説明

車両用発光装置

【課題】高速道路を高速で走行するときに発光ダイオードを高輝度で発光させて前方を照射することにより、前方の視認性を向上でき、対面通行の道路を低速で走行するときに発光ダイオードの輝度を減少させることにより、対向車の運転者を眩惑させない。
【解決手段】車両用発光装置10は、車両に搭載された2以上の発光ダイオード11と、これらの発光ダイオード11を点灯させる点灯回路12とを備える。車両の走行速度は車速センサ15により検出され、点灯回路12は車速センサ15の検出出力に基づいて発光ダイオード11の輝度を変更するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のヘッドライト(前照灯)やデイライト(昼間灯)などとして用いられる発光ダイオード(LED)を発光させる発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、ダイオードアレイが多数の発光ダイオードを少なくとも直列接続して車両用前照灯の光源をなし、電流制御回路が車載電源から給電されてダイオードアレイへ給電するダイオードアレイ電流を目標値に制御するように構成された車両用ヘッドランプ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用ヘッドランプ装置では、発光ダイオードの電圧降下が電圧降下検出回路により検出され、この検出された電圧降下が所定のしきい値電圧値より低下したかどうかを発光ダイオード短絡検出回路が判定し、低下した場合に発光ダイオードの短絡故障と判定して所定の対応動作を要請するための短絡故障検出信号を出力するように構成される。このように構成された車両用ヘッドランプ装置では、ダイオードアレイへの給電電流が目標値に制御されているため、任意の1つの発光ダイオードにオン故障(短絡故障)が生じても、ダイオードアレイの負荷抵抗の減少により電流が増えてダイオードアレイの電圧降下が増大せず、ダイオードアレイの電圧降下は発光ダイオード1個分だけ低下する。この結果、簡単かつ正確にダイオードアレイを構成する発光ダイオードの短絡故障を検出できるとともに、ダイオードアレイへの通電電流を短絡故障に拘らず目標レベルに維持できる。また発光ダイオードの電圧降下をモニタすることにより、発光ダイオードのオン故障を検出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−186039号公報(請求項1、段落[0010])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示された車両用ヘッドランプ装置では、ダイオードアレイを構成する発光ダイオードの輝度が高すぎると、対面通行の道路を低速で走行するときに、発光ダイオードの発する高輝度の光で対向車の運転者を眩惑するおそれがあった。この点を解消するために、発光ダイオードの輝度を下げると、高速道路を高速で走行するときに、発光ダイオードの輝度が不足して、車両前方の視認性が低下するおそれがあった。本発明の目的は、高速道路を高速で走行するときに発光ダイオードを高輝度で発光させて前方を照射することにより、前方の視認性を向上できるとともに、対面通行の道路を低速で走行するときに発光ダイオードの輝度を減少させることにより、対向車の運転者を眩惑させない、車両用発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点は、図1に示すように、車両に搭載された2以上の発光ダイオード11と、これらの発光ダイオード11を点灯させる点灯回路12とを備えた車両用発光装置の改良である。その特徴ある構成は、車両の走行速度が車速センサ15により検出され、点灯回路12が車速センサ15の検出出力基づいて発光ダイオード11の輝度を変更するように構成されたところにある。この第1の観点の車両用発光装置では、車速センサ15が所定値以上の車速を検出すると、点灯回路12が発光ダイオード11に印加する電圧を上げるか或いは発光ダイオード11に流す電流を多くすることにより、発光ダイオード11を高輝度で発光させる。一方、車速センサ15が所定値未満の車速を検出すると、点灯回路12が発光ダイオード11に印加する電圧を下げるか或いは発光ダイオード11に流す電流を少なくすることにより、発光ダイオード11を低輝度で発光させる。
【0006】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、車速センサ15が60〜100km/時の範囲内の所定値以上の車速を検出したときに、点灯回路12が発光ダイオード11を100%の輝度で発光させ、車速センサ15が60〜100km/時の範囲内の所定値未満の車速を検出したときに、点灯回路12が発光ダイオード11の輝度を40〜70%に低下させるように構成されたことを特徴とする。この第2の観点の車両用発光装置では、車速センサ15が60〜100km/時の範囲内の所定値以上の車速を検出すると、点灯回路12が発光ダイオード11に印加する電圧を上げるか或いは発光ダイオード11に流す電流を多くすることにより、発光ダイオード11を100%の輝度で発光させる。一方、車速センサ15が60〜100km/時の範囲内の所定値未満の車速を検出すると、点灯回路12が発光ダイオード11に印加する電圧を下げるか或いは発光ダイオード11に流す電流を少なくすることにより、発光ダイオード11の輝度を40〜70%に低下させて発光させる。
【0007】
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、点灯回路12の入力端子12aに直流電圧が9〜30Vのバッテリに接続され、点灯回路12が、上記バッテリから入力された直流電力を30kHz〜40kHzのパルス電力に変換するスイッチングレギュレータ13と、スイッチングレギュレータ13で変換されたパルス電力を直流電力に変換する平滑回路14と、平滑回路14で変換された直流電力の電圧を車速センサ15の検出出力に基づいて変更する電圧変更回路20と、この電圧変更回路20で電圧が変更されて平滑回路14から出力された直流電力を60〜100Hzのパルス電力に変換するパルス電力出力回路16と、パルス電力出力回路16から出力されたパルス電力をその電流を制限して発光ダイオード11に出力する制限抵抗器17a,17bとを有することを特徴とする。
【0008】
この第3の観点の車両用発光装置では、予め車速センサ15が60〜100km/時の範囲内の所定値以上の車速を検出すると、この車速センサ15の検出出力が点灯回路12の電圧変更回路20に入力される。先ず点灯回路12のスイッチングレギュレータ13により、バッテリから入力された直流電力を30kHz〜40kHzのパルス電力に変換する。次いでこのパルス電力の電圧を平滑回路14により平滑化して直流電力とする。このとき電圧変更回路20が上記車速センサ15の検出出力に基づいて、平滑回路14の変換した直流電力の電圧を所定値(100%)にする。次のこの所定電圧の直流電力をパルス電力出力回路16が60〜100Hzのパルス電力に変換する。更にこのパルス電力を、その電流を制限抵抗器17a,17bにより制限して、発光ダイオード11に出力すると、発光ダイオード11が100%の輝度で発光する。一方、車速センサ15が60〜100km/時の範囲内の所定値未満の車速を検出すると、この車速センサ15の検出出力が点灯回路12の電圧変更回路20に入力される。先ず点灯回路12のスイッチングレギュレータ13により直流電力を30kHz〜40kHzのパルス電力に変換する。次いでこのパルス電力の電圧を平滑回路14により平滑化して直流電力とする。このとき電圧変更回路20が上記車速センサ15の検出出力に基づいて、平滑回路14の変換した直流電力の電圧を降下させる。次のこの電圧の降下された直流電力をパルス電力出力回路16が60〜100Hzのパルス電力に変換する。更にこのパルス電力を、その電流を制限抵抗器17a,17bにより制限して、発光ダイオード11に出力すると、発光ダイオード11が40〜70%の輝度で発光する。
【発明の効果】
【0009】
