説明

車両用表示装置

【課題】グラデーション表示の見え方をアンビエント表示領域の照明色によらず安定させる。
【解決手段】情報表示領域22の周囲にアンビエント表示領域24を確保する表示板20、異色の光を放射する光源部300,302、光源部300,302から表示側への放射光を個別に反射する個別反射部301,303、個別反射部301,303からの反射光を表示板20の板面方向Sのうち共通のアンビエント表示領域24側へ反射する共通反射部304、光源部300,302の点灯を切替制御する制御回路40を設ける。光源部300,302と個別反射部301,303と共通反射部304とからなり、板面方向Sに垂直にアンビエント表示領域24を通る第一仮想平面310に関して対称な各照明構造30にて、板面方向Sに垂直に第一仮想平面310に交差する第二仮想平面311は反射部301,303,304を通る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示板において車両情報を表示する情報表示領域の周囲に、発光表示されるアンビエント表示領域を確保するようにした車両用表示装置が、知られている。
【0003】
こうした車両表示装置の一種として特許文献1に開示の装置では、異色の光を放射する複数の光源部の点灯を車両状態に応じて切替制御することにより、アンビエント表示領域が、点灯した光源部からの光で照明されて発光表示されることになる。このように発光表示されるアンビエント表示領域の照明色から車両乗員は、車両状態を直感的に把握することが可能となるので、情報伝達性の向上を期待できるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−79847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献1に開示の装置においては、例えば各色の光源部を一つずつに限定することにより、点灯した光源部からの光で照明されるアンビエント表示領域において、当該点灯光源部から離れるほど照明輝度が低下するグラデーション表示を、実現できる。しかし、特許文献1に開示の装置によると、各色の光源部が表示板の板面方向に並べて設けられるので、アンビエント表示領域では、それら各色の光源部による照明範囲が当該板面方向にずれて、車両乗員によるグラデーション表示の見え方が照明色毎に異なってしまう。
【0006】
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、アンビエント表示領域におけるグラデーション表示について、車両乗員による見え方を当該アンビエント表示領域の照明色によらずに安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、車両情報を表示する情報表示領域の周囲に、発光表示されるアンビエント表示領域を確保する表示板と、点灯によりそれぞれ異色の光を放射する複数の光源部と、複数の光源部から表示板の表示側へ向かって放射された光を、それぞれ個別に反射する複数の個別反射部と、複数の個別反射部によりそれぞれ反射された光を、表示板の板面方向のうち共通のアンビエント表示領域側へ反射する共通反射部と、複数の光源部の点灯を、車両状態に応じて切替制御する制御部と、を備え、複数の光源部と複数の個別反射部と共通反射部とからなる照明構造は、表示板の板面方向に垂直にアンビエント表示領域を通る第一仮想平面に関して、対称に設けられ、各照明構造において、表示板の板面方向に垂直に第一仮想平面と交差する第二仮想平面は、複数の個別反射部と共通反射部を通ることを特徴とする。
【0008】
このような発明の各照明構造によると、複数の光源部から表示板の表示側へ向かって放射される異色の光は、それぞれ個別反射部によって個別に反射され、さらに表示板の板面方向のうち共通のアンビエント表示領域側へ共通反射部によって反射される。こうした各照明構造において、表示板の板面方向に垂直な仮想平面のうち第一仮想平面と交差した第二仮想平面が通る共通反射部は、当該第二仮想平面が同様に通る複数の個別反射部からの反射光をいずれも、当該第二仮想平面との交差箇所にて受け得る。その結果、点灯する光源部の切替制御によりいずれの色の光が放射される場合でも、共通反射部により第二仮想平面との交差箇所にて反射された光がアンビエント表示領域を照明することになるので、その照明範囲は表示板の板面方向にずれ難い。しかも、アンビエント表示領域を通る第一仮想平面に関して対称な各照明構造の共通反射部からの反射光による照明輝度は、当該アンビエント表示領域にて第一仮想平面から離間するほど低下することになるので、第一仮想平面の両側にて同様なグラデーション表示を実現できる。これらのことによれば、アンビエント表示領域におけるグラデーション表示について、車両乗員による見え方を当該アンビエント表示領域の照明色によらずに安定させることが、可能となるのである。
【0009】
