説明

車両用内装パネル

【課題】本体パネルの割れを抑制しつつ、軽量化を図る。
【解決手段】本発明のインストルメントパネル10は、空調装置等の車両構造体16を覆うインストルメントパネル本体12と、センタ空調ダクト22等を構成するダクト構成部材14とを備えている。ダクト構成部材14は、インストルメントパネル本体12と車両構造体16との間に車両構造体16と離間して配置された補強部40,42を有している。この補強部40,42には、それぞれインストルメントパネル本体12側に凸を成しその先端に荷重受け面44Aを有する複数の凸部44と、この複数の凸部44の基端側を連結する連結部46とが形成されている。複数の凸部44のうち少なくともいずれか複数の凸部44の荷重受け面44Aは、インストルメントパネル本体12における車両構造体16側の面に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用内装パネルとしては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、特許文献1には、車室を構成する構造部材を覆うトリム部材の裏面に、格子状やハニカム状の衝撃吸収用リブが一体に形成された衝撃エネルギ吸収構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−58507号公報
【特許文献2】特開平11−129840号公報
【特許文献3】特開2004−306852号公報
【特許文献4】特表2005−514560号公報
【特許文献5】特開平7−61307号公報
【特許文献6】特表2007−504050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、軽量化のためにトリム部材を薄くしようとすると、成形時にリブの影響によってトリム部材の意匠面にヒケが生じる虞がある。このため、このヒケを抑制するためには、リブを細くする必要がある。
【0005】
ところが、リブを細くした場合には、車両衝突時に乗員等がトリム部材と衝突し、このトリム部材に衝撃が加わったときに、リブの根元に応力が集中し、このリブを起点としてトリム部材に割れが発生する虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、本体パネルの割れを抑制しつつ、軽量化を図ることができる車両用内装パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用内装パネルは、車室内に設けられ、車両に備えられた車両構造体を覆う本体パネルと、前記本体パネルと前記車両構造体との間に前記車両構造体と離間して配置された補強部を有すると共に、前記補強部に、それぞれ前記本体パネル側に凸を成しその先端に荷重受け面を有する複数の凸部と、前記複数の凸部の基端側を連結する連結部とが形成され、且つ、前記複数の凸部のうち少なくともいずれか複数の凸部の荷重受け面が前記本体パネルにおける前記車両構造体側の面に接合された補強部材と、を備えている。
【0008】
この車両用内装パネルによれば、補強部材は、本体パネルと車両構造体との間に本体パネルを補強するための補強部を有している。この補強部は、車両構造体と離間されており、これにより、本体パネルと車両構造体との間には、本体パネルの衝撃吸収ストロークが確保されている。従って、車両衝突時に例えば乗員等が本体パネルと衝突し、この本体パネルに衝撃が加わった場合でも、この衝撃吸収ストロークの範囲内(補強部が車両構造体と多少当接する場合も含む)において本体パネルが変形することにより衝撃を吸収することができる。
【0009】
ここで、上述の補強部には、それぞれ本体パネル側に凸を成しその先端に荷重受け面を有する複数の凸部と、この複数の凸部の基端側を連結する連結部とが形成されている。また、この複数の凸部のうち少なくともいずれか複数の凸部の荷重受け面は、本体パネルにおける車両構造体側の面に接合されている。
【0010】
従って、この本体パネルにおける車両構造体側の面に接合された複数の凸部の間の閉断面によって本体パネルの剛性が向上されるので、この本体パネルに衝撃が加わったときでも、本体パネルが必要以上に変形されることを抑制することができる。しかも、この本体パネルに衝撃が加わったときには、各凸部の荷重受け面で衝撃荷重を受けるので、各荷重受け面で応力が分散され、本体パネルにおける特定の部分に応力が集中することも抑制される。これにより、本体パネルに衝撃が加わった場合でも、本体パネルの割れを抑制することができる。
【0011】
また、このように本体パネルを補強する構造とすることにより、本体パネルの薄肉化が可能となり、軽量化を図ることもできる。
