説明

車両用除加湿装置

【課題】乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供する。
【解決手段】車両用除加湿装置10では、制御ユニット26が「間欠運転モード」とされたときには、一対の熱交換素子28A,28Bが同時且つ間欠的に加熱される。そして、このようにすることで、一対の熱交換素子28A,28Bがヒータ30によって同時に加熱されているときには、この一対の熱交換素子28A,28Bの両方で加湿空気を生成することができる。従って、各熱交換素子28A,28Bで交互に加湿空気を生成する場合に比して、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量を増大させることができる。これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用除加湿装置に係り、特に、車室内を加湿可能な構成を備えた車両用除加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用除加湿装置としては、次のものがある(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、車室内に加湿空気を送風可能な空調機器の例が開示されている。この空調機器では、熱電変換モジュールの熱伝導板に吸湿皮膜が具備されており、熱伝導板が加熱されることにより吸湿皮膜から水分が放出され、この水分を得た空気が加湿空気となって車室内に排気されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−97038号公報
【特許文献2】特許第2964679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の空調機器では、その作動時に加湿空気中に含まれる湿気量が常に一定とされる。このため、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供するためには改良の余地がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能な車両用除加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用除加湿装置は、空気中の水分を吸着可能な吸着材をそれぞれ有する一対の熱交換部、及び、前記一対の熱交換部を加熱するための加熱部、を備えて構成され、前記一対の熱交換部に導入された空気から加湿空気及び除湿空気を生成可能な除加湿手段と、前記除加湿手段で生成された加湿空気を車室内の乗員領域を含む第一領域へ吹出するための加湿流路と、前記除加湿手段で生成された除湿空気を前記第一領域と異なる第二領域へ吹出するための除湿流路と、前記除加湿手段の各熱交換部と前記加湿流路及び前記除湿流路との連通状態を切り替えるための切替手段と、前記除加湿手段の各熱交換部を介して前記加湿流路及び前記除湿流路から吹出される空気流れを形成するための送風手段と、ノーマルモードから加湿量増大モードとされたときに、前記除加湿手段によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量を前記ノーマルモードの場合に比して増大させるための加湿量増大手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の車両用除加湿装置では、送風手段が作動すると、除加湿手段の各熱交換部を介して加湿流路及び除湿流路から吹出される空気流れが形成される。除加湿手段では、各熱交換部に導入された空気中の水分が吸着材によって吸着されることで除湿空気が生成され、その一方で、各熱交換部が加熱部で加熱され、この各熱交換部に導入された空気に吸着材から水分が放出されることで加湿空気が生成される。除加湿手段の各熱交換部と加湿流路及び除湿流路との連通状態は切替手段によって切り替えられ、除加湿手段で生成された加湿空気及び除湿空気のうち、加湿空気は加湿流路を介して車室内の乗員を含む第一領域へ吹出され、除湿空気は除湿流路を介して第一領域と異なる第二領域へ吹出される。
【0007】
ここで、請求項1に記載の車両用除加湿装置では、ノーマルモードから加湿量増大モードとされたときには、加湿量増大手段の作用により、除加湿手段によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量がノーマルモードの場合に比して増大される。これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の車両用除加湿装置は、請求項1に記載の車両用除加湿装置において、前記加湿量増大手段は、前記加熱部によって加熱されている前記熱交換部へ導入される空気導入量よりも非加熱とされている前記熱交換部へ導入される空気導入量の方が多くなるように前記熱交換部への空気導入量を調整するための空気導入量調整手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の車両用除加湿装置では、非加熱とされている熱交換部へ導入された空気は吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされ、加熱されている熱交換部へ導入された空気は吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。そして、熱交換部が加熱状態と非加熱状態とに切り替えられることで、除加湿手段から加湿空気及び除湿空気が生成される。
【0010】
