説明

車両用リヤブレーキホースのレイアウト

【課題】ブレーキホースとサスペンション部品との干渉を防ぎつつブレーキホースのレイアウトの自由度を高めることができる車両用リヤブレーキホースのレイアウトを提供すること。
【解決手段】左右の後輪4L,4Rをショックアブソーバ11によって車体に懸架し、後輪4L,4Rのリヤアクスル7と車体とを車幅方向に配されたラテラルロッド9によって連結した車両において、車体に固定された固定側ブレーキ配管57と前記リヤアクスル7に固定された可動側ブレーキ配管58とを接続するリヤブレーキホース3のレイアウトとして、車体の前記ラテラルロッド9の上方に固定された車体側ブラケット2と前記リヤアクスル7に固定されたアクスル側ブラケット23に前記リヤブレーキホース3の両端をそれぞれ固定し、該リヤブレーキホース3を前記車体側ブラケット2から前記ラテラルロッド9の後方を通過して前記アクスル側ブラケット23へと配索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に固定された固定側ブレーキ配管とリヤアクスルに固定された可動側ブレーキ配管とを接続する車両用リヤブレーキホースのレイアウトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者がブレーキペダルを踏み込むブレーキ操作を行うと、マスタシリンダにブレーキ液圧が発生し、このブレーキ液圧は、ブレーキ配管を経て左右の前輪及び後輪にそれぞれ設けられたブレーキ装置のホイールシリンダに供給され、これによって各ブレーキ装置が作動して前輪と後輪の回転に制動が加えられる。
【0003】
ところで、左右の後輪をショックアブソーバによって車体に懸架する車両にあっては、後輪に設けられたブレーキ装置は後輪と共に上下動するため、マスタシリンダから延びる金属製のブレーキ配管(ブレーキパイプ)をそのまま後輪のブレーキ装置にそのまま接続することができない。このため、車体に固定された固定側ブレーキ配管と後輪と共に上下動するリヤアクスルに固定された可動側ブレーキ配管とを可撓性のリヤブレーキホースによって接続し、後輪の上下動をリヤブレーキホースの撓み変形によって許容するとともに、後輪のブレーキ装置へのブレーキ液圧の供給を可能としている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−180296号公報
【特許文献2】特開平9−263236号公報
【特許文献3】特公昭64−002542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、リヤブレーキホースはリヤアクスルの前方側に配置されていたため、後輪の動きに追従して撓み変形するリヤブレーキホースがラテラルロッド等のサスペンション部品と干渉する可能性があり、この干渉を防ぐ必要から配索用の空間を大きく確保してサスペンション部品との距離を確保する等、リヤブレーキホースのレイアウトが制限を受けるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ブレーキホースとサスペンション部品との干渉を防ぎつつブレーキホースのレイアウトの自由度を高めるとともに、ブレーキホースを前方からの飛来物等から保護することができる車両用リヤブレーキホースのレイアウトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、左右の後輪をショックアブソーバによって車体に懸架し、後輪のリヤアクスルと車体とを車幅方向に配されたラテラルロッドによって連結した車両において、車体に固定された固定側ブレーキ配管と前記リヤアクスルに固定された可動側ブレーキ配管とを接続するリヤブレーキホースのレイアウトとして、車体の前記ラテラルロッドの上方に固定された車体側ブラケットと前記リヤアクスルに固定されたアクスル側ブラケットに前記リヤブレーキホースの両端をそれぞれ固定し、該リヤブレーキホースを前記車体側ブラケットから前記ラテラルロッドの後方を通過して前記アクスル側ブラケットへと配索したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ラテラルロッドの一端を車体に揺動可能に支持するラテラルロッドブラケットの下面に前記車体側ブラケットを固定したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記ブレーキホースを前記車体側ブラケットによって車両後方に向かって斜め下方且つ車幅方向において前記アクスル側ブラケットよりも外側方に指向させることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記ショックアブソーバの一端を前記リヤアクスルに取り付けるショックアブソーバブラケットに前記アクスル側ブラケットを取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、リヤブレーキホースをサスペンションの最も車両後方に配される部品であるラテラルロッドの後方を通過させるため、該リヤブレーキホースとサスペンション部品との干渉が確実に防がれる。