説明

車両用充電システム

【課題】 車両により待機電流値が異なった場合でも、確実に充電の開始制御および終了制御を行うことができ、待機電流の消費を防止して省電力化を図ることのできる車両用充電システムを提供する。
【解決手段】 制御部7と、車室に駐車した車両1の電源プラグ8が接続され電源幹線13から電力が供給されるコンセント9と、コンセント9に流れる電流値を測定する電流センサ15と、からなる充電ユニット6と、を備え、制御部7により、電流センサ15により給電開始時に検出された待機電流値をしきい値として設定し、充電中の電流値がしきい値より低くなった場合に充電完了と判断して充電を終了するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用充電システムに係り、特に、車両により待機電流値が異なった場合でも、確実に充電の開始制御および終了制御を行うことを可能とした車両用充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車が普及しつつあり、電気自動車に対する充電システムが開発されてきている。このような充電システムにおいては、電気自動車を駐車場に駐車させた際に、複数の車両に対して充電することが行われている。
【0003】
ここで、複数のバッテリに対して充電を行う場合に、初期に電力を供給したときの、電流値の情報に基づいて、充電容量などを表示するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−238178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、充電する対象が、例えば、携帯用ビデオカメラなどの比較的小容量のバッテリに対する技術であり、電気自動車などの大容量のバッテリを備えた車両に対しては、適用が困難である。
【0006】
一方、車両に対して充電する手段としては、一般家庭用の電源を用いた家庭用充電と、急速充電とが考えられる。しかしながら、急速充電は、充電時間は短いものの、設備が大規模となり、設備コストが高くなってしまうという問題を有している。また、家庭用充電は、一般的な商用電力で充電が可能であるが、充電に時間がかかるという問題を有している。さらに、複数のコンセントを用意することにより、複数の車両に対して充電が可能であるが、複数の少量に対応するためには、合計総電力が多く必要となり、使用する電線も太いものを用いる必要があり、設備工事も大掛かりなものとなってしまうという問題を有している。
【0007】
また、車両に充電を行う場合に、コンセントに流れる電流値を検出し、給電を開始した後、電流値が0になった場合に、充電が完了したと判断して充電を終了するように制御すれば、充電の終了を判断することが可能であるが、給電を開始してから充電が開始されるまでの間、および充電が終了した後には、充電電流よりも低い電流値の待機電流が流れることがある。そのため、電流値が0となった場合に、充電が完了したものと判断する制御では、待機電流を消費することとなり、電力の無駄が生じてしまうという問題を有している。
【0008】
そのため、電流値に一定のしきい値を設定し、電流値がこのしきい値より低くなった場合に、充電が完了したと判断して充電を終了するようにすることもできるが、待機電流値は、車両の種類や製造メーカーによって異なることから、車両の種類によっては、しきい値の設定により、待機電流値がしきい値より高くなってしまうことがあり、やはり、電力の無駄が生じてしまうという問題を有している。
【0009】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、車両により待機電流値が異なった場合でも、確実に充電の開始制御および終了制御を行うことができ、待機電流の消費を防止して省電力化を図ることのできる車両用充電システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る車両用充電システムは、電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される複数の車室と、
外部電源から電力が供給される電源幹線と、
制御部と、前記車室に駐車した車両の受電側接続器が接続され前記電源幹線から電力が供給される給電側接続器と、前記給電側接続器に流れる電流値を測定する電流センサと、を備えた充電ユニットと、を備え、
前記制御部は、前記電流センサにより給電開始時に検出された待機電流値をしきい値として設定し、充電中の電流値が前記しきい値より低くなった場合に充電完了と判断して充電を終了するように制御することを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記充電ユニットは、前記しきい値を超えてからの充電時間を測定するタイマを備えており、前記制御部は、前記タイマによる充電時間が一定時間経過した場合に、充電を終了するように制御することを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記タイマは、給電を開始してから一定時間の監視時間を測定するものであり、前記制御部は、前記監視時間中に電流値が前記しきい値を超えない場合に、充電を終了するように制御することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、電力供給を開始して待機電流が流れた後に、電流値が前記しきい値を超えた場合に、一定時間の計測を開始する充電開始判断タイマと、充電電流が流れている状態から、電流値が前記しきい値以下となった場合に、一定時間の計測を開始する充電終了判断タイマと、をさらに備え、