ここで、上述の加湿量増大手段は、熱交換部への空気導入量を調整するための空気導入量調整手段を備える構成とされ、加熱部によって加熱されている熱交換部へ導入される空気導入量よりも非加熱とされている熱交換部へ導入される空気導入量の方が多くなるように熱交換部への空気導入量を調整する。従って、各熱交換部においては、加熱部によって加熱されずに非加熱とされているときには、空気導入量が多いので、吸着材によってより多くの空気から水分を吸着できる。このため、各熱交換部がその後に加熱部によって加熱されているときには、吸着材からより多くの水分を導入空気に放出できる。しかも、各熱交換部には、加熱されているときの方が非加熱とされているときよりも少ない量の空気が導入される。以上より、ノーマルモードから加湿量増大モードとされたときには、除加湿手段によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量をノーマルモードの場合に比して確実に増大させることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の車両用除加湿装置は、請求項2に記載の車両用除加湿装置において、前記空気導入量調整手段は、前記送風手段が前記加熱部によって加熱されている前記熱交換部へ送風する送風量よりも非加熱とされている前記熱交換部へ送風する送風量の方が多くなるように前記送風手段の送風量を調整するための送風量調整手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の車両用除加湿装置では、上述の空気導入量調整手段が、送風手段の送風量を調整するための送風量調整手段を備える構成とされ、送風手段が加熱部によって加熱されている熱交換部へ送風する送風量よりも非加熱とされている熱交換部へ送風する送風量の方が多くなるように送風手段の送風量を調整する。これにより、加熱部によって加熱されている熱交換部へ導入される空気導入量よりも非加熱とされている熱交換部へ導入される空気導入量の方が多くなるように熱交換部への空気導入量を調整することが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の車両用除加湿装置は、請求項2に記載の車両用除加湿装置において、前記空気導入量調整手段は、前記送風手段と前記一対の熱交換部との間に配置されると共に、前記送風手段から送風された空気の前記一対の熱交換部への割合を変更するように動作可能な送風割合変更手段と、前記送風手段から前記一対の熱交換部のうち前記加熱部によって加熱されている熱交換部へ送風される送風量よりも前記一対の熱交換部のうち非加熱とされている熱交換部へ送風される送風量の方が多くなるように前記送風割合変更手段の動作を制御するための送風割合制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の車両用除加湿装置では、上述の空気導入量調整手段が、送風手段と一対の熱交換部との間に配置されると共に、送風手段から送風された空気の一対の熱交換部への割合を変更するように動作可能な送風割合変更手段を備え、この送風割合変更手段の動作を送風割合制御手段によって制御することにより、送風手段から一対の熱交換部のうち加熱されている熱交換部へ送風される送風量よりも一対の熱交換部のうち非加熱とされている熱交換部へ送風される送風量の方が多くなるように送風手段から送風された空気の一対の熱交換部への割合を調整する。これにより、一対の熱交換部のうち加熱されている熱交換部へ導入される空気導入量よりも一対の熱交換部のうち非加熱とされている熱交換部へ導入される空気導入量の方が多くなるように一対の熱交換部への空気導入量を調整することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の車両用除加湿装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用除加湿装置において、前記加湿量増大手段は、前記一対の熱交換部を同時且つ間欠的に加熱するように前記加熱部を制御する加熱制御手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の車両用除加湿装置では、一対の熱交換部が加熱部によって同時且つ間欠的に加熱される。このとき、一対の熱交換部が加熱部によって加熱されていないときには、各熱交換部へ導入された空気は吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされ、一対の熱交換部が加熱部によって加熱されているときには、各熱交換部へ導入された空気は吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。そして、一対の熱交換部が加熱部によって同時且つ間欠的に加熱されることが繰り返されることで、除加湿手段から加湿空気及び除湿空気が交互に連続的に生成される。
【0017】
ここで、上述の加湿量増大手段は、一対の熱交換部を同時且つ間欠的に加熱するように加熱部を制御する加熱制御手段とされている。従って、一対の熱交換部が加熱部によって同時に加熱されているときには、この一対の熱交換部の両方で加湿空気を生成することができる。これにより、ノーマルモードから加湿量増大モードとされたときには、除加湿手段によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量をノーマルモードの場合に比して確実に増大させることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の車両用除加湿装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用除加湿装置において、前記加熱部は、前記一対の熱交換部を交互に加熱するための第一加熱部と、前記一対の熱交換部を同時に加熱するための第二加熱部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の車両用除加湿装置では、加熱部が、一対の熱交換部を交互に加熱するための第一加熱部と、一対の熱交換部を同時に加熱するための第二加熱部と、を備える構成とされている。これにより、熱交換部を様々なパターンで加熱することができ、車室内の様々な状況に応じたより決め細やかな加湿量制御を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳述したように、本発明によれば、ノーマルモードから加湿量増大モードとされたときには、加湿量増大手段の作用により、除加湿手段によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量がノーマルモードの場合に比して増大される。これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10の構成について説明する。
