説明

車両用運転支援装置

【課題】表示画面を各方向に傾斜させて配置した場合であっても、撮像装置により撮像した画像を表示装置に表示させるための画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることが可能な車両用運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両の外方を撮像する撮像装置と、車両のピラーの室内側面への取付部を有する装置本体と、前記装置本体と一体的に設けられ、前記取付部に対する室内側に配置された表示画面4を有する表示装置と、を備え、前記撮像装置の撮像素子8のロール角度gが、前記表示装置の表示画面4のロール角度fと略一致するよう設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の運転支援装置に関し、特に、ピラー等により形成される運転者の死角を少なくすることができる車両用運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車等の車両には、車体にルーフを支持するための複数のピラーが設けられている。このようなピラーは、車体の強度や安全性を確保するために必要であるが、窓ガラスを分断するように配置されているため、運転者の視界に死角を形成する原因となっている。そこで、特にフロントピラーによる運転者の死角を少なくするため、当該フロントピラーの内面に液晶ディスプレイ等の表示画面を有する表示装置を設け、撮像装置により撮像した車外の景色を、窓ガラスから見える景色とつながるように表示装置の表示画面に映す運転支援装置の技術が既に知られている(例えば下記の特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−204132号公報
【特許文献2】実登3092174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1及び2に記載されているような、これまでに知られている運転支援装置では、ピラーの内面の形状にほぼ一致する形状の表示画面を有する表示装置を、ピラー内面に沿って配置した構成となっている。しかし、現実的には、表示装置の表示画面の形状は製造コスト等による制約を受けるため、表示装置の表示画面の形状をピラーの内面の形状にぴったり一致する形状とすることは困難である。そのため、表示画面を三次元の各方向に傾斜させて配置することが考えられる。しかし、そのような場合に、撮像装置により撮像した画像を表示装置に表示させるための画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えるための適切な構成についての具体的提案はこれまでになされていない。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示画面を各方向に傾斜させて配置した場合であっても、撮像装置により撮像した画像を表示装置に表示させるための画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることが可能な車両用運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る車両用運転支援装置の特徴構成は、車両の外方を撮像する撮像装置と、車両のピラーの室内側面への取付部を有する装置本体と、前記取付部に対する室内側に前記装置本体と一体的に設けられ、前記撮像装置により撮像した画像を表示する表示画面を有する表示装置と、を備え、前記撮像装置の撮像素子のロール角度が、前記表示装置の表示画面のロール角度と略一致するよう設けられている点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、表示画面を各方向に傾斜させて配置した場合であっても、当該表示画面のロール方向の傾斜の影響を補正するための画像処理を少なくすることができる。よって、撮像装置により撮像した画像を表示装置に表示させるための画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【0008】
また、前記撮像素子のロール角度は、当該撮像素子の画素の配列方向のロール角度であり、前記表示画面のロール角度は、当該表示画面の画素の配列方向のロール角度であると好適である。
【0009】
この構成によれば、表示画面のロール方向の傾斜の影響を補正するための画像処理を少なくすることができる。よって、撮像装置により撮像した画像を表示装置に表示させるための画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【0010】
ここで、前記撮像素子のロール角度は、当該撮像素子の撮像面に対する直交軸周りの角度であり、前記表示画面のロール角度は、当該表示画面に対する直交軸周りの角度である。
【0011】
また、前記表示画面の一方の側縁が前記ピラーの側縁に沿って配置されていると好適である。
【0012】
この構成によれば、表示画面の一方の側縁が死角領域の境界を構成するピラーの側縁に沿って配置されるため、当該ピラーの側縁と表示画面との間の死角領域を小さくすることが可能となる。したがって、表示画面を配置したことによって新たな死角を作ることなく、表示画面の面積を大きくして運転者からの見易さを確保することができる。
【0013】
また、前記表示画面の一方の側縁がフロントピラーの前側縁に沿って配置されていると好適である。
【0014】
この構成によれば、表示画面の一方の側縁がフロントピラーの前側縁に沿って配置されるため、当該フロントピラーの前側縁と表示画面との間の死角領域を小さくすることが可能となる。したがって、表示画面を配置したことによって新たな死角を作ることなく、表示画面の面積を大きくして運転者からの見易さを確保することができる。
【0015】
また、前記撮像装置は、前記装置本体と一体的に設けられていると好適である。
【0016】
