説明

車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ

【課題】負圧ポンプの減圧応答性を良くすることができる車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプを提供することを課題とする。
【解決手段】逆止弁100が、負圧ポンプの入口部72に組み込まれている。
【効果】負圧ブースタと逆止弁の間は、負圧管も負圧保持区間として負圧が保持されているため、負圧を発生させるための容積は少なくなり、負圧ポンプの減圧応答性を高めることができる。すなわち、負圧ポンプの作動時間を短縮することができ、作動効率及び耐久性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にする負圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
図26は従来の倍力ブレーキ装置の原理図である。
基本的なブレーキ操作は、ブレーキペダル200を踏むと、プッシュロッド201が押され、このプッシュロッド201でマスターシリンダ202を作動させ、ブレーキ油路203、203から高圧のブレーキ液を車輪ブレーキに供給することで行われる。一般的には操作者の操作力を軽減するために、倍力ブレーキ装置210が用いられる。
【0003】
倍力ブレーキ装置210は、ダイヤフラム211とリターンばね212とを収納した負圧ブースタ213と、この負圧ブースタ213の負圧室214から延ばした負圧管215と、この負圧管215の先端に接続した負圧ポンプ216とからなる。この種の負圧ポンプ216として、自動車用電気エアポンプが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
負圧ポンプ216を作動させると、負圧管215、負圧室214内及び変圧室217内が負圧になっている。この状態でブレーキペダル200を踏むと負圧室214と変圧室217とが遮断され、変圧室217に空気が導入され、負圧室214と変圧室217との差圧により、ダイヤフラム211がリターンばね212を圧縮させる側へ変形し、プッシュロッド201を押し出す。結果、小さな踏力で大きな制動力が得られる。
【0005】
ところで、負圧ポンプ216が停止した状態において、ブレーキペダル200を踏むと、負圧管215及び負圧室214内が大気圧になる。ブレーキペダル200を踏んでいない状態で、次に負圧ポンプ216を始動すると、負圧管215、負圧室214内及び変圧室217内は負圧になるが、排気時間は、負圧管215、負圧室214及び変圧室217の容積に比例して長くなる。
【0006】
排気時間が長いとブレーキ操作に影響がでるため、排気時間は短いほどよい。排気時間を短くするために、負圧管215に、負圧ブースタ213から負圧ポンプ216への流れを許容する逆止弁217を設けることが提案されており、負圧ポンプ216が止まると、逆止弁217が閉まる。逆止弁217から負圧ポンプ216までの間は大気圧に戻るが、逆止弁217から負圧室214までの間は負圧状態が保たれる。そのために、負圧ポンプ216を始動した後の排気に要する時間が、短縮されている(例えば、特許文献2(図1)参照。)。
【0007】
それでも、逆止弁217から負圧ポンプ216までの距離があるため、負圧を発生させるための容積がまだ大きく、負圧を発生させるための時間を要していた。
すなわち、負圧を発生させるための時間が長いため、負圧ポンプ216の応答性が悪くなり改良の必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6491505号明細書
【特許文献2】実開平6−10671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、負圧ポンプの減圧応答性を良くすることができる車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための負圧ポンプであって、
前記負圧ポンプと前記負圧ブースタとの間に設けられ前記負圧ブースタより前記負圧ポンプが高圧になると閉じる逆止弁が、前記負圧ポンプに一体的に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記負圧ポンプは、ベーンポンプからなるポンプ部と、このポンプ部を囲うカバー部とを備えて、
このカバー部に、前記負圧ブースタに接続される接続部が備えられると共に前記逆止弁が一体的に備えられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部は、前記カバー部に取り外し可能に備えられ、
前記逆止弁は、前記カバー部に収納した状態で、前記接続部で固定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部と前記逆止弁との間に、フィルタが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記逆止弁は、弁体と、この弁体が被さることで流路を閉じる弁座部と、この弁座部を一体的に有し且つ前記弁体を移動自在に収納する弁箱と、からなり、
前記フィルタは、前記弁箱と前記接続部とで挟まる形態で取付けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項4記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記逆止弁は、弁体と、この弁体が被さることで流路を閉じる弁座部と、この弁座部を一体的に有し且つ前記弁体を移動自在に収納する弁箱と、からなり、
前記フィルタは、前記弁箱又は前記接続部に一体的に組み込まれていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項3〜6のいずれか1記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部は、曲管状の接続部本体と、この接続部本体の中間に設けられた断面多角形状の嵌合部にプレート側嵌合部にて嵌合されるとともに前記カバー部にビス等の固定具にて前記接続部本体を固定する板状のロックプレートとからなり、
前記プレート側嵌合部は、前記ロックプレートの中心からオフセットし、且つ、向きを回転位相させて設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項7記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部本体側の嵌合部の断面は、正多角形であり、
前記プレート側嵌合部は、360°/(前記正多角形の頂点の数)/4で計算される角度だけ回転位相していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、逆止弁が負圧ポンプに一体的に設けられている。負圧ブースタと逆止弁の間は、負圧管も負圧保持区間として負圧が保持されているため、ブレーキ操作時に負圧ポンプにて負圧を発生させるための容積は少なくなり、負圧ポンプの減圧応答性を高めることができる。すなわち、負圧ポンプの作動時間を短縮することができ、作動効率及び耐久性を高めることができる。
【0019】
請求項2に係る発明では、ベーンポンプからなるポンプ部を囲うカバー部に、負圧ブースタに接続される接続部を備えると共に逆止弁を一体的に備えた。
逆止弁がカバー部に一体的に取付けられているため、逆止弁が負圧ポンプから張り出すことを防止することができ、負圧ポンプの外観形状を整えることができるため、負圧ポンプの車体への組み付け性を向上させることができる。
【0020】
請求項3に係る発明では、逆止弁は、カバー部に収納した状態で、接続部で固定されている。接続部をカバー部から外すと、逆止弁をカバー部から外すことができる。逆止弁を負圧ポンプに簡単に着脱でき、負圧ポンプへの組み付け性が向上する。
【0021】
請求項4に係る発明では、接続部と逆止弁との間に、フィルタを設けたので、ポンプ部へ異物が入ることを防止することができる。加えて、フィルタが接続部と逆止弁との間に設けられるため、フィルタを追加しても、負圧ポンプへの組み付け性が損なわれない。
【0022】
請求項5に係る発明では、フィルタを、逆止弁の弁箱と接続部とで挟めた。挟めるだけであるから、フィルタの装着に格別の細工を施す必要が無く、負圧ポンプの製造コストが上がる心配はない。
【0023】
請求項6に係る発明では、フィルタは、弁箱又は接続部に一体的に組み込まれている。弁箱又は接続部を負圧ポンプから外すと、フィルタも負圧ポンプから外すことができる。すなわち、負圧ポンプへのフィルタの組み付け性を高めることができる。
【0024】
請求項7に係る発明では、接続部本体を回すことができるため、ホース差込部を任意の方位にセットすることができる。すなわち、カバー部材の種類を増やすことなく、接続部を含むカバー部材の形態を多様化させることができる。
【0025】
請求項8に係る発明では、正多角形が、仮に正六角形であれば、回転位相させる角度は、360°/6/4の計算により、15°となる。15°回転位相させることで、6通りの形態が発生する。加えて、ロックプレートを反転させることで、6×2=12通りの形態が発生する。すなわち、カバー部材の種類を増やすことなく、接続部を含むカバー部材の形態を多様化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る負圧ポンプの配置例を示す図である。
【図2】負圧ポンプの分解斜視図である。
【図3】ポンプ部の分解斜視図である。
【図4】負圧ポンプの外観図である。
【図5】排気室リッドを説明する図である。
【図6】第2排気室の構造を説明する図である。
【図7】負圧ポンプの要部断面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】モータ軸の拡大断面図である。
【図10】ボルト穴の配列を説明する図である。
【図11】図8の11−11線断面図である。
【図12】図7の要部拡大図である。
【図13】逆止弁の構造及び作用を説明する図である。
【図14】モータ停止時の作用を説明する図である。
【図15】最終排気口が複数であることの作用説明図である。
【図16】籠型フィルタを説明する図である。
【図17】図2の変更例を示す図である。
【図18】接続部本体の正面図である。
【図19】図18の19−19線断面図である。
【図20】ロックプレートの平面図である。
【図21】図7の変更例を示す図である。
【図22】ロックプレートと接続部本体との取り合いを説明する図である。
【図23】接続部本体の取付け態様を説明する図である。
【図24】裏返したロックプレートと接続部本体との取り合いを説明する図である。
【図25】接続部本体の取付け態様を説明する図である。
【図26】従来の倍力ブレーキ装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0028】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、本発明の負圧ポンプ10は、車両に備えられる負圧ブースタ11の負圧室12内を、負圧にする真空ポンプの一種である。
負圧ポンプ10を作動させると、負圧管13、負圧室12内及び変圧室19内が負圧になっている。この状態でブレーキペダル20を踏むと負圧室12と変圧室19とが遮断され、変圧室19に空気が導入され、負圧室12と変圧室19との差圧により、ダイヤフラム14がリターンばね15を圧縮させる側へ変形し、プッシュロッド16を押し出す。結果、小さな踏力で大きな制動力が得られる。負圧ポンプ10は、車両の側のブラケット17にボルト18で固定される。
【0029】
負圧ポンプ10の構造を以下に詳しく述べる。
図2に示されるように、負圧ポンプ10は、モータ軸21がインボリュートスプライン軸であるモータ22と、このモータ22をビス23、23で取付けることができるねじ穴24、24を有するベースプレート25と、このベースプレート25の表面に設けられている第1雌ねじ穴26、26及び第2雌ねじ穴27、27に、合計4本の長いボルト28をねじ込むことで取付けられるポンプ部50と、このポンプ部50を覆うと共に、ベースプレート25の表面に設けられている第3雌ねじ穴29(合計4個)にビス71をねじ込むことで取付けられるカバー部70と、このカバー部70の入口部72に着脱可能に挿入される逆止弁100、フィルタ35及び接続部(接続部品)40と、からなる。
【0030】
ベースプレート25は、モータ22などをマウントするため及び車体に接続するための基盤であって、厚くて、剛性に富む金属製とすることが望まれる。
一方、カバー部70は、樹脂成形品とすることができる。樹脂成形品であれば、構造が複雑な排気室(詳細後述)を容易に製造することができる。
【0031】
ベースプレート25は、車両に固定できるように、ねじ座31、31を一体的に備え、中央に、モータ22の円柱状のボス32が嵌合できるように、丸穴33が設けられている。
【0032】
また、第1雌ねじ穴26は、第2雌ねじ穴27より一回り大径であって、位置決め中空ピン34、34を挿入することができる。位置決め中空ピン34の作用は後述する。
本実施例では、フィルタ35は、網部36の縁をリング部37で囲ってなる平板形状のものである。
【0033】
接続部40は、負圧管(図1、符号13)が接続される接続部材であり、ビス41でカバー部70に脱着可能に固定することができ、この例ではホース差込部42を有する。
【0034】
図3はポンプ部50の分解斜視図であり、ポンプ部50は、非円断面のロータ室51が設けられ、複数(この例では4個)のボルト穴52、53(ただし、ボルト穴52は位置決め中空ピンに対応する穴径であるため、ボルト穴53より大径である。)が設けられているケース54と、複数のベーン溝55が放射状に設けられ、中心にインボリュートスプライン穴56が設けられ、非円断面のロータ室51に回転自在に収納されるロータ57と、複数のベーン溝55に各々移動自在に収納されるベーン58と、複数のボルト穴59、59が設けられ、2個のポンプ・イン孔60、60が設けられている前蓋61と、複数のボルト穴62、63(ボルト穴62は、位置決め中空ピンに対応する穴径であるため、ボルト穴63より大径である。)が設けられ、2個のポンプ・アウト孔64、64が設けられ、ポンプ・アウト孔64から径外方へアウト溝65が設けられている底蓋66と、ケース54にロータ57及びベーン58を収納し、前後を前蓋61及び底蓋66で塞いだ状態で、ボルト穴59、52(又は53)、62(又は63)に通される複数(この例では4本)の長いボルト28とからなる。
【0035】
図3及び図2に基づいて、組立てられた負圧ポンプ10の外観は、図4に示す通りであり、ベースプレート25に、ビス23でモータ22が取付けられ、このモータ22へ給電する中間コネクタ130がビス131で取付けられると共に、ビス71でカバー部70が取付けられている。
カバー部70の一部が図左下へ筒形(この例では角筒形状)の排気室壁73が延ばされて、この排気室壁73の先端が排気室リッド74で閉じられている。
【0036】
排気室リッド74は、図5に示されるように、矩形で、且つ中央にカバー部70側へ窪ませた球面部75を有するリッド本体76と、このリッド本体76の縁からカバー部70側へ延ばした挿入片77(挿入片77の数は4個である。)と、挿入片77の各々に設けた爪78とからなる。隣り合う挿入片77と挿入片77との間は、繋がっておらずに、この隙間79が排気通路の一部となる。排気室リッド74は、形状が複雑であるので、金属よりは樹脂が好適である。樹脂成形品であれば、軽量で複雑な形状にすることができる。
【0037】
一方、排気室壁73の先端に、コ字断面の最終排気口81(この例では4個)が形成され、排気室壁73の内面に複数(例えば6個)の係合部82が設けられている。これらの係合部82に爪78が係合することで、排気室リッド74が排気室壁73に固定される。原則として、排気室リッド74は、外すことができない。コ字断面の最終排気口81は、排気室リッド74を取付けた後は、四方形(矩形)の排気口になる。
【0038】
排気室壁73内には、排気室リッド74側へ突出する環状凸部84が設けられ、この環状凸部84を貫通して1個の第1通孔85が設けられ、環状凸部84の内側に第2通孔86、86及び第3通孔87設けられている。
排気室90(図7)は、仕切部88によって複数の排気室、実施例では第1排気室97と第2排気室98に区画され、ロータ室51側から第1排気室97と第2排気室98が直列に配置されている。
【0039】
これらの通孔85〜87は、仕切部88に貫通形成されており、後に説明するが、仕切部88の奥に第1排気室97があり、仕切部88の手前に、後述する最終排気口81にて外部へ排気する第2排気室98があり、これらの2つの排気室を連通する役割を果たす。
そして、仕切部88には、環状凸部84の外側に障壁89(4個)が立てられている。
【0040】
この障壁89の作用を、図6に基づいて説明する。
排気室壁73内に、4個の通孔85、86、86、87が設けられ、排気時に排出流体(空気)が図面奥から手前に流される。排出流体は、矢印(1)や矢印(2)のルートを通って最終排気口81から排出される。
【0041】
一方、最終排気口81は、大気に開放されているために、外から水が排気室壁73内に侵入する可能性はある。その場合、侵入水は、先ず矢印(3)のように挿入片77に衝突する。そののち、90°方向を変え、矢印(4)のように障壁89の端部と挿入片77との間の隙間91を通る。または、侵入水の一部は、矢印(5)のように障壁89の外面と挿入片77との間の隙間92を通る。このように、第2排気室98内をラビリンス形状とすることにより第1排気室97への水分の侵入を防いでいる。
【0042】
次に、図4に示した負圧ポンプの要部の断面構造を説明する。
図7に示すように、モータ22のフランジ93とベースプレート25との間はOリングなどのシール材94によりシールされている。同様に、カバー部70とベースプレート25との間もシール材95によりシールされている。また、カバー部70と前蓋61との間がシール材96によりシールされている。
【0043】
モータ22は、円柱状のボス32が丸穴33に嵌合することで、ベースプレート25に対して正確に位置決めされる。すなわち、丸穴33の中心に、モータ軸21の中心が合致する。モータ軸21は底蓋66を貫通した後、ロータ57に係合している。
このロータ57を収納するケース54の下方に第1排気室97が設けられ、この第1排気室97の下方に第2排気室98が設けられている。
【0044】
次に、接続部40とフィルタ35と逆止弁100との取付け構造を説明する。
先ず、接続部40は、カバー部70の入口部72に上から挿入することで取り外し可能に備えられ、逆止弁100は、カバー部70の入口部72に収納した状態で、接続部40で固定されている。なお、上下、前後は、図中に明示した矢印による。
そして、接続部40と逆止弁100で、フィルタ35が挟まれている。
【0045】
次に、ポンプ部50の断面構造を、図7の8−8線断面図である図8に基づいて説明する。
モータ軸21にロータ57が取付けられ、このロータ57にベーン58が移動自在に取付けられ、このロータ57をケース54に収納し、このケース54をカバー部70で囲った形態が明示されている。そして、係合部82に爪78が係合することで、排気室壁73の開口に排気室リッド74が取外し不能に取付けられていることが分かる。
【0046】
モータ軸21とロータ57との嵌合関係は、図9に示されるように、モータ軸21が6条(図面表裏方向に延びている。)のインボリュート歯99を有するインボリュートスプライン軸である。対応するインボリュートスプライン穴56がロータ57の中心に設けられている。
【0047】
インボリュート歯99は歯面が湾曲面であり、ロータ57の中心をモータ軸21の中心に合わせる作用(調心作用)を備えている。すなわち、回転中に、ロータ57の中心がモータ軸21の中心から、ずれたとしても、調心作用により、自動的にロータ57の中心がモータ軸21の中心に合わされる。このように中心が合致すると、心振れが無くなる。
【0048】
ロータ57のロータ室51内での偏摩耗が無くなり、負圧ポンプ自身の耐久性が向上する。このとき、図2において、モータ22をモータ軸21を含めて予め組付けた後、ベースプレート25と共にモータ軸21をロータ57に嵌合する。よって、モータ22を組付けるだけで前記調心作用により、モータ軸21とロータ57との中心が合わされるので、組付けが容易になる。
【0049】
ところで、図8において、4本のボルト28の中心は、正方形又は長方形の頂点に配置されていない。この理由を次に説明する。
図10(a)に示すように、ボルト穴59a〜59d(位置を明確にするために、符号59にa〜dを添えた。)は、少なくとも1つ、実施例では2つのボルト穴59b、59dが、位相をずらして配置されている。
【0050】
仮に、前蓋61が表裏を逆にしてケース54に当てられた場合には、図10(b)に示すように全てのボルト穴59a〜59dがケース54側のボルト穴52、53とずれてしまい、ボルトを差し込むことができない。前蓋61を回転させても、ずれは解消しない。したがって、表裏を間違えるような誤組みを防止することができる。
【0051】
また、前蓋61が正規の方位に対して、右又は左に90°回転した場合には、図10(c)に示すように、ボルト穴59a〜59dがケース54側のボルト穴52、53とずれてしまい、ボルトを差し込むことができない。前蓋61を回転させれば、ずれは解消できる。したがって、誤って90°回転させてしまったような誤組みを防止することができる。
【0052】
次に、図8に示す2本の位置決め中空ピン34、34の作用を、図8の11−11線断面図である図11に基づいて説明する。
図11に示すように、第1雌ねじ穴26に、位置決め中空ピン34を挿入する。次に、底蓋66のボルト穴62及びケース54のボルト穴52の下端を、位置決め中空ピン34の上半部に嵌合する。次に前蓋61をケース54載せて、この状態で、ボルト28を第1雌ねじ穴26にねじ込む。
2本の位置決め中空ピン34、34は、図8に示すように、いわゆる対角に配置されているため、図8の紙面方向(モータ軸21直角方向)での、ベースプレート25に対するケース54の位置決めが正確になされる。
【0053】
次に、排気室の構造を、図7の要部拡大図である図12に基づいて説明する。
図12に示されるように、第1排気室97の床を構成する仕切部88の上面は、上段部88aと下段部88bとからなる、階段形状とされている。そして、上段部88aに、第1排気室97と第2排気室98とを繋ぐ第1通孔85が設けられ、下段部分88bに、第1排気室97と第2排気室98とを繋ぐ第2通孔86と第3通孔87が設けられている。
【0054】
そして、第1通孔85と、第2通孔86と、第3通孔87は、上部開口のレベルが互いに異なる。すなわち第3通孔87より第2通孔86の方が、Δh1だけ高い。また、第1通孔85は、第3通孔87よりΔh2だけ高い(Δh1<Δh2)。
加えて、底蓋66に設けられているアウト溝65は、底蓋66の最下位位置に配置されている。
【0055】
仮に、最終排気口81から外の水が第2排気室98へ侵入したとしても、第2排気室98の上位に第1排気室97があるため、第1排気室97に浸水するまでは時間が稼げる。
また、水が第1排気室97に侵入したとしても、先ず、第3通孔87が塞がれるが、第1通孔85及び第2通孔86は開状態が保たれるため、負圧ポンプの排気性能が維持される。
さらに、水で第2通孔86が塞がれたとしても、第1通孔85は、開状態が保たれるため、負圧ポンプの排気性能が維持される。
【0056】
また、負圧ポンプが停止した時に、負圧ポンプの下部が溜まり水に漬かることで、ケース54の内部に水が侵入することがあっても、ケース54の内部に侵入した水は、最下位位置に配置されているポンプ・アウト孔64及びアウト溝65を介して、迅速に排出される。この際、最終排気口81が、侵入した水を排出するドレーンとしての機能を果たす。
【0057】
次に、逆止弁100の構造と作用を説明する。
図13に示すように、逆止弁100は、ニードル101を有する傘状の弁体102と、この弁体102が上昇して被さることで流路103を閉じる弁座部104と、この弁座部104を一体的に有し且つ弁体102を移動自在に収納する弁箱105とからなる。なお、弁箱105は、シール材106を備えた箱基部107と、通孔108を有し、弁体102を移動可能に収納し、箱基部107に嵌込まれるケース部109とで構成されている。
弁体102は、負圧ポンプの作動時においてリターンスプリング102aにて閉弁方向に付勢される。
【0058】
負圧ポンプの運転時に、ポンプ部50の入口はホース差込部42より低圧になる。この圧力差で、図13に示されるように、リターンスプリング102aの付勢力に抗して弁座部104から弁体102が離れ、逆止弁100が開状態になる。すると、矢印(7)のように空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ35で濾過される。この空気は、矢印(8)のように通孔108を通るなどして、逆止弁100を通過し、矢印(9)のようにポンプ・イン孔60からポンプ部50に入る。
【0059】
ポンプ部50で加圧され、矢印(10)のように、ポンプ・アウト孔64、アウト溝65、第1排気室97を介して第2排気室98に至り、矢印(11)のように、最終排気口81、81から外へ排出される。
【0060】
次に、モータ22が止まったとき(負圧ポンプ停止時)の状態を、図14で説明する。
ここで、逆止弁100とポンプ部50との間の閉空間(ほぼ、前蓋61の外面とカバー部70の内面で囲われる空間に相当)を、吸入室110と呼ぶ。この吸入室110の容積をV1とする。
また、ポンプ部50を便宜的に、二分し、前蓋61側の容積をV2、底蓋66側の容積をV3とする。更に、第1排気室97の容積をV4、第2排気室98の容積をV5とする。
【0061】
モータ22が止まると、図14に示すように、逆止弁100が閉じる。モータ22が止まる直前の状態は、容積V1と容積V2の領域が負圧領域であり、容積V3〜V5の領域が正圧領域である。モータ22が止まった瞬間にこのバランスが崩れる。
すなわち、容積V3〜V5の領域から、容積V1〜V2の領域へ空気の供給が行われ、全ての領域が大気圧に戻るように変化する。
【0062】
本発明では、容積V1<容積V5の関係が保たれるように、吸入室110と第2排気室98の大きさを設定した。容積V2と容積V3は等しい。
モータ22の停止に伴って、空気の移動が起こるが、(V1+V2)<(V3+V5)であるため、容積V5に余剰が発生する。
【0063】
結果、仮に、外の水分を含んだ空気が第2排気室98へ逆流したとしても、第2排気室98で余剰空気に混合するだけであり、水分を含んだ空気が、ポンプ室50や吸込室110へ侵入する心配が無くなる。
【0064】
次に、図6で説明したように、最終排気口81が、4つの排気室壁73で囲われた矩形断面の第2排気室98の四隅の同一端面上に設けられている。4個の最終排気口81を設けたことによる作用を、図15で説明する。
図15(b)は、負圧ポンプ10の正面図であり、この負圧ポンプ10が矢印(20)のように回転(ローリング)することがある。このときには、左側面図である図15(a)に示す最終排気口81L、81L(Lは左を示す添え字。)が上昇する。このことによって、右側面図である図15(c)に示す最終排気口81R、81R(Rは右を示す添え字)から水分が排出されると共に、図15(a)の最終排気口81L、81Lからは排気が継続される。
【0065】
また、図15(a)に示す矢印(21)のように負圧ポンプ10が回転することがある。このときには2個の最終排気口81L、81Lのうち、モータ22に近い方の最終排気口81Lが上位になり、ここから排気が継続されると共に他方の最終排気口から水分が排出される。
このように、4個の最終排気口81を巧みに配置したことにより、負圧ポンプ10が傾いても、排気が継続可能となる。
【0066】
以上の説明した本発明は、次のようにまとめることができる。
本発明は、図1に示すように、車両(ブラケット17)に備えられる負圧ブースタ11の負圧室12内を、負圧にするための負圧ポンプ10であって、前記負圧ポンプ10と前記負圧ブースタ11との間に設けられ、前記負圧ブースタ11より前記負圧ポンプ10が高圧になると閉じる逆止弁(図2の符号100)が、前記負圧ポンプ10に一体的に設けられていることを特徴とする。
【0067】
この発明では、逆止弁100が負圧ポンプ10を構成するカバー部70に一体的に設けられている。図1において、負圧管13も負圧保持区間に含まれているので、ブレーキ操作時に負圧ポンプ10にて負圧を発生させるための容積は、負圧ポンプ10内に限定される程度に少なくなり、負圧ポンプ10の応答性を高めることができる。すなわち、負圧ポンプ10の作動時間を短縮することができ、作動効率及び耐久性を高めることができる。
【0068】
好ましくは、負圧ポンプ10は、図2に示すようにベーンポンプからなるポンプ部50と、このポンプ部50を囲うカバー部70とを備えて、このカバー部70に、負圧ブースタ(図1、符号11)に接続される接続部40が備えられると共に逆止弁100が一体的に備えられていることを特徴とする。
この発明では、逆止弁100がカバー部70に一体的に取付けられているため、逆止弁100が負圧ポンプ10から大きく張り出すことを防止することができ、図4に示すように負圧ポンプ10の外観形状を整えることができるため、負圧ポンプの車体への組み付け性を向上させることができる。
【0069】
好ましくは、接続部40は、図7に示すように、カバー部70に取り外し可能に備えられ、逆止弁100は、カバー部70の入口部72に収納した状態で、接続部40で固定されている。
この発明では、接続部40をカバー部70から外すと、逆止弁100をカバー部70から外すことができる。逆止弁100を負圧ポンプ10に簡単に着脱でき、負圧ポンプ10への組み付け性が向上する。
【0070】
好ましくは、接続部40と逆止弁100との間に、フィルタ35が設けられている。
この発明では、接続部40と逆止弁100との間に、フィルタ35を設けたので、ポンプ部へ異物が入ることを防止することができる。加えて、フィルタ35が接続部40と逆止弁100との間に設けられるため、フィルタ35を追加しても、負圧ポンプ10への組み付け性が損なわれない。
【0071】
好ましくは、逆止弁100は、図13に示すように、弁体102と、この弁体102が被さることで流路103を閉じる弁座部104と、この弁座部104を一体的に有し且つ前記弁体102を移動自在に収納する弁箱105と、からなり、前記フィルタ35は、前記弁箱105と前記接続部40とで挟まる形態で取付けられている。
この発明では、フィルタ35を、逆止弁100の弁箱105と接続部40とで挟めるだけであるから、フィルタ35の装着に格別の細工を施す必要が無く、負圧ポンプの製造コストが上がる心配はない。
【0072】
次に、図2で説明した平板状のフィルタ35は、籠型フィルタに変更することができる。籠型フィルタの具体例を図面に基づいて説明する。
図16(c)に示すように、籠型フィルタ112は、弾性リング113と、この弾性リング113から下げた柱部114と、これらの柱部114の下端に渡した底部115と、柱部114、114間に貼った網部116とからなる。
【0073】
弾性リング113と柱部114と底部115は、一体成形された樹脂品とすることができる。樹脂成形の際に、金型内に網部116を置き、この網部116の周囲に溶融樹脂を流し込む、インサート成形法で籠型フィルタ112を製造することもできる。
【0074】
図16(a)に示すように、逆止弁100Bは、ニードル101を有する弁体102と、弁座部104と、弁体102を移動可能に収納する弁箱105とからなるが、この弁箱105の入口に籠型フィルタ112が嵌め込まれている。103は通路、108は通孔である。弾性リング113の作用で、籠型フィルタ112が弁箱105に保持される。弁体102は、負圧ポンプの作動時においてリターンスプリング102aにて閉弁方向に付勢される。
籠型フィルタ112では、図16(b)に示すように、網部116内の空気が矢印のように弁箱105側へ流れるときに、網部116で濾過される。
【0075】
その他の作用は、図13で説明した逆止弁100と同じであるから省略する。
なお、籠型フィルタ112は、弁箱105ではなく、接続部40側に一体的に取付けても良い。接続部40に取付ければ、入口部72から接続部40を外すだけで、フィルタ112を入口部72から外すことができる。逆止弁は外す必要がないので、作業能率が高まる。
【0076】
好ましくは、逆止弁100Bは、図16に示すように、弁体102と、この弁体102が被さることで流路103を閉じる弁座部104と、この弁座部104を一体的に有し且つ前記弁体102を移動自在に収納する弁箱105と、からなり、フィルタ112は、弁箱105又は接続部40に一体的に組み込まれていることを特徴とする。
この発明では、フィルタ112は、弁箱105又は接続部40に一体的に組み込まれているため、弁箱105又は接続部40を負圧ポンプ10から外すと、フィルタ112も負圧ポンプ10から外すことができる。すなわち、負圧ポンプ10へのフィルタ112の組み付け性を高めることができる。
【0077】
ところで、図2に示す接続部40では、ホース差込部42は、逆止弁100の軸方向に真っ直ぐ延びている。いわゆる、ストレート形状を呈している。
接続ホースがモータ軸21の軸線に略平行に延ばされる場合には、接続部40は、いわゆる曲管形状の物が好まれる。
そこで、曲管形状の接続部の例を、図17〜図25に基づいて説明する。
【0078】
図17は図2の変更例を示す。図2と異なる点は以下の通りである。
接続部40は、曲管状の接続部本体44と、この接続部本体44の中間に設けられた断面多角形状の嵌合部45にプレート側嵌合部46にて嵌合されるとともにカバー部70にビス等の固定具47にて接続部本体44を固定する板状のロックプレート48とからなる構成に変更した。
また、この接続部40に隣接して配置される部材は、逆止弁100B(図16)とした。この逆止弁100Bは、逆止弁100(図7)であっても差し支えない。
その他の要素は、図2と同様であるため、図2の符号を流用して詳細な説明は省略する。
【0079】
曲管状の接続部本体44は、図18に示すように、Oリング121より、上位に断面多角形状の嵌合部45を備え、この嵌合部45より上で図面奥へ延びるホース差込部122を備えている。
このホース差込部122の軸を軸線123と呼ぶ。
【0080】
断面多角形状の嵌合部45は、図19に示すように、正多角形断面を呈し、この例では正六角形断面を呈する。正六角形であれば、6個の頂点124を有する。隣り合う頂点124、124と中心点とを結んでなる中心角θは、360°/(正多角形の頂点の数)=360°/6=60°の計算で求められるように、60°である。
本発明で重要な点は、軸線123と、この軸線に最も近い頂点124を通る中心線125とのなす角度αが、中心角θの1/4に相当する15°に設定されていることである。
すなわち、角度αは、360°/(正多角形の頂点の数)/4で計算される。
【0081】
ロックプレート48は、図20に示すように、片口スパナーを模した、横長の長円又は楕円状の板体126であり、反転使用が可能なように、表裏面ともに平坦な板体126である。
そして、この板体126の中心から一方にオフセットしてプレート側嵌合部46が設けられ、他方にオフセットしてビス等の固定具を通す貫通穴127が設けられている。
プレート側嵌合部46は、図19に示す嵌合部45に嵌合するものであって、この嵌合部45と同様に、角度αだけ回転移相させて設けられている。
【0082】
以上に説明した接続部本体44及びロックプレート48からなる接続部40をカバー部70に取付けた形態は、図21に示される通りである。
図21は、図7の変更図に相当し、ロックプレート48により、接続部本体44がカバー部70に固定されている。その他の要素は図7又は図16(a)と同一であるため、符号を準用して、詳細な説明は省略する。
【0083】
以上に説明した接続部本体44及びロックプレート48の作用を次に説明する。
図22に示すように、カバー部70にロックプレート48をセットした場合に、接続部本体44は、Aに示す向きでカバー部70に取付けることができる。また、接続部本体44は、前記Aに示す向きから、Bに示すように反時計方向に回転させた向き又はCに示すように時計方向に回転させた向きでもカバー部70に取付けることができる。これらの態様は6種あり、その全てを次図に示す。
【0084】
図23(a)に示すように、ホース差込部122は、モータ軸の軸線128に平行に且つモータ(図21、符号22)に向くように、セットし、ロックプレート48及びビス等の固定具47で固定することができる。
また、(b)に示すように、ホース差込部122は、モータ軸に平行な軸線129に対して60°時計回りに回転させた形態で、セットし、ロックプレート48及びビス等の固定具47で固定することができる。
【0085】
同様に、(c)に示すように120°時計回りに回転させた形態や、(d)に示すように180°時計回りに回転させた形態や、(e)に示すように240°時計回りに回転させた形態や、(f)に示すように300°時計回りに回転させた形態で、セットし、ロックプレート48及びビス等の固定具47で固定することができる。
【0086】
ところで、図22に示すロックプレート48は、プレート側嵌合部46がモータ側(図面上方)へ開口していた。このようなロックプレート48を表裏反転させると、プレート側嵌合部46は、図24に示すように反モータ側(図面下方)へ開口する。
【0087】
図24に示すように、カバー部70にロックプレート48を裏返してセットした場合に、接続部本体44は、本実施例においては図22に示す前記Aの位置から30°反時計方向に回転させたDに示す態様でカバー部70に取付けることができる。また、接続部本体44は、前記Dに示す向きからEに示すように時計方向に回転させた態様又はFに示すように右横に向いた態様でもカバー部70に取付けることができる。これらの態様は6種あり、その全てを次図に示す。
【0088】
図25(a)に示すように、ホース差込部122は、モータ軸に平行な軸線129に対して30°反時計回りに回転させた形態で、セットし、ロックプレート48及びビス等の固定具47で固定することができる。
また、(b)に示すように、ホース差込部122は、モータ軸に平行な軸線128に対して30°時計回りに回転させた形態で、セットし、ロックプレート48及びビス等の固定具47で固定することができる。
【0089】
同様に、(c)に示すように90°時計回りに回転させた形態や、(d)に示すように150°時計回りに回転させた形態や、(e)に示すように210°時計回りに回転させた形態や、(f)に示すように270°時計回りに回転させた形態で、セットし、ロックプレート48及びビス等の固定具47で固定することができる。
【0090】
図25と図23とを合わせると、本実施例の正六角形の場合、回転位相30°単位で、12通りもの態様を作り出すことができる。
従来は、カバー部70に接続部本体44を鋳造などで一体形成したものが少なくない。この場合、部品点数の削減は図れるものの、鋳型を複数種(最大12種)準備する必要があり、製造コストが嵩む。
この点、本発明では、接続部本体44が1種類でロックプレート48が1種類であるにも拘わらず、例えば12種の形態を発生させることができる。すなわち、カバー部材の種類を増やすことなく、接続部を含むカバー部材の形態を多様化させることができる。
【0091】
なお、図19で説明した多角形断面は、正六角形の他、四角形、五角形、七角形、八角形であってもよく、角の数は任意である。ただし、回転位相を考えると、非正多角形よりは正多角形が望まれる。更には、図20に示すプレート側嵌合部46に平行な2つの辺を設けることを考えると、角の数が偶数である、正四角形、正六角形、正八角形、正十角形、正十二角形などが望まれる。
【0092】
尚、本実施例は、負圧ポンプとしてベーンポンプを説明したが、負圧ポンプはベーンポンプに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の負圧ポンプは、負圧ブースタを備える車両に好適である。
【符号の説明】
【0094】
10…負圧ポンプ、11…負圧ブースタ、12…負圧室、17…負圧ポンプを車両に支持させるブラケット、35、112…フィルタ、40…接続部、44…接続部本体、45…断面多角形状の嵌合部、46…プレート側嵌合部、47…ビス等の固定具、48…ロックプレート、50…ポンプ部、70…カバー部、72…入口部、100、100B…逆止弁、102…弁体、103…流路、104…弁座部、105…弁箱。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられる負圧ブースタの負圧室内を、負圧にするための負圧ポンプであって、
前記負圧ポンプと前記負圧ブースタとの間に設けられ前記負圧ブースタより前記負圧ポンプが高圧になると閉じる逆止弁が、前記負圧ポンプに一体的に設けられていることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記負圧ポンプは、ベーンポンプからなるポンプ部と、このポンプ部を囲うカバー部とを備えて、
このカバー部に、前記負圧ブースタに接続される接続部が備えられると共に前記逆止弁が一体的に備えられていることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。
【請求項3】
請求項2記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部は、前記カバー部に取り外し可能に備えられ、
前記逆止弁は、前記カバー部に収納した状態で、前記接続部で固定されていることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。
【請求項4】
請求項3記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部と前記逆止弁との間に、フィルタが設けられていることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。
【請求項5】
請求項4記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記逆止弁は、弁体と、この弁体が被さることで流路を閉じる弁座部と、この弁座部を一体的に有し且つ前記弁体を移動自在に収納する弁箱と、からなり、
前記フィルタは、前記弁箱と前記接続部とで挟まる形態で取付けられていることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。
【請求項6】
請求項4記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記逆止弁は、弁体と、この弁体が被さることで流路を閉じる弁座部と、この弁座部を一体的に有し且つ前記弁体を移動自在に収納する弁箱と、からなり、
前記フィルタは、前記弁箱又は前記接続部に一体的に組み込まれていることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部は、曲管状の接続部本体と、この接続部本体の中間に設けられた断面多角形状の嵌合部にプレート側嵌合部にて嵌合されるとともに前記カバー部にビス等の固定具にて前記接続部本体を固定する板状のロックプレートとからなり、
前記プレート側嵌合部は、前記ロックプレートの中心からオフセットし、且つ、向きを回転位相させて設けられていることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。
【請求項8】
請求項7記載の車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプにおいて、
前記接続部本体側の嵌合部の断面は、正多角形であり、
前記プレート側嵌合部は、360°/(前記正多角形の頂点の数)/4で計算される角度だけ回転位相していることを特徴とする車両用負圧ブースタ用の負圧ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−254288(P2010−254288A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7067(P2010−7067)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】