請求項2に記載の発明において、各照明構造の共通反射部は、第一仮想平面上において相互接続され、第一仮想平面に近付くほどアンビエント表示領域側へ張り出す形状を、記第一仮想平面に関して対称に有する。このような発明において各照明構造の共通反射部は、相互接続箇所となる第一仮想平面に近付くほどアンビエント表示領域側へと張り出す形状により、互いの反射光が当該第一仮想平面を越えて干渉しグラデーション表示を乱す事態を、抑制し得る。しかも、各照明構造の共通反射部の張り出し形状は第一仮想平面に関して対称であるので、それら共通反射部による反射光がアンビエント表示領域を照明することで実現されるグラデーション表示については、当該第一仮想平面の両側にて違いが生じ難くなる。これらのことによれば、アンビエント表示領域にて第一仮想平面から両側に離間するほど照明輝度が確実且つ同様に低下するグラデーション表示について、車両乗員による見え方を当該アンビエント表示領域の照明色によらずに安定させることが、可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明の各照明構造において、複数の個別反射部と共通反射部とは、光を誘導する導光部材のうち第二仮想平面が交差するカット面により、それぞれ形成され、アンビエント表示領域において導光部材は、各照明構造の共通反射部からの反射光により照明される。このような発明の各照明構造では、導光部材のカット面から形成される複数の個別反射部及び共通反射部に第二仮想平面が交差するので、それら個別反射部からの反射光は導光部材を誘導されて、共通反射部のうち当該第二仮想平面の交差箇所に到達し得る。これによれば、共通反射部により第二仮想平面との交差箇所にて反射された光がアンビエント表示領域にて導光部材を照明することで、確実に発光させることのできる照明範囲については、ずれの抑制作用を発揮してグラデーション表示の見え方を安定させることが、可能となる。
【0011】
請求項4に記載の発明の各照明構造において、第二仮想平面は複数の光源部を通る。このような発明の各照明構造では、第二仮想平面を通る複数の光源部から放射される光は、当該第二仮想平面を通る個別の個別反射部により反射されることで、共通反射部のうち当該第二仮想平面との交差箇所に正確に到達し易い。これによれば、共通反射部により第二仮想平面との交差箇所にて反射された光が実現するアンビエント表示領域の照明範囲について、ずれの抑制作用を確実に発揮してグラデーション表示の見え方を安定させることが、可能となる。
【0012】
請求項5に記載の発明の各照明構造において、複数の個別反射部と共通反射部とは、光を誘導する導光部材のうち、表示板の板面方向に垂直且つ第一仮想平面に垂直な第二仮想平面が交差するカット面により、それぞれ形成される。このような発明の各照明構造では、表示板の板面方向に垂直且つ第一仮想平面に垂直な第二仮想平面が交差するように、光を誘導する導光部材のカット面から複数の個別反射部及び共通反射部が形成されるので、それら反射部の形成範囲が小さくなる。故に、特徴的な照明構造の対称配置による装置の大型化を抑制しつつ、グラデーション表示の見え方を安定させることが、可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による車両用表示装置を示す正面図である。
【図2】図1の車両用表示装置の照明構造及び文字板を示す正面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視図である。
【図4】図1の車両用表示装置の照明構造を示す斜視図である。
【図5】図1の車両用表示装置のアンビエント表示領域における発光表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜4は、本発明の一実施形態による車両用表示装置1を示している。車両用表示装置1は、車両内のインストルメントパネルに設置されるコンビネーションメータである。車両用表示装置1は、見返し板10、表示板20、照明構造30及び制御回路40を備えている。尚、図1,2の上下方向は、水平面上における車両の鉛直方向(以下、単に「鉛直方向」という)と略一致し、また図1〜4の左右方向は、水平面上における車両の水平方向(以下、単に「水平方向」という)と略一致している。
【0015】
図1に示すように見返し板10は、不透光性樹脂によって枠状に形成されている。見返し板10は、表示板20及び照明構造30をそれぞれ部分的に露出させるように、表示開口部12を形成している。
【0016】
図1,2に示すように表示板20は、例えばポリカーボネート等からなる透光性樹脂基板に遮光性印刷層等を積層することによって、平板状に形成されている。表示板20は、車両情報を表示する情報表示領域22と、当該領域22の周囲にて発光表示されるアンビエント表示領域24とを、表示開口部12の内周側に確保している。ここで情報表示領域22は、加飾リング23にて囲まれた円形領域となっており、特に本実施形態では、車両情報としての車速情報を指針26の回転位置に応じて表示する。アンビエント表示領域24は、情報表示領域22の鉛直方向上側に設けられた帯形領域となっており、車両状態に応じた色の光で照明されて発光する。特に本実施形態のアンビエント表示領域24は、車両にて消費電力の抑制を重視した第一走行モードが選択されている場合には、青色光で照明される一方、車両の動力源による発生トルクを重視した第二走行モードが選択されている場合には、赤色光で照明される。
【0017】