【0012】
請求項2に記載の車両用内装パネルは、請求項1に記載の車両用内装パネルにおいて、前記本体パネルが、前記車両構造体を構成する空調装置を覆うインストルメントパネル本体とされ、前記補強部材が、前記空調装置から送出された空気を前記インストルメントパネル本体に形成された吹出口に案内する送風ダクトを構成するダクト構成部材とされた構成とされている。
【0013】
この車両用内装パネルによれば、ダクト構成部材を補強部として利用しているので、部品点数の増加を回避して、更なる軽量化を図ることができる。
【0014】
請求項3に記載の車両用内装パネルは、請求項2に記載の車両用内装パネルにおいて、前記補強部が、前記ダクト構成部材における前記送風ダクト以外の部分に形成された構成とされている。
【0015】
この車両用内装パネルによれば、補強部が、ダクト構成部材における送風ダクト以外の部分に形成されているので、例えば、送風ダクトの配置や形状に制約を与えたり、送風ダクト内の空気の流れに影響を与えたりすることを回避することができる。
【0016】
請求項4に記載の車両用内装パネルは、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用内装パネルにおいて、前記複数の凸部が、互いに並列する第一群の凸部と第二群の凸部との間に直線状の折れ線が存在しないように全体的に配列された構成とされている。
【0017】
この車両用内装パネルによれば、互いに並列する第一群の凸部と第二群の凸部との間に直線状の折れ線が存在しないので、補強部の折れを抑制して、補強部の剛性を確保することができる。
【0018】
請求項5に記載の車両用内装パネルは、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用内装パネルにおいて、前記複数の凸部が、全体としてハニカム状を成すように互いに連続して形成された構成とされている。
【0019】
この車両用内装パネルによれば、複数の凸部が全体としてハニカム状を成すので、補強部の折れを抑制して、補強部の剛性を確保することができる。
【0020】
請求項6に記載の車両用内装パネルは、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用内装パネルにおいて、前記複数の凸部が、それぞれ平面視にて波形状又はジグザグ状を成す長手状に形成されると共に、互いに並列されて、互いに隣り合う一方の凸部と他方の凸部との間に直線状の折れ線が存在しない構成とされたものである。
【0021】
この車両用内装パネルによれば、互いに隣り合う一方の凸部と他方の凸部との間に直線状の折れ線が存在しないので、補強部の折れを抑制して、補強部の剛性を確保することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上詳述したように、本発明の車両用内装パネルによれば、本体パネルの割れを抑制しつつ、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両用内装パネルの分解斜視図である。
【図2】図1に示されるダクト構成部材に形成された補強部を車両上下方向下側(裏側)から見た要部拡大斜視図である。
【図3】図1に示される車両用内装パネルの要部拡大断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態における補強部の変形例を示す要部拡大平面図である。
【図5】本発明の第一実施形態における補強部のその他の変形例を示す要部拡大平面図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る車両用内装パネルの分解斜視図である。
【図7】図6に示されるダクト構成部材に形成された補強部を車両上下方向上側(表側)から見た要部拡大斜視図である。
【図8】図6に示される車両用内装パネルの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0025】
なお、各図における矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(右側)をそれぞれ示している。
【0026】
図1に示されるように、本発明の第一実施形態に係る車両用内装パネルとしてのインストルメントパネル10は、本体パネルとしてのインストルメントパネル本体12と、補強部材としてのダクト構成部材14とを備えている。
【0027】
インストルメントパネル本体12は、樹脂製とされており、図示しない左右のフロントピラー間に架け渡されたインパネリインフォースメントに取り付けられている。このインストルメントパネル本体12は、車室内に設けられており、車両に備えられた空調装置やエアバッグ装置等からなる車両構造体16を車両上下方向上側から覆っている。
