車両用表示装置
【課題】ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示する車両用表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車両に関する情報を表示する車両用表示装置であって、ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、及び、ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定された複数の情報表示レイアウトのデータを記憶する記憶手段と、ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、ドライバセグメントのデータに基づいて、判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、情報表示レイアウトのデータに基づいて、選定されたドライバセグメントに応じた情報表示レイアウトを選定する情報表示レイアウト選定手段と、その選定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、を有する。
【解決手段】本発明は、車両に関する情報を表示する車両用表示装置であって、ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、及び、ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定された複数の情報表示レイアウトのデータを記憶する記憶手段と、ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、ドライバセグメントのデータに基づいて、判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、情報表示レイアウトのデータに基づいて、選定されたドライバセグメントに応じた情報表示レイアウトを選定する情報表示レイアウト選定手段と、その選定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に係り、特に、車両に関する情報を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、一般に、車室内に設けられたディスプレイやメータ等に車両に関する情報を表示するための車両用表示装置が設けられる。車両に関する情報としては、車速やガソリン残量等のメータ関連の情報や、エアコンやオーディオ等の車載機器の設定内容の情報等が挙げられる。近年、これらのような様々な情報を集中して表示する集中ディスプレイが車両に搭載されることがある。このような集中ディスプレイは、1回の視線移動で多くの情報を得ることが出来、安全性や利便性を高めることが出来るものである。
特許文献1には、車速に応じて表示内容を変更するようにして視認性をより高めるようにした車両用表示装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−136823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ドライバ自身が重要と思う情報は、ドライバによって異なるものである。例えば、オーディオの設定内容を細かく気にするドライバもいれば、音楽が聴ければ良いとだけ思うドライバもいる。前者のドライバにとって、オーディオの設定内容の表示は重要であるが、後者のドライバにとっては重要ではない。また、速度計は情報として必須ではあるが、車は単なる移動手段であると考えるドライバと、信号に引っかからないように車速を細かく気にしながら運転するようなドライバとでは、速度計の重要度も異なる。
【0005】
しかしながら、従来の車両用表示装置は、これらのようなドライバの違いを考慮したものではない。つまり、従来のエアコンやオーディオ等の表示ディスプレイやメータ類などでは、表示する情報をドライバが選択することが出来ないものである。従って、ドライバによっては重要度の低い情報が優先的に提供されていたり、逆に、重要度の高い情報が目立たないという問題があった。
【0006】
このような問題を解決すべく、本発明者は、ドライバによる重要度の認識の違いを研究する中で、運転スタイルやドライバの性格などのドライバの特性が、表示する情報の重要度に関連するという知見を得た。発明者は、そのような知見を基に上述した問題を解決することを試みた。一方、そのようなドライバの特性そのものを評価する手法は一般に知られているが、従来の手法では、非常に多くの質問を提示し且つ各質問に対し複数の評価レベル(例えば、5段階評価)で回答するようになっている。このように非常に多くの質問を提示し且つ複数の段階で回答させるのは、非常に手間がかかるものであり、車載の車両用表示装置に応用するには現実的ではない。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示する車両用表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、車両に関する情報を表示する車両用表示装置であって、ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、及び、ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定された複数の情報表示レイアウトのデータを記憶する記憶手段と、ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、ドライバセグメントのデータに基づいて、判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、情報表示レイアウトのデータに基づいて、選定されたドライバセグメントに応じた情報表示レイアウトを選定する情報表示レイアウト選定手段と、その選定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、情報表示レイアウトは、ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定されている。そして、本発明においては、ドライバセグメントは、ドライバ特性判定手段により判定されたドライバの特性に応じて選定される。従って、ドライバの特性に応じて情報の重要度を考慮した適切な情報表示レイアウトが選定され、情報表示手段は、この情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する。その結果、本発明による車両用表示装置によれば、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0008】
また、上記の目的を達成するために本発明は、車両に関する複数の情報を表示する車両用表示装置であって、ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、それらのドライバセグメント毎に情報の重要度を規定した情報重要度のデータ、及び、情報の重要度と表示レイアウトとの関係を定めたレイアウトルールのデータを記憶する記憶手段と、ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、ドライバセグメントのデータに基づいて、判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、情報重要度のデータ及びレイアウトルールのデータに基づいて、選定されたドライバセグメントに応じた最適な情報表示レイアウトを決定する情報表示レイアウト決定手段と、その決定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、情報表示レイアウトは、ドライバセグメント毎に情報の重要度を規定した情報重要度のデータ、及び、情報の重要度と表示レイアウトとの関係を定めたレイアウトルールのデータに基づいて決定される。そして、本発明においては、ドライバセグメントは、ドライバ特性判定手段により判定されたドライバの特性に応じて選定される。従って、ドライバの特性に応じて情報の重要度を考慮した適切な情報表示レイアウトが決定され、情報表示手段は、この情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する。その結果、本発明による車両用表示装置によれば、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、情報重要度は、車両に関する情報が点数化されて表されると共にその点数に応じてランク分けされて規定されている。
このように構成された本発明においては、効果的に情報の重要度を考慮することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、情報表示レイアウト決定手段は、車両に関する情報のカテゴリ毎に、情報の重要度に応じて情報表示レイアウトを決定する。
このように構成された本発明においては、カテゴリ、例えば、エアコンやオーディオ等毎にレイアウトが決定されるので、カテゴリ毎に情報を表示する場合に、より適切に車両情報を表示することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、レイアウトルールは、情報の重要度に応じて、情報の表示の位置、面積、大きさ、色、及び/又は、画面切り替えを規定したものである。
このように構成された本発明においては、効果的に、ドライバに重要な情報を視認させることが出来る。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、ドライバ特性判定手段は、ドライバの運転行動及び/又は家庭内行動からドライバの特性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性を効果的に判定することが出来る。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、ドライバ特性判定手段は、ドライバに、ドライバの特性に関する質問を提示すると共に回答を入力させ、その入力結果に基づいてドライバの特性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性を効果的に判定することが出来る。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、複数のドライバセグメントは、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性により分類され、ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性によりドライバセグメントを分類している。ここで、ステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性のそれぞれの程度の違いは、車両に関する情報の重要度の認識の違いと大きく関係する。従って、より確実に、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、複数のドライバセグメントを分類するドライバの特性は、情報の重要度に大きく影響を与えるものを決定木分析により予め選定されたものであり、ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として決定木分析により予め選定されたドライバ特性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性は、情報の重要度に大きく影響を与えるものを決定木分析により予め選定されたものであるので、より確実に、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0016】
また、本発明において、好ましくは、ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、複数のドライバセグメントは、2段階評価の組み合わせにより分類され、ドライバ特性判定手段は、複数のドライバの特性をそれぞれ2段階評価により判定する。
このように構成された本発明においては、簡便にドライバの特性及びドライバセグメントを判定することが出来る。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、ドライバの特性に関する質問は、複数のドライバの特性に関して1つづつ設定され且つ2段階評価で回答するものである。
このように構成された本発明においては、簡便にドライバの特性及びドライバセグメントを判定することが出来、さらに、ドライバに対する負担も少ない。
【発明の効果】
【0018】
本発明による車両用表示装置によれば、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来、その結果、表示情報の認知負担が減少し、さらに、使い易さの向上及び安全性の向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の実施形態による車両用表示装置は、エアコン装置等の設定或いは作動状況に関する内容をドライバの特性に応じて異なるレイアウトで表示するなどの機能を有する。
先ず、本発明の第1実施形態による車両用表示装置について説明する。
図1は、第1実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図であり、図2は、第1実施形態による車両用表示装置が搭載された車両のインストルメントパネルの一部を示す図である。
【0020】
図1において、符号1は、車載の車両用表示装置を示している。車両用表示装置1は、制御用CPU2と、このCPU2に接続された集中ディスプレイ4、モニタ画面6、記憶装置8及び操作ボタン10を備えている。また、車両用表示装置1には、エアコン装置12及びオーディオ装置14が接続されている。図2に示すように、インストルメントパネルには、集中ディスプレイ4、モニタ画面6及び操作ボタン10が設けられている。操作ボタン10は、集中ディスプレイ4の表示内容をドライバが切り替えるためのものである。
【0021】
集中ディスプレイ4には、ナビゲーション表示の下方に、エアコン装置12やオーディオ装置14等の情報が表示される。その表示内容は、CPU2によって決定される。CPU2は、後述するように、ドライバの特性に応じてその表示レイアウトを決定し、そのレイアウトに基づいて各情報を集中ディスプレイ4に表示させる。
モニタ画面6は、ドライバが画面に触れることで種々の操作及び入力が可能なタッチパネル式のものである。本実施形態では、ドライバの特性を判定するために、CPU2の機能によりこのモニタ画面6にドライバに対する質問を表示すると共に回答を受け付けるようになっている。
