車両用画像表示装置
【課題】ミラー画像を表示したときに現実の映像と誤認しないように区分して表示することができる車両用画像表示装置を提供する。
【解決手段】複数のカメラを含み車両の周囲を撮影可能な撮像部と、車両の俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、複数のカメラで撮影した画像を処理して車両の背景画像を生成し、背景画像と俯瞰画像を合成した第1の画像を出力する第1の画像生成部と、車両の後部又は前方部の背景画像付近の自車両の進行方向に対して垂直かつ地面に対して垂直な面を基準に、第1の画像を面対称させた画像を形成するとともに面対称であることを識別可能にした第2の画像を生成する第2の画像生成部と、第1の画像及び第2の画像を選択的に合成する画像合成部と、画像合成部からの出力画像を表示可能な表示部と、を具備する。
【解決手段】複数のカメラを含み車両の周囲を撮影可能な撮像部と、車両の俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、複数のカメラで撮影した画像を処理して車両の背景画像を生成し、背景画像と俯瞰画像を合成した第1の画像を出力する第1の画像生成部と、車両の後部又は前方部の背景画像付近の自車両の進行方向に対して垂直かつ地面に対して垂直な面を基準に、第1の画像を面対称させた画像を形成するとともに面対称であることを識別可能にした第2の画像を生成する第2の画像生成部と、第1の画像及び第2の画像を選択的に合成する画像合成部と、画像合成部からの出力画像を表示可能な表示部と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に複数のカメラを搭載し、複数のカメラで撮影された画像を合成して表示する車両用画像表示装置に係り、特に車両の後方を撮影した画像を左右反転させてミラー画像として表示し、かつ運転者がミラー画像であることを識別できるようにした車両用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に複数のカメラを搭載し車両の周囲の映像を撮影し、撮影した画像を車両に設けたディスプレイ等に表示するようにした車両用画像表示装置がある。このような車両用画像表示装では、ディスプレイに表示された画像を確認することにより、車両が障害物に衝突或いは追突するのを避けることができる。
【0003】
また最近では、複数のカメラで撮影した画像を合成して表示する際に車両の俯瞰画像を生成し、トップビュー画像のように、生成した俯瞰画像を合成して表示するようにしたものもある。自車両の俯瞰画像を表示することで周囲の状況を把握しやすくなり、運転者の運転を支援することができる。尚、俯瞰画像は、自車両の上方などに設定した仮想視点から見た画像であり、仮想視点の位置を変えることで俯瞰画像等の見え方を変えることができる。
【0004】
特許文献1には、複数のカメラで撮影した画像を入力し、仮想視点から見た合成画像を生成するとともに、自車両を示すイラスト画像を表示するようにした画像処理装置が開示されている。
【0005】
ところで、運転者は車両の後方を確認する際に、通常はサイドミラーや、ルームミラーに映る映像を見ることが多いが、ミラーに映る映像は左右が反転しているため、車両の後方を撮影した画像をディスプレイに表示する場合は、左右反転して表示した方が運転者は分かりやすい。したがって後方画像を左右反転させてミラー画像をディスプレイに表示した例もある。
【0006】
特許文献2には、同じ場所を複数の視点で撮影し、複数の画像を並べて表示する車両用モニタ装置が開示されている。しかしながら、特許文献2では複数の視点の映像をばらばらに表示しているため、直感的にどこの映像か分かりにくい。また、左右反転させたミラー画像と反転させていない画像を同時に表示させた場合、その位置関係の意味がはっきりせず、直感的にどこの映像を表示したものか分かりにくいという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3300334号公報
【特許文献2】特開2003−149711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の車両用画像表示装置では、左右反転させたミラー画像を表示したときに、それがミラー画像であることを識別しづらく、現実の画像とミラー画像の区別ができないため、ミラー画像を表示しても却って誤解を与える可能性がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、ミラー画像を表示したときに現実の画像と誤認しないように区分して表示することができる車両用画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の車両用画像表示装置は、車両に分散して配置された複数のカメラを含み、前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、前記車両の俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、前記複数のカメラで撮影した画像を処理して前記車両の背景画像を生成し、前記背景画像と前記俯瞰画像を合成した第1の画像を出力する第1の画像生成部と、前記車両の後部又は前方部の背景画像付近の自車両の進行方向に対して垂直かつ地面に対して垂直な面を基準に、第1の画像を面対称させた画像を形成するとともに面対称であることを識別可能にした第2の画像を生成する第2の画像生成部と、前記第1の画像生成部からの第1の画像及び前記第2の画像生成部からの前記第2の画像を選択的に合成する画像合成部と、前記画像合成部からの出力画像を表示可能な表示部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用画像表示装置によれば、運転者に対して車両の周辺の状況を的確に知らせることができ、安全運転の補助を行うことができる。また車両の後方を撮影した画像を左右反転してミラー画像として表示したときに、運転者に対してミラー画像であることを明確に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】仮想視点と車両の関係を示す説明図。
【図3】車両の俯瞰画像と背景画像の一例を概略的に示す説明図。
【図4】車両へのカメラの取付け配置とカメラの視野角の一例を示す説明図。
【図5】ミラー画像の生成を説明する説明図。
【図6】ミラー画像の実例を示す説明図。
【図7】ミラー画像の表示例を示す説明図。
【図8】仮想視点を移動したときの表示部での表示例を示す説明図。
【図9】車両が交差点に進入する際の表示例を示す説明図。
【図10】車両をバックする際の表示例を示す説明図。
【図11】左に車線変更する際の表示例を示す説明図。
【図12】右に車線変更する際の表示例を示す説明図。
【図13】交差点を左折する際の表示例を示す説明図。
【図14】交差点を右折する際の表示例を示す説明図。
【図15】ミラー画像の他の表示例を示す説明図。
【図16】ミラー画像の表示処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の全体構成を示すブロック図である。図1の車両用画像表示装置は、撮像部10、車両情報生成部20、表示パターン記憶部30、表示パターン決定部40、画像処理部50及び表示部60を備えている。
【0015】
撮像部10は、自車両の周囲の映像を撮影する例えば4つのカメラ11,12,13,14を有している。4つのカメラ11,12,13,14は、車両の前方、後方、左側、右側をそれぞれ撮影するものであり、車両の同じ高さ位置に取付けるのが望ましい。また各カメラ11〜14は、魚眼カメラを使用するとよい。各カメラ11〜14の位置については後述する。
【0016】
車両情報生成部20は、ナビゲーション装置21を含む。ナビゲーション装置21は、自車両の現在位置を検出するGPS受信部、地図データを格納した記録媒体、目的地までの経路を探索する探索部等を有する。また自車両の車速、加速度、傾き等を検出する車速度センサやジャイロセンサ等を有し、これらGPS受信部、記録媒体、探索部、車速センサやジャイロセンサ等がCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介して接続されている。したがって、車両情報生成部20からは、自車両の現在位置や進行方向(前進、バック、右・左折)等の情報を得ることができる。
