説明

車両用換気装置

【課題】車室内の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合、車外の汚染された空気の導入を抑制しながら、車室内の空気を清浄化することができる車両用換気装置を提供する。
【解決手段】車室12の内外を連通するように排気ダクト14を設ける。排気ダクト14には、車室12内の空気を排気ダクト14を介して排出させるための排気ファン18を設ける。車室12内の空気の二酸化炭素濃度を検出するための二酸化炭素濃度センサ21を設ける。その二酸化炭素濃度センサ21の検出結果が規定値を越えた場合、排気ファン18を動作させて、車室12内の空気を排気ダクト14を介して車室12外に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用車等の車両において、車室内の空気の調整を行うための車両用換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車室内の空気の調整を行うための車両用空調装置としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。この従来装置においては、車室内の二酸化炭素濃度を検出するための濃度センサが設けられている。そして、この濃度センサにより、人体に不快感を与えるレベルの二酸化炭素濃度が検出された場合には、空調装置が外気導入モードまたは内外気混合モードに切替えられて、空調装置を介して車外から車室内に空気が導入される。また、濃度センサにより、人体に悪影響を及ぼすレベルの二酸化炭素濃度が検出された場合には、空調装置が外気導入モードに切替えられるとともに、窓ガラスが開放されて、空調装置及び窓を介して車外から車室内に大量の空気が強制的に導入される。
【特許文献1】特開2000−71752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上のように、この従来装置においては、車室内の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合、空調装置が外気導入モードに切替えられ、あるいは窓ガラスが開放されて、車外から車室内に空気が積極的に導入される。このため、例えば車両がトンネル内を走行している場合のように、車外の空気環境が悪いときには、車外の汚染された空気が車室内に否応なく導入されて、二酸化炭素濃度が低下したとしても、搭乗者が不快感を覚えるという問題があった。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、車室内の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合、搭乗者に不快感を与えるおそれが生じることなく、車室内の空気を清浄化することができる車両用換気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、この発明は、車室の内外を連通する排気ダクトと、その排気ダクトに設けられ、車室内の空気を排気ダクトを介して排出させるためのファンと、車室内の空気の二酸化炭素濃度を検出するための濃度検出手段と、その濃度検出手段の検出結果に応じてファンを動作させるための制御手段とを備え、車室内の空気の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合には、前記ファンを動作させて、車室内の空気を排気ダクトを介して車外に排出させるようにしたことを特徴としている。
【0006】
従って、車室内の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合、車外の空気を空調装置等により大量に導入することなく、車室内の空気を車外に排出させることによって車室内の空気を清浄化することができる。よって、例えば車両がトンネル内を走行している場合のように、車外の空気環境が悪いときでも、車外の汚染された空気が車室内に大量に導入されるのを抑制することができて、快適性を向上させることができる。
【0007】
また、前記の構成において、前記排気ダクトにおけるファンの上流側に接続されるとともに、車室内に開口する分岐ダクトと、前記ファンを前記排気ダクトまたは分岐ダクトに対して選択に接続させるための切替手段と、車室内の温度を検出するための温度検出手段とを設け、車室内に搭乗者が存在しない場合であって、車室内の温度が規定値を越えた場合、前記制御手段は、前記切替手段が分岐ダクト側に切替えられた状態で、前記温度検出手段からの検出結果に基づいて前記ファンを動作させて、車室内の熱気を前記分岐ダクトを介して車外に排出させ、車室内に搭乗者が存在する場合であって、車室内の空気の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合、前記制御手段は、前記切替手段が排気ダクト側に切替えられた状態で、前記濃度検出手段からの検出結果に基づいて前記ファンを動作させて、車室内の空気を排気ダクトを介して車外に排出させるようにするとよい。
【0008】
このように構成した場合には、ファンを共用することにより、車室内の温度が規定値を越えた場合の換気と、車室内の空気の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合の換気とをそれぞれ行うことができて、装置の構造を簡素化することができる。