記憶装置8は、ドライバの特性を判定するためのデータ(ドライバ特性判定データ)、ドライバをその特性の違いに基づいて分類したドライバセグメントのデータ(ドライバセグメントデータ)、ドライバセグメント毎の情報の表示重要度のデータ(情報重要度テーブル)、情報の重要度に応じて表示レイアウトを最適化するためのデータ(表示最適化データ)等が記憶されている。
【0022】
次に、図3により、ドライバ特性判定データ及びセグメントデータについて説明する。図3は、ドライバセグメントデータに規定されたドライバの特性とドライバセグメントとの関係を示す図表である。
図3に示すように、本実施形態では、ドライバの特性として、ステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性の3つを判定するようにしている。以下では、これらのような特性を「ドライバ特性」と言う。各ドライバ特性は、その特性の程度が高い「H」、程度が低い「L」の2段階で評価される。ステイタス性とは、ドライバが車をステイタスシンボルとして見ているかどうかの程度を表し、車内環境適合性とは、車内の環境の悪さに対するドライバの負担の感じ方の程度を表し、事前準備性とは、信号に対するドライバの事前準備的或いは予測的な運転をするかどうかの程度を表す。
【0023】
ドライバ特性判定データには、これらのドライバ特性を判定する質問が、各ドライバ特性に対し1つづつ設定されている。本実施形態では、ステイタス性については、「Q1:車は移動手段でとにかく走ればよい」、車内環境適合性については、「Q2:冷房のききすぎなどで、寒すぎるときの運転が負担である」、事前準備性については、「Q3:先の信号にひっかからないように速度調節して運転する」という質問が設定されている。質問はモニタ画面6(図2参照)に表示される。これらの質問に対し、ドライバが、タッチパネル上で「はい」又は「いいえ」のどちらかを回答するようになっており、「はい」、「いいえ」の回答に応じて、「H」又は「L」と判定されるようになっている。
なお、集中ディスプレイ4に質問を表示し、ボタン10の操作や、音声やジョイスティック(ポインタ)により回答しても良い。また、集中ディスプレイにタッチパネルの機能を持たせても良い。さらに、ドライバは、タッチパネル以外にも、また、家庭用PCで質問に対する回答を行った後、インターネットを経由して或いはメモリデバイスを介して車両側にその回答内容を転送しても良い。さらに、携帯電話やPDA上で回答を行い、インターネット経由或いは車内の端末に接続する等して回答内容を転送しても良い。
【0024】
図3に示すように、ドライバセグメントデータには、ドライバ特性の違いにより分類されたドライバセグメントが規定されている。本実施形態では、各ドライバ特性の2段階評価(「H」又は「L」)の組み合わせによりドライバセグメント(「HHH」など)が規定されている。
ここで、各ドライバ特性の2段階評価の組み合わせが異なる場合であっても、表示する情報の重要度がほぼ同じである場合がある。つまり、ドライバ特性の程度が異なるドライバであっても、認識する情報重要度がほぼ同じ場合がある。本実施形態の場合には、車内環境適合性が「L」の場合、事前準備性の判定が違っていても情報の重要度がほとんど変わらなく、一方、ステイタス性の判定の違いにより情報の重要度が大きく変わるものとなっている。そこで、図3に示すように、車内環境適合性が「L」の場合には、事前準備性についての「H」又は「L」の違いにかかわらず、同一のドライバセグメント(「HL」又は「LL」)となるように規定されている。
【0025】
次に、図4により、情報重要度テーブルについて説明する。図4(a)〜(f)は、それぞれ、ドライバセグメント毎に規定された情報重要度テーブルの内容を示す図表である。
図4(a)〜(f)に示すように、情報重要度テーブルは、各ドライバセグメント毎に情報の重要度を規定したものである。吹出口や内外気などの各情報に対して、重要度Pが点数化されている。この情報重要度テーブルでは、重要度Pの点数順に各情報が並べられている。例えば、セグメント「HHH」では、吹出口の表示の重要度が最も高く、順に内外気の表示、ラジオ局の表示と続く。
また、情報重要度テーブルでは、重要度Pの点数に応じてランクRが規定されている。例えば、ランク「A」は、重要度Pが8.0点以上の場合であり、ランク「B」は、8.0点未満6.5点以上である。このようなランクは、ドライバが感じる各情報の重要度の心理的意味合い(「非常に重要である」、「少し重要である」など)を考慮して区分したものである。
図4に示すように、ドライバセグメントが異なれば、各情報に対する重要度Pの値、情報の重要度の順番及びランクが異なることが分かる。例えば、「吹出口」は、セグメント「HHH」では、重要度が9.3点でランクAであるが、セグメント「LHH」では重要度が7.5点でランクBである。
【0026】
次に、図5及び図6により、表示最適化データについて説明する。図5は、表示最適化データのうち、アイコン又は文字の大きさに関する表示ルールを示す図表であり、図6は、表示最適化データのうち、アイコン又は文字の面積配分やカテゴリの表示位置等を示す図表である。
表示最適化データには、情報重要度テーブル(図4参照)に規定された重要度P或いはランクRに応じて情報をどのようなレイアウトで表示するか定めた情報表示レイアウトルールが含まれている。本実施形態では、レイアウトとして、表示する各情報のアイコン或いは文字の「位置」、「大きさ」、「面積」、「色」、さらに、「カテゴリ表示」、「切り替え画面」などが規定されている。
【0027】
アイコン或いは文字の「位置」は、重要度Pの高い程、ドライバ寄りの位置に割り当てられる。上下2段で表示する場合には、重要度Pが高い方が上段に表示される。
「大きさ」は、基本的には、重要度Pが高い程、大きく表示されるようになっている。具体的には、図5に示すようなルールに基づいて決定される。図5に示すように、本実施形態では、アイコンや文字の大きさは、ランクに応じて決定される。ここで、大きさを重要度Pのみで決定すると、重要度Pの高い情報が多いセグメント(例えば、HHH)では、多くの情報が大きく表示され、一方、重要度Pの低い情報が多いセグメント(例えば、LL)では、多くの情報が小さく表示されてしまい、結果的に、いずれのドライバセグメントにおいても、情報の視認性が悪化してしまうことになる。そこで、本実施形態では、図5に示すように、ランクRに応じて大きさを定めることで、表示する情報の全てについてバランスのとれた表示が行われるようにしている。
【0028】
「面積」は、図6(a)及び(b)に示すように、重要度Pの高さに応じて配分される。なお、図6(a)に示すデータは、表示面積の配分をイメージしたものであり、位置を規定したものではない。図6(b)は、代表例として、セグメントLHHのデータの内容を示したものである。
「色」は、重要度Pが高い程、誘目性やコントラスト比が高いものが選定される。
なお、大きさ、面積及び色に関しては、ドライバの視認限界を下回らないように規定されている。
【0029】
表示最適化データには、カテゴリに関するレイアウトルール(カテゴリ表示ルール)も含まれている。カテゴリとは、エアコン、オーディオ、時計などの種別である。具体的には、本実施形態では、図6(a)に示すように、情報がカテゴリ毎にまとめて表示されるように定められている。そして、上述した情報表示レイアウトルールは、各カテゴリ毎に適用されるようになっている。
カテゴリ表示ルールにより、これらのカテゴリの表示領域の位置及び面積配分は、重要度Pの高さに応じて決定される。即ち、図6(a)に示す例はセグメント「LHH」の場合であるが、エアコン関連のカテゴリの重要度Pがオーディオ関連の重要度Pより高いので、エアコン関連の表示領域がオーディオ関連の表示領域よりドライバ寄り且つ大きな面積配分となっている。なお、本実施形態では、重要度が高い時計表示を各ドライバセグメントに共通な基本配置とし、最もドライバ側(運転席側)に配置している。
【0030】
変形例として、カテゴリの違いによらず表示することも可能である。例えば、セグメント「HHH]の場合(図4(a)参照)には、重要度Pの高い順に、例えば、吹出口、内外気、ラジオ局、温度・・・というように、エアコン関連とオーディオ関連の区別無くドライバ寄りの位置から順に表示させても良い(図示せず)。
【0031】
さらに、表示最適化データには、切り替え画面に関するレイアウトルール(切り替え画面ルール)も含まれている。本実施形態では、切り替え画面ルールにより、通常はランクA〜Cの情報の画面(表画面)が表示され、ドライバが操作ボタン10を操作することによりランクDの情報の画面(裏画面)が表示されるようになっている。なお、表画面は、上述した情報表示レイアウトルール及びカテゴリ表示ルールに従って表示される。裏画面は、基本的には、表画面に表示されていた情報のうち、所定の一部の情報の代わりに他の情報が表示されるようになっている。例えば、表画面(図10(a)参照)では、ラジオの周波数やエアコンの設定温度が表示されていた部分に、裏画面(図11)では、音量や外気温が表示される。このような画面切り替えによる表示情報の割り振りは、重要度Pに応じて行われるようになっているので、ドライバセグメント毎に異なることになる。
【0032】
次に、ドライバ特性判定データ、ドライバセグメントデータ及び情報重要度テーブルのデータ構築方法を説明する。
記憶装置8に記憶されているドライバ特性判定データ、ドライバセグメントデータ及び情報重要度テーブルは、実際に数百人のドライバに対して行ったアンケート等により取得したデータ(以下、顧客データという)を基に生成したものである。
顧客データには、数百人のドライバに対して提示したドライバ特性に関する質問及びその回答に関するデータが含まれる。ここで、従来から、運転スタイルや運転負担感受性などに関する20ヶのドライバ特性(20変数)が知られている。それらの特性としては、例えば、上述した3つの特性に加え、運転スキルに対する自信の程度、周囲の交通状況の把握能力の程度、身体拘束に対する耐性の程度等があるが、顧客データには、これらの全てのドライバ特性に関してドライバから得られたデータが含まれる。また、顧客データには、ドライバ毎に、車両の各情報(例えば、エアコンであれば吹出口や温度などの各情報)に対する重要度を点数化したデータが含まれる。
【0033】
ここで、ドライバ特性に応じて情報の表示を最適化する場合、車載端末或いは家庭用端末等で、その実際に運転しようとするドライバ(情報を実際に提供する必要のあるドライバ)の特性を把握する必要がある。ここで、そのような端末において、例えば、上述した20の特性に関してそれぞれ複数の質問を提示し、且つ、例えば5段階評価などの複数の段階評価で回答をさせるようにすれば、ドライバ特性の判定精度を確保し易くなる。しかし、質問数が非常に多くなり、また、5段階評価ではドライバにとって回答が煩雑である。従って、実用的ではなく、ユーザーに受け入れがたいものとなってしまう。
そこで、本実施形態では、エアコンやオーディオの情報の重要度の違いがより明確に現れるドライバ特性を絞り込むと共に、そのようなドライバ特性を判定する質問も絞り込んでいる。
【0034】
先ず、ドライバ特性の絞り込みについて説明する。
本実施形態では、エアコンやオーディオの情報の重要度の違いがより明確に現れるドライバ特性を決定木分析(データマイニング手法)により決定している。即ち、上述した顧客データによれば、どのようなドライバ特性のドライバが、各情報の重要度をどのように捉えているかが分かり、これを決定木分析により解析したのである。
決定木分析による分析結果の一例を図7に示す。図7は、ドライバ数N=196のデータに基づき、エアコンの情報重要度(平均約5.37点と示されている)に影響を大きく与えるドライバ特性を絞り込んだ例である。この図7に示す例では、車内環境に対する適合性が高い「H」と、低い「L」とで、重要度が約5.7点と約4.7点とに分かれていること等が分かる。決定木分析では、このようなドライバ特性の絞り込みを、20のドライバ特性を全て変数として取り上げると共に変数間の組み合わせを考慮しながら、影響度が強いものを段階的に取り込んでいく(絞り込んでいく)方法により行っている。
【0035】
本実施形態では、このような手法により、最もエアコンやオーディオの情報の重要度の違いが現れるドライバ特性として、上述したステイタス性、車内環境適合性、事前準備性に絞り込んでいる。つまり、これらの3つの特性を考慮すれば、エアコンやオーディオの情報重要度の認識が異なるドライバを判別することが出来るのである。
【0036】
次に、ドライバ特性を判定する質問の絞り込みについて説明する。
従来は、上述したステイタス性などのドライバ特性について判定するために、各ドライバ特性に関して複数の質問をドライバに提示していた。さらに、それらの質問に対して5段階評価による回答をドライバに求めていた。例えば、車内環境適合性については、冷房や暖房に関する質問、直射日光に関する質問、ほこりっぽさに関する質問、騒音に関する質問など多岐にわたっており、それぞれ、5段階で負担の感じ方を回答させるようになっていた。そして、各ドライバ特性毎に、回答の点数の平均値を求め、その平均値が、所定のしきい値(既知の値を使用)より高い場合には「H群」、低い場合には「L群」というように特性の程度を評価していた。
これに対し、本実施形態では、上述したように質問をQ1〜Q3の3つに絞り込むと共に「はい」、「いいえ」の2段階で回答させるようにしている。このような質問の絞り込み及び回答方法の変更は、以下に説明するような手法により行っている。
【0037】
先ず、従来の全ての質問に関し、ドライバに、5段階評価と、「はい」、「いいえ」の2段階評価での両方の回答をさせる。ここでは、図8に、車内環境適合性について提示した4つの質問に対する結果を示す。
図8において、Q11、Q12、Q13、Q14は、それぞれ質問を表す。「y群」は、各質問に対して「はい」と回答したドライバについて、5段階評価での点数の平均値を求めたものであり、「n群」は、各質問に対して「いいえ」と回答したドライバについて、5段階評価での点数の平均値を求めたものである。破線は、従来の5段階評価において、車内環境適合性の程度が「高い(H群)」及び「低い(L群)」の境界の点数であり、しきい値となっている。
【0038】
この図8により、Q11の質問に対して、「はい」と回答したy群のドライバの平均値(約3.3点)と、「いいえ」と回答したn群のドライバの平均値(約2.3点)が、公開平均値(2.8点)に対し同じ程度の点数の差(それぞれ約0.5点の差)となっており、5段階評価と2段階評価の相関が他の質問よりも高いことが分かる。
従って、図8に示す場合では、Q11を、車内環境適合性の程度を評価するための質問として選択する(質問の絞り込み)。そして、このQ11について「はい」又は「いいえ」の2段階で回答させることにより、従来の5段階の評価と同等の評価が得られることになる。なお、各質問毎に、統計検定により得られる係数を求め、この係数により5段階評価と2段階評価の相関の程度を比較して質問を選定しても良い。