この構成によれば、撮像装置の位置及び撮像方向を装置本体に対して適切に固定した状態とすることができる。したがって、装置本体を車両のピラーに取り付けるだけで、車両への撮像装置の適切な取り付けも同時に行うことができる。したがって、運転支援装置の車両への取り付け作業及び設定作業の簡略化を図ることが可能となる。
【0017】
また、前記撮像装置は、車両のフロント窓の上部に配置されていると好適である。
【0018】
この構成によれば、撮像装置を運転者の視界の妨げになり難い位置に配置することができる。
【0019】
また、前記ピラー内に小窓がある場合に、前記撮像装置は、前記取付部における前記小窓に対応する位置に配置されていると好適である。
【0020】
この構成によれば、撮像装置を表示画面の背面の近傍に配置することが可能となる。したがって、撮像装置の撮像方向を、表示画面を通る運転者の視線方向により近づけることができる。よって、撮像装置により撮像した画像を表示装置の表示画面に表示するための画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【0021】
また、前記撮像装置は、前記ピラーに隣接して配置されていると好適である。
【0022】
この構成によれば、撮像装置を表示画面に対して比較的近い位置に配置することが可能となる。したがって、撮像装置の撮像方向を、表示画面を通る運転者の視線方向により近づけることができる。よって、撮像装置により撮像した画像を表示装置に表示させるための画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【0023】
また、前記取付部は、車両のピラーの室内側面の形状に適合した形状を有すると好適である。
【0024】
この構成によれば、ピラーの内装部材に代えて、或いはピラーの内装部材の上から、装置本体を好適に取り付けることができる。
【0025】
また、前記撮像素子及び前記表示画面は矩形状であると好適である。
【0026】
この構成によれば、汎用的な撮像素子及び表示装置を好適に利用することが可能となるので、撮像装置及び表示装置の製造コストを抑制することができる。
【0027】
また、前記撮像装置により撮像した画像を、運転者の視点から見える画像である運転者視点画像に変換した後、当該運転者視点画像を、前記表示画面が含まれる平面上の画像である表示面画像に変換して前記表示装置へ出力する画像処理手段を更に備える構成とすると好適である。
【0028】
この構成によれば、表示装置の表示画面に表示される画像を、運転者が車両の窓を通して見る外の景色と連続する画像とすることができる。よって、表示画面に、運転者にとって違和感がない状態の死角領域の画像を表示し、適切に運転支援を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両用運転支援装置1を取り付けた車両Cを運転者の視点から見た状態を示す図であり、図2は、この運転支援装置1を取り付けた車両Cを外部から見た状態を示す図である。これらの図に示すように、本実施形態においては、運転支援装置1を車両Cのフロントピラー9(ピラーの一例)に取り付ける場合を例として説明する。そして、この運転支援装置1は、運転者の視点から見たフロントピラー9の死角の映像を表示装置3の表示画面4に表示することにより、運転者の死角を少なくし、運転者による車両Cの運転を支援する。この際、図1に示すように、表示画面4に表示される画像は、運転者がフロント窓11及びサイド窓12を通して見る外の景色と連続するように、制御装置7によって画像処理され、運転者にとって違和感のない画像とされている。なお、図中において、13はステアリングホイール、14はルーフ、15はダッシュボード、16はサイドミラーである。
【0030】
また、図3及び図4は、この運転支援装置1を単体で示す図である。すなわち、図3は、この運転支援装置1の表示画面4側を示す斜視図であり、図4は、この運転支援装置1の取付部6側を示す斜視図である。図5は、図2のV−V断面の模式図である。これらの図に示すように、この運転支援装置1は、撮像装置2と、表示画面4を有する表示装置3と、取付部6を有する装置本体5と、制御装置7とを備えている。以下、これらの各部の構成について、図1〜5に基づいて詳細に説明する。
【0031】
1.撮像装置
撮像装置2は、車両の外方を撮像する装置である。この撮像装置2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子8(図10参照)と、この撮像素子8に光を導くレンズ等の光学系とを備えたカメラにより構成される。この撮像装置2は、所定の時間間隔で連続的に画像を撮像し、当該撮像した画像情報を後述する制御装置7へ出力する。そして、図1及び図2に示すように、本実施形態においては、撮像装置2は、装置本体5と一体的に設けられている。具体的には、撮像装置2は、装置本体5と一体的に形成された箱状の撮像装置収納部5c内に収納されて取り付けられている。これにより、撮像装置2は、装置本体5と同様に車両Cの室内に配置される。そして、この撮像装置2は、撮像方向F(図11参照)を外方へ向けて配置されている。この撮像装置2の撮像方向及び画角等は、少なくとも運転者Dから見たフロントピラー9の死角領域A(図6及び7参照)を撮像できるように設定されている。この撮像装置2の配置構成については、後で詳細に説明する。
【0032】
2.表示装置
表示装置3は、撮像装置により撮像した画像を表示する装置である。この表示装置3としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、電界放出ディスプレイ等の各種の表示装置を用いることができる。また、本実施形態においては、表示装置3の表示画面4を矩形状(ここでは長方形)としているため、汎用的な表示装置3を好適に利用することができ、表示装置3の製造コストを抑制することが可能となっている。そして、この表示装置3の表示画面4には、撮像装置2により撮像され、後述する制御装置7により所定の画像処理が行われた、車両の外方の景色に対応する画像が表示される。具体的には、表示画面4には、運転者の視点から見たフロントピラー9の死角の映像が表示される。
【0033】
