説明

車両用燃料電池システムの燃料制御装置及び方法

【課題】水素流量供給とエジェクタの効率増大を可能にする燃料制御装置及び方法を提供する。
【解決手段】車両用燃料電池システムの燃料制御装置は、水素供給部から燃料電池スタック20に水素が供給される水素供給経路上で、供給水素の圧力を調節するインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ14と水素再循環用エジェクタ16bとの間に、さらにインジェクタ15bを直列に配置して供給水素の圧力が段階的に調節される直列型多段圧力調節構造を形成し、直列型多段圧力調節構造において、インジェクタと水素再循環用エジェクタを1つの組合せとし、インジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ14と燃料電池スタック20との間に複数のインジェクタ15a,b−エジェクタ16a,bの組合せが並列に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの燃料制御装置及び方法に係り、より詳しくは、効率的な水素流量供給とエジェクタの効率増大を可能にする燃料制御装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しい未来型自動車の1つである水素燃料電池自動車に適用される燃料電池システムは、反応ガスの電気化学反応により電気エネルギを発生させる燃料電池スタック、燃料電池スタックに燃料である水素を供給する水素供給システム、燃料電池スタックに電気化学反応に必要な酸化剤である酸素を含んだ空気を供給する空気供給システム、及び燃料電池スタックの電気化学反応の副産物である熱を外部に放出させて燃料電池スタックの運転温度を最適に制御し、水管理機能を行う熱及び水管理システムで構成される。
【0003】
この中、水素供給装置は、燃料である水素が供給される水素供給部(水素タンク)、上記水素供給部から水素を供給/遮断するための水素供給バルブ(始動/停止用ソレノイドバルブ)、水素の供給圧力を調節するための圧力レギュレータ、燃料電池スタックのアノード出口から排出される未反応の水素をアノード入口に再循環させるための水素再循環装置などを含む。
上記水素再循環装置は、エジェクタ(Ejector)を単独設置して構成してもよく、エジェクタと共に水素再循環ブロワーを設置して構成してもよい。水素を再循環させて再使用する場合、スタック内の水素流量が増加してスタック内の反応物の分布が均一になるため、均一なセル電圧分布が得られ、より安定してスタックを運転できる長所がある。
【0004】
最近、ブロワー方式は、構造が複雑で潤滑を必要とし、騒音及び振動などの様々な問題点があるため、エジェクタ方式で水素を再循環させる技術が多く使用されている。
図4は、車両用燃料電池システムにおける水素供給装置の一例を示す構成図で、水素再循環のためにエジェクタを用いた構成を示している。
一例を説明すると、水素供給部として通常の水素タンク11が高圧水素を貯蔵してスタック20に供給するが、水素タンク11の高圧水素が圧力レギュレータ12及び水素供給バルブ(始動バルブ)13を介してインジェクタ(Injector)、圧力調節バルブ(ソレノイドバルブ)、または圧力調節アクチュエータ14を経由する。
【0005】
この時、水素タンク11から出た高圧水素は、圧力レギュレータ12で減圧されてP1の圧力となり、その後、インジェクタ/圧力調節バルブ/圧力調節アクチュエータ14で再びP2の圧力に調節された後、エジェクタ16により吸入され
た再循環ガスと共にスタックに供給される。
図4では、エジェクタ16を介して供給される水素(新たに供給される水素と再循環ガスの混合)の圧力はP3と表示した。
また、スタック20のアノード排気ライン21には、スタックのアノード内の不純物を除去するためのパージバルブ22が設けられる。
【0006】
圧力レギュレータ12により調節された圧力P1は常に一定に維持されるが、この圧力P1は、燃料電池車両の全出力範囲をカバーできる程の水素を供給しなければならないため、相対的に高い圧力が要求される。
エジェクタ16は、低圧P3の水素をスタック20に供給する機能と共に、高圧の水素がノズル(縮小ノズルまたは縮小−拡大ノズル)を通過することによる、高速の水素ジェット(Jet)が発生させる低圧を用いてスタック20のアノードで未反応の水素を吸入して再循環させる機能を行う。
【0007】
以下、エジェクタの前段に配置されるインジェクタ、圧力調節バルブ、圧力調節アクチュエータの特徴及び短所について説明する。
1)インジェクタ:燃料電池の全出力範囲をカバーしなければならないため、P2圧力をP1圧力以下に調節する。インジェクタは、高速応答性を有し、調節バルブよりも長寿命という長所はあるが、インジェクタの前段、後段の圧力変動の幅が大きいため、開発が困難である。また、高圧のP1により水素供給量を調節するため、インジェクタの動作頻度が非常に多くなり、これはインジェクタの寿命を短縮させる要因である。インジェクタに関連した先行特許としては特許文献1及び特許文献2などがある。
【0008】
