説明

車両用空調装置の制御方法

【課題】車両情報収集に必要な構成部品数を減少させ、可変容量型圧縮機の吐出容量を最適化して燃比を向上させ快適な空調環境を提供する。
【解決手段】
本発明は車両用空調装置の制御方法に関するものであって、目標室内温度を設定する段階と;センサーから温度及び日射量を感知して入力する段階と;ベント(Vent)の目標吐出温度(Tl)を演算する段階と;最大蒸発器温度(T2)を入力する段階と;前記TlとT2とを比較して目標蒸発器温度を設定する段階と;テンプドア(Temp.Door)の開度を演算する段階と;圧縮機の吐出容量を制御すると共に、実際蒸発器温度を測定する段階と;前記目標蒸発器温度に従うテンプドアの開度と前記実際蒸発器温度によって、作動部出力値を演算する段階と;前記演算された作動部出力値を出力する段階;を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可変容量型圧縮機の容量制御を最適化して燃比を向上させると共に、車両室内の快適な空調環境を提供することができる車両用空調装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可変容量型圧縮機が装着された車両用空調システムの一般的な構造は、図1示すように、圧縮機、凝縮機膨張バルブ、蒸発器及び圧縮機の出力を制御する制御バルブと、各種検出値に従って制御バルブを調節するバルブ制御モジュールからなっている。前記バルブ制御モジュールは蒸発器出口温度及び自動車速度、室内温度、外気温度などの各種検出値を測定して、制御バルブの変位を調節する。
【0003】
車両用空調装置に使用されている圧縮機は、蒸発器において低圧の状態で排出される気体状態の冷媒を液化し易い高圧の状態に圧縮して凝縮器へ吐き出す部品であって、斜板を備えた斜板式圧縮機が一般的に使用されている。このような斜板式圧縮機の内部には、斜板(Swash Plate)の回転によって往復運動をしながら前記圧縮機の圧縮室内の冷媒を圧縮するピストンが備えられている。
【0004】
一般的な斜板式圧縮機(C)の構造は、図2に示すように、内部にクランク室21と吸入室30a及び吐出室30bなどの密閉空間を形成する前後方ハウジング20,30と;円周方向に配列された多数のシリンダーボア(bores;末図示)をもって前後方ハウジング20、30の間に内装されるシリンダーブロック70と;前方ハウジング20の中央を貫通してクランク室21に挿入されシリンダーブロック70の中央に回転可能に支持される駆動軸40と;クランク室21内で駆動軸40の回転に従って回転するように駆動軸40に連結されるプレート50と;駆動軸40の周りに設置され、プレート50と連結されプレート50の回転に従って回転しながら駆動軸40の軸方向にスライディング移動され傾斜角が可変される斜板(Swash Plate)60と;斜板60の周りに沿って備えられたシュー62と結合され斜板60の回転に従ってシリンダーブロック70の各ボア内で往復運動する多数のピストン10と;シリンダーブロック70と後方ハウジング30との間に備えられるバルブユニット(未図示)と;ピストン10の移送量を調整する制御バルブ90と;プレート50と斜板60との間に弾性的に設置されプレート50の非回転時最小傾斜角で斜板60を支持するスプリング80からなる。
【0005】
このような斜板式圧縮機の出力を調節する手段はピストン10の移送量を調節する制御バルブ90であり、制御バルブ90は圧縮機の吐出圧力と吸入圧力の関係に従って制御されるか、励磁コイルに流れる電流のデューティー(duty)比に従って変位が制御される。
【0006】
制御バルブ90の変位を制御する手段としては、日本国特許公開公報2001−227825号公報及び2001−227826号公報に示されたように、蒸発器出口温度(または冷媒容量)に対応する目標温度(または冷媒容量)及びその目標温度(または冷媒容量)をなすための電流のデューティー比をマップテーブルで構成する方法が開示されている。前記公報では、測定された蒸発器出口温度に対応するマップテーブルの電流デューティー比で制御バルブを駆動することにより、可変容量式圧縮機の出力を制御する。
【0007】
また、日本国特許公開公報2001−153425号公報には、制御バルブの制御において、PID制御方式とマップ制御方式とを比較して低い制御値にしだがって圧縮機制御バルブを調節する方法が開示されている。
その他にも、蒸発器出口温度または冷媒容量の測定以外に室内温度を測定して制御バルブを制御する方式が公知である。
【0008】
図3は、前記のとおり、制御バルブの制御を通じた車両用空調装置の冷媒性能の可変メカニズムを図示したものである。