このように、本実施形態では、質問を絞り込むと共に2段階の回答方式としても、各ドライバ特性の程度の高低を精度良く判定することが出来るようになっている。
【0039】
次に、絞り込んだドライバ特性によるドライバセグメントの規定の手法について説明する。
上述したように、3つドライバ特性を考慮すれば、エアコンやオーディオの情報重要度の認識が異なるものであると判定することが出来る。そして、各ドライバ特性に関し質問は1つづつ設定され且つ「はい」又は「いいえ」の2段階で回答するようになっている。
本実施形態では、「はい」の回答が「H」、「いいえ」の回答が「L」であるとしており、図3に示すように、3つのドライバ特性(3つの質問)に関して、「H」と「L」の組み合わせによりドライバセグメントを定めている。
ここで、上述した決定木分析において、図7に示すように、例えば、車内環境に対する適合性が「L」の場合、その下位で枝分かれが行われない場合がある。このような場合は、他のドライバ特性の影響を受けない場合である。このような決定木分析の結果に従い、本実施形態では、図3に示すように、車内環境適合性が「L」の場合には、事前準備性についての「H」又は「L」のいずれも同一のドライバセグメントとして規定している。
【0040】
次に、情報重要度テーブルの生成の手法について説明する。
図4に示す重要度テーブルは、上述した顧客データを基に生成したものである。顧客データには、上述したように、ドライバ毎に、車両の各情報(例えば、エアコンであれば吹出口や温度などの各情報)に対する重要度を点数化したデータが含まれる。
重要度テーブルの生成にあたっては、先ず、図3に示す関係により、顧客データに含まれる各ドライバについて、それぞれ該当するドライバセグメントを判定する。そして、同一のドライバセグメントに含まれる全てのドライバについて、各情報毎に、評価点の平均値を求めて重要度Pとする。
ランクRは、各情報の重要度の程度を規定したものである。本実施形態では、顧客データを基に、ドライバの認識として「非常に重要」、「かなり重要」、「少し重要」、「あまり重要ではない」といった心理的意味合いが変わる場合に、異なるランクに区分している。
【0041】
次に、どのような情報を最適化して表示するかを説明する。車両に関する情報には、速度計や燃料計などのメータ関連、エアコン関連、オーディオ関連、ナビ関連、運転支援関連(ACC、車線維持など)、時計関連などのカテゴリがある。もちろん、これらのカテゴリの全てをドライバに応じて最適化して表示するようにしても良い。一方、車両に関する情報に対しては、誰もが重要と思う情報、誰もが重要と思わない情報、或いは、重要度の認識の個人差が大きい情報があることが、上述した顧客データから明らかになっている。本実施形態では、重要度の認識の個人差が大きいカテゴリとして、主に、エアコン関連及びオーディオ関連に関して表示を最適化するようにしている。一方、誰もが重要と思う情報は、例えば、どのドライバに対しても目立つように表示すれば良い。
【0042】
次に、図9により、本実施形態の車両用表示装置の主な作用を説明する。図9は、第1実施形態の車両用表示装置による処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、図9に示すように、S1において、ドライバ特性判定データに基づいて上述した3つの質問Q1〜Q3がモニタ画面6に表示され(図2参照)、ドライバのタッチパネルによる「はい」又は「いいえ」のいずれかの回答が受け付けられる。
次に、S2に進み、S1におけるドライバの回答に基づいて、ステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性の各ドライバ特性が「H」又は「L」で判定される。
次に、S3に進み、S2で判定されたドライバ特性と、ドライバセグメントデータ(図3参照)とにより、上述したように、そのドライバのドライバセグメントが選定される。
次に、S4に進み、選定されたドライバセグメントに対応する情報重要度テーブル(図4(a)〜(f)に示すテーブルのいずれか)と、表示最適化データとにより、表示レイアウトが決定される。より詳細には、情報重要度テーブルに規定された各情報の重要度P及びランクRに応じて、表示最適化データに規定された情報表示ルールやカテゴリ表示ルールなどに基づいて表示レイアウトが決定される。
次に、S5に進み、S4で決定された表示レイアウトに基づいて、時計、エアコン装置12及びオーディオ14の情報が集中ディスプレイ4に表示される(図10参照)。
【0043】
この第1実施形態による情報表示の例を図10及び図11に示す。図10(a)〜(f)は、ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図であり、図11は、ドライバがボタン操作により切り替えた、図10(a)に示す表画面の表示に対応する裏画面の表示を示す図である。
図10(a)に示すように、ドライバセグメントHHHの画面では、例えば、重要度の高い吹出口の表示がドライバに近い側(本実施形態の車両は右ハンドルであり、吹出口表示が右方に位置している)に表示されているが、図10(c)に示すセグメントLHHの画面では、吹出口表示よりも重要度の高い温度やオート設定などの表示が、ドライバに近い側に表示されている。また、図10(a)〜(f)を比べると、エアコンのAUTO表示やECO表示が、図5に示すデータに基づいて、ドライバセグメント毎に異なる大きさで表示されていることが分かる。さらに、ドライバが、操作ボタン10を押すことによって、図10(a)に示す表画面から、図11に示す裏画面に切り替わり、この裏画面では、重要度の低い外気温やオーディオのボリュームの情報が表示されていることが分かる。
【0044】
情報表示の変形例を図12に示す。図12は、標準表示レイアウト及び情報の表示/非表示ルールが適用された各ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図である。この変形例では、各ドライバセグメントとも共通の表示レイアウト(標準表示レイアウト)で表示される。一方、各ドライバセグメント毎に重要度が低い情報が非表示とされる。
標準表示レイアウトとは、全てのドライバセグメントで共通で使用する表示レイアウトである。標準表示レイアウトは、上述した顧客データの全てのドライバのデータを対象にして各情報の重要度の平均値を求め、その求めた重要度により上述した重要度テーブル(図4参照)と同様のテーブル(標準重要度テーブル)を別途作成し、その標準重要度テーブルと上述した表示最適化データとにより標準的な表示レイアウト(標準表示)を1つ定めて生成したものである。
情報の表示/非表示ルールとは、各ドライバセグメント毎に、どのような情報を表示し、どのような情報を非表示にするかを定めたルールである。この例では、図4(a)〜(f)に示すドライバセグメント毎の情報重要度テーブルに基づいて、ドライバセグメント毎に、各情報の重要度P或いはランクRの低い情報を非表示にする。例えば、ランクD以下の重要度の情報が非表示にされる。
この変形例のように、ドライバ特性によらず共通の表示レイアウトで表示すると共に、ドライバ特性に応じて比較的重要な情報のみを表示させることも可能である。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態による車両用表示装置を説明する。
上述した第1実施形態では、表示レイアウトを、情報重要度テーブル及び表示最適化データに基づいて決定しているのに対し、この第2実施形態では、表示レイアウトを、予め定めた表示レイアウトの中から選定している点で異なり、他の点は第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0046】
第2実施形態の車両用表示装置の構成は図1と同様であるが、第2実施形態では、記憶装置8に、第1実施形態の情報重要度テーブル及び表示最適化データの代わりに、予め表示レイアウトを定めた情報表示レイアウトデータを記憶させている。
情報表示レイアウトデータは、ドライバセグメント毎に表示レイアウト自体(例えば、図10(a)〜(f)に示すそれぞれの表示レイアウト)を予め定めたデータである。具体的には、上述した顧客データから得られた各情報の重要度(第1実施形態における情報重要度テーブルの内容に相当)及び上述した表示レイアウトのための各ルール(第1実施形態における表示最適化データの内容に相当)に基づいてドライバセグメント毎に最適化した表示レイアウトを規定するデータである。
【0047】
この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ドライバ特性が判定され、さらに、ドライバセグメントが選定される。その後、選定されたドライバセグメントに対応する表示レイアウトが、情報表示レイアウトデータから選定される。そして、選定された表示レイアウトに基づいてエアコン装置12及びオーディオ14の情報が集中ディスプレイ4に表示されることになる。
【0048】
次に、図13乃至図16により、本発明の第3実施形態による車両用表示装置について説明する。図13は、第3実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図であり、図14は、ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートであり、図15は、事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートであり、図16は、事前準備性の判定基準となるブレーキペダル踏み込み量と事前準備性との関係を示す図である。
この第3実施形態は、第1実施形態とはドライバ特性の判定の手法が異なるが、その他の構成は同様である。ここでは第1実施形態と異なる構成のみ説明し、その他の同様の構成については説明を省略する。
【0049】
この第3実施形態による車両用表示装置は、ドライバ特性を、ドライバの運転行動から自動的に判定するように構成されている。ドライバの運転行動とは、例えば、ハンドルやペダル類の運転操作(運転操作ログ)、速度、加速度及び車間距離などの車両制御の内容(車両制御ログ)、運転径路、行き先、エアコンやオーディオ等の装備品の操作内容(操作ログ)などである。
【0050】
この第3実施形態では、図13に示すように、基本的な構成は第1実施形態と同様であるが、CPU2に、各車載機器(ナビゲーション装置など)16のデータ、各センサ18の信号、車載の情報記憶装置20に記憶された各ログ(運転操作ログ等)のデータが入力可能になっている。本実施形態では、運転操作ログや車両制御ログが情報記憶装置20或いは記憶装置8に記憶され、運転径路や行き先がナビゲーション装置16やETC装置16から得られ、装備品の操作ログが、情報記憶装置20或いは記憶装置8に記憶されている。
【0051】
次に、本実施形態における、ドライバの運転行動からドライバ特性を判定する手法を説明する。
先ず、ステイタス性については、図14に示すような処理内容により判定する。図14に示すように、S1において、カーショップやディーラーなどへの訪問頻度が所定のしきい値(α1)を超えるか否かを判定する。超える場合には、S2に進み、カウンタNCに数値1を足す。超えない場合には、NCに数値を足さずにS3に進む。以後、同様に、判定基準として、整備工場への入庫頻度(S3)、オイル交換頻度(S5)、アルミホイール反射率が所定の値を超える頻度(S7)が、それぞれしきい値(α2〜α4)を超える場合にカウンタNCに数値1を足し(S4、S6、S8)、超えない場合には足さない。さらに、判定基準として、車両のグレード或いはクラスが指定されたものであるか(S9)、排気量が所定値以上であるか(S11)を判定し、「はい」の場合はカウンタNCに数値1を足し(S10、S12)、「いいえ」の場合には足さない。
【0052】
そして、S13において、そのNCの値が所定のしきい値N以上であるか否かを判定する。NCの値がしきい値N以上であると判定された場合には、S14に進み、ステイタス性が高い「H」であると判定する。しきい値Nを超えていないと判定された場合には、S15に進み、ステイタス性が低い「L」であると判定する。なお、この第3実施形態における「H」、「L」は、第1実施形態で説明した、図3に示す「H」、「L」と同義である。
【0053】
ここで、カーショップやディーラーへの訪問頻度は、ナビゲーション装置(16)における目的地設定や長時間停車位置等から判定可能である。整備工場への入庫頻度及びオイル交換の頻度は、ログ情報記憶装置20或いは記憶装置8に整備ログを記憶させ、それを利用して判定可能である。アルミホイールの反射率は、車両に反射率を測定するセンサを設けるか、或いは、整備ログ等から得られる洗車の頻度から判定する。車両のグレードや排気量等は、ログ情報記憶装置20或いは記憶装置8に車両に関する登録情報を記憶させ、それを利用して判定可能である。
【0054】
次に、車内環境適合性については、判定基準として、エアコン設定(温度/風量/吹出口)の単位時間あたりの調整回数、外気温とエアコン設定温度との差、日照条件の変化回数に対するサンバイザーの調整回数の比、窓を開けるときの車内の臭いの強さ、等がある。これらは、エアコンの操作ログ、サンバイザーに設けたセンサ、車内に設けた臭気センサ、日照センサなどを利用して判定可能である。そして、図14と同様の手法で、これらの判定基準について、それぞれしきい値を超えているか否かを判定し、カウンタによりカウントし、そのカウント結果を所定のしきい値と比較して、車内環境適合性が高い「H」或いは低い「L」であるかを判定する。
【0055】
次に、事前準備性については、信号に対する事前準備的な運転に関し追従走行において減速しているときのペダル操作の特徴から判定する。処理内容を図15に示す。
図15に示すように、先ず、S1において、追従走行をしており且つ減速時であるか否かを判定する。追従走行の判定については、車間レーダー等の測定値をもとに、自車両と、前方を走行している車両との車間距離が50m以下である場合に、追従走行であると判定される。減速時の判定については、前後方向の加速度がマイナスである場合に、減速時であると判定される。
追従走行をしており且つ減速時であると判定された場合には、S2に進み、ブレーキ操作が行われているか否かを判定する。ブレーキ操作が行われている場合には、S3に進み、ブレーキペダルの踏み込み量を車速に対応付けて保存する。
【0056】
次に、S4に進み、S3の処理により過去に蓄積されているブレーキペダル踏み込み量を読み出し、S5で、その読み出したブレーキペダル踏み込み量を基に、車速域別にブレーキペダル踏み込み量の標準偏差を算出する。具体的には、車速が4〜20km/hにおけるブレーキペダル踏み込み量の標準偏差BLと、車速が21〜40km/hにおけるブレーキペダル踏み込み量の標準偏差BHとを算出する。S1或いはS2で「いいえ」と判定された場合にもこのS4に進み、過去にS3の処理により蓄積されたブレーキペダル踏み込み量を基に同様の処理を行う。