照明構造30は、アンビエント表示領域24の水平方向中心部を鉛直方向に通過するように表示板20の板面方向S(図1,2は、表示板20の板面に沿った任意の方向Sのうち、鉛直方向と略一致した方向を示す)に垂直に想定される第一仮想平面310に関して、面対称の形態にて一対設けられている。即ち、各照明構造30は、第一仮想平面310を挟んで左右対称となるように構成されている。図1〜4に示すように各照明構造30は、第一光源部300、第一個別反射部301、第二光源部302、第二個別反射部303、共通反射部304及び発光表示部305等から、構成されている。ここで特に本実施形態では、両照明構造30の要素301,303,304,305は、例えばアクリル等からなる透光性樹脂によって光の誘導機能を発揮する導光部材308に、一体的に形成されている。尚、以下の説明では、左右対称である各照明構造30のうち一方の構成を中心に、説明する。
【0018】
図2〜4に示すように発光ダイオード(LED)からなる第一光源部300は、通電により点灯して所定色の光、特に本実施形態では、第一走行モードにおけるアンビエント表示領域24の照明色に対応した青色光を、放射する。第一個別反射部301は、導光部材308のうち表示板20の板面方向S(特に図3は、表示板20の板面に沿った任意の方向Sのうち、水平方向と略一致した方向を示す)に対して傾斜する平坦なカット面によって、形成されている。第一個別反射部301は、第一光源部300よりも表示側に配置されることにより、図4の実線の如く当該第一光源部300から表示側に放射された光を第一仮想平面310側へ反射する。ここで、特に本実施形態の第一個別反射部301は、第一仮想平面310に垂直且つ板面方向Sに垂直に想定される第二仮想平面311が表示側からの平面視(図2を参照)にて直交するように、配置されている。また、こうして第一個別反射部301を通る第二仮想平面311は、本実施形態では第一光源部300をも通る形となっている。
【0019】
図2〜4に示すように発光ダイオード(LED)からなる第二光源部302は、通電により点灯して第一光源部300とは異なる色の光、特に本実施形態では、第二走行モードにおけるアンビエント表示領域24の照明色に対応した赤色光を、放射する。第二個別反射部303は、導光部材308のうち表示板20の板面方向Sに対して傾斜する平坦なカット面によって、形成されている。第二個別反射部303は、第二光源部302よりも表示側に配置されることにより、図4の一点鎖線の如く当該第二光源部302から表示側に放射された光を第一仮想平面310側へ反射する。ここで、特に本実施形態の第二個別反射部303は、第一個別反射部301の場合と同じ第二仮想平面311が表示側からの平面視(図2を参照)にて直交するように、当該第一個別反射部301よりも表示側且つ第一仮想平面310側へずれた箇所に、配置されている。また、こうして第二個別反射部303を通る第二仮想平面311は、本実施形態では第二光源部302をも通る形となっている。
【0020】
図2〜4に示すように共通反射部304は、導光部材308のうち表示板20の板面方向Sに対して傾斜するカット面によって、形成されている。ここで、特に本実施形態の共通反射部304は、個別反射部301,303の場合と同じ第二仮想平面311が表示側からの平面視(図2を参照)にて交差するように、アンビエント表示領域24の鉛直方向上側に配置されている。これにより共通反射部304は、図4の実線及び一点鎖線の如く各個別反射部301,303から反射された光を、板面方向Sのうち当該アンビエント表示領域24側に向かう方向へとさらに反射する。また、本実施形態の共通反射部304は、第二個別反射部303から第一仮想平面310側へずれた箇所から当該第一仮想平面310に至る範囲において、当該第一仮想平面310に近付くほどアンビエント表示領域24側へ張り出す湾曲面形状に、形成されている。これにより、第一仮想平面310に関して対称性を有する各照明構造30の共通反射部304は、当該第一仮想平面310上にて相互接続されることで、表示側からの平面視にて円弧状に連なる連続面を構成している。
【0021】
図1,2,4に示すように発光表示部305は、導光部材308のうちアンビエント表示領域24に配置されることで表示開口部12から露出する平板部によって、形成されている。このアンビエント表示領域24の発光表示部305は、図4の実線及び一点鎖線の如く共通反射部304から反射された光により照明されることで、当該照明光の色に発光する。ここで特に本実施形態では、各照明構造30の発光表示部305が第一仮想平面310上にて相互接続されることで、一体的に発光する構成となっている。尚、本実施形態の各照明構造30においては、共通反射部304からの光を表示側に反射するためのシボ加工が、発光表示部305の板面のうち裏面に施されることで、発光表示部305の発光輝度が高められている。
【0022】