第1の観点の車両用発光装置では、車両の走行速度を車速センサが検出し、点灯回路が車速センサの検出出力基づいて発光ダイオードの輝度を変更するように構成したので、車速センサが所定値以上の車速を検出すると、点灯回路が発光ダイオード11に印加する電圧を上げるか或いは発光ダイオードに流す電流を多くすることにより、発光ダイオードを高輝度で発光させ、車速センサが所定値未満の車速を検出すると、点灯回路が発光ダイオード11に印加する電圧を下げるか或いは発光ダイオードに流す電流を少なくすることにより、発光ダイオードを低輝度で発光させる。この結果、車両が対面通行でない高速道路を高速で走行しているときには、発光ダイオードが高輝度で発光するので、車両前方の視認性を向上できるとともに、車両が対面通行の道路を低速で走行しているときには、発光ダイオードが低輝度で発光するので、対向車の運転者を眩惑させることはない。
【0010】
第2の観点の車両用発光装置では、車速センサが60〜100km/時の範囲内の所定値以上の車速を検出したときに、点灯回路が発光ダイオードを100%の輝度で発光させるので、車両が対面通行でない高速道路を高速で走行しているときに、発光ダイオードが高輝度で発光するので、車両前方の視認性を向上でき、車速センサが60〜100km/時の範囲内の所定値未満の車速を検出したときに、点灯回路が発光ダイオードの輝度を40〜70%に低下させるので、車両が対面通行の道路を低速で走行しているときに、発光ダイオードが低輝度で発光するので、対向車の運転者を眩惑させることはない。
【0011】
第3の観点の車両用発光装置では、点灯回路のスイッチングレギュレータが直流電圧9〜30Vのバッテリから入力された直流電力を30kHz〜40kHzのパルス電力に変換し、このパルス電力を平滑回路が直流電力に変換し、この直流電力の電圧を電圧変更回路が車速センサの検出出力に基づいて変更し、電圧変更回路で電圧が変更されて平滑回路から出力された直流電力をパルス電力出力回路が60〜100Hzのパルス電力に変換し、更に制限抵抗器により電流が制限されたパルス電力を発光ダイオードに出力するので、車速センサが60〜100km/時の範囲内の所定値以上の車速を検出したときに、点灯回路が発光ダイオードを100%の輝度で発光させ、車速センサが60〜100km/時の範囲内の所定値未満の車速を検出したときに、点灯回路が発光ダイオードの輝度を40〜70%に低下させる。この結果、車両が対面通行でない高速道路を高速で走行しているときに、発光ダイオードが高輝度で発光するので、車両前方の視認性を向上できるとともに、車両が対面通行の道路を低速で走行しているときに、発光ダイオードが低輝度で発光するので、対向車の運転者を眩惑させることはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明第1実施形態及び実施例1の自動車用発光装置の点灯回路図である。
【図2】その発光装置のスイッチングレギュレータの回路ブロック線図である。
【図3】その発光装置のパルス電力出力回路の回路ブロック線図である。
【図4】そのスイッチングレギュレータにより変換されたパルス電力のパルス電圧とパルス電流の位相差を示す図である。
【図5】その発光装置の発光ダイオードとレンズと放熱部材を含む要部断面図である。
【図6】図1のS2点に流れるパルス電流と、第1及び第2発光部に流れるパルス電流をそれぞれ示す図である。
【図7】発光ダイオードを左右のデイライトとして用いた状態を示す自動車の要部平面図である。
【図8】本発明第2実施形態を示す図7に対応する自動車の要部平面図である。
【図9】本発明第3実施形態の自動車用発光装置の点灯回路図である。
【図10】本発明第4実施形態の自動車用発光装置の点灯回路図である。
【図11】本発明第5実施形態の自動車用発光装置の点灯回路図である。
【図12】発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数が高くなるに従って、発光ダイオードの発熱量が増加する理由を示すオシロスコープ写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1及び図7に示すように、自動車20に12個の発光ダイオード11が搭載され、発光装置10は、上記発光ダイオード11と、これらの発光ダイオード11を点灯させる点灯回路12とを備える。12個のダイオード11のうち、6個の発光ダイオード11により第1発光部11aが構成され、残りの6個の発光ダイオード11により第2発光部11bが構成される。この実施の形態では、第1発光部11aは自動車20の右側のデイライト20aとして用いられ、第2発光部11bは自動車20の左側のデイライト20bとして用いられる。第1及び第2発光部11a,11bとも同一の定格仕様を有する高出力の発光ダイオードであり、例えば、日亜化学工業社製の白色チップタイプLED:NCCW022Sが用いられる。なお、図1では、第1及び第2発光部11a,11bとして、1個ずつの発光ダイオードを代表して示している。また、この実施の形態では、点灯回路に発光ダイオードを第1及び第2発光部としてそれぞれ6個ずつ接続したが、発光ダイオードを第1及び第2発光部としてそれぞれ1個ずつ、2〜5個ずつ又は7個ずつ以上接続してもよい。発光ダイオードを第1及び第2発光部としてそれぞれ2個ずつ以上接続する場合、これらのダイオードを直列又は並列に接続してもよく、或いは直列に接続したものを更に並列に接続してもよい。
【0014】
自動車20(図7)にはこの自動車20の走行速度を検出する車速センサ15(図1)が設けられる。また点灯回路12は、車速センサ15の検出出力に基づいて発光ダイオードの輝度を変更するように構成される。具体的には、点灯回路12の入力端子12aに直流電圧9〜30Vのバッテリ(図示せず)が接続される。点灯回路12は、バッテリから入力された直流電力を30kHz〜40kHzのパルス電力に変換するスイッチングレギュレータ13と、スイッチングレギュレータ13で変換されたパルス電力を直流電力に変換する平滑回路14と、この直流電力の電圧を車速センサ15の検出出力に基づいて変更する電圧変更回路20と、電圧変更回路20で電圧が変更されて平滑回路14から出力された直流電力を60〜100Hzのパルス電力に変換するパルス電力出力回路16と、このパルス電力出力回路16から出力されたパルス電力をその電流を制限して発光ダイオードに出力する制限抵抗器17a,17bとを有する。ここで、バッテリの直流電圧を9〜30Vの範囲に限定したのは、主に乗用車やトラック等の自動車20のみならず、自走式の建設機械や自走式の土木機械等を含む車両に搭載されたバッテリを考慮したものである。またバッテリの入力電力は5〜15Wであることが好ましい。
【0015】
一方、スイッチングレギュレータ13は、この実施の形態では、8ピン(端子X1〜X8)のSOP(Small Outline Package)に収容され、基準電圧比較ブロックと、発振回路ブロックと、スイッチングブロックとからなる(図2)。ここで、図2に示すスイッチングレギュレータ13の8つの端子X1〜X8は、図1に示すスイッチングレギュレータ13の8つの端子X1〜X8に対応する。基準電圧比較ブロックでは、基準電圧発生器13aで基準電圧を発生させ、出力電圧を分圧した比較電圧が基準電圧より低いか又は高いかを電圧比較器13bで検出し、比較電圧が基準電圧より低ければ入力から電力を送り込み、高ければ出力への電力を抑制するように構成される。また発振回路ブロックでは、発振器13cの出力がスイッチング制御用のフリップフロップ13dに伝えられて、スイッチングトランジスタ13eを駆動するように構成される。更にスイッチングブロックでは、スイッチングトランジスタ13eが電圧比較器13bの出力及び発振器の出力により制御されて、30kHz〜40kHz、好ましくは36kHzの周波数のパルス電力を出力するように構成される。なお、発振器13cは過電流検出抵抗器18の電圧を検出して過電流状態のときに発振動作を抑止してスイッチングトランジスタ13eの破損を防止するとともに、一端がスイッチングレギュレータ13の端子X3に接続され他端が接地されたタイミングコンデンサ19により発振周波数(スイッチング周波数)を変化させることができるようになっている。また上記パルス電力の周波数はスイッチングレギュレータ13の端子X3とタイミングコンデンサ19との間のS1点(図1)で測定したものである。ここで、スイッチングレギュレータ13により変換されたパルス電力の周波数を30kHz〜40kHzの範囲に限定したのは、パルス電力出力回路16によるパルス電力のパルス幅の調整を行い易くするためである。過電流検出抵抗器18の抵抗値はこの実施の形態では0.2Ωであり、タイミングコンデンサ19の静電容量はこの実施の形態では1000pFである。また図1中の符号21は静電容量100μFの電解コンデンサであり、符号22はバリスタ(サージアブソーバ)であり、符号23はダイオードである。更にスイッチングレギュレータ13により変換されたパルス電力のパルス電圧とパルス電流との位相差は±π/2の範囲内で設定でき、この実施の形態では、図4に示すように、鋸歯形のパルス電流を鋸歯形のパルス電圧に対して約π/2程度位相を進めさせている。