【0009】
なお、ここで、車室内の搭乗者の存在の有無は、何らかのスイッチの状態に基づいて制御手段が判断するものであり、このスイッチとしては、イグニションスイッチや、シートの着座検出スイッチ等が挙げられる。
【0010】
さらに、前記の構成において、前記排気ダクトの入口側の開口をシートの下部の位置に配置するとよい。このように構成した場合には、車室内の下部付近に滞留している二酸化炭素を排気ダクト内に効率よく取り込んで、車外へ短時間に排出することができる。
【0011】
さらに、前記制御手段は、車室内の空気の二酸化炭素濃度が既定値を越えた場合、車両の空調装置を外気遮断モードにするように構成するとよい。このようにすれば、車室内の空気が徐々入れ替えられ、汚染された外気が車室内に侵入することを抑制できる。
【0012】
ここで、外気遮断モードとは、空調ファンの回転の有無にかかわらず、空調装置が外気導入を遮断するモード、すなわち同空調装置を介して外気が導入されないモードを指す。従って、外気導入が遮断されていれば、空調ファンにより内気が積極的に循環されるモードはもちろん空調ファンが停止されているモードも外気遮断モードとする。
【0013】
さらに、前記の構成において、車室内の空気の二酸化炭素濃度が前記規定値よりも高い第2の規定値を越えた場合、前記制御手段は空調装置を外気導入モードにして、外気を車室内に強制導入させるようにするとよい。このように構成した場合には、二酸化炭素濃度が規定値よりも高い第2の規定値を越えたとき、車室内の空気を短時間で入れ替えることができる。
【0014】
さらに、前記の構成において、車外の空気の汚染状態を検出する汚染検出手段を設け、車室内の二酸化炭素濃度が第2の規定値を越えるとともに、車外の汚染度が規定値を越えない場合、前記制御手段は空調装置を外気導入モードで動作させ、車室内の二酸化炭素濃度が第2の規定値を越えるとともに、車外の汚染度が規定値を越えた場合、前記制御手段は空調装置を外気遮断モードにするとよい。このように構成した場合には、空調装置の動作に際して、車外の汚染度が規定値を越えているときでも、車外の汚染された空気が車室内に導入されることを抑制することができて、快適性を維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、車室内の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合、搭乗者に不快感を与えることなく、車室内の空気を車外に排出させることによって車室内の空気を清浄化することができるという効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明の第1実施形態を、図1〜図3に基づいて説明する。
図1に示すように、車両11には、車室12内の空気を車室12外に排出するための換気装置13が装備されている。すなわち、車両11の後側には、車室12の内外を連通する排気ダクト14が後部シート15の下面及び後面に沿って配置されている。排気ダクト14の入口側の開口14aは、後部シート15の下部前縁の位置に配置されている。排気ダクト14の出口側の開口14bは、トランクルーム16内に配置されている。トランクルーム16の下側部にはベントホール17が形成され、排気ダクト14の出口側の開口14bがトランクルーム16及びベントホール17を介して、車外に連通されている。
【0017】
前記排気ダクト14内の出口側の開口14b付近には、排気ファン18が配置されている。そして、この排気ファン18が図2に示す排気ファン用モータ19にて回転されることにより、車室12内の空気が排気ダクト14の入口側の開口14aから排気ダクト14内に取り込まれるとともに、その排気ダクト14を介してトランクルーム16内に導かれる。その後、トランクルーム16内に導かれた空気が、ベントホール17を介して車外に排出される。
【0018】
前記車室12内の下部、例えば前部シート20の下部には、車室12内の空気の二酸化炭素濃度を検出するための濃度検出手段としての二酸化炭素濃度センサ(以下、単に濃度センサという)21が配置されている。そして、この濃度センサ21により車室12内の空気の二酸化炭素濃度が検出されて、その検出結果が図2に示す後記制御装置31に出力される。
【0019】
図1に示すように、前記排気ダクト14における排気ファン18の上流側の部分には、分岐ダクト22が接続されている。この分岐ダクト22の入口側の開口22aは、車室12の後部のパッケージトレイ23上に配置されている。排気ファン18の上流側の位置には、排気ファン18を排気ダクト14または分岐ダクト22に対して選択に接続させるための切替手段としての切替ダンパ24が切替え回動可能に配置されている。
【0020】
そして、車室内に搭乗者が存在しないことを示すイグニションスイッチ(図示しない)のオフ時には、図2に示す切替ダンパ用モータ25により、この切替ダンパ24が図1に示す分岐ダクト22側の接続位置に切替え配置される。これに対して、車室内に搭乗者が存在することを示す前記イグニションスイッチのオン時には、切替ダンパ用モータ25により、切替ダンパ24が図3に示す排気ダクト14側の接続位置に切替え配置される。
