説明

車両用ミラー装置

【課題】ミラーの裏面側を有効に活用してミラーの透過部を照明する。
【解決手段】車両用ドアミラー装置10では、ミラー本体22の反射部26Aの表面及び裏面が光を反射すると共に、ミラー本体22の透過部26Bが光を透過する。ミラー本体22の裏面側には発光装置40が配置されており、発光装置40は光を発光可能にされている。ここで、ミラー本体22の裏面側には、リフレクタ30が配置されており、発光装置40が発光した光をリフレクタ30が反射すると共に反射部26Aの裏面が反射することで、この光が透過部26Bに導光されて、透過部26Bが照明される。このため、発光装置40が発光した光を、ミラー本体22の反射部26Aの裏面を利用して透過部26Bに導光できる。これにより、ミラー本体22の裏面側を有効に活用してミラー本体22の透過部26Bを照明できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置を備えた車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1の車両用ミラー装置では、ミラーが反射膜を備えている。ミラーには透過部が設けられており、透過部には反射膜が設けられていない。ミラーの裏面側には基板が配置されており、基板の裏面側には発光素子が設けられている。また、基板には、透過部に対向する位置において、孔が設けられている。さらに、基板の裏面側にはリフレクタが設けられており、リフレクタは基板とは反対側へ突出されて発光素子、孔、及び透過部を覆っている。
【0003】
発光素子が発光した光が、リフレクタによって反射されて、基板の孔を通過することで、ミラーの透過部が照明される。
【0004】
しかしながら、この車両用ミラー装置では、発光素子が発光して基板に到達した光が透過部へ導光されない。このため、透過部は基板に到達した光によっては照明されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,076,948号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、ミラーの裏面側を有効に活用してミラーの透過部を照明できる車両用ミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車両用ミラー装置は、車両に設けられ、表面及び裏面が光を反射する反射部と光を透過する透過部とを有するミラーと、光を発光可能にされた発光装置と、前記ミラーの裏面側に配置され、前記発光装置が発光した光を反射すると共に前記反射部の裏面が反射することで該光が前記透過部に導光されて前記透過部が照明される反射体と、を備えている。
【0008】
請求項2に記載の車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記反射体に断面楕円曲線状の楕円反射面が設けられ、前記発光装置が発光した光が前記楕円反射面によって前記透過部に集光される状態に反射される。
【0009】
請求項3に記載の車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記反射体に断面楕円曲線状の楕円反射面及び焦点位置が前記楕円反射面の一方の焦点位置と一致される断面放物曲線状の放物反射面が設けられ、前記発光装置が発光した光が前記楕円反射面によって前記楕円反射面の一方の焦点位置に集光される状態に反射されると共に、前記楕円反射面によって反射された光が前記放物反射面によって前記透過部に向けて反射される。
【0010】
請求項4に記載の車両用ミラー装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用ミラー装置において、前記ミラーの裏面側に設けられ、前記反射部及び前記反射体の少なくとも一方を保持すると共に、前記発光装置が発光した光を導光する導光体を備えている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、ミラーの反射部の表面及び裏面が光を反射すると共に、ミラーの透過部が光を透過する。ミラーの裏面側には、発光装置が配置されており、発光装置は光を発光可能にされている。
【0012】
ここで、ミラーの裏面側には、反射体が配置されており、発光装置が発光した光を反射体が反射すると共にミラーの反射部の裏面が反射することで、この光が透過部に導光されて、透過部が照明される。
【0013】
このため、発光装置が発光した光を、ミラーの反射部の裏面を利用して透過部に導光できる。これにより、ミラーの裏面側を有効に活用してミラーの透過部を照明できる。
【0014】
請求項2に記載の車両用ミラー装置では、反射体に断面楕円曲線状の楕円反射面が設けられており、発光装置が発光した光が楕円反射面によって透過部に集光される状態に反射される。
