車両用交流発電機
【課題】製造が容易であって、回転子に生じる漏れ磁束や表面の渦電流の発生を低減することができる車両用交流発電機を提供すること。
【解決手段】 車両用交流発電機は、界磁巻線に通電することによりN極とS極に励磁される回転子2と、回転子2に対向して配置された固定子とを有する。回転子2は、外周側に爪状磁極部を有しないポールコア23と、ポールコア23の外周部に配置された薄板を積層した円環状の薄板積層コア200と、薄板積層コア200に形成された磁石配置穴に収納された永久磁石220とを備えている。
【解決手段】 車両用交流発電機は、界磁巻線に通電することによりN極とS極に励磁される回転子2と、回転子2に対向して配置された固定子とを有する。回転子2は、外周側に爪状磁極部を有しないポールコア23と、ポールコア23の外周部に配置された薄板を積層した円環状の薄板積層コア200と、薄板積層コア200に形成された磁石配置穴に収納された永久磁石220とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される永久磁石を備えた車両用交流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用交流発電機の回転子の爪状磁極部間における漏れ磁束を低減する目的で、爪状磁極部間に永久磁石を配置した構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この回転子では、爪状磁極部の表面に発生する渦電流による損失が大きいため、この損失を低減するものとして、各爪状磁極部を薄い鋼板を積層して構成して表面の渦電流を低減した回転電機が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、爪状磁極部自体を積層板で構成するのではなく、その周囲に積層板によって構成した第3のコアを設け、この第3のコア内部に永久磁石を埋め込んだ回転電機も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開昭61−85045号公報(第2−3頁、図1−9)
【特許文献2】特開平11−150902号公報(第3−5頁、図1−10)
【特許文献3】特開平11−206084号公報(第3−4頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献2に開示された回転電機は、爪状磁極部が積層板で構成されており、隣接する2つの爪状磁極部間に永久磁石が配置されているため、各爪状磁極部の遠心強度が低いという問題がある。特に、車両用交流発電機のように高回転で動作する回転電機においては遠心破壊等に至る懸念がある。また、爪状磁極部全体を積層板で構成すると、軸方向に沿った磁束の流れが制限されるため、回転子と固定子との間で流れる磁束が減少するという問題もある。さらに、特許文献3に開示された回転電機は、第3のコアに形成された溝に各爪磁極部を噛み合わせる構造になっているため、爪状磁極を有するコアの寸法精度が要求され、製造が容易でないという問題があった。例えば、冷間鍛造によって安価に大量生産する場合には、各爪状磁極部の寸法精度が低下するため、第3のコアの溝に挿入する際に隙間が生じて異音が発生したり、締め代がきつすぎて第3のコアが変形するなどの不具合が考えられる。爪状磁極部の形状を切削等で成形することでこのような不具合はなくなるが、工程の追加になるため、コスト増加につながってしまう。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、製造が容易であって、回転子に生じる漏れ磁束や表面の渦電流の発生を低減することができる車両用交流発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用交流発電機は、界磁巻線に通電することによりN極とS極に励磁される回転子と、回転子に対向して配置された固定子とを有しており、回転子は、外周側に爪状磁極部を有しないポールコアと、ポールコアの外周部に配置された薄板を積層した円環状の薄板積層コアと、薄板積層コアに形成された磁石配置穴に収納された第1の永久磁石とを備えている。固定子に対向する回転子の外周部を薄板積層コアで形成することにより、回転子表面に発生する渦電流を低減することができる。また、ポールコアは爪状磁極部を有しない比較的単純な形状となっているため、製造が容易となる。さらに、単純な円環形状の薄板積層コアを用いて回転子を構成することにより、共振周波数を使用回転域よりも高くすることができ、爪状磁極部が振動することによる異音の発生を防止することができる。
【0006】
また、上述した磁石配置穴の径方向には、薄板積層コアの径方向の厚みを薄くした薄肉部が形成されていることが望ましい。これにより、磁石配置穴に挿入されて永久磁石のN極とS極の間で薄板積層コアを介して生じる漏れ磁束を低減することができる。
【0007】
また、上述した第1の永久磁石は、周方向に着磁されており、周方向に隣接する第1の永久磁石の着磁方向を互いに反対向きに設定することにより、隣接する2つの第1の永久磁石に挟まれた領域をN極あるいはS極とすることが望ましい。これにより、周方向沿って薄板積層コアの各領域を交互にS極とN極に設定することが可能になるとともに、これらの各磁極間で発生する漏れ磁束を低減することができる。