【0016】
平滑回路14は、一端がスイッチングレギュレータ13の電圧比較器13bの比較電圧入力に端子X5を介して接続され他端が平滑用コンデンサ14dを介して接地された第1抵抗器14aと、一端が上記電圧比較器13bの比較電圧入力に端子X5を介して接続された第2抵抗器14bと、一端が第2抵抗器14bに接続され他端が接地された第3抵抗器14cと、一端がスイッチングレギュレータ13のスイッチングトランジスタ13eのエミッタに端子X2を介して接続され他端が平滑用コンデンサ14dに接続された平滑用コイル14eと、一端が上記スイッチングトランジスタ13eのエミッタに端子X2を介して接続され他端が接地されたショットキーダイオード14fとを有する。
【0017】
上記第1抵抗器14aの抵抗値R1は第2抵抗器14bの抵抗値R2及び第3抵抗器14cの抵抗値R3との関係から適宜設定されるけれども、1.0kΩ〜50.0kΩの範囲内にに設定されることが好ましく、3.0kΩ〜40.0kΩの範囲内に設定されることが更に好ましい。また第1抵抗器14aの抵抗値R1と第2抵抗器14bの抵抗値R2との比R1/R2は5.4〜6.2、好ましくは5.5〜6.0の範囲内に設定される。これは、図1のB点における出力電圧VBが8.0〜9.0Vの範囲内になるようにして、自動車20のデイライト20a,20bを所定輝度で発光させるためである。ここで、B点における出力電圧VBと比R1/R2との関係はVB=[(R1/R2)+1]×1.25Vという式から求めることができる。更に第1抵抗器14aの抵抗値R1と第2及び第3抵抗器14b,14cの抵抗値の合計(R2+R3)との比R1/(R2+R3)は4.4〜5.0、好ましくは4.5〜4.9の範囲内に設定される。これは、図1のB点における出力電圧VBが6.8〜7.5Vの範囲内になるようにして、自動車20のデイライト20a,20bを上記所定輝度(100%)の40〜70%、好ましくは40〜60%の範囲内の輝度で発光させるためである。ここで、B点における出力電圧VBと比R1/(R2+R3)との関係はVB=[[R1/(R2+R3)]+1]×1.25Vという式から求めることができる。なお、上記平滑用コンデンサ14d及び平滑用コイル14eはスイッチングレギュレータ13から出力されたパルス電力を平滑化して直流電力にするためのLC回路の構成部品であり、この実施の形態では、平滑用コイル14dのインダクタンスは220μHに設定され、平滑用コンデンサ14eの静電容量は220μFに設定される。
【0018】
電圧変更回路20は、上記平滑回路14の第3抵抗器14cに電流を流すか否かを、車速センサ15の検出した出力電圧に基づいて変更するように構成される。電圧変更回路20は、基準電圧を発生させる基準電圧発生器20aと、車速センサ15の検出した出力電圧を基準電圧発生器20aで発生した基準電圧と比較する電圧比較器20bと、電圧比較器20bの出力端にベースが接続されたトランジスタ20cとを有する。トランジスタ20cのコレクタは平滑回路14の第2抵抗器14bと第3抵抗器14cとを接続する回路に接続され、トランジスタ20cのエミッタは接地される。また車速センサ15は60〜100km/時の範囲内の所定値以上、好ましくは70〜90km/時の範囲内の所定値以上、更に好ましくは80km/時以上の車速を検出したときに、基準電圧発生器20aで発生した基準電圧より高い検出出力電圧を電圧比較器20bに出力するように構成される。このとき電圧変更回路20の電圧比較器20bはトランジスタ20cのベースに所定の電流を流すので、平滑回路14の第2抵抗器14bを流れた電流が第3抵抗器14cを流れずにトランジスタ20cのコレクタ及びエミッタ間を流れることにより、平滑回路14から出力される直流電力の電圧は8.0〜9.0Vの範囲内の所定値に維持されるようになっている。また車速センサ15は60〜100km/時の範囲内の所定値未満、好ましくは70〜90km/時の範囲内の所定値未満、更に好ましくは80km/時未満の車速を検出したときに、基準電圧発生器20aで発生した基準電圧より低い検出出力電圧を電圧比較器20bに出力するように構成される。このとき電圧変更回路20の電圧比較器20bはトランジスタ20cのベースに電流を流さないので、トランジスタ20cのコレクタ及びエミッタ間に電流が流れず、平滑回路14の第2抵抗器14bを流れた電流が第3抵抗器14cを流れることにより、平滑回路14から出力される直流電力の電圧は6.8〜7.5Vの範囲内の所定値より降下するようになっている。
【0019】
パルス電力出力回路16は、60〜100Hzのパルス電流を出力するタイマ24と、タイマ24に接続された第1及び第2パルス幅調整用抵抗器31,32と、タイマ24に接続されたパルス幅調整用コンデンサ26と、タイマ24と第1及び第2発光部11a,11bとの間に接続されタイマ24から出力された上記パルス電流に基づいて第1及び第2発光部11a,11bに交互にかつ互いに補完する第1及び第2パルス電力を出力する第1及び第2トランジスタ41,42とを有する。上記タイマ24は、この実施の形態では、8ピン(端子Y1〜Y8)のSOP(Small Outline Package)に収容されたNE555というICにより構成される。また図3に示すタイマ24の8つの端子Y1〜Y8は、図1に示すタイマ24の8つの端子Y1〜Y8に対応する。タイマ24は、第1及び第2電圧比較器24a,24bと、フリップフロップ24cと、放電用トランジスタ24dと、3つの抵抗器24e,24f,24gとを有する(図3)。3つの抵抗器24e,24f,24gは直列に接続され、端子Y8に印加されるパルス電圧(以下、Y8電圧という)が3分割される。即ち、第1電圧比較器24aのプラス入力端子にY8電圧の1/3の電圧が印加され、第2電圧比較器24bのマイナス端子にY8電圧の2/3の電圧が印加される。また端子Y2(trigger)に印加されるパルス電圧がY8電圧の1/3以下になると、フリップフロップ24cのS端子がHレベルになってフリップフロップ24cがセット状態になるように構成される。更に端子Y6(threshold)に印加されるパルス電圧がY8電圧の2/3以上になると、フリップフロップ24cのR端子がHレベルになってフリップフロップ24cがセット状態になるように構成される。
【0020】