この表示装置3は、装置本体5と一体的に設けられ、装置本体5のフロントピラー9への取付部6に対する室内側に配置された表示画面4を有する。すなわち、表示装置3は、表示画面4を車両Cの室内側(運転者D側)に向けて、装置本体5に取り付けられて固定されている。このため、表示装置3の表示画面4は、装置本体5における、フロントピラー9の室内側面への取付部6に対して室内側となっている。また、この表示装置3の表示画面4は、フロントピラー9及び当該フロントピラー9と連続するドアの窓枠10(不透明部材の一例)により形成される運転者の死角領域A(図6及び7参照)内に配置される。この表示装置3の表示画面4の配置構成については、後で詳細に説明する。
【0034】
3.装置本体
装置本体5は、運転支援装置1の本体部を構成する部材である。この装置本体5は、後述する様々な要件を満たすべく複雑な三次元形状に形成されるため、複雑な形状を容易に形成することができる合成樹脂等により構成すると好適である。但し、装置本体5の材質は合成樹脂に限定されるものではなく、各種の部材を用いることが可能である。
【0035】
装置本体5は、図4及び図5に示すように、車両Cのフロントピラー9の室内側面9aへの取付部6を有している。この取付部6はフロントピラー9の室内側面9aの形状に適合した形状を有している。ここで、取付部6は、装置本体5の裏面、すなわち表示画面4とは反対側の面の外周縁部により構成される。そして、この取付部6を構成する装置本体5の裏面の外周縁部は、フロントピラー9の室内側面9aに密着するように、当該室内側面9aの形状に適合する形状とされている。また、本実施形態においては、フロントピラー9の室内側面9aは、内装部材を備えないフロントピラー9の室内側面9aとしている。したがって、装置本体5は、フロントピラー9の内装部材も兼ねた構成となっており、フロントピラー9の室内側面9aの全体を覆う形状となっている。
【0036】
また、上記のとおり、装置本体5は、表示装置3を取付部6に対する室内側に支持している。更に、本実施形態においては、装置本体5は、撮像装置2も一体的に支持している。したがって、後述する表示装置3の表示画面4の配置構成、及び撮像装置2の配置構成は、装置本体5の形状によって定まる。また、装置本体5は、運転支援装置1を設けたことによる新たな死角を作らないようにするため、全体がフロントピラー9及び当該フロントピラー9に接するドアの窓枠10(不透明部材の一例)により形成される運転者の死角領域A(図6及び7参照)内に収まる形状となるように形成されている。特に、図1及び3に示すように、フロント窓11側の死角を少なくするために、装置本体5は、フロント窓11側の側面である前側面5aを、表示画面4の前側縁4aに対して略平行な平面形状とするとともに、当該表示画面4の前側縁4aよりフロント窓11側の部分の幅を必要最小限に抑えた形状としている。
【0037】
また、後述するように、表示画面4の後側縁4bの上端部4c(図1参照)がフロントピラー9に接するドアの窓枠10の後側縁10a上に略一致するように配置される。装置本体5は、このようなドアの窓枠10(不透明部材の一例)により形成される死角領域A内に配置される表示画面4の部分を、フロントピラー9側からドアの窓枠10側へ延出された延出部5bにより支持する構成となっている。すなわち、装置本体5は、表示画面4の後側縁4bの上端部4c近傍の、フロントピラー9からドアの窓枠10側にはみ出した三角形状の部分を、フロントピラー9側からドアの窓枠10側へ延出された延出部5bにより支持している。そのため、装置本体5は、表示画面4の正面側からみて、フロントピラー9側からドアの窓枠10側へ延出された、表示画面4の右上角部の形状に対応する略三角形状の延出部5bを有している。この延出部5bは、図5に示すように、ドアの窓枠10に対して隙間を有して配置されている。このような延出部5bを設けたことにより、表示画面4を上記のような配置としながらも、ドアの開閉が可能となっている。
【0038】
図4に示すように、装置本体5の内部には、制御装置7が配置されている。ここで、制御装置7は、撮像装置2及び表示装置3等の動作制御を行う制御回路と、表示画面4に適切な画像を表示するために撮像装置2により撮像した画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理回路とを有している。制御装置7は、具体的には、所定の回路が形成された基板や配線等を有して構成される。よって、本実施形態においては、この制御装置7が、本発明における画像処理手段を構成する。
【0039】
4.表示画面の配置構成
次に、この運転支援装置1における表示装置3の表示画面4の配置構成について説明する。上記のとおり、表示画面4の配置構成は、装置本体5の形状、特に取付部6に対する表示装置3の支持部の形状により定まる。したがって、装置本体5は、以下に説明する表示画面4の配置構成を実現すべく、取付部6と表示画面4との位置関係を設定したものとされている。以下の説明においては、表示画面4の配置構成を説明した図6〜9を適宜参照する。図6は、フロントピラー9及び当該フロントピラー9に接するドアの窓枠10により形成される運転者の死角領域A内における表示画面4の配置を示す図である。この図においては、ハッチングが施された領域が死角領域Aに相当し、運転者の視点から見える表示画面4の外形が二点鎖線で表されている。また、この図に示すY、P、Rの回転方向は、それぞれ車両Cのヨー方向Y、ピッチ方向P、及びロール方向Rを示している。一方、図7は平面視での表示画面4の配置及び車両Cのヨー方向Yの表示画面4の角度を示し、図8は、車両Cのピッチ方向Pの表示画面4の角度を示し、図9は、車両のロール方向Rの表示画面4の角度を示している。なお、図6に示すように、「車両Cのヨー方向Yの角度」は、鉛直軸周りの角度であり、「車両Cのピッチ方向Pの角度」は、車両Cの前後方向Lに直交する水平軸周りの角度であり、「車両Cのロール方向Rの角度」は、車両Cの前後方向Lに平行な水平軸周りの角度である。ここで、「表示画面の角度」とは、表示画面の表示面に平行な方向の角度を表す。
【0040】