【0008】
また、上述したポールコアの外周部には、磁石配置穴と異なる周方向位置に凹部が形成されており、凹部に収納された第2の永久磁石をさらに備えることが望ましい。あるいは、上述したポールコアの外周部には、磁石配置穴と異なる周方向位置にV字状の凹部が形成されていることが望ましい。これにより、薄板積層コアとポールコアの対向する磁極が同じ場合にこれらの間で流れる磁束を遮ることが可能になり、固定子に対向する薄板積層コアの面全体をN極あるいはS極として用いることが可能になる。
【0009】
また、上述した薄板積層コアは、周方向に隣接する磁石配置穴の間に形成された磁性芯配置穴を有しており、磁性芯配置穴には、軸方向に沿って延在する磁性芯が挿入されることが望ましい。これにより、軸方向の磁気抵抗を低減することが可能になり、回転子と固定子との間で流れる磁束を増やすことができる。
【0010】
また、上述した回転子は、ポールコアと薄板積層コアの軸方向端面にプロジェクション溶接により固定される冷却ファンを備えており、冷却ファンに設けられたプロジェクション溶接用の突起部の位置を薄板積層コアとポールコアの軸方向端面の境界位置に一致させることが望ましい。これにより、ポールコアに対する冷却ファンの固定と薄板積層コアの固定とを同時に行うことができ、工程の簡略化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した一の実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態の車両用交流発電機の全体構造を示す断面図である。例えば、冷却ファンを内蔵する車両用交流発電機の構造が示されている。図1に示す車両用交流発電機1は、回転子2、固定子3、ブラシ装置4、整流装置5、電圧制御装置6、ドライブフレーム7、リヤフレーム8、プーリ9等を含んで構成されている。
【0013】
回転子2は、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁巻線21を、ポールコア22、23によって、回転軸24を通して両側から挟み込んだ構造を有している。また、ポールコア22、23の外周側には、永久磁石が内包された薄板積層コア200が固定されており、ポールコア22、23と一体となって回転するようになっている。薄板積層コア200とこれに組み合わされるポールコア22、23の詳細については後述する。
【0014】
フロント側(プーリ9側)のポールコア22の端面には、フロント側から吸い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すために軸流式の冷却ファン25が溶接等によって取付け固定されている。同様に、リヤ側のポールコア23の端面には、リヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すために遠心式の冷却ファン26が溶接等によって取付け固定されている。また、回転軸24のリヤ側には界磁巻線21の両端に電気的に接続されたスリップリング27、28が形成されており、ブラシ装置4内のブラシ41、42をスリップリング27、28のそれぞれに押し当てた状態で組み付けることにより、整流装置5から界磁巻線21に対して励磁電流が供給されるようになっている。
【0015】
固定子3は、固定子鉄心31に形成された複数個のスロットに三相の固定子巻線32が所定の巻線方式で巻き回されている。また、固定子2は、ドライブフレーム7とリアフレーム8で挟み込むように固定されている。
【0016】
整流装置5は、三相の固定子巻線32に発生する交流の起電力を直流に整流して出力電流を得るためのものである。整流装置5は、配線用電極を内部に含む端子台51と、この端子台51を挟んで所定の間隔で固定される正極側放熱フィン52および負極側放熱フィン54と、正極側放熱フィン52に取り付けられる複数(例えば固定子巻線32の相数に合わせて3個)の正極側整流素子と、負極側放熱フィン54に取り付けられる複数個の負極側整流素子とを含んで構成されている。
【0017】
電圧制御装置6は、界磁巻線21に流す励磁電流を制御するものであり、電気負荷が軽くて出力電圧が高くなる場合には、界磁巻線21に対する電圧の印加を断続することにより、車両用交流発電機1の出力電圧を一定に保っている。プーリ9は、エンジン(図示せず)の回転を車両用交流発電機1内の回転子2に伝えるためのものであり、回転軸24の一方端(スリップリング27等と反対側)にナット91によって締め付け固定されている。また、ブラシ装置4、整流装置5および電圧制御装置6を覆うように樹脂製のリヤカバー92が取り付けられている。
【0018】
上述した構造を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ9にエンジンからの回転駆動力が伝えられると回転子2が所定方向に回転する。界磁巻線21に外部から励磁電圧を印加することによりポールコア22、23のそれぞれの爪部が励磁され、固定子巻線32に三相交流電圧を発生させることができ、整流装置5の出力端子からは所定の出力電流を取り出すことができる。以後、車両用交流発電機1自身の出力電圧が電圧制御装置6を介して界磁巻線21に印加されるため、外部からの励磁電圧の印加は不要となる。