又、配置部品が少なくて比較的広いスペースが確保される箇所にリヤブレーキホースを配置したため、該リヤブレーキホースのレイアウトの自由度が高められる。更に、リヤブレーキホースの前方にラテラルロッド等のサスペンション部品が配置されるため、車両の走行に伴う前方からの小石等の飛来物からリヤブレーキホースを保護することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、リヤブレーキホースの一端(車体側端部)を固定する車体側ブラケットがラテラルロッドの動きが少ない箇所(ラテラルロッドの揺動中心に近い箇所)に取り付けられるため、リヤブレーキホースとラテラルロッドとの干渉が一層確実に防がれる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、ブレーキホースを車体側ブラケットによって車両後方に向かって斜め下方且つ車幅方向においてアクスル側ブラケットよりも外側方に指向させるようにしたため、リヤブレーキホースをラテラルロッドの動きが少ない箇所(ラテラルロッドの揺動中心に近い箇所)に近づくようにレイアウトすることができ、リヤブレーキホースとラテラルロッドとの干渉を確実に防ぐことができる。又、後輪が上動(リヤサスペンションが圧縮)したときのリヤブレーキホースの撓み変形が容易となり、該リヤブレーキホースの姿勢が安定化する。更に、車体側ブラケットをラテラルロッドブラケットの下面に固定したため、リヤブレーキホースをラテラルロッドブラケットの下面に沿って前記のような方向に指向させることができ、車体側ブラケットの形状が単純化してその製作が容易となるとともに、リヤブレーキホースをラテラルロッドブラケットに近接配置して該リヤブレーキホースとラテラルロッドとの干渉を確実に防ぐことができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、アクスル側ブラケットをショックアブソーバブラケットに取り付けたため、該アクスル側ブラケットをより車両後方側に配置することができ、このアクスル側ブラケットに一端が固定されるリヤブレーキホースとサスペンション部品との干渉を確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車両のブレーキ配管系の構成を示す部分斜視図である。
【図2】車両のブレーキ配管系の構成を示す部分斜視図である。
【図3】本発明に係るリヤブレーキホースのレイアウトを示す車両のリヤサスペンション部分の平面図である。
【図4】本発明に係るリヤブレーキホースのレイアウトを示す車両のリヤサスペンション部分の後面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】車体側ブラケットの取付構造を示す部分斜視図である。
【図7】アクスル側ブラケットの取付構造を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2は車両のブレーキ配管系の構成を示す部分斜視図であり、図1において、50は不図示のブレーキペダルに加えられる運転者の踏力を負圧を利用して倍力するブレーキブースタであって、該ブレーキブースタ50の中央部に突出するロッド50aには不図示のブレーキ装置のブレーキアームが連結されている。そして、ブレーキアームの下端に設けられたブレーキペダルを運転者が踏み込むと、ロッド50aが押されてマスタシリンダ51にブレーキ液圧が発生するが、運転者の踏力は大気圧と負圧との差圧を利用して発生する力を駆動源として作動する前記ブレーキブースタ50によって倍力されるために運転者のブレーキ操作の肉体的負担が軽減される。
【0018】
ところで、本実施の形態に係る車両は、ABS(アンチロックブレーキシステム)とヒルホールド装置を備えており、ABSを構成するABSアクチュエータ30とヒルホールド装置を構成するヒルホールドバルブ31及びブレーキ液圧を検出する液圧センサ32は、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられている。
【0019】
而して、前記マスタシリンダ51から延びる2本のブレーキ配管52は、前記ヒルホールドバルブ31に接続されており、ヒルホールドバルブ31から延びる2本のブレーキ配管53,54のうちの一方のブレーキ配管53はABSアクチュエータ30に接続され、他方のブレーキ配管54は液圧センサ32を経由してABSアクチュエータ30に接続されている。又、ABSアクチュエータ30の上部から延びる2本のブレーキ配管55は左右の前輪(不図示)にそれぞれ設けられた不図示のブレーキ装置のホイールシリンダに接続され、ABSアクチュエータ30の上部から延びる1本のブレーキ配管56は、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられたジョイント60に接続されており、ジョイント60から延びるブレーキ配管57は車両後方に向かって延びている。