2)圧力調節バルブ:比例制御方式を用いたソレノイドバルブが使用され、車両の出力に応じてP2圧力を調節して水素供給量を決定する。水素供給量は制御機の要求によりP3圧力を制御する方式で行われる。インジェクタは、オープン(open)/クローズ(close)方式で水素供給を調節するため、エジェクタへの水素供給が不連続的であり、エジェクタによる水素再循環に非効率的であるが、調節バルブは連続的に水素供給を調節できるため、エジェクタによる水素再循環に効率的であるという長所がある。調節バルブは、車両出力の急変に対応して水素供給流量を非常に高速に調節しなければならないが、調節バルブの特性上、応答速度が遅い。また、車両運転条件に応じて調節バルブを継続して作動しなければならないため、調節バルブの耐久寿命が短くなる。
【0009】
さらに、制御機が要求するP3圧力に対応するためには、調節バルブをPID方式で制御しなければならず、これはバルブをより頻繁に作動させるため、耐久寿命を短縮させることになる。また、低出力運転時には小量の水素を供給しなければならないため、水素流量(またはP2圧力)の微細調節が必要であるが、高圧のP1により、調節バルブを最小限に開放しても多量の水素が流れるため、調節が容易でない。特に、調節バルブを用いる場合、気密性を維持するためには、調節バルブを閉じる時に相対的に強い力で押すが、この場合、水素供給流量の微細調節がさらに難しくなる。また、ソレノイドはヒステリシスを有するため、その制御が困難である。
【0010】
3)アクチュエータ/モータ:エジェクタによる水素再循環に効率的であり、ヒステリシスがなく、位置情報を正確に判断できるため制御し易い。しかし、アクチュエータは、重さ及び価格などの点で好ましくなく、複雑なギヤ構造を有するため、耐久寿命にも問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許7320840
【特許文献2】米国公開特許2009/0155641
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題を考慮してなされたものであって、効率的な水素流量供給とエジェクタの効率増大を可能にする燃料制御装置及び方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、水素供給部(11)から燃料電池スタック(20)に水素が供給される水素供給経路上で、供給水素の圧力を調節するインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ(14)と水素再循環用エジェクタ(16)との間に、さらにインジェクタ(15),(15a),(15b)を直列に配置して供給水素の圧力が段階的に調節される直列型多段圧力調節構造を形成することを特徴とする。
【0014】
前記直列型多段圧力調節構造において、前記インジェクタ(15a),(15b)と水素再循環用エジェクタ(16a),(16b)を1つの組合せとし、前記インジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ()14)と燃料電池スタック(20)との間に複数のインジェクタ(15a),()15b)−エジェクタ(16a),(16b)の組合せが並列に配置されることを特徴とする。
【0015】
前記インジェクタ(15),(15a),(15b)は、エジェクタ(16)への水素の供給量を一定に維持するように制御されることを特徴とする。
【0016】
前記インジェクタ(15),(15a),(15b)は、周期的に開閉制御されてエジェクタ(16)を介してスタック(20)に再循環される水素の量を一時的に増加させることにより、スタックのアノードパージが行われるようにすることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、水素供給部(11)から燃料電池スタック(20)に水素が供給される水素供給経路上で、供給水素の圧力を調節するインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ(14)と水素再循環用エジェクタ(16)との間に、前記インジェクタ(15),(15a),(15b)を直列に配置して供給水素の圧力が段階的に調節される直列型多段圧力調節構造を形成し、前記インジェクタ(15),(15a),(15b)をエジェクタ(16)への水素の供給量が一定に維持されるように制御してエジェクタ(16)から燃料電池スタック(20)に供給される水素の圧力を一定に維持することを特徴とする。
【0018】
前記インジェクタ(15),(15a),(15b)を燃料電池スタック(20)のアノードパージ時に周期的に開閉制御してエジェクタ(16)を介してスタック(20)に再循環される水素の量をパルス状に増減させることにより、スタック(20)のアノードパージが行われるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施例に係る車両用燃料電池システムの燃料制御装置及び方法は、従来のインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータの後段及びエジェクタの前段にインジェクタをさらに配置することにより、効率的な水素流量供給とエジェクタの効率増大を可能にする。