次に、S6に進み、S5で算出したBL及びBHにより、BL≦BHであるか否かを判定する。ここで、図16に示すように、BLがBHより大きい場合に事前準備傾向が高く、BLがBHより小さい場合に事前準備傾向が低い、という傾向が予め得られている。
そこで、S6において、BL≦BHであると判定された場合にはS7に進み、事前準備の傾向が低い「L」であると判定し、BL≦BHではないと判定された場合にはS8に進み、事前準備の傾向が高い「H」であると判定する。
【0057】
この第3実施形態では、上述した各ドライバ特性の判定は、車のキー内にオーナー(ドライバ)の識別情報を組み込み、その車のオーナー以外には上述した判定基準を適用しないようにしている。
この第3実施形態では、以上説明したステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性についてのそれぞれの「H」又は「L」の判定結果を基に、第1実施形態と同様に図3に示すデータからドライバセグメントを判定する。そして、第1実施形態と同様に、判定されたドライバセグメントに応じた最適な表示レイアウトを、上述した情報重要度テーブル及び表示最適化データにより決定し、集中ディスプレイ4に表示する。
なお、第2実施形態と同様に、情報表示レイアウトデータにより、最適な表示レイアウトを選定しても良い。
【0058】
次に、図17乃至図19により、本発明の第4実施形態による車両用表示装置について説明する。図17は、第4実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図であり、図18は、ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートであり、図19は、事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
この第4実施形態は、第1実施形態とはドライバ特性の判定の手法が異なるが、その他の構成は同様である。ここでは第1実施形態と異なる構成のみ説明し、その他の同様の構成については説明を省略する。
【0059】
この第4実施形態による車両用表示装置は、ドライバ特性を、ドライバの家庭内行動から自動的に判定するように構成されている。ドライバの家庭内行動とは、例えば、家庭内にあるPC、携帯電話或いはPDA等によるインターネットへのアクセスの内容、テレビ番組の嗜好、家電製品の操作内容などである。
【0060】
この第4実施形態では、図17に示すように、車両用表示装置1は、種々の情報を車両の外部環境との間で送受信するための送受信装置22を備えている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。送受信装置22は、例えば、自動車電話、携帯電話あるいは専用の無線送受信機によって構成される。送受信装置22は、各地域に設置された通信局24を経由して、インターネット26に接続可能である。インターネット26には、ドライバの自宅の端末装置(パソコン)28、ドライバの携帯電話30、ドライバの自宅の家電製品(テレビ、番組録画機器、家庭用エアコン、冷蔵庫、電子レンジなど)32が接続されている。
【0061】
この送受信装置22により、例えば、インターネットへのアクセスログをパソコン28から受信し、ドライバが見たテレビ番組のチャンネルや内容をテレビ(32)から受信し、家電製品32の操作内容を家電製品32から受信することが出来る。CPU2では、このような受信した情報を基にドライバ特性を判定する。
【0062】
次に、本実施形態における、ドライバの家庭内行動からドライバ特性を判定する手法を説明する。
先ず、ステイタス性については、インターネットへのアクセスログから判定する。その処理内容を図18に示す。図18に示すように、S1において、車の情報サイトへのアクセス頻度が所定のしきい値(α1)を超えるか否かを判定し、S2において、カー用品情報サイトへのアクセス頻度が所定のしきい値(α2)を超えるか否かを判定し、S3において、車のアクセサリショップ情報サイトへのアクセス頻度が所定のしきい値(α3)を超えるか否かを判定し、S4において、車のBBSへのアクセス頻度が所定のしきい値(α4)を超えるか否かを判定する。
【0063】
S1乃至S4において、いずれもしきい値(α1〜α4)を超えないと判定された場合にはS5に進み、ステイタス性が低い「L」であると判定する。S1乃至S4のいずれかにおいてしきい値(α1〜α4)を超えていると判定された場合には、S6に進み、ステイタス性が高い「H」であると判定する。なお、この第4実施形態における「H」、「L」は、第1実施形態で説明した図3に示す「H」、「L」と同義である。
【0064】
次に、車内環境適合性については、判定基準として、家庭内でのエアコン設定(温度/風量/吹出口)の単位時間あたりの調整回数、家庭における外気温とエアコン設定温度との差、日照条件の変化回数に対するエアコンの調整回数の比等から、次に説明する図19と同様の手法により、車内環境適合性が高い「H」であるか或いは低い「L」であるかを判定する。
【0065】
次に、事前準備性については、図19に示すような処理内容により、家電製品の操作パターンから判定する。
図19に示すように、先ず、S1において、判定基準としてテレビ番組の切り替え頻度が所定のしきい値(α1)を超えるか否かを判定する。超える場合には、S2に進み、カウンタNCに数値1を足す。超えない場合には、NCに数値を足さずにS3に進む。以後、同様に、判定基準として、CMスキップの頻度(S3)、電子レンジの再スタートの頻度(S5)、PCのキーの入力速さ(S7)、PCのキーの入力のリズムの一定さ(S9)が、それぞれしきい値(α2〜α5)を超える場合にカウンタNCに数値1を足し(S4、S6、S8、S10)、超えない場合には足さない。なお、テレビ番組の切り替え頻度とは、あるテレビ番組の放送中に他局に切り替える頻度であり、CMスキップの頻度とは、ビデオなどの録画情報を再生中にCMをスキップする頻度であり、電子レンジの再スタートの頻度とは、電子レンジを暖め途中で止めたり、再スタートさせたりする頻度である。
【0066】
次に、S11において、そのNCの値が所定のしきい値N以上であるか否かを判定する。NCの値がしきい値N以上であると判定された場合には、S12に進み、せっかちな運転傾向が高いと判定し、しきい値N以上でないと判定された場合には、S13に進み、せっかちな運転傾向が高いと判定する。この第4実施形態では、せっかちな運転傾向が高い場合に、事前準備性が高い「H」であるものとし、せっかちな運転傾向が低い場合に、事前準備性が低い「L」であるものとしている。
【0067】
この第4実施形態においては、PCの操作時にドライバ個人の識別を行い、また、家電製品に対しては、操作ボタンに指紋認証の仕組みを組み込んでおいて、ドライバ個人を認識するようにしている。そして、車両では、車のキー内にオーナー(ドライバ)の識別情報を組み込み、その車のオーナー以外には上述した判定基準を適用しないようにしている。
この第4実施形態においても、以上説明したステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性についてのそれぞれの「H」又は「L」の判定結果を基に、第1実施形態と同様に図3に示すデータからドライバセグメントを判定する。そして、第1実施形態と同様に、判定されたドライバセグメントに応じた最適な表示レイアウトを、上述した情報重要度テーブル及び表示最適化データにより決定し、集中ディスプレイ4に表示する。
【0068】
なお、第2実施形態と同様に、情報表示レイアウトデータにより、最適な表示レイアウトを選定するようにしても良い。
なお、第3実施形態による運転行動によるドライバ特性の自動判定及び第4実施形態の家庭内行動によるドライバ特性の自動判定の両方を組み合わせてドライバ特性を判定するようにしても良い。
【0069】
なお、上述した各実施形態では、ドライバの入力により或いは運転行動や家庭内行動によりドライバセグメントを判定するようにしている。変形例として、記憶装置8に、既に得られているドライバセグメントの判定結果情報と、上述したようなキー内のオーナー識別情報とを対として記憶しておき、キー内の識別情報だけからドライバセグメントを呼び出す、或いは、表示レイアウトやレイアウトルールを呼び出すようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による車両用表示装置が搭載された車両のインストルメントパネルの一部を示す図である。
【図3】ドライバセグメントデータに規定されたドライバ特性とドライバセグメントとの関係を示す図表である。
【図4】ドライバセグメント毎に規定された情報重要度テーブルの内容を示す図表である。
【図5】表示最適化データのうち、アイコン又は文字の大きさに関する表示ルールを示す図表である。
【図6】表示最適化データのうち、アイコン又は文字の面積配分やカテゴリの表示位置等を示す図表である。
【図7】決定木分析によるドライバ特性の分析結果の一例である。
【図8】車内環境適合性についてドライバに提示した質問に対する回答のデータを示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態の車両用表示装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図である。
【図11】図10(a)に示す表画面の表示に対応する裏画面の表示を示す図である。
【図12】標準表示レイアウト及び情報の表示/非表示ルールが適用された各ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図である。
【図13】本発明の第3実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図14】ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【図15】事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【図16】事前準備性の判定基準となるブレーキペダル踏み込み量と事前準備性との関係を示す図である。
【図17】本発明の第4実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図18】ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【図19】事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に係り、特に、車両に関する情報を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、一般に、車室内に設けられたディスプレイやメータ等に車両に関する情報を表示するための車両用表示装置が設けられる。車両に関する情報としては、車速やガソリン残量等のメータ関連の情報や、エアコンやオーディオ等の車載機器の設定内容の情報等が挙げられる。近年、これらのような様々な情報を集中して表示する集中ディスプレイが車両に搭載されることがある。このような集中ディスプレイは、1回の視線移動で多くの情報を得ることが出来、安全性や利便性を高めることが出来るものである。
特許文献1には、車速に応じて表示内容を変更するようにして視認性をより高めるようにした車両用表示装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−136823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ドライバ自身が重要と思う情報は、ドライバによって異なるものである。例えば、オーディオの設定内容を細かく気にするドライバもいれば、音楽が聴ければ良いとだけ思うドライバもいる。前者のドライバにとって、オーディオの設定内容の表示は重要であるが、後者のドライバにとっては重要ではない。また、速度計は情報として必須ではあるが、車は単なる移動手段であると考えるドライバと、信号に引っかからないように車速を細かく気にしながら運転するようなドライバとでは、速度計の重要度も異なる。
【0005】
しかしながら、従来の車両用表示装置は、これらのようなドライバの違いを考慮したものではない。つまり、従来のエアコンやオーディオ等の表示ディスプレイやメータ類などでは、表示する情報をドライバが選択することが出来ないものである。従って、ドライバによっては重要度の低い情報が優先的に提供されていたり、逆に、重要度の高い情報が目立たないという問題があった。
【0006】
このような問題を解決すべく、本発明者は、ドライバによる重要度の認識の違いを研究する中で、運転スタイルやドライバの性格などのドライバの特性が、表示する情報の重要度に関連するという知見を得た。発明者は、そのような知見を基に上述した問題を解決することを試みた。一方、そのようなドライバの特性そのものを評価する手法は一般に知られているが、従来の手法では、非常に多くの質問を提示し且つ各質問に対し複数の評価レベル(例えば、5段階評価)で回答するようになっている。このように非常に多くの質問を提示し且つ複数の段階で回答させるのは、非常に手間がかかるものであり、車載の車両用表示装置に応用するには現実的ではない。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示する車両用表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明は、車両に関する情報を表示する車両用表示装置であって、ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、及び、ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定された複数の情報表示レイアウトのデータを記憶する記憶手段と、ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、ドライバセグメントのデータに基づいて、判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、情報表示レイアウトのデータに基づいて、選定されたドライバセグメントに応じた情報表示レイアウトを選定する情報表示レイアウト選定手段と、その選定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、情報表示レイアウトは、ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定されている。そして、本発明においては、ドライバセグメントは、ドライバ特性判定手段により判定されたドライバの特性に応じて選定される。従って、ドライバの特性に応じて情報の重要度を考慮した適切な情報表示レイアウトが選定され、情報表示手段は、この情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する。その結果、本発明による車両用表示装置によれば、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0008】
