説明

車両用レバースイッチ装置

【課題】 部品点数を少なくできてコストを低減化できると共に、操作レバーの後挿しが可能となる車両用レバースイッチ装置を提供する。
【解決手段】 コンタクトホルダ11にジョイント部材14をヒンジ軸13を介して回動可能に連結し、ジョイント部材14のレバー挿入ガイド18に、操作レバー35の一端部35aの駆動ピン39を係合させる構成としている。ジョイント部材14はヒンジ軸13を介して回動可能であるから、操作レバー35の駆動ピン39をジョイント部材14のレバー挿入ガイド18に挿入して係合させることが容易に可能となる。また、コンタクトホルダ11に設けられた可動接点12は十字状をなしていて、交差する2方向への移動に伴い異なるスイッチを切り替えることができる。よって、操作レバー35を異なる2方向へ操作するものにおいて、可動接点12としては1個で対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーを異なる2方向への回動操作が可能な構成の車両用レバースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のレバースイッチ装置においては、方向指示用のターンスイッチと、ディマ/パッシングスイッチとを1本の操作レバーで操作する構成となっているものがある。この種のスイッチ装置には、例えば次の2種類の例がある。
まず、その一つの第1の従来例について説明する。このものは、ケースに第1の軸部を中心に第1の方向へ回動可能に設けられ、レバー挿入用開口部を有したブラケットと、一端部が前記レバー挿入用開口部を通して挿入され、前記第1の軸部に対して交差する第2の軸部を中心にブラケットに対して第2の方向へ回動可能に設けられると共に、ブラケットと共に前記第1の方向へも回動可能に設けられた操作レバーと、複数の固定接点を有して前記ケースに設けられたインシュレータと、前記操作レバーの先端部の作動用凸部が係合する案内溝部が形成された腕部を一体に有し、前記インシュレータに沿って移動可能に設けられたコンタクトホルダと、このコンタクトホルダに設けられ、当該コンタクトホルダの移動に伴い前記インシュレータ上を摺動して前記固定接点に対し接離してスイッチを切り替える十字状をなす可動接点とを備えた構成となっている。
【0003】
そして、このものにおいて、操作レバーを前記第1の方向へ回動させることに伴い、ブラケット、コンタクトホルダ、及び可動接点を前記第1の軸部を中心に回動させて可動接点を固定接点に対して接離させてターンスイッチを切り替え、また、操作レバーを前記第2の方向へ回動させることに伴い、腕部を介してコンタクトホルダ及び可動接点を前記第2の方向に対して交差する第3の方向へ移動させ、可動接点を固定接点に対して接離させてディマ/パッシングスイッチを操作する構成となっている(例えば特許文献1参照)。
上記した第1の従来例のものの場合、操作レバーの異なる2方向の回動操作に伴い、コンタクトホルダが異なる2方向へ移動し、そのコンタクトホルダに設けられた十字状をなす1個の可動接点の移動により、ターンスイッチとディマ/パッシングスイッチの両方を切り替える構成となっている。このため、コンタクトホルダや可動接点の数を少なくできる分、部品点数を少なくでき、ひいてはコストを抑えることができるという利点がある。
【0004】
しかしながら、上記した第1の従来例のものでは、次のような不具合がある。コンタクトホルダをケースに組み付けた状態で、後から、操作レバーの一端部の作動用凸部を、コンタクトホルダにおける腕部の案内溝部に係合させるという、いわゆる操作レバーの後挿しをすることができないものであった。これは、作動用凸部を係合させるための案内溝部を有する腕部がコンタクトホルダに一体に設けられているため、操作レバーの一端部をブラケットのレバー挿入用開口部から挿入させても、腕部に自由度がなく、作動用凸部を案内溝部に挿入することができないためである。このように操作レバーの後挿しができない構成のものでは、操作レバーもケース側に組み付けておく必要があり、組み付け設備を小型化することができないという問題がある。
【0005】