図6及び図7に示すように、表示装置3の表示画面4は、運転者Dの死角領域A内に収まるように配置されている。また、この際、表示画面4の一部が、ドアの窓枠10により形成される死角領域A内に配置されている。ここで、死角領域Aは、ピラー及び当該ピラーと連続する不透明部材により運転者Dの視界内に形成される死角の領域であり、本実施形態においては、フロントピラー9及び当該フロントピラー9に接するドアの窓枠10(不透明部材の一例)により形成される。より具体的には、死角領域Aは、運転者Dの視点Deから見える、フロントピラー9の前側縁9bと当該フロントピラー9に接するドアの窓枠10の後側縁10aとにより両側が囲まれた領域である。また、この死角領域Aは、上側でルーフ14に接しており、下側でダッシュボード15に接している。ここで、運転者Dの視点Deは、車両Cの開発時等に用いられる標準的な体型の運転者Dが、標準的なドライビングポジションをとったときの視点の位置を基準として用いている。
【0041】
そして、表示画面4は、一方の側縁が死角領域Aの境界を構成するピラーの側縁に沿って配置され、他方の側縁の少なくとも一部が死角領域Aの境界を構成する不透明部材の側縁上に略一致するように配置されている。本実施形態においては、上記のとおり、フロントピラー9の前側縁9bと、当該フロントピラー9に接する不透明部材としてのドアの窓枠10の後側縁10aとにより死角領域Aの境界が構成されている。したがって、図1及び6に示すように、表示画面4は、前側縁4a(一方の側縁の一例)がフロントピラー9の前側縁9b沿って配置され、後側縁4b(他方の側縁の一例)の上端部4cがフロントピラー9に接するドアの窓枠10の後側縁10a(不透明部材の側縁の一例)上に略一致するように配置されている。このように表示画面4を配置したことにより、図1及び6に示す運転者Dの視点Deから見た表示画面4の右上角部近傍の一部の領域が、死角領域Aの中のドアの窓枠10により形成される部分内に配置される。したがって、本実施形態のように表示画面4の形状が矩形状である場合であっても、表示画面4を配置したことによって新たな死角を作ることなく、表示画面4の面積を大きくして運転者からの見易さを確保することができる。
【0042】
また、表示装置3の表示画面4は、運転者Dからの見易さを確保しつつ新たな死角を作らないようにするために、三次元の各方向、すなわち車両Cのピッチ方向P、ヨー方向Y、及びロール方向Rについて適切な角度が設定されて配置される。すなわち、車両Cのピッチ方向Pの角度に関して、図8に示すように、表示画面4のピッチ方向角度aが、フロントピラー9のピッチ方向傾斜角b1に平行な角度から運転者Dの視線方向Ddに垂直な角度b2までの間となるように設定されている。図示の角度は一例であるが、水平H(0°)を基準として、フロントピラー9のピッチ方向傾斜角b1は約35°であり、表示画面4のピッチ方向角度aは約50°としている。表示画面4のピッチ方向角度aをこのような範囲に設定することにより、見易さを考慮して表示画面4の上下長を適切に確保することができる。また、表示画面4の法線方向が運転者Dの視線方向Ddよりも下方を向くことになるので、車外から入射した光が画面に反射して運転者Dが表示画面4を見難くなることを抑制しつつ、表示画面4の角度を運転者Dにとって見易い角度とすることができる。よって、運転者Dからの表示画面4の見易さを確保することができる。
【0043】
また、車両Cのヨー方向Yの角度に関して、図7に示すように、表示画面4のヨー方向角度cが、運転者Dの視線方向Ddに垂直な角度dから車両Cの前後方向Lに平行な角度(0°)までの間となるように設定されている。図示の角度は一例であるが、車両Cの前後方向Lに平行な角度(0°)を基準として、車両Cのヨー方向Yの運転者Dの視線方向Ddに垂直な角度dは約70°であり、表示画面4のヨー方向角度cは約50°としている。表示画面4のヨー方向角度cをこのような範囲に設定することにより、表示画面4の幅が極端に狭くならないように見易い幅を適切に確保することができる。よって、運転者Dからの表示画面4の見易さを確保することができる。
【0044】
更に、車両Cのロール方向Rの角度に関して、図9に示すように、表示画面4の一方の側縁の角度eが、鉛直方向Vに対して傾斜した角度となるように設定されている。図示の角度は一例であるが、鉛直方向Vに対して、表示画面4の前側縁4aのロール方向角度eは約20°としている。なお、本実施形態においては、表示画面4は矩形状であるので、表示画面4の他方の側縁である後側縁4bのロール方向角度も同じ角度となっている。表示画面4のロール方向角度eをこのような範囲に設定することにより、矩形状の表示画面4を、フロントピラー9の傾斜角度に沿って傾斜して配置することも可能となる。よってフロントピラー9及び当該フロントピラー9に接するドアの窓枠10により形成される運転者の死角領域Aを有効に活用して、矩形状の表示画面4を配置することができる。したがって、新たな死角を作ることなく、運転者Dからの表示画面4の見易さを確保することができる。
【0045】
5.撮像装置の配置構成
次に、この運転支援装置1における撮像装置2の配置構成について説明する。上記のとおり、本実施形態においては撮像装置2が装置本体5と一体的に設けられている。よって、撮像装置2の配置構成は、装置本体5の形状、特に取付部6に対する撮像装置2の支持部としての撮像装置収納部5cの位置及び形状により定まる。したがって、装置本体5は、以下に説明する撮像装置2の配置構成を実現すべく、取付部6と撮像装置2との位置関係を設定したものとされている。
【0046】
図1及び図2に示すように、撮像装置2は、車両Cのフロント窓11の上部に配置されている。また、この撮像装置2は、フロントピラー9に隣接して配置されている。そのため、本実施形態においては、撮像装置2は、フロントピラー9に沿って設けられる装置本体5の上端部近傍からフロント窓11側の側方に突出するように形成された撮像装置収納部5c内に取り付けられている。上記のとおり、装置本体5はフロントピラー9の室内側面9aの全体を覆うように形成されているため、装置本体5の上端部近傍に撮像装置収納部5cを設けて撮像装置2を取り付けることにより、撮像装置2をフロント窓11の上部に配置することができる。また、フロントピラー9に沿って設けられる装置本体5からフロント窓11側の側方に突出するように撮像装置収納部5cを設けて撮像装置2を取り付けることにより、撮像装置2をフロントピラー9に隣接して配置することができる。そして、この撮像装置2は、車両Cの室内側から外方を撮像するように配置され、その撮像方向F(図11参照)及び画角等は、少なくとも運転者Dから見たフロントピラー9の死角領域A(図6及び7参照)を撮像できるように設定されている。