また、図4a,図4b,図4cは、それぞれ冷媒吐出し容量(q(t)),吐出し温度(Tdischarge(t)),室内温度(Tincar(t))を測定して測定されたフィードバック値に従って制御バルブのデューティー値duty(t)を制御する制御ブロック図を示したものである。
【0009】
しかし、図4aにおけるように、冷媒吐出し容量(q(t))をフィードバック値にして制御バルブのデューティー値(duty(t))を制御する方式では、空調システムの数値的解釈が必要であるばかりでなく冷媒容量を測定するための複雑な多数のセンサー入力が必要であり、室内温度が不安定になるおそれが多い。
また、図4bにおけるように、吐出し温度(Tdischarge(t))をフィードバック値にして制御バルブのデューティー値(duty(t))を制御する方式では、制御バルブ及び室内温度の制御が連関され制御構造が複雑であるという問題点がある。
即ち、制御バルブの開度及びテンプドアの開度などの独立制御変数が多いので制御することが容易でない。
【0010】
また、図4cにおけるように、室内温度(Tincar(t))をフィードバック値にして制御バルブのデューティー値duty(t)を制御する方式では、応答性が大きく低下する問題点があり、遅延時間過多により温度制御が不安定になる問題点がある。併せて、圧縮機作動負荷が過多に変動するおそれもある。
特に、通常使用されている機械式制御バルブは、単純に圧縮機の吐出し圧力と吸入圧力のみを利用して制御する構造であって、蒸発器のアイシング(Icing)防止のためのカットオフ(Cut−Off)設定値のみで実際蒸発器温度が利用されるため、微細な空調制御が不可能になる問題点がある。
【0011】
また、車両のECUから車両走行情報など車両に関連する多様な情報、例えば、車両走行情報の入力を受けて圧縮機の吐出容量を制御する一般的な外部入力式制御バルブは、車両の燃比向上には効果があるが、ECUから各種情報(加速、減速、エンジン状態、速度など)の入力を受けるための回路及びセンサーを利用しなければならないので、構造が複雑になり、回路及びセンサーを構築するための費用が追加される問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであって、車両情報収集に必要な構成部品数を減少させ、可変容量型圧縮機の吐出容量を最適化して燃比を向上させ快適な空調環境を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による車両用空調装置の制御方法は、使用者が車両の目標室内温度を設定する段階と、車両の所定位置に設置されたセンサーから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知して入力する段階と;前記目標室内温度と車両室内温度、車両室外温度及び日射量によってベント(Vent)の目標吐出温度(Tl)を演算する段階と;最大蒸発器温度(T2)を入力する段階と;前記ベント(Vent)の目標吐出温度(Tl)と前記最大蒸発器温度(T2)とを比較して目標蒸発器温度を設定する段階と;前記目標蒸発器温度に従ってテンプドア(Temp.Door)の開度を演算する段階と;前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御すると共に、実際蒸発器温度を測定して測定された値を所定の段階に送る段階と;前記目標蒸発器温度によるテンプドアの開度と、前記実際蒸発器温度によって、作動部出力値を演算する段階と;前記演算された作動部出力値を出力する段階と;を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御すると共に、実際蒸発器温度を測定して測定された値を所定の段階に送る段階は、設定された目標蒸発器温度を入力する段階と;前記目標蒸発器温度を入力する段階と;前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量調節バルブの目標制御値を演算する段階と;前記演算された吐出容量調節バルブの制御値を吐出容量調節バルブへ出力する段階と;前記吐出容量調節バルブによって吐出容量を調節した後、実際蒸発器温度を測定する段階と;前記測定された実際蒸発器温度を、前記目標蒸発器温度入力段階以後、および前記テンプドア開度演算段階以後に送る段階と;を含むことを特徴とする。
【0015】
また、前記最大蒸発器温度(T2)を入力する段階は、圧縮機の最小駆動時蒸発器へ流入する空気温度に従って最大蒸発器温度(T2)を演算して入力することを特徴とする。
【0016】
また、前記最大蒸発器温度(T2)を入力する段階は、主要制御因子に対する性能試験を通じて予めマッピングデータ(Mapping Data)を利用して入力することを特徴とする。