【0022】
図1乃至図3には、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10の全体構成が示されている。なお、各図において示される矢印FR、矢印OUT、矢印UPは、車両用除加湿装置10が車両に搭載された場合の車両前後方向前側、車両幅方向外側、車両上下方向上側をそれぞれ示している。
【0023】
これらの図に示されるように、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10は、一対のブロワ12A,12B(送風手段)と、一対の連結流路14A,14Bと、除加湿ユニット16(除加湿手段)と、一対の連結流路18A,18Bと、切替ダンパ20(切替手段)と、加湿流路22と、除湿流路24と、制御ユニット26と、を主要な構成として備えている。以下、この順に説明する。
【0024】
一対のブロワ12A,12Bは、例えば、電動ファンモータ等により構成されている。この一対のブロワ12A,12Bは、制御ユニット26からの作動信号を入力すると起動し、車両用除加湿装置10の外部の空気を吸入して、この空気を後述する一対の連結流路14A,14B側へ送風するように構成されている。また、この一対のブロワ12A,12Bは、後述する制御ユニット26からの作動信号に応じて例えば回転数が変更されて、一対の連結流路14A,14B側へ送風する送風量を調整可能に構成されている。
【0025】
一対の連結流路14A,14Bは、それぞれ中空体で構成され、一対のブロワ12A,12Bと、後述する除加湿ユニット16に設けられた各熱交換素子28A,28Bと、をそれぞれ連通する構成とされている。
【0026】
除加湿ユニット16は、一対の熱交換素子28A,28B(熱交換部)と、ヒータ30及びペルチェ素子32(加熱部)と、を有して構成されている。
【0027】
一対の熱交換素子28A,28Bは、その内部を一対の連結流路14A,14Bから送風された空気が通過可能に構成されており、この空気が通過する通路の表面部に空気中の水分を吸着可能な吸着材が塗布されて構成されている。
【0028】
ヒータ30は、一対の熱交換素子28A,28Bに跨ってその裏面全体を覆うように取り付けられており、後述する制御ユニット26からの作動信号に応じて作動状態とされたときには一対の熱交換素子28A,28Bを同時に加熱することができるように構成されている。
【0029】
ペルチェ素子32は、一対の熱交換素子28A,28Bの側面間に介挿されており、その一方の平面部34Aが一方の熱交換素子28Aの側面部に取り付けられ、その他方の平面部34Bが他方の熱交換素子28Bの側面部に取り付けられている。このペルチェ素子32は、後述する制御ユニット26からの作動信号(印加電圧の極性)に応じて、双方の平面部34A,34Bの発熱(高温)と吸熱(低温)とを切り替えることができるように構成されている。そして、このペルチェ素子32は、双方の平面部34A,34Bの発熱と吸熱とを切り替えることで、一対の熱交換素子28A,28Bの一方を加熱し他方を冷却する状態と、一対の熱交換素子28A,28Bの一方を冷却し他方を加熱する状態とに切り替えることができるように構成されている。
【0030】
一対の連結流路18A,18Bは、それぞれ中空体で構成され、除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bと、後述する切替ダンパ20と、をそれぞれ連通する構成とされている。
【0031】
切替ダンパ20は、駆動部を有し、この駆動部の駆動によって、一対の連結流路18A,18Bと、後述する加湿流路22及び除湿流路24との連通流路を切り替えることができる構成とされている。つまり、この切替ダンパ20は、一方の連結流路18Aと加湿流路22とを連通すると共に他方の連結流路18Bと除湿流路24とを連通する連通状態と、一方の連結流路18Aと除湿流路24とを連通すると共に他方の連結流路18Bと加湿流路22とを連通する連通状態と、一対の連結流路18A,18Bと加湿流路22とを連通する連通状態と、一対の連結流路18A,18Bと除湿流路24とを連通する連通状態と、に切替可能に構成されている。また、この切替ダンパ20は、後述する制御ユニット26からの作動信号に応じて作動して上述の連通状態を切り替えるように構成されている。
【0032】
加湿流路22及び除湿流路24は、例えば排気ダクト等により構成されている。加湿流路22は、切替ダンパ20から送風された空気を例えば車室内の乗員(第一領域)に向けて吹出するために用いられる。一方、除湿流路24は、切替ダンパ20から送風された空気を例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出するために用いられる。
【0033】
制御ユニット26は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えた電気回路で構成されており、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、上述の一対のブロワ12A,12B、ヒータ30、ペルチェ素子32、切替ダンパ20の各動作を制御することができるように構成されている。なお、この制御ユニット26の具体的動作については以下の装置全体の動作と併せて説明する。
【0034】
次に、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10の動作及び作用効果について説明する。
【0035】
制御ユニット26は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「連続運転モード」、「間欠運転モード」、「高湿度運転モード」となり、各モードとされたときには、以下の如く一対のブロワ12A,12B、ヒータ30、ペルチェ素子32、切替ダンパ20の各動作を制御する。
【0036】