【0028】
このインストルメントパネル本体12には、その中央部に対する両側に右側パネル部18及び左側パネル部20が形成されている。この右側パネル部18及び左側パネル部20は、後述する補強部40,42によってそれぞれ補強されている。
【0029】
なお、このインストルメントパネル10は、左ハンドル車用とされている。つまり、このインストルメントパネル10において、左側は、運転席側とされており、右側は、助手席側とされている。
【0030】
ダクト構成部材14は、樹脂製とされており、インストルメントパネル本体12と車両構造体16との間に設けられている。このダクト構成部材14は、送風ダクトとしてのセンタ空調ダクト22、センタデフロスタダクト24、サイド空調ダクト26、サイドデフロスタダクト28を構成している。
【0031】
センタ空調ダクト22及びセンタデフロスタダクト24は、上述の空調装置から送出された空気をインストルメントパネル本体12の中央部に形成された吹出口としてのセンタ空調吹出口32及びセンタデフロスタ吹出口34にそれぞれ案内している。一方、サイド空調ダクト26及びサイドデフロスタダクト28は、上述の空調装置から送出された空気をインストルメントパネル本体12の車両幅方向外側に形成された吹出口としてのサイド空調吹出口36及び図示しないサイドデフロスタ吹出口にそれぞれ案内している。
【0032】
また、ダクト構成部材14には、センタ空調ダクト22、センタデフロスタダクト24、サイド空調ダクト26、サイドデフロスタダクト28以外の部分で、且つ、上述の右側パネル部18及び左側パネル部20と車両上下方向に対向する部位に、補強部40,42がそれぞれ形成されている。
【0033】
なお、この一対の補強部40,42は、略同様の構成とされている。従って、ここでは、右側(助手席側)の補強部40について説明し、左側(運転席側)の補強部42については、説明を省略する。
【0034】
補強部40には、図2に示されるように、車両上下方向上側(インストルメントパネル本体12側)に凸を成す複数のビード状の凸部44が形成されている。この複数の凸部44は、この複数の凸部44の基端側(車両上下方向下側)を連結する連結部46が全体としてハニカム状を成すように全体的に配列されている。
【0035】
つまり、この複数の凸部44は、互いに並列する第一群の凸部(例えば、図2の四角Aで囲まれた互いに上下方向に並列する複数の凸部44)と、第二群の凸部(例えば、図2の四角Bで囲まれた互いに上下方向に並列する複数の凸部44)との間に直線状の折れ線が存在しないように全体的に配列されている。
【0036】
すなわち、換言すれば、第一群の凸部44と第二群の凸部44との間に境界線Lを設定した場合に、この境界線L上に第一群に属する各凸部44の一部と第二群に属する各凸部44の一部が位置するようになっている。
【0037】
なお、この複数の凸部44は、互いに上下方向に並列する複数の凸部を第一群の凸部及び第二群の凸部とした場合だけでなく、互いに左右方向に並列する複数の凸部や互いに斜め方向に並列する複数の凸部を第一群の凸部及び第二群の凸部とした場合にも、第一群の凸部と第二群の凸部との間に直線状の折れ線が存在しないように全体的に配列されている。
【0038】
また、この複数の凸部44の先端面は、荷重受け面44Aとされており、平面状に形成されている。この各荷重受け面44Aは、図3に示されるように、右側パネル部18の裏面18A(車両構造体16側の面)に例えば溶着等により接合されている。
【0039】
また、この補強部40では、複数の凸部44の間に、補強部40と右側パネル部18とによって、閉断面48が形成されている。そして、右側パネル部18と連結部46との間に配置された凸部44の側壁44Bが補強リブの役割を果たすようになっている。
【0040】
さらに、この補強部40は、図3に示されるように、インストルメントパネル本体12によって覆われた車両構造体16と車両上下方向に離間して配置されている。
【0041】
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
このインストルメントパネル10によれば、図1に示されるように、ダクト構成部材14は、右側パネル部18と車両構造体16との間に、この右側パネル部18を補強するための補強部40を有している。この補強部40は、図3に示されるように、上述の車両構造体16と車両上下方向に離間されており、これにより、右側パネル部18と上述の車両構造体16との間には、右側パネル部18の衝撃吸収ストロークが確保されている。