【0017】
また、前記目標蒸発器温度を設定する段階は、前記ベントの目標吐出温度(Tl)と前記最大蒸発器温度(T2)とを比較して、Tl<T2であればTlを目標蒸発器温度に設定し、Tl〉T2であればT2を目標蒸発器温度に設定することを特徴とする。
【0018】
また、前記車両の所定位置に設置されたセンサーから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知して入力する段階以後に、ベント目標吐出熱量を演算する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
また、前記目標吐出熱量を演算する段階以後、ベント目標吐出温度(Tl)の演算段階でベント風量も共に演算することを特徴とする。
【0020】
また、目標蒸発器温度に従ってテンプドア(Temp.Door)の開度を演算する段階以後、目標蒸発器温度と実際蒸発器温度とを比較してその温度差が許容値を外れる場合、テンプドアの開度を補正演算する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0021】
また、目標蒸発器温度に従ってテンプドア(Temp.Door)の開度を演算する段階以後、目標蒸発器温度と実際蒸発器温度とを比較してその温度差異が許容値を外れる場合、テンプドアの開度を補正演算する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
前記目標蒸発器温度と実際蒸発器温度差異の許容値は4℃以内にすることが好ましい。
【0023】
また、本発明による車両用空調装置の制御方法は、使用者が車両の目標室内温度を設定する段階と;車両の所定位置に設置されたセンサーなどから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知して入力する段階と;前記目標室内温度と車両室内温度、車両室外温度及び日射量によってベント(Vent)の目標吐出温度(Tl)を演算する段階と;最大蒸発器温度(T2)を入力する段階(S40)と;前記ベント(Vent)の目標吐出温度(Tl)と前記最大蒸発器温度(T2)とを比較して目標蒸発器温度を設定する段階と;前記目標蒸発器温度に従ってテンプドア(Temp.Door)の開度を演算する段階と、前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御する段階と;を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明による車両用空調装置の制御方法によれば、外乱に対して制御安定性及び温度制御性能が優れ、別途の車両情報入力手段(例;回路及びセンサー)を必要としないので部品数を減少させることができる。
また、可変容量型圧縮機の容量制御を‘目標吐出温度’に基づいて行うために、最適の吐出容量制御を通じて燃比を向上させることができ、目標蒸発器温度と実際蒸発器温度に基づいたテンプドアの開度補正で使用者の快適性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0026】
図5は、本発明による車両用空調装置の制御方法を示した流れ図であり、図6は、目標吐出温度と圧縮機最小駆動時蒸発器流入空気温度に従う最大蒸発器温度との関係を示したグラフであり、図7は、実際蒸発器温度と目標蒸発器温度との差異が許容値を外れる場合、温度調節ドアの開度を補正する過程を示したグラフである。
【0027】
本発明による車両用空調装置の制御方法によれば、図5に示すように、先ず、使用者が車両の目標室内温度を設定(SlO)した後、車両の所定位置に設置されたセンサーから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知して入力(S20)する。このように入力(S20)された車両室内温度、車両室外温度及び日射量によってベント目標吐出熱量を演算(S21)した後、これによってベント(Vent)目標吐出温度(Tl)及び風量を演算(S30)する。
【0028】
前記ベント目標吐出熱量を演算する段階(S21)は省略できるし、また、S30段階で風量を除きベント目標吐出温度(Tl)のみを演算することができる。そして、圧縮機最小駆動時の蒸発器流入温度に従う最大蒸発器温度(T2)を入力(S40)する。その後ベント(Vent)目標吐出温度(Tl)と前記最大蒸発器温度(T2)とを互いに比較して小さい値を選び、その選ばれた値を目標蒸発器温度に設定(S50)する。
【0029】