【0015】
このため、発光装置が発光した光が、直接ミラーの透過部に到達せずにミラーの反射部の裏面に到達した際でも、この光は、ミラーの反射部の裏面によって楕円反射面に向けて反射されて、楕円反射面によって透過部に集光される状態に反射される。これにより、発光装置が発光した光の損失を抑制して、該光を効率的に透過部へ導光できる。
【0016】
請求項3に記載の車両用ミラー装置では、反射体に断面楕円曲線状の楕円反射面及び焦点位置が楕円反射面の一方の焦点位置と一致される断面放物曲線状の放物反射面が設けられている。発光装置が発光した光は、楕円反射面によって楕円反射面の一方の焦点位置に集光される状態に反射される。また、楕円反射面によって反射された光は、放物反射面によって透過部に向けて反射される。
【0017】
このため、発光装置が発光した光が、直接ミラーの透過部に到達せずにミラーの反射部の裏面に到達した際でも、この光は、ミラーの反射部の裏面によって楕円反射面に向けて反射されて、楕円反射面によって楕円反射面の一方の焦点位置に集光される状態に反射される。また、楕円反射面によって反射された光は、放物反射面によって透過部に向けて反射される。これにより、発光装置が発光した光の損失を抑制して、該光を効率的に透過部へ導光できる。
【0018】
請求項4に記載の車両用ミラー装置では、ミラーに導光体が設けられている。導光体は、ミラーの反射部及び反射体の少なくとも一方を保持して、発光装置が発光した光を導光する。
【0019】
このため、ミラーの反射部及び反射体の少なくとも一方を保持する部材を導光体として利用できる。これにより、ミラーの裏面側を有効に活用して、透過部を照明できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の主要部を示す上方から見た断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す上方から見た断面図(図2の3−3線断面図)である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の主要部を示す上方から見た断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の主要部を示す上方から見た断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の主要部を示す上方から見た断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す上方から見た断面図である。
【図8】(A)、(B)、及び(C)は、本発明の第4の実施の形態に係るリフレクタの概念図であり、(A)は楕円曲面と反射膜との位置を示す概念図である。(B)はリフレクタの楕円曲面を示す概念図であり、(C)は楕円曲面により形成されたリフレクタを示す断面図である。
【図9】(A)及び(B)は、本発明の第5の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置の主要部を示す図であり、(A)は車両前斜め上方から見た斜視図であり、(B)は上方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
【0022】
図1には、本発明の車両用ミラー装置が適用された第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10の主要部が上方から見た断面図にて示されており、図2には、車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た正面図にて示されている。また、図3には、車両用ドアミラー装置10が上方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0023】
第1の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両のドア(図示省略)に設置されている。
【0024】
図2及び図3に示す如く、車両用ドアミラー装置10の車幅方向内側端部には、下端部において、支持部材としてのステー12が設けられており、ステー12は、車両のドアに取付けられている。ステー12の上側には、収容部材としての略直方体形容器状のバイザ14が支持されており、バイザ14は、ステー12から車幅方向外側へ突出されると共に、車両後側に開口されている。バイザ14の車両前側壁は車幅方向外側へ向かうに従い車両後側に向かう方向に傾斜されており、バイザ14内のスペースは、車幅方向内側部が車幅方向外側部に比して広くされている。
【0025】