【0043】
従って、車両衝突時に例えば乗員の頭部等が右側パネル部18と二次衝突し、この右側パネル部18に衝撃が加わった場合でも、この衝撃吸収ストロークの範囲内(補強部40が車両構造体16と多少当接する場合も含む)において右側パネル部18が変形することにより衝撃を吸収することができる。
【0044】
ここで、上述の補強部40には、図3に示されるように、それぞれ車両上下方向上側に凸を成しその先端に荷重受け面44Aを有する複数の凸部44と、この複数の凸部44の基端側を連結する連結部46とが形成されている。また、この複数の凸部44の荷重受け面44Aは、いずれも右側パネル部18の裏面18Aに接合されている。
【0045】
従って、この複数の凸部44の間に形成された閉断面48によって右側パネル部18の剛性が向上されるので、この右側パネル部18に衝撃が加わったときでも、右側パネル部18が必要以上に変形されることを抑制することができる。しかも、この右側パネル部18に衝撃が加わったときには、各荷重受け面44Aで衝撃荷重を受けるので、各荷重受け面44Aで応力が分散され、右側パネル部18における特定の部分に応力が集中することも抑制される。これにより、右側パネル部18に衝撃が加わった場合でも、右側パネル部18の割れを抑制することができる。
【0046】
また、図2に示されるように、複数の凸部44は、上述の如く、第一群の凸部と第二群の凸部との間に直線状の折れ線が存在しないように全体的に配列されているので、補強部40の折れを抑制して、補強部40の剛性を確保することができる。
【0047】
なお、図1に示される左側(運転席側)の補強部42は、右側(助手席側)の補強部40と同様な構成とされているので、これにより、左側パネル部20を補強することができる。従って、例えば、左側パネル部20を手で触れた場合などにおいても、左側パネル部20が凹むことを抑制することができる。
【0048】
また、このように右側パネル部18及び左側パネル部20を補強する構造とすることにより、この右側パネル部18及び左側パネル部20を含むインストルメントパネル本体12全体の薄肉化が可能となり、軽量化、低コスト化を図ることもできる。
【0049】
さらに、図1に示されるように、ダクト構成部材14の一部を補強部40,42として利用しているので、部品点数の増加を回避して、更なる軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0050】
また、この補強部40,42は、ダクト構成部材14におけるセンタ空調ダクト22、センタデフロスタダクト24、サイド空調ダクト26、サイドデフロスタダクト28以外の部分に形成されているので、例えば、これらのダクトの配置や形状に制約を与えたり、これらのダクト内の空気の流れに影響を与えたりすることを回避することができる。
【0051】
また、例えば、図3に示されるダクト構成部材14(補強部40)の板厚を十分に薄くすれば、複数の凸部44の間の閉断面48が共鳴セルとしての役割を果たすので、音の共鳴効果による吸音効果も発揮することができる。これにより、インストルメントパネル本体12の裏側に配置する吸音材を小型化できるか又は廃止することができる。
【0052】
次に、本発明の第一実施形態の変形例について説明する。
【0053】
上記実施形態において、複数の凸部44は、それぞれ平面視六角形で形成されていたが、上述の如く互いに並列する第一群の凸部と第二群の凸部との間に直線状の折れ線が存在しないように全体的に配列されていれば、その他の形状(例えば、平面視円形や四角形等)で形成されていても良い。
【0054】
また、上記実施形態において、複数の凸部44の荷重受け面44Aは、いずれも右側パネル部18の裏面18Aに接合されていたが、この複数の凸部44のうちいずれか(例えば、6個の凸部44に囲まれた中央の凸部44)の荷重受け面44Aは、右側パネル部18の裏面18Aに接合されていなくても良い。つまり、複数の凸部44のうち少なくともいずれか複数の凸部44の荷重受け面44Aが右側パネル部18の裏面18Aに接合されていれば良い。
【0055】
また、上記実施形態において、複数の凸部44は、次のように構成されていても良い。すなわち、図4に示される変形例において、複数の凸部44は、それぞれ平面視にて波形状を成す長手状に形成されると共に、互いに並列されている。そして、この複数の凸部44は、互いに隣り合う一方の凸部44と他方の凸部44との間に直線状の折れ線が存在しない構成とされている。
【0056】
すなわち、換言すれば、互いに隣り合う一方の凸部44の一部44Pが他方の凸部44の他の一部44Qと複数の凸部44の配列方向にオーバラップされており(そのオーバラップ長はLo)、一方の凸部44と他方の凸部44との間に境界線Lを設定した場合に、この境界線L上に一方の凸部44の一部44Pと他方の凸部44の他の一部44Qが位置するようになっている。
