説明

車両用内装材

【課題】光輝部を各部位ごとに所望の輝度で光輝させることのできる車両用内装材を得る。
【解決手段】車両用内装材1は、車室R内に面する内装材1の一部に設けられ、透光性を有する光輝部4と、当該光輝部4の裏面側に設けられ、所定の厚さを有するとともに裏面側に錐形の微小凹部9が多数形成された透明板材で形成された導光板8と、当該導光板8の少なくとも一端面10に配置され、導光板8内部に光Lを入射させる光源12,13と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用内装材として、自動車のドアトリムやルーフライニング等の内装材の一部に透光性を有する光輝部を設け、その裏面側に配された導光板を発光させることにより光輝部を光輝させ、内装材全体としての意匠性を高めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、導光板は透明樹脂内に透明微粒子を均一に分散させた構造をしており、一端面に配置された光源からの光を導光板内部に入射させて他端面側へ伝播する際に、導光板内部の透明微粒子で光を散乱させることで光輝部全体を発光させている。
【特許文献1】特開2004−256035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の構造では、透明微粒子は粒径および形状が均一ではなく、各透明微粒子によって光散乱特性が異なるため、光輝部の発光にムラが生じてしまうおそれがある。また、透明樹脂内に透明微粒子を分散させることで導光板を製造しているため、透明微粒子を透明樹脂内の所定位置に正確に配置させることができず、導光板全体の輝度を均一にしたり、導光板の所定部位の輝度を高めたりすることができなかった。このように、従来の技術では、導光板の各部位ごとの輝度を自由に設定することができないため、光輝部を各部位ごとに所望の輝度で光輝させることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、光輝部を各部位ごとに所望の輝度で光輝させることのできる車両用内装材を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車室内に面する内装材の一部に設けられ、透光性を有する光輝部と、当該光輝部の裏面側に設けられ、所定の厚さを有するとともに裏面側に錐形の微小凹部が多数形成された透明板材で形成された導光板と、当該導光板の少なくとも一端面に配置され、導光板内部に光を入射させる光源と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用内装材において、前記導光板の一端面に前記光源が配置されるとともに、当該導光板の他端面に反射シートが設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用内装材において、前記光輝部と前記導光板との間に透明支持体を介在させたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の車両用内装材において、前記光源として発光色の異なる複数種類のLEDを用い、当該複数種類のLEDを前記導光板の少なくとも一端面に沿って配列したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、所定の厚さを有する透明板材の裏面側に錐形の微小凹部を多数形成することで、各微小凹部によって散乱する光の散乱特性をほぼ同一にすることができるため、導光板をより均一に発光させることができる。その結果、内装材の一部に形成された光輝部をより均一に光輝させることができるため、内装材全体としての意匠性を高めることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、導光板の他端面に反射シートが設けられているため、一端面側から入射されて他面側に達した光が反射シートにより一端側へ反射され、導光板の輝度の均一性をさらに向上させることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、光輝部と導光板との間に透明支持体を介在させているため、導光板の形状は変更させずに、透明支持体の表面形状を変更するだけで、光輝部の表面形状を変更させることができる。すなわち、導光板の構造を複雑な構造にする必要がないため、成形時に導光板に歪みが生じる等して光学的性能が低下してしまうのを抑制しつつ光輝部の形状自由度を向上させることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、発光色の異なるLEDを用いることで、種々の発光色で導光板を発光させることができるようになるため、内装材の意匠性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかるドアトリムを示す側面図、図2は、ドアトリムの分解斜視図、図3は、図1のA−A断面図、図4は、光源から出射された光が導光板内部に入射する様子を模式的に示す図、図5は、LEDを示す斜視図、図6は、導光板の裏面を示す側面図、図7は、導光板の拡大断面図である。
【0015】
本実施形態では、ドアガラス2が昇降自在に支持されているドアパネル(図示せず)にドアトリム1が取付けられている。ドアトリム1の上部には開口部3が形成されており、そこに第1光輝部4と第2光輝部5が上下に隣接した状態で設けられている。第1光輝部4は、第2光輝部5よりも大きく開口部3の下部に設けられている。一方、第2光輝部5は、開口部3の上部に設けられている。本実施形態では、第2光輝部5は、スペーサ6を介して第1光輝部4の上方に設けられている。
【0016】