【0017】
表示パターン記憶部30は、画像記憶部31とマッピングテーブル32を含む。画像記憶部31は、自車両を真上からみた俯瞰画像や、斜め後方等からみた俯瞰画像を記憶するものである。即ち、カメラ11〜14は自車両の周囲をそれぞれ撮影し、撮影した画像に基づいて自車両の背景画像を生成するが、背景画像に表示されるのは実景のみである。したがって、背景画像の所定の位置に自車両の俯瞰画像を合成するため、予め自車両を真上から撮影した画像や斜め後方等からみた画像を俯瞰画像として画像記憶部31に記憶している。或いは、自車両を示すイラスト画像を生成し、このイラスト画像を俯瞰画像として記憶している。撮影した画像やイラスト画像は1つに限らず、複数種記憶しておき、任意のものを選択できるようにしている。
【0018】
マッピングテーブル32は、カメラ11〜14で撮影した画像の画素データと、自車両の周辺を上方の仮想視点から見た背景画像の画素データとの対応関係を記載したテーブルであり、撮影された画像の画素が背景画像のどの画素に対応するかを示す変換情報を記憶している。表示パターン決定部40は、画像記憶部31に記憶した画像データから合成画像の生成に必要な自車両の俯瞰画像を決定する。尚、画像記憶部31と表示パターン決定部40は俯瞰画像生成部を構成する。
【0019】
画像処理部50は、第1の画像生成部51と、第2の画像生成部52と、画像合成部53を含む。第1の画像生成部51は、カメラ11〜14で撮影した車両の前方画像と、後方画像と、左側方画像と、右側方画像とをマッピングテーブル32を参照して合成処理して背景画像を生成する。また、この背景画像に表示パターン決定部40で決定した俯瞰画像を合成して第1の画像(トップビュー画像)を生成する。マッピングテーブル32を参照することで、仮想視点の位置が変わると視点に合わせて表示された背景画像が変化する。マッピングテーブルを用いた背景画像の生成方法の詳細は、例えば特許文献1に記載されている。
【0020】
また第1の画像生成部51は、車両情報生成部20から車両の位置や進行方向及び角度情報を得て、車両の移動方向(前進、バック)と曲がる方向(右折・左折)を判断し、車両の状況に合わせてカメラ11〜14の撮影画像を選択して合成処理を行う。
【0021】
第2の画像生成部52は、第1の画像生成部51で生成した第1の画像のうち、車両の後方部周辺部の画像を左右反転して面対称の第2の画像(ミラー画像)を生成し、ミラー画像が面対称の画像であることを識別可能にするため特定の色模様を施す。ミラー画像の詳細については後述する。画像合成部53は、第1の画像生成部51で生成した第1の画像と第2の画像生成で生成した第2の画像を選択的に合成して表示部60に出力する。表示部60は、画像合成部53から出力された合成画像を表示するものであり、液晶ディスプレイ等で構成される。
【0022】
図2は、仮想視点を概念的に示す図であり、例えば車両1の上方に仮想視点100を設定した例を示している。
【0023】
図3は、表示部60に表示された背景画像と自車両の俯瞰画像とを含む第1の画像(トップビュー画像P0)の一例を示し、図2の仮想視点100から見たトップビュー画像P0を示している。図3では、車両の前方画像及び後方画像と左側方画像と右側方画像とを合成して車両の周辺部を垂直の壁で囲むように背景画像P2をパノラマ表示し、背景画像P2に車両の俯瞰画像P1を合成して表示した例を示している。
【0024】
図3では仮想視点100の位置を車両の真上に設定しているが、仮想視点100の位置を変えるとトップビュー画像P0の表示も変わる。尚、図3では、車両(俯瞰画像P1)の底面(地面)を水平面A0とし、水平面A0の左右にできる垂直の壁を右垂直面A1及び左垂直面A2と呼び、水平面A0の前後にできる垂直の壁を前方垂直面B1及び後方垂直部B2と呼ぶ。
【0025】
次にカメラ11〜14の配置の一例を図4を参照して説明する。即ち車両1に複数のカメラを配置する際、俯瞰画像を作り出すには4つのカメラで撮影した画像が必要になる。また安全に運転できる情報を提供するには、極力、死角になる部分をなくす必要がある。このような点を考慮して、本実施形態では、図4(a)に示すように4つのカメラ11〜14を配置している。
【0026】
図4(a)は車両1を真上から見た図であり、例えば車両1の前方部にカメラ11を配置し、後方部にカメラ12を配置する。また車両1の左側のサイドミラーにカメラ13を配置し、右側のサイドミラーにカメラ14を配置する。こうして各カメラ11〜14は、車両1の4辺に配置される。各カメラ11〜14は、車両1の全周囲を撮影するため、各カメラ11〜14の描写範囲を180度よりも広くすると良い。尚、以下の説明では、カメラ11を前方カメラ、カメラ12を後方カメラ、カメラ13を左カメラ、カメラ14を右カメラと呼ぶこともある。またカメラ11〜14を備えた車両1を自車両1と呼ぶこともある。
【0027】
図4(b)は、カメラ11〜14の撮影範囲(視野角)の一例を示す図であり、自車両1の真上に仮想視点を設定したときの背景画像P2を示し、各カメラ11〜14が自車両1のどの位置に配置されているかを俯瞰画像P1に対応させて示している。尚、背景画像P2はお椀状にパノラマ表示された例を示している。
【0028】
図4(b)において、カメラ11〜14は例えば太線で示す範囲内をそれぞれ撮影する。各カメラ11〜14は視野角を調整可能であって、例えば狭い道路から交差点に進入するような場合は前方カメラ11の視野角を最大限に広げる。また車両が左折する場合には左カメラ13での視野角を広くし、車両が右折する場合には右カメラ14の視野角を広くし、車両バックする場合は後方カメラ12視野角を最大限に広げる。
【0029】
本発明では、各カメラ11〜14で車両1の周囲の映像を撮影してトップビュー画像P0を生成した際に、車両の後部周辺を撮影した画像を左右反転させてミラー画像として表示するとともに、反転した画像がミラー画像であることを運転者に認識させるために識別表示する点に特徴がある。
【0030】
即ち、運転者は後方部分の映像を通常はサイドミラーや、ルームミラーで見ているが、ミラーで見た映像は左右が反転している。このため車両の後方を撮影した画像をディスプレイに表示する場合は、左右反転して表示した方が運転者は分かりやすい。したがって後方画像を左右反転させてミラー画像として表示することがある。
【0031】
しかしながら、表示画像には車両の前方を撮影した画像も含まれ、前方画像は左右反転することなく表示されるため、同じ画面に左右が反転していない画像と左右が反転した画像とが混在する。そこで、表示されたトップビュー画像P0にミラー画像が表示されている場合は、ミラー画像であることを識別するため、例えばミラー画像の周辺部に色模様を施し、ミラー画像の周辺部から中心部に向かって段階的に色濃度を変えてグラデーション表示する。
【0032】
図5は本発明のミラー画像の表示を概念的に示した説明図である。図5において、カメラ11〜14で撮影した画像をもとに、第1の画像生成部51では背景画像P2を生成し自車両の俯瞰画像P1と合成する。
【0033】
また仮想視点が自車両の位置よりかなり後方であるため、後方垂直部B2が仮想視点に対して背面に表示されるため見ることができない。そのため第2の画像生成部52は、後方垂直部B2の画像を左右反転(面対称)して後方垂直部B2の背面に表示させ、第2の画像(以下、ミラー画像P3と称す)を生成する。さらにミラー画像であることを強調するため色模様を施す。例えばミラー画像P3の枠の周りを着色し、枠の周辺から中心に向かって色を濃い色から淡い色へ順次に変えてグラデーション表示する。これにより、左右が反転したミラー画像P3であることを運転者に認識させることができる。
【0034】
図6は、実験によって得たミラー画像の実例を示す。図6において、P2は現実の映像の背景画像である。またP3はミラー画像であり、周辺部が所定の色でグラデーション表示されている。第2の画像生成部52は、後方垂直部B2の面を基準にして車両の後部の背景画像を面対称にした第2の画像(ミラー画像P3)を生成する。尚、図4(b)のように背景画像P2がお椀状にパノラマ表示された場合には、その表示画像の一番後方にあたる自車両後方の背景画像の最上部の位置付近を基準に、地面に対して垂直かつ自車両の進行方向に対して垂直な面を基準に面対称にした第2の画像を生成する。
【0035】