【0019】
次に、回転子2の詳細について説明する。図2は、回転子2の側面図であり、スリップリング27、28側から見た形状が示されている。また、図3は回転子3に備わった薄板積層コア200を示す平面図である。図4は、リヤ側のポールコア23の平面図である。図5は、図4のV−V線断面図である。図6は、図2のVI−VI線断面図である。
【0020】
図4および図5に示すように、リヤ側のポールコア23は、小径部23aと大径部23bからなる爪状磁極部を持たない段付きの円筒形状を有している。フロント側のポールコア22も同様の形状を有しており、2つの小径部を突き合わせるとともに、その外周側に界磁巻線21を配置した状態で組み付けが行われる。大径部23bの外周部には、複数箇所(例えば8箇所)に凹部23cが形成されており、凹部23cを除く外周面22dに薄板積層コア200が加圧状態で接する。各凹部23cは、大径部23bの外周面に薄板積層コア200が嵌め込まれたときに、永久磁石210の収納部となる。なお、2箇所の溝部23eおよび凹部23fは、回転軸24に設けられたスリップリング27、28と界磁巻線21との間の配線を通すためものであり、フロント側のポールコア22には設けられていない。
【0021】
図2および図3に示すように、薄板積層コア200は、薄板を軸方向に積層することにより構成され、軸方向長さがポールコア22、23の軸方向長さの合計値と同じに設定されており、永久磁石220が挿入される軸方向に貫通した複数の磁石配置穴202と、磁性芯としての鉄芯230が挿入される軸方向に貫通した複数の磁性芯配置穴としての鉄芯配置穴204とを有する。図7は、鉄芯配置穴204に挿入される鉄芯230の斜視図である。鉄芯230は、円柱形状を有しており、薄板積層コア200の軸方向長さとほぼ等しい長さを有している。薄板積層コア200と固定子鉄心31とによって形成される磁気回路には、薄板積層コア200を軸方向に通過する磁束成分もあるため、この磁束に対する磁気抵抗を低減するために、軸方向に貫通した鉄芯配置穴204に挿入された鉄芯230が用いられている。
【0022】
磁石配置穴202と鉄芯配置穴204は、周方向に沿って交互に配置されており、それぞれの数および位置は回転子2の極数ピッチ、即ち固定子3の固定子巻線32によって形成される各相の磁極ピッチと一致している。各磁石配置穴202は、径方向に沿って長辺が配置された長方形形状を有している。また、各磁石配置穴202の短辺部分には凹部が形成されており、それぞれの短辺部分と薄板積層コア200の外周面あるいは内周面とを接近させて径方向の厚みを薄くした薄肉部202a、202bが形成されている。これらの薄肉部202a、202bは、磁石配置穴202に挿入された永久磁石220のS極とN極との間で薄板積層コア200を通して発生する漏れ磁束を低減するためのものである。また、磁石配置穴202に挿入される各永久磁石220は、磁石配置穴202の断面形状に合わせた直方体形状を有しており、薄板積層コア200の軸方向長さとほぼ等しい長さを有している。各永久磁石220は、周方向に沿って着磁されており、隣接する永久磁石220の極性が互いに反対向きとなるように配置される。また、ポールコア23の凹部23cに挿入される各永久磁石210は、径方向に沿って着磁されており、ポールコア23と同じ磁極が内径側となるように配置されている。
【0023】
図8は、本実施形態の回転子2と固定子3との間で発生する磁束の説明図である。例えば、図6に示すように、界磁巻線21に界磁電流が流れたときに、リヤ側のポールコア23がS極に着磁され、フロント側のポールコア22がN極に着磁されるものとする。
【0024】
図8に示すように、隣接する2つの永久磁石220のN極で挟まれた領域が回転子2のN極磁極を形成している。N極磁極の内周側には、反対方向に着磁された永久磁石210が配置されているため、このN極磁極で発生したほとんどの磁束が固定子鉄心31に向かい、その後、隣接する2つの永久磁石220のS極で挟まれた領域によって形成された回転子2のS極磁極に戻る。
【0025】
このように、本実施形態の車両用交流発電機1では、固定子3に対向する回転子2の外周部を薄板積層コア200で形成することにより、回転子2の表面に発生する渦電流を低減することができる。また、ポールコア22、23は爪状磁極部を有しない比較的単純な形状となっているため、製造が容易となる。さらに、単純な円環形状の薄板積層コア200を用いて回転子2を構成することにより、共振周波数を使用回転域よりも高くすることができ、爪状磁極部が振動することによる異音の発生を防止することができる。
【0026】
また、磁石配置穴202の径方向には、薄板積層コア200の径方向の厚みを薄くした薄肉部202a、202bが形成されているため、磁石配置穴202に挿入された永久磁石220のN極とS極の間で薄板積層コア200を介して生じる漏れ磁束を低減することができる。
【0027】
また、永久磁石220は周方向に着磁されており、周方向に隣接する永久磁石220の着磁方向を互いに反対向きにしているため、周方向に沿って薄板積層コア200の各領域を交互にS極とN極に設定することが可能になるとともに、これらの各磁極間で発生する漏れ磁束を低減することができる。