前記目標蒸発器温度に従ってテンプドア(Temp.Door)の開度を演算(S60)し、前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御すると共に、実際蒸発器温度を測定して測定された値を所定の段階に送る。そして、前記目標蒸発器温度に従うテンプドアの開度と、前記実際蒸発器温度によって作動部出力値を演算(S80)した後、前記演算された作動部出力値を出力(S90)する。
もし、目標蒸発器温度と測定された実際蒸発器温度とを比較してその温度差異が許容値を外れる場合には、テンプドアの開度を補正演算する段階をさらに含ませることが好ましい。
【0030】
前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御し、実際蒸発器温度を測定して測定値を所定の段階に送る段階(S70)は、前記設定された目標蒸発器温度に従って圧縮機の吐出容量調節バルブの目標制御値を演算(S72)し、出力(S73)して実際蒸発器温度を測定(S74)する。このように測定された実際蒸発器温度はテンプドア開度演算段階(S60)以後と前記目標蒸発器温度入力段階(S71)後に送られ、実際蒸発器温度と目標蒸発器温度との差異が許容値を外れるとテンプドア開度補正演算後に作動部出力値を演算する。前記温度の許容値は4℃以内にするのが好ましい。
【0031】
前記目標吐出温度と最大蒸発器温度の関係を図6を参照して説明する。図6においてX軸は目標吐出温度を示し、Y軸は温度を示し、実線は本発明による圧縮機最小駆動時蒸発器側に流入される空気温度に従う最大蒸発器温度であり、点線は従来の外気温度に従う目標蒸発器温度である。
前記蒸発器側に流入する空気温度は内気モードである場合には車両の室内温度であり、車両室内温度外気モードである場合には車両室外温度である。
【0032】
先ず、使用者が車両の目標室内温度を設定し、室内外の温度及び日射量の入力を受けてベント目標吐出温度(Tl)を演算した後、ベント目標吐出温度(Tl)と圧縮機の最小駆動時流入する空気温度による最大蒸発器温度(T2)を比較して小さい値を目標蒸発器温度に設定する。
従来技術によれば、‘a’におけるように、設定された目標蒸発器温度が3℃ほど目標吐出温度10℃より低いので、温度調節ドアの開度を開いてヒーターコアへ空気を送ることにより温度が上昇する。
しかし、本発明によれば、‘b’のように、蒸発器側に流入する空気温度が40℃であり、目標吐出温度が10℃に設定された場合には、目標蒸発器温度を10℃に設定し温度調節ドアの開度を全閉する。
【0033】
一方、‘d’のように、蒸発器側に流入する空気温度が40℃であり、目標吐出温度が25℃に設定された場合には、圧縮機の最小駆動時蒸発器側に流入する空気温度に従う最大蒸発器温度は、‘c’におけるように23℃となり、前記最大蒸発器温度を目標蒸発器温度に設定し温度調節ドアの開度を開いてヒーターコアへ空気を送ることにより、温度を上昇させる。
【0034】
即ち、目標吐出温度と圧縮機最小駆動時蒸発器温度とを比較して、ベント目標吐出温度が高いと圧縮機最小駆動時最大蒸発器温度が目標蒸発器温度に設定され、圧縮機の最小駆動時最大蒸発器温度が高いとベント目標吐出温度が目標蒸発器温度に設定される。
従って、従来技術におけるように、蒸発器温度を不必要に低めることにより、発生する消費動力を節減させることができる。
【0035】
前記の場合、ベント目標吐出温度が目標蒸発器温度に設定されると、送風機の温度調節ドアの開度を閉めてヒーターコアへ流入する空気を遮断することより温度を低下させ、圧縮機の最小駆動時、最大蒸発器温度が目標蒸発器温度に設定されれば、送風機の温度調節ドアの開度を開いてヒーターコアへ空気を流入させることにより、温度を上昇させる。
【0036】
図7は、実際蒸発器温度と目標蒸発器温度との差異が許容値を外れる場合、温度調節ドアの開度を補正する過程を示したグラフである。
ベント目標吐出し温度(Tl)と圧縮機の最小駆動時蒸発器側に流入する空気温度に従う最大蒸発器温度(T2)とを比較して目標蒸発器温度を設定(S50)すると、前記設定された目標蒸発器温度はテンプドア開度演算(S60)を経て各作動部出力値に演算され出力される。
【0037】
この時、目標蒸発器温度と実際蒸発器温度との温度差異を比較して、その差異が許容値を外れる場合にはテンプ補正演算後に各作動部出力値を演算(S80)して出力(S90)する。前記目標蒸発器温度と実際蒸発器温度との差異の許容値は4℃以内にすることが好ましい。
【実施例2】
【0038】
以下、本発明による車両用空調装置制御方法の他の実施例を説明する。先ず、使用者が車両の目標室内温度を設定(SlO)し、車両の所定位置に設置されたセンサーから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知して入力(S20)する。