こうして、表示部60にはミラー画像P3が手前側に表示され、反転されない背景画映像P2が奥側に表示される。したがって、通常は見ることのできない後方の画像がミラー画像P3として表示され、かつ現実の映像よりも手前に大きく表示される。尚、以下の説明では、左右反転することなく実際に撮影する映像空間を現実世界と呼び、撮影した画像を左右反転してミラー画像として表示する映像空間をミラー世界と呼ぶことにする。
【0036】
図7は、表示部60に表示された背景画像P2とミラー画像P3の一例を示す。図7では、上方に自車両の前方部分を示す俯瞰画像P1が表示され、自車両の前方周辺を囲むように現実世界の背景画像P2がパノラマ表示されている。また下方の後方垂直部の後方にミラー画像P3が表示されている。ミラー画像P3では、自車両の後部を示す俯瞰画像P1が表示され、自車両の後方周辺を囲むようにミラー世界の画像が表示されている。
【0037】
上方に車両前方の現実世界の背景画像P2が表示され、下方に自車両の後方のミラー画像P3が表示されることで、位置関係が分かりやすく、また自車両の俯瞰画像P1も存在するため、距離感をつかむことができる。またミラー画像P3の周辺部はグラデーション表示により色模様が施されているため、ミラー世界の画像であることを容易に識別することができる。
【0038】
尚、本発明では、表示部60に表示された画像は、現実世界とミラー世界の映像が同一の3次元空間上に配置されることになるため、仮想視点100を移動することで、現実世界だけ、又はミラー世界だけ、さらには現実世界とミラー世界の混在した状態を表示することができる。したがって、仮想視点100の移動に応じてカメラ11〜14の視野角を変更することで、より一層理解しやすい画像を表示することができる。以下、図8〜図14を参照して、仮想視点100を移動したときの表示部60での表示形態を具体的に説明する。
【0039】
図8〜図14において、(a)は車両1に取り付けた各カメラ11〜14の視野角を示し、図4(b)に対応する図である。尚、現実世界(太線)とミラー世界(細線)は上下対称となり、現実世界おける視野角とミラー世界(細線)での視野角は上下対称となる。(b)は、車両1を横から見たときの仮想視点100の位置と方向を示す。現実世界(右)に対してミラー世界(左)は左右対称となる。(c)は車両1を真後ろからみたときの仮想視点100の位置を示す。また(d)は、表示部60での表示画面を示し、自車両の俯瞰画像をP1とし、現実世界の背景画像をP2とし、ミラー画像をP3として示す。
【0040】
先ず、図8は車両がオフロードにいる場合を示している。オフロードでは、どこから障害物が近づくか分からないため、車両の周囲全方向を表示したい。そのため仮想視点100を車両の真上に設定にする。また車両が曲がるときに横に障害物がないかを確認するために、曲がる方向が見えるように前方カメラ11の視野は最大限に広げる。また後ろから何かが近づいてくることを想定し、左右のカメラ13,14は真後ろまで見えるように視野角を広げ、後方カメラ12は後方のみを見るようにする。
【0041】
このとき、表示部60には自車両を真上から見た俯瞰画像P1と、その周囲全方位の背景画像P2が表示される。仮想視点100が現実世界の車両の真上にあるため、ミラー世界の画像は表示されない。尚、表示部60の画面の半分だけに画像P1,P2が表示されるため、残りの画面は地図情報等の付属画像を表示(いわゆる多画面表示)してもよい。
【0042】
図9は、狭い道路から交差点に入る場合を示している。狭い道路から交差点に入る場合は、仮想視点100の位置を自車両のやや後方上部から見るように設定する。また横切る道路が横方向の障害物によって見えない可能性があるため、前方カメラ11の視野を最大限に広げる。また自車両の周りに何かが接近していないか見るために自車両の周りの映像を表示させる。
【0043】
このとき、表示部60には画面全体に俯瞰画像P1とその前方周囲の背景画像P2が広く表示される。仮想視点100は現実世界の車両の後方上部にあるため、ミラー世界の画像は表示されない。また、オフロードから道路に出る場合も、図9と同様の形態で表示される。
【0044】
図10は、車両をバックする場合を示している。例えばバックしながら道路に出る場合は、仮想視点100をミラー世界までずれた位置に設定し、車両の前方から斜めに見下ろす位置に設定する。また後方カメラ12の視野は最大限に広げ、かつ自車両の周りに何かが近づいて来ないかを確認するために自車両の周りの映像も表示させる。さらに駐車場に車をバック入れる場合など、隣の車との隙間がどれくらいあるか確認するために、左右のカメラ13,14の視野も最大限に広げる。
【0045】
このとき、表示部60には自車両の後方のミラー画像P3が画面全体に表示され、ミラー画像の俯瞰画像P1と、その後方周囲の背景画像が表示される。仮想視点100がミラー世界の上にあるため、現実世界の画像は表示されず、ミラー画像P3のみが表示される。
【0046】
図11は、左に車線変更する場合を示している。左に車線変更する場合は、行きたい車線に車がいるか確認する必要があるため、仮想視点100は現実世界の車両の後方上部からミラー世界にかかる位置に設定し、かつ車両の左上にシフトした位置に設定する。また後ろの車が同時に車線変更してくる可能性もあるため、左カメラ13は後方が極力見えるように視野を広げ、真後ろを後方カメラ12で捉えるようにする。また車線変更先が渋滞しているときは車線変更を断念する場合もあるので、右カメラ14で現進行車線が見えるようにし、かつ前の車が突然止まっても確認できるように前方カメラ11で前方を捉えるような視野にする。
【0047】
このとき、表示部60には左側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の左側から前方の背景画像P2が表示され、かつ自車両の後方を示すミラー画像P3が表示される。尚、表示部60の画面は半分だけ画像P1,P2,P3が表示されるため、残りの画面には地図情報等が表示される。
【0048】
図12は、右に車線変更する場合を示している。右に車線変更する場合は、左に車線変更する場合と逆になり、仮想視点100は現実世界の車両の後方上部からミラー世界にかかる位置に設定し、かつ車両の右上にシフトした位置に設定する。また後ろの車が同時に車線変更してくる可能性もあるため、右カメラ14は後方が極力見えるように視野を広げ、真後ろを後方カメラ12で捉えるようにする。また車線変更先が渋滞しているときは車線変更を断念する場合もあるので、左カメラ13で現進行車線が見えるようにし、かつ前の車が突然止まっても見えるように、前方カメラ11で前方を捉えるような視野にする。
【0049】
このとき、表示部60には右側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の右側から前方の背景画像P2が表示され、かつ自車両の後方を示すミラー画像P3が表示される。
【0050】
図13は、広い道路から交差点を左折する場合を示している。広い道路から左へ曲がる場合、左側の道路に車がいるか確認する必要があるため、仮想視点100は現実世界の車両の後方上部からミラー世界にかかる位置に設定し、かつ車両の左上にシフトした位置に設定する。また後から自転車やバイクなどが高速で近づいてきて巻き込む恐れがあるため、左カメラ13は後方が見えるように視野角を広くする。また障害物などにより曲がる先の道路の状況が運転者から見にくいことを想定し、前方カメラ11の視野も広げる。
【0051】
このとき、表示部60には左側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の前方及び左側の背景画像P2が広く表示され、かつ自車両の後方を示すミラー画像P3が表示される。勿論、表示部60の画面全体に表示するようにしてもよい。
【0052】
図14は、広い道路から交差点を右折する場合を示している。広い道路から右へ曲がる場合は、仮想視点100の位置を車両の後方上部から見るように設定し、かつ車両の右上にシフトした位置に設定する。また対向車が来ていないか確認する必要があるため、対向車線の状況がよく見えるように、右カメラ14で前方から右側まで広く見えるように視野角を広げる。このとき、表示部60には右側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の右側から前方の背景画像P2が表示される。
【0053】