また、上記の目的を達成するために本発明は、車両に関する複数の情報を表示する車両用表示装置であって、ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、それらのドライバセグメント毎に情報の重要度を規定した情報重要度のデータ、及び、情報の重要度と表示レイアウトとの関係を定めたレイアウトルールのデータを記憶する記憶手段と、ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、ドライバセグメントのデータに基づいて、判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、情報重要度のデータ及びレイアウトルールのデータに基づいて、選定されたドライバセグメントに応じた最適な情報表示レイアウトを決定する情報表示レイアウト決定手段と、その決定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、情報表示レイアウトは、ドライバセグメント毎に情報の重要度を規定した情報重要度のデータ、及び、情報の重要度と表示レイアウトとの関係を定めたレイアウトルールのデータに基づいて決定される。そして、本発明においては、ドライバセグメントは、ドライバ特性判定手段により判定されたドライバの特性に応じて選定される。従って、ドライバの特性に応じて情報の重要度を考慮した適切な情報表示レイアウトが決定され、情報表示手段は、この情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する。その結果、本発明による車両用表示装置によれば、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、情報重要度は、車両に関する情報が点数化されて表されると共にその点数に応じてランク分けされて規定されている。
このように構成された本発明においては、効果的に情報の重要度を考慮することが出来る。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、情報表示レイアウト決定手段は、車両に関する情報のカテゴリ毎に、情報の重要度に応じて情報表示レイアウトを決定する。
このように構成された本発明においては、カテゴリ、例えば、エアコンやオーディオ等毎にレイアウトが決定されるので、カテゴリ毎に情報を表示する場合に、より適切に車両情報を表示することが出来る。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、レイアウトルールは、情報の重要度に応じて、情報の表示の位置、面積、大きさ、色、及び/又は、画面切り替えを規定したものである。
このように構成された本発明においては、効果的に、ドライバに重要な情報を視認させることが出来る。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、ドライバ特性判定手段は、ドライバの運転行動及び/又は家庭内行動からドライバの特性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性を効果的に判定することが出来る。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、ドライバ特性判定手段は、ドライバに、ドライバの特性に関する質問を提示すると共に回答を入力させ、その入力結果に基づいてドライバの特性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性を効果的に判定することが出来る。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、複数のドライバセグメントは、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性により分類され、ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性によりドライバセグメントを分類している。ここで、ステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性のそれぞれの程度の違いは、車両に関する情報の重要度の認識の違いと大きく関係する。従って、より確実に、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、複数のドライバセグメントを分類するドライバの特性は、情報の重要度に大きく影響を与えるものを決定木分析により予め選定されたものであり、ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として決定木分析により予め選定されたドライバ特性を判定する。
このように構成された本発明においては、ドライバの特性は、情報の重要度に大きく影響を与えるものを決定木分析により予め選定されたものであるので、より確実に、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来る。
【0016】
また、本発明において、好ましくは、ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、複数のドライバセグメントは、2段階評価の組み合わせにより分類され、ドライバ特性判定手段は、複数のドライバの特性をそれぞれ2段階評価により判定する。
このように構成された本発明においては、簡便にドライバの特性及びドライバセグメントを判定することが出来る。
【0017】
また、本発明において、好ましくは、ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、ドライバの特性に関する質問は、複数のドライバの特性に関して1つづつ設定され且つ2段階評価で回答するものである。
このように構成された本発明においては、簡便にドライバの特性及びドライバセグメントを判定することが出来、さらに、ドライバに対する負担も少ない。
【発明の効果】
【0018】
本発明による車両用表示装置によれば、ドライバの特性に応じて車両情報を適切に表示することが出来、その結果、表示情報の認知負担が減少し、さらに、使い易さの向上及び安全性の向上を図ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の実施形態による車両用表示装置は、エアコン装置等の設定或いは作動状況に関する内容をドライバの特性に応じて異なるレイアウトで表示するなどの機能を有する。
先ず、本発明の第1実施形態による車両用表示装置について説明する。
図1は、第1実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図であり、図2は、第1実施形態による車両用表示装置が搭載された車両のインストルメントパネルの一部を示す図である。
【0020】
図1において、符号1は、車載の車両用表示装置を示している。車両用表示装置1は、制御用CPU2と、このCPU2に接続された集中ディスプレイ4、モニタ画面6、記憶装置8及び操作ボタン10を備えている。また、車両用表示装置1には、エアコン装置12及びオーディオ装置14が接続されている。図2に示すように、インストルメントパネルには、集中ディスプレイ4、モニタ画面6及び操作ボタン10が設けられている。操作ボタン10は、集中ディスプレイ4の表示内容をドライバが切り替えるためのものである。
【0021】
集中ディスプレイ4には、ナビゲーション表示の下方に、エアコン装置12やオーディオ装置14等の情報が表示される。その表示内容は、CPU2によって決定される。CPU2は、後述するように、ドライバの特性に応じてその表示レイアウトを決定し、そのレイアウトに基づいて各情報を集中ディスプレイ4に表示させる。
モニタ画面6は、ドライバが画面に触れることで種々の操作及び入力が可能なタッチパネル式のものである。本実施形態では、ドライバの特性を判定するために、CPU2の機能によりこのモニタ画面6にドライバに対する質問を表示すると共に回答を受け付けるようになっている。
記憶装置8は、ドライバの特性を判定するためのデータ(ドライバ特性判定データ)、ドライバをその特性の違いに基づいて分類したドライバセグメントのデータ(ドライバセグメントデータ)、ドライバセグメント毎の情報の表示重要度のデータ(情報重要度テーブル)、情報の重要度に応じて表示レイアウトを最適化するためのデータ(表示最適化データ)等が記憶されている。
【0022】
次に、図3により、ドライバ特性判定データ及びセグメントデータについて説明する。図3は、ドライバセグメントデータに規定されたドライバの特性とドライバセグメントとの関係を示す図表である。
図3に示すように、本実施形態では、ドライバの特性として、ステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性の3つを判定するようにしている。以下では、これらのような特性を「ドライバ特性」と言う。各ドライバ特性は、その特性の程度が高い「H」、程度が低い「L」の2段階で評価される。ステイタス性とは、ドライバが車をステイタスシンボルとして見ているかどうかの程度を表し、車内環境適合性とは、車内の環境の悪さに対するドライバの負担の感じ方の程度を表し、事前準備性とは、信号に対するドライバの事前準備的或いは予測的な運転をするかどうかの程度を表す。
【0023】
ドライバ特性判定データには、これらのドライバ特性を判定する質問が、各ドライバ特性に対し1つづつ設定されている。本実施形態では、ステイタス性については、「Q1:車は移動手段でとにかく走ればよい」、車内環境適合性については、「Q2:冷房のききすぎなどで、寒すぎるときの運転が負担である」、事前準備性については、「Q3:先の信号にひっかからないように速度調節して運転する」という質問が設定されている。質問はモニタ画面6(図2参照)に表示される。これらの質問に対し、ドライバが、タッチパネル上で「はい」又は「いいえ」のどちらかを回答するようになっており、「はい」、「いいえ」の回答に応じて、「H」又は「L」と判定されるようになっている。
なお、集中ディスプレイ4に質問を表示し、ボタン10の操作や、音声やジョイスティック(ポインタ)により回答しても良い。また、集中ディスプレイにタッチパネルの機能を持たせても良い。さらに、ドライバは、タッチパネル以外にも、また、家庭用PCで質問に対する回答を行った後、インターネットを経由して或いはメモリデバイスを介して車両側にその回答内容を転送しても良い。さらに、携帯電話やPDA上で回答を行い、インターネット経由或いは車内の端末に接続する等して回答内容を転送しても良い。
【0024】
図3に示すように、ドライバセグメントデータには、ドライバ特性の違いにより分類されたドライバセグメントが規定されている。本実施形態では、各ドライバ特性の2段階評価(「H」又は「L」)の組み合わせによりドライバセグメント(「HHH」など)が規定されている。
ここで、各ドライバ特性の2段階評価の組み合わせが異なる場合であっても、表示する情報の重要度がほぼ同じである場合がある。つまり、ドライバ特性の程度が異なるドライバであっても、認識する情報重要度がほぼ同じ場合がある。本実施形態の場合には、車内環境適合性が「L」の場合、事前準備性の判定が違っていても情報の重要度がほとんど変わらなく、一方、ステイタス性の判定の違いにより情報の重要度が大きく変わるものとなっている。そこで、図3に示すように、車内環境適合性が「L」の場合には、事前準備性についての「H」又は「L」の違いにかかわらず、同一のドライバセグメント(「HL」又は「LL」)となるように規定されている。
【0025】
次に、図4により、情報重要度テーブルについて説明する。図4(a)〜(f)は、それぞれ、ドライバセグメント毎に規定された情報重要度テーブルの内容を示す図表である。
図4(a)〜(f)に示すように、情報重要度テーブルは、各ドライバセグメント毎に情報の重要度を規定したものである。吹出口や内外気などの各情報に対して、重要度Pが点数化されている。この情報重要度テーブルでは、重要度Pの点数順に各情報が並べられている。例えば、セグメント「HHH」では、吹出口の表示の重要度が最も高く、順に内外気の表示、ラジオ局の表示と続く。
また、情報重要度テーブルでは、重要度Pの点数に応じてランクRが規定されている。例えば、ランク「A」は、重要度Pが8.0点以上の場合であり、ランク「B」は、8.0点未満6.5点以上である。このようなランクは、ドライバが感じる各情報の重要度の心理的意味合い(「非常に重要である」、「少し重要である」など)を考慮して区分したものである。
図4に示すように、ドライバセグメントが異なれば、各情報に対する重要度Pの値、情報の重要度の順番及びランクが異なることが分かる。例えば、「吹出口」は、セグメント「HHH」では、重要度が9.3点でランクAであるが、セグメント「LHH」では重要度が7.5点でランクBである。
【0026】
次に、図5及び図6により、表示最適化データについて説明する。図5は、表示最適化データのうち、アイコン又は文字の大きさに関する表示ルールを示す図表であり、図6は、表示最適化データのうち、アイコン又は文字の面積配分やカテゴリの表示位置等を示す図表である。
表示最適化データには、情報重要度テーブル(図4参照)に規定された重要度P或いはランクRに応じて情報をどのようなレイアウトで表示するか定めた情報表示レイアウトルールが含まれている。本実施形態では、レイアウトとして、表示する各情報のアイコン或いは文字の「位置」、「大きさ」、「面積」、「色」、さらに、「カテゴリ表示」、「切り替え画面」などが規定されている。
【0027】
アイコン或いは文字の「位置」は、重要度Pの高い程、ドライバ寄りの位置に割り当てられる。上下2段で表示する場合には、重要度Pが高い方が上段に表示される。
「大きさ」は、基本的には、重要度Pが高い程、大きく表示されるようになっている。具体的には、図5に示すようなルールに基づいて決定される。図5に示すように、本実施形態では、アイコンや文字の大きさは、ランクに応じて決定される。ここで、大きさを重要度Pのみで決定すると、重要度Pの高い情報が多いセグメント(例えば、HHH)では、多くの情報が大きく表示され、一方、重要度Pの低い情報が多いセグメント(例えば、LL)では、多くの情報が小さく表示されてしまい、結果的に、いずれのドライバセグメントにおいても、情報の視認性が悪化してしまうことになる。そこで、本実施形態では、図5に示すように、ランクRに応じて大きさを定めることで、表示する情報の全てについてバランスのとれた表示が行われるようにしている。