一方、第1パルス幅調整用抵抗器31はタイマ24の端子Y4と端子Y7との間に接続され、第2パルス幅調整用抵抗器32はタイマの端子Y7と端子Y2との間に接続される。またパルス幅調整用コンデンサ26の一端はタイマ24の端子Y2に接続され、他端は接地される。第1トランジスタ41のベースは抵抗器33を介してタイマ24の端子Y3に接続され、また第2トランジスタ42のベースは抵抗器36,34を介してタイマ24の端子Y8に接続される。第1トランジスタ41のコレクタは第2発光部11bに接続されるとともに抵抗器33及び抵抗器34間の回路に接続され、第2トランジスタ42のコレクタは第1発光部11aに接続されるとともに抵抗器33と抵抗器34とを接続する回路に接続される。更に第1トランジスタ41のエミッタ及び第2トランジスタ42のエミッタはそれぞれ接地される。上記のようにパルス電力出力回路16を構成すると、タイマ24の端子Y3から60〜100Hz、好ましくは70〜90Hz、更に好ましくは80Hzの所定の矩形波状のパルス電流が第1トランジスタのベース及びエミッタ間に流れることにより、60〜100Hz、好ましくは70〜90Hz、更に好ましくは80Hzの互いに補完する第1及び第2パルス電力が第1及び第2発光部11a,11bにそれぞれ出力される。ここで、パルス電力出力回路16から出力される第1及び第2パルス電力の周波数を60〜100Hzの範囲内に限定したのは、60Hz未満では第1及び第2発光部11a,11bの発する光が非連続光として目に映ってしまい、100Hzを越えると第1及び第2発光部11a,11bの発熱を抑える効果が薄れてしまうからである。
【0021】
一方、「新労働衛生ハンドブック」(発行:財団法人 労働科学研究所、以下、文献1という)の第643頁左欄4行目〜6行目には、『光を断続させて、それが連続光としてみえるか、断続光としてみえるかの境いめの弁別いき値をそのときの断続回数(Hz)で示したものが、フリッカー値(ちらつき値)である。』と記載されている。上記文献1の第643頁左欄下から8行目〜下から7行目には、『光断続頻度が20〜50Hzの範囲をスムーズに毎秒1Hz前後の速さで変化し、明滅比を1:1とする。』と記載されている。また、「携帯用フリッカー測定器の試作について」(産業医学 22巻,Jap.J.Ind.Health,Vol.22,1980、以下、文献2という)の第54頁左欄の「IC−携帯用フリッカー測定器のブロックダイアグラム」2行目〜8行目には、『ブロックダイアグラムにおいて、27〜55Hz発振器は、27〜55Hzの矩形波を発生し、ちらつきの規準周波数を作る。周波数調整器は、発振器の周波数を変える部分であり、可変抵抗器は回路に含むFig.2の周波数変化用つまみ(2)と連動している。中心光源駆動回路は、発振器からの矩形波によりちらつき視標の発光ダイオードを点滅比1:1で点滅させる。』と記載されている。上記文献2の第55頁左欄のFig.3のグラフの縦軸には、Flicker value(フリッカー値)が42〜50Hzの範囲で目盛られており、第55頁右欄4行目〜5行目には、『フリッカー値の平均値は、44.9Hz、個々の値の限界値は42.0Hzと47.6Hzであった。』と記載されている。また、「障害者の高齢化と疲労に関する基礎的研究」(発行:日本障害者雇用促進協会障害者職業総合センター、以下、文献3という)の第70頁の図5−10のグラフの横軸及び縦軸には、作業前及び作業後のフリッカー値が30〜46c/s(Hz)の範囲で目盛られており、第68頁20行目〜27行目には、『図5−10に示した作業前と作業後のフリッカー値を、17歳〜30歳グループと55歳〜69歳グループの2グループに区分して比較検討した場合、その特徴は、55歳〜69歳の高齢者は、作業前後とも17歳〜30歳の若年齢者に比べてフリッカー値が低いレベルにある、作業前後の関係についてみると、疲労が顕著である場合、グラフ上の原点方向へ片寄りがみられるはずであるが、若年齢層、高年齢層のいずれもそのような分布とはなっていないことがみてとれる。若年齢層と高年齢層のフリッカー値の分散をみてみると、若年齢層に比べて高年齢層で大きいことがわかる。』と記載されている。更に、「調理過程における疲労自覚とフリッカー値の変化」(以下、文献4という)の第90頁の図8のグラフの縦軸には、フリッカー値が31〜37の範囲で目盛られている。ここで、文献4の図8の縦軸には単位は記載されていないけれども、フリッカー値の定義が『光を断続させて、それが連続光としてみえるか、断続光としてみえるかの境いめの弁別いき値をそのときの断続回数(Hz)で示したものが、フリッカー値(ちらつき値)である。』であることからすると、文献4の図8の縦軸のフリッカー値31〜37の単位は『Hz』であると考えられる。上記文献4の第90頁左欄7行目〜12行目には、『前夜の睡眠時間によるフリッカー値の比較を図8に示した。1回目実習では睡眠の少ない群は多い群より有意に低い数値で推移した。2回目実習では統計的に有意ではないものの睡眠時間が少ない場合に低い値をとる傾向が見られた。』と記載されている。上記文献1〜4から明らかなように、フリッカー測定器のフリッカー値の最大値が55Hzであり、十分に睡眠をとった若年齢層であっても、フリッカー値(ちらつき値)は55Hz以下である。従って、パルス電力出力回路16から出力される第1及び第2パルス電力の周波数を60Hz以上とすれば、十分に睡眠をとった若年齢層であっても『ちらつき』を感ずることはない。
【0022】
なお、パルス電力出力回路16から出力される第1及び第2パルス電力の周波数を80Hzに調整する場合には、第1及び第2パルス幅調整用抵抗器31,32の抵抗値はそれぞれ1kΩ及び91kΩに設定され、パルス幅調整用コンデンサ26の静電容量は0.1μFに調整される。また一端がタイマ24のY5に接続され他端が接地されたコンデンサ27の静電容量は0.1μFに設定され、抵抗器33,34,36の抵抗値は2kΩ、1.5kΩ、1.5kΩにそれぞれ設定される。更にパルス電力出力回路16から出力される第1及び第2パルス電力のデューティ比は50%に設定される。ここで、デューティ比とは、パルス電力出力回路16から出力された第1及び第2パルス電力の1周期の幅に対するハイパルス側の幅の比率を百分率で表した値をいう。また第1発光部11aのアノードはタイマ24の端子Y8に接続され、第1発光部11aのカソードは第1制限抵抗器17aを介して第2トランジスタ42のコレクタに接続され、第2発光部11bのアノードはタイマ24の端子Y8に接続され、第2発光部11bのカソードは第2制限抵抗器17bを介して第2トランジスタ42のコレクタに接続される。上記第1及び第2制限抵抗器17a,17bの抵抗値はそれぞれ1.0Ω〜100.0Ω、好ましくは1.0Ω〜40.0Ωに設定される。ここで、第1及び第2制限抵抗器17a,17bの抵抗値をそれぞれ1.0Ω〜100.0Ωの範囲内に限定したのは、1.0Ω未満では第1及び第2発光部に多くの電流が流れて第1及び第2発光部の発熱量が過大になってしまい、100.0Ωを越えると第1及び第2制限抵抗器自体の発熱量が過大になってしまうからである。
【0023】
図5に示すように、第1及び第2発光部11a,11bは、発光素子を内蔵した基部11cと、基部11cの表面に取付けられた第1レンズ11dと、基部11cの裏面に取付けられた第1放熱部材11eとをそれぞれ有する。第1及び第2発光部11a,11bは第2放熱部材52にそれぞれ取付けられる。第2放熱部材52は、大径の円柱状に形成された大径部52aと、大径部52aより小径の円柱状に形成された小径部52bとからなる。大径部52aの外周面には所定の間隔をあけて大径部52aの中心線方向に延びる複数の放熱溝52cが形成され、小径部52bには上記第1及び第2発光部11a,11bが挿着される凹部52dがそれぞれ形成される。第1及び第2発光部11a,11bが上記凹部52dにそれぞれ挿着された後に、小径部52bに透明アクリル製の第2レンズ62が嵌着される。また第2放熱部材52の大径部52aはベース部材53の穴53aに挿着される。穴53aは所定の間隔をあけて第1及び第2発光部11a,11bの数だけベース部材53に形成される。第1放熱部材11eとしては、アルマイト処理されたアルミ板等の熱伝導性の良好な金属板が用いられ、第2放熱部材52及びベース部材53は高熱伝導性樹脂により形成されることができる。この高熱伝導性樹脂としては、PP(ポリプロピレン)及びPA6(Polyamide 6)に、グラファイト粉を主とするフィラーを充填したものを用いることが好ましい。また第2放熱部材52の大径部52aをベース部材53の穴53aに挿着する直前に、大径部52aの外周面又は穴の内周面のいずれか一方又は双方に塩化メチルを塗布することが好ましい。これは、第2放熱部材52とベース部材53とが塩化メチルの化学重合反応により接着され、この接着後、塩化メチルが蒸発してしまうため、第2放熱部材52及びベース部材53の接着部の熱伝導性が低下しない。この結果、第1及び第2発光部11a,11bの発した熱が第2放熱部材52及びベース部材53の接着部をスムーズに伝わって放散されるという効果を奏する。なお、放熱溝52c内を含む第2放熱部材52の外周面にクロムめっき等(樹脂表面への金属めっき)を施すとともに、穴53a内周面を含むベース部材53の全面にクロムめっき等(樹脂表面への金属めっき)を施した後に、第2放熱部材52の大径部52aをベース部材53の穴53aに挿入してもよい。この場合、大径部52aとベース部材53の接触部の熱伝導性が低下せず、かえって熱伝導性が向上するため、第1及び第2発光部11a,11bの発した熱が第2放熱部材52及びベース部材53の接触部をスムーズに伝わって放散されるという効果を奏する。なお、この場合、塩化メチルは用いずに、バンドやビス等を用いて第2放熱部材52がベース部材53に固定される。