【0057】
この構成によっても、上記実施形態と同様に、補強部40の折れを抑制して、補強部40の剛性を確保することができる。
【0058】
なお、複数の凸部44は、それぞれ平面視にて波形状を成すように形成される以外に、例えば、図5に示される変形例のように、それぞれ平面視にてジグザグ状を成すように形成されていても良い。
【0059】
また、上記実施形態において、補強部40,42は、ダクト構成部材14におけるセンタ空調ダクト22、センタデフロスタダクト24、サイド空調ダクト26、サイドデフロスタダクト28以外の部分に形成されていたが、例えば、これらのダクトの配置や形状に制約を与えたり、これらのダクト内の空気の流れに影響を与えたりすることを回避することができる場合には、これらのダクトに形成されていても良い。
【0060】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0061】
図6に示される本発明の第二実施形態に係る車両用内装パネルとしてのインストルメントパネル50は、上述の本発明の第一実施形態に係るインストルメントパネル10に対し、ダクト構成部材14の代わりに、補強部材としてのダクト構成部材54を備えている。
【0062】
なお、本発明の第二実施形態において、インストルメントパネル本体12については、本発明の第一実施形態のものと同一の構成とされている。
【0063】
ダクト構成部材54は、図6に示されるように、第一パネル56と、この第一パネル56に対する車両上下方向下側に配置された第二パネル58とによって構成されており、インストルメントパネル本体12と車両構造体16との間に設けられている。
【0064】
このダクト構成部材54は、送風ダクトとしてのセンタ空調ダクト62、センタデフロスタダクト64、サイド空調ダクト66、サイドデフロスタダクト68を構成している。
【0065】
つまり、センタ空調ダクト62は、第一パネル56に形成された第一ダクト部62Aと、第二パネル58に形成された第二ダクト部62Bとによって構成されている。また、センタデフロスタダクト64は、第一パネル56に形成された第一ダクト部64Aと、第二パネル58に形成された第二ダクト部64Bとによって構成されている。
【0066】
同様に、サイド空調ダクト66は、第一パネル56に形成された第一ダクト部66Aと、第二パネル58に形成された第二ダクト部66Bとによって構成されている。また、サイドデフロスタダクト68は、第一パネル56に形成された第一ダクト部68Aと、第二パネル58に形成された第二ダクト部68Bとによって構成されている。
【0067】
このセンタ空調ダクト62、センタデフロスタダクト64、サイド空調ダクト66、サイドデフロスタダクト68は、上述の本発明の第一実施形態におけるセンタ空調ダクト22、センタデフロスタダクト24、サイド空調ダクト26、サイドデフロスタダクト28と同様の構成とされている。
【0068】
また、ダクト構成部材54には、センタ空調ダクト62、センタデフロスタダクト64、サイド空調ダクト66、サイドデフロスタダクト68以外の部分で、且つ、上述の右側パネル部18及び左側パネル部20と車両上下方向に対向する部位に、補強部70,72がそれぞれ形成されている。
【0069】
なお、この一対の補強部70,72は、略同様の構成とされている。従って、ここでは、右側(助手席側)の補強部70について説明し、左側(運転席側)の補強部72については、説明を省略する。
【0070】
補強部70は、第一パネル56に形成された第一補強パネル部74と、第二パネル58に形成された連結部としての第二補強パネル部76とによって構成されている。
【0071】
第一補強パネル部74には、図7に示されるように、車両上下方向下側に凸を成す複数のビード82が形成されている。この複数のビード82は、上述のインストルメントパネル本体12に形成された右側パネル部18(図1参照)に沿う互いに交差する二方向(X方向、Y方向)に並んで形成されている。
【0072】
ここで、この複数のビード82の底面82Aを基準面にした場合、この第一補強パネル部74には、この複数のビード82の隣り合う底面82Aの間に、車両上下方向上側に凸を成す凸部84がそれぞれ形成されていると言える。この複数の凸部84は、全体としてハニカム状を成すように互いに連続して形成されている。
【0073】