図4乃至図6には、制御ユニット26が「連続運転モード」、「間欠運転モード」、「高湿度運転モード」とされたときの車両用除加湿装置10全体の動作状態がそれぞれ示されている。なお、本実施形態では、「連続運転モード」が本発明に係るノーマルモードとされており、「間欠運転モード」及び「高湿度運転モード」が本発明に係る加湿量増大モードとされている。
【0037】
(連続運転モード)
先ず、図4に基づき制御ユニット26が「連続運転モード」とされたときの車両用除加湿装置10全体の動作状態について説明する。
【0038】
制御ユニット26は、「連続運転モード」とされると、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが発熱し他方の平面部34Bが吸熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0039】
また、制御ユニット26は、切替ダンパ20に作動信号を出力し、一方の連結流路18Aと加湿流路22とが連通されると共に他方の連結流路18Bと除湿流路24とが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ20を切替動作させる。
【0040】
そして、制御ユニット26は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット26は、一対のブロワ12A,12Bの送風量が同一となるようにする(送風量1:1)。
【0041】
これにより、図4(a)に示されるように、一対のブロワ12A,12Bから送風された空気は、一対の連結流路14A,14Bを介して除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。このうち、一方の熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Aの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。一方、他方の熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0042】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気及び除湿空気は、一対の連結流路18A,18Bを介して切替ダンパ20にそれぞれ送風され、この切替ダンパ20によって加湿流路22及び除湿流路24にそれぞれ案内される。そして、このうち、加湿空気(矢印A)は、加湿流路22から例えば車室内の乗員(第一領域)に向けて吹出され、除湿空気(矢印B)は、除湿流路24から例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0043】
また、制御ユニット26は、連続運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分を全て放出した状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分飽和状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、次の如く切替動作する。
【0044】
つまり、制御ユニット26は、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが吸熱し他方の平面部34Bが発熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0045】
また、制御ユニット26は、切替ダンパ20に作動信号を出力し、一方の連結流路18Aと除湿流路24とが連通されると共に他方の連結流路18Bと加湿流路22とが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ20を切替動作させる。
【0046】
これにより、図4(b)に示されるように、一対のブロワ12A,12Bから送風された空気は、一対の連結流路14A,14Bを介して除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。このうち、一方の熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Aの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。一方、他方の熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。
【0047】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気及び除湿空気は、一対の連結流路18A,18Bを介して切替ダンパ20にそれぞれ送風され、この切替ダンパ20によって加湿流路22及び除湿流路24にそれぞれ案内される。そして、このうち、加湿空気(矢印A)は、加湿流路22から例えば車室内の乗員(第一領域)に向けて吹出され、除湿空気(矢印B)は、除湿流路24から例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0048】
また、制御ユニット26は、上述の切替動作の後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分飽和状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分を全て放出した状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、ペルチェ素子32及び切替ダンパ20を再び切替動作させる(図4(a)参照)。
【0049】
そして、制御ユニット26は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「連続運転モード」を終了するまで、上記動作(図4(a)の動作と図4(b)の動作)を繰り返し行う。これにより、車両用除加湿装置10からは加湿空気(矢印A)及び除湿空気(矢印B)が連続して吹出される。なお、このとき、2〜3g/mの水分量を乗員に供給できる。