図8〜図14の表示例では、各場面に合わせて仮想視点100の位置や方向、及び各カメラ11〜14の視野角を切り替えているが、車両がオフロードにいるか、狭い道路から交差点に進入しようとしているか等の情報はナビゲーション装置20からの情報を基に判断することができる。また車両が車線変更しようとしているか、右左折しようとしているか、或いはバックしようとしているのかは、ジャイロセンサやハンドル舵角等の車両情報から判断することができる。したがって、撮影部10及び画像処理部50は、それそれぞれの状況に応じてどのカメラの画像が重要になるかを判断して、背景画像の生成やカメラの視野角の調整を行う。
【0054】
また道路状況や車両の進行に応じて、表示部60の表示が切り替わるが、切り替えは、仮想視点100の移動に伴ってモーションを持たせて表示させてもよい。例えば画面が切り替わる際に前画面と新たな画面をアルファブレンドしてアルファを変えながら表示を切り替えていってもよいし、カメラの視野角をずらしていってもよい。さらに地図情報などの付属画像を含む多画面表示から単一画面の表示に切り替える際には、付属画像の表示範囲が徐々に狭くなるように切り替えてもよい。逆に単一画面の表示から付属画像を含む多画面表示に切り替える際には、付属画像の表示範囲が徐々に広くなるように切り替えてもよい。
【0055】
図15は、ミラー画像P3の他の表示形態を示す図である。図15では、ミラー画像P3を現実世界の背景画像P2の上に表示したものである。この場合は、ルームミラーを連想させるため、ミラー画像P3がどの部分の映像かを認識しやすくなる。
【0056】
図16はミラー画像の表示処理を説明するフローチャートであり、表示パターン決定部40と画像処理部50の動作を説明する図である。図16において、ステップS0で車両の運転が開始されると、ステップS1では表示パターン決定部40にて自車両の俯瞰画像P1決定し、例えば自車両を示すイラストを描写する。ステップS2では、トップビュー画像P0に対して車両の後部に折り返し点Qを設定して垂直な面を設置し、垂直な面(後方垂直部)の背面に左右を反転した画像を描写する。
【0057】
以下、ループS3から運転終了のループS13の間において表示パターンの切り替えを行う。即ち、ステップS4では、現在の状況での表示パターンを確認し、ステップS5では車両の状況が変わったか(つまり表示パターンが変わったか)を判断する。状況に変化がない場合はステップS6で現表示パターンを継続して描写する。状況が変わった場合はステップS7において、変化する前の表示状態、例えば仮想視点の位置やカメラの視野角や表示画面の幅等をメモリに記憶する。
【0058】
ステップS8では状況に応じて切り替え後の表示状態を決定し、ステップS9では、表示切り替え推移数分のループに従って切り替えモーションを設定する。ステップS10では切り替え前と後の表示状態と推移の順番に従って表示状態を変更し、ステップS11では、ステップS2で設定した折り返し点を境界として手前側をミラー画像の領域として、その領域の大きさに従って所定の色を付けてグラデーション表示させる。ステップS9とステップS12間のループにより、表示の切り替えの都度、表示状態の変更とグラデーション表示が行われ、ステップS13で運転終了になると、ステップS14で終了する。
【0059】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、運転者に対して車両の周辺の状況を的確に知らせることができ、安全運転の補助を行うことができる。また車両の後方を撮影した画像を左右反転してミラー画像として表示したときに、運転者に対してミラー画像であることを明確に認識させることができる。
【0060】
尚、本発明の実施形態については、幾つかの変形例が考えられる。例えば、ミラー画像を表示させるか否か等、各種のモード設定をユーザ操作によってオン・オフできるようにしてもよい。また、車両周辺の背景画像P2に対する自車両の俯瞰画像P1の相対貼り付け位置が、前後対称や左右対称ではなくてもよい。例えば後ろの地面部が少なくてもミラー画像としては平面的に地面部まで見ることができるので違和感が軽減される。
【0061】
また車両の起動時などでは現実世界の画像を表示させ、次にミラー画像を車両後方上部に表示させてミラー世界の画像を表示させ、次に視点をミラー世界に移動させ表示させるようにしてもよい。或いは車両の起動時にミラー画像と現実世界の画像の両方を表示して、両者がどのような配置で表示されるかを事前に知られるようにしてもよい。
【0062】
また左右のカメラ13,14やそれと異なる位置にある後方カメラ12を使用してミラー画像P3をつくりだす場合には、ミラー画像P3の周辺部のグラデーション表示の色をカメラごとに変えてもよい。また異なる位置にあるカメラで撮影した画像をアルファブレンド等でつなぎ合わせるときには、ミラー画像P3のグラデーション表示の色を多色が混ざりあうような中間色としてもよい。これにより、後方カメラと左右のカメラで取り付け位置が異なるような場合にカメラの違いを認識させて、どの部分の画像かを分かりやすくすることができる。
【0063】
またミラー画像P3を認識させるため、ミラー画像P3の全体を均一な色で表示したり、ミラー画像P3の枠から中心に向かって変化するグラデーション表示の形状を任意の形に変更したり、グラデーション表示の代わりに画像をぼやかす等の特殊効果を施してもよい。
【0064】
また、カメラ11〜14は、特定の取付具を用いて取付けられるが、サイドミラーや、フェンダーミラーまたはサイドアンダーミラー(フェンダーミラーの左前だけにある地面を見るための小さなミラー)、リアアンダーミラーなどの突起物に取り付けてもよい。またカメラの取付位置や設置台数は任意に設定することができる。さらに特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10…撮像部
11,12,13,14…カメラ
20…車両情報生成部
21…ナビゲーション装置
30…表示パターン記憶部
31…画像記憶部
32…マッピングテーブル
40…表示パターン決定部
50…画像処理部
51…第1の画像生成部
52…第1の画像生成部(ミラー画像生成部)
53…画像合成部
60…表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に複数のカメラを搭載し、複数のカメラで撮影された画像を合成して表示する車両用画像表示装置に係り、特に車両の後方を撮影した画像を左右反転させてミラー画像として表示し、かつ運転者がミラー画像であることを識別できるようにした車両用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に複数のカメラを搭載し車両の周囲の映像を撮影し、撮影した画像を車両に設けたディスプレイ等に表示するようにした車両用画像表示装置がある。このような車両用画像表示装では、ディスプレイに表示された画像を確認することにより、車両が障害物に衝突或いは追突するのを避けることができる。
【0003】
また最近では、複数のカメラで撮影した画像を合成して表示する際に車両の俯瞰画像を生成し、トップビュー画像のように、生成した俯瞰画像を合成して表示するようにしたものもある。自車両の俯瞰画像を表示することで周囲の状況を把握しやすくなり、運転者の運転を支援することができる。尚、俯瞰画像は、自車両の上方などに設定した仮想視点から見た画像であり、仮想視点の位置を変えることで俯瞰画像等の見え方を変えることができる。
【0004】
特許文献1には、複数のカメラで撮影した画像を入力し、仮想視点から見た合成画像を生成するとともに、自車両を示すイラスト画像を表示するようにした画像処理装置が開示されている。
【0005】
ところで、運転者は車両の後方を確認する際に、通常はサイドミラーや、ルームミラーに映る映像を見ることが多いが、ミラーに映る映像は左右が反転しているため、車両の後方を撮影した画像をディスプレイに表示する場合は、左右反転して表示した方が運転者は分かりやすい。したがって後方画像を左右反転させてミラー画像をディスプレイに表示した例もある。
【0006】
特許文献2には、同じ場所を複数の視点で撮影し、複数の画像を並べて表示する車両用モニタ装置が開示されている。しかしながら、特許文献2では複数の視点の映像をばらばらに表示しているため、直感的にどこの映像か分かりにくい。また、左右反転させたミラー画像と反転させていない画像を同時に表示させた場合、その位置関係の意味がはっきりせず、直感的にどこの映像を表示したものか分かりにくいという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3300334号公報