また、エジェクタの前段に配置されるインジェクタをパルス状に開閉制御する場合、エジェクタによるスタックアノードのパージが可能になり、これによって、排気ラインのパージ回数を最小化して外部に捨てられる水素を低減できるため、燃料電池車両の燃費を高める利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係る車両用燃料電池システムの燃料制御装置を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係る燃料制御装置において、インジェクタの繰り返し開閉制御によるP4圧力と水素再循環量の状態を示す図面である。
【図3】本発明の他の実施例に係る車両用燃料電池システムの燃料制御装置を示す構成図である。
【図4】車両用燃料電池システムにおける水素供給装置の一例を示す構成図である。
【図5】車両用燃料電池システムにおける圧力調節バルブとインジェクタを用いて水素を供給する方法を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。
本発明は、車両用燃料電池システムの水素供給装置に関するものであって、特に、燃料(水素)供給経路上で、供給水素の圧力を調節するインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータの後段及び水素再循環用エジェクタの前段に配置される別途のインジェクタを追加することにより、供給水素の圧力が段階的に調節される直列型多段圧力調節構造を形成する燃料制御装置に関する。
このような直列型多段圧力調節構造の燃料制御装置は、効率的な水素流量供給が可能であるため、エジェクタの効率を最大に増大させることができる。また、後述するように、インジェクタを周期的に開閉制御する場合、エジェクタにより水素再循環量を増減させてスタックアノードのパージが可能になり、これによって、アノード排気ラインのパージ回数を最小化することができる。この場合、アノード排気ラインから外部に捨てられる水素の量を最小化でき、車両の燃費を高める利点がある。
【0022】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用燃料電池システムの燃料制御装置を示す構成図であって、インジェクタ−インジェクタの直列型圧力調節構造の燃料制御装置を示している。
本発明に係る燃料制御装置は、従来のインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータと水素再循環用エジェクタとの間に、さらにインジェクタを直列配置して構成される直列型多段圧力調節構造を含み、上記直列型多段圧力調節構造は、図1に示すように、2つのインジェクタ14,15が前後に直列連結された構成である。
すなわち、図1の燃料制御装置は、前後に直列連結された2つのインジェクタ14,15を含む構成である。
【0023】
この構成では、水素供給部(水素タンク)11から供給される高圧の水素は、圧力レギュレータ12で最初に圧力調節(減圧)され、車両の始動時に水素供給バルブ(始動バルブ)13が開放されると、最初に調節された圧力はP1になる。
この圧力P1は、前段のインジェクタ14を介して再び圧力調節されてP2圧力になり、その後、後段のインジェクタ15を介して水素はエジェクタの効率を最大化できる圧力(P3)、流量、デューティに調節されてエジェクタ16に供給される。
また、エジェクタ16に供給された水素は、スタック20のアノードから吸入された再循環ガスと混合されてP4圧力になり、最終にはスタックのアノードに供給される。
【0024】
このような直列型多段圧力調節構造は、水素の供給量を均一に維持して水素を供給するため、エジェクタ16の性能(効率)を極大化させることができる。
さらに、車両は高速応答性を必要とするが、インジェクタを用いた水素供給は、このような必要性を充足させる。すなわち、後段のインジェクタ15を用いて車両が必要とする高速応答性を獲得し、前段のインジェクタ14を用いてP2の圧力を適切な水準に調節してエジェクタ16に供給される水素供給量を最大限に均一化させることにより、エジェクタの効率を最大に活用することができる。
また、スタック20のアノード内の窒素濃度が高くない場合、直列連結された2つのインジェクタ14,15を用いてP3圧力をパルス状に制御することができ、このようなパルス状の制御は、スタック20の内部に停滞されている水分を効果的にスタックの外部に排出させる。
【0025】
このようにしてスタックの出力を向上させ、アノード排気ライン21のパージ回数を最小化できるため、パージバルブ22を介して捨てられる水素を低減でき、燃費増大の効果が得られる。
参考として、燃料電池車両が出力を出すためには、燃料電池スタックで水素と酸素の電気化学反応が高速に行われなければならない。この場合、電気化学反応の速度は、スタック内の反応が起こる反応部位に水素燃料を円滑に供給するほど高速になり、水素の供給速度を高めるためには水素燃料の再循環量を増大させる。