【0047】
上記のとおり、撮像装置2は、イメージセンサとしての撮像素子8を備えている。そこで次に、撮像素子8のロール角度gについて説明する。図10は、撮像装置2の撮像素子8及び表示画面4のロール角度を表した説明図である。この図において、(a)及び(b)は撮像素子8のロール角度gの説明図であって、(b)は(a)の要部拡大図である。また、(c)及び(d)は表示画面4のロール角度fの説明図であって、(d)は(c)の要部拡大図である。なお、この図では、装置本体5に取り付けられた状態での撮像素子8の撮像面8a及び表示画面4の向きに関わらず、撮像素子8の撮像面8aと表示画面4とを同一平面上に表している。
【0048】
図10に示すように、この運転支援装置1では、制御装置7による画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えるために、撮像装置2の撮像素子8のロール角度gが、表示画面4のロール角度fと略一致するよう設けられている。ここで、撮像素子8のロール角度gは、当該撮像素子8の画素の配列方向Tのロール角度であり、表示画面4のロール角度fは、当該表示画面4の画素の配列方向Sのロール角度である。また、画素の配列方向T、Sとは、画素が所定の規則に従って配列される方向である。よって、一つの撮像素子8又は表示画面4について、一本の直線に沿った1方向、直交する2本の直線に沿った2方向、或いは60°ピッチの3本の直線に沿った3方向等のように複数の方向が存在する場合もある。図示の例においては、いずれもロール角度は水平Hを基準とする角度として表している。本実施形態においては、撮像素子8は矩形状(ここでは正方形)とされている。また、上記のとおり、表示画面4も矩形状(ここでは長方形)とされている。そして、撮像素子8の画素は、撮像素子8の各辺に平行な格子状に配列されており、表示画面4の画素は、表示画面4の各辺に平行な格子状に配列されている。この場合、撮像素子8及び表示画面4ともに、画素の配列方向T、Sは2方向である。よって、本実施形態においては、撮像素子8のロール角度gは、撮像素子8の外形(或いは各辺)のロール角度と一致し、表示画面4のロール角度fは、表示画面4の外形(或いは各辺)のロール角度と一致している。なお、撮像素子8及び表示画面4の各画素の形状は、図10に示すような矩形状に限られるものではなく、例えば六角形や菱形等の各種の多角形や円形等であってもよい。
【0049】
また、ここでの撮像素子8のロール角度gは、当該撮像素子8の撮像面8aに対する直交軸周りの角度であり、表示画面4のロール角度fは、当該表示画面4に対する直交軸周りの角度である。すなわち、撮像素子8と表示画面4とは、装置本体5に取り付けられた状態での撮像素子8の撮像面8a及び表示画面4の向きに関わらず、それぞれの直交軸周りで同一方向に略同じ角度だけ回転した状態となるように設けられている。上記のとおり、図10では、撮像素子8の撮像面8aと表示画面4とを同一平面上に表している。すなわち、撮像素子8の撮像面8aは、図10(a)に示すように、紙面上に配置されたx軸とy軸による平面上に配置され、その直交軸はz軸となっている。なお、撮像面8aの直交軸zは、撮像装置2の光軸と一致している。同様に、表示画面4は、図10(c)に示すように、紙面上に配置されたx軸とy軸による平面上に配置され、その直交軸はz軸となっている。そして、図10に示す例では、撮像素子8の直交軸z周りのロール角度gは約20°であり、表示画面4の直交軸z周りのロール角度fも約20°であり、互いに略一致するように設定されている。このような構成としたことにより、上記のように、運転者D(図7参照)からの見易さを確保しつつ新たな死角を作らないようにするために、表示画面4を三次元の各方向に傾斜させて配置した場合であっても、当該表示画面4のロール方向の傾斜の影響を補正するための画像処理を少なくすることができる。よって、制御装置7による画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることができる。
【0050】
なお、実際に撮像装置2及び表示装置3を装置本体5に取り付けられた状態では、図10に示す状態とは異なり、撮像素子8の撮像面8aと表示画面4とのそれぞれの向きを表す直交軸zの方向は一致しない。したがって、撮像素子8の撮像面8aと表示画面4とが異なる平面上に位置することになる。
【0051】
6.制御装置による画像処理
次に、この制御装置7(図4参照)による画像処理の内容について説明する。画像処理手段としての制御装置7は、撮像装置2により撮像した撮影画像Gtを、運転者の視点Deから見える画像である運転者視点画像Gdに変換した後、当該運転者視点画像Gdを、表示装置3の表示画面4が含まれる平面上の画像である表示面画像Gsに変換する画像処理を行う。そして、制御装置7は、変換後の表示面画像Gsの情報を表示装置3へ出力して表示画面4に表示させる。以下、この制御装置7による画像処理について、図11に基づいて説明する。
【0052】
制御装置7は、画像処理に際して、運転者の視点De、撮像装置2、表示装置3の表示画面4、及び運転者視点画像Gdを作成する仮想平面Evのそれぞれの位置や方向等についての関係情報を条件として用いる。ここで、撮像装置2及び表示装置3は、上記のとおり、車両Cに取り付けられる装置本体5と一体的に設けられている。したがって、車両Cを基準として、撮像装置2の位置、撮像方向F(光軸方向)、及び撮像素子8のロール角度g(図10参照)は特定される。同様に、車両Cを基準として、表示装置3の表示画面4の位置、方向、及びロール角度f(図10参照)も特定される。なお、このような表示画面4の位置等は、矩形状の表示画面4の3つの角部の座標の情報として特定してもよい。