【特許文献2】特開2003−149711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の車両用画像表示装置では、左右反転させたミラー画像を表示したときに、それがミラー画像であることを識別しづらく、現実の画像とミラー画像の区別ができないため、ミラー画像を表示しても却って誤解を与える可能性がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、ミラー画像を表示したときに現実の画像と誤認しないように区分して表示することができる車両用画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の車両用画像表示装置は、車両に分散して配置された複数のカメラを含み、前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、前記車両の俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、前記複数のカメラで撮影した画像を処理して前記車両の背景画像を生成し、前記背景画像と前記俯瞰画像を合成した第1の画像を出力する第1の画像生成部と、前記車両の後部又は前方部の背景画像付近の自車両の進行方向に対して垂直かつ地面に対して垂直な面を基準に、第1の画像を面対称させた画像を形成するとともに面対称であることを識別可能にした第2の画像を生成する第2の画像生成部と、前記第1の画像生成部からの第1の画像及び前記第2の画像生成部からの前記第2の画像を選択的に合成する画像合成部と、前記画像合成部からの出力画像を表示可能な表示部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用画像表示装置によれば、運転者に対して車両の周辺の状況を的確に知らせることができ、安全運転の補助を行うことができる。また車両の後方を撮影した画像を左右反転してミラー画像として表示したときに、運転者に対してミラー画像であることを明確に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】仮想視点と車両の関係を示す説明図。
【図3】車両の俯瞰画像と背景画像の一例を概略的に示す説明図。
【図4】車両へのカメラの取付け配置とカメラの視野角の一例を示す説明図。
【図5】ミラー画像の生成を説明する説明図。
【図6】ミラー画像の実例を示す説明図。
【図7】ミラー画像の表示例を示す説明図。
【図8】仮想視点を移動したときの表示部での表示例を示す説明図。
【図9】車両が交差点に進入する際の表示例を示す説明図。
【図10】車両をバックする際の表示例を示す説明図。
【図11】左に車線変更する際の表示例を示す説明図。
【図12】右に車線変更する際の表示例を示す説明図。
【図13】交差点を左折する際の表示例を示す説明図。
【図14】交差点を右折する際の表示例を示す説明図。
【図15】ミラー画像の他の表示例を示す説明図。
【図16】ミラー画像の表示処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の全体構成を示すブロック図である。図1の車両用画像表示装置は、撮像部10、車両情報生成部20、表示パターン記憶部30、表示パターン決定部40、画像処理部50及び表示部60を備えている。
【0015】
撮像部10は、自車両の周囲の映像を撮影する例えば4つのカメラ11,12,13,14を有している。4つのカメラ11,12,13,14は、車両の前方、後方、左側、右側をそれぞれ撮影するものであり、車両の同じ高さ位置に取付けるのが望ましい。また各カメラ11〜14は、魚眼カメラを使用するとよい。各カメラ11〜14の位置については後述する。
【0016】
車両情報生成部20は、ナビゲーション装置21を含む。ナビゲーション装置21は、自車両の現在位置を検出するGPS受信部、地図データを格納した記録媒体、目的地までの経路を探索する探索部等を有する。また自車両の車速、加速度、傾き等を検出する車速度センサやジャイロセンサ等を有し、これらGPS受信部、記録媒体、探索部、車速センサやジャイロセンサ等がCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介して接続されている。したがって、車両情報生成部20からは、自車両の現在位置や進行方向(前進、バック、右・左折)等の情報を得ることができる。
【0017】
表示パターン記憶部30は、画像記憶部31とマッピングテーブル32を含む。画像記憶部31は、自車両を真上からみた俯瞰画像や、斜め後方等からみた俯瞰画像を記憶するものである。即ち、カメラ11〜14は自車両の周囲をそれぞれ撮影し、撮影した画像に基づいて自車両の背景画像を生成するが、背景画像に表示されるのは実景のみである。したがって、背景画像の所定の位置に自車両の俯瞰画像を合成するため、予め自車両を真上から撮影した画像や斜め後方等からみた画像を俯瞰画像として画像記憶部31に記憶している。或いは、自車両を示すイラスト画像を生成し、このイラスト画像を俯瞰画像として記憶している。撮影した画像やイラスト画像は1つに限らず、複数種記憶しておき、任意のものを選択できるようにしている。
【0018】
マッピングテーブル32は、カメラ11〜14で撮影した画像の画素データと、自車両の周辺を上方の仮想視点から見た背景画像の画素データとの対応関係を記載したテーブルであり、撮影された画像の画素が背景画像のどの画素に対応するかを示す変換情報を記憶している。表示パターン決定部40は、画像記憶部31に記憶した画像データから合成画像の生成に必要な自車両の俯瞰画像を決定する。尚、画像記憶部31と表示パターン決定部40は俯瞰画像生成部を構成する。
【0019】
画像処理部50は、第1の画像生成部51と、第2の画像生成部52と、画像合成部53を含む。第1の画像生成部51は、カメラ11〜14で撮影した車両の前方画像と、後方画像と、左側方画像と、右側方画像とをマッピングテーブル32を参照して合成処理して背景画像を生成する。また、この背景画像に表示パターン決定部40で決定した俯瞰画像を合成して第1の画像(トップビュー画像)を生成する。マッピングテーブル32を参照することで、仮想視点の位置が変わると視点に合わせて表示された背景画像が変化する。マッピングテーブルを用いた背景画像の生成方法の詳細は、例えば特許文献1に記載されている。
【0020】
また第1の画像生成部51は、車両情報生成部20から車両の位置や進行方向及び角度情報を得て、車両の移動方向(前進、バック)と曲がる方向(右折・左折)を判断し、車両の状況に合わせてカメラ11〜14の撮影画像を選択して合成処理を行う。
【0021】
第2の画像生成部52は、第1の画像生成部51で生成した第1の画像のうち、車両の後方部周辺部の画像を左右反転して面対称の第2の画像(ミラー画像)を生成し、ミラー画像が面対称の画像であることを識別可能にするため特定の色模様を施す。ミラー画像の詳細については後述する。画像合成部53は、第1の画像生成部51で生成した第1の画像と第2の画像生成で生成した第2の画像を選択的に合成して表示部60に出力する。表示部60は、画像合成部53から出力された合成画像を表示するものであり、液晶ディスプレイ等で構成される。
【0022】
図2は、仮想視点を概念的に示す図であり、例えば車両1の上方に仮想視点100を設定した例を示している。
【0023】
図3は、表示部60に表示された背景画像と自車両の俯瞰画像とを含む第1の画像(トップビュー画像P0)の一例を示し、図2の仮想視点100から見たトップビュー画像P0を示している。図3では、車両の前方画像及び後方画像と左側方画像と右側方画像とを合成して車両の周辺部を垂直の壁で囲むように背景画像P2をパノラマ表示し、背景画像P2に車両の俯瞰画像P1を合成して表示した例を示している。
【0024】
図3では仮想視点100の位置を車両の真上に設定しているが、仮想視点100の位置を変えるとトップビュー画像P0の表示も変わる。尚、図3では、車両(俯瞰画像P1)の底面(地面)を水平面A0とし、水平面A0の左右にできる垂直の壁を右垂直面A1及び左垂直面A2と呼び、水平面A0の前後にできる垂直の壁を前方垂直面B1及び後方垂直部B2と呼ぶ。