エジェクタの吸入力が水素燃料の再循環を起こすため、この吸入力の増大により再循環量を増加させることができ、エジェクタの吸入力は供給水素の量[圧力]により決定される。
同じ量の水素をエジェクタに供給する場合、一定量を連続して供給することが、不連続的に供給することよりも再循環量を大きくすることができる。
【0026】
例えば、通常の車両用燃料電池システムにおいて、500LPMの水素を供給する方法は、簡単に2種類に分けられるが、図5に示すように、(1)図4の構成における圧力調節バルブを用いて500LPMの水素を連続して供給する方法と、(2)図4の構成におけるインジェクタを用いて1000LPMの水素の高速供給と供給中断を繰り返す方法がある。
インジェクタの高速応答性を活用すると共にエジェクタの効率を最大化するためには、図1に示すように、インジェクタ14,15を直列に連結して用いる。
すなわち、エジェクタ16の前段に配置されたインジェクタ15のノズル開閉速度を高速化してエジェクタ16に供給される水素を連続して供給するか、インジェクタ14よりも後段に配置されたインジェクタ15の開放時間を長くし、閉鎖時間を短くすることにより、調節バルブと同様に連続して水素を供給する場合、エジェクタ16の効率を最大化することができる。
【0027】
後段に配置されたインジェクタ15の動作を上記のように制御するためには、後段インジェクタ15の前段圧力P2を、車両が必要とする水素量に応じて適切な圧力範囲内に調節しなければならない。
P1圧力は、一定値を維持しており、これを適切に高速減圧して所望するP2圧力に制御するためには前段のインジェクタ14が活用される。
また、スタック内の水分除去の必要性及び従来のアノード排気ラインのパージによる問題点は、燃料電池反応の生成物である水がスタック内で発生し、これをスタックの外部に円滑に排出しなければならないことである。
スタックの内部から水を円滑に排出できない場合は、燃料の供給を妨げてスタックの性能を低減し、さらに、スタック構成品の焼損を起こす。
【0028】
アノードの水を排出するためには、スタック内部の水素の流れ量を増加させて燃料電池スタック内部における流体(水分を含んだ混合ガス)の流れ速度を増大させる方法が一般的である。
このために周期的な燃料のパージが最も多く使用される。具体的には、再循環経路あるいはスタックのアノード側にパージバルブ22を装着し、スタック20の水分を除去する場合、パージバルブ22を開放して一時的にスタック内の水素の流れ量を増加させる方法である。
このようなパージ方法は、アノードに流入する窒素の濃度を低下させる機能も有するが、スタック内部の水排出の機能もその目的である。また、車両の始動時にはアノード内部に窒素濃度が非常に高いため、広がる窒素の濃度減少もその目的といえる。
【0029】
しかし、パージは、水素を外部に排出させるため、燃費を減少させ、水素の外部排出による危険性を誘発する(希釈必要)。
そのため、図1に示す本発明の構成では、インジェクタ15を用いてスタックアノードの水分除去を可能にする。一時的に水素の流れ量(再循環量)を増大させることにより、スタックアノードの水分除去が可能になる。
水分除去の後、車両の出力に応じてP4の圧力を一定に制御する。すなわち、出力に応じて、供給される水素の量が一定になる。
スタック内の水分除去のために、後段のインジェクタ15を周期的に開閉制御してエジェクタ16に供給される水素の量をパルス状に増減させるが、エジェクタの吸入力の増大により再循環量が瞬間的に増加することになり、これによって、アノード内の水分が除去される(供給水素の圧力パルスパージ/再循環パージを行う)。
【0030】
この時、インジェクタ15の開放時間は、圧力や車両出力に応じて制御してもよく、P4の圧力値に応じて制御してもよい。また、後段のインジェクタ15だけ制御してもよいが、前段のインジェクタ14と後段のインジェクタ15を同時に制御してもよい。
従来のパージバルブ22は、車両の始動/停止あるいはアノードに窒素の濃度が高まった場合にだけ使用でき、これによって、パージによる水素排出が最小化され、燃料電池車両の燃費が非常に増大される。さらに、水素排出による危険性も未然に防止される。
【0031】
図2は、図1に示した直列型多段圧力調節構造の燃料制御装置において、インジェクタを繰り返し開閉制御することによるP4圧力と水素再循環量を示す図面であり、インジェクタ15を一定の間、一時的に開閉することを周期的に繰り返してエジェクタ16の吸入力を増大させ、これによって、再循環量が周期的に瞬時に増加して(パルス状に増減)スタック20のアノード内の水分が効果的に除去される。
【0032】
図3は、本発明の他の実施例に係る車両用燃料電池システムの燃料制御装置を示す構成図であり、相互間に並列配置される複数のインジェクタ15a,15b−エジェクタ16a,16bの組合せを、インジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ14の後段に直列に連結して構成した直列型多段圧力調節構造の燃料制御装置を示している。
図3の実施例によれば、インジェクタとエジェクタの組合せは、前段にはインジェクタ15a,15bが、後段にはスタック20の前段に配置されるエジェクタ16a,16bが直列連結される構成であり、このような複数のインジェクタとエジェクタの組合せが相互間に並列配置される構成である。
