説明

車両用空気清浄システム

吸気口(1)と、排気口(2)と、吸気口(1)と排気口(2)の間にある空気誘導部とを備え、空気誘導部に少なくとも1つの反応表面部材(3)が設けられ、空気誘導部に少なくとも1つの紫外線光源(4)が配置され、反応表面部材が空気誘導部のほぼ全体に配置される、特に車両用の空気清浄システムを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄システムに関し、特に車両、航空機、その他の交通手段のための空気清浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特に車両の内部については、とりわけ乗客の快適さを確保するとともに高レベルの車両安全性を確保するために、清浄な空気、特に病原菌がほとんどなく、有機汚染物質を含まない空気を生成することが非常に重要である。このため、車内の空気を安価かつ効果的に浄化すること、特に抵コストで製造でき、比較的少ない消費電力での動作が可能な小型装置を使用することが経済的に有利である。既知の空気清浄装置としては、オゾン生成装置、フィルタシステム、空気イオン化装置等がある。フィルタシステムは原則として、かなり大きめの粒子状空気成分(塵、花粉、微生物)を分離する場合にしか適さない。フィルタシステムには、フィルタを定期的に交換又は再生しなければならないという問題がある。
【0003】
二酸化チタンを用いた触媒式空気清浄方法では、光化学反応によりヒドロキシルラジカル(OH)及び超酸化物(O)を形成する。有機微量元素の分子や空気汚染物質の分子はすべて、大気中の酸素の存在により完全に酸化する。すなわち、いわば大気中の空気の低燃焼反応が起こり、二酸化炭素(CO)と水(HO)、そして適宜、他の非有毒生成物が形成される。同時に汚染物質の分解又は転化が起こる。
【0004】
既知の光触媒式空気清浄方法の問題点として、効率が低いことが挙げられる。これは特に、反応空間における反応表面が小さいこと、その結果、反応空間で長い滞留時間が必要になること、そして、反応が完全ではなく、一次生成物(のほとんど)が空気流とともに排出されることによる。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、非常に狭い設置空間でも、空気の浄化を最大に行うことができる車両用空気清浄システムを得ることである。特に本発明の目的は、車両の座席内に設置できるほど小型の空気清浄システム又は空気清浄装置を製造できるようにすることである。
【0006】
この目的は、吸気口と、排気口と、吸気口と排気口の間にある空気誘導部とを備え、空気誘導部に少なくとも1つの反応表面部材が設けられた、特に車両用の空気清浄システム又は空気清浄装置であって、空気誘導部に少なくとも1つの紫外線光源が配置され、反応表面部材の表面に触媒物質を有し、反応表面部材が空気誘導部のほぼ全体に配置され、あるいは、反応表面部材が空気清浄装置の内表面の少なくとも50%、好ましくは60%、特に好ましくは70%を占めるように構成された空気清浄システム又は空気清浄装置によって達成される。
【0007】
本発明によれば、特に特定の通気路構成を用いることで、狭い設置空間内で最大の反応表面を可能にし、1以上の光源の所定配置により、及び/又は、所定数の光源により、高効率で、特に触媒式の浄化を行うことができる空気清浄装置を製造することが可能となり、有利である。
【0008】
本発明に係る空気清浄システム、又は、本発明に係る空気清浄装置を用いれば、本発明により、比較的短時間、例えば30分以内に車内の空気を高度に浄化し、特に不快なにおいを除去することが可能であり、また、病原菌、細菌、ウイルスを効果的に駆除することが可能となり、有利である。また、本発明によれば、浄化した空気は、好ましくは、車内で乗客が空気を吸い込む確率が比較的高い場所にまず届くようにする。このような車内の場所は、例えば、基本的に車両の天井張りの下側全域である。これは、乗客の頭部が、好ましくは、この空間領域に位置するからである。
【0009】
本発明によれば、反応表面部材は、空気清浄装置の空気誘導部のほぼ全体に配置される。例えば、反応表面部材は、空気誘導部内をほぼ完全に満たすように(例えば、表面被覆された充填材として)、あるいは、空気誘導部の少なくとも全域に広がるように(例えば、空気誘導部の全域に広がる格子、網、ワイヤメッシュ、表面被覆された繊維部材として)構成される。本発明によれば、この点について、反応表面部材が空気誘導部の少なくとも60%に配置されることが特に好ましい。また、好ましくは、空気誘導部の少なくとも80%、あるいは、空気誘導部の少なくとも90%に配置される。