前記制御部は、電流値がしきい値を超えて前記充電開始判断タイマによる計測が開始され、一定時間が経過したときに、充電電流が流れている場合に、充電が開始されたものと判断するとともに、電流値が前記しきい値以下となり前記充電終了判断タイマによる計測が開始され、一定時間が経過したときに、待機電流が流れている場合に、充電が終了したものと判断することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項において、前記充電ユニットは、供給される電圧値を検出する電圧検出部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、制御部により、電流センサにより給電開始時に検出された待機電流値をしきい値として設定し、充電中の電流値がしきい値より低くなった場合に充電完了と判断して充電を終了するように制御するようにしているので、車両によって待機電流値が異なった場合でも、確実に充電を終了させることができる。その結果、充電時に、待機電流を消費してしまうことを防止することができ、省電力化を図ることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、制御部により、タイマによる充電時間が一定時間経過した場合に、充電を終了するように制御するようにしているので、充電の際の電流値がしきい値より低くならない場合でも、一定時間で充電を終了させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、制御部により、監視時間中に電流値がしきい値を超えない場合に、充電を終了するように制御するようにしているので、例えば、すでに満充電状態となっている場合など、充電が不要な場合に適正に充電を終了させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、制御部により、電流値がしきい値を超えて充電開始判断タイマによる計測が開始され、一定時間が経過したときに、充電電流が流れている場合に、充電が開始されたものと判断するとともに、電流値がしきい値以下となり充電終了判断タイマによる計測が開始され、一定時間が経過したときに、待機電流が流れている場合に、充電が終了したものと判断するようにしているので、待機電流または充電電流が流れている状態で、ノイズ電流が流れた場合でも、充電開始または充電終了を適正に判断することが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、充電ユニットに、供給される電圧値を検出する電圧検出部を設けるようにしているので、電圧検知部により供給される電圧値を検出することにより、接続不良やショートなどの異常や漏電などを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る車両用充電システムの第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る車両用充電システムの第1実施形態における充電電流の変化を示す説明図である。
【図3】本発明に係る車両用充電システムの第1実施形態における他の充電電流の変化を示す説明図である。
【図4】本発明に係る車両用充電システムの第1実施形態における充電動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る車両用充電システムの第1実施形態における給電動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る車両用充電システムの第2実施形態を示す概略構成図である。
【図7】本発明に係る車両用充電システムの第2実施形態におけるノイズ電流による充電を開始しないで充電を終了する場合の例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る車両用充電システムの第2実施形態におけるノイズ電流による充電の途中で充電を終了する場合の例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る車両用充電システムの第2実施形態におけるノイズ電流が流れても充電を適正に完了する場合の例作を示す説明図である。
【図10】本発明に係る車両用充電システムの第2実施形態における給電動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は本発明に係る車両用充電システムの第1実施形態を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の車両用充電システムは、例えば、電気自動車などのバッテリの電力で走行する車両1を駐車させるため、駐車場2に設置されるものであり、この駐車場2は、複数の車室3を備えている。
【0023】
また、車両用充電システムは、図示しない外部電源からの電力が供給される分電盤4を備えており、分電盤4には、漏電遮断器5が設置されている。また、車両用充電システムは、駐車場2の各車室3に設置された充電ユニット6を備えており、充電ユニット6には、各種制御を行う制御部7が設けられている。各充電ユニット6には、車室に駐車した車両1の受電側接続器としての電源プラグ8が差し込まれる給電側接続器としてのコンセント9が設けられている。本実施形態においては、コンセント9部分には、コンセント9部分を被覆するカバー部材10が設けられており、さらに、コンセント9部分には、制御部7の制御信号により、カバー部材10を閉状態に保持するロック機構11が設けられている。このロック機構11は、コンセント9に電源プラグ8が差し込まれた状態で、カバー部材10を閉状態に保持するものである。なお、カバー部材10を設けない場合には、ロック機構11として、コンセント9に差し込まれた電源プラグ8が抜けないように保持する機構で構成するようにしてもよい。
【0024】
また、充電ユニット6には、コンセント9に電気的に接続された電力開閉器12が設けられており、電力開閉器12は、電源幹線13との接続を開閉するスイッチであり、分電盤4からの電源幹線13が漏電遮断器14を介して接続されている。また、充電ユニット6には、コンセント9に送られる電流値を検出して制御部7に送る電流センサ15が設けられており、充電ユニット6には、コンセント9に供給される電圧値を検出する電圧検知部16が設けられている。
【0025】
さらに、充電ユニット6には、充電スイッチ17が配設されており、充電スイッチ17をON動作することにより、制御部7により電力開閉器12をON動作させるように構成されている。そして、電力開閉器12がON動作されると、電源幹線13とコンセント9とを接続してコンセント9に電源が供給されるように構成されている。さらに、充電ユニット6には、例えば、充電受付などの所定の案内表示を行う表示部18が設けられており、この表示部18は、例えば、案内表示の確認操作やキャンセル操作などの案内にしたがった操作を行うことができるように構成されている。さらに、充電ユニット6には、メモリ19およびタイマ20が配設されている。
【0026】
一般に、図2および図3に示すように、電力の供給を開始した直後の一定時間は、充電中に対して比較的少ない待機電流が流れ、その後、比較的多い充電電流が流れて充電が開始されるものである。そして、この待機電流は、電気自動車、ハイブリッド自動車あるいは電動スクーターなど車両1の種類や製造メーカーによって異なるものであり、例えば、図2および図3は、異なる車両1の充電中の電流値の変化を示したものであり、これによれば、待機電流値に大きな差があることがわかる。
【0027】
そのため、本実施形態においては、電力供給を開始した後、電流センサ15により、待機電流値を測定し、制御部7は、待機電流値をしきい値としてメモリ19に記憶させ、充電電流が流れて充電が行われた後に待機電流まで電流値が低下した場合に、充電完了と判断するように構成されている。そして、制御部7は、充電が完了したと判断した場合には、電力開閉器12をOFF動作させるように構成されており、これにより、電源幹線13とコンセント9とが切り離され、電力が完全に供給されない状態となる。
【0028】
次に、本実施形態の動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0029】
本実施形態においては、まず、電圧検知部16により、給電電圧を検知し(ST1)、電圧を検知しない場合は、充電が不可である旨を表示部18に表示させる(ST2)。電圧を検知した後、充電スイッチ17がONされた場合には(ST3)、充電ユニット6のカバー部材10を開いて、コンセント9に、車両1の充電プラグを差し込んだ後(ST4)、表示部18の案内表示にしたがって充電の確認を選択する(ST5)。その後、制御部7によりロック機構11を動作させてカバー部材10をロックさせ(ST6)、ロックが完了したら(ST7:YES)、給電が開始される(ST8)。一方、ロックが完了しない場合は(ST7:NO)、ロックできない旨の異常を報知する(ST9)。
【0030】
次に、給電動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0031】
まず、メモリ19に記憶されている電流しきい値を初期化した後(ST20)、電力供給をONにする(ST21)。そして、電流センサ15により、給電電流値を測定し(ST22)、電流値が0より大きい場合は、待機電流が流れているものと判断し、このときの電流値をしきい値として設定する(ST23)。一方、給電電流が0のままの場合は、電圧検知部16により電圧値を検出し(ST24)、電圧を検出できた場合は、電源プラグ8が接続されていない旨の異常を報知する(ST25)。また、電圧を検出できない場合は、ショートである旨の異常を報知する(ST26)。
【0032】
そして、タイマ20により、一定の監視時間を計測開始し(ST27)、監視時間中に給電電流値を測定し(ST28)、給電電流値がしきい値を超えた場合は、待機電流が流れたと判断して、タイマ20により充電時間を計測する(ST29)。一方、監視時間中に給電電流がしきい値を超えない場合は、例えば、すでに満充電であると判断して、監視時間が終了後(ST30)、充電を終了する。
【0033】
そして、給電電流値を測定し(ST31)、給電電流値がしきい値以下となった場合には、充電を終了する。また、給電電流値がしきい値以上の場合に、充電時間が終了したら(ST32)、電力供給をOFFにする(ST33)。
【0034】