バイザ14内には、角度調整装置16が設けられており、角度調整装置16はバイザ14に固定されている。
【0026】
角度調整装置16の車両後側には、ミラーユニット20が設けられており、ミラーユニット20は、角度調整装置16に回動可能に支持されている。これにより、ミラーユニット20は、角度調整装置16によって、鏡面角度を調整可能にされている。
【0027】
図1にも示す如く、ミラーユニット20は板状のミラーとしてのミラー本体22を備えている。ミラー本体22は透明なガラス等により製作された平板状の透明材24を備えており、透明材24はミラー本体22の車両後側部に配置されている。ミラー本体22には、表示部22Aが設けられており、表示部22Aは透明材24の車幅方向外側部に配置されている。ミラー本体22には、表示部22A以外の位置において、反射部26Aが設けられており、反射部26Aでは、反射膜26が透明材24の車両前側に配置されて、反射部26A(反射膜26)の表面(車両後側の面)及び裏面(車両前側の面)が光を反射する。また、ミラー本体22には、表示部22Aの位置において、透過部26Bが設けられており、透過部26Bは、反射膜26が設けられずに、光が透過する。
【0028】
ミラー本体22の車両前側には、ミラー本体22の車幅方向内側において、発光装置40(光源)が設けられており、発光装置40はミラー本体22に固定されている。発光装置40からは、コード(図示省略)が延出されており、コードは、ステー12を介して車体側に配線されて、車体側の制御装置(図示省略)に電気的に接続されている。また、発光装置40には、ランプ42が設けられており、制御装置の制御によって、ランプ42が発光する。
【0029】
ミラー本体22の車両前側には、ミラーユニット20を構成する金属により製作された断面略U字形板状の反射体としてのリフレクタ30が設けられている。リフレクタ30の車幅方向内側端には、開口31が形成されており、リフレクタ30は、開口31以外において、ミラー本体22の裏面側を閉鎖している。リフレクタ30の開口31位置には、発光装置40のランプ42が配置されており、ランプ42は開口31を介してリフレクタ30内に光を入射可能にされている。
【0030】
リフレクタ30には、反射部26Aに対向する位置において、第1反射部32が設けられており、第1反射部32は反射部26Aに対して車両前側に離間されると共に、反射部26Aに沿って配置されている。また、第1反射部32の車両後側面は第1反射面32Aとされており、第1反射面32Aは光を反射する。さらに、リフレクタ30には、透過部26Bに対向する位置において、第2反射部34が設けられており、第2反射部34は、第1反射部32に連続すると共に、車幅方向外側へ向かうに従い透過部26Bに接近する方向に傾斜されている。第2反射部34の車両後側の面は第2反射面34Aにされており、第2反射面34Aは光を反射する。
【0031】
次に、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0032】
車両用ドアミラー装置10では、ミラー本体22の反射部26Aに反射膜26が設けられており、反射部26Aの表面及び裏面は光を反射する。さらに、ミラー本体22の透過部26Bは、光を透過する。また、ミラー本体22の裏面側には、リフレクタ30が配置されており、リフレクタ30には、第1反射面32Aと第2反射面34Aとが設けられている。
【0033】
ミラー本体22の表面側(車両後側)からミラー本体22に光が入射されると、光は、反射膜26の反射部26Aの表面によって反射される。このため、車両の後方を視認することができる。
【0034】
また、車体側の制御装置の制御により発光装置40のランプ42が発光して、ランプ42が発光した光が反射膜26とリフレクタ30との間に入射される。
【0035】
ランプ42が発光した光は、ミラー本体22の反射部26Aの裏面、透過部26B、リフレクタ30の第1反射面32A又は第2反射面34Aに到達する。
【0036】
反射部26Aの裏面に到達した光は、反射部26Aの裏面によって反射されて、第1反射面32A又は第2反射面34Aに到達する(図1に示される1点鎖線50Cを参照)。
【0037】
第1反射面32Aに到達した光は、第1反射面32Aによって反射されて、反射部26Aの裏面、第2反射面34A又は透過部26Bに到達する(図1に示される1点鎖線50Bを参照)。
【0038】
第2反射面34Aに到達した光は、第2反射面34Aによって反射されて、透過部26Bに到達する(図1に示される1点鎖線50Aを参照)。
【0039】
以上により、ランプ42が発光した光が、透過部26Bに到達して、透過部26Bを通過することで、表示部22Aが照明される。このため、例えば、乗員が車両の方向指示器を操作する際には、制御装置の制御により、ランプ42が点滅発光することで、表示部22Aが点滅照明されて点滅表示される。