【0010】
本発明によれば、好ましくは、触媒物質は酸化チタンを含有する。このようにすれば、特に良好な浄化作用を達成することができる。空気清浄装置が、他の空気誘導部(前記空気誘導部とは別個の、あるいは、その上流の)を有し、前記他の空気誘導部が他の触媒物質としてゼオライト材及び/又は銀基板材を有する場合、すなわち、触媒物質としての二酸化チタンが存在せず、前記他の空気誘導部においてUV−A光源による照明を行わない場合、浄化作用をさらに高めることができる。
【0011】
さらに、本発明によれば、反応表面部材が、表面被覆されたキャリヤ部を備え、特に、格子、ワイヤメッシュ、繊維材料、好ましくは、ゼオライト材及び/又は銀基板材を備えることが好ましい。このようにすることにより、表面被覆材料について、特に本発明によれば二酸化チタン含有材料について、特に明確に定められた空間配置を確保することが可能であり、この配置は空気清浄装置の寿命の間、ほとんど変わることがない。また、このようにすれば、前記1以上の光源により、表面被覆材について、特に明確に定められた効率的な照明を達成することが可能である。また、本発明によれば、このようにすることで、空気清浄装置内を流れる空気の流体抵抗を比較的低く保つことが可能である。さらに、表面被覆されたキャリヤ部の所定配置により、空気清浄装置の使用期間において、流体抵抗がほぼ同じとなるか、比較的明確に定められた状態での変化が可能となり、有利である。
【0012】
さらに、反応表面部材は、表面被覆されたバルク材、特に、ガラス管の切片及び/又はガラス球として設計されることが好ましい。このようにすれば、表面活性物質、すなわち、表面被覆材について、特に広い表面積を簡単に達成することが可能である。さらに、本発明によれば、このようにして、空気清浄装置内を流れる空気の流体抵抗を比較的低く保つことが可能である。
【0013】
また、本発明によれば、空気清浄装置はベース部材とカバー部材とを備え、反応表面部材は、ベース部材又はカバー部材に対して一体的に接続され、特に、空気誘導部内に突き出す表面被覆された棒状部材とすることが好ましい。このようにすれば、表面被覆材料について、特に明確に定められた空間配置を確保することが可能であり、この配置は空気清浄装置の寿命の間、ほとんど変わることがない。このようにして、表面被覆材の照明を、特に明確に定め、効率的にすることができる。さらに、本発明によれば、このようにすることで、空気清浄装置内を流れる空気の流体抵抗を比較的低く保つことが可能である。さらに、空気誘導部内に突き出す表面被覆された棒状部材の所定配置により、空気清浄装置の使用期間において、流体抵抗がほぼ同じとなるか、比較的明確に定められた状態での変化が可能となり、有利である。
【0014】
本発明によれば、空気誘導部が吸気口と排気口の間で少なくとも2回、90度より大きい角度で屈曲すること、あるいは、空気誘導部を吸気口と排気口の間で螺旋状に設計することが好ましい。このようにすれば、狭い空間で特に良好な空気の浄化を達成することができる。
【0015】
車体の一部が空気誘導部の表面被覆壁となるように、空気清浄装置を車体に組み込み、特に車体の天井部分に組み込むことが特に好ましい。例えば、有利な方法として、天井張りと車体の間の空間をこのように効率的に利用することができる。
【0016】
また、車体の一部が空気誘導部の表面被覆壁となるように、空気清浄装置を車体に組み込み、特に天井張りの中に組み込むことが好ましい。このようにして、天井張りと車体の間の空間を同様に効率的に利用することができるが、車体に変更を行う必要はない。
【0017】
また、本発明は、本発明に係る空気清浄装置を組み込んだ車両部品に関し、特に内装部品に関する。この車両部品は、天井張り、後部荷物棚、中央コンソール、ドア内張り、Aピラーライニング、Bピラーライニング、Cピラーライニング、計器盤のいずれかである。
【0018】
さらに、本発明は、本発明に係る空気清浄装置の壁部として、車体又はその一部、あるいは、車両部品又はその一部を使用することに関する。
【0019】
本発明の例示的な実施形態を図面に示す。
【0020】
図1〜図12は、本発明に係る空気清浄システム又は本発明に係る空気清浄装置について、本発明に係る異なる10個の例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第1の例示的な実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第2の例示的な実施形態を示す図である。
