説明

車両用灯具

【課題】理想の2つのランプ機能の配光パターンが得られること。
【解決手段】この発明は、放物面を基本とする第1反射面3および第2反射面4および第3反射面5と、第1光源6および第2光源7と、を備える。第1反射面3の光軸Z1−Z1は、車両軸と平行である。第2反射面4の光軸Z2−Z2は、車両の外側に向いている。第3反射面5の光軸Z3−Z3は、車両のやや外側に向いている。第1光源6の光源軸ZB1−ZB1は、車両軸と平行である。第2光源7の光源軸ZB2−ZB2は、車両軸と直交する。第1光源6からの光L1、L2、L3は、第1反射面3、第2反射面4、第3反射面5にそれぞれ入射する。第2光源7からの光L5、L6は、第2反射面4、第3反射面5にそれぞれ入射する。第2光源7からの光L4は、第2光源7の遮蔽部材18により遮蔽される。この結果、この発明は、理想の2つのランプ機能の配光パターンが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のランプ機能を有する車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、リフレクタと、リフレクタに設けられている第1反射面および第2反射面と、リフレクタに取り付けられている第1光源および第2光源と、を備えるものである。第1光源を点灯すると、第1光源からの光が第1反射面で反射して第1配光パターンが照射されて第1ランプ機能が得られ、第2光源を点灯すると、第2光源からの光が第2反射面で反射して第2配光パターンが照射されて第2ランプ機能が得られる。
【0003】
【特許文献1】特開平8−64011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、前記の従来の車両用灯具の改良という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(請求項1にかかる発明)は、1個のリフレクタと、そのリフレクタに設けられている第1反射面および第2反射面および第3反射面と、そのリフレクタに取り付けられている第1光源および第2光源と、を備え、第1反射面が、放物面を基本とし、車両軸に平行もしくはほぼ平行である光軸を有し、第2反射面が、放物面を基本とし、第1反射面の光軸に対して車両の外側に向いている光軸を有し、第3反射面が、放物面を基本とし、第1反射面の光軸に対して車両の外側に向き、かつ、第2反射面の光軸に対して車両の内側に向いている光軸を有し、第1光源が、車両軸と平行もしくはほぼ平行である光源軸と、第1反射面の焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、光が第1反射面および第2反射面および第3反射面にそれぞれ入射する発光部材と、を有し、第2光源が、第1光源の光源軸に対して交差する光源軸と、第2反射面の焦点および第3反射面の焦点もしくはその近傍に位置する発光部材と、その発光部材からの光を第2反射面および第3反射面にそれぞれ入射させ、かつ、その発光部材からの光のうち第1反射面に入射しようとする光を遮蔽する遮蔽部材と、を有する、ことを特徴とする。
【0006】
この発明(請求項2にかかる発明)は、第2光源が第1光源に対して車両の内側に位置する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項3にかかる発明)は、第2光源の発光部材の長手方向が第2光源の光源軸方向に一致する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、第1光源の発光部材を点灯すると、その第1光源の発光部材から放射される光が、第1反射面で反射されて第1配光パターンに形成され、また、第2反射面で反射されて第2配光パターンに形成され、さらに、第3反射面で反射されて第3配光パターンに形成され、その第1配光パターンと第2配光パターンと第3配光パターンとが重畳されて第1のランプ機能の配光パターンとして車両の前方に照射される。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、第1のランプ機能の配光パターンの光束(光度、照度、光量など)を上げることができる。
【0009】
また、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、第2光源の発光部材を点灯すると、その第2光源の発光部材から放射される光が、第2反射面で反射されて第4配光パターンに形成され、また、第3反射面で反射されて第5配光パターンに形成され、その第4配光パターンと第5配光パターンとが重畳されて第2のランプ機能の配光パターンとして車両の側方に照射される。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、第2のランプ機能の配光パターンの光束(光度、照度、光量など)を上げることができる。