【0020】
上記ブレーキ配管(固定側ブレーキ配管)57は、図2に示すように、車両の右側部を車両後方に向かって延設されており、このブレーキ配管57は車両後部において左側方に向かって略直角に曲げられ、その端部は後述の車体側ブラケット2に固定されるリヤブレーキホース3の一端に連結されている。ここで、リヤブレーキホース3は、撓曲自在なホースであって、その他端は、アクスル側ブラケット23に固定され、左側の後輪4L(図3及び図4参照)に設けられたブレーキ装置のホイールシリンダ5Lに連なるブレーキ配管(可動側ブレーキ配管)58に接続されている。
【0021】
左側の後輪4Lに設けられたブレーキ装置の前記ホイールシリンダ5Lからはブレーキ配管(可動側ブレーキ配管)59が右側方に向かって車幅方向に延びており、その端部は右側の後輪4Rに設けられたブレーキ装置のホイールシリンダ5Rに接続されている。
【0022】
次に、本発明に係る前記リヤブレーキホース3のレイアウトを図3〜図7に基づいて以下に説明する。
【0023】
図3は本発明に係るリヤブレーキホースのレイアウトを示す車両のリヤサスペンション部分の平面図、図4は同車両のリヤサスペンション部分の後面図、図5は図4のA−A線断面図、図6は車体側ブラケットの取付構造を示す部分斜視図、図7はアクスル側ブラケットの取付構造を示す部分斜視図である。
【0024】
図3〜図5に示すように、左右の後輪4L,4Rはリヤサスペンション6によって車体後部に上下動可能に懸架されている。ここで、リヤサスペンション6は、トレーリングアーム式のものであって、車幅方向に(図3及び図4の左右方向)に配されたリヤアクスル7を車両前後方向(図4の紙面垂直方向)に延びる左右一対のトレーリングアーム8と車幅方向に配されたラテラルロッド9によって車体後部に支持し、左右一対のコイルスプリング10とショックアブソーバ11によってリヤアクスル7を車体後部に懸架して構成されている。
【0025】
上記リヤアクスル7の左右両端部上には、左右のドライブシャフト12が挿通されて回転可能に支持するアクスルパイプ13が取り付けられており、左右のドライブシャフト12の端部には左右の後輪4L,4Rが取り付けられている。詳細には、図5に示すように、アクスルパイプ13はリヤアクスル7の左右両端部の前上方側の位置に配置されている。
【0026】
又、車体の左右には車両前後方向に平行に延びるサイドフレーム14が配置されており、これらのサイドフレーム14の後部間には車幅方向に延びるクロスメンバ15が横架されている。そして、左側のサイドフレーム14の後端下部からはラテラルロッドブレース16が垂下しており、このラテラルロッドブレース16の下端とクロスメンバ15の中間部とは斜めに配されたラテラルロッドブラケット17によって連結されている。ラテラルロッドブレース16及びラテラルロッドブラケット17は、車両の前後方向で、リヤアクスル7やショックアブソーバ11よりも車両の後方側に配置されている。
【0027】
車幅方向に配された前記ラテラルロッド9は、車両の旋回時に後輪4L,4Rのタイヤ接地点に発生する横力を受け止めてタイヤの横方向の位置決めを行うための長尺部品であって、その一端(左端)は、前記ラテラルロッドブレース16の下端の前記ラテラルロッドブラケット17との連結部にゴムブッシュを介して車両の前後方向に沿って配置された軸で揺動可能に連結され、他端(右端)は後輪4Rの前記アクスルパイプ13の後側にゴムブッシュを介してほぼ車両の前後方向に沿って配置された軸で揺動可能に連結されている。
【0028】
ところで、サスペンション部品である左右の前記コイルスプリング10は、図5に示すように、車両前後方向において後輪4L,4Rの回転中心付近に配されており、その上端は、車両の前後方向でラテラルロッドブレース16よりも前方側となる左右のサイドフレーム14の下面に結着された上部スプリングシート18によって受けられ、下端は前記アクスルパイプ13に結着された下部スプリングシート19によって受けられている。尚、ラテラルロッドブラケット17が取り付けられるクロスメンバ15よりも車両の前方側となる前記上部スプリングシート18が結着された左右のサイドフレーム14の位置にも、車幅方向に延びて左右のサイドフレーム14を連結するクロスメンバ15が横架されている。
【0029】
又、サスペンション部品である左右の前記ショックアブソーバ11は、車両前後方向において後輪4L,4Rの回転中心よりも後方に配され、更にその後方に前記ラテラルロッド9が配されている。ここで、左右の各ショックアブソーバ11は、その上端がサイドフレーム14の内側面に結着されたショックアブソーバブラケット20に連結され、下端はリヤアクスル7の左右両端部の後ろ側面に結着されたショックアブソーバブラケット21に連結されている。