【図3】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第3の例示的な実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第4の例示的な実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第5の例示的な実施形態を示す図である。
【図6】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第6の例示的な実施形態を示す図である。
【図7】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第6の例示的な実施形態を示す図である。
【図8】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第7の例示的な実施形態を示す図である。
【図9】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第7の例示的な実施形態を示す図である。
【図10】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第8の例示的な実施形態を示す図である。
【図11】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第9の例示的な実施形態を示す図である。
【図12】本発明に係る空気清浄システム10又は本発明に係る空気清浄装置10の第10の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示的な実施形態のいずれにおいても、空気清浄装置10又は空気清浄システム10は、吸気口1と排気口2とを備えている。さらに、空気清浄装置10又は空気清浄システム10は、収納部5と、1又は複数の光源4と、1又は複数の反応表面部材3とを備えている。第1〜第5の例示的な実施形態において、反応表面部材3は、特に、触媒物質(表面被覆材としての)を有する格子又はワイヤメッシュとして設けられる。触媒物質は、特に二酸化チタン材として構成されるか、二酸化チタンを含む。例えば、ナノ構造の触媒物質(ナノ二酸化チタン)として構成される。第1〜第5の例示的な実施形態において、光源4は、紫外線放射線(UV放射線)を発生させる光源4、特に、UV−A放射線を発生させる光源4として設けられる。特に、UV−A管として、及び/又は、1又は複数のUV−A発光ダイオードとして設けられる。特に第1、第2、第5の例示的な実施形態においては、さらなる一つ以上のUV−A管を使用することが特に好ましい。第3、第4、第6〜第10の例示的な実施形態においては、1以上のUV−A発光ダイオードを使用することが特に好ましい。UV−A発光ダイオードを光源として使用する場合、本発明によれば、光を分散させるためにUV−A光ガイドフィルムを使用することが特に好ましい。例示的な実施形態のいずれにおいても、少なくとも1つのファン、例えば軸流ファンを設け(空気誘導部毎に、あるいは、各空気誘導部及び他の空気誘導部毎に)、このファンが、収納部内の汚染空気を押し出すか、吸引する。ファンは、(空気流方向において)収納部5の上流に配置してもよく、また、(空気流方向において)収納部5の下流に配置してもよい。空気清浄装置内を流れる空気は、反応表面部材3又はその被覆表面に接触し、特に1以上の光源4によって反応表面部材3の表面を照明することにより、空気が浄化される。ここでは、反応表面部材3の表面積が大きく、光源4の表面積も大きいこと、あるいは、光源4の数が多いことにより、特に高い空気清浄効率が達成される。UV−A光と二酸化チタン(特にナノ二酸化チタン)との光触媒作用の結果、空気汚染物質(例えば、煙、におい、病原菌、細菌)の化学的転化及び/又は除去が行われる。本発明によれば、ナノゼオライト基板及び/又はナノ銀基板を反応表面部材として用いることにより、空気清浄効率をさらに高めることができる。本発明によれば、ゼオライト材及び/又は銀基板材を反応表面部材として用いる代わりに、これらの材料を、他の空気誘導部(前記空気誘導部とは別個の)における他の触媒物質9として設けることもできる。この場合、このような他の空気誘導部は、好ましくは、吸気口1の領域又は排気口2の領域に配置される。この代替手段の実施形態については図7のみに示す。
【0023】
各例示的な実施形態において、反応表面部材3、光源4、収納部5の設計は異なる。
【0024】