【0010】
さらに、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、第2光源の発光部材から放射される光のうち第1反射面に入射しようとする光が遮蔽部材により遮蔽されるので、車両の側方に照射される第2のランプ機能の配光パターンとして最適である。すなわち、第2光源の発光部材から放射される光が第1反射面で反射されると、車両の前方(車両の中央)に照射される迷光の配光パターンが形成されるので、この車両の前方に照射される迷光の配光パターンを除くことにより、車両の側方に照射される第2のランプ機能の配光パターンとして最適である。
【0011】
さらにまた、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、第1のランプ機能の配光パターンと第2のランプ機能の配光パターンとが得られるので、車両に搭載するレイアウト設計の自由度が増す。
【0012】
さらにまた、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、1個のリフレクタで2つのランプ機能が得られるので、部品点数を軽減することができ、その分、コストを安価にすることができる。
【0013】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、光源軸が車両軸(第1光源の光源軸)に対して交差する第2光源が第1光源に対して車両の内側に位置する。このために、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、第2光源の交換作業を、車両の外側と比較してスペースが広く取れる車両の内側で、行うことができるので、第2光源の交換作業性が向上する。
【0014】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、光源軸が車両軸(第1光源の光源軸)に対して交差する第2光源の発光部材の長手方向が第2光源の光源軸方向に一致する。このために、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、横の広がりが拡がりかつ縦の広がりが抑制された第2のランプ機能の配光パターン、すなわち、明るい配光パターンであって、車両の側方を照射する配光パターンとして最適の配光パターンが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「F」は、自動車(車両)の前方向(自動車の前進方向)を示す。符号「B」は、自動車の後方向を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方向を見た上方向を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方向を見た下方向を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方向を見た場合の左方向を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方向を見た場合の右方向を示す。符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。符号「Z1−Z1」は、第1反射面の光軸を示す。符号「Z2−Z2」は、第2反射面の光軸を示す。符号「Z3−Z3」は、第3反射面の光軸を示す。符号「ZB1−ZB1」は、第1光源の光源軸を示す。符号「ZB2−ZB2」は、第2光源の光源軸を示す。
【実施例】
【0016】
この実施例における車両用灯具は、この例では、たとえば、デイタイムランニングランプ用配光パターンとコーナリングランプ用配光パターンとが得られる車両用灯具について説明する。なお、この明細書および図面においては、自動車が左側通行の場合について説明する。自動車が右側通行の場合は、この左側通行と左右逆となる。
【0017】
以下、この実施例における車両用灯具の構成について説明する。この実施例における車両用灯具1は、自動車の前部の左側および右側にそれぞれ装備される。以下、自動車の前部の右側に装備される車両用灯具の構成について説明する。なお、自動車の前部の右側に装備される車両用灯具と自動車の前部の左側に装備される車両用灯具とは、ほぼ左右対称(左右逆)に構成されているので、自動車の前部の左側に装備される車両用灯具の構成の説明は、省略する。