【0024】
このように構成された発光装置10の動作を説明する。先ずバッテリが出力した直流電力(例えば、電圧12V)が点灯回路12の入力端子12aからスイッチングレギュレータ13に入力され、このスイッチングレギュレータ13により30kHz〜40kHzのパルス電力に変換される。次にこのパルス電力の電圧が平滑回路14により平滑化されて直流電力にされるとともに、その直流電力の電圧が5〜12Vまで降下される。具体的には、スイッチングレギュレータ13から出力された上記パルス電力が平滑回路14により平滑化されて直流電力に変換されるけれども、この直流電力の電圧は第1及び第2抵抗器14a,14b間の回路からスイッチングレギュレータ13の端子X5にフィードバックされる。このフィードバックされた直流電力の電圧が、設定された直流電力の電圧(例えば、8.5V)より高い場合には、スイッチングレギュレータ13がパルス電力のパルス波の間隔を広げて平滑回路14に出力し、フィードバックされた直流電力の電圧が、設定された直流電力の電圧(例えば、8.5V)より低い場合には、スイッチングレギュレータ13がパルス電力のパルス波の間隔を狭めて平滑回路14に出力することにより、平滑回路14からパルス電力出力回路16に出力される直流電力の電圧を一定に保つ。但し、自動車20の走行速度が60〜100km/時の範囲内の所定値以上(例えば、80km/時以上)であるとき、車速センサ15は、基準電圧発生器20aで発生した基準電圧より高い検出出力電圧を電圧比較器20bに出力する。このとき電圧変更回路20の電圧比較器20bはトランジスタ20cのベースに所定の電流を流すので、平滑回路14の第2抵抗器14bを流れた電流が第3抵抗器14cを流れずにトランジスタ20cのコレクタ及びエミッタ間を流れることにより、平滑回路14から出力される直流電力の電圧は例えば8.5Vに維持される。
【0025】
上記平滑回路14から出力された直流電力は、パルス電力出力回路16により60〜100Hzのパルス電力であって互いに補完する第1及び第2パルス電力として第1及び第2発光部に交互に出力される。具体的には、タイマ24の端子Y3から第1トランジスタ41のベース及びエミッタ間に図6(a)に示す矩形波状のパルス電流が流れる(この電流は図1のS2点で測定した電流である。)。第1トランジスタ41のベース及びエミッタ間に矩形波状のパルス電流が流れている間、即ち図6(a)のT1秒の間、第1トランジスタ41のコレクタ及びエミッタ間には大電流が、抵抗器34を設けた回路と、第2発光部11b及び第2制限抵抗器17bを設けた回路を通って流れる。このため第2発光部11bには比較的大きな電流が流れるので、第2発光部11bは発光して点灯する。しかし、このとき第2トランジスタ42のベース及びエミッタ間には電流が流れないので、第2トランジスタ42のコレクタ及びエミッタ間には電流が流れず、第1発光部11aは発光せず消灯している。一方、第1トランジスタ41のベース及びエミッタ間に矩形波状のパルス電流が流れない間、即ち図6(a)のT2秒の間、第1トランジスタ41のコレクタ及びエミッタ間には電流が流れない。このため第2発光部11bには電流が流れないので、第2発光部11bは発光せず消灯している。しかし、このとき第2トランジスタ42のベース及びエミッタ間には抵抗器34,36を通って電流が流れるので、第1トランジスタ41のコレクタ及びエミッタ間に大電流が流れる。このため第1発光部11aに比較的大きな電流が流れるので、第1発光部11aは発光して点灯する。
【0026】
従って、第1及び第2発光部11a,11bに交互に印加されるパルス電力の電圧は例えば8.5Vと高いので、第1及び第2発光部11a,11bに流れる電流が多くなり、第1及び第2発光部11a,11bを高輝度で発光させることができる。この結果、自動車20が対面通行でない高速道路を高速(例えば、80km/時以上)で走行しているときには、第1及び第2発光部11a,11bが高輝度で発光するので、自動車20前方の視認性を向上できる。なお、第1発光部11aに流れる電流は図6(c)に示すような矩形波状のパルス電流となり、第2発光部11bに流れる電流は図6(b)に示すような矩形波状のパルス電流となり、図6(a)のT1秒とT2秒は同一である。
【0027】
また第1及び第2発光部11a,11bに直流電力を出力する場合と比べ、第1及び第2発光部11a,11bが発する光が非連続光ではなく連続光として目に映るとともに、第1及び第2発光部11a,11bの発熱を抑制できる。また第1及び第2発光部11a,11bに同時に60〜100Hzのパルス電力を出力する場合と比較し、点灯回路12から出力されるパルス電圧を同一とすると、点灯回路12から出力されるパルス電流が少なくなるので、消費電力を少なくでき、点灯回路12から出力されるパルス電流を同一とすると、点灯回路12から出力されるパルス電圧を高くすることができるので、第1及び第2発光部11a,11bの輝度をそれぞれ高くすることができる。更に第1及び第2発光部11a,11bにおける発光ダイオードの接続数量をそれぞれ増やした状態で、第1及び第2発光部11a,11bに同時に60〜100Hzのパルス電力を出力すると、これらの発光部11a,11bで必要とする電力がスイッチングレギュレータ13により制限されるおそれがあるため、各発光部11a,11bに流れる電流が少なくなって、各発光部11a,11bの輝度が低下してしまうのに対し、本発明では第1及び第2発光部11a,11bにおける発光ダイオードの接続数量を増やしても、これらの発光部11a,11bで必要とする電力がスイッチングレギュレータ13により制限されるおそれが少ないため、各発光部11a,11bに流れる電流が減少せず、各発光部11a,11bの輝度が低下するのを防止できる。上述のことから、点灯回路12に入力された直流電力の電圧が一定せず不安定であっても、点灯回路12により第1及び第2発光部11a,11bに安定したパルス電力を交互に供給できるので、第1及び第2発光部11a,11bの光量を減らすことなく、また第1及び第2発光部11a,11bを過熱させることなく、第1及び第2発光部11a,11bを所定の輝度で発光させることができる。
【0028】
一方、自動車20の走行速度が60〜100km/時の範囲内の所定値未満(例えば、80km/時未満)であるとき、車速センサ15は、基準電圧発生器20aで発生した基準電圧より低い検出出力電圧を電圧比較器20bに出力する。このとき電圧変更回路20の電圧比較器20bはトランジスタ20cのベースに電流を流さないので、トランジスタ20cのコレクタ及びエミッタ間に電流が流れず、平滑回路14の第2抵抗器14bを流れた電流が第3抵抗器14cを流れることにより、平滑回路14から出力される直流電力の電圧は例えば7.5Vに低下する。従って、第1及び第2発光部11a,11bに交互に印加されるパルス電力の電圧は例えば7.5Vに低下するので、第1及び第2発光部11a,11bに流れる電流が少なくなり、第1及び第2発光部11a,11bの輝度は40〜70%に低下する。この結果、自動車20が対面通行の道路を低速(例えば、80km/時未満)で走行しているときには、第1及び第2発光部11a,11bが低輝度で発光するので、対向車の運転者を眩惑させることはない。
