説明

車両用除加湿装置及びその装置の運転方法

【課題】乗員以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる車両用除加湿装置及びその装置の運転方法を実現する。
【解決手段】ケーシング1は、加湿風吹出口8から吹き出される加湿風を乗員に向けて吹き出すとともに、除湿風吹出口9から吹き出される除湿風を乗員以外の部位に向けて吹き出すように配置され、流路切替部4は、吸着材モジュール3を所定時間放置後に作動させる掃気運転において、加湿された空気を除湿風吹出口9側から吹き出すように構成されている。これにより、臭気を含む加湿空気を乗員以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内空気を取り込んで除湿された空気と加湿された空気とを吹き出す車両用除加湿装置及びその装置の運転方法に関するものであり、特に、吸着材の吸着/脱離機能を利用して、例えば、冬季において、人の居る側に加湿空気を供給する車両用除加湿装置及びその装置の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車室内の空調技術の1つとして、車室内をより快適にし、かつ省エネルギー化を図るため、吸着材の水蒸気脱着機能を利用した除湿/加湿技術が種々検討されている。係る技術として、例えば、下記の特許文献1には、冬季において車室内の空気を循環させつつ、窓ガラスの防曇用として車室外の乾燥した外気を導入して窓ガラスに吹き付けるにあたり、車室内から車室外へ排出される一部の空気中の水分を活性炭、ゼオライトなどの吸着材によって捕捉し、捕捉した水分を車室内に戻すことにより、車室内の乾燥を防ぐようにした「車室内の空調方法」が提案されている。
【0003】
上記の空調方法においては、通気可能な円柱状のハニカム構造体から成る、いわゆる吸着ローターに吸着材を担持させ、吸着ローターを一定速度で回転させながら、吸着ローターの一部が所定の吸着領域(車室内空気の排出流路)を通過する際に水分を吸着し、所定の脱離領域(車室内空気の循環流路)を通過する際に電熱ヒーターで加熱された空気によって吸着材を加熱し、吸着材の水分を脱離させるようになっている。
【特許文献1】特開2000−142096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成によれば、吸着材が担持された吸着ローターを、例えば、一晩程度の所定時間放置させておくと、次の日の最初の作動時において、加湿もしくは除湿された空気には、臭気の強い成分を含んだ空気が吹き出されることがしばしばある。更に、人の居る側、即ち運転席の乗員(運転者)に向けて加湿空気を吹き出すように配置した場合には、その臭気による快適性が損なわれるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、乗員以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる車両用除加湿装置及びその装置の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車室内の空気を取り込んで除湿された空気及び加湿された空気を吹き出す車両用除加湿装置であって、空気が通過する流路としてのケーシング(1)に送風手段(2)、吸着材モジュール(3)及び流路切替部(4)が空気の流れ方向に沿って順に配設されており、ケーシング(1)には、空気流れの下流端に加湿風を吹き出す加湿風吹出口(8)及び除湿風を吹き出す除湿風吹出口(9)が設けられ、吸着材モジュール(3)は、吸熱部及び放熱部としてそれぞれ機能する一対の板面(30a、30b)を有するペルチェ素子(30)と、通気可能なフィン(33)の表面に吸着材を把持させて板面(30a、30b)のそれぞれに配置された第1の吸着素子(31A)及び第2の吸着素子(31B)とを備え、送風手段(2)によって送気される空気が各吸着素子(31A、31B)を通過可能にケーシング(1)内に配置され、流路切替部(4)は、加湿風吹出口(8)及び除湿風吹出口(9)に対し、第1の吸着素子(31A)を通過した空気と、第2の吸着素子(31B)を通過した空気とを別々に分配可能で、かつ分配先を流路切替ドア(6)によって切り替え可能に構成され、ペルチェ素子(30)に流れる電流を逆転させてペルチェ素子(30)の吸熱部と放熱部とを入れ替えるとともに、流路切替部(4)は、電流の逆転に応じて流路切替ドア(6)によって各空気の分配先を切り替えるように構成されている車両用除加湿装置において、
ケーシング(1)は、加湿風吹出口(8)から吹き出される加湿風を乗員に向けて吹き出すとともに、除湿風吹出口(9)から吹き出される除湿風を乗員以外の部位に向けて吹き出すように配置され、流路切替部(4)は、吸着材モジュール(3)を所定時間放置後に作動させる掃気運転において、第1もしくは第2の吸着素子(31A、31B)を通過した空気を交互に除湿風吹出口(9)側から吹き出すように構成されていることを特徴としている。
【0007】
この発明によれば、所定時間放置後に作動させる掃気運転では、除湿風吹出口(9)から第1もしくは第2の吸着素子(31A、31B)を通過した空気を交互に吹き出すように構成したことにより、臭気が直接乗員に向けて吹き出すことがない。これにより、臭気を含む空気を乗員以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、ケーシング(1)は、車両の天板(50a)と内装材(50b)との間の天井(50)内に配置され、除湿風吹出口(9)から吹き出される除湿風を天井(50)内に吹き出すことを特徴としている。この発明によれば、除湿風吹出口(9)から吹き出される除湿風が車室内へ吹き出されないため、掃気運転において、臭いを乗員に感じさせることは無い。これにより、臭気を含む空気を乗員以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、加湿風吹出口(8)から吹き出される加湿風を送る送風ダクト(70、71)を天井(50)内に配設し、送風ダクト(70、71)から加湿風を運転者(Dr)の顔面に向けて吹き出すことを特徴としている。この発明によれば、運転者(Dr)へは、ケーシング(1)の加湿風吹出口(8)から直接吹き出すようにしても良いが、送風ダクト(70、71)を介して運転者(Dr)の顔面に向けて吹き出す構成により、ケーシング(1)が運転者(Dr)の頭上になくても良く、運転者(Dr)の頭上スペースを狭くすることがない。そのうえ、加湿風の吹出端(70a、71a)を適切な位置に構成することができる。また、送風ダクト(70、71)を介することで、加湿風の送風音(直達音)を低減することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明では、除湿風吹出口(9)から吹き出される除湿風を送る送風ダクト(72)を天井(50)内に配設し、送風ダクト(72)から除湿風を車両の前面窓ガラス(51)の内面に向けて吹き出すことを特徴としている。この発明によれば、除湿風を前面窓ガラス(51)の防曇に利用することができる。そのうえ、除湿風の吹出端(72a、72b)を適切な位置に構成することができる。また、送風ダクト(72)を介することで、除湿風の送風音(直達音)を低減することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明では、送風ダクト(72)からの除湿風を前面窓ガラス(51)の上側左右部に向けて吹き出すことを特徴としている。この発明によれば、インストルメントパネルの前端部、即ち前面窓ガラス(51)の下端側から吹き出される車両用空調装置のデフロスタ吹出風では曇りを晴らし難い前面窓ガラス(51)の上側左右部の曇りを、効率よく晴らすことができる。
【0012】
請求項6に記載の発明では、各吸着素子(31A、31B)のそれぞれに空気を取り込んで供給するそれぞれの送風手段(2A、2B)を設けるとともに、各吸着素子(31A、31B)の一方側に通ずる送風手段(2A、2B)が作動しているときに、各吸着素子(31A、31B)の他方側に通ずる送風手段(2A、2B)が停止していることを特徴としている。この発明によれば、各吸着素子(31A、31B)のそれぞれを通過した臭気を含む空気を乗員に向けて直接吹き出すことなく、掃気運転を確実に実行することができる。
【0013】
請求項7に記載の発明では、送風手段(2)と吸着材モジュール(3)との間には、送風手段(2)から取り込んだ空気を各吸着素子(31A、31B)のいずれか一方に供給するように流れ方向を切り替える切替ドア(25)が設けられ、この切替ドア(25)は、掃気運転時に、各吸着素子(31A、31B)の一方側に送風手段(2)から取り込んだ空気を供給するように作動させ、他方の吸着素子(31A、31B)側に送風手段(2)から取り込んだ空気を遮断するように作動させることを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、各吸着素子(31A、31B)のそれぞれを通過した臭気を含む空気を乗員に向けて直接吹き出すことなく、掃気運転を確実に実行することができる。また、一つの送風手段(2)で掃気運転が行えるため、部品コストの低減が図れる。
【0015】
請求項8に記載の発明では、流路切替部(4)は、吸着材モジュール(3)の直下流側に配設された第1仕切り部(40)によって第1の吸着素子(31A)を通過した空気が流入する第1流入空間(3A)と、第2の吸着素子(31B)を通過した空気が流入する第2流入空間(3B)とに区画され、第1仕切り部(40)の下流側は、第2仕切り部(11)によって加湿風吹出口(8)に流出する加湿風流通路(80)と、除湿風吹出口(9)に流出する除湿風流通路(90)とに区画され、流路切替ドア(6)は、第1仕切り部(40)と第2仕切り部(11)との間に配設され、加湿風流通路(80)と第1流入空間(3A)および第2流入空間(3B)の一方とを連通させて他方を閉塞し、この連通/閉塞の状態を逆転しうる加湿側ドア(61a、61b)と、除湿風流通路(90)と第1流入空間(3A)および第2流入空間(3B)の一方とを連通させて他方を閉塞し、この連通/閉塞の状態を逆転しうる除湿側ドア(62a、62b)とを1つの回動軸(60)に備え、流路切替ドア(6)を第1の流路切替位置に回動させることにより、第1流入空間(3A)と加湿風流通路(80)とが連通しつつ第2流入空間(3B)と除湿風流通路(90)とが連通し、流路切替ドア(6)を第2の流路切替位置に回動させることにより、第1流入空間(3A)と除湿風流通路(90)とが連通しつつ第2流入空間(3B)と加湿風流通路(80)とが連通するようになっていることを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、吸着材モジュール(3)の直下流側に流路切替ドア(6)が回動できるだけのスペースを確保すれば流路切替部(4)を構成できることとなり、車両用除加温装置の構成を簡素化でき、かつ車両用除加温装置を小型化することができる。
【0017】
請求項9に記載の発明では、車室内の空気を取り込んで除湿された空気及び加湿された空気を吹き出す車両用除加湿装置であって、空気が通過する流路としてのケーシング(1)に送風手段(2)、吸着材モジュール(3)及び流路切替部(4)が空気の流れ方向に沿って順に配設されており、ケーシング(1)には、空気流れの下流端に加湿風を吹き出す加湿風吹出口(8)及び除湿風を吹き出す除湿風吹出口(9)が設けられ、吸着材モジュール(3)は、吸熱部及び放熱部としてそれぞれ機能する一対の板面(30a、30b)を有するペルチェ素子(30)と、通気可能なフィン(33)の表面に吸着材を把持させて板面(30a、30b)のそれぞれに配置された第1の吸着素子(31A)及び第2の吸着素子(31B)とを備え、送風手段(2)によって送気される空気が各吸着素子(31A、31B)を通過可能にケーシング(1)内に配置され、流路切替部(4)は、加湿風吹出口(8)及び除湿風吹出口(9)に対し、第1の吸着素子(31A)を通過した空気と、第2の吸着素子(31B)を通過した空気とを別々に分配可能で、かつ分配先を流路切替ドア(6)によって切り替え可能に構成され、ペルチェ素子(30)に流れる電流を逆転させてペルチェ素子(30)の吸熱部と放熱部とを入れ替えるとともに、流路切替部(4)は、電流の逆転に応じて流路切替ドア(6)によって各空気の分配先を切り替えるように構成されている車両用除加湿装置の運転方法において、
車両用除加湿装置の前回の作動停止から今回の作動開始までの時間が、所定の時間以上である場合、ペルチェ素子(30)に一方向の電圧を所定時間印加することにより、吸着素子(31A、31B)の一方の吸着素子(31A、31B)を加熱し、加熱されている一方の吸着素子(31A、31B)側のみに、車室内から取り込んだ空気を通過させて、一方の吸着素子(31A、31B)に吸着されていた水蒸気を放出させ、流路切替部(4)を駆動させて、一方の吸着素子(31A、31B)を通過して加湿された空気を、除湿風吹出口(9)から流出させて掃気運転を実行することを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、所定時間放置後に作動させる掃気運転では、除湿風吹出口(9)から加湿された空気を吹き出すように構成したことにより、臭気が直接乗員に向けて吹き出すことがない。これにより、臭気を含む加湿空気を乗員以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0019】
請求項10に記載の発明では、所定時間における一方向の電圧印加が終了した後、ペルチェ素子(30)に流れる電流を逆転させてペルチェ素子(30)の吸熱部と放熱部とを入れ替えることにより、他方の吸熱素子(31A、31B)を加熱し、加熱されている他方の吸着素子(31A、31B)側のみに、車室内から取り込んだ空気を通過させて、他方の吸着素子(31A、31B)に吸着されていた水蒸気を放出させ、流路切替部(4)を駆動させて、他方の吸着素子(31A、31B)を通過して加湿された空気を、除湿風吹出口(9)から流出させて掃気運転を実行することを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、所定時間放置後に作動させる掃気運転では、除湿風吹出口(9)から加湿された空気を吹き出すように構成したことにより、臭気が直接乗員に向けて吹き出すことがない。これにより、臭気を含む加湿空気を乗員以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0021】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態における車両用除加湿装置を図1乃至図6に基づいて説明する。本実施形態では、除加湿装置を車両の車室内に搭載して、車室内空気を取り込んで除湿空気と加湿空気とを吹き出す車両用の除加湿装置に適用したものである。
【0023】
図1は、本実施形態における車両用除加湿装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は、側面断面図である。まず、車両用除加湿装置(以下、除加湿装置と称する)100の構造について説明する。本実施形態の除加湿装置100は、図1(a)及び図1(b)に示すように、空気が流通する流路として、樹脂で成形したケーシング1の一端に、送風機(送風手段)2を接続して構成している。
【0024】
本実施形態の送風機2は、後述する吸着材モジュール3の一対の吸着素子31A、31Bに対応させて、2基の送風機2A、2Bを設けたものである。2基の送風機2A、2Bは、それぞれ樹脂で成形した扁平なスクロールケーシング20A、20Bと、その内部に配設された遠心多翼のファン(シロッコファン)21A、21Bと、そのファン21A、21Bを駆動する送風モータ22A、22Bとを備えている。
【0025】
そして、スクロールケーシング20A、20Bの上下に開設された吸込口23A、23Bから車室内空気を吸い込み、吐出口24A、24Bから吹き出すようになっている。送風機2A、2Bの吐出口24A、24Bは、ケーシング1の上流側仕切り板41で区画された吸込口10A、10Bに接続され、吸い込んだ車室内空気を、吸着材モジュール3の一対の吸着素子31A、31Bのそれぞれに、供給するようになっている。
【0026】
ケーシング1内には、吸着材モジュール3、流路切替部4が、空気の流れ方向に沿って、順次配設されている。ケーシング1は、設置場所に応じて各種の形状に設計できるが、上記のように、例えば車両の天井に設置するため、高さに相当する厚さ部分を薄く設計された扁平な略直方体の箱状に形成される。なお、ケーシング1は、天井形状に応じて、厚さ方向、長さ方向、幅方向の外郭形状を、曲線状に形成しても良い。
【0027】
ケーシング1の空気流れ下流端には、加湿風を吹き出す加湿風吹出口8と、除湿風を吹き出す除湿風吹出口9とが幅方向に並べて設けられる。これら加湿風吹出口8と除湿風吹出口9とは、ケーシング1に一体成形された仕切り壁(第2仕切り部)11によって区画形成されており、本実施形態では、除湿風吹出口9に対して加湿風吹出口8を小さく形成している。なお、これら吹出口8、9は、圧力損失を低減するため、曲線で構成される断面形状を備えていても良い。
【0028】
次に、本実施形態の吸着材モジュール3について、図2を用いて説明する。図2は、図1中の吸着材モジュール3の一例を示す斜視図である。吸着材モジュール3は、駆動機構を必要とせず、かつ熱効率の高いものを使用している。即ち吸着材モジュール3は、図2に示すように、吸熱部及び放熱部としてそれぞれ機能する一対の板面30a、30bを備えたペルチェ素子30と、通気可能なフィン33に吸着材を把持させて成り、かつペルチェ素子30の各板面30a、30bにそれぞれ直接配置された第1の吸着素子31A及び第2の吸着素子31Bとから構成される。
【0029】
ペルチェ素子30は、周知の通り、ペルチェ効果を利用した素子であり、コンピュータ等の電子機器の冷却装置として使用される電子部品である。即ちペルチェ素子30は、2種の金属板の間にP型半導体とN型半導体とを交互に多数配置するとともに、一方の金属板によってN−P接合を構成し、かつ他方の金属板によってP−N接合を構成した素子であり、係る素子においては、P−N接合部分に電流を流すことにより熱移動が起こり、一方の金属板で吸熱現象が生じ、他方の金属板で放熱現象が生ずる。
【0030】
各吸着素子31A、31Bは、銅、アルミニウム等、熱伝導率の良い金属で形成され、ペルチェ素子30の各板面30a、30bに接触する基板32上に、通風方向に沿って多数枚のフィン33を立設したものである。吸着素子31A、31Bは、それぞれ通気可能なフィン33に吸着材を把持させて構成され、上記の薄型のケーシング1に収容するため、通常は外形形状を扁平な箱状に形成される。
【0031】
フィン33としては、小型化を図ることができ、しかも、大きな吸着面積を確保でき、かつ一層多量の粉体状の吸着材を保持し得る限り、各種の構造のものを使用できる。このフィン33の構造としては、例えば波形状の基材シートによって通気セルの開口形状が略三角形に形成された、所謂コルゲート型、通気セルの開口形状が略六角形に形成されたハニカム型、通気セルの開口形状が四角形に形成された格子型等の構造であっても良い。
【0032】
本実施形態において、特性を満足する吸着材としては、低い湿度で水蒸気を容易に吸着し、かつ低い温度で容易に脱離し得るゼオライトが好ましい。そして、吸着材モジュール3において、各吸着素子31A、31Bは、ペルチェ素子30の各板面30a、30bに対し、空気層や他の断熱要素が介在することなく、ペルチェ素子30で生成された温熱及び冷熱が熱伝導によって伝わるように配置されていれば良く、銀ペ一ストや伝熱グリス等の熱伝導材料を介して配置されても良い。
【0033】
なお、吸着材モジュール3は、図2に示すように、扁平な直方体に形成されても良いし、あるいは、ケーシング1の構造に応じて曲面を備えた形状に形成されても良い。吸着材モジュール3は、図1に示すように、送風機2A、2Bのそれぞれによって送気される空気が各吸着素子31A、31Bを通過可能にケーシング1内に配置される。本実施形態においては、吸着材モジュール3を小型化するため、各板面30a、30bがそれぞれ吸熱部、放熱部として機能する、例えば平板状のペルチェ素子30が使用される。
【0034】
また、各吸着素子31A、31Bにおいては、各々、通気面積(フィン33の通気方向に直交する総開口面積)が、吸着材モジュール3の上流側および下流側の流路の最小の断面積(通気方向に直交する開口面積)以上に設定されるのが好ましい。各吸着素子31A、31Bの通気面積を上記のように設定した場合には、各吸着素子31A、31B内において通過する空気の流速を小さくすることができ、吸着および脱離機能を一層高めることができる。
【0035】
更に、各吸着素子31A、31Bは、各々、空気の入口および出口の開口面積に対して、内部の通気方向に直交する断面の面積が大きく形成されていても良い。上記のように、吸着素子31A、31Bの内部の断面積を大きくした場合には、出入口近傍の幅方向側(平面視して左右)の側縁部分における通気時の圧力損失を低減できるため、各吸着素子31A、31Bにおける吸脱離効率を高めることができる。
【0036】
本実施形態の除加湿装置100においては、上記の吸着材モジュール3において、各吸着素子31A、31Bの吸着操作、脱離操作を、5〜10分位毎で交互に切り替える。従って、本実施形態においては、加湿された空気を加湿風吹出口8から連続的に吹き出し、除湿された空気を除湿風吹出口9から連続的に吹き出すため、図1に示すように、吸着材モジュール3の下流側に流路切替部4が配置される。
【0037】
空気の流路を切り替える機構としては、2つの可撓性管路を移動させてその接続先を変更するような機構、リンク等によって同期作動する2つのシャッターを交互に開閉して、その接続先を変更する機構等も使用できる。しかし、装置構成を簡素化し、かつ小型化を図る観点から、図1に一例として示すように、流路切替部4は、アクチュエータ7によって回動する流路切替ドア6により、各空気の振り向け先を切り替えるようになっている。
【0038】
まず、図1(b)に示すように、流路切替部4は、吸着材モジュール3の直下流側に配設された仕切り板(第1仕切り部)40により、第1の吸着素子31Aを通過した空気が流入する第1流入空間3Aと、第2の吸着素子31Bを通過した空気が流入する第2流入空間3Bとに区画されている。
【0039】
また、仕切り板40の下流側は、図1(a)に示すように、ケーシング1に一体成形した仕切り壁(第2仕切り部)11により、加湿風吹出口8に流出する加湿風流通路80と、除湿風吹出口9に流出する除湿風流通路90とに区画されており、除湿風流通路90に対して加湿風流通路80の通路断面積が小さくなっている。これにより、除湿風吹出口9から吹き出される除湿風の風量に対して、加湿風吹出口8から吹き出される加湿風の風量が少なくなっている。
【0040】
流路切替ドア6は、仕切り板40と仕切り壁11との間に配設され、1本のシャフト(回動軸)60がケーシング1の全幅を貫いている。具体的に、本実施形態の流路切替部4の構成および作動について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、図1中の流路切替ドア6の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)中のb視図である。
【0041】
流路切替ドア6は、図3(a)及び図3(b)に示すように、シャフト60に、加湿風流通路80と第1流入空間3Aおよび第2流入空間3Bの一方とを連通させて他方を閉塞し、この連通/閉塞の状態を逆転しうる加湿側ドア61a、61bと、除湿風流通路90と第1流入空間3Aおよび第2流入空間3Bの一方とを連通させて他方を閉塞し、この連通/閉塞の状態を逆転しうる除湿側ドア62a、62bとを一体に備えている。
【0042】
なお、加湿側ドア61a、61bと除湿側ドア62a、62bとのドア面積は、両流通路80、90の通路断面積に略比例して、除湿側ドア62a、62bが大きく、加湿側ドア61a、61bが小さくなっている。
【0043】
また、シャフト60の一端側には、この流路切替ドア6を回動させるためのレバープレート63が設けられ、このレバープレート63がケーシング1の外部に出るよう、上下に2分割されたケーシング1で挟持されるように成っている。ケーシング1の外面には、レバープレート63の端部側と接続され、流路切替ドア6を切替駆動するサーボモータ等のアクチュエータ7が配設されている(図1(a)参照)。
【0044】
また、本実施形態では、流路切替ドア6の回動範囲(本実施形態では約60度)を小さくするために、加湿側ドア61a、61bと除湿側ドア62a、62bとをそれぞれ2枚ずつ形成しているが、加湿側ドアと除湿側ドアとを対向する位置に1枚ずつ形成し(例えば、図3(b)における61aと62a、もしくは、61bと62b)、それぞれのドアが閉塞する位置が入れ替わるように180度回動させる構造としても良い。ドアの回動範囲は大きくなるが、ドアの形状を簡単にすることができる。
【0045】
図4および図5は、流路切り替えのしくみを説明する図であり、それぞれの(a)は、図1中のa−a断面図、(b)は、図1中のb−b断面図である。そして、図4は、第1の流路切替位置の状態を示し、流路切替ドア6を一方側(図4の状態)へ回動することにより、第1流入空間3Aと除湿風流通路90とが連通し、第2流入空間3Bと加湿風流通路80とが連通するようになる。
【0046】
つまり、図4(a)の加湿風吹出口8側では、第2流入空間3Bに流出した加湿風がそのまま加湿風吹出口8へ流出するとともに、第1流入空間3Aに流出した除湿風は、加湿風吹出口8への流路が加湿側ドア61bで閉塞されているため、第1流入空間3A内を紙面手前側へ流れて除湿風流通路90側へ移動し、そこから除湿風吹出口9へ流出するようになる。
【0047】
同様に、図4(b)の除湿風吹出口9側では、第1流入空間3Aに流出した除湿風がそのまま除湿風吹出口9へ流出するとともに、第2流入空間3Bに流出した加湿風は、除湿風吹出口9への流路が除湿側ドア62bで閉塞されているため、第2流入空間3B内を紙面奥側へ流れて加湿風流通路80側へ移動し、そこから加湿風吹出口8へ流出するようになる。
【0048】
また、図5は、第2の流路切替位置の状態を示し、流路切替ドア6を他方側(図5の状態)へ回動することにより、第1流入空間3Aと加湿風流通路80とが連通し、第2流入空間3Bと除湿風流通路90とが連通するようになっている。つまり、図5(a)の加湿風吹出口8側では、第1流入空間3Aに流出した加湿風がそのまま加湿風吹出口8へ流出するとともに、第2流入空間3Bに流出した除湿風は、加湿風吹出口8への流路が加湿側ドア61aで閉塞されているため、第2流入空間3B内を紙面手前側へ流れて除湿風流通路90側へ移動し、そこから除湿風吹出口9へ流出するようになる。
【0049】
同様に、図5(b)の除湿風吹出口9側では、第2流入空間3Bに流出した除湿風がそのまま除湿風吹出口9へ流出するとともに、第1流入空間3Aに流出した加湿風は、除湿風吹出口9への流路が除湿側ドア62aで閉塞されているため、第1流入空間3A内を紙面奥側へ流れて加湿風流通路80側へ移動し、そこから加湿風吹出口8へ流出するようになる。
【0050】
吸着材モジュール3においては、各吸着素子31A、31Bの吸着/脱離操作に準じた時間間隔、例えば5〜10分間隔でペルチェ素子30に流れる電流の方向を逆転させ、ペルチェ素子30の板面30a、30bにおける吸熱機能と放熱機能とを入れ替えるようになっている。
【0051】
また、流路切替部4においては、ペルチェ素子30の電流の逆転に応じて流路切替ドア6が回動され、吸着材モジュール3で処理された各空気の振り向け先が、一方の空気は、加湿風吹出口8から除湿風吹出口9へ、他方の空気は、除湿風吹出口9から加湿風吹出口8へ切り替えられるようになっている。
【0052】
この流路切替ドア6の作動するタイミングが、ペルチェ素子30の電流を逆転させて以降、ペルチェ素子30の各板面30a、30bの温度が高低逆転するまでの間であり、通常は電流の逆転以降約30〜60秒経過するまでの間である。このように、電流逆転後しばらくしてから流路切替ドア6を作動させて振り向け先を切り替えることで、より一層効率的に除湿空気および加湿空気を生成することができる。
【0053】
なお、図示しないが、本実施形態の除加湿装置100には、送風機2A、2Bの制御、吸着材モジュール3におけるペルチェ素子30の電流の制御、および流路切替部4におけるアクチュエータ7の制御を行うための制御装置が設けられる。そして、本除加湿装置100は、図1(b)に示すように、車両の天板50aと内装材50bとの間の天井50内に配設されている。
【0054】
除加湿装置100の加湿風吹出口8と除湿風吹出口9には、一体に形成された送風ダクト70が接続されている。加湿風吹出口8と連通した送風ダクト70の加湿風吹出口70aは、天井から車室内の運転者Drへ向けられている。また、除湿風吹出口9と連通した送風ダクト70の除湿風吹出口70bは、天板50aと内装材50bとの間の天井50内空間へ向けられている。
【0055】
そして、本実施形態の除加湿装置100は、例えば外気が乾燥している冬季において以下のように稼働する。即ち、送風機2A、2Bのそれぞれは、車室内の空気を吸い込み、これを吸着材モジュール3の第1の吸着素子31Aおよび第2の吸着素子31Bにそれぞれ送気する。吸着材モジュール3においては、例えば、ペルチェ素子30の一方の板面30aが吸熱部として機能し、他方の板面30bが放熱部として機能する。
【0056】
このため、前記の板面30aによって第1の吸着素子31Aが冷却され、そのフィン33に把持された吸着材の吸着操作が進行し、フィン33を通過する空気中の水蒸気を吸着する。一方、第2の吸着素子31Bは、ペルチェ素子30の板面30bによって加熱され、その第2の吸着素子31Bのフィン33に把持された吸着材の脱離操作が進行し、フィン33を通過する空気に水蒸気を放出する。
【0057】
吸着材モジュール3の第1の吸着素子31Aを通過して除湿された空気は、第1流入空間3Aに流出し、第2の吸着素子31Bを通過して加湿された空気は、第2流入空間3Bに流出し、流路切替ドア6により、加湿された空気は、加湿風流通路80に振り向けられて加湿風吹出口8から吹き出され、除湿された空気は、除湿風流通路90に振り向けられて除湿風吹出口9から吹き出される。
【0058】
吸着材モジュール3において、吸着操作および脱離操作が所定時間行われると、ペルチェ素子30に印加される電圧が逆転され、ペルチェ素子30の吸熱部と放熱部とが入れ替えられる。換言すれば、ペルチェ素子30の板面30aが放熱部として機能し、もう一方の板面30bが吸熱部として機能する。そして、ペルチェ素子30の各板面30a、30bの機能の入れ替わりにより、各吸着素子31A、31Bにおいては、各々、吸着材の吸着/脱離操作が反転する。
【0059】
即ち、上記の第1の吸着素子31Aは、冷却されていたそのフィン33が加熱されることにより、それまで吸着した水蒸気を脱離する。他方、上記の第2の吸着素子31Bは、加熱されていたそのフィン33が冷却されることにより、水蒸気の吸着を開始する。
【0060】
その結果、第1の吸着素子31Aは、これを通過する空気に水蒸気を放出して加湿し、第2の吸着素子31Bは、これを通過する空気中の水蒸気を吸着して除湿する。これにより、加湿された空気は、第1流入空間3Aに流出し、除湿された空気は、第2流入空間3Bに流出する。
【0061】
なお、ペルチェ素子30に印加される電圧、即ち極性が逆転されると、流路切替ドア6が第1の流路切替位置から第2の流路切替位置に回動して流路が切り替えられる。即ち、流路切替ドア6が、例えば図4に示す状態から図5に示す状態に切り替えられる。
【0062】
このため、吸着材モジュール3の第1の吸着素子31Aを通過して加湿された空気は、第1流入空間3Aに流出し、第2の吸着素子31Bを通過して除湿された空気は、第2流入空間3Bに流出し、流路切替ドア6により、加湿された空気は、加湿風流通路80に振り向けられて加湿風吹出口8から吹き出され、除湿された空気は、除湿風流通路90に振り向けられて除湿風吹出口9から吹き出される。
【0063】
本実施形態の除加湿装置100においては、上記のような吸着材モジュール3で吸着/脱離操作を一定のタイミングで反転させるとともに、これに応じて、除湿された空気と加湿された空気との吹出流路を流路切替ドア6によって切り替える。即ち、本実施形態では、このような作動を通常の運転モードと称している。
【0064】
これにより、除湿風吹出口9から除湿された空気を連続して吹き出し、加湿風吹出口8から加湿された空気を連続して吹き出すことができる。そして、加湿された空気を乗員の快適性向上のために使用し、除湿された空気は、天井50内空間へ排出される。
【0065】
上記のように、本実施形態の除加湿装置100においては、吸着材を把持させた固定方式の一対の吸着素子31A、31Bをペルチェ素子30の吸熱部および放熱部として機能する各板面30a、30bにそれぞれ直接配置して吸着材モジュール3が構成される。吸着材モジュール3において、ペルチェ素子30へ流す電流の逆転によって吸熱部と放熱部を機能的に入れ替え、各吸着素子31A、31Bに対する冷却と加熱を切り替えて吸着操作と脱離操作を反転させるとともに、流路切替ドア6を使用し、吸着操作と脱離操作の反転に応じて、第1の吸着素子31Aを通過した空気と第2の吸着素子31Bを通過した空気の振り向け先を切り替える。
【0066】
ところで、このような作動を行う除加湿装置100においては、所定時間(例えば、一晩程度)停止(放置)後の最初の作動時に、フィン33に把持された吸着材による臭気の強い成分を含んだ空気が吹き出されることがしばしばある。そのため、加湿された空気を乗員、特に運転者Drへ向けて吹き出すと、その臭気による快適性が損なわれるという問題がある。
【0067】
そこで、本実施形態の除加湿装置100では、所定時間停止(放置)後の最初の作動時には、通常の運転モードを行う前に、掃気運転を行うようにしている。ここで、掃気運転は、停止または放置中において、ケーシング1内に溜まっていた臭気を、除加湿装置100外に排気させる運転モードである。この掃気運転モードにおいて、第1及び第2の吸着素子31A、31Bを通過した加湿(または除湿)された空気は、いずれも除湿風吹出口9から吹き出すように構成されている。つまり、掃気運転モードにおいては、加湿(または除湿)された空気を運転者Dr以外に吹き出すようにしている。
【0068】
本実施形態の除加湿装置100は、図6に示すフローチャートに基づいて作動させるようになっている。図6は、本実施形態における制御装置の制御処理を示すフローチャートである。まず、図6に示すように、ステップS110にて、所定時間(例えば、5時間程度)放置後の初回作動か否かを判定する。ここで、初回作動であれば、ステップS120に移行し、初回作動でなければ、ステップS160に移行する。
【0069】
ステップS120にて、第1の掃気運転モードを実行する。ここでは、ペルチェ素子30に正極性の電圧を印加する。即ち、一方の板面30bが放熱部として、他方の板面30aが吸熱部として作動する方向に電圧を印加する。そして、第1の送風機2Aを停止(OFF)させ、第2の送風機2Bを作動(ON)させる。これにより、第1の吸着素子31Aが冷却され、第2の吸着素子31Bが加熱される。更に、流路切替ドア6を、第2の吸着素子31Bで加湿された空気が除湿風吹出口9から吹き出されるように切り替える。
【0070】
これにより、第2の吸着素子31Bの加湿された空気が除湿風吹出口9から天井50内の空間に向けて吹き出される。このときに、第1の送風機2Aが停止(OFF)しているため、第1の吸着素子31Aを通過した空気が加湿風吹出口8から運転者Drに向けて吹き出されることはない。従って、第2の吸着素子31B側に溜まっていた臭気が除加湿装置100外に排気される。
【0071】
そして、ステップS130にて、所定時間(例えば、5〜10分程度)経過するまで上記第1の掃気運転モードが継続される。ここで、所定時間経過した場合には、ステップS140において、第2の掃気運転モードを実行する。ここでは、ペルチェ素子30に負極性の電圧を印加する。即ち、一方の板面30aが放熱部として、他方の板面30bが吸熱部として作動する方向に電圧を印加する。そして、第1の送風機2Aを作動(ON)させ、第2の送風機2Bを停止(OFF)させ、更に、流路切替ドア6を、第1の吸着素子31Aで加湿された空気が除湿風吹出口9から吹き出されるように切り替える。
【0072】
これにより、第1の吸着素子31Aが加熱され、第2の吸着素子31Bが冷却される。この結果、第1の吸着素子31Aの加湿された空気が除湿風吹出口9から天井50内の空間に向けて吹き出される。このときに、第2の送風機2Bが停止(OFF)しているため、第2の吸着素子31Bを通過した空気が加湿風吹出口8から運転者Drに向けて吹き出されることはない。従って、第1の吸着素子31A側に溜まっていた臭気が除加湿装置100外に排気される。
【0073】
つまり、ステップS120とステップS140とでは、第1もしくは第2の吸着素子31A、31Bを通過した空気、即ち加湿された空気が、いずれも除湿風吹出口9から交互に吹き出されている。これにより、ケーシング内に溜まっていた臭気が除加湿装置100外に排気される。
【0074】
なお、本実施形態では、ステップS120及びステップS130において、加湿される側の吸着素子31A、31B側に通ずる送風機2A、2Bの一方を作動(ON)させるように構成したが、除湿される側の吸着素子31A、31B側に通ずる送風機2A、2Bの一方を作動(ON)させるように構成しても良い。これにより、第1及び第2の吸着素子31A、31Bを通過した除湿された空気は、いずれも除湿風吹出口9から吹き出すように構成されている。
【0075】
そして、ステップS150にて、所定時間(例えば、5〜10分程度)経過するまで上記第2の掃気運転モードが継続される。これにより、掃気運転モードが完了する。ここで、所定時間経過した場合には、ステップS160において、上述した第1の通常運転モードを実行する。
【0076】
ここでは、ペルチェ素子30に正極性の電圧を印加するとともに、第1及び第2の送風機2A、2Bを作動(ON)させ、更に、流路切替ドア6を、第2の吸着素子31Bで加湿された空気が加湿風吹出口8から吹き出されるように切り替えるとともに、第1の吸着素子31Aで除湿された空気が除湿風吹出口9から吹き出されるように切り替える。
【0077】
そして、ステップS170にて、所定時間(例えば、5〜10分程度)経過するまで上記第1の通常運転モードが継続される。ここで、所定時間経過した場合には、ステップS180において、更に、第2の通常運転モードを実行する。ここでは、ペルチェ素子30に負極性の電圧を印加するとともに、第1及び第2の送風機2A、2Bを作動(ON)させ、更に、流路切替ドア6を、第1の吸着素子31Aで加湿された空気が加湿風吹出口8から吹き出されるように切り替えるとともに、第2の吸着素子31Bで除湿された空気が除湿風吹出口9から吹き出されるように切り替える。
【0078】
そして、ステップS190にて、所定時間経過するまで上記第2の通常運転モードが継続される。ここで、所定時間経過した場合には、ステップS110にリターンする。これにより、除湿風吹出口9から除湿された空気を連続して吹き出し、加湿風吹出口8から加湿された空気を連続して吹き出すことができる。そして、加湿された空気を乗員の快適性向上のために使用し、除湿された空気は、天井50内空間へ排出される。
【0079】
従って、本実施形態の除加湿装置100においては、従来の吸着ローター方式のような回転駆動部を設ける必要がなく、しかも、ペルチェ素子30に各吸着素子31A、31Bが直接配置されており、吸着素子31A、31Bを加熱/冷却する際のペルチェ素子30と吸着素子との間の熱伝導性が高いため、吸着素子31A、31Bおよびペルチェ素子30を一層小型化できる。その結果、装置構成を簡素化でき、装置全体を一層小型化することができる。
【0080】
また、上述したように、所定時間放置後に作動させる掃気運転モードでは、除湿風吹出口9から加湿(または除湿)された空気を吹き出すように構成したことにより、臭気が直接乗員、即ち運転者Drに向けて吹き出すことがない。これにより、異臭を含む加湿空気を運転者Dr以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形態における車両用除加湿装置の車両への配設状態を示す車両の部分側面断面図であり、図8は、図7の車両の部分平面図である。なお、本実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0082】
本実施形態は、例えば外気が乾燥する冬季において、乗員、特に運転者Drには、加湿風ダクト(送風ダクト)71から加湿空気を供給するとともに、車両のフロントガラス(前面窓ガラス)51の内面には、除湿風ダクト(送風ダクト)72から防曇用の除湿空気を供給するようにしたものである。
【0083】
加湿風吹出口8には、図7及び図8に示すように、加湿風ダクト71が接続されている。加湿風ダクト71は、天井50の空間内を配策され、その吹出端71aが運転席52に着座した運転者(乗員)Drの顔面へ向けられている。また、除湿風吹出口9には、除湿風ダクト72が接続されている。除湿風ダクト72は、天井50の空間内を配策され、その吹出端72a、72bは、二股に分かれており、そのそれぞれがフロントガラス51の上側左右部ヘ向けられている。
【0084】
次に、本実施形態の特徴と、その効果について述べる。まず、加湿風吹出口8から吹き出される加湿風を送る加湿風ダクト71を天井50内に配設し、加湿風ダクト71から加湿風を運転者Drの顔面に向けて吹き出すようにしている。
【0085】
運転者Drへは、除加湿装置100のケーシング1から直接吹き出すようにしても良いが、これによれば、加湿風ダクト71を介して運転者Drの顔面に向けて吹き出す構成とすることにより、除加湿装置100の本体部が運転者Drの頭上になくても良く、運転者Drの頭上スペースを狭くすることがない。
【0086】
そのうえ、加湿風の吹出端71aを適切な位置に構成することができる。また、加湿風ダクト71を介することで加湿風の送風音(直達音)を低減することができる。なお、加湿風ダクト71の吹出端71aには、例えば手動ルーバーなど、吹出風の向きを調節する風向調節手段を設けても良い。
【0087】
また、除湿風吹出口9から吹き出される除湿風を送る除湿風ダクト72を天井50内に配設し、除湿風ダクト72から除湿風を車両のフロントガラス51の内面に向けて吹き出すようにしている。これによれば、除湿風をフロントガラス51の防曇に利用することができる。
【0088】
また、除湿風ダクト72を介してフロントガラス51の内面に向けて吹き出す構成とすることにより、除湿風の吹出端72a、72bを適切な位置に構成することができる。さらに、除湿風ダクト72を介することで除湿風の送風音(直達音)を低減することができる。
【0089】
また、除湿風をフロントガラス51の上側左右部に向けて吹き出すようにしている。これによれば、インストルメントパネル(ダッシュボード)の前端部、即ちフロントガラス51の下端側から吹き出される車両空調装置のデフロスタ吹出風では曇りを晴らし難いフロントガラス51の上側左右部の曇りを、効率良く晴らすことができる。
【0090】
また、所定時間放置後に作動させる掃気運転モードでは、除湿風吹出口9から加湿された空気を吹き出すように構成したことにより、臭気が直接運転者Drに向けて吹き出すことがない。これにより、異臭を含む加湿空気を運転者Dr以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0091】
(第3実施形態)
以上の実施形態では、一対の吸着素子31A、31Bに対応させて、2基の送風機2A、2Bを、上下方向に積層するように配設したが、左右方向に並ぶように配設しても良い。図9は、本実施形態における車両用除加湿装置の概略構成を示す平面図である。
【0092】
本実施形態の2基の送風機2A、2Bは、図9に示すように、幅方向の一方側に送風機2Aと、幅方向の他方側に送風機2Bとが配置されている。そして、スクロールケーシング20A、20Bのそれぞれの下方に開設された図示しない吸込口から車室内空気を吸い込むようにしている。スクロールケーシング20A、20Bのそれぞれの吐出口(図示せず)は、吸い込んだ車室内空気を、吸着材モジュール3の一対の吸着素子31A、31Bのそれぞれに、供給するようになっている。
【0093】
そして、本実施形態の除加湿装置100では、前述した第1実施形態と同じように、所定時間停止(放置)後の最初の作動時には、掃気運転モードを行うようにしている。この掃気運転モードにおいて、第1及び第2の吸着素子31A、31Bを通過した加湿された空気は、いずれも除湿風吹出口9から吹き出すように構成されている。
【0094】
つまり、掃気運転モードにおいて、第1または第2の吸着素子31A、31Bにて、加湿している側の送風機2A、2Bの一方が作動しているときに、送風機2A、2Bの他方を停止させるように構成している。
【0095】
これにより、掃気運転モードにおいて、2基の送風機2A、2Bの一基は、第1及び第2の吸着素子31A、31Bを通過した加湿された空気を、いずれも除湿風吹出口9から吹き出すように構成されている。従って、臭気が直接運転者Drに向けて吹き出すことがないため、異臭を含む加湿空気を運転者Dr以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0096】
なお、通常の運転モードの時は、一対の吸着素子31A、31Bに対応させて、2基の送風機2A、2Bを作動させるとともに、流路切替ドア6を切り替えることにより、除湿風吹出口9から除湿された空気を連続して吹き出し、加湿風吹出口8から加湿された空気を連続して吹き出すことができる。
【0097】
(第4実施形態)
以上の実施形態では、一対の吸着素子31A、31Bに対応させて、2基の送風機2A、2Bを設けたが、一基の送風機2を設けても良い。図10は、本実施形態における車両用除加湿装置の概略構成を示す側面断面図である。本実施形態の除加湿装置100は、図10に示すように、送風機2と吸着材モジュール3との間に、送風機2から取り込んだ空気を各吸着素子31A、31Bのいずれか一方に供給するように流れ方向を切り替える切替ドア25が設けられている。
【0098】
そして、掃気運転モードの時には、切替ドア25を、第1及び第2の吸着素子31A、31Bのいずれか一方側に送風機2から取り込んだ空気を供給するように作動させている。このときには、第1及び第2の吸着素子31A、31Bの他方側に送風機2から取り込んだ空気を遮断するように作動させている。
【0099】
つまり、掃気運転モードの時には、切替ドア25が第1及び第2の吸着素子31A、31Bを通過した加湿された空気を、いずれも除湿風吹出口9から吹き出すように構成されている。これにより、臭気が直接運転者Drに向けて吹き出すことがないため、異臭を含む加湿空気を運転者Dr以外に向けて吹き出すことの可能な掃気運転ができる。
【0100】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、ペルチェ素子30を通電させて掃気運転モードを行ったが、これに限らす、ペルチェ素子30を停止させた状態で、第1及び第2の吸着素子31A、31Bのそれぞれに送風機2A、2Bから取り込んだ空気を供給させるように構成しても良い。
【0101】
なお、本実施形態の除加湿装置100は、流路切替ドア6の作動設定を切り替えることにより、例えば夏季において、加湿風吹出口8から除湿された空気を乗員側へ吹き出すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1実施形態における車両用除加湿装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は、車両用除加湿装置を車両の天井に配設した状態の側面断面図である。
【図2】図1中に示す吸着材モジュールの一例を示す斜視図である。
【図3】図1中に示す流路切替ドアの一例を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)中のb視図である。
【図4】流路切り替えのしくみを説明する図であり、第1の流路切替位置の状態を示し、(a)は図1中のa−a断面図、(b)は図1中のb−b断面図である。
【図5】流路切り替えのしくみを説明する図であり、第2の流路切替位置の状態を示し、(a)は図1中のa−a断面図、(b)は図1中のb−b断面図である。
【図6】第1実施形態における制御装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態における車両用除加湿装置の車両への配設状態を示す車両の部分側面断面図である。
【図8】図7に示す車両の部分平面図である。
【図9】第3実施形態における車両用除加湿装置の概略構成を示す平面図である。
【図10】第4実施形態における車両用除加湿装置の概略構成を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0103】
1…ケーシング
2…送風機(送風手段)
2A、2B…送風機(送風手段)
3…吸着材モジュール
3A…第1流入空間
3B…第2流入空間
4…流路切替部
6…流路切替ドア
8…加湿風吹出口
9…除湿風吹出口
11…仕切り壁(第2仕切り部)
25…切替ドア
30…ペルチェ素子
30a、30b…板面
31A…第1の吸着素子、吸着素子
31B…第2の吸着素子、吸着素子
33…フィン
40…仕切り板(第1仕切り部)
50…天井
50a…天板
50b…内装材
51…フロントガラス(前面窓ガラス)
60…シャフト(回動軸)
61a、61b…加湿側ドア
62a、62b…除湿側ドア
70…送風ダクト
71…加湿風ダクト(送風ダクト)
72…除湿風ダクト(送風ダクト)
80…加湿風流通路
90…除湿風流通路
Dr…運転者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空気を取り込んで除湿された空気及び加湿された空気を吹き出す車両用除加湿装置であって、空気が通過する流路としてのケーシング(1)に送風手段(2)、吸着材モジュール(3)及び流路切替部(4)が空気の流れ方向に沿って順に配設されており、
前記ケーシング(1)には、空気流れの下流端に加湿風を吹き出す加湿風吹出口(8)及び除湿風を吹き出す除湿風吹出口(9)が設けられ、
前記吸着材モジュール(3)は、吸熱部及び放熱部としてそれぞれ機能する一対の板面(30a、30b)を有するペルチェ素子(30)と、通気可能なフィン(33)の表面に吸着材を把持させて前記板面(30a、30b)のそれぞれに配置された第1の吸着素子(31A)及び第2の吸着素子(31B)とを備え、前記送風手段(2)によって送気される空気が前記各吸着素子(31A、31B)を通過可能に前記ケーシング(1)内に配置され、
前記流路切替部(4)は、前記加湿風吹出口(8)及び前記除湿風吹出口(9)に対し、前記第1の吸着素子(31A)を通過した空気と、前記第2の吸着素子(31B)を通過した空気とを別々に分配可能で、かつ分配先を流路切替ドア(6)によって切り替え可能に構成され、
前記ペルチェ素子(30)に流れる電流を逆転させて前記ペルチェ素子(30)の吸熱部と放熱部とを入れ替えるとともに、前記流路切替部(4)は、前記電流の逆転に応じて前記流路切替ドア(6)によって各空気の分配先を切り替えるように構成されている車両用除加湿装置において、
前記ケーシング(1)は、前記加湿風吹出口(8)から吹き出される加湿風を乗員に向けて吹き出すとともに、前記除湿風吹出口(9)から吹き出される除湿風を乗員以外の部位に向けて吹き出すように配置され、
前記流路切替部(4)は、前記吸着材モジュール(3)を所定時間放置後に作動させる掃気運転において、前記第1もしくは第2の吸着素子(31A、31B)を通過した空気を交互に前記除湿風吹出口(9)側から吹き出すように構成されていることを特徴とする車両用除加湿装置。
【請求項2】
前記ケーシング(1)は、車両の天板(50a)と内装材(50b)との間の天井(50)内に配置され、
前記除湿風吹出口(9)から吹き出される除湿風を前記天井(50)内に吹き出すことを特徴とする請求項1に記載の車両用除加湿装置。
【請求項3】
前記加湿風吹出口(8)から吹き出される加湿風を送る送風ダクト(70、71)を前記天井(50)内に配設し、前記送風ダクト(70、71)から加湿風を運転者(Dr)の顔面に向けて吹き出すことを特徴とする請求項2に記載の車両用除加湿装置。
【請求項4】
前記除湿風吹出口(9)から吹き出される除湿風を送る送風ダクト(72)を前記天井(50)内に配設し、前記送風ダクト(72)から除湿風を車両の前面窓ガラス(51)の内面に向けて吹き出すことを特徴とする請求項2に記載の車両用除加湿装置。
【請求項5】
前記送風ダクト(72)からの除湿風を前記前面窓ガラス(51)の上側左右部に向けて吹き出すことを特徴とする請求項4に記載の車両用除加湿装置。
【請求項6】
前記各吸着素子(31A、31B)のそれぞれに空気を取り込んで供給するそれぞれの送風手段(2A、2B)を設けるとともに、前記各吸着素子(31A、31B)の一方側に通ずる前記送風手段(2A、2B)が作動しているときに、前記各吸着素子(31A、31B)の他方側に通ずる前記送風手段(2A、2B)が停止していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用除加湿装置。
【請求項7】
前記送風手段(2)と吸着材モジュール(3)との間には、前記送風手段(2)から取り込んだ空気を前記各吸着素子(31A、31B)のいずれか一方に供給するように流れ方向を切り替える切替ドア(25)が設けられ、
前記切替ドア(25)は、前記掃気運転時に、前記各吸着素子(31A、31B)の一方側に前記送風手段(2)から取り込んだ空気を供給するように作動させ、他方の吸着素子(31A、31B)側に前記送風手段(2)から取り込んだ空気を遮断するように作動させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用除加湿装置。
【請求項8】
前記流路切替部(4)は、前記吸着材モジュール(3)の直下流側に配設された第1仕切り部(40)によって前記第1の吸着素子(31A)を通過した空気が流入する第1流入空間(3A)と、前記第2の吸着素子(31B)を通過した空気が流入する第2流入空間(3B)とに区画され、
前記第1仕切り部(40)の下流側は、第2仕切り部(11)によって前記加湿風吹出口(8)に流出する加湿風流通路(80)と、前記除湿風吹出口(9)に流出する除湿風流通路(90)とに区画され、
前記流路切替ドア(6)は、前記第1仕切り部(40)と前記第2仕切り部(11)との間に配設され、前記加湿風流通路(80)と前記第1流入空間(3A)および前記第2流入空間(3B)の一方とを連通させて他方を閉塞し、この連通/閉塞の状態を逆転しうる加湿側ドア(61a、61b)と、
前記除湿風流通路(90)と前記第1流入空間(3A)および前記第2流入空間(3B)の一方とを連通させて他方を閉塞し、この連通/閉塞の状態を逆転しうる除湿側ドア(62a、62b)とを1つの回動軸(60)に備え、
前記流路切替ドア(6)を第1の流路切替位置に回動させることにより、前記第1流入空間(3A)と前記加湿風流通路(80)とが連通しつつ前記第2流入空間(3B)と前記除湿風流通路(90)とが連通し、
前記流路切替ドア(6)を第2の流路切替位置に回動させることにより、前記第1流入空間(3A)と前記除湿風流通路(90)とが連通しつつ前記第2流入空間(3B)と前記加湿風流通路(80)とが連通するようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の車両用除加湿装置。
【請求項9】
車室内の空気を取り込んで除湿された空気及び加湿された空気を吹き出す車両用除加湿装置であって、空気が通過する流路としてのケーシング(1)に送風手段(2)、吸着材モジュール(3)及び流路切替部(4)が空気の流れ方向に沿って順に配設されており、
前記ケーシング(1)には、空気流れの下流端に加湿風を吹き出す加湿風吹出口(8)及び除湿風を吹き出す除湿風吹出口(9)が設けられ、
前記吸着材モジュール(3)は、吸熱部及び放熱部としてそれぞれ機能する一対の板面(30a、30b)を有するペルチェ素子(30)と、通気可能なフィン(33)の表面に吸着材を把持させて前記板面(30a、30b)のそれぞれに配置された第1の吸着素子(31A)及び第2の吸着素子(31B)とを備え、前記送風手段(2)によって送気される空気が前記各吸着素子(31A、31B)を通過可能に前記ケーシング(1)内に配置され、
前記流路切替部(4)は、前記加湿風吹出口(8)及び前記除湿風吹出口(9)に対し、前記第1の吸着素子(31A)を通過した空気と、前記第2の吸着素子(31B)を通過した空気とを別々に分配可能で、かつ分配先を流路切替ドア(6)によって切り替え可能に構成され、
前記ペルチェ素子(30)に流れる電流を逆転させて前記ペルチェ素子(30)の吸熱部と放熱部とを入れ替えるとともに、前記流路切替部(4)は、前記電流の逆転に応じて前記流路切替ドア(6)によって各空気の分配先を切り替えるように構成されている車両用除加湿装置の運転方法において、
前記車両用除加湿装置の前回の作動停止から今回の作動開始までの時間が、所定の時間以上である場合、
前記ペルチェ素子(30)に一方向の電圧を所定時間印加することにより、前記吸着素子(31A、31B)の一方の吸着素子(31A、31B)を加熱し、
加熱されている前記一方の吸着素子(31A、31B)側のみに、車室内から取り込んだ空気を通過させて、前記一方の吸着素子(31A、31B)に吸着されていた水蒸気を放出させ、
前記流路切替部(4)を駆動させて、前記一方の吸着素子(31A、31B)を通過して加湿された空気を、前記除湿風吹出口(9)から流出させて掃気運転を実行することを特徴とする車両用除加湿装置の運転方法。
【請求項10】
前記所定時間における一方向の電圧印加が終了した後、前記ペルチェ素子(30)に流れる電流を逆転させて前記ペルチェ素子(30)の吸熱部と放熱部とを入れ替えることにより、他方の吸熱素子(31A、31B)を加熱し、
加熱されている前記他方の吸着素子(31A、31B)側のみに、車室内から取り込んだ空気を通過させて、前記他方の吸着素子(31A、31B)に吸着されていた水蒸気を放出させ、
前記流路切替部(4)を駆動させて、前記他方の吸着素子(31A、31B)を通過して加湿された空気を、前記除湿風吹出口(9)から流出させて掃気運転を実行することを特徴とする請求項9に記載の車両用除加湿装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−280148(P2009−280148A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135865(P2008−135865)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】