このように入力(S20)された車両室内温度、車両室外温度及び日射量によってベント(Vent)目標吐出温度(Tl)を演算して入力(S30)する。
【0039】
一方、主要制御因子に対する性能試験を通じて前以てマッピングされたマップ情報(Mapping Data)によって最大蒸発器温度(T2)を入力(S40)する。その次に、ベント(Vent)目標吐出温度(Tl)と最大蒸発器温度(T2)とを互いに比較して小さい値を選んで目標蒸発器温度に設定(S50)する。
【0040】
前記設定された目標蒸発器温度に従ってテンプドア(Temp.Door)の開度を演算(S60)し、各作動部出力値を演算(S80)して前記演算された作動部出力値を出力(S90)するか、前記設定された目標蒸発器温度に圧縮機の吐出容量調節バルブの目標制御値を演算(S72)し、前記制御値を出力(S73)して実際蒸発器温度を測定(S74)して測定された値を所定の段階に送る。前記目標蒸発器温度に従うテンプドアの開度と、前記実際蒸発器温度によって作動部出力値を演算(S80)して、前記演算された作動部出力値を出力(S90)する。
【0041】
前記車両用空調装置の制御方法において、ベント目標吐出熱量演算(S21)とベント目標吐出風量演算(S30)段階は省略が可能である。
また、前記設定された目標蒸発器温度によるテンプドアの開度演算段階(S60)以後に、目標蒸発器温度と吐出熱量制御モジュールから測定された実際蒸発器温度とを比較してその温度差異が許容値(約4℃以内)を外れた場合にも、テンプドア開度補正演算する段階(S61)を省略し、直ちに各作動部出力値を演算(S80)して、前記各作動部の演算された出力値に出力することもできる。
【0042】
以上、本発明による好ましい実施例を説明したが、該当分野で通常の知識を有する者であれば、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で多様な変形及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】可変容量型圧縮機が装着された従来の車両用空調装置の概略図である。
【図2】可変容量型圧縮機の一般的な構造図である。
【図3】制御バルブの制御を通じた冷房性能の可変メカニズムを表したブロック図である。
【図4】それぞれ冷媒吐出容量(q(t)),吐出温度(Tdischarge(t)),室内温度(Tincar(t))を測定して、測定されたフィードバック値に従って制御バルブのデューティー値(Duty(t))を制御する制御ブロック図である。
【図5】本発明による車両用空調装置の制御方法を表した流れである。
【図6】目標吐出温度と圧縮機最小駆動時蒸発器流入空気温度に従う最大蒸発器との関係を示したグラフ。
【図7】実際蒸発器温度と目標蒸発器温度との差異が許容値を外れる場合、温度調節ドアの開度を補正する過程を示したグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用空調装置の制御方法において、
使用者が車両の目標室内温度を設定する段階(SlO);
車両の所定位置に設置されたセンサーから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知して入力する段階(S20);
前記目標室内温度と車両室内温度、車両室外温度及び日射量によってベントの目標吐出温度(Tl)を演算する段階(S30);
最大蒸発器温度(T2)を入力する段階(S40);
前記ベントの目標吐出温度(Tl)と前記最大蒸発器温度(T2)とを比較して目標蒸発器温度を設定する段階(S50);
前記目標蒸発器温度に従ってテンプドアの開度を演算する段階(S60);
前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御すると共に、実際蒸発
温度を測定して測定された値を所定の段階に送る段階(S70);
前記目標蒸発器温度に従うテンプドアの開度と、前記実際蒸発器温度によって、作動部出力値を演算する段階(S80);
前記演算された作動部出力値を出力する段階(S90);
を含むことを特徴とする車両用空調装置の制御方法。
【請求項2】
前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御すると共に、実際蒸発器温度を測定して測定された値を所定の段階に送る段階(S70)は、
設定された目標蒸発器温度を入力する段階(S71);
前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量調節バルブの目標制御値を演算する段階(S72);