【0029】
<第2の実施の形態>
図8は本発明の第2の実施の形態を示し、図8において図7と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、第1及び第2発光部61a,61bがそれぞれ複数の発光ダイオード11からなり、第1発光部61aが自動車20の右側のデイライト20a及び左側のデイライト20bのそれぞれ一部として用いられ、第2発光部61bが自動車20の右側のデイライト20a及び左側のデイライト20bの残部として用いられる。具体的には、自動車20の右側のデイライト20aに6個の発光ダイオード11が用いられ、左側のデイライト20bに6個のダイオードが用いられる。そして、第1発光部61aは、自動車20の右側のデイライト20aに用いられた3個の発光ダイオード11と、左側のデイライト20bに用いられた3個の発光ダイオード11とからなり、第2発光部61bは、自動車20の右側のデイライト20aに用いられた3個の発光ダイオードと、左側のデイライト20bに用いられた3個の発光ダイオードとからなる。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。このように構成された発光装置では、自動車の左右のデイライトが第1の実施の形態のデイライトより均等に発光する。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0030】
<第3の実施の形態>
図9は本発明の第3の実施の形態の自動車用発光装置80を示し、この発光装置80は、第1及び第2発光部11a,11bとして、多数の(例えば、7個ずつ以上)の発光ダイオードをそれぞれ用いてバッテリからの電圧を上昇させる必要のある場合の自動車のデイライトやヘッドライトに適する。但し、図9において、第1及び第2発光部11a,11bとして、1個ずつの発光ダイオードを代表して示している。また図9において図1と同一符号は同一部品を示す。なお、この実施の形態のスイッチングレギュレータ13は第1の実施の形態のスイッチングレギュレータと同一であるので、第1の実施の形態で用いた図2をこの実施の形態の説明においてそのまま用いた。この実施の形態では、平滑回路84が、スイッチングレギュレータ13で変換されたパルス電力を直流電力に変換するとともにその電圧を入力された直流電力の電圧より上昇させ、パルス電力出力回路16が上記平滑回路84で昇圧された直流電力を60〜100Hzのパルス電力であって互いに補完する第1及び第2パルス電力としてそれぞれ出力するように構成される。平滑回路84は、スイッチングレギュレータ13の端子X1と端子X8との間に接続された増幅用コイル84dと、一端が増幅用コイル84dに接続され他端が第1〜第3抵抗器84a〜84cを介して接地されたショットキーダイオード84eと、一端がショットキーダイオード84eに接続され他端が接地された平滑用コンデンサ84fとを有する。増幅用コイル84dの一端は抵抗器84g及び端子X8を介してスイッチングレギュレータ13の2つのスイッチングトランジスタ13e,13eの一方のコレクタに接続され、増幅用コイル84dの他端は端子X1を介して2つのスイッチングトランジスタ13e,13eの他方のコレクタに接続される(図2及び図9)。上記第1抵抗器84aの抵抗値R1は例えば46kΩに設定され、第2抵抗器84bの抵抗値R2は例えば2kΩに設定され、第3抵抗器84cの抵抗値R3は例えば0.3kΩに設定され、抵抗器84fの抵抗値は例えば180Ωに設定される。これにより比R1/R2は23となり、図9のB点における出力電圧VBはVB=[(R1/R2)+1]×1.25Vという関係式から30Vとなる。また比R1/(R2+R3)は20となり、B点における出力電圧VBはVB=[[R1/(R2+R3)]+1]×1.25Vという関係式から約26Vとなる。
【0031】
上記増幅用コイル84dはスイッチングレギュレータ13で変換されたパルス電力の電圧を増幅するために設けられ、ショットキーダイオード84eはこの電圧が増幅されたパルス電力を整流するために設けられ、平滑用コンデンサ84fはこの整流されたパルス電力を平滑化して直流電力にするために設けられる。点灯回路82の入力端子12aにはバッテリの直流電源が接続され、その直流電圧を例えば14Vとする。また増幅用コイル84dのインダクタンスは例えば180μHに設定され、平滑用コンデンサ84fの静電容量は例えば150μFに設定される。更に過電流検出抵抗器18の抵抗値は例えば0.22Ωに設定され、タイミングコンデンサ19の静電容量は例えば1500pFに設定される。上記のように直流電源から入力される直流電圧を14Vとすると、スイッチングレギュレータ13で30kHz〜40kHzのパルス電力に変換された後に平滑回路84で平滑化された直流電力の電圧は30Vに上昇する。また電圧変更回路20は上記第1の実施の形態と同一に構成され、この電圧変更回路20のトランジスタ20cのコレクタは上記平滑回路84の第2抵抗器84bと第3抵抗器84cとを接続する回路に接続される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0032】
このように構成された発光装置80の動作を説明する。先ずバッテリが出力した直流電力(例えば、電圧14V)が点灯回路82の入力端子12aからスイッチングレギュレータ13に入力され、このスイッチングレギュレータ13により30kHz〜40kHzのパルス電力に変換される。次にこのパルス電力の電圧が平滑回路84により平滑化されて直流電力にされるとともに、その直流電力の電圧が例えば30Vまで昇圧される。具体的には、スイッチングレギュレータ13で変換されたパルス電力の電圧が増幅用コイル84dにより増幅され、この電圧が増幅されたパルス電力がショットキーダイオード84eにより整流され、更にこの整流されたパルス電力が平滑用コンデンサ84fにより平滑化される。なお、この平滑化された直流電力の電圧は、上記入力された直流電力の電圧より高くなる。また、上記平滑化された直流電力の電圧は第1及び第2抵抗器14a,14b間の回路からスイッチングレギュレータ13の端子X5にフィードバックされる。このフィードバックされた直流電力の電圧が、設定された直流電力の電圧(30V)より高い場合には、スイッチングレギュレータ13がパルス電力のパルス波の間隔を広げて平滑回路84に出力し、フィードバックされた直流電力の電圧が、設定された直流電力の電圧(30V)より低い場合には、スイッチングレギュレータ13がパルス電力のパルス波の間隔を狭めて平滑回路84に出力することにより、平滑回路84からパルス電力出力回路16に出力される直流電力の電圧を一定に保つ。
【0033】
但し、自動車の走行速度が60〜100km/時の範囲内の所定値以上(例えば、80km/時以上)であるとき、車速センサ15は、基準電圧発生器20aで発生した基準電圧より高い検出出力電圧を電圧比較器20bに出力する。このとき電圧変更回路20の電圧比較器20bはトランジスタ20cのベースに所定の電流を流すので、平滑回路84の第2抵抗器84bを流れた電流が第3抵抗器84cを流れずにトランジスタ20cのコレクタ及びエミッタ間を流れることにより、平滑回路84から出力される直流電力の電圧は30Vに維持される。上記平滑回路14から出力された直流電力は、パルス電力出力回路16により60〜100Hzのパルス電力であって互いに補完する第1及び第2パルス電力として第1及び第2発光部11a,11bに交互に出力される。従って、第1及び第2発光部11a,11bに交互に印加されるパルス電力の電圧は5〜12Vと高いので、第1及び第2発光部11a,11bに流れる電流が多くなり、第1及び第2発光部11a,11bを高輝度で発光させることができる。この結果、自動車が対面通行でない高速道路を高速(例えば、80km/時以上)で走行しているときには、第1及び第2発光部11a,11bが高輝度で発光するので、自動車前方の視認性を向上できる。