【0028】
また、上述したポールコア22、23の外周部には、磁石配置穴202と異なる周方向位置に凹部23cが形成されており、凹部23cに永久磁石220が収納されているため、薄板積層コア200とポールコア22、23の対向する磁極が同じ場合にこれらの間で流れる磁束を遮ることが可能になり、固定子3に対向する薄板積層コア200の面全体をN極あるいはS極として用いることが可能になる。
【0029】
また、薄板積層コア200には、周方向に隣接する磁石配置穴202の間に鉄芯配置穴204が形成されており、この鉄芯配置穴204には、軸方向に沿って延在する鉄芯230が挿入されているため、軸方向の磁気抵抗を低減することが可能になり、回転子2と固定子3との間で流れる磁束を増やすことができる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、ポールコア23等の外周部に凹部23cを形成してこの凹部23cに永久磁石220を配置したが、図9に示すように、この凹部23cをV字状の大きな凹部23gに置き換えてポールコア22、23と薄板積層コア200との間で直接流れる磁束を遮断するようにしてもよい。図10は、図9に示したポールコア23を用いた回転子2の側面図である。
【0031】
また、上述した実施形態では、冷却ファン25、26の固定方法については言及していないが、これらの冷却ファン25、26をプロジェクション溶接によってポールコア22、23の軸方向端面に固定するとともに、図11に示すように、冷却ファン25(冷却ファン26も同じ)に設けられたプロジェクション溶接用の突起部25aの位置を、薄板積層コア200とポールコア22の軸方向端面の境界位置に一致させるようにしてもよい。これにより、ポールコア22、23に対する冷却ファン25、26の固定と薄板積層コア200の固定とを同時に行うことができ、工程の簡略化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の全体構造を示す断面図である。
【図2】回転子の側面図である。
【図3】回転子に備わった薄板積層コアを示す平面図である。
【図4】リヤ側のポールコアの平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】鉄芯配置穴に挿入される鉄芯の斜視図である。
【図8】本実施形態の回転子と固定子との間で発生する磁束の説明図である。
【図9】ポールコアの変形例を示す平面図である。
【図10】図9に示したポールコアを用いた回転子の側面図である。
【図11】冷却ファンの固定方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 車両用交流発電機
2 回転子
3 固定子
4 ブラシ装置
5 整流装置
6 電圧制御装置
7 ドライブフレーム
8 リヤフレーム
9 プーリ
22、23 ポールコア
23c 凹部
200 薄板積層コア
202 磁石配置穴
204 鉄芯配置穴
210、220 永久磁石
230 鉄芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される永久磁石を備えた車両用交流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用交流発電機の回転子の爪状磁極部間における漏れ磁束を低減する目的で、爪状磁極部間に永久磁石を配置した構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この回転子では、爪状磁極部の表面に発生する渦電流による損失が大きいため、この損失を低減するものとして、各爪状磁極部を薄い鋼板を積層して構成して表面の渦電流を低減した回転電機が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、爪状磁極部自体を積層板で構成するのではなく、その周囲に積層板によって構成した第3のコアを設け、この第3のコア内部に永久磁石を埋め込んだ回転電機も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開昭61−85045号公報(第2−3頁、図1−9)
【特許文献2】特開平11−150902号公報(第3−5頁、図1−10)
【特許文献3】特開平11−206084号公報(第3−4頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献2に開示された回転電機は、爪状磁極部が積層板で構成されており、隣接する2つの爪状磁極部間に永久磁石が配置されているため、各爪状磁極部の遠心強度が低いという問題がある。特に、車両用交流発電機のように高回転で動作する回転電機においては遠心破壊等に至る懸念がある。また、爪状磁極部全体を積層板で構成すると、軸方向に沿った磁束の流れが制限されるため、回転子と固定子との間で流れる磁束が減少するという問題もある。さらに、特許文献3に開示された回転電機は、第3のコアに形成された溝に各爪磁極部を噛み合わせる構造になっているため、爪状磁極を有するコアの寸法精度が要求され、製造が容易でないという問題があった。