そして、図4に示すように、充電が終了したら(ST10)、給電電流値を測定し(ST11)、電流値が0となったら、その後、カバー部材10のロック機構11を解除し(ST12)、利用者が電源プラグ8を外すことにより(ST13)、全ての充電動作が完了する。また、給電電流が0以上の場合は、OFFすることができない旨の異常を報知する(ST14)。なお、コンセント9を接続した後、キャンセルを選択した場合は(ST15)、電源プラグ8をコンセント9から外して充電を終了する(ST13)。
【0035】
以上述べたように、本実施形態においては、給電した際に、電流センサ15により待機電流を測定し、制御部7により測定した待機電流値をしきい値として設定し、電流値がしきい値より低くなった場合に、充電を終了させるようにしているので、車両1によって待機電流値が異なった場合でも、確実に充電を終了させることができる。その結果、充電時に、待機電流を消費してしまうことを防止することができ、省電力化を図ることができる。
【0036】
なお、前記実施形態においては、タイマ20により充電時間を計測し、電流値がしきい値より低くなっていない場合でも、充電時間が経過した場合には充電を終了させるようにしているが、充電時間の計測を行わず、電流値がしきい値より低くなった場合にのみ充電を終了させるように制御してもよい。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0038】
本実施形態においては、図6に示すように、充電ユニット6には、充電開始判断タイマ21および充電終了判断タイマ22がそれぞれ設けられている。そして、電力供給を開始した後、電流センサ15により、待機電流値を測定し、制御部7は、待機電流値をしきい値としてメモリ19に記憶させ、充電電流が流れて充電が行われた後に待機電流まで電流値が低下した場合に、充電完了と判断するように構成されている点については、前記第1実施形態と同様である。
【0039】
この場合に、本実施形態においては、電力供給を開始して待機電流が流れた後に、電流値がしきい値を超えた場合に、充電開始判断タイマ21により時間の計測を開始させるように構成されている。そして、制御部7は、電流値がしきい値を超えて充電開始判断タイマ21による計測が開始され、一定時間が経過した場合に、充電電流が流れている場合に、充電が開始されたものと判断するように構成されている。
【0040】
また、充電終了判断タイマ22は、充電電流が流れている状態から、電流値がしきい値以下となった場合に、充電終了判断タイマ22により時間の計測を開始するように構成されている。そして、制御部7は、電流値がしきい値以下となり充電終了判断タイマ22による計測が開始され、一定時間が経過した場合に、待機電流が流れている場合に、充電が終了したものと判断するように構成されている。
【0041】
電力を供給して待機電流あるいは充電電流が流れている状態においては、通常、何らかの理由により、ノイズ電流が流れてしまうことがある。このように場合に、電流値のしきい値のみにより制御してしまうと、ノイズ電流により、充電制御の誤動作が生じるおそれがある。すなわち、例えば、図7に示すように、電力供給を開始した後、待機電流が流れている状態で、しきい値を超えるノイズ電流が流れた場合に、ノイズ電流が流れたことにより、充電が開始されたと判断し、ノイズ電流がしきい値まで低下したことで、充電が終了したものと判断されてしまい、実際には、充電が開始されていないにもかかわらず、充電が終了してしまうことがある。また、例えば、図8に示すように、充電電流が流れている状態で、しきい値以下となるノイズ電流が流れた場合に、充電が終了したものと判断してしまい、充電が終了してしまうことがある。
【0042】
本実施形態においては、このようなノイズ電流による不都合を解消するものであり、前述のように、充電開始判断タイマ21および充電終了判断タイマ22により、一定時間が経過した時に、充電電流または待機電流が流れている場合に、充電が開始または終了したものと判断するようにしているので、例えば、図9に示すように、待機電流が流れている状態で、しきい値を超えるノイズ電流が流れた場合でも、充電開始判断タイマ21による一定時間が経過するまでに、待機電流に戻れば、縦断開始とは判断されないことになる。また、充電電流が流れている状態で、しきい値以下となるノイズ電流が流れた場合でも、充電終了判断タイマ22による一定時間が経過するまでに、充電電流に戻れば、充電終了とは判断されないことになる。
【0043】
なお、その他の構成については、前記第1実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
次に、本実施形態の動作について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。なお、充電についての動作は前記第1実施形態と同様であるので、本実施形態においては、給電動作についてのみ説明する。
【0045】
本実施形態においては、まず、メモリ19に記憶されている電流しきい値および充電開始判断タイマ21、充電終了判断タイマ22をそれぞれ初期化した後(ST40)、電力供給をONにする(ST41)。そして、電流センサ15により、給電電流を測定し(ST42)、電流値が0より大きい場合は、待機電流が流れているものと判断し、このときの電流値をしきい値として設定する(ST43)。一方、給電電流が0のままの場合は、電圧検知部16により電圧値を検出し(ST44)、電圧を検出できた場合は、電源プラグ8が接続されていない旨の異常を報知する(ST45)。また、電圧を検出できない場合は、ショートである旨の異常を報知する(ST46)。
【0046】