【0040】
これにより、発光装置40が発光した光を、ミラー本体22の反射部26Aの裏面を利用して透過部26Bに導光できる。したがって、ミラー本体22の裏面側を有効に活用してミラー本体22の表示部22A(透過部26B)を照明できる。
【0041】
さらに、発光装置40が透過部26Bに対して対向する位置に配置されなくても、発光装置40が発光した光は反射部26Aの裏面とリフレクタ30とによって透過部26Bに導光される。このため、バイザ14内の車幅方向外側部のスペースより広いバイザ14内の車幅方向内側部のスペースに発光装置40を配置できるため、バイザ14内に発光装置40を容易に搭載できる。
【0042】
また、特に、発光装置40はバイザ14内の車幅方向内側部に配置されているため、発光装置40から延出されるコードをバイザ14内の車幅方向外側部から車幅方向内側部及びステー12を介して車体側に配線する必要がない。これにより、発光装置40から延出されるコードの長さを短くできると共に、当該コードの配線作業を容易にでき、車両用ドアミラー装置10のコストアップを抑制できる。
【0043】
[第2の実施の形態]
【0044】
図4には、本発明の車両用ミラー装置が適用された第2の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置100の要部が上方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0045】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と略同様の構成であるが以下の点で異なる。
【0046】
図4に示す如く、第2の実施の形態のミラー本体22では、反射膜26とリフレクタ30との間に、導光体としての透明材24が配置されており、反射膜26がミラー本体22の車両後側面に形成されると共に、リフレクタ30が透明材24の車両前側面に形成されている。このため、透明材24は、反射膜26及びリフレクタ30を保持している。透明材24には、リフレクタ30の第2反射面34Aと対向する位置において、凹部130が設けられており、凹部130の車両後側面は車幅方向外側へ向かうに従い透過部26Bに接近する方向へ傾斜されている。これにより、凹部130内にリフレクタ30の第2反射面34Aが配置されている。さらに、表示部22Aは透過部26Bに一致している。
【0047】
ここで、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0048】
また、第2の実施の形態では、ランプ42が発光した光を透明材24が透過部26Bへ導光する。このため、反射膜26及びリフレクタ30を保持する透明材24を導光体として利用できる。これにより、ミラー本体22の反射膜26の裏面側を有効に活用して、透過部26Bを照明できる。
【0049】
なお、第2の実施の形態では、反射膜26の車両前側に透明材24が配置されている。これに替えて、反射膜26の車両後側にさらに透明材24を配置してもよい。これにより、反射膜26を保護できる。
【0050】
[第3の実施の形態]
【0051】
図5には、本発明の車両用ミラー装置が適用された第3の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置200の要部が上方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0052】
第3の実施の形態では、第1の実施の形態と略同様の構成であるが以下の点で異なる。
【0053】
図5に示す如く、リフレクタ30には、車幅方向内側部において、第3反射部230が設けられており、第3反射部230は、車両外側へ向かうに従い反射部26Aに接近する方向へ向けて傾斜されて、第1反射部32に対して車両後側へ突出されている。第3反射部230の車幅方向外側端は第1反射部32から車両後側に離間されて第1反射部32との間に開口31が設けられており、第3反射部230の車両前側の面が第3反射面232にされている。
【0054】
発光装置40のランプ42は、リフレクタ30の第3反射面232の車両前側に設けられている。ランプ42の光照射中心軸は、車幅方向外側へ向かうに従い第3反射面232に接近する方向へ向けて傾斜されており、当該光照射中心軸が第3反射面232に対して垂直に配置されていなければよい。
【0055】
ここで、ランプ42が発光した光は、第3反射面232又はミラー本体22の反射部26Aの裏面(透過部26Bやリフレクタ30の第2反射面34Aを含んでもよい)に到達する。
【0056】