また、第2の従来例としては、ターンスイッチ用の可動接点と、ディマ/パッシング用の可動接点とを別々に設け、また、ターンスイッチ用の可動接点はブラケットと一体に移動するように設け、ディマ/パッシング用の可動接点は、操作レバーが上記第2の方向へ回動されるときのみ上記第3の方向へ移動するディマ/パッシング用のコンタクトホルダに設ける構成としたものがある。この場合、操作レバーの一端部とコンタクトホルダとの間にはホルダ操作部材が設けられている。ホルダ操作部材は、ブラケットに回動可能に取り付けられていて、一体に有したアームの先端部が、コンタクトホルダに形成された円弧状をなす係合孔に挿入されている。また、操作レバーの係合凸部が、ホルダ操作部材に係合している。操作レバーを第1の方向へ回動させた場合には、ホルダ操作部材のアームの先端部が係合孔内を移動するのみで、コンタクトホルダは移動しない構成となっている。
【0006】
このものにおいては、操作レバーを前記第1の方向へ回動させることに伴い、ブラケット及びターンスイッチ用の可動接点を前記第1の軸部を中心に回動させて当該可動接点を固定接点に対して接離させてターンスイッチを切り替え、また、操作レバーを前記第2の方向へ回動させることに伴い、ホルダ操作部材を介してディマ/パッシング用のコンタクトホルダ及びディマ/パッシング用の可動接点を前記第2の方向に対して交差する第3の方向へ移動させ、当該可動接点を固定接点に対して接離させてディマ/パッシングスイッチを操作する構成となっている(例えば特許文献2参照)。
上記した第2の従来例の場合、操作レバーを後から挿入しても、操作レバーの係合凸部をホルダ操作部材に係合させることができ、操作レバーの後挿しが可能な構成となる。しかしながら、この第2の従来例の場合には、ターンスイッチ用の可動接点と、ディマ/パッシングスイッチ用の可動接点とは別々に設けられているため、その分部品点数が多くなり、コストが高くなるという欠点がある。
【特許文献1】特開2000−182457号公報(図5〜図7)
【特許文献2】特開2004−203099号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なくできてコストを低減化できると共に、操作レバーの後挿しが可能となる車両用レバースイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の車両用レバースイッチ装置は、
ケースに第1の軸部を中心に第1の方向へ回動可能に設けられ、レバー挿入用開口部を有したブラケットと、
一端部が前記レバー挿入用開口部を通して挿入され、前記第1の軸部に対して交差する第2の軸部を中心に前記ブラケットに対して第2の方向へ回動可能に設けられると共に、前記ブラケットと共に前記第1の方向へも回動可能に設けられた操作レバーと、
複数の固定接点を有して前記ケースに設けられたインシュレータと、
このインシュレータに沿って移動可能に設けられたコンタクトホルダと、
ヒンジ軸を介して前記コンタクトホルダに回動可能に連結され、レバー挿入ガイドを有したジョイント部材と、
前記コンタクトホルダに設けられ、当該コンタクトホルダの移動に伴い前記インシュレータ上を摺動して前記固定接点に対し接離してスイッチを切り替える十字状をなす可動接点と、
前記操作レバーの一端部に設けられ、前記操作レバーの前記レバー挿入用開口部への挿入に伴い前記レバー挿入ガイドにガイドされて当該レバー挿入ガイドに移動可能に係合される被ガイド部とを備え、
前記操作レバーを前記第1の方向へ回動させることに伴い、前記ブラケット、前記ジョイント部材、前記コンタクトホルダ、及び前記可動接点を前記第1の軸部を中心に回動させて前記可動接点を前記固定接点に対して接離させ、
