説明

車両用表示装置

【課題】 充電時の充電状態を容易に確認できる車両の表示装置を提供する。
【解決手段】 充電速度の異なる複数種類の充電設備A,Bと接続可能な車両に搭載され、充電設備A,Bから車載バッテリへ充電する車両の表示装置であって、前記車両に搭載される液晶表示パネル1と、充電設備A,B、または充電設備A,Bと接続する車載接続機器Cからの充電情報に基づいて充電設備A,Bの種類を判別し、前記車両と接続中の充電設備A,Bの種類に関する接続先表示情報11とともに、前記充電情報に基づいて前記車載バッテリが充電状態であるか否かを示す状態表示情報12を液晶表示パネル1に表示させる制御手段4と、を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やプラグインハイブリッド駆動車など、外部電源から車載バッテリへ充電するため充電設備と接続可能な車両の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車には電動モータのみを駆動源とする車両や、駆動源として電動モータとエンジンとを有するハイブリッド駆動車とがある。何れのタイプの電気自動車においても、電動モータに電力を供給するために蓄電デバイスとしての車載バッテリを有しており、バッテリの残存容量が低下した場合には、バッテリを充電することになる。
【0003】
特に、電動モータのみを駆動源とする電気自動車やプラグインハイブリッド駆動車にあっては、専用の急速充電スタンドを含む充電用施設(以下、充電設備と記す)において短時間でバッテリの満充電を実現するための急速充電器の開発が進められているが、現実的には、ガソリンスタンドで短時間に燃料を満タンにする作業時間に比べて、充電に要する時間は長い。このため、車両利用者は、充電している間、待機することになる。
【0004】
また、充電設備として、専用の急速充電スタンドだけでなく、例えば、特許文献1に示すように、家庭用電源から効率よく充電するものも開示されている。
【0005】
上述電気自動車においては、車載バッテリを充電設備から充電する時に、車載バッテリの残存容量(蓄電容量)や充電終了時間等の充電情報を車両利用者に知らせる必要があり、例えば、特許文献2には、車載バッテリの充電状態を車両の後部に設けられたハイマウントストップランプに表示するようにしたバッテリ充電状態表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−219733号公報
【特許文献2】特開2000−102104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車載バッテリを充電する際には、接続する充電設備、必要な充電量、充電時間など、車両利用者にとって様々な情報が有益である。例えば、これらの情報に基づいて、充電時間を利用した計画や、充電設備の変更、満充電となる前に途中で充電停止など、車両利用者の利用状況に応じた充電方法を決定することができる。
【0008】
しかしながら、接続する充電設備を目視によって確認し、例えば、充電量の割合表示や、残り充電時間などの充電に関する情報が前記充電設備の表示パネルに表示されると同時に、車載計器などに走行可能距離などが表示されるため、様々な情報を別々に確認する必要があり、充電作業を繁雑になる問題があった。
【0009】
特に車両に接続できる充電設備が多様である場合には、設備の種類や規格によって表示内容や表示レイアウトが異なるなど、充電状態を把握し難いという問題があった。また、接続先の充電設備の給電仕様を確認する作業も煩雑であるという問題があった。
【0010】
そこで本発明の目的とするところは、上述した課題に着目してなされたものであって、充電時の充電状態を容易に確認できる車両の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両の表示装置は、充電速度の異なる複数種類の充電設備と接続可能な車両に搭載され、前記充電設備から車載バッテリへ充電する車両の表示装置であって、前記車両に搭載される表示手段と、前記充電設備、または前記充電設備と接続する車載接続機器からの充電情報に基づいて前記充電設備の種類を判別し、前記車両と接続中の前記充電設備の種類に関する接続先表示情報とともに、前記充電情報に基づいて前記車載バッテリが充電状態であるか否かを示す状態表示情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0012】
また、前記制御手段は、前記車両が充電速度の異なる複数種類の充電設備と同時に接続状態である場合に、何れの充電設備からの給電状態であるかを識別可能な状態表示情報を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0013】