【0053】
一方、運転者の視点Deは、各運転者によって異なる。したがって、運転者の視点Deの位置は、図示しない視点位置特定手段によって特定する。この視点位置特定手段としては、例えば、車室内に設置されたカメラ等によって運転者の顔画像を撮影し、この顔画像を解析して運転者の視点Deの位置を検出する手段を用いることができる。また、超音波センサやレーザースキャナ等により運転者の頭部の位置を検出し、当該検出した頭部の位置から運転者の視点Deの位置を推測する手段を用いることができる。また、車両Cのバックミラーやサイドミラー16の角度、シートの位置及びヘッドレストの高さ等を各部のセンサにより検出し、当該検出値から間接的に運転者の視点Deの位置を検出する手段を用いることができる。更には、運転者に身長や座高などの身体情報の入力を求め、当該入力情報に基づいて運転者の視点Deの位置を推測する手段を用いることができる。或いは、仮に標準的な体型の運転者が標準的なドライビングポジションをとったときの運転者の視点Deの位置を用いて表示装置3に外の景色の画像を表示し、その後、運転者が当該画像を見ながら、実際の景色と合致するように表示画面4上の画像の位置及び方向を手動で調整する手段を用いることもできる。このようにして運転者の視点Deの位置が特定されれば、運転者の視線方向Ddは、運転者の視点Deの位置から表示画面4の中心部に向かう方向として特定される。
【0054】
運転者視点画像Gdを作成する仮想平面Evの位置及び方向は、上記のように特定された運転者の視点De、撮像装置2、及び表示装置3の表示画面4のそれぞれの位置や方向等の条件に基づいて適切に決定される。この仮想平面Evの決定方法としては、例えば、運転者の視点Deから視線方向Ddに延ばした直線が地面と交差する点を含み、当該視線方向Ddと平面視で直交する鉛直平面を仮想平面Evとすると好適である。また、運転者の視点De又は撮像装置2から所定距離だけ離れた位置に配置され、視線方向Ddと平面視で直交する鉛直平面を仮想平面Evとしてもよい。この際、運転者の視点De又は撮像装置2からの距離は、例えば5〜50mの範囲で設定すると好適である。また、仮想平面Evは、鉛直平面に限定されるものではなく、例えば運転者の視線方向Ddに直交する面等のように鉛直方向に対して傾斜した平面とし、或いは球面等のような曲面とすることもできる。
【0055】
そして、制御装置7は、以上のように特定された条件を用いて、図11に示すように、撮像装置2により撮像した撮影画像Gtの画像処理を行う。図11には、各画像Gt、Gd、Gs上の対応する画素の位置を丸印で示している。この各画像Gt、Gd、Gs上の丸印の配列は、撮影画像Gtが属する撮像平面Et上の等間隔に並んだ6つの画素が、画像処理によってどのように変化するかを表している。ここで、撮像平面Etは、撮像素子8の撮像面8a(図10参照)に平行な平面であって、撮像方向F(光軸方向)に直交する平面である。なお、図11では、本実施形態に係る運転支援装置1の構成に合わせて、表示画面4に対して上方に撮像装置2を配置しているが、図面の見易さのために、運転者の視線方向Ddと撮像方向Fとの関係は、実際よりも角度を大きく表している。
【0056】
制御装置7は、まず、撮像装置2により撮像した撮影画像Gtを、運転者の視点Deから見える画像である運転者視点画像Gdに変換する変換処理を行う。この変換処理として、ここでは、撮影画像Gtが属する撮像平面Etと、上記のように求めた仮想平面Evとの関係に基づいて射影変換を行う。この射影変換は、撮像平面Etの直交軸と仮想平面Evの直交軸との角度差に基づいて、当該角度差だけ傾いた平面上に撮影画像Gtを投影することにより行う。このように仮想平面Evに投影された画像が運転者視点画像Gdとなる。したがって、運転者視点画像Gdでは、撮影画像Gtにおいて等しかった各画素の間隔が変化する。図11に示す例では、この射影変換により、画素の間隔が、運転者視点画像Gdの下方に向かうに従って広がるように変換されている。
【0057】
次に、制御装置7は、上記の変換により生成された運転者視点画像Gdを、表示装置3の表示画面4が含まれる平面上の画像である表示面画像Gsに変換する変換処理を行う。この変換処理として、ここでは、仮想平面Evと、表示画面4が含まれる表示平面Esとの関係に基づいて射影変換を行う。この射影変換は、仮想平面Evの直交軸と表示平面Esの直交軸との角度差に基づいて、当該角度差だけ傾いた平面上に運転者視点画像Gdを投影することにより行う。このように表示平面Esに投影された画像が表示面画像Gsとなる。したがって、表示面画像Gsでは、撮影画像Gtにおいて等しかった各画素の間隔が、運転者視点画像Gdに対して更に変化する。図11に示す例では、この射影変換により、画素の間隔が、表示面画像Gsの下方に向かうに従って、運転者視点画像Gdに対して更に広がるように変換されている。
【0058】
そして、制御装置7は、上記の変換により生成された表示面画像Gsの中から、表示画面4の表示領域に対応する部分を切り出して表示装置3に出力し、表示画面4に表示させる。表示面画像Gsが属する表示平面Es中における表示画面4の表示領域に対応する部分は、上記のように特定された運転者の視点Deの位置及び視線方向Ddと、表示画面4の表示画面4の位置、方向、及びロール角とに基づいて特定することができる。したがって、制御装置7は、このように特定された表示画面4の表示領域に対応する部分を表示面画像Gsの中から切り出す。そして、このように切り出された画像は表示装置3により表示画面4に表示される。この際、上記のとおり、撮像装置2の撮像素子8のロール角度gが、表示画面4のロール角度fと略一致するよう設けられているため(図10参照)、表示面画像Gsを構成する各画素の配列方向のロール角度が、表示画面4の画素の配列方向Sのロール角度fと略一致していることになる。したがって、表示画面4のロール方向の傾斜の影響を補正するための画像処理を少なくすることができるため、制御装置7による画像処理の演算負荷を軽減し、画質の劣化を抑えることが可能となる。そして、以上のように画像処理を行うことにより、表示装置3の表示画面4に表示される画像は、運転者がフロント窓11及びサイド窓12を通して見る外の景色と連続する画像となる。よって、表示画面4に、運転者にとって違和感がない状態の死角領域Aの画像を表示し、適切に運転支援を行うことができる。