前記操作レバーを前記第2の方向へ回動させることに伴い、前記ジョイント部材及び前記ヒンジ軸を介して前記コンタクトホルダ及び前記可動接点を前記第2の方向に対して交差する第3の方向へ移動させ、前記可動接点を前記固定接点に対して接離させる構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記した発明においては、コンタクトホルダにジョイント部材をヒンジ軸を介して回動可能に連結していて、このジョイント部材のレバー挿入ガイドに、操作レバーの一端部の被ガイド部を係合させる構成としている。この場合、レバー挿入ガイドを有するジョイント部材はヒンジ軸を介して回動可能であるから、コンタクトホルダ及びジョイント部材をケースに組み込んだ状態でも、操作レバーの被ガイド部をジョイント部材の前記レバー挿入ガイドに挿入して係合させることが可能となる。よって、操作レバーの後挿しが可能となり、これに伴い、ケース側と操作レバーとを必ずしも組み付けておく必要がなくなり、組み付け設備の小型化を図ることが可能となる。
また、コンタクトホルダに設けられた可動接点は十字状をなしていて、交差する2方向(第1の方向と第3の方向)への移動に伴い異なるスイッチを切り替えることができる。よって、可動接点としては1個で対応することができ、その分部品点数を少なくでき、ひいてはコストの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。
まず、図1には、操作レバーをケースから分離した状態が示され、図2及び図3は、操作レバーをケースに組み込んだ状態で、かつ中立位置に位置させた状態が示されている。これら図1〜図3において、車両用レバースイッチ装置のケース1は、ロアケース2と、ミドルケース3と、アッパケース4とを組み合わせて構成される。このケース1の図1及び図2の右側には、開口部5が形成されている。ミドルケース3とアッパケース4との間には、ブラケット6が配設されている。このブラケット6は、第1の軸部7を中心にケース1に第1の方向である矢印A方向(図3参照)へ回動可能に取り付けられている。このブラケット6には、レバー挿入用開口部8が形成されている。
【0011】
上記ロアケース2とミドルケース3との間には、インシュレータ10が固定状態に設けられている。インシュレータ10とミドルケース3との間には、コンタクトホルダ11が移動可能に配設されている。このコンタクトホルダ11には、十字状をなす可動接点12が設けられている。この場合、可動接点12は、コンタクトホルダ11にインサート成形により設けられている。インシュレータ10の上面には、図示はしないが複数個の固定接点が設けられていて、これら固定接点と上記可動接点12とにより、ターンスイッチと、ディマ/パッシングスイッチとを構成している。
【0012】
コンタクトホルダ11の上部には、図4にも示すように、ヒンジ軸13を介してジョイント部材14が回動可能に連結されている。このジョイント部材14は、ミドルケース3に形成された開口部15を通してミドルケース3の上方へ突出すると共に、上記ブラケット6の先端部付近に配置されている。ジョイント部材14の左右の両側面には、側方へ突出する凸部16が突設されていて、これら凸部16が、ブラケット6の先端部に設けられた、上下方向に延びる溝部17に移動可能に挿入されている。ジョイント部材14の左右両側壁の内面側には、図1及び図4の右側が大きく開口したレバー挿入ガイド18が設けられている。レバー挿入ガイド18において、図1及び図4の左側は幅が狭くなっていて、この部分をガイド部18aとしている。
【0013】
図1において、ジョイント部材14の左側には、ミドルケース3の上部に位置させて、可動部材20が配設されている。この可動部材20の内面側(ジョイント部材14側)には、ディマ/パッシング用の節度面21が設けられている。この節度面21には、図1に示すように、上下方向の中央部にオフ用凹部21aが形成され、オフ用凹部21aの下側にはパッシング用斜面21bが形成され、オフ用凹部21aの上側にディマ用保持部21cが形成されている。
【0014】
また、可動部材20の外面側には、図3に示すように、中央凸部22と、この中央凸部22を挟んだ両側に位置させて第1及び第2の係合凸部23,24とが設けられている。さらに、可動部材20の外面側の下部には、2個のキャンセル用凸部25,26が設けられていて、これらキャンセル用凸部25,26の先端部は、アッパケース4から左側方へ突出している。