「制御部」として、例えばマイクロコンピュータ等の電子回路により構成される制御回路40は、図3に示すように、各照明構造30の光源部300,302及び車両のモード切替スイッチ2と回路基板41上にて電気接続されている。ここでモード切替スイッチ2は、車両乗員の操作により第一走行モード及び第二走行モードの切替信号を入力可能に、車両内の運転席近傍に設置されている。制御回路40は、かかるモード切替スイッチ2からの切替信号に基づいて、各照明構造30の光源部300,302の点灯を切替制御する。具体的に制御回路40は、モード切替スイッチ2からの切替信号が第一走行モードを表す場合には、当該第一走行モードが車両乗員により選択されたとして、各照明構造30の第一光源部300のみへの通電により青色光を放射する。その結果、各照明構造30では、図4の実線の如く第一光源部300からの青色光が第一個別反射部301により反射され、さらに共通反射部304により反射されることで、発光表示部305が照明されて、青色の発光表示がアンビエント表示領域24にて実現される。また一方、制御回路40は、モード切替スイッチ2からの切替信号が第二走行モードを表す場合には、当該第二走行モードが車両乗員により選択されたとして、各照明構造30の第二光源部302のみへの通電により赤色光を放射する。その結果、各照明構造30では、図4の一点鎖線の如く第二光源部302からの赤色光が第二個別反射部303により反射され、さらに共通反射部304により反射されることで、発光表示部305が照明されて、赤色の発光表示がアンビエント表示領域24にて実現されるのである。
【0023】
以上説明したように装置1は、特徴的な構成の照明構造30を一対備えている。それら各照明構造30によると、光源部300,302から表示側へ放射される異色の光は、それぞれ個別反射部301,303によって個別に反射され、さらに表示板20の板面方向Sのうち共通のアンビエント表示領域24側へ共通反射部304によって反射される。こうした各照明構造30において、板面方向Sに垂直な仮想平面310,311のうちアンビエント表示領域24を二分する第一仮想平面310に対して直交する第二仮想平面311は、個別反射部301,303及び共通反射部304を通過する形となっている。これにより、第二仮想平面311が同様に通過している個別反射部301,303により反射された光は、共通反射部304のうち当該仮想平面311との交差箇所312(図2を参照)に、導光部材308を通じて到達し得る。このとき、光源部300,302にも第二仮想平面311が通過する本実施形態では、それら光源部300,302の放射光が当該仮想平面311上の個別反射部301,303により反射されて、当該仮想平面311上となる交差箇所312に正確に到達し易い。
【0024】
したがって、点灯する光源部300,302の切替制御によりいずれの色の光が放射される場合でも、共通反射部304により交差箇所312にて反射される光は、アンビエント表示領域24にて導光部材308が形成する発光表示部305を照明することになる。その結果、アンビエント表示領域24では、発光表示部305が確実に発光し得るだけでなく、点灯する光源部300,302の切替に拘らずに照明範囲が板面方向Sにずれ難くなる。
【0025】
ここで、第一仮想平面310に関して対称な各照明構造30の共通反射部304からの反射光による照明輝度は、アンビエント表示領域24の発光表示部305を通る当該第一仮想平面310から離間するほど低下するので、図5の如きグラデーション表示28を実現できる。また特に、各照明構造30の共通反射部304は、相互接続箇所となる第一仮想平面310に近付くほどアンビエント表示領域24側へ張り出す形状により、互いの反射光が当該第一仮想平面310を越えて干渉しグラデーション表示28を乱す事態を、抑制し得る。さらに、各照明構造30の共通反射部304の張り出し形状は第一仮想平面310に関して対称であるので、それら共通反射部304による反射光が実現するグラデーション表示28については、当該第一仮想平面310の両側にて違いが生じ難くなる。
【0026】
このような装置1のアンビエント表示領域24では、第一仮想平面310から両側に離間するほど照明輝度が確実且つ同様に低下するグラデーション表示28について、車両乗員による見え方を照明色によらずに安定させることが、可能となる。しかも、そうした効果を齎す各照明構造30の個別反射部301,303及び共通反射部304は、板面方向S及び第一仮想平面310に垂直な第二仮想平面311が交差するように、導光部材308の個別のカット面から形成されるので、形成範囲が小さくなる。故に、アンビエント表示領域24におけるグラデーション表示28の見え方の安定性は、特徴的な照明構造30の対称配置による装置1の大型化を抑えた状態で、獲得され得るのである。
【0027】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0028】
具体的には、各照明構造30における光源部及び個別反射部の組としては、上記実施形態の如き二組(第一光源部300及び第一個別反射部301の組と、第二光源部302及び第二個別反射部303の組)を設ける以外にも、三組以上を設けてもよい。また、各照明構造30において光源部300,302及び反射部301,303,304を通る第二仮想平面311としては、上記実施形態の如く第一仮想平面310に垂直に交差する仮想平面以外にも、第一仮想平面310に鋭角又は鈍角をもって交差する仮想平面を、採用してもよい。さらに、各照明構造30における光源部300,302については、第二仮想平面311から外れる箇所に設けてもよい。またさらに、各照明構造30において発光表示部305を設けないで、アンビエント表示領域24にて表示板20の表示側の板面(前面)を共通反射部304からの光により照明して、発光させてもよい。