第3反射面232に到達した光は、第3反射面232によって反射されて、リフレクタ30の第1反射面32A、反射部26Aの裏面、第2反射面34A、又は透過部26Bに到達する(図5には、第3反射面232によって反射されて第2反射面34Aに到達した光が1点鎖線50Aにて示されている)。
【0057】
反射部26Aの裏面に到達した光は、反射部26Aの裏面によって反射されて、第1反射面32A又は第2反射面34Aに到達する(図5に示される1点鎖線50Bを参照)。
【0058】
第1反射面32Aに到達した光は、第1反射面32Aによって反射されて、第2反射面34A又は透過部26Bに到達する。
【0059】
第2反射面34Aに到達した光は、第2反射面34Aによって反射されて、透過部26Bに到達する。
【0060】
以上により、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0061】
[第4の実施の形態]
【0062】
図6には、本発明の車両用ミラー装置が適用された第4の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置300の要部が上方から見た断面図にて示されており、図7には、車両用ドアミラー装置300が上方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0063】
第4の実施の形態では、第1の実施の形態と略同様の構成であるが以下の点で異なる。
【0064】
図6及び図7に示す如く、リフレクタ30は、ミラー本体22の透過部26Bに対して対向する位置の周囲のみに設けられている。リフレクタ30のミラー本体22側の面が、断面楕円曲線状の第1反射面32A(楕円反射面)とされて、ミラー本体22側に開口されている。また、リフレクタ30には、第1の実施の形態の第2反射面34Aが設けられていない。
【0065】
ここで、第1反射面32A(楕円反射面)の形状について説明する。
【0066】
図8の(A)に示す如く、楕円曲線の焦点位置330Aと焦点位置330Bとを結ぶ軸線回りに楕円曲線を回転させた軌跡によって楕円曲面330が形成される。楕円曲面330は、軸線をミラー本体22の反射膜26(図8の(A)に点線で示す線)に対して垂直に配置されると共に、透過部26Bが焦点位置330A(一方の焦点位置)に配置される。このため、楕円曲面330が反射膜26に対して車両後側の楕円曲面332と反射膜26に対して車両前側の楕円曲面334とに分割される。楕円曲面332を反射膜26に対して面対称に車両前側に配置した楕円曲面332A(図8の(B)参照)が第1反射面32A(楕円反射面)にされている(図8の(C)参照)。また、リフレクタ30には、第1反射面32Aの中央部において、断面円状の開口31が貫通形成されており、開口31には、発光装置40のランプ42が挿入されている。
【0067】
発光装置40のランプ42は図8(B)に示す楕円曲面330の焦点位置330B(他方の焦点位置)に配置されている。ランプ42の光照射中心軸はミラー本体22に対して垂直方向にされており、ランプ42は第1反射面32Aに対してミラー本体22側へ突出されている。
【0068】
ランプ42が発光した光は、反射部26Aの裏面又は透過部26Bに到達する(図6に示される1点鎖線50Aを参照)。
【0069】
反射部26Aの裏面に到達した光は、反射部26Aの裏面によって反射されて第1反射面32Aに到達する(図6に示される1点鎖線50Bを参照)。
【0070】
ところで、図8の(A)に示す如く、楕円曲面332では、一方の焦点位置330Bにおいて発光された光は、楕円曲面332によって反射されて他方の焦点位置330Aに集光する(図8の(A)に示される1点鎖線を参照)。
【0071】
ここで、図8(B)においてランプ42が発光した光が反射膜26位置において反射されて楕円曲面332によって反射される経路は、図8(A)においてランプ42が発光した光が反射膜26位置を通過して楕円曲面332によって反射される経路と、反射膜26に対して面対称になる(図8の(A)及び(B)に示される1点鎖線を参照)。
【0072】
したがって、第1反射面32Aに到達した光は、第1反射面32Aによって反射されて楕円曲面330の焦点位置330Aにある透過部26Bに集光する(図6及び図8の(C)に示される1点鎖線50Bを参照)。
【0073】
これにより、第4の実施の形態では、発光装置40が発光した光を、ミラー本体22の反射部26Aの裏面を利用して透過部26Bに導光できる。したがって、ミラー本体22の裏面側を有効に活用してミラー本体22の表示部22A(透過部26B)を照明できる。
【0074】
また、ランプ42が発光した光が、透過部26Bに到達されずに反射部26Aの裏面に到達されても、この光は、反射部26Aの裏面によって反射されると共に、第1反射面32A(楕円曲面332A)によって透過部26Bに集光される状態に反射される。これにより、ランプ42が発光した光の損失を抑制して、ランプ42が発光した光を効率的に透過部26Bへ導光できる。
【0075】
さらに、ランプ42が発光した光の損失を抑制できることで、ランプ42に高輝度の発光素子を用いる必要がなくなり、車両用ドアミラー装置300のコストアップを抑制できる。
【0076】
[第5の実施の形態]
【0077】
図9の(A)には、本発明の車両用ミラー装置が適用された第5の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置400の要部が車両前斜め上方から見た斜視図にて示されており、図9の(B)には、車両用ドアミラー装置400の要部が上方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0078】
第5の実施の形態では、第1の実施の形態と略同様の構成であるが以下の点で異なる。
【0079】
図9の(A)と(B)とに示す如く、リフレクタ30の第1反射面32Aの断面は楕円曲線状に形成されており、第1反射面32Aが楕円反射面とされている。また、リフレクタ30の第2反射面34Aの断面は放物曲線状に形成されており、第2反射面34Aが放物反射面とされている。
【0080】
ここで、第1反射面32A(楕円反射面)及び第2反射面34A(放物反射面)の形状について説明する。
【0081】
楕円曲線の焦点位置430Aと焦点位置430Bとを結ぶ軸線回りに楕円曲線を回転させた軌跡によって楕円曲面430が形成されて、楕円曲面430が第1反射面32Aにされている。楕円曲面430は、軸線を車幅方向外側へ向かうに従い車両前側へ向かう方向に傾斜して配置されており、軸線がミラー本体22の反射膜26に交差されている。つまり、楕円曲面430の焦点位置430A(一方の焦点位置)は反射膜26に対して車両前側に配置されており、楕円曲面430の焦点位置430B(他方の焦点位置)は反射膜26に対して車両後側に配置されている。
【0082】
また、放物曲線の焦点位置は楕円曲面430の焦点位置430Aに一致されており、放物曲線の頂点432Aと焦点位置430Aとを結ぶ軸線回りに放物曲線を回転させた軌跡によって放物曲面432が形成されて、放物曲面432が第2反射面34Aにされている。さらに、放物曲面432の軸線は、車両後側へ向かうに従い車幅方向外側へ向かう方向に傾斜されて、透過部26Bを通過している。
【0083】
発光装置40のランプ42は、楕円曲面430の他方の焦点位置430Bと反射膜26に対して面対称の位置に配置されている。また、ランプ42の光照射中心軸は、車幅方向外側へ向かうに従い反射膜26に接近する方向に傾斜されている。
【0084】
ランプ42が発光した光は、ミラー本体22の反射部26Aの裏面、透過部26B、又はリフレクタ30の第2反射面34Aに到達する。
【0085】
第2反射面34Aに到達した光は、第2反射面34Aによって反射されて、透過部26Bに到達する。
【0086】
ここで、ランプ42が発光した光が反射膜26に到達する経路は、楕円曲面430の焦点位置430Bで発光した光が反射膜26に到達する経路と、反射膜26に対して面対称となる。したがって、反射部26Aの裏面に到達した光は、反射部26Aの裏面によって反射されて、第1反射面32Aに到達し、第1反射面32Aによって反射されて楕円曲面430の焦点位置430Aに集光される。
【0087】
また、放物曲面432の焦点位置430Aを通過した光は、放物曲面432によって放物曲面432の軸線に平行方向に反射される。したがって、楕円曲面430の焦点位置430Aに集光された光は、第2反射面34Aに到達し、第2反射面34Aにより放物曲面432の軸線と平行方向に反射されて透過部26Bに到達する(図9の(B)に示される1点鎖線50Aを参照)。
【0088】
以上により、第5の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0089】
また、リフレクタ30の第1反射面32A(楕円反射面)が楕円曲面430にされており、第2反射面34A(放物反射面)が放物曲面432にされている。このため、反射部26Aの裏面に到達した光は、反射部26Aの裏面及び第1反射面32Aによって反射されて楕円曲面430の焦点位置430Aに集光され、第2反射面34Aにより放物曲面432の軸線と平行方向に反射されて透過部26Bに到達する。これにより、ランプ42が発光した光の損失を抑制して、ランプ42が発光した光を透過部26Bへ導光できる。
【0090】
さらに、ランプ42が発光した光の損失を抑制できることで、ランプ42に高輝度の発光素子を用いる必要がなくなり、車両用ドアミラー装置400のコストアップを抑制できる。
【0091】