そして、アッパケース4の内面には、上記可動部材20の外面を受ける受け面30が形成されていて、この受け面30に、上記中央凸部22に対応する中央凹部31と、この中央凹部31を挟んだ両側に位置させて上記第1及び第2の係合凸部23,24を受ける第1及び第2の係合凹部32,33が設けられている。
【0015】
一方、操作レバー35のケース1側の一端部35aには、軸方向に延びる収容部36が形成されていて、ここに節度ピース37及びこの節度ピース37を突出方向へ付勢するコイルばね38が収容されている。また、操作レバー35のケース1側の一端部35aには、図4にも示すように、軸方向に対して交差する方向へ突出する駆動ピン39が突設されていると共に、この駆動ピン39よりも右側に位置させて第2の軸部40が突設されている。この場合、上記駆動ピン39は、上記レバー挿入ガイド18に挿入される被ガイド部を構成する。
【0016】
ここで、操作レバー35は、図1に示すように、ケース1側の一端部35aを、ケース1の開口部5を通してブラケット6のレバー挿入用開口部8に挿入した後、駆動ピン39をジョイント部材14のレバー挿入ガイド18からガイド部18aに挿入すると共に、第2の軸部40を、ブラケット6に形成された係合孔41(図1参照)に係合させることにより、ブラケット6に第2の軸部40を中心にして第2の方向である矢印B方向(図2参照)へ回動可能に取り付けられる。第2の軸部40は上記第1の軸部7に対して直交状態に交差していて、矢印A方向と矢印B方向とは交差している。したがって、操作レバー35は、ブラケット6に対して第2の軸部40を中心にして矢印B方向へ回動可能に設けられていると共に、ブラケット6と共に第1の軸部7を中心として矢印A方向へも回動可能に設けられている。この操作レバー35の取付状態で、上記節度ピース37の先端が上記節度面21に圧接する。
【0017】
操作レバー35の外側の他端部には、ライトスイッチ操作用の操作ノブ42が回動可能に設けられていて、この操作ノブ42により回動されるシャフト部43が操作レバー35内に挿入されている。そのシャフト部43の先端部には操作アーム44が取着されていて、この操作アーム44の先端部が、ケース1内に設けられたライトスイッチ用コンタクトホルダ45に係合している。ライトスイッチ用コンタクトホルダ45には可動接点(図示せず)が設けられ、また、インシュレータ10には、その可動接点が接離する固定接点が(図示せず)設けられていて、これら可動接点と固定接点によりライトスイッチを構成している。この場合、操作ノブ42が回動操作されると、操作アーム44を介してライトスイッチ用コンタクトホルダ45が移動され、これに伴いライトスイッチが操作される。
なお、図1の状態で、操作レバー35をケース1側に組み付ける際に、操作アーム44がケース1の開口部5に当たって挿入できない場合には、ロアケース2は、操作レバー35を組み付けた後に、組み付ける。
【0018】
次に上記構成の作用を説明する。
図2及び図3は、操作レバー35が中立位置で、かつディマ/パッシングスイッチがオフされた状態が示されている。この状態では、可動部材20の第1及び第2の係合凸部223,24が、受け面30の第1及び第2の係合凹部32,33に係合していると共に、節度ピース37の先端部が節度面21のオフ用凹部21aに係合している。なお、このとき、可動部材20の中央凸部22は受け面30の中央凹部31に入り込んでいるが、それらの間にはわずかに隙間が形成されている。この状態で、ライトスイッチ用の操作ノブ42をオン方向へ回動操作すると、操作アーム44を介してライトスイッチ用コンタクトホルダ45が移動され、これに伴いライトスイッチがオンし、ライトがロービーム状態で点灯される。
【0019】
図3の状態で、操作レバー35を中立位置から、矢印Aのうち、例えば右折指示位置方向(時計回り方向)へ回動操作すると、この操作レバー35と共にブラケット6が、第1の軸部7を中心に同方向へ回動する。すると、図5に示すように、可動部材20が、第2の係合凸部23を中心にして矢印C1方向へ回動し、操作レバー35は右折指示位置に保持されるようになる。このとき、可動部材20の回動に伴い、一方のキャンセル用凸部25が、図示しないキャンセルカムの回転軌跡内に進入する状態となる。また、操作レバー35の回動に伴い、ジョイント部材14を介してコンタクトホルダ11が時計回り方向へ移動し、これに伴い可動接点12がインシュレータ10上を摺動してターンスイッチの右折用スイッチがオン状態となる。