【0025】
次にカメラ11〜14の配置の一例を図4を参照して説明する。即ち車両1に複数のカメラを配置する際、俯瞰画像を作り出すには4つのカメラで撮影した画像が必要になる。また安全に運転できる情報を提供するには、極力、死角になる部分をなくす必要がある。このような点を考慮して、本実施形態では、図4(a)に示すように4つのカメラ11〜14を配置している。
【0026】
図4(a)は車両1を真上から見た図であり、例えば車両1の前方部にカメラ11を配置し、後方部にカメラ12を配置する。また車両1の左側のサイドミラーにカメラ13を配置し、右側のサイドミラーにカメラ14を配置する。こうして各カメラ11〜14は、車両1の4辺に配置される。各カメラ11〜14は、車両1の全周囲を撮影するため、各カメラ11〜14の描写範囲を180度よりも広くすると良い。尚、以下の説明では、カメラ11を前方カメラ、カメラ12を後方カメラ、カメラ13を左カメラ、カメラ14を右カメラと呼ぶこともある。またカメラ11〜14を備えた車両1を自車両1と呼ぶこともある。
【0027】
図4(b)は、カメラ11〜14の撮影範囲(視野角)の一例を示す図であり、自車両1の真上に仮想視点を設定したときの背景画像P2を示し、各カメラ11〜14が自車両1のどの位置に配置されているかを俯瞰画像P1に対応させて示している。尚、背景画像P2はお椀状にパノラマ表示された例を示している。
【0028】
図4(b)において、カメラ11〜14は例えば太線で示す範囲内をそれぞれ撮影する。各カメラ11〜14は視野角を調整可能であって、例えば狭い道路から交差点に進入するような場合は前方カメラ11の視野角を最大限に広げる。また車両が左折する場合には左カメラ13での視野角を広くし、車両が右折する場合には右カメラ14の視野角を広くし、車両バックする場合は後方カメラ12視野角を最大限に広げる。
【0029】
本発明では、各カメラ11〜14で車両1の周囲の映像を撮影してトップビュー画像P0を生成した際に、車両の後部周辺を撮影した画像を左右反転させてミラー画像として表示するとともに、反転した画像がミラー画像であることを運転者に認識させるために識別表示する点に特徴がある。
【0030】
即ち、運転者は後方部分の映像を通常はサイドミラーや、ルームミラーで見ているが、ミラーで見た映像は左右が反転している。このため車両の後方を撮影した画像をディスプレイに表示する場合は、左右反転して表示した方が運転者は分かりやすい。したがって後方画像を左右反転させてミラー画像として表示することがある。
【0031】
しかしながら、表示画像には車両の前方を撮影した画像も含まれ、前方画像は左右反転することなく表示されるため、同じ画面に左右が反転していない画像と左右が反転した画像とが混在する。そこで、表示されたトップビュー画像P0にミラー画像が表示されている場合は、ミラー画像であることを識別するため、例えばミラー画像の周辺部に色模様を施し、ミラー画像の周辺部から中心部に向かって段階的に色濃度を変えてグラデーション表示する。
【0032】
図5は本発明のミラー画像の表示を概念的に示した説明図である。図5において、カメラ11〜14で撮影した画像をもとに、第1の画像生成部51では背景画像P2を生成し自車両の俯瞰画像P1と合成する。
【0033】
また仮想視点が自車両の位置よりかなり後方であるため、後方垂直部B2が仮想視点に対して背面に表示されるため見ることができない。そのため第2の画像生成部52は、後方垂直部B2の画像を左右反転(面対称)して後方垂直部B2の背面に表示させ、第2の画像(以下、ミラー画像P3と称す)を生成する。さらにミラー画像であることを強調するため色模様を施す。例えばミラー画像P3の枠の周りを着色し、枠の周辺から中心に向かって色を濃い色から淡い色へ順次に変えてグラデーション表示する。これにより、左右が反転したミラー画像P3であることを運転者に認識させることができる。
【0034】
図6は、実験によって得たミラー画像の実例を示す。図6において、P2は現実の映像の背景画像である。またP3はミラー画像であり、周辺部が所定の色でグラデーション表示されている。第2の画像生成部52は、後方垂直部B2の面を基準にして車両の後部の背景画像を面対称にした第2の画像(ミラー画像P3)を生成する。尚、図4(b)のように背景画像P2がお椀状にパノラマ表示された場合には、その表示画像の一番後方にあたる自車両後方の背景画像の最上部の位置付近を基準に、地面に対して垂直かつ自車両の進行方向に対して垂直な面を基準に面対称にした第2の画像を生成する。
【0035】
こうして、表示部60にはミラー画像P3が手前側に表示され、反転されない背景画映像P2が奥側に表示される。したがって、通常は見ることのできない後方の画像がミラー画像P3として表示され、かつ現実の映像よりも手前に大きく表示される。尚、以下の説明では、左右反転することなく実際に撮影する映像空間を現実世界と呼び、撮影した画像を左右反転してミラー画像として表示する映像空間をミラー世界と呼ぶことにする。
【0036】
図7は、表示部60に表示された背景画像P2とミラー画像P3の一例を示す。図7では、上方に自車両の前方部分を示す俯瞰画像P1が表示され、自車両の前方周辺を囲むように現実世界の背景画像P2がパノラマ表示されている。また下方の後方垂直部の後方にミラー画像P3が表示されている。ミラー画像P3では、自車両の後部を示す俯瞰画像P1が表示され、自車両の後方周辺を囲むようにミラー世界の画像が表示されている。
【0037】
上方に車両前方の現実世界の背景画像P2が表示され、下方に自車両の後方のミラー画像P3が表示されることで、位置関係が分かりやすく、また自車両の俯瞰画像P1も存在するため、距離感をつかむことができる。またミラー画像P3の周辺部はグラデーション表示により色模様が施されているため、ミラー世界の画像であることを容易に識別することができる。
【0038】
尚、本発明では、表示部60に表示された画像は、現実世界とミラー世界の映像が同一の3次元空間上に配置されることになるため、仮想視点100を移動することで、現実世界だけ、又はミラー世界だけ、さらには現実世界とミラー世界の混在した状態を表示することができる。したがって、仮想視点100の移動に応じてカメラ11〜14の視野角を変更することで、より一層理解しやすい画像を表示することができる。以下、図8〜図14を参照して、仮想視点100を移動したときの表示部60での表示形態を具体的に説明する。
【0039】
図8〜図14において、(a)は車両1に取り付けた各カメラ11〜14の視野角を示し、図4(b)に対応する図である。尚、現実世界(太線)とミラー世界(細線)は上下対称となり、現実世界おける視野角とミラー世界(細線)での視野角は上下対称となる。(b)は、車両1を横から見たときの仮想視点100の位置と方向を示す。現実世界(右)に対してミラー世界(左)は左右対称となる。(c)は車両1を真後ろからみたときの仮想視点100の位置を示す。また(d)は、表示部60での表示画面を示し、自車両の俯瞰画像をP1とし、現実世界の背景画像をP2とし、ミラー画像をP3として示す。
【0040】
先ず、図8は車両がオフロードにいる場合を示している。オフロードでは、どこから障害物が近づくか分からないため、車両の周囲全方向を表示したい。そのため仮想視点100を車両の真上に設定にする。また車両が曲がるときに横に障害物がないかを確認するために、曲がる方向が見えるように前方カメラ11の視野は最大限に広げる。また後ろから何かが近づいてくることを想定し、左右のカメラ13,14は真後ろまで見えるように視野角を広げ、後方カメラ12は後方のみを見るようにする。
【0041】
このとき、表示部60には自車両を真上から見た俯瞰画像P1と、その周囲全方位の背景画像P2が表示される。仮想視点100が現実世界の車両の真上にあるため、ミラー世界の画像は表示されない。尚、表示部60の画面の半分だけに画像P1,P2が表示されるため、残りの画面は地図情報等の付属画像を表示(いわゆる多画面表示)してもよい。
【0042】
図9は、狭い道路から交差点に入る場合を示している。狭い道路から交差点に入る場合は、仮想視点100の位置を自車両のやや後方上部から見るように設定する。また横切る道路が横方向の障害物によって見えない可能性があるため、前方カメラ11の視野を最大限に広げる。また自車両の周りに何かが接近していないか見るために自車両の周りの映像を表示させる。