【0034】
一方、自動車の走行速度が60〜100km/時の範囲内の所定値未満(例えば、80km/時未満)であるとき、車速センサ15は、基準電圧発生器20aで発生した基準電圧より低い検出出力電圧を電圧比較器20bに出力する。このとき電圧変更回路20の電圧比較器20bはトランジスタ20cのベースに電流を流さないので、トランジスタ20cのコレクタ及びエミッタ間に電流が流れず、平滑回路84の第2抵抗器84bを流れた電流が第3抵抗器84cを流れることにより、平滑回路84から出力される直流電力の電圧は30Vより降下する。従って、第1及び第2発光部11a,11bに交互に印加されるパルス電力の電圧は30Vより低くなるので、第1及び第2発光部11a,11bに流れる電流が少なくなり、第1及び第2発光部11a,11bの輝度は40〜70%に低下する。この結果、自動車が対面通行の道路を低速(例えば、80km/時未満)で走行しているときには、発光ダイオードが低輝度で発光するので、対向車の運転者を眩惑させることはない。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0035】
なお、上記第1〜第3の実施の形態では、第1及び第2発光部に交互にパルス電力を出力したが、図10に示すような自動車用発光装置100の点灯回路102のパルス電力出力回路106、即ち第3の実施の形態の第2トランジスタ42及び抵抗器34,36を除いたパルス電力出力回路106を用いて、第1及び第2発光部11a,11bに同時にパルス電力を出力してもよく、或いは図11に示すような自動車用発光装置120の点灯回路122のパルス電力出力回路106、即ち第1の実施の形態の第2トランジスタ42及び抵抗器34,36を除いたパルス電力出力回路106を用いて、第1及び第2発光部11a,11bに同時にパルス電力を出力してもよい。また、上記第1〜第3の実施の形態では、点灯回路として、スイッチングレギュレータ、平滑回路、電圧変更回路、パルス電力出力回路及び制限抵抗器を有したが、第1及び第2発光部に出力される第1及び第2パルス電力の電圧が常に所定値であって変動しなければ、スイッチングレギュレータ及び平滑回路は不要となり、点灯回路を電圧変更回路とパルス電力出力回路と制限抵抗器とにより構成してもよい。この場合、電圧変更回路により入力直流電力の電圧を維持させるか或いは降下させるように構成される。
【実施例】
【0036】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、点灯回路12に第1及び第2発光部11a,11bを接続することにより発光装置10を構成した。なお、図1では、点灯回路12に第1及び第2発光部11a,11bをそれぞれ1個ずつ接続しているが、ここでは第1発光部11a(発光ダイオード)を1個ずつ並列に合計3個接続し、第2発光部11b(発光ダイオード)を1個ずつ並列に合計3個接続した。またスイッチングレギュレータ13として新日本無線(株)製のNJM2360を用いた。更に図1の電圧変更回路20は接続しなかった。一方、点灯回路12中の過電流検出抵抗器18の抵抗値を0.2Ωとし、タイミングコンデンサ19の静電容量を1nFとし、電解コンデンサ21の静電容量を100μFとし、第1抵抗器14aの抵抗値を7.5kΩとし、第2抵抗器14bの抵抗値を1.3kΩとし、平滑用コイル14eのインダクタンスを220μHとし、平滑用コンデンサ14dの静電容量を220μFとした。第1抵抗器14aの抵抗値R1と第2抵抗器14bの抵抗値R2との比R1/R2は約6.8であった。なお、第3抵抗器14cは接続せず、第2抵抗器14bの他端を接地した。
【0037】
また点灯回路12中の第1パルス幅調整用抵抗器31の抵抗値を1kΩとし、第2パルス幅調整用抵抗器32の抵抗値を91kΩとし、パルス幅調整用コンデンサ26の静電容量を0.1μFとし、コンデンサ27の静電容量を0.1μFとし、抵抗器33の抵抗値を2kΩとし、抵抗器34の抵抗値を1.5kΩとし、抵抗器36の抵抗値を1.5kΩとし、パルス電力出力回路16から出力される第1及び第2パルス電力のデューティ比を50%とした。更に点灯回路12中の第1制限抵抗器17aの抵抗値を2.2Ωとし、第2制限抵抗器17bの抵抗値を2.2Ωとした。なお、第1及び第2発光部11a,11bを取付ける第2放熱部材52と、第2放熱部材52を取付けるベース部材53は高熱伝導性樹脂ではなくABS樹脂を用いた(図5)。この発光装置10を実施例1とした。この実施例1の発光装置10では、パルス電力出力回路16の端子Y3から80Hzの矩形波状のパルス電流が流れた。
【0038】
<実施例2>
第2抵抗器14bの他端に、抵抗値0.2kΩの第3抵抗器14cを接続したこと以外は、実施例1と同様にして発光装置を構成した。この発光装置を実施例2とした。なお、第1抵抗器14aの抵抗値R1と第2及び第3抵抗器14b,14cの合計抵抗値(R2+R3)との比R1/(R2+R3)は6.0であった。
【0039】
<比較試験1及び評価>
実施例1及び2の発光装置により発光ダイオードを点灯させたときの発光ダイオードの照度を測定した。その結果を、点灯回路に入力される直流電圧と、第1及び第2発光部に出力される出力電圧及び周波数とともに、表1に示す。
【0040】
【表1】

表1から明らかなように、実施例1では、発光ダイオードの照度が280ルクスと高かったのに対し、実施例2では、発光ダイオードの照度が190ルクスと低くなった。この結果、実施例2の発光ダイオードの照度は実施例1の発光ダイオードの照度を100%とするとき約68%に低下した。従って、車速センサが所定値以上の車速を検出したときに、実施例1のように点灯回路を切換えて発光ダイオードに印加される電圧を高くすることにより、発光ダイオードを高輝度で発光させ、車速センサが所定値未満の車速を検出したときに、実施例2のように点灯回路を切換えて発光ダイオードに印加される電圧を低くすることにより、発光ダイオードを低輝度で発光させることができる。
【0041】
<実施例3>
図5に示すように、発光ダイオード11(日亜化学工業社製の白色チップタイプLED:NCCW022S)を用意し、この発光ダイオード11を第2放熱部材42に取付け、第2放熱部材42をベース部材43に取付けた。ベース部材43は高熱伝導性樹脂ではなくABS樹脂を用いた。この状態で上記発光ダイオード11に制限抵抗器を介して周波数60Hzのパルス電力を出力した。このパルス電力のパルス電圧は1.6Vであった。この回路を実施例3とした。
<実施例4>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を65Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を実施例4とした。
<実施例5>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を70Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を実施例5とした。
<実施例6>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を80Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を実施例6とした。
<実施例7>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を90Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を実施例7とした。
<実施例8>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を95Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を実施例8とした。