【0028】
「面積」は、図6(a)及び(b)に示すように、重要度Pの高さに応じて配分される。なお、図6(a)に示すデータは、表示面積の配分をイメージしたものであり、位置を規定したものではない。図6(b)は、代表例として、セグメントLHHのデータの内容を示したものである。
「色」は、重要度Pが高い程、誘目性やコントラスト比が高いものが選定される。
なお、大きさ、面積及び色に関しては、ドライバの視認限界を下回らないように規定されている。
【0029】
表示最適化データには、カテゴリに関するレイアウトルール(カテゴリ表示ルール)も含まれている。カテゴリとは、エアコン、オーディオ、時計などの種別である。具体的には、本実施形態では、図6(a)に示すように、情報がカテゴリ毎にまとめて表示されるように定められている。そして、上述した情報表示レイアウトルールは、各カテゴリ毎に適用されるようになっている。
カテゴリ表示ルールにより、これらのカテゴリの表示領域の位置及び面積配分は、重要度Pの高さに応じて決定される。即ち、図6(a)に示す例はセグメント「LHH」の場合であるが、エアコン関連のカテゴリの重要度Pがオーディオ関連の重要度Pより高いので、エアコン関連の表示領域がオーディオ関連の表示領域よりドライバ寄り且つ大きな面積配分となっている。なお、本実施形態では、重要度が高い時計表示を各ドライバセグメントに共通な基本配置とし、最もドライバ側(運転席側)に配置している。
【0030】
変形例として、カテゴリの違いによらず表示することも可能である。例えば、セグメント「HHH]の場合(図4(a)参照)には、重要度Pの高い順に、例えば、吹出口、内外気、ラジオ局、温度・・・というように、エアコン関連とオーディオ関連の区別無くドライバ寄りの位置から順に表示させても良い(図示せず)。
【0031】
さらに、表示最適化データには、切り替え画面に関するレイアウトルール(切り替え画面ルール)も含まれている。本実施形態では、切り替え画面ルールにより、通常はランクA〜Cの情報の画面(表画面)が表示され、ドライバが操作ボタン10を操作することによりランクDの情報の画面(裏画面)が表示されるようになっている。なお、表画面は、上述した情報表示レイアウトルール及びカテゴリ表示ルールに従って表示される。裏画面は、基本的には、表画面に表示されていた情報のうち、所定の一部の情報の代わりに他の情報が表示されるようになっている。例えば、表画面(図10(a)参照)では、ラジオの周波数やエアコンの設定温度が表示されていた部分に、裏画面(図11)では、音量や外気温が表示される。このような画面切り替えによる表示情報の割り振りは、重要度Pに応じて行われるようになっているので、ドライバセグメント毎に異なることになる。
【0032】
次に、ドライバ特性判定データ、ドライバセグメントデータ及び情報重要度テーブルのデータ構築方法を説明する。
記憶装置8に記憶されているドライバ特性判定データ、ドライバセグメントデータ及び情報重要度テーブルは、実際に数百人のドライバに対して行ったアンケート等により取得したデータ(以下、顧客データという)を基に生成したものである。
顧客データには、数百人のドライバに対して提示したドライバ特性に関する質問及びその回答に関するデータが含まれる。ここで、従来から、運転スタイルや運転負担感受性などに関する20ヶのドライバ特性(20変数)が知られている。それらの特性としては、例えば、上述した3つの特性に加え、運転スキルに対する自信の程度、周囲の交通状況の把握能力の程度、身体拘束に対する耐性の程度等があるが、顧客データには、これらの全てのドライバ特性に関してドライバから得られたデータが含まれる。また、顧客データには、ドライバ毎に、車両の各情報(例えば、エアコンであれば吹出口や温度などの各情報)に対する重要度を点数化したデータが含まれる。
【0033】
ここで、ドライバ特性に応じて情報の表示を最適化する場合、車載端末或いは家庭用端末等で、その実際に運転しようとするドライバ(情報を実際に提供する必要のあるドライバ)の特性を把握する必要がある。ここで、そのような端末において、例えば、上述した20の特性に関してそれぞれ複数の質問を提示し、且つ、例えば5段階評価などの複数の段階評価で回答をさせるようにすれば、ドライバ特性の判定精度を確保し易くなる。しかし、質問数が非常に多くなり、また、5段階評価ではドライバにとって回答が煩雑である。従って、実用的ではなく、ユーザーに受け入れがたいものとなってしまう。
そこで、本実施形態では、エアコンやオーディオの情報の重要度の違いがより明確に現れるドライバ特性を絞り込むと共に、そのようなドライバ特性を判定する質問も絞り込んでいる。
【0034】
先ず、ドライバ特性の絞り込みについて説明する。
本実施形態では、エアコンやオーディオの情報の重要度の違いがより明確に現れるドライバ特性を決定木分析(データマイニング手法)により決定している。即ち、上述した顧客データによれば、どのようなドライバ特性のドライバが、各情報の重要度をどのように捉えているかが分かり、これを決定木分析により解析したのである。
決定木分析による分析結果の一例を図7に示す。図7は、ドライバ数N=196のデータに基づき、エアコンの情報重要度(平均約5.37点と示されている)に影響を大きく与えるドライバ特性を絞り込んだ例である。この図7に示す例では、車内環境に対する適合性が高い「H」と、低い「L」とで、重要度が約5.7点と約4.7点とに分かれていること等が分かる。決定木分析では、このようなドライバ特性の絞り込みを、20のドライバ特性を全て変数として取り上げると共に変数間の組み合わせを考慮しながら、影響度が強いものを段階的に取り込んでいく(絞り込んでいく)方法により行っている。
【0035】
本実施形態では、このような手法により、最もエアコンやオーディオの情報の重要度の違いが現れるドライバ特性として、上述したステイタス性、車内環境適合性、事前準備性に絞り込んでいる。つまり、これらの3つの特性を考慮すれば、エアコンやオーディオの情報重要度の認識が異なるドライバを判別することが出来るのである。
【0036】
次に、ドライバ特性を判定する質問の絞り込みについて説明する。
従来は、上述したステイタス性などのドライバ特性について判定するために、各ドライバ特性に関して複数の質問をドライバに提示していた。さらに、それらの質問に対して5段階評価による回答をドライバに求めていた。例えば、車内環境適合性については、冷房や暖房に関する質問、直射日光に関する質問、ほこりっぽさに関する質問、騒音に関する質問など多岐にわたっており、それぞれ、5段階で負担の感じ方を回答させるようになっていた。そして、各ドライバ特性毎に、回答の点数の平均値を求め、その平均値が、所定のしきい値(既知の値を使用)より高い場合には「H群」、低い場合には「L群」というように特性の程度を評価していた。
これに対し、本実施形態では、上述したように質問をQ1〜Q3の3つに絞り込むと共に「はい」、「いいえ」の2段階で回答させるようにしている。このような質問の絞り込み及び回答方法の変更は、以下に説明するような手法により行っている。
【0037】
先ず、従来の全ての質問に関し、ドライバに、5段階評価と、「はい」、「いいえ」の2段階評価での両方の回答をさせる。ここでは、図8に、車内環境適合性について提示した4つの質問に対する結果を示す。
図8において、Q11、Q12、Q13、Q14は、それぞれ質問を表す。「y群」は、各質問に対して「はい」と回答したドライバについて、5段階評価での点数の平均値を求めたものであり、「n群」は、各質問に対して「いいえ」と回答したドライバについて、5段階評価での点数の平均値を求めたものである。破線は、従来の5段階評価において、車内環境適合性の程度が「高い(H群)」及び「低い(L群)」の境界の点数であり、しきい値となっている。
【0038】
この図8により、Q11の質問に対して、「はい」と回答したy群のドライバの平均値(約3.3点)と、「いいえ」と回答したn群のドライバの平均値(約2.3点)が、公開平均値(2.8点)に対し同じ程度の点数の差(それぞれ約0.5点の差)となっており、5段階評価と2段階評価の相関が他の質問よりも高いことが分かる。
従って、図8に示す場合では、Q11を、車内環境適合性の程度を評価するための質問として選択する(質問の絞り込み)。そして、このQ11について「はい」又は「いいえ」の2段階で回答させることにより、従来の5段階の評価と同等の評価が得られることになる。なお、各質問毎に、統計検定により得られる係数を求め、この係数により5段階評価と2段階評価の相関の程度を比較して質問を選定しても良い。
このように、本実施形態では、質問を絞り込むと共に2段階の回答方式としても、各ドライバ特性の程度の高低を精度良く判定することが出来るようになっている。
【0039】
次に、絞り込んだドライバ特性によるドライバセグメントの規定の手法について説明する。
上述したように、3つドライバ特性を考慮すれば、エアコンやオーディオの情報重要度の認識が異なるものであると判定することが出来る。そして、各ドライバ特性に関し質問は1つづつ設定され且つ「はい」又は「いいえ」の2段階で回答するようになっている。
本実施形態では、「はい」の回答が「H」、「いいえ」の回答が「L」であるとしており、図3に示すように、3つのドライバ特性(3つの質問)に関して、「H」と「L」の組み合わせによりドライバセグメントを定めている。
ここで、上述した決定木分析において、図7に示すように、例えば、車内環境に対する適合性が「L」の場合、その下位で枝分かれが行われない場合がある。このような場合は、他のドライバ特性の影響を受けない場合である。このような決定木分析の結果に従い、本実施形態では、図3に示すように、車内環境適合性が「L」の場合には、事前準備性についての「H」又は「L」のいずれも同一のドライバセグメントとして規定している。
【0040】
次に、情報重要度テーブルの生成の手法について説明する。
図4に示す重要度テーブルは、上述した顧客データを基に生成したものである。顧客データには、上述したように、ドライバ毎に、車両の各情報(例えば、エアコンであれば吹出口や温度などの各情報)に対する重要度を点数化したデータが含まれる。
重要度テーブルの生成にあたっては、先ず、図3に示す関係により、顧客データに含まれる各ドライバについて、それぞれ該当するドライバセグメントを判定する。そして、同一のドライバセグメントに含まれる全てのドライバについて、各情報毎に、評価点の平均値を求めて重要度Pとする。
ランクRは、各情報の重要度の程度を規定したものである。本実施形態では、顧客データを基に、ドライバの認識として「非常に重要」、「かなり重要」、「少し重要」、「あまり重要ではない」といった心理的意味合いが変わる場合に、異なるランクに区分している。
【0041】
次に、どのような情報を最適化して表示するかを説明する。車両に関する情報には、速度計や燃料計などのメータ関連、エアコン関連、オーディオ関連、ナビ関連、運転支援関連(ACC、車線維持など)、時計関連などのカテゴリがある。もちろん、これらのカテゴリの全てをドライバに応じて最適化して表示するようにしても良い。一方、車両に関する情報に対しては、誰もが重要と思う情報、誰もが重要と思わない情報、或いは、重要度の認識の個人差が大きい情報があることが、上述した顧客データから明らかになっている。本実施形態では、重要度の認識の個人差が大きいカテゴリとして、主に、エアコン関連及びオーディオ関連に関して表示を最適化するようにしている。一方、誰もが重要と思う情報は、例えば、どのドライバに対しても目立つように表示すれば良い。
【0042】
次に、図9により、本実施形態の車両用表示装置の主な作用を説明する。図9は、第1実施形態の車両用表示装置による処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、図9に示すように、S1において、ドライバ特性判定データに基づいて上述した3つの質問Q1〜Q3がモニタ画面6に表示され(図2参照)、ドライバのタッチパネルによる「はい」又は「いいえ」のいずれかの回答が受け付けられる。
次に、S2に進み、S1におけるドライバの回答に基づいて、ステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性の各ドライバ特性が「H」又は「L」で判定される。
次に、S3に進み、S2で判定されたドライバ特性と、ドライバセグメントデータ(図3参照)とにより、上述したように、そのドライバのドライバセグメントが選定される。
次に、S4に進み、選定されたドライバセグメントに対応する情報重要度テーブル(図4(a)〜(f)に示すテーブルのいずれか)と、表示最適化データとにより、表示レイアウトが決定される。より詳細には、情報重要度テーブルに規定された各情報の重要度P及びランクRに応じて、表示最適化データに規定された情報表示ルールやカテゴリ表示ルールなどに基づいて表示レイアウトが決定される。
次に、S5に進み、S4で決定された表示レイアウトに基づいて、時計、エアコン装置12及びオーディオ14の情報が集中ディスプレイ4に表示される(図10参照)。
【0043】
この第1実施形態による情報表示の例を図10及び図11に示す。図10(a)〜(f)は、ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図であり、図11は、ドライバがボタン操作により切り替えた、図10(a)に示す表画面の表示に対応する裏画面の表示を示す図である。
図10(a)に示すように、ドライバセグメントHHHの画面では、例えば、重要度の高い吹出口の表示がドライバに近い側(本実施形態の車両は右ハンドルであり、吹出口表示が右方に位置している)に表示されているが、図10(c)に示すセグメントLHHの画面では、吹出口表示よりも重要度の高い温度やオート設定などの表示が、ドライバに近い側に表示されている。また、図10(a)〜(f)を比べると、エアコンのAUTO表示やECO表示が、図5に示すデータに基づいて、ドライバセグメント毎に異なる大きさで表示されていることが分かる。さらに、ドライバが、操作ボタン10を押すことによって、図10(a)に示す表画面から、図11に示す裏画面に切り替わり、この裏画面では、重要度の低い外気温やオーディオのボリュームの情報が表示されていることが分かる。
【0044】
情報表示の変形例を図12に示す。図12は、標準表示レイアウト及び情報の表示/非表示ルールが適用された各ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図である。この変形例では、各ドライバセグメントとも共通の表示レイアウト(標準表示レイアウト)で表示される。一方、各ドライバセグメント毎に重要度が低い情報が非表示とされる。