【0018】
前記車両用灯具1は、1個のリフレクタ2と、第1反射面3および第2反射面4および第3反射面5と、第1光源6および第2光源7と、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、を備えるものである。前記リフレクタ2および前記第1反射面3および前記第2反射面4および前記第3反射面5および前記第1光源6および前記第2光源7は、前記ランプハウジングと前記ランプレンズとにより区画された灯室(図示せず)内にそれぞれ配置されている。
【0019】
前記リフレクタ2は、車両の前側から車両の外側(自動車の前部の右側に装備される車両用灯具の場合右側、自動車の前部の左側に装備される車両用灯具の場合左側)にかけての部分8が開口し、車両の後側から車両の内側(自動車の前部の右側に装備される車両用灯具の場合左側、自動車の前部の左側に装備される車両用灯具の場合右側)にかけての部分および車両の上側から下側にかけての部分9が閉塞した中空形状をなす。前記開口部8は、車両の内側から車両の外側にかけて車両の前側から車両の後側に傾斜している。
【0020】
前記リフレクタ2の前記閉塞部9の内面には、たとえば、アルミ蒸着もしくは銀塗装などにより、前記第1反射面3および前記第2反射面4および前記第3反射面5それぞれ設けられている。
【0021】
前記第1反射面3および前記第2反射面4および前記追加反射面5は、共に放物面を基本(基調)とする自由曲面(NURBS曲面)などの反射面からなる。前記第1反射面3および前記第2反射面4および前記追加反射面5のNURBS曲面は、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。
【0022】
前記第1反射面3は、前記リフレクタ2の前記閉塞部9の内面のうち車両の外側の部分に設けられている。前記第1反射面3は、車両軸(図示せず)に平行もしくはほぼ平行である光軸Z1−Z1を有する。前記第1反射面3は、前記光軸Z1−Z1上に焦点F1を有する。
【0023】
前記第2反射面4は、前記リフレクタ2の前記閉塞部9の内面のうち前記第1反射面3よりも車両の内側の部分に設けられている。前記第2反射面4は、前記第1反射面3の前記光軸Z1−Z1に対して車両の外側に向いている光軸Z2−Z2を有する。前記第2反射面4は、前記光軸Z2−Z2上に焦点F2を有する。
【0024】
前記第3反射面5は、前記リフレクタ2の前記閉塞部9の内面のうち前記第2反射面4よりも車両の内側の部分に設けられている。前記第3反射面5は、前記第1反射面3の前記光軸Z1−Z1に対して車両の外側に向き、かつ、前記第2反射面4の前記光軸Z2−Z2に対して車両の内側に向いている光軸を有する。前記第3反射面5は、前記光軸Z3−Z3上に焦点F3を有する。なお、前記第2反射面4の前記焦点F2と、前記第2反射面4の前記焦点F3とは、一致もしくはほぼ一致する。
【0025】
前記リフレクタ2の前記閉塞部9のうち前記第1反射面3のほぼ中央には、第1取付孔10が設けられている。前記第1取付孔10には、前記第1光源6が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
前記リフレクタ2の前記閉塞部9のうち前記第2反射面4の前記第3反射面5寄りのほぼ中間には、第2取付孔11が設けられている。前記第2取付孔11には、前記第2光源7が着脱可能に取り付けられている。
【0027】
前記第1光源6は、光源軸ZB1−ZB1と、発光部材(フィラメント)12と、ガラス管球13と、口金(もしくはソケット)14と、を有するものである。前記第1光源6の前記光源軸ZB1−ZB1は、前記車両軸と平行もしくはほぼ平行であり、かつ、前記第1反射面3の前記光軸Z1−Z1と一致もしくはほぼ一致する。
【0028】
前記ガラス管球13は、一端が開口しかつ他端が閉塞した中空状の球形状をなす。前記ガラス管球13中には、前記発光部材12が収納されている。前記ガラス管球13の一端開口部には、前記口金14が取り付けられている。前記口金14は、前記第1取付孔10に着脱可能に取り付けられている。前記ガラス管球13は、前記リフレクタ2内に位置する。前記発光部材12は、前記第1反射面3の前記焦点F1にもしくはその近傍に位置する。前記発光部材12から放射された光L1、L2、L3(図3中の実線矢印)は、前記第1反射面3および前記第2反射面4および前記第3反射面5にそれぞれ入射する。
【0029】