<実施例9>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を100Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を実施例9とした。
【0042】
<比較例1>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を40Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例1とした。
<比較例2>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を50Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例2とした。
<比較例3>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を55Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例3とした。
<比較例4>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を120Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例4とした。
<比較例5>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を140Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例5とした。
<比較例6>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を160Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例6とした。
<比較例7>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を180Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例7とした。
<比較例8>
発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数を200Hzとしたこと以外は、実施例3と同様に回路を構成した。この回路を比較例8とした。
【0043】
<比較試験2及び評価>
実施例3〜9及び比較例1〜8の回路により発光ダイオードを点灯させたときの発光ダイオードの温度と負荷電流をそれぞれ測定した。発光ダイオードの温度は、本願の図5の第1放熱部材の下面で発光ダイオードの点灯開始から1分後に測定した。その結果を表2に示す。なお、発光ダイオードの仕様から、温度が34℃以下であった回路を合格とした。また、表2には、パル電力の周波数及び電圧と、制限抵抗器の抵抗値も示した。
【0044】
【表2】

表2から明らかなように、発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数が60Hz未満である比較例1〜3では、負荷電流が106.7〜106.8mAと少なく、発光ダイオードの温度が33.2〜33.3℃と低かったけれども、発光ダイオードの発する光が非連続光(点滅する光)として目に映ってしまった。また発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数が100Hzを超えた比較例4〜8では、発光ダイオードの発する光が連続光として目に映ったけれども、負荷電流が107.5〜108.6mAと多くなり、発光ダイオードの温度が34.2〜34.8℃と高くなって、発光ダイオードが規定値(34℃)を超えてしまい発熱量が多かった。これらに対し、発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数が60〜100Hzの範囲内にある実施例3〜9では、負荷電流が106.8〜107.2mAと比較例2〜4と比較例5〜9の中間の値を示し、発光ダイオードの温度が33.4〜34.0℃と規定値(34℃)以下であり、しかも発光ダイオードの発する光は連続光として目に映った。
【0045】
なお、発光ダイオードに出力するパルス電力の周波数が高くなるに従って、発光ダイオードの発熱量が増加するのは次の理由に基づく。発光ダイオードにパルス電力を出力すると、図12(a)〜(c)のオシロスコープ写真に示すように、各パルス電圧の立上がり部で鋭いひげ状の過電圧が現れ、その後下がって一定値となる。このひげ状の過電圧部分の面積が不必要な負荷、即ち発熱量に比例する。周波数が60Hz(図12(a)のオシロスコープ写真)や100Hz(図12(b)のオシロスコープ写真)と比較的低い場合には、上記ひげ状の過電圧部分の面積が比較的小さいので、発熱量は少ないけれども、周波数が例えば200Hz(図12(c)のオシロスコープ写真)と高くなると、ひげ状の過電圧部分の面積が大きくなって、発熱量が増加する。
【符号の説明】
【0046】
10,80,100 自動車用発光装置
11 発光ダイオード
12,82,102 点灯回路
12a 点灯回路の入力端子
13 スイッチングレギュレータ
14,84 平滑回路
16,106 パルス電力出力回路
17a,17b 制限抵抗器
20 自動車(車両)
20a 右側のデイライト
20b 左側のデイライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された2以上の発光ダイオード(11)と、これらの発光ダイオード(11)を点灯させる点灯回路(12,82,102)とを備えた車両用発光装置において、
前記車両の走行速度が車速センサにより検出され、
前記点灯回路(12,82,102)が前記車速センサ(15)の検出出力に基づいて前記発光ダイオード(11)の輝度を変更するように構成された
ことを特徴とする車両用発光装置。
【請求項2】
車速センサ(15)が60〜100km/時の範囲内の所定値以上の車速を検出したときに、点灯回路(12,82,102)が発光ダイオード(11)を100%の輝度で発光させ、前記車速センサ(15)が60〜100km/時の範囲内の所定値未満の車速を検出したときに、前記点灯回路(12,82,102)が前記発光ダイオード(11)の輝度を40〜70%に低下させるように構成された請求項1記載の車両用発光装置。
【請求項3】
点灯回路(12,82、102)の入力端子(12a)に直流電圧が9〜30Vのバッテリに接続され、
点灯回路(12,82,102)が、
前記バッテリから入力された直流電力を30kHz〜40kHzのパルス電力に変換するスイッチングレギュレータ(13)と、
前記スイッチングレギュレータ(13)で変換されたパルス電力を直流電力に変換する平滑回路(14,84)と、
前記平滑回路(14,84)で変換された直流電力の電圧を車速センサ(15)の検出出力に基づいて変更する電圧変更回路(20)と、
前記電圧変更回路(20)で電圧が変更されて前記平滑回路(14,84)から出力された直流電力を60〜100Hzのパルス電力に変換するパルス電力出力回路(16,106)と、
前記パルス電力出力回路(16,106)の変換したパルス電力をその電流を制限して前記発光部(11)に出力する制限抵抗器(17a,17b)と
を有する請求項1又は2記載の車両用発光装置。
【請求項4】
発光ダイオード(11)が車両(20)のデイライト(20a、20b)又はヘッドライトである請求項1ないし3いずれか1項に記載の車両用発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−208764(P2009−208764A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27032(P2009−27032)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(592213914)林化学工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】