したがって、第1、第2、第5の例示的な実施形態(図1、図2、図5)においては、収納部5は、少なくとも部分的に管状又は円筒状である。この管の端面に吸気口1と排気口2が設けられる。管の中央に光源4、特にUV−A管としての光源4が配置されるが、共通の中央UV−A光源4を備えた光ガイドシステムを設けることも可能である。反応表面部材3は、光源4と収納部5の間の領域に放射状に配置される。吸気側にはファン(図示せず)、特に軸流ファンが配置される。排気側には、浄化された空気が出てくる。第1の例示的な実施形態(図1)において、反応表面部材3の断面は特に星形又は蛇行状である。第2の例示的な実施形態(図2)において、反応表面部材3は、例えば螺旋状である。第5の例示的な実施形態(図5)において、反応表面部材3はほぼ管状であり、この場合、直径が異なる2つの反応表面部材3が、光源4と収納部の間に設けられる。
【0025】
第1、第2、第5の例示的な実施形態(図1、図2、図5)において、複数の管状部又は円筒部を平行に設けることができる、及び/又は、1つの管状部又は円筒部の後に次の管状部又は円筒部を配置することもできる。平行な配置を例えば図2に示す。2つの管状部又は円筒部を用い、1つの管状部又は円筒部の後に次の管状部又は円筒部を配置する場合、例えば、一方の管の排気側を他方の管の吸気側に接続し、空気がまず一方の管を通り、その後、方向を変えて他方の管を(特に逆方向に)通るようにすれば、このような配置が得られる。このような管状部又は円筒部を5つ用いる場合、例えば、2つの外側の通気路にファンを設けることが可能である。この場合、内側の通気路は、中央排気口を真ん中に形成するように互いに接続される。
【0026】
第3及び第4の例示的な実施形態(図3、図4)において、反応表面部材3は、主に収納部5の通気路の断面を覆うジグザグ状、蛇行状、あるいは、蛇腹状に設けられる。第3の例示的な実施形態(図3)において、収納部の通気路は、第1の肢部と、方向転換部(空気誘導部の約180度の方向転換)と、第2の肢部と、他の方向転換部(空気誘導部の約180度の方向転換)と、第3の肢部とを有し、曲がりくねっている。第4の例示的な実施形態(図4)において、収納部の通気路は渦巻き状に設けられる。特に、吸気口1となる渦巻きの中心部にラジアルファンが設けられる。
【0027】
第6及び第7の例示的な実施形態(図6〜図9)においても、収納部の通気路は、第1の肢部と、方向転換部(空気誘導部の約180度の方向転換)と、第2の肢部と、他の方向転換部(空気誘導部の約180度の方向転換)と、第3の肢部とを有し、曲がりくねっている。
【0028】
第6の例示的な実施形態(図6、図7)において、反応表面部材3はバルク材11として設けられる(あるいは、多数の反応表面部材3が設けられる)。例えば、反応表面部材3は、複数の短いガラス管(又はガラス管切片)に表面被覆を施し、空気誘導部の空間のほぼ全体にわたって分散させるように設けられる。これを図7に示す。ガラス管を使用する代わりに、表面被覆されたガラス球を使用することも可能である。さらに、本発明によれば、表面被覆されたガラス管とガラス球を混ぜて使用することも可能である。この第6の例示的な実施形態(図6、図7)のいずれの場合も、反応表面部材3は、空気誘導部の空間のほぼ全体にわたって分散している。また、表面被覆されたガラス部材(ガラス管切片又はガラス球)の代わりに、あるいは、それらに加えて、透明又は不透明のプラスチック管切片(小プラスチック管)、あるいは、他の透明又は不透明の球状プラスチック構造体を反応表面部材3として使用することも可能である。
【0029】
第7の例示的な実施形態(図8、図9)における反応表面部3として、空気清浄装置10はベース部材21とカバー部材22とを備え、反応表面部3が、特に空気誘導部内に突き出す表面被覆された棒状部材23として、ベース部材21又はカバー部材22に接続される構成とする。もちろん、本発明によれば、ベース部材21とカバー部材22の両方から棒状部材23が延在するような構成としてもよい。さらに、第7の例示的な実施形態(図8、図9)においては、本発明によれば、空気清浄装置10の内表面のほぼ全体に表面被覆を施し、反応表面部3として動作させることが可能であり、有利である。なお、この場合、1以上の光源4を配置するのに十分な空間を設ける必要がある。
【0030】