第1光輝部4は、ファブリック(織物)製で、非透明だが薄いため透光性を有している。この第1光輝部4は、所定の厚さを有する第1透明支持材(透明支持体)7の表面(車室R側の面)に接合されている。第1透明支持材7は、表面が上下端で湾曲した立体形状をしており、そこに第1光輝部4が接合されることで、第1光輝部4に立体形状が付与されるとともに、第1光輝部4の表面がドアトリム1と略一致するようになっている。
【0017】
また、第1透明支持材7の裏面(車体側の面)は略平坦になっており、そこに第1導光板8が設けられている。
【0018】
すなわち、本実施形態では、第1透明支持材7が、第1光輝部4と第1導光板8との間に介在するように設けられている。
【0019】
したがって、第1光輝部4と第1導光板8との間に介在させた第1透明支持材7の表面形状を適宜変更することで、第1光輝部4の表面形状を自由に設定することができる。さらに、本実施形態では、第1光輝部4と第1導光板8との間に第1透明支持材7を介在させているため、第1光輝部4の表面形状を変更させる際に、第1導光板8の構造を複雑な構造にする必要がなく、成形時に第1導光板8に歪みが生じる等して光学的性能が低下してしまうのを抑制しつつ第1光輝部4の形状自由度を向上させることができる。
【0020】
第1導光板8は、所定の厚さを有する透明板材で形成されており、透明板材の裏面には円錐状の微小凹部9が多数形成されている。この透明板材として、アクリル板、ポリエステル板、塩化ビニル板等の透明樹脂の成形品を用いるのが好適である。
【0021】
本実施形態では、第1導光板8は、金型による射出成形により製造されている。そして、円錐状の微小凹部9は、内面に微小突起が設けられた金型を用いて製造することにより付与される。したがって、微小凹部9の形状をほぼ同一の形状とすることができる上、正確な位置に微小凹部9を形成することができる。しかも、第1導光板8は、金型による射出成形により製造されるため、第1導光板8を容易に製造することができる。本実施形態では、微小凹部9は、第1導光板8の裏面に均一に設けられている。
【0022】
第1導光板8の下端面(一端面)10には、ケース11に収納された光源として発光色の異なる2種類(複数種類)のLED12,13が下端面10に沿った状態で複数配列されている。本実施形態では、LED12,13として、青色のLED12と黄色のLED13を用い、当該2種類のLED12,13を基板14上に交互に配置させている。
【0023】
そして、本実施形態では、同じ種類のLED(例えば、青色のLED12)だけをそれぞれ選択して点灯させることができるようにするとともに、両方の種類のLEDを同時に点灯させることができるようにしている。
【0024】
第1導光板8の上端面(他端面)15には反射シート16が設けられている。反射シート16は、白色の高反射率材料のシートであり、アルミニウムや銀等の金属膜を蒸着等により付着させたものである。なお、金属膜を蒸着等により付着させるかわりにアルミ、銀等の金属テープを接着させてもよい。
【0025】
次に、第2光輝部5側の構造を説明する。
【0026】
第2光輝部5は、薄い樹脂製で表面には木目調の図柄が印刷されている。この第2光輝部5も非透明だが薄いため透光性を有するものである。そして、第1導光板8と同様に、第2光輝部5も第2透明支持材(透明支持体)17の表面に接合され、第2透明支持材17の裏面には第2導光板18が配置されている。この第2導光板18の基本構造は、第1導光板8と同様である。ただし、ケース19に収納されたLED20は第2導光板18の上端面に設けられ、反射シート21は下端面に設けられている。そして、第2導光板18側には、白色のLED20が配置されている。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0028】
まず、第1光輝部4側では、LED12,13を点灯させない場合には、第1光輝部4がファブリックのため、その模様や風合いによる意匠効果を得ることができる。本実施形態では、この第1光輝部4が不透明なため、内部の第1導光板8等が透けて見えることが抑制され、見映えを向上させることができる。
【0029】
そして、LED12,13を点灯させた場合には、点灯させたLED12,13の色により第1導光板8が発光し、その発光色が第1透明支持材7及び第1光輝部4を透過して車室R側に照射されるため、第1光輝部4が光輝した状態となり、非点灯時とは異なった意匠効果を得ることができる。本実施形態では、青色のLED12だけを点灯させると、第1光輝部4全体が青く光り、黄色のLED13だけを点灯させると、第1光輝部4全体が白熱色に光り、青色と黄色のLED12,13の両方を点灯させると、第1光輝部4が空色に光り、それぞれ異なった意匠効果を得ることができるようにしている。
【0030】
LED12,13から発せられた光Lは、第1導光板8の下端面10から内部に入射する。そして、第1導光板8内に入射した光Lが、第1導光板8内で反射を繰り返す過程で円錐状の微小凹部9により拡散されて第1導光板8の表面から出射する。本実施形態では、ほぼ同一形状の微小凹部9が第1導光板8の裏面に均一に設けられているため、第1光輝部4の表面から散乱光が均一に照射されることとなる。
【0031】
また、本実施形態では、LED12,13から遠い上端面15に反射シート16が設けられているため、上端面15側に達した光Lが下端面10側に反射され、光Lの減衰による発光ムラを防止し、第1導光板8の輝度の均一性をより向上させることができる。
【0032】
第1光輝部4の上方に位置する第2光輝部5も同様に、非点灯時には木目調のデザインによる意匠効果があり、LED20の点灯時にはLED20の発光により、第2光輝部5が光輝し、非点灯時とは異なった意匠効果を得ることができる。また、反射シート21による効果は第1光輝部4と同様である。なお、本実施形態では、LED20の発光色を一色としたが、複数種類の発光色のLEDを用い、異なった意匠効果を得ることができるようにしてもよい。