前記第2光源7は、光源軸ZB2−ZB2と、発光部材(フィラメント)15と、ガラス管球16と、口金(もしくはソケット)17と、遮蔽部材(ブラックトップ、遮光塗装)18と、を有するものである。前記第2光源7の前記光源軸ZB2−ZB2は、前記第1光源6の前記光源軸ZB1−ZB1に対して交差この例では直交する。前記第2光源7は、前記第1光源6に対して車両の内側に位置する。
【0030】
前記ガラス管球16は、一端が開口しかつ他端が閉塞した中空状の円筒形状をなす。前記ガラス管球16中には、前記発光部材15が収納されている。前記ガラス管球16の一端開口部には、前記口金17が取り付けられている。前記口金17は、前記第2取付孔11に着脱可能に取り付けられている。前記ガラス管球16は、前記リフレクタ2内に位置する。
【0031】
前記発光部材15は、前記第2反射面4の前記焦点F2および前記第3反射面5の前記焦点F3にもしくはその近傍に位置する。前記発光部材15は、円筒形状をなす。前記発光部材15の長手方向(円筒形状の中心軸線)は、前記第2光源7の前記光源軸ZB2−ZB2方向に一致する。
【0032】
前記ガラス管球16の他端閉塞部には、前記遮蔽部材18が設けられている。前記遮蔽部材18は、前記発光部材15から放射された光L5、L6(図3中の実線矢印)を前記第2反射面4および前記第3反射面5にそれぞれ入射させ、かつ、前記発光部材15から放射された光のうち前記第1反射面3に入射しようとする光L4(図3中の破線矢印)を遮蔽する。
【0033】
この実施例における車両用灯具は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0034】
まず、たとえば、昼間において、第1光源6の発光部材12を点灯する。すると、第1光源6の発光部材12から放射される光の一部L1は、第1反射面6で反射されて第1配光パターンP1、すなわち、デイタイムランニングランプ用配光パターンに形成されて、車両の前方に照射される。また、第1光源6の発光部材12から放射される光の残りの一部L2は、第2反射面5で反射されて第2配光パターンP2、すなわち、第1補助用配光パターンに形成されて、車両の前方および車両のやや外側に照射される。さらに、第1光源6の発光部材12から放射される光の残りL3は、第3反射面5で反射されて第3配光パターンP3、すなわち、第2補助用配光パターンに形成され、車両のやや内側に照射される。
【0035】
デイタイムランニングランプ用配光パターンの第1配光パターンP1は、図4(B)に示すように、上下幅がやや広く(左右の水平線HL−HRから上の幅が左右の水平線HL−HRから下の幅よりも広い)、左右幅が広い(上下の垂直線VU−VDから左右の幅がほぼ同等に広い)。また、第1補助用配光パターンの第2配光パターンP2は、図4(B)に示すように、上下幅がやや狭く(左右の水平線HL−HRから下に位置する)、左右幅が広い(上下の垂直線VU−VDから右の幅が左の幅よりも広い)。さらに、第2補助用配光パターンの第3配光パターンP3は、図4(B)に示すように、上下幅がやや狭く(左右の水平線HL−HRから下に位置する)、左右幅もやや狭い(上下の垂直線VU−VDから左に位置する)。
【0036】
また、たとえば、夜間において、第2光源7の発光部材15を点灯する。すると、第2光源7の発光部材15から放射される光の一部L5は、第2反射面4で反射されて第4配光パターンP4、すなわち、コーナリングランプ用配光パターンに形成されて、車両の外側に照射される。また、第2光源7の発光部材15から放射される光の残りの一部L6は、第3反射面5で反射されて第5配光パターンP5、すなわち、第3補助用配光パターンに形成されて、車両のやや外側に照射される。さらに、第2光源7の発光部材15から放射される光のうち第1反射面3に入射しようとする光L1は、遮蔽部材18により遮蔽される。
【0037】
コーナリングランプ用配光パターンの第4配光パターンP4は、図4(A)に示すように、上下幅がやや狭く(左右の水平線HL−HRから下に位置する)、左右幅が広い(上下の垂直線VU−VDから右に位置する)。また、第3補助用配光パターンの第6配光パターンP6は、図4(A)に示すように、上下幅がやや狭く(左右の水平線HL−HRから下に位置する)、左右幅もやや狭い(上下の垂直線VU−VDから右に位置する)。第3補助用配光パターンの第6配光パターンP6は、図4(A)に示すように、コーナリングランプ用配光パターンの第4配光パターンP4とすれ違い用配光パターンLPとの間に位置して、コーナリングランプ用配光パターンの第4配光パターンP4とすれ違い用配光パターンLPとを繋げて光り抜けがない連続した良好な配光パターンを形成する。
【0038】
この実施例における車両用灯具は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0039】