第8の例示的な実施形態(図10)によれば、車体30の一部が空気誘導部の表面被覆壁31となるように、車体30内、特に車体30の天井部分に空気清浄装置10を組み込む構成とする。この構成について、車両部品40の一例として、車体の天井部分及び車両内部に面する天井張りの例を用いて、図10に概略的に示す。図10の左側部分は、車両の乗客から見た天井張りの図である。点線は、天井張り40のうちの、車両の乗客から離間する側の空気誘導路又は空気清浄装置10を示す。この天井張り40は排気口2へと開口している。図10の右側部分は、このような空気誘導路又は空気清浄装置10の概略断面図を示す。空気誘導路又は空気清浄装置10の車体壁31には表面被覆材が設けられ、空気が通気路を流れる際の空気浄化に役立つ。光源4は、車両部品40のうちの、車両の乗客から離間する側に設けられる。第8の例示的な実施形態(図10)に代えて、あるいは、これに加えて、本発明によれば、車両部品40のうちの車体に近い側42に、さらに表面被覆材を設ける構成としてもよい。第8の例示的な実施形態(図10)において、車両部品40(例えば、天井張り又は車内の他の内張り(ライニング))と車体30の間の設置空間を空気浄化のために特に効率的に用いることができるので、特に有利である。これ代えて、あるいは、これに加えて、外側から目視できる排気開口部がなく、車両部品の材料を空気が流れるように、少なくとも一部において空気透過性となるように車両部品40を設計する構成でもよい。車両部品40のうちの車体30に近い側42を表面被覆すれば、空気清浄効果をさらに達成することができる。
【0031】
第9の例示的な実施形態(図11)によれば、車両部品40の一部が空気誘導部の表面被覆壁41となるように、車両部品40、特に天井張りに空気清浄装置10を組み込む構成とする。図11に示す例では、このような空気誘導路又は空気清浄装置10の断面を概略的に示す。空気清浄装置10の表面被覆壁41は車両部品40(すなわち、例えば、天井張り等の内張り部材)の一部であり、空気が通気路を流れる際の空気浄化に役立つ。光源4は、車両部品40のうちの、車両の乗客から離間する側に設けられる。第9の例示的な実施形態(図11)に代えて、あるいは、それに加えて、本発明によれば、車両部品40のうちの表面被覆壁41に近い側42に、さらに表面被覆材を設ける構成としてもよい。第9の例示的な実施形態(図11)において、車両部品40(例えば、天井張り又は車内の他の内張り(ライニング))と車体30の間の設置空間を空気浄化のために特に効率的に用いることができるので、特に有利である。これに代えて、あるいは、これに加えて、外側から目視できる排気開口部がなく、車両部品の材料を空気が流れるように、少なくとも一部において空気透過性となるように車両部品40を設計する構成でもよい。車両部品40のうちの表面被覆壁41に近い側42を表面被覆すれば、空気清浄効果をさらに達成することができる。
【0032】
第8及び第9の例示的な実施形態(図10及び11)において、空気清浄装置10の1つの壁部のみ、又は、幾つかの壁部に表面被覆を行った場合、これら壁部によって反応表面部材3が形成される。なお、このような設計の代わりに、あるいは、これに加えて、第8及び第9の例示的な実施形態(図10、図11)では、表面被覆された格子や繊維等、あるいは、表面被覆されたバルク材としての反応表面部材3を空気清浄装置10に導入することにより、空気清浄効果をさらに高めることが可能である。
【0033】
第10の例示的な実施形態(図12)によれば、本発明に係る、そして、第1〜第7の例示的な実施形態(図1〜図9)に係る空気清浄装置10を、車両部品40、例えば、天井張りの部分に設置する構成とする。したがって、例えば、図12の左側部分は、天井張りに組み込まれたこのような空気清浄装置10の概略斜視図を示し、この図では排気口2が見える。図12の右側部分は、空気清浄装置10の概略断面図であり、車両部品40と、車体30と、排気口2と、光源4と、反応表面部材3を示す。
【0034】
天井張り部分に空気清浄装置10を配置する代わりに、本発明によれば、後部荷物棚部分、及び/又は、車両の中央コンソール部分、及び/又は、車両のAピラーライニング部分、及び/又は、車両のBピラーライニング部分、及び/又は、車両のCピラーライニング部分に空気清浄装置10を配置することも可能であり、有利である。
【符号の説明】
【0035】
1 吸気口
2 排気口
3 反応表面部材
4 光源
5 収納部
9 他の触媒物質
10 空気清浄システム/空気清浄装置
21 ベース部材
22 カバー部材
23 棒状部材
30 車体
31 表面被覆壁
40 車両部品
41 空気誘導部の表面被覆壁