この複数の凸部84の先端面は、図8に示されるように、荷重受け面84Aとされており、平面状に形成されている。この各荷重受け面84Aは、右側パネル部18の裏面18A(車両構造体16側の面)に例えば溶着等により接合されている。また、上述の各ビード82の底面82Aは、第二補強パネル部76に接合されており、これにより、複数の凸部84の基端側(車両上下方向下側)は、第二補強パネル部76によって連結されている。
【0074】
また、この補強部70では、複数の凸部84の間に、第一補強パネル部74と右側パネル部18とによって、閉断面88が形成されている。また、各凸部84と第二補強パネル部76とによって、閉断面90が形成されている。そして、右側パネル部18と第二補強パネル部76との間に配置された凸部84の側壁84Bが補強リブの役割を果たすようになっている。
【0075】
さらに、この補強部70は、インストルメントパネル本体12によって覆われた車両構造体16と車両上下方向に離間して配置されている。
【0076】
次に、本発明の第二実施形態の作用及び効果について説明する。
【0077】
このインストルメントパネル50によれば、図6に示されるように、ダクト構成部材54は、右側パネル部18と車両構造体16との間に、この右側パネル部18を補強するための補強部70を有している。この補強部70は、図8に示されるように、上述の車両構造体16と車両上下方向に離間されており、これにより、右側パネル部18と上述の車両構造体16との間には、右側パネル部18の衝撃吸収ストロークが確保されている。
【0078】
従って、車両衝突時に例えば乗員の頭部等が右側パネル部18と二次衝突し、この右側パネル部18に衝撃が加わった場合でも、この衝撃吸収ストロークの範囲内(補強部70が車両構造体16と多少当接する場合も含む)において右側パネル部18が変形することにより衝撃を吸収することができる。
【0079】
ここで、上述の補強部70には、図8に示されるように、それぞれ車両上下方向上側に凸を成しその先端に荷重受け面84Aを有する複数の凸部84と、この複数の凸部84の基端側を連結する第二補強パネル部76とが形成されている。また、この複数の凸部84の荷重受け面84Aは、いずれも右側パネル部18の裏面18Aに接合されている。
【0080】
従って、この複数の凸部84の間において第一補強パネル部74とインストルメントパネル本体12とで形成された閉断面88と、各凸部84と第二補強パネル部76とで形成された閉断面90とによって右側パネル部18の剛性が向上されるので、この右側パネル部18に衝撃が加わったときでも、右側パネル部18が必要以上に変形されることを抑制することができる。しかも、この右側パネル部18に衝撃が加わったときには、各荷重受け面84Aで衝撃荷重を受けるので、この荷重受け面84Aで応力が分散され、右側パネル部18における特定の部分に応力が集中することも抑制される。これにより、右側パネル部18に衝撃が加わった場合でも、右側パネル部18の割れを抑制することができる。
【0081】
また、図7に示されるように、複数の凸部84は、全体としてハニカム状を成すように互いに連続して形成されているので、補強部70の折れを抑制して、補強部70の剛性を確保することができる。
【0082】
なお、図6に示される左側(運転席側)の補強部72は、右側(助手席側)の補強部70と同様な構成とされているので、これにより、左側パネル部20を補強することができる。従って、例えば、左側パネル部20を手で触れた場合などにおいても、左側パネル部20が凹むことを抑制することができる。
【0083】
また、このように右側パネル部18及び左側パネル部20を補強する構造とすることにより、この右側パネル部18及び左側パネル部20を含むインストルメントパネル本体12全体の薄肉化が可能となり、軽量化、低コスト化を図ることもできる。
【0084】
さらに、図6に示されるように、ダクト構成部材54の一部を補強部70,72として利用しているので、部品点数の増加を回避して、更なる軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0085】
また、この補強部70,72は、ダクト構成部材54におけるセンタ空調ダクト62、センタデフロスタダクト64、サイド空調ダクト66、サイドデフロスタダクト68以外の部分に形成されているので、例えば、これらのダクトの配置や形状に制約を与えたり、これらのダクト内の空気の流れに影響を与えたりすることを回避することができる。
【0086】
また、例えば、図8に示されるダクト構成部材54(第一補強パネル部74を含む第一パネル56及び第二補強パネル部76を含む第二パネル58)の板厚を十分に薄くすれば、閉断面88,90が共鳴セルとしての役割を果たすので、音の共鳴効果による吸音効果も発揮することができる。これにより、インストルメントパネル本体12の裏側に配置する吸音材を小型化できるか又は廃止することができる。