【0050】
このように、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10では、制御ユニット26が「連続運転モード」とされたときには、加湿空気及び除湿空気が同時に連続して吹出される。これにより、乗員に湿気を供給して快適な車室内空間を提供できると共に、フロントウィンドウの曇りを確実に防止できる。
【0051】
(間欠運転モード)
次に、図5に基づき制御ユニット26が「間欠運転モード」とされたときの車両用除加湿装置10全体の動作状態について説明する。
【0052】
制御ユニット26は、「間欠運転モード」とされると、切替ダンパ20に作動信号を出力し、一対の連結流路18A,18Bと除湿流路24とが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ20を切替動作させる。
【0053】
そして、制御ユニット26は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット26は、一対のブロワ12A,12Bの送風量が同一となるようにする(送風量1:1)。
【0054】
これにより、図5(a)に示されるように、一対のブロワ12A,12Bから送風された空気は、一対の連結流路14A,14Bを介して除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。各熱交換素子28A,28Bに導入された空気は、熱交換素子28A,28Bがヒータ30及びペルチェ素子32によって加熱されていないので、この熱交換素子28A,28Bの内部を通過するときに熱交換素子28A,28Bの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0055】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された除湿空気は、一対の連結流路18A,18Bを介して切替ダンパ20にそれぞれ送風され、この切替ダンパ20によって除湿流路24に案内される。そして、この除湿空気(矢印B)は、除湿流路24から例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0056】
また、制御ユニット26は、間欠運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、一対の熱交換素子28A,28Bの吸着材が水分飽和状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、次の如く切替動作する。
【0057】
つまり、制御ユニット26は、ヒータ30に作動信号を出力し、このヒータ30を作動させる。また、制御ユニット26は、切替ダンパ20に作動信号を出力し、一対の連結流路18A,18Bと加湿流路22とが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ20を切替動作させる。
【0058】
これにより、図5(b)に示されるように、一対のブロワ12A,12Bから送風された空気は、一対の連結流路14A,14Bを介して除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。各熱交換素子28A,28Bに導入された空気は、熱交換素子28A,28Bがヒータ30によって加熱されているので、この熱交換素子28A,28Bの内部を通過するときに熱交換素子28A,28Bの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。
【0059】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気は、一対の連結流路18A,18Bを介して切替ダンパ20にそれぞれ送風され、この切替ダンパ20によって加湿流路22に案内される。そして、この加湿空気(矢印A)は、加湿流路22から例えば車室内の乗員(第一領域)に向けて吹出される。
【0060】
また、制御ユニット26は、上述の切替動作の後、一定時間(例えば、一対の熱交換素子28A,28Bの吸着材が水分を全て放出した状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、ペルチェ素子32及び切替ダンパ20を再び切替動作させる(図5(a)参照)。
【0061】
そして、制御ユニット26は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「間欠運転モード」を終了するまで、上記動作(図5(a)の動作と図5(b)の動作)を繰り返し行う。これにより、車両用除加湿装置10からは加湿空気(矢印A)及び除湿空気(矢印B)が交互に連続的に吹出される。
【0062】
このように、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10では、制御ユニット26が「間欠運転モード」とされたときには、一対の熱交換素子28A,28Bが同時且つ間欠的に加熱される。そして、このようにすることで、一対の熱交換素子28A,28Bがヒータ30によって同時に加熱されているときには、この一対の熱交換素子28A,28Bの両方で加湿空気を生成することができる。従って、上述の連続運転モードのときのように各熱交換素子28A,28Bで交互に加湿空気を生成する場合(図4参照)に比して、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿量を増大させることができる。
【0063】
これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。
【0064】
また、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10によれば、車室内という水分量の限られた環境下において、上述の如く間欠運転することでより多くの水分を乗員に供給することができる。
【0065】
(高湿度運転モード)