42 車体に近い側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口(1)と、排気口(2)と、吸気口(1)と排気口(2)の間にある空気誘導部とを備え、前記空気誘導部に少なくとも1つの反応表面部材(3)が設けられた、特に車両用の空気清浄装置(10)であって、前記空気誘導部に少なくとも1つの紫外線光源(4)が配置され、反応表面部材(3)の表面に触媒物質を有し、反応表面部材(3)が前記空気誘導部のほぼ全体に配置され、あるいは、反応表面部材(3)が空気清浄装置(10)の内表面の少なくとも50%を占めることを特徴とする空気清浄装置(10)。
【請求項2】
反応表面部材(3)が、前記空気誘導部の少なくとも60%、好ましくは、前記空気誘導部の少なくとも80%に配置されることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項3】
前記触媒物質は二酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項4】
空気清浄装置(10)が他の空気誘導部を有し、前記他の空気誘導部が他の触媒物質としてゼオライト材及び/又は銀基板材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項5】
反応表面部材(3)が、表面被覆されたキャリヤ部を備え、特に、格子、ワイヤメッシュ、繊維材料、好ましくは、ゼオライト材及び/又は銀基板材を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項6】
反応表面部材(3)が、表面被覆されたバルク材(11)として、特に、ガラス管の切片及び/又はガラス球として設計されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項7】
空気清浄装置(10)がベース部材(21)とカバー部材(22)とを備え、反応表面部材(3)が、ベース部材(21)又はカバー部材(22)に対して一体的に接続され、特に、前記空気誘導部内に突き出す表面被覆された棒状部材(23)とされることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項8】
前記空気誘導部が吸気口(1)と排気口(2)の間で少なくとも2回、90度より大きい角度で屈曲することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項9】
前記空気誘導部は吸気口(1)と排気口(2)の間で螺旋状に設計されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項10】
光源(4)として複数の発光ダイオードが設けられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項11】
車体(30)の一部が前記空気誘導部の表面被覆壁(31)となるように、空気清浄装置(10)が車体(30)に組み込まれ、特に車体(30)の天井部分に組み込まれることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項12】
車両部品(40)の一部が前記空気誘導部の表面被覆壁(41)となるように、空気清浄装置(10)が車両部品(40)に組み込まれ、特に天井張りの中に組み込まれることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の空気清浄装置(10)。
【請求項13】
請求項12に記載の空気清浄装置(10)を組み込んだ車両部品(40)であって、前記車両部品は、天井張り、後部荷物棚、中央コンソール、ドア内張り、Aピラーライニング、Bピラーライニング、Cピラーライニング、計器盤のいずれかであることを特徴とする車両部品。
【請求項14】
請求項11に記載の空気清浄装置(10)の壁部としての、車体(30)又はその一部の使用方法。
【請求項15】
請求項12に記載の空気清浄装置(10)の壁部としての、車両部品(40)又はその一部の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−507378(P2012−507378A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535045(P2011−535045)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007939
【国際公開番号】WO2010/052001
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)
【Fターム(参考)】