また、前記制御手段は、前記充電情報に基づいて異常の有無を判定し、前記異常がある場合には、異常状態である接続先の前記充電設備を示す前記接続先表示情報とともに、前記異常状態を示す異常情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0014】
また、前記制御手段は、前記充電設備の種類として、家庭用電源または急速充電設備の接続状態を識別可能な前記接続先表示情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0015】
また、前記制御手段は、前記充電情報に基づいて、所定容量充電されるまでの第1の予想時間と、満充電されるまでの第2の予想時間とを充電参考情報として前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0016】
また、前記制御手段は、前記充電情報に基づいて、今回の充電時間、残り充電時間、充電済みバッテリ容量、走行可能距離、充電料金のうち少なくともひとつの情報を充電参考情報として前記表示手段に表示可能に設けてなることを特徴とする。
【0017】
また、前記制御手段は、前記充電設備との接続状態において、前記車両の所定走行距離内、または前回充電から今回充電までの間における単位電力消費量あたりの走行距離を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、電気自動車やプラグインハイブリッド駆動車など、外部電源から車載バッテリへ充電するため充電設備と接続可能な車両の表示装置に関し、充電時の充電状態を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】同上実施の形態におけるバッテリ充電時の表示を示す図。
【図3】同上実施の形態における充電モードにおける制御手段の処理手順を示す図。
【図4】同上実施の形態におけるバッテリ充電時の異常状態の表示を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明が電気自動車の車載計器として適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。なお、以下実施例の電気自動車は、家庭用電源の100Vコンセントや200Vコンセント、あるいは200V急速充電用電源などの設備とケーブルを用いて接続可能に設けられる。
【0021】
図1は、本発明に係る構成を示すブロック図であり、液晶表示パネル1と、バックライト2と、入力手段3と、制御手段4と、を備えている。これらの構成は、回路基板や配線等を介して電気的に接続されており、合成樹脂からなるケースKに保持され、車両利用者が運転中に確認しやすいように車両前方のインストルメントパネルに設けられる。
【0022】
液晶表示パネル1は、制御手段4からの制御信号に基づいて、透過/不透過を切り換えて表示像を形成することによって、車両速度や走行距離、残容量、警報など所望の車両情報を表示する出力手段である。また、液晶表示パネル1は、偏光膜と透明電極とを備えた一対の透光性基板間に液晶を封入してなる液晶表示素子や駆動ドライバを設けてなり、その表示面がケースKの開口を介して車両利用者から視認できるように車両利用者に対向する位置や角度にて設けられる。
【0023】
また、液晶表示パネル1は、後述する充電モード時に、制御手段4からの制御信号に基づいて、図2に示すように、接続先表示情報11と、車載バッテリが充電状態であるか否かを示す状態表示情報12と、残り時間や満充電に対する蓄電容量の割合などを含む充電参考情報13と、を表示できる。これら情報によってバッテリ充電中であることや充電作業の進捗具合を確認することができる。
【0024】
バックライト2は、発光ダイオードからなる光源を用いてなり、液晶表示パネル1の表示面の反対側に設けられる。この場合、バックライト2は、前記回路基板上に設けられるLEDチップ素子を適用でき、制御手段4からの制御信号に応じて、出力輝度を変更できるように回路構成されている。なお、バックライト2は、ライトガイドを用いたエッジライト方式であってもよい。また、液晶表示パネル1の背面側に拡散板などを介在させて、バックライト2からの照明光を斑無く液晶表示パネル1面に照射することもできる。
【0025】
入力手段3は、車載計器の積算走行距離や区間走行距離などを切替え表示するためのトリップスイッチ、または液晶表示パネル1を含む車載計器の照明輝度を設定するための調光スイッチを適用できる。また、入力手段3は、車両利用者の押圧操作に応じた操作信号を制御手段4へ出力する。
