説明

車両用警報装置

【課題】本発明は、車両用警報装置に係り、車両の接近する歩行者等以外の者に警報による無駄な回避行動を促すのを防止することにある。
【解決手段】車載レーダやカメラを用いて自車両と人との衝突可能性を検知してその衝突を予測する(ステップ102)。そして、人との衝突が予測される場合に、オーディオスポットライトから、その衝突が予測される人のみに対して超音波ビームによる音声警報を出力する(ステップ106)。かかる構成によれば、自車両と人との衝突が予測される以外の人に対しては超音波ビームによる音声警報が発せられないので、その人には警報による無駄な衝突回避行動を促すのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用警報装置に係り、特に、音声による警報を発するうえで好適な車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が歩行者等に接近した場合に車両から接近警報音を発生させる車両用警報装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる装置においては、車両運転操作の緊急度が判定されると共に、その緊急度に応じて車両から出力する接近警報音が変化される。このため、上記従来の装置によれば、歩行者等に、自車両が接近する旨およびその接近時における緊急度を知らせることが可能となっている。
【特許文献1】特開2005−75182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の装置において、車両から出力される警報音は、自車両の接近する歩行者等のみを対象としたものではなく、その歩行者等を含め車両周辺に広域的に出力されるものである。このため、かかる装置によれば、車両の接近する歩行者等だけでなく、かかる歩行者等ではない例えば車両後方の歩行者も、その車両からの警報音を聞くことが可能であり、その結果として、車両の接近する歩行者等以外の者が不必要に回避行動を起こす事態が生じ得、歩行者に無駄な回避行動を促すことになりかねない。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両の接近する歩行者等以外の人に警報による無駄な回避行動を促すのを防止できる車両用警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、自車両と人との衝突を予測する衝突予測手段と、前記衝突予測手段により前記衝突が予測される場合に、該衝突が予測される人のみに対して音声による警報を出力する警報出力手段と、を備える車両用警報装置により達成される。
【0006】
この態様の発明においては、自車両と人との衝突の可能性が高くその衝突が予測される場合、その衝突が予測される人のみに対して音声による警報が出力される。すなわち、自車両との衝突が生じないと判断される人に対しては、音声による警報が発せられず、その警報音声が伝達されない。従って、本発明によれば、車両との衝突が予測される人には警報によって回避行動を促すことができる一方、車両との衝突が予測される人以外の人には警報による無駄な回避行動を促すのを防止することができる。
【0007】
尚、上記した車両用警報装置において、前記警報出力手段は、前記衝突予測手段により複数の人との衝突が予測される場合に、該衝突が予測される複数の人ごとに音声による警報を出力することとしてもよい。
【0008】
この場合、前記警報出力手段は、前記衝突が予測される複数の人ごとに、それぞれ異なる音声による警報を出力し得ることとすれば、車両との衝突が予測される複数の人ごとにそれぞれ適切な警報音声を聞かせることが可能となるので、かかる複数の人ごとにそれぞれ警報による適切な回避行動を促すことができる。
【0009】
また、上記の目的は、自車両運転者の車外における死角領域を検出する死角領域検出手段と、前記死角領域検出手段により検出された前記死角領域に向けて音声による警報を出力する警報出力手段と、を備える車両用警報装置により達成される。
【0010】
この態様の発明においては、自車両運転者の車外における死角領域に向けて音声による警報が出力される。かかる構成によれば、死角領域に人がいる場合に、その人に車両の接近を衝突前に事前に知らせることができ、警報による回避行動を促すことができる。また、かかる構成においては、自車両運転者の車外における死角領域以外の領域に向けては音声による警報が発せられない。従って、本発明によれば、死角領域に居て車両の接近する人以外の人には警報による無駄な回避行動を促すのを防止することができる。
【0011】
この場合、上記した車両用警報装置において、前記警報出力手段は、道路面又は路側物での拡散により前記死角領域に音声による警報を伝達すべく、道路面又は路側物に対して音声による警報を出力することとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両の接近する歩行者等以外の者に警報による無駄な回避行動を促すのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施例である車両用警報装置10を備えるシステムの構成図を示す。図1に示す如く、本実施例の車両用警報装置10は、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、ECUと称す)12を備えている。ECU12は、処理演算を行うCPUと、制御プログラムを格納するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、入出力インタフェースと、を有している。
【0014】
ECU12には、車載レーダ16が接続されている。車載レーダ16は、例えば車両のフロントグリルやフロントバンパ若しくはリアバンパなどに配設された、送信信号として例えばミリ波帯の電波を車両前方若しくは車両後方の所定領域に送信する送信用アンテナと、受信信号としての電波を受信する受信用アンテナと、を有している。
【0015】
車載レーダ16は、周波数変調される送信用アンテナからの送信信号と受信用アンテナで受信される受信信号とをミキシングすることにより、両者の周波数差を変動周波数とするビート信号を生成する。そして、送信信号の周波数が上昇する区間(上昇区間)で生成されるビート信号と送信信号の周波数が下降する区間(下降区間)で生成されるビート信号とに分離して、上昇区間及び下降区間での各ビート信号についてFFT処理を施し、その算出結果に基づいて自車両と対象物標との相対距離及び相対速度を計算する。車載レーダ16の計算結果は、ECU12に供給される。ECU12は、車載レーダ16の計算結果に基づいて、自車両の前方又は後方に存在する障害物や後続車両の有無及び存在する場合における相対距離及び相対速度を検出する。
【0016】
ECU12には、また、カメラ18が接続されている。カメラ18は、例えば車両のフロントグリルやフロントバンパなどに配設されており、配設位置から車両前方に広がる所定領域を撮影することが可能である。カメラ18の撮影した画像情報は、ECU12に供給される。ECU12は、カメラ18から供給される画像についてエッジ処理や特徴点抽出を行うことにより、車両前方に存在する先行車両や対向車両,歩行者の有無及び存在する場合における相対位置を検出する。
【0017】
ECU12には、また、ナビゲーション装置20が接続されている。ナビゲーション装置20は、道路地図並びに交差点や細街路での死角の有無を示す情報を少なくとも格納する地図データベースを有している。ナビゲーション装置20は、GPS受信機に受信されるGPS信号に基づいて自車両の存在する緯度・経度を検出し、地図データベースに格納されている情報を参照して自車両の存在する道路位置を検出する。そして、後述の如く、自車両が死角領域を有する交差点や細街路に接近するか否かを判別する。ナビゲーション装置20の判別結果は、ECU12に供給される。ECU12は、ナビゲーション装置20の判別結果に基づいて、自車両が自車両が死角領域を有する交差点や細街路に接近するか否かを判別する。
【0018】
ECU12には、また、ステアリング操舵角センサ22及びクラクションスイッチ24が接続されている。ステアリング操舵角センサ22は、運転者の操作するステアリングホイールの操舵角に応じた信号を出力するセンサである。また、クラクションスイッチ24は、ステアリングホイールに配設されており、運転者が車外に向けてのホーン吹鳴を要求するときにオン操作するスイッチである。ステアリング操舵角センサ22の出力信号及びクラクションスイッチ24のオン・オフは、ECU12に供給される。ECU12は、ステアリング操舵角センサ22の出力信号に基づいてステアリングホイールの操舵角を検出し、車両の進行方向を検出する。また、クラクションスイッチ24のオン・オフ状態に基づいて、運転者によるホーン吹鳴の要求有無を判別する。
【0019】
ECU12には、更に、オーディオスポットライト26が接続されている。オーディオスポットライト26は、例えば車両のフロントグリルやフロントバンパ若しくはリアバンパなどに配設されている。オーディオスポットライト26は、所定の放射角(約3°)広がりを持った超音波のビームを直進的に発生する機能を有していると共に、発生する音のビームを車両前方又は後方の左右方向に変化させる機能を有している。オーディオスポットライト26は、ECU12からの指令に従って、超音波のビームを特定の方向に発生する。
【0020】
次に、図2乃至図4を参照して、本実施例の車両用警報装置10の具体的な動作について説明する。図2は、本実施例の車両用警報装置10が作動する際の状況を模式的に表した図を示す。また、図3及び図4はそれぞれ、本実施例の車両用警報装置10においてECU12が実行する制御ルーチンに一例のフローチャートを示す。
【0021】
本実施例において、ECU12は、システムの作動が要求されている場合、車載レーダ16及びカメラ18を用いて、自車両の前方又は後方における先行車両や後続車両,歩行者などの障害物を探索する(ステップ100)。
【0022】
具体的には、ECU12は、車載レーダ16からミリ波帯の電波を車両前方若しくは車両後方の所定領域に送信させる処理を実行する。尚、この送信は少なくとも車両の進行方向を含む領域に対して行えばよく、この送信方向は車両の進行方向に応じて変化させることとしてもよい。送信信号の送信領域内に障害物が存在しないときは、その送信信号が反射されることはなく、その反射信号が車載レーダ16に受信されることはない。この場合には、ECU12において送信信号と受信信号との比較によるビート信号が生成されることはなく、障害物は存在しないと判定される。一方、送信信号の送信領域内に障害物が存在するときは、その送信信号がその障害物に反射されて、その反射信号が車載レーダ16に受信される。この場合には、ECU12において送信信号と受信信号との比較によるビート信号が生成され、その生成されたビート信号について信号処理を行うことで障害物と自車両との相対距離及び相対速度が検出される。
【0023】
また、ECU12は、カメラ18に車両前方の所定領域を撮影させる処理を実行する。尚、この撮影も少なくとも車両の進行方向を含む領域に対して行えばよく、この撮影方向も車両の進行方向に応じて変化させることとしてもよい。カメラ18の撮影領域内に障害物が存在しないときは、そのカメラ18による撮像画像に障害物は含まれないので、その撮像画像の画像処理が行われても、障害物の存在は検知されない。一方、カメラ18の撮影領域内に障害物が存在するときは、そのカメラ18による撮像画像に障害物が含まれるので、その撮像画像の画像処理が行われると、障害物の存在が検知されて、その障害物の相対位置が検出される。
【0024】
そして、ECU12は、車載レーダ16やカメラ18を用いて障害物の存在が検知されるときは、その検知した自車両と障害物との相対関係に基づいて、両者が互いに衝突する可能性が所定以上に高いか否かの判定(衝突予知判定)を行う(ステップ102)。尚、自車両と障害物との相対速度が大きいほど衝突可能性が高く、また、自車両と障害物との相対距離が短いほど衝突可能性が高いので、上記の衝突予知判定は、かかる点を考慮した相対速度と相対距離との二次元マップを参照して行うこととすればよい。また、この二次元マップは、制動ブレーキによって衝突を回避できるか否かの境界を示す曲線と、車両操舵によって衝突を回避できるか否かの境界を示す曲線とにより形成されるものであればよい。
【0025】
ECU12は、障害物との衝突が予知されると判定した場合、衝突が回避されるように或いは衝突による衝撃が緩和されるように衝突予知制御を実行し、例えば、燃料噴射を停止し、強制的な制動ブレーキを作動させ、或いは強制的なエンジンブレーキを作動させることにより車両を減速させ、また、車両乗員への保護装置を起動させることにより衝突による衝撃から車両乗員を保護する。
【0026】
また、ECU12は、障害物との衝突が予知されると判定した場合、まず、上記した車載レーダ16やカメラ18による検知結果に従って、その障害物が自車両に対して存在する方向を特定する(ステップ104)。そして、その特定した方向に向けて超音波のビームが照射されるようにオーディオスポットライト26に対して駆動指令を行う(ステップ106)。
【0027】
かかる駆動指令が行われると、オーディオスポットライト26は、自車両に対する障害物の存在方向に向かうように照射方向を調整したうえで、その方向に向けて、所定の放射角(約3°)広がりを持った超音波のビームを直進的に照射する。尚、この照射される音波は、最初は人には感知できない高い周波数を有するように生成されるが、直進するに従って少しずつ波形変形して人の耳に聞こえる周波数に変化する。また、この発せられる音の内容は、“車が接近します。気を付けてください。”などの音声である。
【0028】
このように車両から超音波のビームが照射されると、図2(A)及び(B)に示す如く、車載レーダ16やカメラ18を用いてその存在が検知されかつ自車両との衝突の可能性が高い先行車両や後続車両,歩行者などの障害物のみに対して音声が聞こえるように、注意喚起・警報が行われることとなる。この場合、車載レーダ16やカメラ18を用いてその存在が検知されかつ自車両との衝突の可能性が高い先行車両や後続車両に乗車する運転者や歩行者は、車両からの警報音声を聞くことができ、その音声内容を認知して、衝突を回避する行動をとることができる。
【0029】
すなわち、本実施例においては、自車両との衝突の可能性が高くその衝突が予測される障害物のみに対してオーディオスポットライト26による音声警報が出力されるが、自車両との衝突の可能性が低くその衝突が予測されない人や車両に対してはオーディオスポットライト26による音声警報が出力されることはない。従って、本実施例の車両用警報装置によれば、自車両との衝突が予測される障害物としての車両に乗車する運転者や歩行者には音声警報によって衝突回避行動を促すことができる一方、その自車両との衝突が予測される障害物以外の運転者や歩行者には音声警報による無駄な衝突回避行動を促すのを防止することができる。
【0030】
また、本実施例において、ナビゲーション装置20は、GPS信号に基づいて地図データベースの地図情報を参照して自車両の存在する道路位置を検出すると共に、その検出した自車位置と地図データベースに格納されている道路の死角位置との関係に基づいて、自車位置から進行方向前方(例えば数十メートル先)に死角領域を有する交差点等が存在するか否かを判別して、死角領域を有する交差点等の探索を行う(ステップ150)。そして、自車両が死角領域を有する交差点等に接近するか否かを判別して、その判別結果をECU12に供給する。
【0031】
ECU12は、システムの作動が要求されている場合、ナビゲーション装置20から供給される自車両が死角領域を有する交差点等に接近するかの判別結果に基づいて、自車両が死角領域へ接近するか否かの判別を行う(ステップ152)。その結果、死角領域への接近が検知されないときは、以後何ら処理を実行することなく今回のルーチンを終了するが、死角領域への接近が検知されるときは、自車両前方の道路路面に向けて超音波のビームが照射されるようにオーディオスポットライト26に対して駆動指令を行う(ステップ154)。
【0032】
かかる駆動指令が行われると、オーディオスポットライト26は、自車両前方(例えば検出される自車位置から死角領域を有する交差点等までの距離だけ前方)の道路路面に向けて、所定の放射角(約3°)広がりを持った超音波のビームを直進的に照射する。尚、この照射される音波は、最初は人には感知できない高い周波数を有するように生成されるが、直進するに従って少しずつ波形変形して人の耳に聞こえる周波数に変化する。また、この発せられる音の内容は、“車が通行します。飛び出しに気を付けてください。”などの音声である。
【0033】
このように車両から超音波のビームが照射されると、図2(C)に示す如く、そのビームが自車両前方の数十メートル先の道路路面に当たってその反射波が周囲に拡散される。この場合には、車両から見た交差点の死角領域に歩行者が居るとき、その歩行者のみに対して音声が聞こえるように注意喚起・警報が伝達されることとなり、その歩行者は、車両からの警報音声を聞くことができ、その音声内容を認知して、衝突を回避する行動をとることが可能となる。
【0034】
すなわち、本実施例においては、車両から見て進行方向前方に死角領域を有する交差点等が存在する場合に、その死角領域の周辺に居る例えば死角から車両走路に飛び出そうとする人に対してオーディオスポットライト26による音声警報が出力されるが、その死角領域の周辺に居る人以外の例えば車両後方や側方に居る人に対してはオーディオスポットライト26による音声警報が出力されることはない。従って、本実施例の車両用警報装置によれば、自車両の進行方向前方の死角領域に人が居る場合に、その人に自車両の接近を衝突前に事前に知らせることができ、警報による回避行動を促すことができると共に、また、自車両の進行方向前方の死角領域に居る人以外の人には音声警報による無駄な衝突回避行動を促すのを防止することができる。
【0035】
このように本実施例のシステムにおいては、死角領域を含めて自車両における衝突の可能性を事前に察知して、その衝突可能性が高い場合に、その衝突の可能性がある相手に対してだけオーディオスポットライト26による音声が聞こえるように警告を発することができ、その人に衝突回避行動を促すことが可能となっていると共に、衝突の可能性がない人に対してはオーディオスポットライト26による音声が聞こえないようにすることでその人に衝突回避行動を促すのを防止することが可能となっている。
【0036】
尚、上記の実施例においては、ECU12が、図3に示すルーチン中ステップ102の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「衝突予測手段」が、図4に示すルーチン中ステップ152の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「死角領域検出手段」が、ステップ106及びステップ154の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「警報出力手段」が、それぞれ実現されている。
【0037】
ところで、上記の実施例においては、車載レーダ16やカメラ18を用いてその存在が検知されかつ自車両との衝突の可能性が高い先行車両や後続車両,歩行者などの障害物のみに対して音声が聞こえるように、オーディオスポットライト26から超音波ビームによる注意喚起・警報を発生させるが、かかる障害物が複数ある場合には、その複数の障害物ごとにオーディオスポットライト26から超音波ビームによる注意喚起・警報を発生させることとしてもよい。この場合には、複数の障害物の個々にそれぞれ超音波ビームによる注意喚起・警報が行われるので、その障害物としての車両に乗車する運転者や歩行者に個別に衝突回避行動を促すことが可能となる。
【0038】
また、かかる構成においては、複数の障害物ごとに、それぞれ異なる超音波ビームによる注意喚起・警報をオーディオスポットライト26から発生させることとしてもよい。例えば、車両前方における衝突可能性の高い歩行者に対しては、車両において検出されるその歩行者の動きに対応してその歩行者から見て車両が接近する方向を示す情報を含めた内容を有する音声を、また、車両後方から接近する衝突可能性の高い後続車両に対しては、自車両である先行車両に接近する旨を示す情報を含めた内容を有する音声を、それぞれオーディオスポットライト26から警報として出力させる。この場合には、複数の障害物の個々にそれぞれ異なる内容の音声を聞かせることが可能であるので、その障害物としての車両に乗車する運転者や歩行者にそれぞれ適切な衝突回避行動を促すことが可能となる。
【0039】
また、上記の実施例においては、車載レーダ16やカメラ18を用いてその存在が検知されかつ自車両との衝突の可能性が高い先行車両や後続車両,歩行者などの障害物に対して、或いは、ナビゲーション装置20を用いて自車両が接近することが検知される死角領域を有する交差点等に向けて、オーディオスポットライト26による音声警報を出力するが、ECU12においてクラクションスイッチ24のオンによりホーン吹鳴が要求されたことが検知された場合に、ステアリング操舵角センサ22の出力に基づくステアリングホイール操舵角から検出される車両の進行方向に向けてのみ、オーディオスポットライト26によるホーン警報を出力することとしてもよい。かかる構成においては、ホーン吹鳴要求時に、自車両の進行方向前方にある衝突可能性を有する車や人のみに対してオーディオスポットライト26によるホーン警報が出力されるが、その他の人に対してはオーディオスポットライト26によるホーン警報が出力されることはないので、ホーン吹鳴を聞かせる必要のある人には警報によって回避行動を促すことができる一方、ホーン吹鳴を聞かせる必要のない人には警報による無駄な回避行動を促すのを防止することができる。
【0040】
また、同様に、消防車や警察車両などのサイレンを鳴らしながら走行する緊急車両においては、自車両の進行方向前方にある衝突可能性を有する車や人のみに対してオーディオスポットライト26によるサイレン警報を出力するが、その他の人に対してはオーディオスポットライト26によるホーン警報を出力しないこととしてもよい。かかる構成においては、サイレンを聞かせる必要のある人には警報によって回避行動を促すことができる一方、サイレンを聞かせる必要のない人には警報による無駄な回避行動を促すのを防止することができる。
【0041】
更に、上記の実施例においては、車両から見て進行方向前方に死角領域を有する交差点等が存在する場合に、自車両前方(例えば検出される自車位置から死角領域を有する交差点等までの距離だけ前方)の道路路面に向けて超音波のビームを直進的に照射してその音を道路路面で反射・拡散させて、その死角領域の周辺に居る人に対してオーディオスポットライト26による音声警報を伝達するが、かかる死角領域に居る人に対してオーディオスポットライト26による音声警報を伝達する手法はこれに限定されるものではなく、路側物にあるガードレールや壁などに向けて超音波のビームを直進的に照射してその音をその路側物で反射・拡散させることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例である車両用警報装置を備えるシステムの構成図である。
【図2】本実施例の車両用警報装置が作動する際の状況を模式的に表した図である。
【図3】本実施例の車両用警報装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図4】本実施例の車両用警報装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 車両用警報装置
12 ECU
16 車載レーダ
18 カメラ
20 ナビゲーション装置
26 オーディオスポットライト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両と人との衝突を予測する衝突予測手段と、
前記衝突予測手段により前記衝突が予測される場合に、該衝突が予測される人のみに対して音声による警報を出力する警報出力手段と、
を備えることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
前記警報出力手段は、前記衝突予測手段により複数の人との衝突が予測される場合に、該衝突が予測される複数の人ごとに音声による警報を出力することを特徴とする請求項1記載の車両用警報装置。
【請求項3】
前記警報出力手段は、前記衝突が予測される複数の人ごとに、それぞれ異なる音声による警報を出力し得ることを特徴とする請求項2記載の車両用警報装置。
【請求項4】
自車両運転者の車外における死角領域を検出する死角領域検出手段と、
前記死角領域検出手段により検出された前記死角領域に向けて音声による警報を出力する警報出力手段と、
を備えることを特徴とする車両用警報装置。
【請求項5】
前記警報出力手段は、道路面又は路側物での拡散により前記死角領域に音声による警報を伝達すべく、道路面又は路側物に対して音声による警報を出力することを特徴とする請求項4記載の車両用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−62666(P2008−62666A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239321(P2006−239321)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】