【0021】
車室12、例えばインストルメントパネル26には、車室12内の温度を検出するための温度検出手段としての温度センサ27が配置されている。そして、この温度センサ27により車室12内の温度が検出されて、その検出結果が図2に示す制御装置31に出力される。
【0022】
次に、前記のような構成の換気装置13を制御するための回路構成について説明する。
図2に示すように、制御装置31は制御手段を構成し、記憶部32に格納されたプログラムに従って換気装置13の動作を制御する。記憶部32には、プログラムの実行に必要なデータ、例えば車室12内の空気の二酸化炭素濃度の規定値や、車室12内の温度の規定値等の諸データが記憶されている。なお、この規定値は濃度上限値と濃度許容値とにより構成され、例えば濃度上限値は0.5%,濃度許容値は0.3%である。
【0023】
前記制御装置31は、搭乗者が車室内に存在していることを表すイグニションスイッチのオン時に、濃度センサ21から車室12内の空気の二酸化炭素濃度の検出結果を入力するとともに、車室内に搭乗者が存在しないことを表すイグニションスイッチのオフ時に、温度センサ27から車室12内の温度の検出結果を入力する。また、制御装置31は、イグニションスイッチのオフ時に、切替ダンパ用モータ25に動作指令を出力して、切替ダンパ24を図1に示す分岐ダクト22側に切替えるとともに、イグニションスイッチのオン時に、切替ダンパ用モータ25に動作指令を出力して、切替ダンパ24を図3に示す排気ダクト14側に切替える。さらに、制御装置31は、濃度センサ21または温度センサ27からの検出結果に応じて、排気ファン用モータ19に動作指令を出力して、排気ファン18を動作させる。
【0024】
次に、前記のように構成された換気装置13の作用を説明する。
さて、イグニションスイッチのオフ時、例えば車両11の長時間駐車時には、図1に示すように、切替ダンパ24が分岐ダクト22側の接続位置に切替えられている。この車両11の駐車中に、車室12内の温度(気温)が記憶部32に記憶された規定値(例えば、70度)を越えると、温度センサ27からの検出結果に応じて、制御装置31から排気ファン用モータ19に動作指令が出力され、排気ファン18が回転される。この排気ファン18の回転により、車室12内の熱気が分岐ダクト22を介してトランクルーム16に導かれた後、ベントホール17を介して車外に排出される。そして、車室12内の温度が例えば60度に低下すると、排気ファン18が停止される。よって、車両11の長時間駐車中等に、車室12内の温度が異常に上昇することを防止できる。
【0025】
また、イグニションスイッチのオン時、例えば車両11の運転走行時には、図3に示すように、切替ダンパ用モータ25により切替ダンパ24が排気ダクト14側の接続位置に切替えられる。この車両11の運転走行中等に、空調装置(図示しない)が外気と遮断される例えば内気循環モード下において、車室12内の空気の二酸化炭素濃度が記憶部32に記憶された規定値の濃度上限値(0.5%)を越えると、濃度センサ21からの検出結果に応じて、制御装置31から排気ファン用モータ19に動作指令が出力され、排気ファン18が回転される。このため、車室12内の空気が排気ダクト14を介してトランクルーム16に導かれた後、ベントホール17を介して車外に排出されるとともに、その排出にともない車外の空気がドアの隙間等を通して車室内に少しずつ導入される。よって、車両11の運転走行中に、車室12内の空気の二酸化炭素濃度上昇により、搭乗者に不快感を与えたりすることを防止できる。そして、車室内の二酸化炭素濃度が許容値(0.3%)を下回ると、排気ファン18が停止される。
【0026】
よって、この第1実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
(1) 車室12内の二酸化炭素濃度の上昇時には、車室12外の空気を積極的に導入することなく、車室12内の空気を車外に排出させることによって、室内空気の二酸化炭素濃度低下が図られる。よって、例えば車両11がトンネル内を走行している場合のように、車室12外の空気環境が悪いときでも、車室12外の汚染された空気が車室12内に急激に大量に導入されることを抑制できて、高い快適性を得ることができる。
【0027】
(2) 車室12内の空気の排出に際しては、排気ダクト14の入口側の開口14aが後部シート15の下部前縁の位置に配置されているため、車室12内の下部付近に滞留している二酸化炭素を、開口14aから排気ダクト14内に効率よく取り込むことができる。よって、車室12内の二酸化炭素濃度の高い空気を、車室12外へ短時間に排出することができる。
【0028】
(3) 車両11の長時間駐車中等において、車室12内の温度が規定値を越えた場合と、車両11の運転走行中等において、車室12内の空気の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合との双方において、共通の排気ファン18の動作により、車室12内の空気の排出がそれぞれ行われる。このため、換気装置13の構造を簡素化することができる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に図4及び図5に基づいて説明する。