【0087】
次に、本発明の第二実施形態の変形例について説明する。
【0088】
上記実施形態において、複数の凸部84の荷重受け面84Aは、いずれも右側パネル部18の裏面18Aに接合されていたが、この複数の凸部84のうちいずれかの荷重受け面84Aは、右側パネル部18の裏面18Aに接合されていなくても良い。つまり、複数の凸部84のうち少なくともいずれか複数の凸部84の荷重受け面84Aが右側パネル部18の裏面18Aに接合されていれば良い。
【0089】
同様に、複数のビード82の底面82Aが全て第二補強パネル部76に接合されている必要は無く、複数のビード82のうちいずれか複数のビード82の底面82Aが第二補強パネル部76に接合されていれば良い。
【0090】
また、上記実施形態において、複数の凸部84は、全体的としてハニカム状を成すように形成されていたが、上述の本発明の第一実施形態における変形例(図4,図5参照)と同様に、平面視にて波形状又はジグザグ状を成すように形成されていても良い。
【0091】
また、上記実施形態において、補強部70,72は、ダクト構成部材54におけるセンタ空調ダクト62、センタデフロスタダクト64、サイド空調ダクト66、サイドデフロスタダクト68以外の部分に形成されていたが、例えば、これらのダクトの配置や形状に制約を与えたり、これらのダクト内の空気の流れに影響を与えたりすることを回避することができる場合には、これらのダクトに形成されていても良い。
【0092】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0093】
また、本発明は、インストルメントパネル以外の車両用内装パネルに適用されても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0094】
10,50 インストルメントパネル
12 インストルメントパネル本体(本体パネル)
14,54 ダクト構成部材(補強部材)
16 車両構造体
22,62 センタ空調ダクト(送風ダクト)
24,64 センタデフロスタダクト(送風ダクト)
26,66 サイド空調ダクト(送風ダクト)
28,68 サイドデフロスタダクト(送風ダクト)
32 センタ空調吹出口(吹出口)
34 センタデフロスタ吹出口(吹出口)
36 サイド空調吹出口(吹出口)
40,42,70,72 補強部
44,84 凸部
44A,88A 荷重受け面
46 連結部
76 第二補強パネル部(連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設けられ、車両に備えられた車両構造体を覆う本体パネルと、
前記本体パネルと前記車両構造体との間に前記車両構造体と離間して配置された補強部を有すると共に、前記補強部に、それぞれ前記本体パネル側に凸を成しその先端に荷重受け面を有する複数の凸部と、前記複数の凸部の基端側を連結する連結部とが形成され、且つ、前記複数の凸部のうち少なくともいずれか複数の凸部の荷重受け面が前記本体パネルにおける前記車両構造体側の面に接合された補強部材と、
を備えた車両用内装パネル。
【請求項2】
前記本体パネルは、前記車両構造体を構成する空調装置を覆うインストルメントパネル本体とされ、
前記補強部材は、前記空調装置から送出された空気を前記インストルメントパネル本体に形成された吹出口に案内する送風ダクトを構成するダクト構成部材とされている、
請求項1に記載の車両用内装パネル。
【請求項3】
前記補強部は、前記ダクト構成部材における前記送風ダクト以外の部分に形成されている、
請求項2に記載の車両用内装パネル。
【請求項4】
前記複数の凸部は、互いに並列する第一群の凸部と第二群の凸部との間に直線状の折れ線が存在しないように全体的に配列されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用内装パネル。
【請求項5】
前記複数の凸部は、全体としてハニカム状を成すように互いに連続して形成されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用内装パネル。
【請求項6】
前記複数の凸部は、それぞれ平面視にて波形状又はジグザグ状を成す長手状に形成されると共に、互いに並列されて、互いに隣り合う一方の凸部と他方の凸部との間に直線状の折れ線が存在しない構成とされている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用内装パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate