車両用空調装置
【課題】既存ユニット内にサブダンパを追加するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【解決手段】空調ユニット2内に形成される空気流路4のエバポレータ8よりも下流側の流路が仕切り板9により少なくとも左右に2分されているとともに、各々の流路4Bに独立して駆動されるエアミックスダンパ13Bが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置1において、助手席側温風流路11Bのヒータコア10の後流側に、該助手席側温風流路11Bを開閉可能なサブダンパ17が設けられ、該サブダンパ17を閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパ13Bを最大暖房位置とすることによって、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされている。
【解決手段】空調ユニット2内に形成される空気流路4のエバポレータ8よりも下流側の流路が仕切り板9により少なくとも左右に2分されているとともに、各々の流路4Bに独立して駆動されるエアミックスダンパ13Bが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置1において、助手席側温風流路11Bのヒータコア10の後流側に、該助手席側温風流路11Bを開閉可能なサブダンパ17が設けられ、該サブダンパ17を閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパ13Bを最大暖房位置とすることによって、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席以外に乗員が乗っていない場合に、それらの席に向けての空調風の吹出しを停止することが可能な車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置において、運転席以外の席に乗員が乗っていない場合、それらの席に向けての空調風の吹出しを停止し、運転席を優先的に空調するようにした車両用空調装置が従来から知られている。例えば、特許文献1には、乗員の有無を検知し、乗員がいないことが検知されると、対応する吹出し口に設置されている風向調整手段を介して、該吹出し口からの空調風の吹出しを停止するようにしたものが開示され、特許文献2には、中央吹出し口および側方吹出し口に連なるダクト中に各々ダンパを設け、乗員がいないことが検知された場合、該ダンパを閉じることによって、助手席側の中央および側方吹出し口からの空調風の吹出しを停止するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4457505号公報
【特許文献2】特開2005−145327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2のものでは、吹出し口毎に、あるいはダクト毎に風向調整手段やダンパを設け、空調風の吹出しを停止できるようにしなければならず、吹出しグリルやダクトの構成が、徒に複雑化、大型化してしまうという問題があり、コストアップや設置スペースの増大を招く等の課題があった。つまり、吹出し口毎やダクト毎に対応しようとすると、例えば助手席側だけでも、一般に中央フェイス吹出し口および側方フェイス吹出し口の2つの吹出し口以外にフット吹出し口があり、それぞれに風向調整手段やダンパを設けて空調風の吹出しを停止できるようにしなければならなかった。
【0005】
特に、フット吹出し口には、風向調整手段等を設けていないのが通常であり、フット吹出し口からの空調風の吹出しを停止しようとすると、専用の調整手段やダンパを追加しなければならず、上記課題がますます顕著化することになる。このため、特許文献1,2に示されたものにおいても、フット吹出し口からの空調風の吹出しについては、特段の対策が施されていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、既存の空調ユニット内にサブダンパを追加するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の車両用空調装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる車両用空調装置は、空調ユニット内に形成される空気流路のエバポレータよりも下流側の流路が仕切り板によって少なくとも左右に2分されているとともに、各々の流路に独立して駆動されるエアミックスダンパが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置において、助手席側の温風流路のヒータコア後流側に、該助手席側温風流路を開閉可能なサブダンパが設けられ、該サブダンパを閉じるとともに、前記助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、少なくとも左右に2分されている空気流路の各々に独立して駆動されるエアミックスダンパが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置において、助手席側の温風流路のヒータコア後流側に、該助手席側温風流路を開閉可能なサブダンパが設けられ、該サブダンパを閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされているため、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右のエアミックスダンパを独立して駆動することにより、左右別々に温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内へと吹出し、運転席側および助手席側を独立して空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、サブダンパにより助手席側の温風流路を閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側に向う温風流路および冷風流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができる。従って、既存の空調ユニット内にサブダンパを追加するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、グリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上記の車両用空調装置において、前記サブダンパは、前記助手席側温風流路が前記エアミックスダンパ下流側のエアミックス域と合流する直前の該温風流路出口部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、サブダンパが、助手席側温風流路がエアミックスダンパ下流側のエアミックス域と合流する直前の該温風流路出口部に設けられているため、助手席側温風流路の出口部にサブダンパが設けられることによる空調性能への影響を略皆無とすることができる。つまり、この温風流路出口部は、元々エアミックスダンパと一体をなすサブダンパにより最大冷房時(MAX COOL)に閉じるように構成されていた部分であり、該サブダンパを独立して開閉可能に設置しただけの構成に相当するため、該ダンパが温調風の流れやエアミックス性に影響を及ぼすことはなく、既存ユニットの空調性能をそのまま維持することができ、基本構造を変更することなく容易に実用化することができる。
【0011】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上述のいずれかの車両用空調装置において、前記サブダンパの回転軸は、前記仕切り板に設けられている軸受部により支持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、サブダンパの回転軸が、仕切り板に設けられている軸受部により支持されているため、サブダンパを設ける際のユニット側の構造変更を最小限に抑えることができ、従って、従来方式に比べ、助手席側の空調を停止できるようにするための機構を十分に簡素化、低コスト化することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかる車両用空調装置は、空調ユニット内に形成される空気流路中にエバポレータ、エアミックスダンパおよびヒータコアが配設され、前記エアミックスダンパの下流側にフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路が形成されているとともに、該フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路にフェイスダンパおよびフットダンパが設けられている車両用空調装置において、前記フェイス吹出し流路および前記フット吹出し流路が仕切り板によって左右に仕切られ、その助手席側フット吹出し流路に該吹出し流路を開閉可能なサブダンパが設けられるとともに、前記フットダンパが左右に2分され、該助手席側フットダンパで前記仕切り板により仕切られた前記助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断し、前記サブダンパで前記助手席側フット吹出し流路を閉じることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、いわゆるシングルゾーン方式の車両用空調装置において、フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路が仕切り板によって左右に仕切られ、その助手席側フット吹出し流路に該吹出し流路を開閉可能なサブダンパが設けられるとともに、フットダンパが左右に2分され、該助手席側フットダンパで仕切り板により仕切られた助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断し、サブダンパで助手席側フット吹出し流路を閉じることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされているため、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右に2分されているフットダンパを一体的に動作させ、エアミックスダンパを介して温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内に吹出すことにより、運転席側および助手席側を同時に空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、サブダンパによって助手席側フット吹出し流路を閉じるとともに、左右に2分されている助手席側フットダンパで助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断することにより、助手席側に向うフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができる。従って、既存の空調ユニット内に仕切り板、サブダンパを追加するとともに、フットダンパを左右に2分するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用空調装置によると、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右エアミックスダンパを独立して駆動することにより、左右別々に温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内へと吹出し、運転席側および助手席側を独立して空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合、サブダンパにより助手席側温風流路を閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側に向う温風流路および冷風流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができるため、既存の空調ユニット内にサブダンパを追加するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、従って、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の車両用空調装置によると、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右に2分されているフットダンパを一体的に動作させ、エアミックスダンパを介して温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内に吹出すことにより、運転席側および助手席側を同時に空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合、サブダンパによって助手席側フット吹出し流路を閉じるとともに、左右に2分されている助手席側フットダンパで助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断することにより、助手席側に向うフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができるため、既存の空調ユニット内に仕切り板、サブダンパを追加するとともに、フットダンパを左右に2分するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、従って、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図2】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図3】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフェイスモード時の縦断面図である。
【図4】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図5】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図6】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフットモード時の縦断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図8】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図9】図8におけるA矢視図である。
【図10】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフェイスモード時の縦断面図である。
【図11】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図12】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図13】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフットモード時の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図6を用いて説明する。
図1、図2には、本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側および助手席側の通常フェイスモード時の縦断面図が示されている。
車両用空調装置1は、運転席側と助手席側とを独立して温調することができる左右独立温調方式の車両用空調装置1とされており、空調ユニット(HVACユニット;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)2を構成する上下、左右に分割された複数の分割ケースを組み立てることにより一体化されたユニットケース3を備えている。
【0019】
ユニットケース3の上流部には、図示省略されたブロアユニットが接続される開口部が形成されており、その内部には、ユニットケース3の下流部に形成されている後述する仕切り板9によって仕切られている左右のデフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bに連なる空気流路4が形成されている。空気流路4の上流部位には、図示省略の冷凍サイクルを構成し、冷媒が循環されるエバポレータ8が配設され、ブロアユニットから送られてくる空気を冷媒と熱交換させて冷却できるように構成されている。
【0020】
エバポレータ8の下流側において空気流路4は、仕切り板9によって運転席側および助手席側に対応する少なくとも左右2つの空気流路4A,4Bに仕切られている。また、左右に2分された空気流路4A,4Bは、エバポレータ8の下流側でエンジン冷却水が循環されるヒータコア10が配設されている温風流路11A,11Bと、ヒータコア10をバイパスする冷風流路12A,12Bと、に分岐されており、これらの流路11A,11Bおよび12A,12Bには、分岐部に設けられている左右2つのエアミックスダンパ13A,13Bを介して調整された流量割合の空気流が流通されるように構成されている。
【0021】
温風流路11A,11Bと冷風流路12A,12Bは、それぞれ左右エアミックスダンパ13A,13Bの下流域に形成されているエアミックス域14A,14Bで合流された後、エアミックス域14A,14Bを経てその下流側のデフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bに連なっている。デフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6B間には、デフ吹出し流路5A,5Bとフェイス吹出し流路6A,6Bとを開閉するデフ/フェイスダンパ15が回動自在に設けられ、フット吹出し流路7A,7Bの入り口部には、フット吹出し流路7A,7Bとデフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6Bへの流路とを開閉するフットダンパ16が回動自在に設けられている。
【0022】
さらに、本実施形態においては、図2に示されているように、助手席側に対応した温風流路11Bのエアミックス域14Bへの出口部付近に、温風流路11Bを開閉可能なサブダンパ17が設けられている。このサブダンパ17は、一端側に一体形成されている回転軸18が仕切り板9に設けられている軸受部に回転自在に支持され、図示省略の駆動モータあるいはリンク機構等を介して回動可能とされている。なお、運転席側に対応したエアミックスダンパ13Aには、温風流路11A内に延長され、最大冷房時(MAX COOL)に温風流路11Aを閉じるサブダンパ19を一体的に設けた構成としてもよい。
【0023】
斯くして、本実施形態によれば、車両用空調装置1の運転時、運転席側および助手席側の設定温度に応じて左右のエアミックスダンパ13A,13Bを独立して駆動させることにより、左右別々に温度調整することができる。そして、この空調風をデフ/フェイスダンパ15およびフットダンパ16を介して、デフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bのいずれかに選択的に流通させ、各流路に接続されているダクトを経て各々の吹出し口から車室内へと吹出すことができる。
【0024】
この空調風の車室内への吹出しモードは、デフ/フェイスダンパ15およびフットダンパ16の切替えにより、デフ吹出し流路5A,5Bを経て車室内に吹出すデフモード、フェイス吹出し流路6A,6Bを経て車室内に吹出すフェイスモード、フット吹出し流路7A,7Bを経て車室内に吹出すフットモード、デフ吹出し流路5A,5Bおよびフット吹出し流路7A,7Bの双方から車室内に吹出すデフ/フットモード、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bの双方から車室内に吹出すバイレベルモード等の吹出しモードが任意に選択可能とされている。
【0025】
図1には、運転席側の通常フェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の状態が示されている。この場合、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12Aを経てフェイス吹出し流路6Aに至り、このフェイス吹出し流路6Aが連通されているフェイス吹出し口から運転席側乗員に向って吹出されることになる。一方、図2には、同じフェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の助手席側の状態が示されており、この場合も、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12Bを経てフェイス吹出し流路6Bに至り、このフェイス吹出し流路6Bが連通されているフェイス吹出し口から助手席側乗員に向って吹出されることになる。この際、サブダンパ17により、温風流路11Bの出口部を閉じておくことが望ましい。
【0026】
一方、上記のフェイスモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図3に示されるように、助手席側に対応したエアミックスダンパ13Bを最大暖房位置(MAX HOT位置)とするとともに、サブダンパ17により温風流路11Bを全閉するようにしている。このため、助手席側に対応したフェイス吹出し流路6Bへの冷風流路が完全に遮断されるようになり、助手席側に対応した全ての吹出し口からの冷風の吹出しを停止することができる。
【0027】
また、図4ないし図6には、フットモードでの状態が示されている。
図4は、運転席側の通常フットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の状態を示しており、この場合、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11Aを経てフット吹出し流路7Aに至り、このフット吹出し流路7Aが連通されているフット吹出し口から運転席側乗員の足元に向って吹出されることになる。一方、図5には、同じフットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の助手席側の状態が示されており、この場合、サブダンパ17が全開とされているため、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11Bを経てフット吹出し流路7Bに至り、このフット吹出し流路7Bが連通されているフット吹出し口から助手席側乗員の足元に向って吹出されることになる。
【0028】
このフットモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図6に示されるように、助手席側に対応したエアミックスダンパ13Bを最大暖房位置(MAX HOT位置)に維持したまま、サブダンパ17を閉じて温風流路11Bを全閉状態とする。これによって、助手席側に対応したフット吹出し流路7Bへの温風流路を完全に遮断することができるため、助手席側に対応した全ての吹出し口からの温風の吹出しを停止することができる。
【0029】
このように、本実施形態によると、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパ17を開状態とし、左右エアミックスダンパ13A,13Bを独立して駆動することにより、左右別々に温調された温調風をデフ/フェイスダンパ15およびフットダンパ16等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内へと吹出し、運転席側および助手席側を独立して空調することができ、また、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への温調風の吹出しを停止する場合は、サブダンパ17により助手席側の温風流路11Bを閉じるとともに、助手席側のエアミックスダンパ13Bを最大暖房位置(MAX HOT位置)とすることによって、助手席側に向う温風流路および冷風流路の双方を完全に遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの温調風の吹出しを停止することができる。
【0030】
従って、既存のHVACユニット2内にサブダンパ17を追加するだけで、助手席側の空調を止め、運転席側優先の空調を実現することができ、吹出しグリルやダクト等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。また、フェイス吹出し口およびフット吹出し口の双方からの空調風の吹出しを停止できるため、その効果をより拡大することができる。
【0031】
また、サブダンパ17は、助手席側温風流路11Bがエアミックスダンパ13B下流側のエアミックス域14Bと合流する直前の該温風流路11Bの出口部付近に設けられているため、助手席側温風流路11Bの出口部にサブダンパ17が設けられることによる空調性能への影響を略皆無とすることができる。つまり、この温風流路11Bの出口部は、元々エアミックスダンパと一体をなすサブダンパにより最大冷房時(MAX COOL)に閉じるように構成されていた部分であり、該サブダンパ17を独立して開閉可能に設置しただけの構成に相当するため、該ダンパ17が空調風の流れやエアミックス性に影響を及ぼすことはなく、既存ユニットの空調性能をそのまま維持することができ、基本構造を変更することなく容易に実用化することができる。
【0032】
さらに、上記サブダンパ17の回転軸18が、仕切り板9に設けられている軸受部により支持されるようになっているため、サブダンパ17を設ける際のユニット1側の構造変更を最小限に抑えることができ、従って、従来方式に比べ、助手席側の空調を停止できるようにするための機構を十分に簡素化、低コスト化することができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図7ないし図13を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、いわゆるシングルゾーンタイプの車両用空調装置に適用したものである点が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、第1実施形態に対して、エバポレータ8の下流側で空気流路4を左右に仕切っていた仕切り板9が設けられておらず、従って、空気流路4は、1系路の空気流路4とされ、同様に、温風流路11、冷風流路12およびエアミックス域14も1系路とされているとともに、エアミックスダンパ13も1枚とされている。
【0034】
ただし、空気流路4の下流に連なっているデフ吹出し流路、フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路には、仕切り板20が設けられており、これらの流路は、それぞれ左右2つのデフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bに仕切られている。このデフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6B間には、デフ吹出し流路5A,5Bとフェイス吹出し流路6A,6Bとを開閉するデフ/フェイスダンパ15が回動自在に設けられている。また、フット吹出し流路7A,7Bの入り口部には、フット吹出し流路7A,7Bとデフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6Bへの流路とを開閉するためのフットダンパが回動自在に設けられているが、該フットダンパは、左右2つのフットダンパ16A,16Bに分離され、独立して回動可能とされている。
【0035】
さらに、左右に仕切られているフット吹出し流路7A,7Bの助手席側に対応したフット吹出し流路7Bには、該フット吹出し流路7Bを開閉可能なサブダンパ21が設けられた構成とされている。なお、上記エアミックスダンパ13には、温風流路11内に延長され、最大冷房時(MAX COOL)に温風流路11を閉じるサブダンパ19を一体的に設けた構成としてもよい。
【0036】
図7には、運転席側の通常フェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の状態が示されている。この場合、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12を経てフェイス吹出し流路6Aに至り、このフェイス吹出し流路6Aが連通されているフェイス吹出し口から運転席側乗員に向って吹出されることになる。一方、図8には、同じフェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の助手席側の状態が示されており、この場合も、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12を経てフェイス吹出し流路6Bに至り、このフェイス吹出し流路6Bが連通されているフェイス吹出し口から助手席側乗員に向って吹出されることになる。この際、フット吹出し流路7A,7Bは、フットダンパ16A,16Bで閉鎖されており、サブダンパ21は開状態とされている。
【0037】
一方、上記のフェイスモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図10に示されるように、助手席側に対応したフットダンパ16Bによりフェイス吹出し流路6Bを閉鎖するとともに、サブダンパ21により助手席側のフット吹出し流路7Bを全閉するようにしている。これによって、助手席側に対応したフェイス吹出し流路6Bおよびフット吹出し流路7Bへの冷風流路が完全に遮断されるようになり、助手席側に対応した全ての吹出し口からの冷風の吹出しを停止することができる。
【0038】
また、図11ないし図13には、フットモードでの状態が示されている。
図11は、運転席側の通常フットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の状態を示しており、この場合、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11を経てフット吹出し流路7Aに至り、このフット吹出し流路7Aが連通されているフット吹出し口から運転席側乗員の足元に向って吹出されることになる。一方、図12には、同じフットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の助手席側の状態が示されており、この場合、サブダンパ21が全開とされているため、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11を経てフット吹出し流路7Bに至り、このフット吹出し流路7Bが連通されているフット吹出し口から助手席側乗員の足元に向って吹出されることになる。
【0039】
このフットモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図13に示されるように、フットダンパ16A,16Bをフットモード位置に維持したまま、サブダンパ21を閉じて助手席側フット吹出し流路7Bを全閉状態とする。これによって、助手席側に対応したフェイス吹出し流路6Bおよびフット吹出し流路7Bへの温風流路を完全に遮断することができるため、助手席側に対応した全ての吹出し口からの温風の吹出しを停止することができる。
【0040】
従って、本実施形態によっても、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパ21を開とし、左右に2分されているフットダンパ16A,16Bを一体的に動作させ、エアミックスダンパ13を介して温調された温調風をフェイスダンパ15およびフットダンパ16A,16B等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内に吹出すことにより、運転席側および助手席側を同時に空調することができ、また、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、サブダンパ21によって助手席側フット吹出し流路7Bを閉じるとともに、左右に2分されている助手席側フットダンパ16Bで助手席側フェイス吹出し流路6Bへの流れを遮断することにより、助手席側に向うフェイス吹出し流路6Bおよびフット吹出し流路7Bの双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができる。
【0041】
従って、既存の空調ユニット1内に、仕切り板20およびサブダンパ21を追加するとともに、フットダンパを左右のフットダンパ16A,16Bに2分するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる等、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記第1実施形態では、左右独立温調方式の車両用空調装置の例について説明したが、助手席側だけでなく、後方席側にHVACユニットで温調した空調風を送風し、後方席側についても独立して空調できるようにした車両用空調装置にも同様に適用することができる。なお、この場合は、空気流路4やエアミックスダンパが後方席用にも分けられるとともに、温風流路に後方席用のサブダンパが設けられることになることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
1 車両用空調装置
2 空調ユニット(HVACユニット)
4,4A,4B 空気流路
6A,6B フェイス吹出し流路
7A,7B フット吹出し流路
8 エバポレータ
9 仕切り板
10 ヒータコア
11,11A,11B 温風流路
12,12A,12B 冷風流路
13,13A,13B エアミックスダンパ
14,14A,14B エアミックス域
15 デフ/フェイスダンパ
16,16A,16B フットダンパ
17 サブダンパ
18 回転軸
20 仕切り板
21 サブダンパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席以外に乗員が乗っていない場合に、それらの席に向けての空調風の吹出しを停止することが可能な車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置において、運転席以外の席に乗員が乗っていない場合、それらの席に向けての空調風の吹出しを停止し、運転席を優先的に空調するようにした車両用空調装置が従来から知られている。例えば、特許文献1には、乗員の有無を検知し、乗員がいないことが検知されると、対応する吹出し口に設置されている風向調整手段を介して、該吹出し口からの空調風の吹出しを停止するようにしたものが開示され、特許文献2には、中央吹出し口および側方吹出し口に連なるダクト中に各々ダンパを設け、乗員がいないことが検知された場合、該ダンパを閉じることによって、助手席側の中央および側方吹出し口からの空調風の吹出しを停止するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4457505号公報
【特許文献2】特開2005−145327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2のものでは、吹出し口毎に、あるいはダクト毎に風向調整手段やダンパを設け、空調風の吹出しを停止できるようにしなければならず、吹出しグリルやダクトの構成が、徒に複雑化、大型化してしまうという問題があり、コストアップや設置スペースの増大を招く等の課題があった。つまり、吹出し口毎やダクト毎に対応しようとすると、例えば助手席側だけでも、一般に中央フェイス吹出し口および側方フェイス吹出し口の2つの吹出し口以外にフット吹出し口があり、それぞれに風向調整手段やダンパを設けて空調風の吹出しを停止できるようにしなければならなかった。
【0005】
特に、フット吹出し口には、風向調整手段等を設けていないのが通常であり、フット吹出し口からの空調風の吹出しを停止しようとすると、専用の調整手段やダンパを追加しなければならず、上記課題がますます顕著化することになる。このため、特許文献1,2に示されたものにおいても、フット吹出し口からの空調風の吹出しについては、特段の対策が施されていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、既存の空調ユニット内にサブダンパを追加するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の車両用空調装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる車両用空調装置は、空調ユニット内に形成される空気流路のエバポレータよりも下流側の流路が仕切り板によって少なくとも左右に2分されているとともに、各々の流路に独立して駆動されるエアミックスダンパが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置において、助手席側の温風流路のヒータコア後流側に、該助手席側温風流路を開閉可能なサブダンパが設けられ、該サブダンパを閉じるとともに、前記助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、少なくとも左右に2分されている空気流路の各々に独立して駆動されるエアミックスダンパが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置において、助手席側の温風流路のヒータコア後流側に、該助手席側温風流路を開閉可能なサブダンパが設けられ、該サブダンパを閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされているため、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右のエアミックスダンパを独立して駆動することにより、左右別々に温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内へと吹出し、運転席側および助手席側を独立して空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、サブダンパにより助手席側の温風流路を閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側に向う温風流路および冷風流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができる。従って、既存の空調ユニット内にサブダンパを追加するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、グリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上記の車両用空調装置において、前記サブダンパは、前記助手席側温風流路が前記エアミックスダンパ下流側のエアミックス域と合流する直前の該温風流路出口部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、サブダンパが、助手席側温風流路がエアミックスダンパ下流側のエアミックス域と合流する直前の該温風流路出口部に設けられているため、助手席側温風流路の出口部にサブダンパが設けられることによる空調性能への影響を略皆無とすることができる。つまり、この温風流路出口部は、元々エアミックスダンパと一体をなすサブダンパにより最大冷房時(MAX COOL)に閉じるように構成されていた部分であり、該サブダンパを独立して開閉可能に設置しただけの構成に相当するため、該ダンパが温調風の流れやエアミックス性に影響を及ぼすことはなく、既存ユニットの空調性能をそのまま維持することができ、基本構造を変更することなく容易に実用化することができる。
【0011】
さらに、本発明の車両用空調装置は、上述のいずれかの車両用空調装置において、前記サブダンパの回転軸は、前記仕切り板に設けられている軸受部により支持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、サブダンパの回転軸が、仕切り板に設けられている軸受部により支持されているため、サブダンパを設ける際のユニット側の構造変更を最小限に抑えることができ、従って、従来方式に比べ、助手席側の空調を停止できるようにするための機構を十分に簡素化、低コスト化することができる。
【0013】
さらに、本発明にかかる車両用空調装置は、空調ユニット内に形成される空気流路中にエバポレータ、エアミックスダンパおよびヒータコアが配設され、前記エアミックスダンパの下流側にフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路が形成されているとともに、該フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路にフェイスダンパおよびフットダンパが設けられている車両用空調装置において、前記フェイス吹出し流路および前記フット吹出し流路が仕切り板によって左右に仕切られ、その助手席側フット吹出し流路に該吹出し流路を開閉可能なサブダンパが設けられるとともに、前記フットダンパが左右に2分され、該助手席側フットダンパで前記仕切り板により仕切られた前記助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断し、前記サブダンパで前記助手席側フット吹出し流路を閉じることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、いわゆるシングルゾーン方式の車両用空調装置において、フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路が仕切り板によって左右に仕切られ、その助手席側フット吹出し流路に該吹出し流路を開閉可能なサブダンパが設けられるとともに、フットダンパが左右に2分され、該助手席側フットダンパで仕切り板により仕切られた助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断し、サブダンパで助手席側フット吹出し流路を閉じることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされているため、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右に2分されているフットダンパを一体的に動作させ、エアミックスダンパを介して温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内に吹出すことにより、運転席側および助手席側を同時に空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、サブダンパによって助手席側フット吹出し流路を閉じるとともに、左右に2分されている助手席側フットダンパで助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断することにより、助手席側に向うフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができる。従って、既存の空調ユニット内に仕切り板、サブダンパを追加するとともに、フットダンパを左右に2分するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用空調装置によると、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右エアミックスダンパを独立して駆動することにより、左右別々に温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内へと吹出し、運転席側および助手席側を独立して空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合、サブダンパにより助手席側温風流路を閉じるとともに、助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側に向う温風流路および冷風流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができるため、既存の空調ユニット内にサブダンパを追加するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、従って、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の車両用空調装置によると、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパを開状態とし、左右に2分されているフットダンパを一体的に動作させ、エアミックスダンパを介して温調された空調風をフェイスダンパ、フットダンパ等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内に吹出すことにより、運転席側および助手席側を同時に空調することができる。一方、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合、サブダンパによって助手席側フット吹出し流路を閉じるとともに、左右に2分されている助手席側フットダンパで助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断することにより、助手席側に向うフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路の双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができるため、既存の空調ユニット内に仕切り板、サブダンパを追加するとともに、フットダンパを左右に2分するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、従って、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図2】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図3】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフェイスモード時の縦断面図である。
【図4】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図5】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図6】図1に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフットモード時の縦断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図8】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フェイスモード時の縦断面図である。
【図9】図8におけるA矢視図である。
【図10】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフェイスモード時の縦断面図である。
【図11】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図12】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の通常フットモード時の縦断面図である。
【図13】図7に示す車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した助手席側の空調を停止したフットモード時の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図6を用いて説明する。
図1、図2には、本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の空調ユニットを左右に2分した運転席側および助手席側の通常フェイスモード時の縦断面図が示されている。
車両用空調装置1は、運転席側と助手席側とを独立して温調することができる左右独立温調方式の車両用空調装置1とされており、空調ユニット(HVACユニット;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)2を構成する上下、左右に分割された複数の分割ケースを組み立てることにより一体化されたユニットケース3を備えている。
【0019】
ユニットケース3の上流部には、図示省略されたブロアユニットが接続される開口部が形成されており、その内部には、ユニットケース3の下流部に形成されている後述する仕切り板9によって仕切られている左右のデフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bに連なる空気流路4が形成されている。空気流路4の上流部位には、図示省略の冷凍サイクルを構成し、冷媒が循環されるエバポレータ8が配設され、ブロアユニットから送られてくる空気を冷媒と熱交換させて冷却できるように構成されている。
【0020】
エバポレータ8の下流側において空気流路4は、仕切り板9によって運転席側および助手席側に対応する少なくとも左右2つの空気流路4A,4Bに仕切られている。また、左右に2分された空気流路4A,4Bは、エバポレータ8の下流側でエンジン冷却水が循環されるヒータコア10が配設されている温風流路11A,11Bと、ヒータコア10をバイパスする冷風流路12A,12Bと、に分岐されており、これらの流路11A,11Bおよび12A,12Bには、分岐部に設けられている左右2つのエアミックスダンパ13A,13Bを介して調整された流量割合の空気流が流通されるように構成されている。
【0021】
温風流路11A,11Bと冷風流路12A,12Bは、それぞれ左右エアミックスダンパ13A,13Bの下流域に形成されているエアミックス域14A,14Bで合流された後、エアミックス域14A,14Bを経てその下流側のデフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bに連なっている。デフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6B間には、デフ吹出し流路5A,5Bとフェイス吹出し流路6A,6Bとを開閉するデフ/フェイスダンパ15が回動自在に設けられ、フット吹出し流路7A,7Bの入り口部には、フット吹出し流路7A,7Bとデフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6Bへの流路とを開閉するフットダンパ16が回動自在に設けられている。
【0022】
さらに、本実施形態においては、図2に示されているように、助手席側に対応した温風流路11Bのエアミックス域14Bへの出口部付近に、温風流路11Bを開閉可能なサブダンパ17が設けられている。このサブダンパ17は、一端側に一体形成されている回転軸18が仕切り板9に設けられている軸受部に回転自在に支持され、図示省略の駆動モータあるいはリンク機構等を介して回動可能とされている。なお、運転席側に対応したエアミックスダンパ13Aには、温風流路11A内に延長され、最大冷房時(MAX COOL)に温風流路11Aを閉じるサブダンパ19を一体的に設けた構成としてもよい。
【0023】
斯くして、本実施形態によれば、車両用空調装置1の運転時、運転席側および助手席側の設定温度に応じて左右のエアミックスダンパ13A,13Bを独立して駆動させることにより、左右別々に温度調整することができる。そして、この空調風をデフ/フェイスダンパ15およびフットダンパ16を介して、デフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bのいずれかに選択的に流通させ、各流路に接続されているダクトを経て各々の吹出し口から車室内へと吹出すことができる。
【0024】
この空調風の車室内への吹出しモードは、デフ/フェイスダンパ15およびフットダンパ16の切替えにより、デフ吹出し流路5A,5Bを経て車室内に吹出すデフモード、フェイス吹出し流路6A,6Bを経て車室内に吹出すフェイスモード、フット吹出し流路7A,7Bを経て車室内に吹出すフットモード、デフ吹出し流路5A,5Bおよびフット吹出し流路7A,7Bの双方から車室内に吹出すデフ/フットモード、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bの双方から車室内に吹出すバイレベルモード等の吹出しモードが任意に選択可能とされている。
【0025】
図1には、運転席側の通常フェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の状態が示されている。この場合、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12Aを経てフェイス吹出し流路6Aに至り、このフェイス吹出し流路6Aが連通されているフェイス吹出し口から運転席側乗員に向って吹出されることになる。一方、図2には、同じフェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の助手席側の状態が示されており、この場合も、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12Bを経てフェイス吹出し流路6Bに至り、このフェイス吹出し流路6Bが連通されているフェイス吹出し口から助手席側乗員に向って吹出されることになる。この際、サブダンパ17により、温風流路11Bの出口部を閉じておくことが望ましい。
【0026】
一方、上記のフェイスモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図3に示されるように、助手席側に対応したエアミックスダンパ13Bを最大暖房位置(MAX HOT位置)とするとともに、サブダンパ17により温風流路11Bを全閉するようにしている。このため、助手席側に対応したフェイス吹出し流路6Bへの冷風流路が完全に遮断されるようになり、助手席側に対応した全ての吹出し口からの冷風の吹出しを停止することができる。
【0027】
また、図4ないし図6には、フットモードでの状態が示されている。
図4は、運転席側の通常フットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の状態を示しており、この場合、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11Aを経てフット吹出し流路7Aに至り、このフット吹出し流路7Aが連通されているフット吹出し口から運転席側乗員の足元に向って吹出されることになる。一方、図5には、同じフットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の助手席側の状態が示されており、この場合、サブダンパ17が全開とされているため、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11Bを経てフット吹出し流路7Bに至り、このフット吹出し流路7Bが連通されているフット吹出し口から助手席側乗員の足元に向って吹出されることになる。
【0028】
このフットモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図6に示されるように、助手席側に対応したエアミックスダンパ13Bを最大暖房位置(MAX HOT位置)に維持したまま、サブダンパ17を閉じて温風流路11Bを全閉状態とする。これによって、助手席側に対応したフット吹出し流路7Bへの温風流路を完全に遮断することができるため、助手席側に対応した全ての吹出し口からの温風の吹出しを停止することができる。
【0029】
このように、本実施形態によると、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパ17を開状態とし、左右エアミックスダンパ13A,13Bを独立して駆動することにより、左右別々に温調された温調風をデフ/フェイスダンパ15およびフットダンパ16等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内へと吹出し、運転席側および助手席側を独立して空調することができ、また、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への温調風の吹出しを停止する場合は、サブダンパ17により助手席側の温風流路11Bを閉じるとともに、助手席側のエアミックスダンパ13Bを最大暖房位置(MAX HOT位置)とすることによって、助手席側に向う温風流路および冷風流路の双方を完全に遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの温調風の吹出しを停止することができる。
【0030】
従って、既存のHVACユニット2内にサブダンパ17を追加するだけで、助手席側の空調を止め、運転席側優先の空調を実現することができ、吹出しグリルやダクト等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる。また、フェイス吹出し口およびフット吹出し口の双方からの空調風の吹出しを停止できるため、その効果をより拡大することができる。
【0031】
また、サブダンパ17は、助手席側温風流路11Bがエアミックスダンパ13B下流側のエアミックス域14Bと合流する直前の該温風流路11Bの出口部付近に設けられているため、助手席側温風流路11Bの出口部にサブダンパ17が設けられることによる空調性能への影響を略皆無とすることができる。つまり、この温風流路11Bの出口部は、元々エアミックスダンパと一体をなすサブダンパにより最大冷房時(MAX COOL)に閉じるように構成されていた部分であり、該サブダンパ17を独立して開閉可能に設置しただけの構成に相当するため、該ダンパ17が空調風の流れやエアミックス性に影響を及ぼすことはなく、既存ユニットの空調性能をそのまま維持することができ、基本構造を変更することなく容易に実用化することができる。
【0032】
さらに、上記サブダンパ17の回転軸18が、仕切り板9に設けられている軸受部により支持されるようになっているため、サブダンパ17を設ける際のユニット1側の構造変更を最小限に抑えることができ、従って、従来方式に比べ、助手席側の空調を停止できるようにするための機構を十分に簡素化、低コスト化することができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図7ないし図13を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、いわゆるシングルゾーンタイプの車両用空調装置に適用したものである点が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、第1実施形態に対して、エバポレータ8の下流側で空気流路4を左右に仕切っていた仕切り板9が設けられておらず、従って、空気流路4は、1系路の空気流路4とされ、同様に、温風流路11、冷風流路12およびエアミックス域14も1系路とされているとともに、エアミックスダンパ13も1枚とされている。
【0034】
ただし、空気流路4の下流に連なっているデフ吹出し流路、フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路には、仕切り板20が設けられており、これらの流路は、それぞれ左右2つのデフ吹出し流路5A,5B、フェイス吹出し流路6A,6Bおよびフット吹出し流路7A,7Bに仕切られている。このデフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6B間には、デフ吹出し流路5A,5Bとフェイス吹出し流路6A,6Bとを開閉するデフ/フェイスダンパ15が回動自在に設けられている。また、フット吹出し流路7A,7Bの入り口部には、フット吹出し流路7A,7Bとデフ吹出し流路5A,5Bおよびフェイス吹出し流路6A,6Bへの流路とを開閉するためのフットダンパが回動自在に設けられているが、該フットダンパは、左右2つのフットダンパ16A,16Bに分離され、独立して回動可能とされている。
【0035】
さらに、左右に仕切られているフット吹出し流路7A,7Bの助手席側に対応したフット吹出し流路7Bには、該フット吹出し流路7Bを開閉可能なサブダンパ21が設けられた構成とされている。なお、上記エアミックスダンパ13には、温風流路11内に延長され、最大冷房時(MAX COOL)に温風流路11を閉じるサブダンパ19を一体的に設けた構成としてもよい。
【0036】
図7には、運転席側の通常フェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の状態が示されている。この場合、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12を経てフェイス吹出し流路6Aに至り、このフェイス吹出し流路6Aが連通されているフェイス吹出し口から運転席側乗員に向って吹出されることになる。一方、図8には、同じフェイスモードでの最大冷房時(MAX COOL)の助手席側の状態が示されており、この場合も、エバポレータ8で冷却された冷風の全量が冷風流路12を経てフェイス吹出し流路6Bに至り、このフェイス吹出し流路6Bが連通されているフェイス吹出し口から助手席側乗員に向って吹出されることになる。この際、フット吹出し流路7A,7Bは、フットダンパ16A,16Bで閉鎖されており、サブダンパ21は開状態とされている。
【0037】
一方、上記のフェイスモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図10に示されるように、助手席側に対応したフットダンパ16Bによりフェイス吹出し流路6Bを閉鎖するとともに、サブダンパ21により助手席側のフット吹出し流路7Bを全閉するようにしている。これによって、助手席側に対応したフェイス吹出し流路6Bおよびフット吹出し流路7Bへの冷風流路が完全に遮断されるようになり、助手席側に対応した全ての吹出し口からの冷風の吹出しを停止することができる。
【0038】
また、図11ないし図13には、フットモードでの状態が示されている。
図11は、運転席側の通常フットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の状態を示しており、この場合、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11を経てフット吹出し流路7Aに至り、このフット吹出し流路7Aが連通されているフット吹出し口から運転席側乗員の足元に向って吹出されることになる。一方、図12には、同じフットモードでの最大暖房時(MAX HOT)の助手席側の状態が示されており、この場合、サブダンパ21が全開とされているため、ヒータコア10で加熱された温風の全量が温風流路11を経てフット吹出し流路7Bに至り、このフット吹出し流路7Bが連通されているフット吹出し口から助手席側乗員の足元に向って吹出されることになる。
【0039】
このフットモード時、助手席側に乗員が乗っておらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、乗員の有無を検知して自動的にもしくは手動により、図13に示されるように、フットダンパ16A,16Bをフットモード位置に維持したまま、サブダンパ21を閉じて助手席側フット吹出し流路7Bを全閉状態とする。これによって、助手席側に対応したフェイス吹出し流路6Bおよびフット吹出し流路7Bへの温風流路を完全に遮断することができるため、助手席側に対応した全ての吹出し口からの温風の吹出しを停止することができる。
【0040】
従って、本実施形態によっても、運転席側および助手席側の双方に空調風を吹出す通常運転時には、サブダンパ21を開とし、左右に2分されているフットダンパ16A,16Bを一体的に動作させ、エアミックスダンパ13を介して温調された温調風をフェイスダンパ15およびフットダンパ16A,16B等により選択された任意の吹出しモードに従って、運転席側および助手席側のフェイス吹出し口、フット吹出し口等から車室内に吹出すことにより、運転席側および助手席側を同時に空調することができ、また、助手席側に乗員がおらず、助手席側への空調風の吹出しを停止する場合には、サブダンパ21によって助手席側フット吹出し流路7Bを閉じるとともに、左右に2分されている助手席側フットダンパ16Bで助手席側フェイス吹出し流路6Bへの流れを遮断することにより、助手席側に向うフェイス吹出し流路6Bおよびフット吹出し流路7Bの双方を遮断し、助手席側のフェイス吹出し口およびフット吹出し口等からの空調風の吹出しを停止することができる。
【0041】
従って、既存の空調ユニット1内に、仕切り板20およびサブダンパ21を追加するとともに、フットダンパを左右のフットダンパ16A,16Bに2分するだけで、助手席側の空調を停止し、運転席側優先の空調を実現することができ、吹出しグリルやダクト構成等の簡素化、低コスト化、省設置スペース化等を図ることができるとともに、乗員がいない席の空調を停止することにより省動力化を図ることができる等、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記第1実施形態では、左右独立温調方式の車両用空調装置の例について説明したが、助手席側だけでなく、後方席側にHVACユニットで温調した空調風を送風し、後方席側についても独立して空調できるようにした車両用空調装置にも同様に適用することができる。なお、この場合は、空気流路4やエアミックスダンパが後方席用にも分けられるとともに、温風流路に後方席用のサブダンパが設けられることになることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
1 車両用空調装置
2 空調ユニット(HVACユニット)
4,4A,4B 空気流路
6A,6B フェイス吹出し流路
7A,7B フット吹出し流路
8 エバポレータ
9 仕切り板
10 ヒータコア
11,11A,11B 温風流路
12,12A,12B 冷風流路
13,13A,13B エアミックスダンパ
14,14A,14B エアミックス域
15 デフ/フェイスダンパ
16,16A,16B フットダンパ
17 サブダンパ
18 回転軸
20 仕切り板
21 サブダンパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ユニット内に形成される空気流路のエバポレータよりも下流側の流路が仕切り板によって少なくとも左右に2分されているとともに、各々の流路に独立して駆動されるエアミックスダンパが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置において、
助手席側の温風流路のヒータコア後流側に、該助手席側温風流路を開閉可能なサブダンパが設けられ、該サブダンパを閉じるとともに、前記助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記サブダンパは、前記助手席側温風流路が前記エアミックスダンパ下流側のエアミックス域と合流する直前の該温風流路出口部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記サブダンパの回転軸は、前記仕切り板に設けられている軸受部により支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
空調ユニット内に形成される空気流路中にエバポレータ、エアミックスダンパおよびヒータコアが配設され、前記エアミックスダンパの下流側にフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路が形成されているとともに、該フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路にフェイスダンパおよびフットダンパが設けられている車両用空調装置において、
前記フェイス吹出し流路および前記フット吹出し流路が仕切り板によって左右に仕切られ、その助手席側フット吹出し流路に該吹出し流路を開閉可能なサブダンパが設けられるとともに、前記フットダンパが左右に2分され、該助手席側フットダンパで前記仕切り板により仕切られた前記助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断し、前記サブダンパで前記助手席側フット吹出し流路を閉じることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項1】
空調ユニット内に形成される空気流路のエバポレータよりも下流側の流路が仕切り板によって少なくとも左右に2分されているとともに、各々の流路に独立して駆動されるエアミックスダンパが設けられている左右独立温調方式の車両用空調装置において、
助手席側の温風流路のヒータコア後流側に、該助手席側温風流路を開閉可能なサブダンパが設けられ、該サブダンパを閉じるとともに、前記助手席側エアミックスダンパを最大暖房位置とすることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記サブダンパは、前記助手席側温風流路が前記エアミックスダンパ下流側のエアミックス域と合流する直前の該温風流路出口部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記サブダンパの回転軸は、前記仕切り板に設けられている軸受部により支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
空調ユニット内に形成される空気流路中にエバポレータ、エアミックスダンパおよびヒータコアが配設され、前記エアミックスダンパの下流側にフェイス吹出し流路およびフット吹出し流路が形成されているとともに、該フェイス吹出し流路およびフット吹出し流路にフェイスダンパおよびフットダンパが設けられている車両用空調装置において、
前記フェイス吹出し流路および前記フット吹出し流路が仕切り板によって左右に仕切られ、その助手席側フット吹出し流路に該吹出し流路を開閉可能なサブダンパが設けられるとともに、前記フットダンパが左右に2分され、該助手席側フットダンパで前記仕切り板により仕切られた前記助手席側フェイス吹出し流路への流れを遮断し、前記サブダンパで前記助手席側フット吹出し流路を閉じることにより、助手席側吹出し流路からの空調風の吹出しが遮断可能とされていることを特徴とする車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−76683(P2012−76683A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225739(P2010−225739)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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