【0030】
さて、この第2実施形態においては、車室12内の空気の二酸化炭素濃度が前記第1実施形態における規定値の濃度上限値よりも高い第2の規定値(例えば1.0%)が設定されている。そして、車室12内の二酸化炭素濃度が第2の既定値を越えた場合には、インストルメントパネル26内の空調装置41が動作されるように構成されている。
【0031】
すなわち、前記空調装置41には、図4に示すように、車室12の内外を連通する外気導入ダクト42が設けられている。その外気導入ダクト42の入口側の開口42aは外部に向かって開放され、外気導入ダクト42の出口側の開口42bは車室12内に向かって開放されている。外気導入ダクト42の中央部には内気循環ダクト43が接続され、その内気循環ダクト43の入口側の開口43aはインストルメントパネル26の下部において車室12内に向かって開放されている。
【0032】
前記外気導入ダクト42において内気循環ダクト43の接続部よりも下流側の位置には、空調ファン44が配置されている。そして、図5に示す空調ファン用モータ45に対して制御装置31から指令信号が出力されることにより、空調ファン44が回転されて、車室12内の空気の調整が行われる。
【0033】
図4に示すように、前記外気導入ダクト42に対する内気循環ダクト43の接続部には、切替ダンパ46が切替え回動可能に配置されている。そして、図示しない空調切替えスイッチの操作等により外気遮断モードである内気循環モードが設定された場合には、図5に示す切替ダンパ用モータ47に対して制御装置31から指令信号が出力されることにより、切替ダンパ46が図4に実線で示す内気循環ダクト43側の接続位置に配置される。これに対して、外気導入モードが設定された場合には、切替ダンパ用モータ47により、切替ダンパ46が図4に鎖線で示す外気導入ダクト42側の接続位置に配置される。
【0034】
前記外気導入ダクト42の出口側の開口42b付近には、汚染検出手段としての窒素酸化物検出センサ(以下、NOxセンサという)48が配置されている。そして、車両11の運転走行中に、このNOxセンサ48により、車室12外の空気の汚染状態が検出されて、その検出結果が制御装置31に出力される。
【0035】
また、この第2実施形態においては、図5に示す記憶部32に、前記第1実施形態と同様に、記憶部32に車室12内の空気における二酸化炭素濃度の規定値、及び車室12内の温度の規定値が記憶されているほかに、前記のように二酸化炭素濃度の規定値よりも高い値の第2の規定値、及び車室12外の空気の汚染度を示す規定値も記憶されている。
【0036】
そして、イグニションスイッチのオフ時に、車室12内の温度が規定値を越えた場合には、前記第1実施形態の場合と同様に、温度センサ27の検出結果に応じて、換気装置13の排気ファン18が動作されて、車室12内の熱気が分岐ダクト22を介して車室12外に排出される。
【0037】
また、イグニションスイッチのオン時に、車室12内の空気の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合には、前記第1実施形態の場合と同様に、濃度センサ21の検出結果に応じて、換気装置13の排気ファン18が動作されて、車室12内の空気が排気ダクト14を介して車室12外に排出される。
【0038】
さらに、イグニションスイッチのオン時に、車室12内の空気の二酸化炭素濃度が前記規定値よりも高い第2の規定値を越えた場合には、前記の場合と同様に、換気装置13の排気ファン18が動作されて、車室12内の空気が排気ダクト14を介して車室12外に排出される。それとともに、空調装置41がNOxセンサ48からの検出結果に応じて、外気導入モードまたは内気循環モードに設定される。
【0039】
すなわち、車室12外の汚染度が規定値を越えていない場合には、空調装置41が外気導入モードに切替え設定されて、図4に鎖線で示すように、切替ダンパ46が外気導入ダクト42側の接続位置に配置される。そして、この状態で空調ファン44が回転されることにより、車室12外の空気が外気導入ダクト42を介して車室12内へ積極的に導入されて、車室12内の空気が速やかに清浄化される。
【0040】
これに対して、車室12外の汚染度が規定値を越えている場合には、空調装置41が内気循環モードに切替え設定されて、図4に実線で示すように、切替ダンパ46が内気循環ダクト43側の接続位置に配置され、空調装置41が外気に対して遮断状態となる。そして、車外の汚染状態が既定値を下回ることにより、空調装置41の切替ダンパ46が外気導入側に切り替えられて、車室12内の空気が迅速に入れ替えられる。
【0041】
従って、この第2実施形態においては、前記第1実施形態に記載の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(4) 二酸化炭素濃度が規定値よりも高い第2の規定値を越えたとき、空調装置41が外気導入モードになるため、車室12内の空気を効果的に清浄化することができる。
【0042】