また、並列に配置される複数のインジェクタ15a,15b−エジェクタ16a,16bの組合せは、インジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ14の後段に直列連結して配置される。
【0033】
すなわち、前段に配置されたインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ14により圧力が調節された水素は、後段に直列配置された複数のインジェクタ15a,15b−エジェクタ16a,16bの組合せ(相互間に並列配置)に向かってそれぞれ分岐された後、再び合流してスタック20のアノード入口に供給される。
ここで、各エジェクタ16a,16bは、通常の燃料電池システムに備えられる水素再循環用エジェクタであり、スタック20のアノード出口から再循環ライン23a,23bを介して再循環ガスを吸入してアノード入口に再循環させる機能を行う。
図3の実施例からも、図1の実施例で説明した発明の効果が同様に得られ、インジェクタ制御方法も図1の実施例と同様の方式を適用することができる。
【0034】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0035】
11 水素供給部(水素タンク)
12 圧力レギュレータ
13 水素供給バルブ(始動バルブ)
14 インジェクタ/圧力調節バルブ/圧力調節アクチュエータ
15 インジェクタ
16 エジェクタ
20 燃料電池スタック
22 パージバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素供給部(11)から燃料電池スタック(20)に水素が供給される水素供給経路上で、供給水素の圧力を調節するインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ(14)と水素再循環用エジェクタ(16)との間に、さらにインジェクタ(15),(15a),(15b)を直列に配置して供給水素の圧力が段階的に調節される直列型多段圧力調節構造を形成することを特徴とする車両用燃料電池システムの燃料制御装置。
【請求項2】
前記直列型多段圧力調節構造において、前記インジェクタ(15a),(15b)と水素再循環用エジェクタ(16a),(16b)を1つの組合せとし、前記インジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ(14)と燃料電池スタック(20)との間に複数のインジェクタ(15a),(15b)−エジェクタ(16a),(16b)の組合せが並列に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用燃料電池システムの燃料制御装置。
【請求項3】
前記インジェクタ(15),(15a),(15b)は、エジェクタ(16)への水素の供給量を一定に維持するように制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用燃料電池システムの燃料制御装置。
【請求項4】
前記インジェクタ(15),(15a),(15b)は、周期的に開閉制御されてエジェクタ(16)を介してスタック(20)に再循環される水素の量を一時的に増加させることにより、スタックのアノードパージが行われるようにすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用燃料電池システムの燃料制御装置。
【請求項5】
水素供給部(11)から燃料電池スタック(20)に水素が供給される水素供給経路上で、供給水素の圧力を調節するインジェクタ、圧力調節バルブ、または圧力調節アクチュエータ(14)と水素再循環用エジェクタ(16)との間に、前記インジェクタ(15),(15a),(15b)を直列に配置して供給水素の圧力が段階的に調節される直列型多段圧力調節構造を形成し、
前記インジェクタ(15),(15a),(15b)をエジェクタ(16)への水素の供給量が一定に維持されるように制御してエジェクタ(16)から燃料電池スタック(20)に供給される水素の圧力を一定に維持することを特徴とする車両用燃料電池システムの燃料制御方法。
【請求項6】
前記インジェクタ(15),(15a),(15b)を燃料電池スタック(20)のアノードパージ時に周期的に開閉制御してエジェクタ(16)を介してスタック(20)に再循環される水素の量をパルス状に増減させることにより、スタック(20)のアノードパージが行われるようにすることを特徴とする請求項5に記載の車両用燃料電池システムの燃料制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−119300(P2012−119300A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135232(P2011−135232)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】