【0026】
制御手段4は、所定プログラムや各種データの格納、演算時の記憶領域などに用いる図示しないROMやRAM等の記憶部と、前記所定プログラムに従って演算処理するためのCPUと、入出力インターフェース等を設けてなるマイクロコンピュータを適用でき、入力手段3からの操作信号や、車両の各種センサに基づく車両情報を専用ケーブルを介して入力し、これらの信号に応じて液晶表示パネル1やバックライト2を制御するための制御信号を生成し出力する。
【0027】
制御手段4は、別途車載されるメインスイッチ(起動スイッチ)がオンされることによって車載計器が起動し、車両速度などの車両情報を液晶表示パネル1に表示させる通常モードと、メインスイッチがオフされることによって車載計器の通常表示出力を停止させ省電力動作させる停止モードと、電源プラグの接続によってバッテリ充電可能状態にある場合に充電状態を液晶表示パネル1に表示出力させる充電モードとを用意してある。
【0028】
なお、制御手段4は、車外の充電設備(この場合、急速充電設備Aまたは家庭用電源B)と、車載接続機器Cとが接続することによって、充電モードに切り換えてなり、充電設備A,Bからの通信情報、あるいは車載バッテリへの充電状態を車載接続機器Cによって監視しこれに基づく情報を、充電情報として入力できるように構成されている。
【0029】
また、制御手段4は、充電設備からの充電情報を得る場合には、充電プラグと同様に通信専用あるいは充電用ケーブルと兼用の配線を介して端子接続することによって有線通信したり、光や電波等の無線通信接続を行うなどして、実現できる。この場合、充電設備A,Bと車載接続機器Cとの通信プロトコルが適応していればよく、正確な充電設備A,Bの充電情報を得ることが可能となる。また、車載接続機器Cは、この場合、車載バッテリの残容量や、劣化状態を監視するため、車載バッテリに接続された電流センサ等を備えた回路装置を適用でき、充電ケーブルとの接続状態や充電中における電圧などを検出し、この結果を、通信を介して充電情報として制御手段4などに送信する構成である。このため、充電設備A,Bからの充電情報を通信にて得ることができない場合であっても、車載接続機器Cが充電情報を生成することができ、特に、家庭用電源Bとの接続状態を判別する際に好適である。
【0030】
この場合、制御手段4は、充電情報に基づいて、図2に示すように、接続先表示情報11と、状態表示情報12と、充電参考情報13とを表示している。
【0031】
接続先表示情報11は、車両と接続中の充電設備A,Bの種類に関して車両利用者が識別できるようにするもので、この場合、コンセントと2極プラグ(コンセント接続用プラグ)や、充電スタンドと専用充電ガン(専用充電設備)などの特徴部分を示す形状、充電設備の出力電圧や出力電力を示す表示を行うものを図示したが、例えば、車両における充電用ケーブルとの接続箇所を示す画像表示や、「家庭用電源に接続中」、「急速充電用電源に接続中」などの文字表示を行ってもよい。なお、車両が複数種類の充電設備A,Bと同時に接続可能な場合には、それらの種類すべて表示できるようにレイアウトして液晶表示パネル1に表示させる。
【0032】
車両利用者は、接続先表示情報11によって、車外の充電設備A,Bに設けられる表示パネル上の表示を確認しなくても、車内で接続先の充電設備A,Bの種類について確認できる。また、車両利用者は、充電完了後、車両を運転操作するまでに、接続先表示情報11を確認することによって、充電設備A,Bとの接続状態、特に、接続数や接続種類を容易に確認できるため、スムーズに電源プラグ等の取り外し作業に移行できる。また、車両利用者は、接続先表示情報11として、出力電力を表示することによって、充電設備の種類毎に異なる表示箇所を探さなくても車内で充電設備A,Bの仕様情報を得ることができる。
【0033】
状態表示情報12は、車載バッテリが充電(給電)状態であるか否かを車両利用者が識別できるように示す表示であり、この場合、接続先表示情報11のうち充電状態にある図を囲む表示枠にて示すとともに、この表示枠を点滅、あるいは接続先表示情報11の電源プラグの形状の表示をアニメーションによる輝度や色の表示変化を行うことで、作動中(充電中)であることを識別できるようにしている。また、状態表示情報12を接続先表示情報11に関連づけることによって、充電設備A,Bのうち何れの充電設備からの給電によって充電しているかを識別できる。また、この場合、「急速充電中」の文字表示を同時に表示することによって、車両利用者が充電状態を認識し易いようにしている。
【0034】