例えば、冷間鍛造によって安価に大量生産する場合には、各爪状磁極部の寸法精度が低下するため、第3のコアの溝に挿入する際に隙間が生じて異音が発生したり、締め代がきつすぎて第3のコアが変形するなどの不具合が考えられる。爪状磁極部の形状を切削等で成形することでこのような不具合はなくなるが、工程の追加になるため、コスト増加につながってしまう。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、製造が容易であって、回転子に生じる漏れ磁束や表面の渦電流の発生を低減することができる車両用交流発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用交流発電機は、界磁巻線に通電することによりN極とS極に励磁される回転子と、回転子に対向して配置された固定子とを有しており、回転子は、外周側に爪状磁極部を有しないポールコアと、ポールコアの外周部に配置された薄板を積層した円環状の薄板積層コアと、薄板積層コアに形成された磁石配置穴に収納された第1の永久磁石とを備えている。固定子に対向する回転子の外周部を薄板積層コアで形成することにより、回転子表面に発生する渦電流を低減することができる。また、ポールコアは爪状磁極部を有しない比較的単純な形状となっているため、製造が容易となる。さらに、単純な円環形状の薄板積層コアを用いて回転子を構成することにより、共振周波数を使用回転域よりも高くすることができ、爪状磁極部が振動することによる異音の発生を防止することができる。
【0006】
また、上述した磁石配置穴の径方向には、薄板積層コアの径方向の厚みを薄くした薄肉部が形成されていることが望ましい。これにより、磁石配置穴に挿入されて永久磁石のN極とS極の間で薄板積層コアを介して生じる漏れ磁束を低減することができる。
【0007】
また、上述した第1の永久磁石は、周方向に着磁されており、周方向に隣接する第1の永久磁石の着磁方向を互いに反対向きに設定することにより、隣接する2つの第1の永久磁石に挟まれた領域をN極あるいはS極とすることが望ましい。これにより、周方向沿って薄板積層コアの各領域を交互にS極とN極に設定することが可能になるとともに、これらの各磁極間で発生する漏れ磁束を低減することができる。
【0008】
また、上述したポールコアの外周部には、磁石配置穴と異なる周方向位置に凹部が形成されており、凹部に収納された第2の永久磁石をさらに備えることが望ましい。あるいは、上述したポールコアの外周部には、磁石配置穴と異なる周方向位置にV字状の凹部が形成されていることが望ましい。これにより、薄板積層コアとポールコアの対向する磁極が同じ場合にこれらの間で流れる磁束を遮ることが可能になり、固定子に対向する薄板積層コアの面全体をN極あるいはS極として用いることが可能になる。
【0009】
また、上述した薄板積層コアは、周方向に隣接する磁石配置穴の間に形成された磁性芯配置穴を有しており、磁性芯配置穴には、軸方向に沿って延在する磁性芯が挿入されることが望ましい。これにより、軸方向の磁気抵抗を低減することが可能になり、回転子と固定子との間で流れる磁束を増やすことができる。
【0010】
また、上述した回転子は、ポールコアと薄板積層コアの軸方向端面にプロジェクション溶接により固定される冷却ファンを備えており、冷却ファンに設けられたプロジェクション溶接用の突起部の位置を薄板積層コアとポールコアの軸方向端面の境界位置に一致させることが望ましい。これにより、ポールコアに対する冷却ファンの固定と薄板積層コアの固定とを同時に行うことができ、工程の簡略化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した一の実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態の車両用交流発電機の全体構造を示す断面図である。例えば、冷却ファンを内蔵する車両用交流発電機の構造が示されている。図1に示す車両用交流発電機1は、回転子2、固定子3、ブラシ装置4、整流装置5、電圧制御装置6、ドライブフレーム7、リヤフレーム8、プーリ9等を含んで構成されている。
【0013】
回転子2は、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁巻線21を、ポールコア22、23によって、回転軸24を通して両側から挟み込んだ構造を有している。また、ポールコア22、23の外周側には、永久磁石が内包された薄板積層コア200が固定されており、ポールコア22、23と一体となって回転するようになっている。薄板積層コア200とこれに組み合わされるポールコア22、23の詳細については後述する。
【0014】
フロント側(プーリ9側)のポールコア22の端面には、フロント側から吸い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すために軸流式の冷却ファン25が溶接等によって取付け固定されている。同様に、リヤ側のポールコア23の端面には、リヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すために遠心式の冷却ファン26が溶接等によって取付け固定されている。また、回転軸24のリヤ側には界磁巻線21の両端に電気的に接続されたスリップリング27、28が形成されており、ブラシ装置4内のブラシ41、42をスリップリング27、28のそれぞれに押し当てた状態で組み付けることにより、整流装置5から界磁巻線21に対して励磁電流が供給されるようになっている。