標準表示レイアウトとは、全てのドライバセグメントで共通で使用する表示レイアウトである。標準表示レイアウトは、上述した顧客データの全てのドライバのデータを対象にして各情報の重要度の平均値を求め、その求めた重要度により上述した重要度テーブル(図4参照)と同様のテーブル(標準重要度テーブル)を別途作成し、その標準重要度テーブルと上述した表示最適化データとにより標準的な表示レイアウト(標準表示)を1つ定めて生成したものである。
情報の表示/非表示ルールとは、各ドライバセグメント毎に、どのような情報を表示し、どのような情報を非表示にするかを定めたルールである。この例では、図4(a)〜(f)に示すドライバセグメント毎の情報重要度テーブルに基づいて、ドライバセグメント毎に、各情報の重要度P或いはランクRの低い情報を非表示にする。例えば、ランクD以下の重要度の情報が非表示にされる。
この変形例のように、ドライバ特性によらず共通の表示レイアウトで表示すると共に、ドライバ特性に応じて比較的重要な情報のみを表示させることも可能である。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態による車両用表示装置を説明する。
上述した第1実施形態では、表示レイアウトを、情報重要度テーブル及び表示最適化データに基づいて決定しているのに対し、この第2実施形態では、表示レイアウトを、予め定めた表示レイアウトの中から選定している点で異なり、他の点は第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0046】
第2実施形態の車両用表示装置の構成は図1と同様であるが、第2実施形態では、記憶装置8に、第1実施形態の情報重要度テーブル及び表示最適化データの代わりに、予め表示レイアウトを定めた情報表示レイアウトデータを記憶させている。
情報表示レイアウトデータは、ドライバセグメント毎に表示レイアウト自体(例えば、図10(a)〜(f)に示すそれぞれの表示レイアウト)を予め定めたデータである。具体的には、上述した顧客データから得られた各情報の重要度(第1実施形態における情報重要度テーブルの内容に相当)及び上述した表示レイアウトのための各ルール(第1実施形態における表示最適化データの内容に相当)に基づいてドライバセグメント毎に最適化した表示レイアウトを規定するデータである。
【0047】
この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ドライバ特性が判定され、さらに、ドライバセグメントが選定される。その後、選定されたドライバセグメントに対応する表示レイアウトが、情報表示レイアウトデータから選定される。そして、選定された表示レイアウトに基づいてエアコン装置12及びオーディオ14の情報が集中ディスプレイ4に表示されることになる。
【0048】
次に、図13乃至図16により、本発明の第3実施形態による車両用表示装置について説明する。図13は、第3実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図であり、図14は、ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートであり、図15は、事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートであり、図16は、事前準備性の判定基準となるブレーキペダル踏み込み量と事前準備性との関係を示す図である。
この第3実施形態は、第1実施形態とはドライバ特性の判定の手法が異なるが、その他の構成は同様である。ここでは第1実施形態と異なる構成のみ説明し、その他の同様の構成については説明を省略する。
【0049】
この第3実施形態による車両用表示装置は、ドライバ特性を、ドライバの運転行動から自動的に判定するように構成されている。ドライバの運転行動とは、例えば、ハンドルやペダル類の運転操作(運転操作ログ)、速度、加速度及び車間距離などの車両制御の内容(車両制御ログ)、運転径路、行き先、エアコンやオーディオ等の装備品の操作内容(操作ログ)などである。
【0050】
この第3実施形態では、図13に示すように、基本的な構成は第1実施形態と同様であるが、CPU2に、各車載機器(ナビゲーション装置など)16のデータ、各センサ18の信号、車載の情報記憶装置20に記憶された各ログ(運転操作ログ等)のデータが入力可能になっている。本実施形態では、運転操作ログや車両制御ログが情報記憶装置20或いは記憶装置8に記憶され、運転径路や行き先がナビゲーション装置16やETC装置16から得られ、装備品の操作ログが、情報記憶装置20或いは記憶装置8に記憶されている。
【0051】
次に、本実施形態における、ドライバの運転行動からドライバ特性を判定する手法を説明する。
先ず、ステイタス性については、図14に示すような処理内容により判定する。図14に示すように、S1において、カーショップやディーラーなどへの訪問頻度が所定のしきい値(α1)を超えるか否かを判定する。超える場合には、S2に進み、カウンタNCに数値1を足す。超えない場合には、NCに数値を足さずにS3に進む。以後、同様に、判定基準として、整備工場への入庫頻度(S3)、オイル交換頻度(S5)、アルミホイール反射率が所定の値を超える頻度(S7)が、それぞれしきい値(α2〜α4)を超える場合にカウンタNCに数値1を足し(S4、S6、S8)、超えない場合には足さない。さらに、判定基準として、車両のグレード或いはクラスが指定されたものであるか(S9)、排気量が所定値以上であるか(S11)を判定し、「はい」の場合はカウンタNCに数値1を足し(S10、S12)、「いいえ」の場合には足さない。
【0052】
そして、S13において、そのNCの値が所定のしきい値N以上であるか否かを判定する。NCの値がしきい値N以上であると判定された場合には、S14に進み、ステイタス性が高い「H」であると判定する。しきい値Nを超えていないと判定された場合には、S15に進み、ステイタス性が低い「L」であると判定する。なお、この第3実施形態における「H」、「L」は、第1実施形態で説明した、図3に示す「H」、「L」と同義である。
【0053】
ここで、カーショップやディーラーへの訪問頻度は、ナビゲーション装置(16)における目的地設定や長時間停車位置等から判定可能である。整備工場への入庫頻度及びオイル交換の頻度は、ログ情報記憶装置20或いは記憶装置8に整備ログを記憶させ、それを利用して判定可能である。アルミホイールの反射率は、車両に反射率を測定するセンサを設けるか、或いは、整備ログ等から得られる洗車の頻度から判定する。車両のグレードや排気量等は、ログ情報記憶装置20或いは記憶装置8に車両に関する登録情報を記憶させ、それを利用して判定可能である。
【0054】
次に、車内環境適合性については、判定基準として、エアコン設定(温度/風量/吹出口)の単位時間あたりの調整回数、外気温とエアコン設定温度との差、日照条件の変化回数に対するサンバイザーの調整回数の比、窓を開けるときの車内の臭いの強さ、等がある。これらは、エアコンの操作ログ、サンバイザーに設けたセンサ、車内に設けた臭気センサ、日照センサなどを利用して判定可能である。そして、図14と同様の手法で、これらの判定基準について、それぞれしきい値を超えているか否かを判定し、カウンタによりカウントし、そのカウント結果を所定のしきい値と比較して、車内環境適合性が高い「H」或いは低い「L」であるかを判定する。
【0055】
次に、事前準備性については、信号に対する事前準備的な運転に関し追従走行において減速しているときのペダル操作の特徴から判定する。処理内容を図15に示す。
図15に示すように、先ず、S1において、追従走行をしており且つ減速時であるか否かを判定する。追従走行の判定については、車間レーダー等の測定値をもとに、自車両と、前方を走行している車両との車間距離が50m以下である場合に、追従走行であると判定される。減速時の判定については、前後方向の加速度がマイナスである場合に、減速時であると判定される。
追従走行をしており且つ減速時であると判定された場合には、S2に進み、ブレーキ操作が行われているか否かを判定する。ブレーキ操作が行われている場合には、S3に進み、ブレーキペダルの踏み込み量を車速に対応付けて保存する。
【0056】
次に、S4に進み、S3の処理により過去に蓄積されているブレーキペダル踏み込み量を読み出し、S5で、その読み出したブレーキペダル踏み込み量を基に、車速域別にブレーキペダル踏み込み量の標準偏差を算出する。具体的には、車速が4〜20km/hにおけるブレーキペダル踏み込み量の標準偏差BLと、車速が21〜40km/hにおけるブレーキペダル踏み込み量の標準偏差BHとを算出する。S1或いはS2で「いいえ」と判定された場合にもこのS4に進み、過去にS3の処理により蓄積されたブレーキペダル踏み込み量を基に同様の処理を行う。
次に、S6に進み、S5で算出したBL及びBHにより、BL≦BHであるか否かを判定する。ここで、図16に示すように、BLがBHより大きい場合に事前準備傾向が高く、BLがBHより小さい場合に事前準備傾向が低い、という傾向が予め得られている。
そこで、S6において、BL≦BHであると判定された場合にはS7に進み、事前準備の傾向が低い「L」であると判定し、BL≦BHではないと判定された場合にはS8に進み、事前準備の傾向が高い「H」であると判定する。
【0057】
この第3実施形態では、上述した各ドライバ特性の判定は、車のキー内にオーナー(ドライバ)の識別情報を組み込み、その車のオーナー以外には上述した判定基準を適用しないようにしている。
この第3実施形態では、以上説明したステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性についてのそれぞれの「H」又は「L」の判定結果を基に、第1実施形態と同様に図3に示すデータからドライバセグメントを判定する。そして、第1実施形態と同様に、判定されたドライバセグメントに応じた最適な表示レイアウトを、上述した情報重要度テーブル及び表示最適化データにより決定し、集中ディスプレイ4に表示する。
なお、第2実施形態と同様に、情報表示レイアウトデータにより、最適な表示レイアウトを選定しても良い。
【0058】
次に、図17乃至図19により、本発明の第4実施形態による車両用表示装置について説明する。図17は、第4実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図であり、図18は、ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートであり、図19は、事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
この第4実施形態は、第1実施形態とはドライバ特性の判定の手法が異なるが、その他の構成は同様である。ここでは第1実施形態と異なる構成のみ説明し、その他の同様の構成については説明を省略する。
【0059】
この第4実施形態による車両用表示装置は、ドライバ特性を、ドライバの家庭内行動から自動的に判定するように構成されている。ドライバの家庭内行動とは、例えば、家庭内にあるPC、携帯電話或いはPDA等によるインターネットへのアクセスの内容、テレビ番組の嗜好、家電製品の操作内容などである。
【0060】
この第4実施形態では、図17に示すように、車両用表示装置1は、種々の情報を車両の外部環境との間で送受信するための送受信装置22を備えている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。送受信装置22は、例えば、自動車電話、携帯電話あるいは専用の無線送受信機によって構成される。送受信装置22は、各地域に設置された通信局24を経由して、インターネット26に接続可能である。インターネット26には、ドライバの自宅の端末装置(パソコン)28、ドライバの携帯電話30、ドライバの自宅の家電製品(テレビ、番組録画機器、家庭用エアコン、冷蔵庫、電子レンジなど)32が接続されている。
【0061】
この送受信装置22により、例えば、インターネットへのアクセスログをパソコン28から受信し、ドライバが見たテレビ番組のチャンネルや内容をテレビ(32)から受信し、家電製品32の操作内容を家電製品32から受信することが出来る。CPU2では、このような受信した情報を基にドライバ特性を判定する。
【0062】
次に、本実施形態における、ドライバの家庭内行動からドライバ特性を判定する手法を説明する。
先ず、ステイタス性については、インターネットへのアクセスログから判定する。その処理内容を図18に示す。図18に示すように、S1において、車の情報サイトへのアクセス頻度が所定のしきい値(α1)を超えるか否かを判定し、S2において、カー用品情報サイトへのアクセス頻度が所定のしきい値(α2)を超えるか否かを判定し、S3において、車のアクセサリショップ情報サイトへのアクセス頻度が所定のしきい値(α3)を超えるか否かを判定し、S4において、車のBBSへのアクセス頻度が所定のしきい値(α4)を超えるか否かを判定する。
【0063】
S1乃至S4において、いずれもしきい値(α1〜α4)を超えないと判定された場合にはS5に進み、ステイタス性が低い「L」であると判定する。S1乃至S4のいずれかにおいてしきい値(α1〜α4)を超えていると判定された場合には、S6に進み、ステイタス性が高い「H」であると判定する。なお、この第4実施形態における「H」、「L」は、第1実施形態で説明した図3に示す「H」、「L」と同義である。
【0064】
次に、車内環境適合性については、判定基準として、家庭内でのエアコン設定(温度/風量/吹出口)の単位時間あたりの調整回数、家庭における外気温とエアコン設定温度との差、日照条件の変化回数に対するエアコンの調整回数の比等から、次に説明する図19と同様の手法により、車内環境適合性が高い「H」であるか或いは低い「L」であるかを判定する。
【0065】
次に、事前準備性については、図19に示すような処理内容により、家電製品の操作パターンから判定する。
図19に示すように、先ず、S1において、判定基準としてテレビ番組の切り替え頻度が所定のしきい値(α1)を超えるか否かを判定する。超える場合には、S2に進み、カウンタNCに数値1を足す。超えない場合には、NCに数値を足さずにS3に進む。以後、同様に、判定基準として、CMスキップの頻度(S3)、電子レンジの再スタートの頻度(S5)、PCのキーの入力速さ(S7)、PCのキーの入力のリズムの一定さ(S9)が、それぞれしきい値(α2〜α5)を超える場合にカウンタNCに数値1を足し(S4、S6、S8、S10)、超えない場合には足さない。なお、テレビ番組の切り替え頻度とは、あるテレビ番組の放送中に他局に切り替える頻度であり、CMスキップの頻度とは、ビデオなどの録画情報を再生中にCMをスキップする頻度であり、電子レンジの再スタートの頻度とは、電子レンジを暖め途中で止めたり、再スタートさせたりする頻度である。
【0066】