【0020】
図5の状態で、図示しないステアリングホイールが右回転(時計回り方向へ回転)した場合には、当該ステアリングホイールと一体に回転するキャンセルカムのカム凸部がキャンセル用凸部25に時計回り方向から当たるが、この場合には可動部材20の矢印C1方向への回動を伴い、そのカム凸部の時計回り方向への回動が許容される。これに対して、ステアリングホイールが左回転(反時計回り方向へ回転)した場合には、キャンセルカムのカム凸部が、キャンセル用凸部25に反時計回り方向から当たることになる。この場合には、可動部材20には矢印C1とは反対の矢印C2方向への回動力が作用するため、可動部材20は、第1の係合凸部23を中心に矢印C2方向へ回動し、図2の状態へ戻される。これに伴い、操作レバー35も中立位置へ戻されると共に、ジョイント部材14を介してコンタクトホルダ11も中立位置へ戻され、ターンスイッチの右折用スイッチはオフ状態となる。
なお、操作レバー35が左折指示位置方向(図3において反時計回り方向)へ回動操作された場合は、各部材の動きが上述とは反対方向になるだけで、動きは上述と同様な動作となる。
【0021】
一方、図2の状態で、操作レバー35を矢印B方向のうち反時計回り方向へ回動操作した場合には、操作レバー35は、ブラケット6に対して第2の軸部40を中心に同方向へ回動する。すると、図6に示すように、節度ピース37の先端部が節度面21のパッシング用斜面21bを上るように移動する。また、このとき、操作レバー35の駆動ピン39によりジョイント部材14のガイド部18aが押されることに伴い、ジョイント部材14が回動しながら、コンタクトホルダ11が、図6中、第3の方向である矢印D方向のうち、矢印D1方向へスライド移動する。第3の方向である矢印D方向は、第2の方向である矢印B方向に対して交差している。
【0022】
このコンタクトホルダ11の矢印D1方向への移動に伴い、可動接点12が同方向へ摺動し、パッシングスイッチがオン状態となる。操作レバー35に対する反時計回り方向への操作力を解除すると、節度ピース37の先端部がパッシング用斜面21bを下るように移動し、これに伴い、操作レバー35は、元の図2の状態へ戻ると共に、ジョイント部材14及びコンタクトホルダ11も元の図2の状態へ戻され、パッシングスイッチはオフ状態となる。
【0023】
また、図2の状態で、操作レバー35を矢印B方向のうち時計回り方向へ回動操作した場合には、操作レバー35は、ブラケット6に対して第2の軸部40を中心に同方向へ回動する。すると、節度ピース37の先端部が節度面21のディマ用保持部21c方向へ移動し、そこに保持されるようになる。また、このとき、操作レバー35の駆動ピン40によりジョイント部材14のガイド部18aが押されることに伴い、ジョイント部材14が回動しながら、コンタクトホルダ11が、上記矢印D1とは反対の矢印D2方向へスライド移動する。これに伴い、可動接点12が同方向へ摺動し、ディマスイッチがオン状態となってハイビーム状態となる。そして、操作レバー35を反時計回り方向へ回動操作すると、節度ピース37の先端部がディマ用保持部21cから外れ、オフ用凹部21aに保持されるようになり、これに伴い、操作レバー35は、元の図2の状態へ戻ると共に、ジョイント部材14及びコンタクトホルダ11も元の図2の状態へ戻され、ディマスイッチはオフ状態となる。
【0024】
上記した実施例によれば次のような効果を得ることができる。
コンタクトホルダ11にジョイント部材14をヒンジ軸13を介して回動可能に連結していて、このジョイント部材14のレバー挿入ガイド18に、操作レバー35の一端部35aにおける被ガイド部を構成する駆動ピン39を係合させる構成としている。この場合、レバー挿入ガイド18を有するジョイント部材14はヒンジ軸13を介して回動可能であるから、コンタクトホルダ11及びジョイント部材14をケース1に組み込んだ状態でも、操作レバー35の一端部35aの駆動ピン39を、ジョイント部材14の前記レバー挿入ガイド18に挿入して係合させることが可能となる。よって、操作レバー35の後挿しが可能となり、これに伴い、ケース1側と操作レバー35とを必ずしも組み付けておく必要がなくなり、組み付け設備の小型化を図ることが可能となる。