【0015】
固定子3は、固定子鉄心31に形成された複数個のスロットに三相の固定子巻線32が所定の巻線方式で巻き回されている。また、固定子2は、ドライブフレーム7とリアフレーム8で挟み込むように固定されている。
【0016】
整流装置5は、三相の固定子巻線32に発生する交流の起電力を直流に整流して出力電流を得るためのものである。整流装置5は、配線用電極を内部に含む端子台51と、この端子台51を挟んで所定の間隔で固定される正極側放熱フィン52および負極側放熱フィン54と、正極側放熱フィン52に取り付けられる複数(例えば固定子巻線32の相数に合わせて3個)の正極側整流素子と、負極側放熱フィン54に取り付けられる複数個の負極側整流素子とを含んで構成されている。
【0017】
電圧制御装置6は、界磁巻線21に流す励磁電流を制御するものであり、電気負荷が軽くて出力電圧が高くなる場合には、界磁巻線21に対する電圧の印加を断続することにより、車両用交流発電機1の出力電圧を一定に保っている。プーリ9は、エンジン(図示せず)の回転を車両用交流発電機1内の回転子2に伝えるためのものであり、回転軸24の一方端(スリップリング27等と反対側)にナット91によって締め付け固定されている。また、ブラシ装置4、整流装置5および電圧制御装置6を覆うように樹脂製のリヤカバー92が取り付けられている。
【0018】
上述した構造を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ9にエンジンからの回転駆動力が伝えられると回転子2が所定方向に回転する。界磁巻線21に外部から励磁電圧を印加することによりポールコア22、23のそれぞれの爪部が励磁され、固定子巻線32に三相交流電圧を発生させることができ、整流装置5の出力端子からは所定の出力電流を取り出すことができる。以後、車両用交流発電機1自身の出力電圧が電圧制御装置6を介して界磁巻線21に印加されるため、外部からの励磁電圧の印加は不要となる。
【0019】
次に、回転子2の詳細について説明する。図2は、回転子2の側面図であり、スリップリング27、28側から見た形状が示されている。また、図3は回転子3に備わった薄板積層コア200を示す平面図である。図4は、リヤ側のポールコア23の平面図である。図5は、図4のV−V線断面図である。図6は、図2のVI−VI線断面図である。
【0020】
図4および図5に示すように、リヤ側のポールコア23は、小径部23aと大径部23bからなる爪状磁極部を持たない段付きの円筒形状を有している。フロント側のポールコア22も同様の形状を有しており、2つの小径部を突き合わせるとともに、その外周側に界磁巻線21を配置した状態で組み付けが行われる。大径部23bの外周部には、複数箇所(例えば8箇所)に凹部23cが形成されており、凹部23cを除く外周面22dに薄板積層コア200が加圧状態で接する。各凹部23cは、大径部23bの外周面に薄板積層コア200が嵌め込まれたときに、永久磁石210の収納部となる。なお、2箇所の溝部23eおよび凹部23fは、回転軸24に設けられたスリップリング27、28と界磁巻線21との間の配線を通すためものであり、フロント側のポールコア22には設けられていない。
【0021】
図2および図3に示すように、薄板積層コア200は、薄板を軸方向に積層することにより構成され、軸方向長さがポールコア22、23の軸方向長さの合計値と同じに設定されており、永久磁石220が挿入される軸方向に貫通した複数の磁石配置穴202と、磁性芯としての鉄芯230が挿入される軸方向に貫通した複数の磁性芯配置穴としての鉄芯配置穴204とを有する。図7は、鉄芯配置穴204に挿入される鉄芯230の斜視図である。鉄芯230は、円柱形状を有しており、薄板積層コア200の軸方向長さとほぼ等しい長さを有している。薄板積層コア200と固定子鉄心31とによって形成される磁気回路には、薄板積層コア200を軸方向に通過する磁束成分もあるため、この磁束に対する磁気抵抗を低減するために、軸方向に貫通した鉄芯配置穴204に挿入された鉄芯230が用いられている。
【0022】
磁石配置穴202と鉄芯配置穴204は、周方向に沿って交互に配置されており、それぞれの数および位置は回転子2の極数ピッチ、即ち固定子3の固定子巻線32によって形成される各相の磁極ピッチと一致している。各磁石配置穴202は、径方向に沿って長辺が配置された長方形形状を有している。また、各磁石配置穴202の短辺部分には凹部が形成されており、それぞれの短辺部分と薄板積層コア200の外周面あるいは内周面とを接近させて径方向の厚みを薄くした薄肉部202a、202bが形成されている。これらの薄肉部202a、202bは、磁石配置穴202に挿入された永久磁石220のS極とN極との間で薄板積層コア200を通して発生する漏れ磁束を低減するためのものである。また、磁石配置穴202に挿入される各永久磁石220は、磁石配置穴202の断面形状に合わせた直方体形状を有しており、薄板積層コア200の軸方向長さとほぼ等しい長さを有している。各永久磁石220は、周方向に沿って着磁されており、隣接する永久磁石220の極性が互いに反対向きとなるように配置される。また、ポールコア23の凹部23cに挿入される各永久磁石210は、径方向に沿って着磁されており、ポールコア23と同じ磁極が内径側となるように配置されている。