充電参考情報13は、満充電までの残り充電時間(第1の予想時間)と所定容量(充電設備側で設定した容量、例えば、満充電の80%)まで充電するために必要な残り充電時間(第2の予想時間)や満充電に対する蓄電容量の割合を示すバーグラフなどの表示であり、充電作業の進捗具合などを確認できる。なお、前記第1,2の予想時間を同時に表示することによって、車両利用者にとって、最適な充電時間を選択、または変更する際の判断基準として有益な情報となる。
【0035】
また、制御手段4は、入力手段3からの操作信号に基づいて、液晶表示パネル1の表示画面を切り換えることによって、充電開始からの経過時間(今回の充電時間)、充電済みバッテリ容量、過去の車両情報から予測される走行可能距離などの充電参考情報を選択して表示させることもできる。これらの充電参考情報は、車両利用者の車両の利用計画に応じた充電方法を選択するための目安となる。
【0036】
また、制御手段4は、充電設備A,Bとの接続状態、即ち、充電モードの際において、前述接続先表示情報11、状態表示情報12、充電参考情報13の表示と同時に、車両の所定走行距離内、または前回充電から今回充電までの間における単位電力消費量あたりの走行距離を車両情報14として、液晶表示パネル1に表示させるように制御する。車両利用者は、この車両情報14によって、車両の過去の利用状況を接続先表示情報11や充電参考情報13などとともに確認でき、車両の利用計画や充電方法を選択するための判断基準としてより詳細な情報を得ることができるだけでなく、複数の情報を容易に比較できるため情報の用途を多様化できる。また、消費に関する注目度合いが高いと思われる充電完了までの待ち時間(充電中の時間)に、電力消費率に関する車両情報14を表示することによって、省電力運転に対する評価や再認識の機会を与えるための、より効果的な表示タイミングとなる。
【0037】
また、入力手段3の操作、あるいは、時刻や充電状態など他の条件によって表示切り換えすることによって、残り走行可能距離を車両情報として表示することもできる。この場合、前記単位電力消費量あたりの走行距離と蓄電容量に基づいて、残り走行可能距離を予測演算できる。なお、空気調和器などの電装品の使用状態を考慮して演算や表示することも考えられる。
【0038】
次に、前記充電モードに係る制御手段4の処理手順について図3を用いて説明する。
【0039】
制御手段4は、充電モードであるか否かを判定するモード判定処理(ステップS1)を行う。制御手段4は、電源プラグの接続状態や充電(給電)中であるか否かを検出することによって充電モードであるか否かを判別できる。
【0040】
制御手段4は、ステップS1のモード判定処理によって、充電モードであると判定した場合、接続や給電状態に異常がないか否かを充電情報に基づいて判定する異常判定処理(ステップS2)を行う。なお、制御手段4は、充電設備A,B、または車載接続機器Cによって別途なされる異常診断処理の結果情報を入力することで、異常判別する。
【0041】
制御手段4は、ステップS2の異常判定処理によって、異常状態であると判定した場合には、接続先表示情報11とともに、異常である旨の警報表示を液晶表示パネル1に表示させる(ステップS3)。例えば、図4に示すように、異常と判定された充電設備Bの接続先表示情報11とともに、警報マークの表示や接続異常である旨の文字表示を異常情報15として出力することによって、車両利用者に注意を促すことができる。この際、制御手段4は、バックライト2を点滅することによって、異常状態を強調することができる。また、制御手段4は、図示しないスピーカを制御するなどして、音声や警報音によって、車両内外に報知することもできる。
【0042】
また、制御手段4は、ステップS2の異常判定処理によって、異常状態でないと判定した場合には、車両利用者が乗車中であるか否かを判定する乗車判定処理(ステップS4)を行う。この場合、制御手段4は、入力手段3の操作状態や車両のメインスイッチの状態、車両ドアの開閉センサ、シートベルトの着脱状態などの各種情報を入力することによって判別できる。なお、制御手段4は、図示しない車両シートの着座センサからの信号やカメラなどの車内撮像手段を用いた画像認識処理によって、乗車判定することもできる。
【0043】
制御手段4は、ステップS4の乗車判定処理によって、車両利用者が乗車中であると判定した場合には、上述した充電モード時の表示(例えば、図2に示す表示)を行うように液晶表示パネル1やバックライト2を制御する表示処理(ステップS5)を行う。なお、液晶表示パネル1は、接続先表示情報11と、状態表示情報12と、充電参考情報13と、車両情報14とを表示し、バックライト2による透過照明にてこれらの情報を視認できるように表示出力する。
【0044】