前記演算された吐出容量調節バルブの制御値を吐出容量調節バルブへ出力する段階(S73);
前記吐出容量調節バルブによって吐出容量を調節した後実際蒸発器温度を測定する段階(S74);
前記測定された実際蒸発器温度を、前記目標蒸発器温度入力段階(S71)以後、及び前記テンプドア開度演算段階(S60)以後に送る段階;
を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項3】
前記最大蒸発器温度(T2)を入力する段階(S40)は、圧縮機の最小駆動時蒸発器へ流入する空気温度に従って最大蒸発器温度(T2)を演算して入力することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項4】
前記最大蒸発器温度(T2)を入力する段階(S40)は、主要制御因子に対する性能試験を通じて予めマッピングされたマップ情報を利用して入力することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項5】
前記目標蒸発器温度を設定する段階(S50)は、前記ベントの目標吐出温度(Tl)と前記最大蒸発器温度(T2)を比較して、Tl< T2であればTlを目標蒸発器温度に設定し、Tl> T2であればT2を目標蒸発器温度に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項6】
前記車両の所定位置に設置されたセンサーから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知して入力する段階(S20)以後にべント目標吐出熱量を演算する段階(S21)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項7】
前記ベント目標熱量を演算する段階(S21)以後、ベント目標吐出温度(Tl)の演算段階(S30)でベント風量も共に演算するすることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項8】
目標蒸発器温度に従ってテンプドアの開度を演算する段階(S60)以後、目標蒸発器温度と実際蒸発器温度とを比較してその温度差異が許容値を外れる場合、テンプドアの開度を補正演算する段階(S61)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項9】
目標蒸発器温度に従ってテンプドアの開度を演算する段階(S60)以後、目標蒸発器温度と実際蒸発器温度とを比較してその温度差異が許容値を外れる場合、テンプドアの開度を補正演算する段階(S61)をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項10】
前記目標蒸発器温度と実際蒸発器温度差異の許容値は4℃以内であることを特徴とする請求項8に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項11】
前記目標蒸発器温度と実際蒸発器温度差異の許容値は4℃以内であることを特徴とする請求項9に記載の車両用空調装置の制御方法。
【請求項12】
車両用空調装置の制御方法において、
使用者が車両の目標室内温度を設定する段階(SlO);
車両の所定位置に設置されたセンサーなどから車両室内温度、車両室外温度及び日射量を感知する段階(S20);
前記目標室内温度と車両室内温度、車両室外温度及び日射量によってベントの目標吐出温度(Tl)を演算する段階((S30);
最大蒸発器温度(T2)を入力する段階(S40);
前記ベントの目標吐出温度(Tl)と前期最大蒸発器温度(T2)とを比較して目標蒸発器温度を設定する段階(S50);
前記目標蒸発器温度に従ってテンプドアの開度を演算する段階(S60);
前記目標蒸発器温度によって圧縮機の吐出容量を制御する段階(S70);
を含むことを特徴とする車両用空調装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−504044(P2007−504044A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525280(P2006−525280)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002245
【国際公開番号】WO2005/021300
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506235317)ハラ クライメート コントロール コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】