【0023】
図8は、本実施形態の回転子2と固定子3との間で発生する磁束の説明図である。例えば、図6に示すように、界磁巻線21に界磁電流が流れたときに、リヤ側のポールコア23がS極に着磁され、フロント側のポールコア22がN極に着磁されるものとする。
【0024】
図8に示すように、隣接する2つの永久磁石220のN極で挟まれた領域が回転子2のN極磁極を形成している。N極磁極の内周側には、反対方向に着磁された永久磁石210が配置されているため、このN極磁極で発生したほとんどの磁束が固定子鉄心31に向かい、その後、隣接する2つの永久磁石220のS極で挟まれた領域によって形成された回転子2のS極磁極に戻る。
【0025】
このように、本実施形態の車両用交流発電機1では、固定子3に対向する回転子2の外周部を薄板積層コア200で形成することにより、回転子2の表面に発生する渦電流を低減することができる。また、ポールコア22、23は爪状磁極部を有しない比較的単純な形状となっているため、製造が容易となる。さらに、単純な円環形状の薄板積層コア200を用いて回転子2を構成することにより、共振周波数を使用回転域よりも高くすることができ、爪状磁極部が振動することによる異音の発生を防止することができる。
【0026】
また、磁石配置穴202の径方向には、薄板積層コア200の径方向の厚みを薄くした薄肉部202a、202bが形成されているため、磁石配置穴202に挿入された永久磁石220のN極とS極の間で薄板積層コア200を介して生じる漏れ磁束を低減することができる。
【0027】
また、永久磁石220は周方向に着磁されており、周方向に隣接する永久磁石220の着磁方向を互いに反対向きにしているため、周方向に沿って薄板積層コア200の各領域を交互にS極とN極に設定することが可能になるとともに、これらの各磁極間で発生する漏れ磁束を低減することができる。
【0028】
また、上述したポールコア22、23の外周部には、磁石配置穴202と異なる周方向位置に凹部23cが形成されており、凹部23cに永久磁石220が収納されているため、薄板積層コア200とポールコア22、23の対向する磁極が同じ場合にこれらの間で流れる磁束を遮ることが可能になり、固定子3に対向する薄板積層コア200の面全体をN極あるいはS極として用いることが可能になる。
【0029】
また、薄板積層コア200には、周方向に隣接する磁石配置穴202の間に鉄芯配置穴204が形成されており、この鉄芯配置穴204には、軸方向に沿って延在する鉄芯230が挿入されているため、軸方向の磁気抵抗を低減することが可能になり、回転子2と固定子3との間で流れる磁束を増やすことができる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、ポールコア23等の外周部に凹部23cを形成してこの凹部23cに永久磁石220を配置したが、図9に示すように、この凹部23cをV字状の大きな凹部23gに置き換えてポールコア22、23と薄板積層コア200との間で直接流れる磁束を遮断するようにしてもよい。図10は、図9に示したポールコア23を用いた回転子2の側面図である。
【0031】
また、上述した実施形態では、冷却ファン25、26の固定方法については言及していないが、これらの冷却ファン25、26をプロジェクション溶接によってポールコア22、23の軸方向端面に固定するとともに、図11に示すように、冷却ファン25(冷却ファン26も同じ)に設けられたプロジェクション溶接用の突起部25aの位置を、薄板積層コア200とポールコア22の軸方向端面の境界位置に一致させるようにしてもよい。これにより、ポールコア22、23に対する冷却ファン25、26の固定と薄板積層コア200の固定とを同時に行うことができ、工程の簡略化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の全体構造を示す断面図である。
【図2】回転子の側面図である。
【図3】回転子に備わった薄板積層コアを示す平面図である。
【図4】リヤ側のポールコアの平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】鉄芯配置穴に挿入される鉄芯の斜視図である。
【図8】本実施形態の回転子と固定子との間で発生する磁束の説明図である。
【図9】ポールコアの変形例を示す平面図である。
【図10】図9に示したポールコアを用いた回転子の側面図である。
【図11】冷却ファンの固定方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 車両用交流発電機
2 回転子
3 固定子
4 ブラシ装置
5 整流装置
6 電圧制御装置
7 ドライブフレーム
8 リヤフレーム
9 プーリ
22、23 ポールコア
23c 凹部
200 薄板積層コア
202 磁石配置穴
204 鉄芯配置穴
210、220 永久磁石