また、制御手段4は、ステップS4の乗車判定処理によって、車両利用者が乗車中でないと判定した場合には、所定時間(例えば、5分)経過したか判定(ステップS6)した上で、消灯または発光輝度を低減するようにバックライト2を制御する減光処理(ステップS7)を行う。この減光処理によって、車両利用者が車載計器を確認する可能性が低い時に、表示に関する余計な消費電力を抑えることが可能となり、また、充電時間の短縮が計られる。
【0045】
以上の処理を繰り返すことによって、車載バッテリ充電中において、最適なタイミングで充電に関する情報を液晶表示パネル1に表示することができる。また、異常状態や省電力を考慮しながら、車両利用者にとって充電時の充電状態を容易に確認できる車両の表示装置となる。
【0046】
斯かる車両の表示装置は、充電速度の異なる複数種類の充電設備A,Bと接続可能な車両に搭載され、充電設備A,Bから車載バッテリへ充電する車両の表示装置であって、前記車両に搭載される液晶表示パネル1と、充電設備A,B、または充電設備A,Bと接続する車載接続機器Cからの充電情報に基づいて充電設備A,Bの種類を判別し、前記車両と接続中の充電設備A,Bの種類に関する接続先表示情報11とともに、前記充電情報に基づいて前記車載バッテリが充電状態であるか否かを示す状態表示情報12を液晶表示パネル1に表示させる制御手段4と、を備えてなる。
【0047】
従って、充電時の充電状態を容易に確認できる車両の表示装置となる。車両利用者は、車載バッテリを充電する際に、例えば、接続する充電設備A,B、必要な充電量、充電時間など、車両利用者にとって様々な情報を単一の表示装置にて得ることができ、これらの情報に基づいて、接続先充電設備の変更や、満充電となる前に途中で充電停止など、車両利用者の利用状況に応じた充電方法を決定できる。
【0048】
特に車両に接続できる充電設備が多様である場合には、例えば、接続する充電設備を目視によって確認したり、機種によって表示レイアウトが異なる充電設備の表示パネルの表示から必要な表示項目を探して確認するなど煩雑な作業を行わなくとも、必要な充電状態を容易に確認できる車両の表示装置となる。
【0049】
また、制御手段4は、充電設備A,Bの種類として、家庭用電源Bまたは急速充電設備Aの接続状態を識別可能な接続先表示情報11を液晶表示パネル1に表示させることによって、多様な接続に対応した表示出力を行うことができる車両の表示装置となる。
【0050】
また、制御手段4は、前記車両が充電速度の異なる複数種類の充電設備A,Bと同時に接続状態である場合に、何れの充電設備からの給電状態であるかを識別可能な状態表示情報12を液晶表示パネル1に表示することによって、複数の充電設備と接続した場合であっても、その接続状態と給電状態とをそれぞれ識別できる車両の表示装置となる。
【0051】
また、制御手段4は、前記充電情報に基づいて異常の有無を判定し、前記異常がある場合には、異常状態である接続先の前記充電設備を示す接続先表示情報とともに、異常状態を示す異常情報15を液晶表示パネル1に表示させることによって、充電中でないことを容易に確認できる。また、車両利用者は、表示を確認することによって、対象となる電源プラグの接続状態や充電設備を迅速に見直すことができる。
【0052】
また、制御手段4は、前記充電情報に基づいて、今回の充電時間、残り充電時間、充電済みバッテリ容量、走行可能距離のうち少なくともひとつの情報を液晶表示パネル1に表示可能に設けてなることによって、車両利用者が車両の利用計画に応じた充電方法を選択するための目安にできる。
【0053】
なお、本発明の車両の表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【0054】
例えば、液晶表示パネル1とバックライト2とによって、表示を行うものを例に挙げて説明したが、有機EL素子や蛍光表示管など他の表示デバイスを用いた表示手段であってもよく、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、接続先表示情報11として電源プラグを示す表示などを例に挙げて説明したが、車両の接続箇所を示す表示画像や、充電設備を示す表示画像を接続先表示情報として表示することもでき、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、車両と充電設備との接続後に接続がなされたことを示す音声や効果音を車両内外へ出力することも考えられる。
【0056】