次に、図6に基づき制御ユニット26が「高湿度運転モード」とされたときの車両用除加湿装置10全体の動作状態について説明する。
【0066】
制御ユニット26は、「高湿度運転モード」とされると、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが発熱し他方の平面部34Bが吸熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0067】
また、制御ユニット26は、切替ダンパ20に作動信号を出力し、一方の連結流路18Aと加湿流路22とが連通されると共に他方の連結流路18Bと除湿流路24とが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ20を切替動作させる。
【0068】
そして、制御ユニット26は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット26は、一方のブロワ12Aの送風量が他方のブロワ12Bの送風量の1/2倍となるようにする(送風量1:2)。
【0069】
これにより、図6(a)に示されるように、一対のブロワ12A,12Bから送風された空気は、一対の連結流路14A,14Bを介して除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。このうち、一方の熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Aの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。一方、他方の熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0070】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気及び除湿空気は、一対の連結流路18A,18Bを介して切替ダンパ20にそれぞれ送風され、この切替ダンパ20によって加湿流路22及び除湿流路24にそれぞれ案内される。そして、このうち、加湿空気(矢印A)は、加湿流路22から例えば車室内の乗員(第一領域)に向けて吹出され、除湿空気(矢印B)は、除湿流路24から例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0071】
また、制御ユニット26は、高湿度運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分を全て放出した状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分飽和状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、次の如く切替動作する。
【0072】
つまり、制御ユニット26は、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが吸熱し他方の平面部34Bが発熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0073】
また、制御ユニット26は、切替ダンパ20に作動信号を出力し、一方の連結流路18Aと除湿流路24とが連通されると共に他方の連結流路18Bと加湿流路22とが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ20を切替動作させる。
【0074】
また、制御ユニット26は、一対のブロワ12A,12Bの作動状態を切り替え、一方のブロワ12Aの送風量が他方のブロワ12Bの送風量の2倍となるようにする(送風量2:1)。
【0075】
これにより、図6(b)に示されるように、一対のブロワ12A,12Bから送風された空気は、一対の連結流路14A,14Bを介して除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。このうち、一方の熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Aの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。一方、他方の熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。
【0076】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気及び除湿空気は、一対の連結流路18A,18Bを介して切替ダンパ20にそれぞれ送風され、この切替ダンパ20によって加湿流路22及び除湿流路24にそれぞれ案内される。そして、このうち、加湿空気(矢印A)は、加湿流路22から例えば車室内の乗員(第一領域)に向けて吹出され、除湿空気(矢印B)は、除湿流路24から例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0077】
また、制御ユニット26は、上述の切替動作の後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分飽和状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分を全て放出した状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、ペルチェ素子32及び切替ダンパ20を再び切替動作させる(図6(a)参照)。
【0078】
また、制御ユニット26は、一対のブロワ12A,12Bの作動状態を切り替え、一方のブロワ12Aの送風量が他方のブロワ12Bの送風量の1/2倍となるようにする(送風量1:2)。
【0079】
そして、制御ユニット26は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「高湿度運転モード」を終了するまで、上記動作(図6(a)の動作と図6(b)の動作)を繰り返し行う。これにより、車両用除加湿装置10からは加湿空気(矢印A)及び除湿空気(矢印B)が連続して吹出される。