なお、第3の実施の形態〜第5の実施の形態では、ミラー本体22において、反射膜26が透明材24の車両前側に配置されている。これに替えて、第2の実施の形態と同様に、ミラー本体22において、透明材24が反射膜26の車両前側に配置されてもよい。
【0092】
また、第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、リフレクタ30は、金属により製作されているが、リフレクタ30は光を反射する性質を備えていればよい。例えば、リフレクタ30が樹脂により製作されてもよい。また、例えば、リフレクタ30の第1反射面32A及び第2反射面34Aが、メッキ処理による金属膜や樹脂による白色や金属調の塗装膜にされてもよい。
【0093】
さらに、第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、発光装置40にランプ42が設けられている。これに替えて、発光装置40に発光ダイオード(LED)が設けられてもよい。
【0094】
また、第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、透明材24は透明なガラスにより製作されている。これに替えて、透明材24が透明な樹脂により製作されてもよい。
【0095】
さらに、第5の実施の形態では、楕円曲面430の軸線が車幅方向外側へ向かうに従い車両前側へ向かう方向に傾斜して配置されると共に、放物曲面432の軸線が、車両後側へ向かうに従い車幅方向外側へ向かう方向に傾斜されて、透過部26Bを通過している。これに替えて、楕円曲面430の軸線が車幅方向外側へ向かうに従い車両後側へ向かう方向に傾斜して配置されてもよい。この場合には、発光装置40のランプ42が、楕円曲面430の他方の焦点位置430Bに配置される。また、放物曲面432の軸線が、車両後側へ向かうに従い車幅方向内側へ向かう方向に傾斜されて、透過部26Bを通過してもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
22 ミラー本体(ミラー)
24 基板ガラス(導光体)
26A 反射部
26B 透過部
30 リフレクタ(反射体)
40 発光装置
100 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
200 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
300 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
332A 楕円曲面(楕円反射面)
400 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
430 楕円曲面(楕円反射面)
430A 焦点位置
432 放物曲面(放物反射面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、表面及び裏面が光を反射する反射部と光を透過する透過部とを有するミラーと、
光を発光可能にされた発光装置と、
前記ミラーの裏面側に配置され、前記発光装置が発光した光を反射すると共に前記反射部の裏面が反射することで該光が前記透過部に導光されて前記透過部が照明される反射体と、
を備えた車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記反射体に断面楕円曲線状の楕円反射面が設けられ、前記発光装置が発光した光が前記楕円反射面によって前記透過部に集光される状態に反射される請求項1に記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記反射体に断面楕円曲線状の楕円反射面及び焦点位置が前記楕円反射面の一方の焦点位置と一致される断面放物曲線状の放物反射面が設けられ、前記発光装置が発光した光が前記楕円反射面によって前記楕円反射面の一方の焦点位置に集光される状態に反射されると共に、前記楕円反射面によって反射された光が前記放物反射面によって前記透過部に向けて反射される請求項1に記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記ミラーの裏面側に設けられ、前記反射部及び前記反射体の少なくとも一方を保持すると共に、前記発光装置が発光した光を導光する導光体を備えた請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−131277(P2012−131277A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283429(P2010−283429)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】