次に、S11において、そのNCの値が所定のしきい値N以上であるか否かを判定する。NCの値がしきい値N以上であると判定された場合には、S12に進み、せっかちな運転傾向が高いと判定し、しきい値N以上でないと判定された場合には、S13に進み、せっかちな運転傾向が高いと判定する。この第4実施形態では、せっかちな運転傾向が高い場合に、事前準備性が高い「H」であるものとし、せっかちな運転傾向が低い場合に、事前準備性が低い「L」であるものとしている。
【0067】
この第4実施形態においては、PCの操作時にドライバ個人の識別を行い、また、家電製品に対しては、操作ボタンに指紋認証の仕組みを組み込んでおいて、ドライバ個人を認識するようにしている。そして、車両では、車のキー内にオーナー(ドライバ)の識別情報を組み込み、その車のオーナー以外には上述した判定基準を適用しないようにしている。
この第4実施形態においても、以上説明したステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性についてのそれぞれの「H」又は「L」の判定結果を基に、第1実施形態と同様に図3に示すデータからドライバセグメントを判定する。そして、第1実施形態と同様に、判定されたドライバセグメントに応じた最適な表示レイアウトを、上述した情報重要度テーブル及び表示最適化データにより決定し、集中ディスプレイ4に表示する。
【0068】
なお、第2実施形態と同様に、情報表示レイアウトデータにより、最適な表示レイアウトを選定するようにしても良い。
なお、第3実施形態による運転行動によるドライバ特性の自動判定及び第4実施形態の家庭内行動によるドライバ特性の自動判定の両方を組み合わせてドライバ特性を判定するようにしても良い。
【0069】
なお、上述した各実施形態では、ドライバの入力により或いは運転行動や家庭内行動によりドライバセグメントを判定するようにしている。変形例として、記憶装置8に、既に得られているドライバセグメントの判定結果情報と、上述したようなキー内のオーナー識別情報とを対として記憶しておき、キー内の識別情報だけからドライバセグメントを呼び出す、或いは、表示レイアウトやレイアウトルールを呼び出すようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による車両用表示装置が搭載された車両のインストルメントパネルの一部を示す図である。
【図3】ドライバセグメントデータに規定されたドライバ特性とドライバセグメントとの関係を示す図表である。
【図4】ドライバセグメント毎に規定された情報重要度テーブルの内容を示す図表である。
【図5】表示最適化データのうち、アイコン又は文字の大きさに関する表示ルールを示す図表である。
【図6】表示最適化データのうち、アイコン又は文字の面積配分やカテゴリの表示位置等を示す図表である。
【図7】決定木分析によるドライバ特性の分析結果の一例である。
【図8】車内環境適合性についてドライバに提示した質問に対する回答のデータを示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態の車両用表示装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図である。
【図11】図10(a)に示す表画面の表示に対応する裏画面の表示を示す図である。
【図12】標準表示レイアウト及び情報の表示/非表示ルールが適用された各ドライバセグメント毎の表示レイアウトの例を示す図である。
【図13】本発明の第3実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図14】ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【図15】事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【図16】事前準備性の判定基準となるブレーキペダル踏み込み量と事前準備性との関係を示す図である。
【図17】本発明の第4実施形態による車両用表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図18】ステイタス性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【図19】事前準備性を自動判定するための処理内容を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する情報を表示する車両用表示装置であって、
ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、及び、上記ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定された複数の情報表示レイアウトのデータを記憶する記憶手段と、
ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、
上記ドライバセグメントのデータに基づいて、上記判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、
上記情報表示レイアウトのデータに基づいて、上記選定されたドライバセグメントに応じた情報表示レイアウトを選定する情報表示レイアウト選定手段と、
その選定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、
を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
車両に関する複数の情報を表示する車両用表示装置であって、
ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、それらのドライバセグメント毎に情報の重要度を規定した情報重要度のデータ、及び、情報の重要度と表示レイアウトとの関係を定めたレイアウトルールのデータを記憶する記憶手段と、
ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、
上記ドライバセグメントのデータに基づいて、上記判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、
上記情報重要度のデータ及び上記レイアウトルールのデータに基づいて、上記選定されたドライバセグメントに応じた最適な情報表示レイアウトを決定する情報表示レイアウト決定手段と、
その決定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、
を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
上記情報重要度は、車両に関する情報が点数化されて表されると共にその点数に応じてランク分けされて規定されている請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
上記情報表示レイアウト決定手段は、車両に関する情報のカテゴリ毎に、情報の重要度に応じて情報表示レイアウトを決定する請求項2又は請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
上記レイアウトルールは、情報の重要度に応じて、情報の表示の位置、面積、大きさ、色、及び/又は、画面切り替えを規定したものである請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバの運転行動及び/又は家庭内行動からドライバの特性を判定する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバに、ドライバの特性に関する質問を提示すると共に回答を入力させ、その入力結果に基づいてドライバの特性を判定する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
上記複数のドライバセグメントは、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性により分類され、
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性を判定する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
上記複数のドライバセグメントを分類するドライバの特性は、情報の重要度に大きく影響を与えるものを決定木分析により予め選定されたものであり、
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として上記決定木分析により予め選定されたドライバ特性を判定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
上記ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、
上記複数のドライバセグメントは、上記2段階評価の組み合わせにより分類され、
上記ドライバ特性判定手段は、上記複数のドライバの特性をそれぞれ2段階評価により判定する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
上記ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、
上記ドライバの特性に関する質問は、上記複数のドライバの特性に関して1つづつ設定され且つ2段階評価で回答するものである請求項7に記載の車両用表示装置。
【請求項1】
車両に関する情報を表示する車両用表示装置であって、
ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、及び、上記ドライバセグメント毎に情報の重要度を考慮して規定された複数の情報表示レイアウトのデータを記憶する記憶手段と、
ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、
上記ドライバセグメントのデータに基づいて、上記判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、
上記情報表示レイアウトのデータに基づいて、上記選定されたドライバセグメントに応じた情報表示レイアウトを選定する情報表示レイアウト選定手段と、
その選定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、
を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
車両に関する複数の情報を表示する車両用表示装置であって、
ドライバの特性の違いにより分類された複数のドライバセグメントのデータ、それらのドライバセグメント毎に情報の重要度を規定した情報重要度のデータ、及び、情報の重要度と表示レイアウトとの関係を定めたレイアウトルールのデータを記憶する記憶手段と、
ドライバの特性を判定するドライバ特性判定手段と、
上記ドライバセグメントのデータに基づいて、上記判定されたドライバの特性に応じたドライバセグメントを選定するドライバセグメント選定手段と、
上記情報重要度のデータ及び上記レイアウトルールのデータに基づいて、上記選定されたドライバセグメントに応じた最適な情報表示レイアウトを決定する情報表示レイアウト決定手段と、
その決定された情報表示レイアウトにより車両に関する情報を表示する情報表示手段と、
を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
上記情報重要度は、車両に関する情報が点数化されて表されると共にその点数に応じてランク分けされて規定されている請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
上記情報表示レイアウト決定手段は、車両に関する情報のカテゴリ毎に、情報の重要度に応じて情報表示レイアウトを決定する請求項2又は請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
上記レイアウトルールは、情報の重要度に応じて、情報の表示の位置、面積、大きさ、色、及び/又は、画面切り替えを規定したものである請求項2乃至4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバの運転行動及び/又は家庭内行動からドライバの特性を判定する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバに、ドライバの特性に関する質問を提示すると共に回答を入力させ、その入力結果に基づいてドライバの特性を判定する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
上記複数のドライバセグメントは、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性により分類され、
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として少なくともステイタス性、車内環境適合性及び事前準備性を判定する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
上記複数のドライバセグメントを分類するドライバの特性は、情報の重要度に大きく影響を与えるものを決定木分析により予め選定されたものであり、
上記ドライバ特性判定手段は、ドライバの特性として上記決定木分析により予め選定されたドライバ特性を判定する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
上記ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、
上記複数のドライバセグメントは、上記2段階評価の組み合わせにより分類され、
上記ドライバ特性判定手段は、上記複数のドライバの特性をそれぞれ2段階評価により判定する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
上記ドライバの特性は複数あり且つ2段階評価により判定可能であり、
上記ドライバの特性に関する質問は、上記複数のドライバの特性に関して1つづつ設定され且つ2段階評価で回答するものである請求項7に記載の車両用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−203750(P2007−203750A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21294(P2006−21294)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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