【0033】
また、第1光輝部4と第2光輝部5とは、同時に光輝させてもよいし、どちから一方だけを光輝させてもよい。同時に光輝させた場合でも、第1導光板8と第2導光板18の間にはスペーサ6が介在しているため、光が互いに干渉してしまうのを抑制することができる。
【0034】
(第2実施形態)図8は、本実施形態にかかるルーフライニングを下から見た図、図9は、図8のB−B断面図である。なお、本実施形態は、上記第1実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0035】
本実施形態では、車室R側に面した内装材としてのルーフライニング22と、その上方に位置するルーフパネル23と、の間に、一対の導光板24が設けられている。
【0036】
ルーフライニング22は、クロス製で非透明だが透光性を有している。ルーフライニング22のうち、導光板24に対応する範囲が光輝部22aとなっており、導光板24を発光させることにより、その光輝部22aが導光板24の発光色に応じた光輝状態となる。
【0037】
本実施形態の導光板24は、上面(裏面)側に円錐状の微小凹部9が形成されている。また、導光板24は左右両側の端面にケース25に収納したLED26が配置され、両側からLED26の光を導光板24内に導入できるようになっている。
【0038】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる上、左右両側の端面にケース25に収納したLED26を配置することで、上記第1実施形態よりも導光板24の輝度が高くなるとともに、輝度の均一性をより向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、導光板の裏面に微小凹部を均一に設けているが、導光板の裏面の一部に高密度の微小凹部を形成してもよい。こうすれば、導光板の一部の輝度を他の部位よりも高くすることができるため、光輝部を光輝させた際に、光輝部の所定部位の輝度を高めることができる。すなわち、導光板の裏面に形成される微小凹部の密度を適宜設定することにより、導光板の各部位ごとの輝度を自由に設定することができ、以て、光輝部の各部位ごとに所望の輝度が得られるようにすることができる。
【0041】
また、微小凹部の形状は円錐でなく、角錐でもよい。また、導光板は平板状のものである必要はなく、湾曲していてもよい。また、光源として種々の発光色のLEDを用いることができる。さらに、光源もLED等の点光源に限定されるものでなく、冷陰極管等の線光源を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるドアトリムを示す側面図。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるドアトリムの分解斜視図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる光源から出射された光が導光板内部に入射する様子を模式的に示す図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかるLEDを示す斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる導光板の裏面を示す側面図。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる導光板の拡大断面図。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるルーフライニングを下から見た図。
【図9】図8のB−B断面図。
【符号の説明】
【0043】
1 ドアトリム(内装材)
4 第1光輝部
5 第2光輝部
7 第1透明支持材(透明支持体)
8 第1導光板
9 微小凹部
10 下端面(一端面)
12、13、20、26 LED(光源)
15 上端面(他端面)
16、21 反射シート
17 第2透明支持材(透明支持体)
18 第2導光板
22 ルーフライニング(内装材)
24 導光板
L 光
R 車室内

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に面する内装材の一部に設けられ、透光性を有する光輝部と、
当該光輝部の裏面側に設けられ、所定の厚さを有するとともに裏面側に錐形の微小凹部が多数形成された透明板材で形成された導光板と、
当該導光板の少なくとも一端面に配置され、導光板内部に光を入射させる光源と、
を備えることを特徴とする車両用内装材。
【請求項2】
前記導光板の一端面に前記光源が配置されるとともに、当該導光板の他端面に反射シートが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用内装材。
【請求項3】
前記光輝部と前記導光板との間に透明支持体を介在させたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用内装材。
【請求項4】
前記光源として発光色の異なる複数種類のLEDを用い、当該複数種類のLEDを前記導光板の少なくとも一端面に沿って配列したことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の車両用内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−189067(P2008−189067A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23469(P2007−23469)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】