【0029】
加えて、各照明構造30において第一光源部300及び第二光源部302からの放射光の色(即ち、アンビエント表示領域24における照明色)については、それぞれ上記実施形態の如き青色及び赤色以外であっても勿論よく、適宜な色を選択することができる。また加えて、各照明構造30における第一光源部300及び第二光源部302としては、上記実施形態の如き要求色の光を放射するLEDのみから構成する以外にも、例えば白色光を放射するLEDの表示側に要求色のフィルタを配置してなる構成等を、採用してもよい。さらに加えて、各照明構造30における個別反射部301,303の形状としては、上記実施形態の如き平坦面形状以外にも、例えば湾曲面形状等を採用してもよい。またさらに加えて、各照明構造30における共通反射部304の形状としては、上記実施形態の如く第一仮想平面310に近付くほどアンビエント表示領域24側へ張り出す湾曲面形状以外にも、例えば第一仮想平面310に近付くほどアンビエント表示領域24側へ張り出す平坦面形状等を、採用してもよい。
【0030】
以上の他、光源部300,302の点灯の切替制御については、車両状態として上記実施形態の如き走行モードに基づく以外にも、例えば燃料残量や車速等に基づいて実施してもよい。さらには、周囲にアンビエント表示領域24が確保される情報表示領域22については、車両情報として上記実施形態の如き車速を表示するもの以外にも、例えば燃料残量や動力源の回転速度、ハイブリッドシステムの状態値等を表示するものであってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 車両用表示装置、2 モード切替スイッチ、10 見返し板、12 表示開口部、20 表示板、22 情報表示領域、23 加飾リング、24 アンビエント表示領域、26 指針、28 グラデーション表示、30 照明構造、40 制御回路(制御部)、41 回路基板、300 第一光源部、301 第一個別反射部、302 第二光源部、304 共通反射部、305 発光表示部、308 導光部材、310 第一仮想平面、311 第二仮想平面、312 交差箇所、S 板面方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示する情報表示領域の周囲に、発光表示されるアンビエント表示領域を確保する表示板と、
点灯によりそれぞれ異色の光を放射する複数の光源部と、
前記複数の光源部から前記表示板の表示側へ向かって放射された光を、それぞれ個別に反射する複数の個別反射部と、
前記複数の個別反射部によりそれぞれ反射された光を、前記表示板の板面方向のうち共通の前記アンビエント表示領域側へ反射する共通反射部と、
前記複数の光源部の点灯を、車両状態に応じて切替制御する制御部と、を備え、
前記複数の光源部と前記複数の個別反射部と前記共通反射部とからなる照明構造は、前記表示板の板面方向に垂直に前記アンビエント表示領域を通る第一仮想平面に関して、対称に設けられ、
各前記照明構造において、前記表示板の板面方向に垂直に前記第一仮想平面と交差する第二仮想平面は、前記複数の個別反射部と前記共通反射部とを通ることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
各前記照明構造の前記共通反射部は、前記第一仮想平面上において相互接続され、前記第一仮想平面に近付くほど前記アンビエント表示領域側へ張り出す形状を、前記第一仮想平面に関して対称に有することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
各前記照明構造において、前記複数の個別反射部と前記共通反射部とは、光を誘導する導光部材のうち前記第二仮想平面が交差するカット面により、それぞれ形成され、
前記アンビエント表示領域において前記導光部材は、各前記照明構造の前記共通反射部からの反射光により照明されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
各前記照明構造において、前記第二仮想平面は前記複数の光源部を通ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
各前記照明構造において、前記複数の個別反射部と前記共通反射部とは、光を誘導する導光部材のうち、前記表示板の板面方向に垂直且つ前記第一仮想平面に垂直な前記第二仮想平面が交差するカット面により、それぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144146(P2012−144146A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4046(P2011−4046)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】