【0025】
また、コンタクトホルダ11に設けられた可動接点12は十字状をなしていて、交差する2方向(矢印A方向と矢印D方向)への移動に伴い異なるスイッチを切り替えることができる。よって、可動接点12としては1個で対応することができ、その分部品点数を少なくでき、ひいてはコストの低減化を図ることができる。
【0026】
本発明は、上記した実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
上記した実施例においては、操作レバー35の矢印A方向への回動操作によりターンスイッチを切り替えると共に、矢印B方向への回動操作によりディマ/パッシングスイッチを切り替える構成としたが、これに代えて、操作レバー35の矢印A方向への回動操作によりワイパースイッチを切り替えると共に、矢印B方向への回動操作によりウォッシャスイッチを切り替える構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、操作レバーをケース側から分離した状態での縦断面図
【図2】操作レバーが中立位置に位置された状態での縦断面図
【図3】同状態での破断平面図
【図4】主要部の分解斜視図
【図5】操作レバーが右折指示位置へ回動された状態での破断平面図
【図6】操作レバーがパッシング位置へ回動操作された状態での縦断面図
【符号の説明】
【0028】
図面中、1はケース、6はブラケット、7は第1の軸部、8はレバー挿入用開口部、10はインシュレータ、11はコンタクトホルダ、12は可動接点、13はヒンジ軸、14はジョイント部材、18はレバー挿入ガイド、35は操作レバー、35aは一端部、39は駆動ピン(被ガイド部)、40は第2の軸部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに第1の軸部を中心に第1の方向へ回動可能に設けられ、レバー挿入用開口部を有したブラケットと、
一端部が前記レバー挿入用開口部を通して挿入され、前記第1の軸部に対して交差する第2の軸部を中心に前記ブラケットに対して第2の方向へ回動可能に設けられると共に、前記ブラケットと共に前記第1の方向へも回動可能に設けられた操作レバーと、
複数の固定接点を有して前記ケースに設けられたインシュレータと、
このインシュレータに沿って移動可能に設けられたコンタクトホルダと、
ヒンジ軸を介して前記コンタクトホルダに回動可能に連結され、レバー挿入ガイドを有したジョイント部材と、
前記コンタクトホルダに設けられ、当該コンタクトホルダの移動に伴い前記インシュレータ上を摺動して前記固定接点に対し接離してスイッチを切り替える十字状をなす可動接点と、
前記操作レバーの一端部に設けられ、前記操作レバーの前記レバー挿入用開口部への挿入に伴い前記レバー挿入ガイドにガイドされて当該レバー挿入ガイドに移動可能に係合される被ガイド部とを備え、
前記操作レバーを前記第1の方向へ回動させることに伴い、前記ブラケット、前記ジョイント部材、前記コンタクトホルダ、及び前記可動接点を前記第1の軸部を中心に回動させて前記可動接点を前記固定接点に対して接離させ、
前記操作レバーを前記第2の方向へ回動させることに伴い、前記ジョイント部材及び前記ヒンジ軸を介して前記コンタクトホルダ及び前記可動接点を前記第2の方向に対して交差する第3の方向へ移動させ、前記可動接点を前記固定接点に対して接離させる構成であることを特徴とする車両用レバースイッチ装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−114278(P2006−114278A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298845(P2004−298845)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】