また、充電参考情報13として、残り充電時間などの充電作業の進捗具合などを確認できるものを上述した実施の形態にて示したが、充電専用設備からの充電情報の通信によって、充電する際に発生する料金を充電参考情報13として表示手段に表示させることもできる。この場合、充電開始からの積算料金や満充電までの料金、あるいは車両利用者が充電専用設備の端末にて設定した料金を表示することができる。なお、家庭用電源を用いて充電する場合にあっては、コンセントと接続する車載接続機器からの充電情報に基づく充電量と、電気料金とに基づいて充電費用を求め、この充電費用を充電参考情報として表示手段に表示させることもでき、車両利用者にとって、最適な充電時間を選択、または変更する際の判断基準として有益な情報となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る車両の表示装置は、例えば、自動車やオートバイなどの移動体用の計器として適用でき、特に電気自動車や電動バイクなどバッテリー充電を必要とする車両に搭載される表示装置として好適である。
【符号の説明】
【0058】
1 液晶表示パネル(表示手段)
11 接続先表示情報
12 状態表示情報
13 充電参考情報
14 車両情報
15 異常情報
2 バックライト
3 入力手段
4 制御手段
A 急速充電設備(充電設備)
B 過程用電源(充電設備)
C 車載接続機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電速度の異なる複数種類の充電設備と接続可能な車両に搭載され、前記充電設備から車載バッテリへ充電する車両の表示装置であって、
前記車両に搭載される表示手段と、
前記充電設備、または前記充電設備と接続する車載接続機器からの充電情報に基づいて前記充電設備の種類を判別し、前記車両と接続中の前記充電設備の種類に関する接続先表示情報とともに、前記充電情報に基づいて前記車載バッテリが充電状態であるか否かを示す状態表示情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えてなることを特徴とする車両の表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車両が充電速度の異なる複数種類の充電設備と同時に接続状態である場合に、何れの充電設備からの給電状態であるかを識別可能な状態表示情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の車両の表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記充電情報に基づいて異常の有無を判定し、前記異常がある場合には、異常状態である接続先の前記充電設備を示す前記接続先表示情報とともに、前記異常状態を示す異常情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2に記載の車両の表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記充電設備の種類として、家庭用電源または急速充電設備の接続状態を識別可能な前記接続先表示情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1つに記載の車両の表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記充電情報に基づいて、所定容量充電されるまでの第1の予想時間と、満充電されるまでの第2の予想時間とを充電参考情報として前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1つに記載の車両の表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記充電情報に基づいて、今回の充電時間、残り充電時間、充電済みバッテリ容量、走行可能距離、充電料金のうち少なくともひとつの情報を充電参考情報として前記表示手段に表示可能に設けてなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか1つに記載の車両の表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記充電設備との接続状態において、前記車両の所定走行距離内、または前回充電から今回充電までの間における単位電力消費量あたりの走行距離を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうち何れか1つに記載の車両の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−25211(P2012−25211A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163209(P2010−163209)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】