230 鉄芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界磁巻線に通電することによりN極とS極に励磁される回転子と、前記回転子に対向して配置された固定子とを有する車両用交流発電機において、
前記回転子は、外周側に爪状磁極部を有しないポールコアと、前記ポールコアの外周部に配置された薄板を積層した円環状の薄板積層コアと、前記薄板積層コアに形成された磁石配置穴に収納された第1の永久磁石とを備えることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項2】
請求項1において、
前記磁石配置穴の径方向には、前記薄板積層コアの径方向の厚みを薄くした薄肉部が形成されていることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1の永久磁石は、周方向に着磁されており、
周方向に隣接する前記第1の永久磁石の着磁方向を互いに反対向きに設定することにより、隣接する2つの前記第1の永久磁石に挟まれた領域をN極あるいはS極とすることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ポールコアの外周部には、前記磁石配置穴と異なる周方向位置に凹部が形成されており、
前記凹部に収納された第2の永久磁石をさらに備えることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ポールコアの外周部には、前記磁石配置穴と異なる周方向位置にV字状の凹部が形成されていることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記薄板積層コアは、周方向に隣接する前記磁石配置穴の間に形成された磁性芯配置穴を有しており、
前記磁性芯配置穴には、軸方向に沿って延在する磁性芯が挿入されることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記回転子は、前記ポールコアと前記薄板積層コアの軸方向端面にプロジェクション溶接により固定される冷却ファンを備えており、
前記冷却ファンに設けられたプロジェクション溶接用の突起部の位置を前記薄板積層コアと前記ポールコアの軸方向端面の境界位置に一致させることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項1】
界磁巻線に通電することによりN極とS極に励磁される回転子と、前記回転子に対向して配置された固定子とを有する車両用交流発電機において、
前記回転子は、外周側に爪状磁極部を有しないポールコアと、前記ポールコアの外周部に配置された薄板を積層した円環状の薄板積層コアと、前記薄板積層コアに形成された磁石配置穴に収納された第1の永久磁石とを備えることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項2】
請求項1において、
前記磁石配置穴の径方向には、前記薄板積層コアの径方向の厚みを薄くした薄肉部が形成されていることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1の永久磁石は、周方向に着磁されており、
周方向に隣接する前記第1の永久磁石の着磁方向を互いに反対向きに設定することにより、隣接する2つの前記第1の永久磁石に挟まれた領域をN極あるいはS極とすることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ポールコアの外周部には、前記磁石配置穴と異なる周方向位置に凹部が形成されており、
前記凹部に収納された第2の永久磁石をさらに備えることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ポールコアの外周部には、前記磁石配置穴と異なる周方向位置にV字状の凹部が形成されていることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記薄板積層コアは、周方向に隣接する前記磁石配置穴の間に形成された磁性芯配置穴を有しており、
前記磁性芯配置穴には、軸方向に沿って延在する磁性芯が挿入されることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記回転子は、前記ポールコアと前記薄板積層コアの軸方向端面にプロジェクション溶接により固定される冷却ファンを備えており、
前記冷却ファンに設けられたプロジェクション溶接用の突起部の位置を前記薄板積層コアと前記ポールコアの軸方向端面の境界位置に一致させることを特徴とする車両用交流発電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−158147(P2006−158147A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348371(P2004−348371)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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