本体を前記起立位置と前記倒伏位置との間で自動的に作動させることを特徴とする車両用ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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