【0030】
以上のように構成されたリヤサスペンション6において、車両後方から見て車幅方向左側に車両の中央側に行くほど高い位置となるように斜めに配されて前記ラテラルロッドブラケット17の斜面となった下面には板金製の車体側ブラケット2が固定されている。ここで、車体側ブラケット2の取付構造の詳細を図6に示すが、同図に示すように、車体側ブラケット2は、L字状に屈曲成形されており、その平坦部がラテラルロッドブラケット17の長手方向中間部よりもラテラルロッド9の揺動中心(車体側連結点)に近い側の下面に当てられ、これに挿通するボルト22を締め付けることによってラテラルロッドブラケット17の下面に固定されている。尚、車体側ブラケット2の端部には略直角に折り曲げられた係合爪2aが形成されており、この係合爪2aがラテラルロッドブラケット17の下面に形成された円孔状の係合孔17aに差し込まれて係合することによって車体側ブラケット2のラテラルロッドブラケット17に対する位置決めと回り止めがなされている。
【0031】
又、図4に示すように、リヤアクスル7の左端部に結着されたショックアブソーバブラケット21には板金製の平坦なアクスル側ブラケット23が取り付けられている。ここで、アクスル側ブラケット23の取付構造の詳細を図7に示すが、このアクスル側ブラケット23は、L字状の補強部材24によってショックアブソーバブラケット21の後面に溶接によって取り付けられ、ショックアブソーバブラケット21よりも後方に突出している。
【0032】
而して、前記リヤブレーキホース3は、その両端が車体側ブラケット2とアクスル側ブラケット23に固定されており、車体側ブラケット2の位置において、車両の前方側から後方に向かってラテラルロッドブラケット17の下方に入り込む固定側の前記ブレーキ配管57の端部に接続され、アクスル側ブラケット23の位置において、リヤアクスル7の後方に配置された可動側の前記ブレーキ配管58の端部に接続されている。具体的には、図1に示すジョイント60から車両後方へと延びるブレーキ配管57は、図4に示すようにラテラルロッドブラケット17の下方を斜めに配設されており、その端部は図6に示すようにリヤブレーキホース3の一端に取り付けられ、車体側ブラケット2に固定されたプラグ25によってリヤブレーキホース3の一端に接続されている。又、左側の後輪4Lに設けられたブレーキ装置のホイールシリンダ5L(図2参照)に連なるブレーキ配管58は、図7に示すようにリヤブレーキホース3の他端に取り付けられ、アクスル側ブラケット23に固定されたプラグ26によってリヤブレーキホース3の他端に接続されている。尚、車体側ブラケット2とアクスル側ブラケット23へのプラグ25,26の固定は、E−リング(リテーナとも言う)を用いた公知の固定方法を採用することができる。
【0033】
上述のように両端が車体側ブラケット2とアクスル側ブラケット23に固定されてブレーキ配管57,58にそれぞれ接側されたリヤブレーキホース3は、若干の弛みをもって車体側ブラケット2からラテラルロッド9の後方を通過してアクスル側ブラケット23へと配索されている。より詳細には、リヤブレーキホース3は、図3に示すように平面視でU字状に曲げられ、図4及び図5に示すように後面視と側面視でくの字状に折り曲げられた状態で配索されている。
【0034】
即ち、車体側ブラケット2は、プラグ25の軸線をラテラルロッドブラケット17の斜面となった下面に略平行となるように保持し、リヤブレーキホース3を該車体側ブラケット2から図5に示すように車両後方に向かって斜め下方を指向させ、且つ、図4に示すように車幅方向においてアクスル側ブラケット23よりも外側方を指向させている。又、アクスル側ブラケット23は、図4に示すようにリヤブレーキホース3を該アクスル側ブラケット23から車両後方に向かって斜め上方を指向させるとともに、図4に示すようにリヤブレーキホース3を車幅方向中央側を指向させている。
【0035】
又、左側の後輪4Lに設けられたブレーキ装置のホイールシリンダ5L(図2参照)から延びる前記ブレーキ配管59は、図4に示すようにリヤアクスル7に沿って車幅方向右側に向かって延び、その端部は右側のブレーキ装置のホイールシリンダ5R(図2参照)に接続されている。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、リヤブレーキホース3をリヤサスペンション6の最も車両後方に配される部品であるラテラルロッド9の後方を通過させるよう配索したため、該リヤブレーキホース3とラテラルロッド9等のサスペンション部品との干渉を確実に防ぐことができる。特に、本実施の形態では、リヤブレーキホース3の一端(車体側端部)を固定する車体側ブラケット2をラテラルロッド9の動きが少ない箇所(ラテラルロッド9の揺動中心に近い箇所)に取り付けたため、リヤブレーキホース3とラテラルロッド9との干渉が一層確実に防がれる。