(5) 前記空調装置41が換気装置13ともに動作される際に、車室12外の空気の汚染状態に応じて、空調装置41の動作状態が外気導入モードと内気循環モードとに切替えられる。このため、前記のように車室12外の空気の汚染度が第2の規定値を越えている場合には、空調装置41が外気導入モードで動作されて、車室12内の空気を速やかに入れ替えることができる。これに対して、例えば車両11がトンネル内を走行中で、車室12外の空気の汚染度が規定値を越えている場合には、空調装置41が内気循環モードで動作されて、車室12外の汚染された空気が車室12内に導入されることを抑制することができる。
【0043】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 排気ダクト14や分岐ダクト22を前記各実施形態と異なる位置、例えば車室12の天井を這わせること。
【0044】
・ 前記第2の実施形態おいて、二酸化炭素濃度の第2の既定値の検出にともなう外気導入モードにおいて、窓ガラスの開放が行われるように構成すること。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の車両用換気装置を備えた車両の概略断面図。
【図2】図1の車両用換気装置を制御するための回路構成を示すブロック図。
【図3】図1の車両用換気装置の異なった切り替え動作状態を示す概略断面図。
【図4】第2実施形態の車両用換気装置を備えた車両の概略断面図。
【図5】図4の車両用換気装置を制御するための回路構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0046】
11…車両、12…車室、13…換気装置、14…排気ダクト、14a…入口側の開口、15…後部シート、18…排気ファン、21…濃度検出手段としての二酸化炭素濃度センサ、22…分岐ダクト、22a…入口側の開口、24…切替手段としての切替ダンパ、27…温度検出手段としての温度センサ、31…制御手段としての制御装置、32…記憶部、41…空調装置、42…外気導入ダクト、43…内気循環ダクト、44…空調ファン、46…切替えダンパ、48…汚染検出手段としての窒素酸化物検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の内外を連通する排気ダクトと、
その排気ダクトに設けられ、車室内の空気を排気ダクトを介して排出させるためのファンと、
車室内の空気の二酸化炭素濃度を検出するための濃度検出手段と、
その濃度検出手段の検出結果に応じてファンを動作させるための制御手段とを備え、
車室内の空気の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合には、前記ファンを動作させて、車室内の空気を排気ダクトを介して車外に排出させるようにしたことを特徴とする車両用換気装置。
【請求項2】
前記排気ダクトにおけるファンの上流側に接続されるとともに、車室内に開口する分岐ダクトと、
前記ファンを前記排気ダクトまたは分岐ダクトに対して選択に接続させるための切替手段と、
車室内の温度を検出するための温度検出手段とを設け、
車室内に搭乗者が存在しない場合であって、かつ車室内の温度が規定値を越えた場合、前記制御手段は、前記切替手段が分岐ダクト側に切替えられた状態で、前記温度検出手段からの検出結果に基づいて前記ファンを動作させて、車室内の熱気を前記分岐ダクトを介して車外に排出させ、
車室内に搭乗者が存在する場合であって、車室内の空気の二酸化炭素濃度が規定値を越えた場合、前記制御手段は、前記切替手段が排気ダクト側に切替えられた状態で、前記濃度検出手段からの検出結果に基づいて前記ファンを動作させて、車室内の空気を排気ダクトを介して車外に排出させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用換気装置。
【請求項3】
前記排気ダクトの入口側の開口がシートの下部の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用換気装置。
【請求項4】
前記制御手段は、車室内の空気の二酸化炭素濃度が既定値を越えた場合、車両の空調装置を外気遮断モードにすることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の車両用換気装置。
【請求項5】
車室内の空気の二酸化炭素濃度が前記規定値よりも高い第2の規定値を越えた場合、前記制御手段は空調装置を外気導入モードにして、外気を車室内に強制導入させることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の車両用換気装置。
【請求項6】
車外の空気の汚染状態を検出する汚染検出手段を設け、
車室内の二酸化炭素濃度が第2の規定値を越えるとともに、車外の汚染度が規定値を越えない場合、前記制御手段は空調装置を外気導入モードで動作させ、
車室内の二酸化炭素濃度が第2の規定値を越えるとともに、車外の汚染度が規定値を越えた場合、前記制御手段は空調装置を外気遮断モードにすることを特徴とする請求項5に記載の車両用換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−40246(P2009−40246A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207978(P2007−207978)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】