そして、タイマ20により、一定の監視時間を計測開始し(ST47)、監視時間中に給電電流を測定し(ST48)、給電電流値がしきい値を超えた場合は、充電開始判断タイマ21により一定時間計測する(ST49)。その後、充電開始判断タイマ21により、一定時間の計測が終了するまでに、給電電流値がしきい値を超えた場合でも、そのまま充電開始判断タイマ21による計測は継続される。そして、充電開始判断タイマ21により一定時間の計測が終了したら(ST50:YES)、充電電流が流れたと判断して、タイマ20により充電時間を計測する(ST51)。一方、監視時間中に給電電流がしきい値を超えない場合は、例えば、すでに満充電であると判断して、監視時間が終了後(ST52)、充電を終了する。
【0047】
そして、給電電流値を測定し(ST53)、給電電流値がしきい値以下となった場合には、充電終了判断タイマ22により一定時間計測する(ST54)。そして、充電終了判断タイマ22により一定時間の計測が終了するまでに、給電電流値がしきい値以下となった場合でも、充電時間が終了まではそのまま充電終了判断タイマ22による計測は継続される。そして、充電終了判断タイマ22により一定時間の計測が終了した場合(ST55:YES)および給電電流がしきい値以上の場合に充電時間が終了した場合には(ST56)、充電を終了し、電力供給をOFFにする(ST57)。
【0048】
以上述べたように、本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、給電した際に、電流センサ15により待機電流を測定し、制御部7により測定した待機電流値をしきい値として設定し、電流値がしきい値より低くなった場合に、充電を終了させるようにしているので、車両1によって待機電流値が異なった場合でも、確実に充電を終了させることができる。その結果、充電時に、待機電流を消費してしまうことを防止することができ、省電力化を図ることができる。さらに、本実施形態においては、充電開始判断タイマ21および充電終了判断タイマ22により、一定時間の計測中に、待機電流値がしきい値を超えたい場合および充電電流値がしきい値以下となった場合でも、充電開始または充電終了と判断しないようにしているので、待機電流または充電電流が流れている状態で、ノイズ電流が流れた場合でも、充電開始または充電終了を適正に判断することが可能となる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
2 駐車場
3 車室
4 分電盤
6 充電ユニット
7 制御部
8 電源プラグ
9 コンセント
10 カバー部材
11 ロック機構
12 電力開閉器
13 電源幹線
14 漏電遮断機
15 電流センサ
16 電圧検知部
17 充電スイッチ
18 表示部
19 メモリ
20 タイマ
21 充電開始判断タイマ
22 充電終了判断タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両を駐車可能とした駐車場に設置される複数の車室と、
外部電源から電力が供給される電源幹線と、
制御部と、前記車室に駐車した車両の受電側接続器が接続され前記電源幹線から電力が供給される給電側接続器と、前記給電側接続器に流れる電流値を測定する電流センサと、を備えた充電ユニットと、を備え、
前記制御部は、前記電流センサにより給電開始時に検出された待機電流値をしきい値として設定し、充電中の電流値が前記しきい値より低くなった場合に充電完了と判断して充電を終了するように制御することを特徴とする車両用充電システム。
【請求項2】
前記充電ユニットは、前記しきい値を超えてからの充電時間を測定するタイマを備えており、前記制御部は、前記タイマによる充電時間が一定時間経過した場合に、充電を終了するように制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項3】
前記タイマは、給電を開始してから一定時間の監視時間を測定するものであり、前記制御部は、前記監視時間中に電流値が前記しきい値を超えない場合に、充電を終了するように制御することを特徴とする請求項2に記載の車両用充電システム。
【請求項4】
電力供給を開始して待機電流が流れた後に、電流値が前記しきい値を超えた場合に、一定時間の計測を開始する充電開始判断タイマと、充電電流が流れている状態から、電流値が前記しきい値以下となった場合に、一定時間の計測を開始する充電終了判断タイマと、をさらに備え、
前記制御部は、電流値がしきい値を超えて前記充電開始判断タイマによる計測が開始され、一定時間が経過したときに、充電電流が流れている場合に、充電が開始されたものと判断するとともに、電流値が前記しきい値以下となり前記充電終了判断タイマによる計測が開始され、一定時間が経過したときに、待機電流が流れている場合に、充電が終了したものと判断することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用充電システム。
【請求項5】
前記充電ユニットは、供給される電圧値を検出する電圧検出部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−34506(P2012−34506A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172479(P2010−172479)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】