【0037】
そして、本実施の形態では、配置部品が少なくて比較的広いスペースが確保される箇所にリヤブレーキホース3を配置したため、該リヤブレーキホース3のレイアウトの自由度が高められる。
【0038】
又、リヤブレーキホース3をラテラルロッド9の後方を通過させることによって、該リヤブレーキホース3の前方にラテラルロッド9等のサスペンション部品が配置されることとなるため、車両の走行に伴う前方からの小石等の飛来物からリヤブレーキホース3を保護することができ、該リヤブレーキホース3の損傷を防いでその耐久性を高めることができる。
【0039】
更に、本実施の形態では、リヤブレーキホース3を車体側ブラケット2によって車両後方に向かって斜め下方且つ車幅方向においてアクスル側ブラケット23よりも外側方に指向させるようにしたため、該リヤブレーキホース3をラテラルロッド9の動きが少ない箇所(ラテラルロッド9の揺動中心に近い箇所)に近づくようにレイアウトすることができ、リヤブレーキホース3とラテラルロッド9との干渉を確実に防ぐことができる。そして、後輪4L,4Rが上動(リヤサスペンション6が圧縮)したときに、リヤブレーキホース3の車体側ブラケット2側となる上部とアクスル側ブラケット23側となる下部が車幅方向でずれた位置(向き)となるため、単純な曲げ変形だけでなく捩りによる変形も利用することが可能となってリヤブレーキホース3の撓み変形が容易となり、更に、該リヤブレーキホース3の姿勢が安定化する。
【0040】
又、車体側ブラケット2をラテラルロッドブラケット17の下面に固定したため、リヤブレーキホース3をラテラルロッドブラケット17の下面に沿って前記のような方向に指向させることができ、車体側ブラケット2の形状が単純化してその製作が容易となるとともに、リヤブレーキホース3をラテラルロッドブラケット17に近接配置して該リヤブレーキホース3とラテラルロッド9との干渉を確実に防ぐことができる。
【0041】
その他、本実施の形態では、アクスル側ブラケット23をショックアブソーバブラケット21に取り付けたため、該アクスル側ブラケット23をより車両後方側に配置することができ、このアクスル側ブラケット23に一端が固定されるリヤブレーキホース3とラテラルロッド9を含むサスペンション部品との干渉を確実に防ぐことができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0042】
2 車体側ブラケット
3 リヤブレーキホース
4L,4R 後輪
5L,5R ホイールシリンダ
6 リヤサスペンション
7 リヤアクスル
9 ラテラルロッド
11 ショックアブソーバ
17 ラテラルロッドブラケット
21 ショックアブソーバブラケット
23 アクスル側ブラケット
57 固定側ブレーキ配管
58,59 可動側ブレーキ配管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の後輪をショックアブソーバによって車体に懸架し、後輪のリヤアクスルと車体とを車幅方向に配されたラテラルロッドによって連結した車両において、車体に固定された固定側ブレーキ配管と前記リヤアクスルに固定された可動側ブレーキ配管とを接続するリヤブレーキホースのレイアウトであって、
車体の前記ラテラルロッドの上方に固定された車体側ブラケットと前記リヤアクスルに固定されたアクスル側ブラケットに前記リヤブレーキホースの両端をそれぞれ固定し、該リヤブレーキホースを前記車体側ブラケットから前記ラテラルロッドの後方を通過して前記アクスル側ブラケットへと配索したことを特徴とする車両用リヤブレーキホースのレイアウト。
【請求項2】
前記ラテラルロッドの一端を車体に揺動可能に支持するラテラルロッドブラケットの下面に前記車体側ブラケットを固定したことを特徴とする請求項1記載の車両用リヤブレーキホースのレイアウト。
【請求項3】
前記ブレーキホースを前記車体側ブラケットによって車両後方に向かって斜め下方且つ車幅方向において前記アクスル側ブラケットよりも外側方に指向させることを特徴とする請求項2記載の車両用リヤブレーキホースのレイアウト。
【請求項4】
前記ショックアブソーバの一端を前記リヤアクスルに取り付けるショックアブソーバブラケットに前記アクスル側ブラケットを取り付けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両用リヤブレーキホースのレイアウト。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−214062(P2012−214062A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78954(P2011−78954)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】