この実施例における車両用灯具1は、第1光源6の発光部材12を点灯すると、その第1光源6の発光部材12から放射される光L1、L2、L3が、第1反射面3で反射されて第1配光パターンP1に形成され、また、第2反射面4で反射されて第2配光パターンP2に形成され、さらに、第3反射面5で反射されて第3配光パターンP3に形成され、その第1配光パターンP1と第2配光パターンP2と第3配光パターンP3とが重畳されて第1のランプ機能、すなわち、デイタイムランニングランプ機能の配光パターンとして車両の前方に照射される。この結果、この実施例における車両用灯具1は、第1のランプ機能の配光パターンの光束(光度、照度、光量など)を上げることができ、かつ、第1のランプ機能の配光パターンの配光範囲(照射範囲)を車両の手前側から側方側に拡げることができ、その分、被視認性が向上されて交通安全に貢献することができる。
【0040】
また、この実施例における車両用灯具1は、第2光源7の発光部材15を点灯すると、その第2光源7の発光部材15から放射される光L5、L6が、第2反射面4で反射されて第4配光パターンP4に形成され、また、第3反射面5で反射されて第5配光パターンP5に形成され、その第4配光パターンP4と第5配光パターンP5とが重畳されて第2のランプ機能、すなわち、コーナリングランプ機能の配光パターンとして車両の側方に照射される。この結果、この実施例における車両用灯具1は、第2のランプ機能の配光パターンの光束(光度、照度、光量など)を上げることができ、かつ、第2のランプ機能の配光パターンの配光範囲(照射範囲)を車両の内側に拡げることができ、その分、すれ違い用配光パターンLPと光り抜けがない連続した良好な配光パターンを形成することができて交通安全に貢献することができる。
【0041】
さらに、この実施例における車両用灯具1は、第2光源7の発光部材15から放射される光のうち第1反射面3に入射しようとする光L4が遮蔽部材18により遮蔽されるので、車両の側方に照射される第2のランプ機能の配光パターンとして最適である。すなわち、第2光源7の発光部材15から放射される光L1が第1反射面3で反射されると、車両の前方(車両の中央)に照射される迷光の配光パターン(図示せず)が形成されるので、この車両の前方に照射される迷光の配光パターンを除くことにより、車両の側方に照射される第2のランプ機能の配光パターンとして最適である。
【0042】
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、第1のランプ機能の配光パターンと第2のランプ機能の配光パターンとが得られるので、車両に搭載するレイアウト設計の自由度が増す。
【0043】
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、1個のリフレクタ2で2つのランプ機能が得られるので、部品点数を軽減することができ、その分、コストを安価にすることができる。
【0044】
また、この実施例における車両用灯具1は、光源軸ZB2−ZB2が車両軸(第1光源6の光源軸ZB1−ZB1)に対して交差する第2光源7が第1光源6に対して車両の内側に位置する。このために、この実施例における車両用灯具1は、第2光源7の交換作業を、車両の外側と比較してスペースが広く取れる車両の内側で、行うことができるので、第2光源7の交換作業性が向上する。
【0045】
さらに、この実施例における車両用灯具1は、光源軸ZB2−ZB2が車両軸(第1光源6の光源軸ZB1−ZB1)に対して交差する第2光源7の発光部材15の長手方向が第2光源7の光源軸ZB2−ZB2方向に一致する。このために、この実施例における車両用灯具1は、横の広がりが拡がりかつ縦の広がりが抑制された第2のランプ機能の配光パターン、すなわち、明るい配光パターンであって、車両の側方を照射する配光パターンとして最適の配光パターンが得られる。
【0046】
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、図3に示すように、フレクタ2の開口部8が車両の内側から車両の外側にかけて車両の前側から車両の後側に傾斜している。このために、この実施例における車両用灯具1は、車両の前部が車両の内側から車両の外側にかけて車両の前側から車両の後側に傾斜している車両に最適である。
【0047】
以下、前記の実施例以外の例について説明する。前記の実施例においては、第2のランプ機能の配光パターンがコーナリングランプ機能の配光パターンである。ところが、この発明においては、第2のランプ機能の配光パターンとして、コーナリングランプ機能の配光パターン以外の機能の配光パターン、たとえば、追加灯機能の配光パターンやクリアランスランプ機能の配光パターンなどであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例を示す要部の斜視図である。