【0043】
このとき、表示部60には画面全体に俯瞰画像P1とその前方周囲の背景画像P2が広く表示される。仮想視点100は現実世界の車両の後方上部にあるため、ミラー世界の画像は表示されない。また、オフロードから道路に出る場合も、図9と同様の形態で表示される。
【0044】
図10は、車両をバックする場合を示している。例えばバックしながら道路に出る場合は、仮想視点100をミラー世界までずれた位置に設定し、車両の前方から斜めに見下ろす位置に設定する。また後方カメラ12の視野は最大限に広げ、かつ自車両の周りに何かが近づいて来ないかを確認するために自車両の周りの映像も表示させる。さらに駐車場に車をバック入れる場合など、隣の車との隙間がどれくらいあるか確認するために、左右のカメラ13,14の視野も最大限に広げる。
【0045】
このとき、表示部60には自車両の後方のミラー画像P3が画面全体に表示され、ミラー画像の俯瞰画像P1と、その後方周囲の背景画像が表示される。仮想視点100がミラー世界の上にあるため、現実世界の画像は表示されず、ミラー画像P3のみが表示される。
【0046】
図11は、左に車線変更する場合を示している。左に車線変更する場合は、行きたい車線に車がいるか確認する必要があるため、仮想視点100は現実世界の車両の後方上部からミラー世界にかかる位置に設定し、かつ車両の左上にシフトした位置に設定する。また後ろの車が同時に車線変更してくる可能性もあるため、左カメラ13は後方が極力見えるように視野を広げ、真後ろを後方カメラ12で捉えるようにする。また車線変更先が渋滞しているときは車線変更を断念する場合もあるので、右カメラ14で現進行車線が見えるようにし、かつ前の車が突然止まっても確認できるように前方カメラ11で前方を捉えるような視野にする。
【0047】
このとき、表示部60には左側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の左側から前方の背景画像P2が表示され、かつ自車両の後方を示すミラー画像P3が表示される。尚、表示部60の画面は半分だけ画像P1,P2,P3が表示されるため、残りの画面には地図情報等が表示される。
【0048】
図12は、右に車線変更する場合を示している。右に車線変更する場合は、左に車線変更する場合と逆になり、仮想視点100は現実世界の車両の後方上部からミラー世界にかかる位置に設定し、かつ車両の右上にシフトした位置に設定する。また後ろの車が同時に車線変更してくる可能性もあるため、右カメラ14は後方が極力見えるように視野を広げ、真後ろを後方カメラ12で捉えるようにする。また車線変更先が渋滞しているときは車線変更を断念する場合もあるので、左カメラ13で現進行車線が見えるようにし、かつ前の車が突然止まっても見えるように、前方カメラ11で前方を捉えるような視野にする。
【0049】
このとき、表示部60には右側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の右側から前方の背景画像P2が表示され、かつ自車両の後方を示すミラー画像P3が表示される。
【0050】
図13は、広い道路から交差点を左折する場合を示している。広い道路から左へ曲がる場合、左側の道路に車がいるか確認する必要があるため、仮想視点100は現実世界の車両の後方上部からミラー世界にかかる位置に設定し、かつ車両の左上にシフトした位置に設定する。また後から自転車やバイクなどが高速で近づいてきて巻き込む恐れがあるため、左カメラ13は後方が見えるように視野角を広くする。また障害物などにより曲がる先の道路の状況が運転者から見にくいことを想定し、前方カメラ11の視野も広げる。
【0051】
このとき、表示部60には左側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の前方及び左側の背景画像P2が広く表示され、かつ自車両の後方を示すミラー画像P3が表示される。勿論、表示部60の画面全体に表示するようにしてもよい。
【0052】
図14は、広い道路から交差点を右折する場合を示している。広い道路から右へ曲がる場合は、仮想視点100の位置を車両の後方上部から見るように設定し、かつ車両の右上にシフトした位置に設定する。また対向車が来ていないか確認する必要があるため、対向車線の状況がよく見えるように、右カメラ14で前方から右側まで広く見えるように視野角を広げる。このとき、表示部60には右側に傾いた自車両の俯瞰画像P1と、自車両の右側から前方の背景画像P2が表示される。
【0053】
図8〜図14の表示例では、各場面に合わせて仮想視点100の位置や方向、及び各カメラ11〜14の視野角を切り替えているが、車両がオフロードにいるか、狭い道路から交差点に進入しようとしているか等の情報はナビゲーション装置20からの情報を基に判断することができる。また車両が車線変更しようとしているか、右左折しようとしているか、或いはバックしようとしているのかは、ジャイロセンサやハンドル舵角等の車両情報から判断することができる。したがって、撮影部10及び画像処理部50は、それそれぞれの状況に応じてどのカメラの画像が重要になるかを判断して、背景画像の生成やカメラの視野角の調整を行う。
【0054】
また道路状況や車両の進行に応じて、表示部60の表示が切り替わるが、切り替えは、仮想視点100の移動に伴ってモーションを持たせて表示させてもよい。例えば画面が切り替わる際に前画面と新たな画面をアルファブレンドしてアルファを変えながら表示を切り替えていってもよいし、カメラの視野角をずらしていってもよい。さらに地図情報などの付属画像を含む多画面表示から単一画面の表示に切り替える際には、付属画像の表示範囲が徐々に狭くなるように切り替えてもよい。逆に単一画面の表示から付属画像を含む多画面表示に切り替える際には、付属画像の表示範囲が徐々に広くなるように切り替えてもよい。
【0055】
図15は、ミラー画像P3の他の表示形態を示す図である。図15では、ミラー画像P3を現実世界の背景画像P2の上に表示したものである。この場合は、ルームミラーを連想させるため、ミラー画像P3がどの部分の映像かを認識しやすくなる。
【0056】
図16はミラー画像の表示処理を説明するフローチャートであり、表示パターン決定部40と画像処理部50の動作を説明する図である。図16において、ステップS0で車両の運転が開始されると、ステップS1では表示パターン決定部40にて自車両の俯瞰画像P1決定し、例えば自車両を示すイラストを描写する。ステップS2では、トップビュー画像P0に対して車両の後部に折り返し点Qを設定して垂直な面を設置し、垂直な面(後方垂直部)の背面に左右を反転した画像を描写する。
【0057】
以下、ループS3から運転終了のループS13の間において表示パターンの切り替えを行う。即ち、ステップS4では、現在の状況での表示パターンを確認し、ステップS5では車両の状況が変わったか(つまり表示パターンが変わったか)を判断する。状況に変化がない場合はステップS6で現表示パターンを継続して描写する。状況が変わった場合はステップS7において、変化する前の表示状態、例えば仮想視点の位置やカメラの視野角や表示画面の幅等をメモリに記憶する。
【0058】
ステップS8では状況に応じて切り替え後の表示状態を決定し、ステップS9では、表示切り替え推移数分のループに従って切り替えモーションを設定する。ステップS10では切り替え前と後の表示状態と推移の順番に従って表示状態を変更し、ステップS11では、ステップS2で設定した折り返し点を境界として手前側をミラー画像の領域として、その領域の大きさに従って所定の色を付けてグラデーション表示させる。ステップS9とステップS12間のループにより、表示の切り替えの都度、表示状態の変更とグラデーション表示が行われ、ステップS13で運転終了になると、ステップS14で終了する。
【0059】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、運転者に対して車両の周辺の状況を的確に知らせることができ、安全運転の補助を行うことができる。また車両の後方を撮影した画像を左右反転してミラー画像として表示したときに、運転者に対してミラー画像であることを明確に認識させることができる。
【0060】
尚、本発明の実施形態については、幾つかの変形例が考えられる。例えば、ミラー画像を表示させるか否か等、各種のモード設定をユーザ操作によってオン・オフできるようにしてもよい。また、車両周辺の背景画像P2に対する自車両の俯瞰画像P1の相対貼り付け位置が、前後対称や左右対称ではなくてもよい。例えば後ろの地面部が少なくてもミラー画像としては平面的に地面部まで見ることができるので違和感が軽減される。
【0061】
また車両の起動時などでは現実世界の画像を表示させ、次にミラー画像を車両後方上部に表示させてミラー世界の画像を表示させ、次に視点をミラー世界に移動させ表示させるようにしてもよい。或いは車両の起動時にミラー画像と現実世界の画像の両方を表示して、両者がどのような配置で表示されるかを事前に知られるようにしてもよい。
【0062】
また左右のカメラ13,14やそれと異なる位置にある後方カメラ12を使用してミラー画像P3をつくりだす場合には、ミラー画像P3の周辺部のグラデーション表示の色をカメラごとに変えてもよい。また異なる位置にあるカメラで撮影した画像をアルファブレンド等でつなぎ合わせるときには、ミラー画像P3のグラデーション表示の色を多色が混ざりあうような中間色としてもよい。これにより、後方カメラと左右のカメラで取り付け位置が異なるような場合にカメラの違いを認識させて、どの部分の画像かを分かりやすくすることができる。
【0063】
またミラー画像P3を認識させるため、ミラー画像P3の全体を均一な色で表示したり、ミラー画像P3の枠から中心に向かって変化するグラデーション表示の形状を任意の形に変更したり、グラデーション表示の代わりに画像をぼやかす等の特殊効果を施してもよい。
【0064】
また、カメラ11〜14は、特定の取付具を用いて取付けられるが、サイドミラーや、フェンダーミラーまたはサイドアンダーミラー(フェンダーミラーの左前だけにある地面を見るための小さなミラー)、リアアンダーミラーなどの突起物に取り付けてもよい。またカメラの取付位置や設置台数は任意に設定することができる。さらに特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10…撮像部
11,12,13,14…カメラ
20…車両情報生成部
21…ナビゲーション装置
30…表示パターン記憶部
31…画像記憶部
32…マッピングテーブル
40…表示パターン決定部
50…画像処理部
51…第1の画像生成部
52…第1の画像生成部(ミラー画像生成部)
53…画像合成部
60…表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に分散して配置された複数のカメラを含み、前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、
前記車両の俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記複数のカメラで撮影した画像を処理して前記車両の背景画像を生成し、前記背景画像と前記俯瞰画像を合成した第1の画像を出力する第1の画像生成部と、
前記車両の後部又は前方部の背景画像付近の自車両の進行方向に対して垂直かつ地面に対して垂直な面を基準に、第1の画像を面対称させた画像を形成するとともに面対称であることを識別可能にした第2の画像を生成する第2の画像生成部と、
前記第1の画像生成部からの第1の画像及び前記第2の画像生成部からの前記第2の画像を選択的に合成する画像合成部と、
前記画像合成部からの出力画像を表示可能な表示部と、を具備したことを特徴とする車両用画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の画像生成部は、前記車両の進行状況に合わせて仮想視点を設定し、前記車両を前記仮想視点から見た前記第1の画像を生成し、
前記画像合成部は、前記仮想視点の位置に応じて前記第1の画像及び前記第2の画像を選択的に合成して出力することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項3】
前記撮影部は、前記車両の進行状況に合わせて前記複数のカメラの視野角を調整し、前記第1の画像生成部は、前記車両の進行に合わせて前記背景画像及び前記俯瞰画像を切り替えることを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項4】
前記第2の画像生成部は、前記面対称であることを識別可能にするため、前記面対称の画像の少なくとも周辺部に特定の色模様を施したことを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項5】
前記画像合成部は、前記車両が右・左折又は車線変更するときは、前記表示部に前記第1の画像及び前記第2の画像を含む合成画像を前記表示部に出力することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項6】
前記画像合成部は、前記車両がバックして車道に進入するときは前記第2の画像を主体とする合成画像を前記表示部に出力することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項1】
車両に分散して配置された複数のカメラを含み、前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、
前記車両の俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記複数のカメラで撮影した画像を処理して前記車両の背景画像を生成し、前記背景画像と前記俯瞰画像を合成した第1の画像を出力する第1の画像生成部と、
前記車両の後部又は前方部の背景画像付近の自車両の進行方向に対して垂直かつ地面に対して垂直な面を基準に、第1の画像を面対称させた画像を形成するとともに面対称であることを識別可能にした第2の画像を生成する第2の画像生成部と、
前記第1の画像生成部からの第1の画像及び前記第2の画像生成部からの前記第2の画像を選択的に合成する画像合成部と、
前記画像合成部からの出力画像を表示可能な表示部と、を具備したことを特徴とする車両用画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の画像生成部は、前記車両の進行状況に合わせて仮想視点を設定し、前記車両を前記仮想視点から見た前記第1の画像を生成し、
前記画像合成部は、前記仮想視点の位置に応じて前記第1の画像及び前記第2の画像を選択的に合成して出力することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項3】
前記撮影部は、前記車両の進行状況に合わせて前記複数のカメラの視野角を調整し、前記第1の画像生成部は、前記車両の進行に合わせて前記背景画像及び前記俯瞰画像を切り替えることを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項4】
前記第2の画像生成部は、前記面対称であることを識別可能にするため、前記面対称の画像の少なくとも周辺部に特定の色模様を施したことを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項5】
前記画像合成部は、前記車両が右・左折又は車線変更するときは、前記表示部に前記第1の画像及び前記第2の画像を含む合成画像を前記表示部に出力することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項6】
前記画像合成部は、前記車両がバックして車道に進入するときは前記第2の画像を主体とする合成画像を前記表示部に出力することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図14】
【図16】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図14】
【図16】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【公開番号】特開2011−30078(P2011−30078A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175452(P2009−175452)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
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