【0059】
7.その他の実施形態
(1)上記の実施形態においては、本発明に係る運転支援装置1を、運転席側のフロントピラー9に取り付けた場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば図12に示すように、運転席側のフロントピラー9に加えて、助手席側のフロントピラー9にも同様に運転支援装置1を取り付ける構成としても好適である。この場合、助手席側の運転支援装置1は、上記実施形態において説明した運転支援装置1に対して鏡対称の構成とすると好適である。また、図示は省略するが、本発明に係る運転支援装置1は、フロントピラー9だけでなく、リアピラーやサイドピラー等に設けても好適である。この場合においても、各ピラー及び当該ピラーと連続するドア(バックドアを含む)等の不透明部材により形成される運転者の死角領域内に、表示画面4が配置されるように、装置本体5の取付部6と表示画面4との位置関係が設定される。
【0060】
(2)上記の実施形態においては、撮像装置2を車両Cのフロント窓11の上部に配置する場合の例について説明した。しかし、撮像装置2の配置はこの位置に限定されるものではない。したがって、例えば図13に示すように、フロントピラー9(ピラーの一例)内に小窓17が設けられている場合に、撮像装置2を、装置本体5の取付部6における当該小窓17に対応する位置に配置しても好適である。この場合、装置本体5は、撮像装置2を当該位置に配置するように、取付部6における小窓17に対応する位置に撮像装置2の支持部を有している。撮像装置2をこのような位置に配置した場合には、撮像装置2の撮像方向Fを運転者の視線方向Ddにより近づけることが可能となる(図11参照)。したがって、制御装置7による画像処理の演算負荷を更に軽減し、画質の劣化を抑えることが可能となる。
【0061】
(3)上記の実施形態においては、不透明部材がドアの窓枠10である場合の例について説明した。しかし、本発明におけるピラーと連続する不透明部材はドアの窓枠10に限定されるものではなく、ドアや窓のシール材、サイドミラーの付根部、ドアパネル、ダッシュボード、ルーフ等も不透明部材に相当する。
【0062】
(4)上記の実施形態においては、表示装置3の表示画面4の形状を矩形状とする場合の例について説明した。これは主に、表示画面4の形状を長方形や正方形等の矩形状とする方が製造コストを安価に抑えることができるためである。したがって、製造コストの問題が解決できれば、表示画面4の形状は、例えば、菱形、台形、三角形等とし、或いは円形や曲線を用いた各種の形状とすることができる。
【0063】
(5)上記の実施形態においては、撮像装置2が装置本体5に固定された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。したがって、撮像装置2の撮像方向を調整可能とするために、装置本体5への取付部分に調整機構を備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、撮像装置2を装置本体5とは別個に設けることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、撮像装置2の配置は装置本体5の位置に制約されないので、運転者の視界の妨げにならず、上記の死角領域Aを撮像可能な任意の位置に配置することが可能である。したがって、例えば、バックミラーの背面やダッシュボード上等に撮像装置2を配置してもよい。
【0064】
(6)上記の実施形態においては、表示装置3が装置本体5に固定された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。したがって、表示装置3の表示画面4の方向を調整可能とするために、装置本体5への取付部分に調整機構を備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0065】
(7)上記の実施形態においては、装置本体5の取付部6による取り付け対象となるフロントピラー9の室内側面9aが、内装部材を備えないフロントピラー9の室内側面9aである場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。したがって、装置本体5の取付部6を、内装部材を備えたフロントピラー9の室内側面9aの形状に適合した形状とし、当該内装部材の上から、装置本体5の取付部6を取り付ける構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0066】
(8)上記の実施形態においては、制御装置7が、2回の射影変換を行った後の表示面画像Gsの中から、表示画面4の表示領域に対応する部分を切り出す処理を行って表示装置3に出力する構成を例として説明した。しかし、前記切り出し処理を行う対象の画像は、表示面画像Gsに限定されるものではなく、運転者視点画像Gd又は撮影画像Gtに対して行ってもよい。このように、射影変換の前の画像に対して前記切り出し処理を行うことにより、射影変換の対象となる画像のデータ量を削減することができ、変換処理のための演算負荷を軽減することができる。したがって、撮影画像Gtに対して前記切り出し処理を行った場合には、2回の射影変換の両方について対象となる画像のデータ量を削減することができるので、演算負荷を最も軽減することができる。この場合、制御装置7は、上記の2回の射影変換を逆に行うことにより、表示画面4の表示領域に対応する撮像平面Et上の領域を求め、撮影画像Gtの中から表示画面4の表示領域に対応する部分を切り出す処理を行う。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、車両のピラーに取り付けることにより、運転者の死角を少なくすることができるので、運転者による車両の運転支援に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用運転支援装置を取り付けた車両を運転者の視点から見た状態を示す図
【図2】本発明の実施形態に係る車両用運転支援装置を取り付けた車両を外部から見た状態を示す図
【図3】本発明の実施形態に係る運転支援装置の表示画面側を示す斜視図
【図4】本発明の実施形態に係る運転支援装置の取付部側を示す斜視図
【図5】図2のV−V断面の模式図
【図6】本発明の実施形態に係る運転者の死角領域内における表示画面の配置を示す図
【図7】本発明の実施形態に係る平面視での表示画面の配置及び車両のヨー方向の表示画面の角度を示す図
【図8】本発明の実施形態に係る車両のピッチ方向の表示画面の角度を示す図
【図9】本発明の実施形態に係る車両のロール方向の表示画面の角度を示す図
【図10】本発明の実施形態に係る撮像装置の撮像素子及び表示画面のロール角度を表した説明図
【図11】本発明の実施形態に係る制御装置による画像処理の内容を示す説明図
【図12】本発明のその他の実施形態に係る運転支援装置の配置構成を示す図
【図13】本発明のその他の実施形態に係る運転支援装置の撮像装置の配置構成を示す図
【符号の説明】
【0069】
1:車両用運転支援装置
2:撮像装置
3:表示装置
4:表示画面
4a:表示画面の前側縁(表示画面の一方の側縁の一例)
4b:表示画面の後側縁(表示画面の他方の側縁の一例)
4c:表示画面の後側縁の上端部(表示画面の他方の側縁の上端部の一例)
5:装置本体
5b:延出部
6:取付部
7:制御装置(画像処理手段)
8:撮像素子
8a:撮像面
9:フロントピラー(ピラーの一例)
9a:フロントピラーの室内側面
9b:フロントピラーの前側縁(ピラーの側縁の一例)
10:ドアの窓枠(不透明部材の一例)
10a:ドアの窓枠の後側縁(不透明部材の側縁の一例)
11:フロント窓
17:小窓
A:死角領域
C:車両
D:運転者
De:運転者の視点
Dd:運転者の視線方向
Gt:撮影画像(撮像装置により撮像した画像)
Gd:運転者視点画像
Gi:表示面画像
P:車両のピッチ方向
Y:車両のヨー方向
R:車両のロール方向
L:車両の前後方向
V:鉛直
S:表示画面の画素の配列方向
T:撮像素子の画素の配列方向
a:表示画面のピッチ方向角度
b:ピラーのピッチ方向傾斜角
c:表示画面のヨー方向角度
d:運転者の視線方向に垂直な角度
e:表示画面の前側縁のロール方向角度
f:表示画面のロール角度(表示画面の画素の配列方向のロール角度)
g:撮像素子のロール角度(撮像素子の画素の配列方向のロール角度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外方を撮像する撮像装置と、
車両のピラーの室内側面への取付部を有する装置本体と、
前記取付部に対する室内側に前記装置本体と一体的に設けられ、前記撮像装置により撮像した画像を表示する表示画面を有する表示装置と、を備え、
前記撮像装置の撮像素子のロール角度が、前記表示装置の表示画面のロール角度と略一致するよう設けられている車両用運転支援装置。
【請求項2】
前記撮像素子のロール角度は、当該撮像素子の画素の配列方向のロール角度であり、前記表示画面のロール角度は、当該表示画面の画素の配列方向のロール角度である請求項1に記載の車両用運転支援装置。
【請求項3】
前記撮像素子のロール角度は、当該撮像素子の撮像面に対する直交軸周りの角度であり、前記表示画面のロール角度は、当該表示画面に対する直交軸周りの角度である請求項1又は2に記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
前記表示画面の一方の側縁が前記ピラーの側縁に沿って配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項5】
前記表示画面の一方の側縁がフロントピラーの前側縁に沿って配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記装置本体と一体的に設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項7】
前記撮像装置は、車両のフロント窓の上部に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項8】
前記ピラー内に小窓がある場合に、前記撮像装置は、前記取付部における前記小窓に対応する位置に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項9】
前記撮像装置は、前記ピラーに隣接して配置されている請求項1から8のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項10】
前記取付部は、車両のピラーの室内側面の形状に適合した形状を有する請求項1から9のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項11】
前記撮像素子及び前記表示画面は矩形状である請求項1から10のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。
【請求項12】
前記撮像装置により撮像した画像を、運転者の視点から見える画像である運転者視点画像に変換した後、当該運転者視点画像を、前記表示画面が含まれる平面上の画像である表示面画像に変換して前記表示装置へ出力する画像処理手段を更に備える請求項1から11のいずれか一項に記載の車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−307982(P2008−307982A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156474(P2007−156474)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】