【図2】同じく、要部の正面図である。
【図3】同じく、図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】同じく、デイタイムランニングランプ機能の配光パターンおよびコーナリングランプ機能の配光パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 車両用灯具
2 リフレクタ
3 第1反射面
4 第2反射面
5 第3反射面
6 第1光源
7 第2光源
8 開口部
9 閉塞部
10 第1取付孔
11 第2取付孔
12 第1光源の発光部材
13 第1光源のガラス管球
14 第1光源の口金
15 第2光源の発光部材
16 第2光源のガラス管球
17 第2光源の口金
18 第2光源の遮蔽部材
F 前
B 後
U 上
D 下
L 左
R 右
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
Z1−Z1 第1反射面の光軸
Z2−Z2 第2反射面の光軸
Z3−Z3 第3反射面の光軸
ZB1−ZB1 第1光源の光源軸
ZB2−ZB2 第2光源の光源軸
F1 第1反射面の焦点
F2 第2反射面の焦点
F3 第3反射面の焦点
P1 第1配光パターン( 第1のランプ機能のデイタイムランニングランプ用配光パターン)
P2 第2配光パターン( 第1のランプ機能の第1補助用配光パターン)
P3 第3配光パターン( 第1のランプ機能の第2補助用配光パターン)
P4 第4配光パターン(第2のランプ機能のコーナリングランプ用配光パターン)
P5 第5配光パターン( 第2のランプ機能の第3補助用配光パターン)
LP すれ違い用配光パターン
L1 第1光源の発光部材から第1反射面に入射する光
L2 第1光源の発光部材から第2反射面に入射する光
L3 第1光源の発光部材から第3反射面に入射する光
L4 第2光源の発光部材から第1反射面に入射しようとする光であって、第2光源の遮蔽部剤により遮蔽される光
L5 第2光源の発光部材から第2反射面に入射する光
L6 第2光源の発光部材から第3反射面に入射する光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のランプ機能を有する車両用灯具において、
1個のリフレクタと、
前記リフレクタに設けられている第1反射面および第2反射面および第3反射面と、
前記リフレクタに取り付けられている第1光源および第2光源と、
を備え、
前記第1反射面は、放物面を基本とし、車両軸に平行もしくはほぼ平行である光軸を有し、
前記第2反射面は、放物面を基本とし、前記第1反射面の前記光軸に対して車両の外側に向いている光軸を有し、
前記第3反射面は、放物面を基本とし、前記第1反射面の前記光軸に対して車両の外側に向き、かつ、前記第2反射面の前記光軸に対して車両の内側に向いている光軸を有し、
前記第1光源は、前記車両軸と平行もしくはほぼ平行である光源軸と、前記第1反射面の焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、光が前記第1反射面および前記第2反射面および前記第3反射面にそれぞれ入射する発光部材と、を有し、
前記第2光源は、前記第1光源の前記光源軸に対して交差する光源軸と、前記第2反射面の焦点および前記第3反射面の焦点もしくはその近傍に位置する発光部材と、前記発光部材からの光を前記第2反射面および前記第3反射面にそれぞれ入射させ、かつ、前記発光部材からの光のうち前記第1反射面に入射しようとする光を遮蔽する遮蔽部材と、を有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第2光源は、前記第1光源に対して車両の内側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2光源の前記発光部材の長手方向は、前記第2光源の前記光源軸方向に一致する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−295320(P2009−295320A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145606(P2008−145606)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】