【0080】
このように、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10では、制御ユニット26が「高湿度運転モード」とされたときには、一対のブロワ12A,12Bの一方が一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱とされている熱交換素子へ送風する送風量と、一対のブロワ12A,12Bの他方が一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子へ送風する送風量との割合が2:1となるように一対のブロワ12A,12Bの送風量が調整される。このため、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子へ導入される空気導入量よりも一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱とされている熱交換素子へ導入される空気導入量の方が多くなる。
【0081】
従って、各熱交換素子28A,28Bにおいては、ペルチェ素子32によって加熱されずに非加熱とされている熱交換素子とされているときには、空気導入量が多いので、吸着材によってより多くの空気から水分を吸着できる。このため、各熱交換素子28A,28Bがその後にペルチェ素子32によって加熱されている熱交換素子とされたときには、吸着材からより多くの水分を導入空気に放出できる。しかも、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子には非加熱とされている熱交換素子よりも少ない量の空気が導入される。以上より、上述の連続運転モードの場合(図4参照)に比して、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿空気単位量当たりの加湿量(加湿空気の絶対湿度)を増大させることができる。なお、このとき、4〜6g/mの水分量を乗員に供給できる。
【0082】
これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。
【0083】
また、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10によれば、車室内という水分量の限られた環境下において、上述の如く高湿度運転することでより多くの水分を乗員に供給することができる。
【0084】
次に、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10の変形例について説明する。
【0085】
上述の車両用除加湿装置10は、例えば、図7乃至図9に示されるように変形されていても良い。図7乃至図9には、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10の変形例がそれぞれ示されている。
【0086】
(第一変形例)
図7に示される第一変形例では、図1に示される一対のブロワ12A,12B及び一対の連結流路14A,14Bの代わりに、ブロワ12及び連結流路14が一つずつ設けられている。また、連結流路14には、後流側流路に対応して流路を上下に仕切るように、調整ダンパ36が設けられている。この調整ダンパ36は、駆動部を有し、この駆動部の駆動によって、ブロワ12から送風された空気の除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bへの割合を調整可能な構成とされている。
【0087】
そして、この構成において、制御ユニット26は、「高湿度運転モード」とされたときには、一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱とされている熱交換素子へ送風される送風量と、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子へ送風される送風量との割合が2:1となるように調整ダンパ36を作動させる。
【0088】
つまり、調整ダンパ36は、図7(a)では、一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱側である熱交換素子28Bへ送風される送風量と、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱側である熱交換素子28Aへ送風される送風量との割合が2:1となるように調整され、図7(b)では、一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱側である熱交換素子28Aへ送風される送風量と、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱側である熱交換素子28Bへ送風される送風量との割合が2:1となるように調整される。これにより、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子へ導入される空気導入量よりも一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱とされている熱交換素子へ導入される空気導入量の方が多くなる。
【0089】
従って、各熱交換素子28A,28Bにおいては、ペルチェ素子32によって加熱されずに非加熱とされている熱交換素子とされているときには、空気導入量が多いので、吸着材によってより多くの空気から水分を吸着できる。このため、各熱交換素子28A,28Bがその後にペルチェ素子32によって加熱されている熱交換素子とされたときには、吸着材からより多くの水分を導入空気に放出できる。しかも、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子には非加熱とされている熱交換素子よりも少ない量の空気が導入される。以上より、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿空気単位量当たりの加湿量(加湿空気の絶対湿度)を増大させることができる。
【0090】
これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。
【0091】
なお、この第一変形例において、制御ユニット26は、「連続運転モード」又は「間欠運転モード」とされているときには、一対の熱交換素子28A,28Bへ送風される送風量の割合が1:1となるように調整ダンパ36を作動させる。このようにすれば、上述の本実施形態の構成と同様に連続運転(図4参照)及び間欠運転(図5参照)を行うことが可能となる。
【0092】
(第二変形例)
図8に示される第二変形例では、図1に示されるヒータ30及びペルチェ素子32の代わりに、一対のペルチェ素子32A,32Bが設けられている。この一対のペルチェ素子32A,32Bは、各熱交換素子28A,28Bにその各裏面全体を覆うようにそれぞれ取り付けられており、制御ユニット26からの作動信号(印加電圧の極性)に応じて、一対の熱交換素子28A,28Bをそれぞれ独立して加熱及び冷却することができるように構成されている。
【0093】
そして、制御ユニット26が「連続運転モード」、「高湿度運転モード」とされたときには、この一対のペルチェ素子32A,32Bによって一対の熱交換素子28A,28Bの一方が加熱されて他方が冷却される状態と、一対の熱交換素子28A,28Bの一方が冷却され他方が加熱される状態とに切り替えられることにより、上述の本実施形態の構成と同様に連続運転(図4参照)及び高湿度運転(図6参照)を行うことが可能となる。
【0094】
また、制御ユニット26が「間欠運転モード」とされたときには、この一対のペルチェ素子32A,32Bによって一対の熱交換素子28A,28Bが同時且つ間欠的に加熱されるようにすることにより、上述の本実施形態の構成と同様に間欠運転(図5参照)を行うことが可能となる。
【0095】
また、この第二変形例によれば、各ペルチェ素子32A,32Bによって各熱交換素子28A,28Bをそれぞれ冷却することができるので、吸着材による空気中の水分の吸着効率(除湿効率)を高めることができる。
【0096】
(第三変形例)
図9に示される第三変形例では、図1に示されるヒータ30の代わりに、ペルチェ素子38が設けられている。このペルチェ素子38は、一対の熱交換素子28A,28Bにその裏面全体を覆うように取り付けられており、制御ユニット26からの作動信号(印加電圧の極性)に応じて、一対の熱交換素子28A,28Bを同時に加熱及び冷却することができるように構成されている。
【0097】
そして、制御ユニット26が「間欠運転モード」とされたときには、このペルチェ素子38によって一対の熱交換素子28A,28Bが同時且つ間欠的に加熱されるようにすることにより、上述の本実施形態の構成と同様に間欠運転(図5参照)を行うことが可能となる。
【0098】
また、この第三変形例によれば、ペルチェ素子38によって各熱交換素子28A,28Bを同時に冷却することができるので、吸着材による空気中の水分の吸着効率(除湿効率)を高めることができる。
【0099】
(その他の変形例)
上記実施形態において、上述の間欠運転モードのときに、一対のブロワ12A,12Bがヒータ30によって加熱されているときの一対の熱交換素子28A,28Bへ送風する送風量よりも非加熱とされているときの一対の熱交換素子28A,28Bへ送風する送風量の方が多くなるように、制御ユニット26が一対のブロワ12A,12Bの送風量を調整するようにしても良い。このようにすれば、上述の高湿度運転モードのときと同様に、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿空気単位量当たりの加湿量(加湿空気の絶対湿度)を増大させることができる。
【0100】
また、上記実施形態では、各流路が車両上下方向に並べられて構成されていたが、各流路が車両幅方向に並べられて構成されていても良い。
【0101】
また、上記実施形態では、除湿流路24からフロントウィンドウの車室側の面に向けられて除湿空気が吹き出されるように構成されていたが、除湿流路24からリアフロントウィンドウの車室側の面に向けられて除湿空気が吹き出されるように構成されていても良く、また、除湿流路24からフロントのサイドウィンドウ又はリアのサイドウィンドウ等の車室側の面に向けられて除湿空気が吹き出されるように構成されていても良い。
【0102】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50の構成について説明する。
【0103】
図10には、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50の全体構成が示されている。なお、図10(a)には、車両用除加湿装置50の側面図、図10(b)には、車両用除加湿装置50の要部拡大平面図がそれぞれ示されている。また、この図において示される矢印FR、矢印OUT、矢印UPは、車両用除加湿装置50が車両に搭載された場合の車両前後方向前側、車両幅方向外側、車両上下方向上側をそれぞれ示している。
【0104】
この図に示されるように、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50は、ブロワ12A,12B(送風手段)と、連結流路52A,52Bと、切替ダンパ54A,54B(切替手段の一部)と、一対の連結流路56A,56Bと、除加湿ユニット16(除加湿手段)と、一対の連結流路58A,58Bと、吹出流路60A,60Bと、制御ユニット62と、を主要な構成として備えている。
【0105】
ブロワ12A,12B、除加湿ユニット16は、上述の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10と同一のもの(内部配置のみ若干異なる)が用いられている。
【0106】
連結流路52A,52Bは、それぞれ中空体で構成されている。一方の連結流路52Aは、ブロワ12Aと、切替ダンパ54Aとを連通する構成とされ、他方の連結流路52Bは、ブロワ12Bと、切替ダンパ54Bとを連通する構成とされている。
【0107】
切替ダンパ54Aは、駆動部を有し、この駆動部の駆動によって、連結流路52A及び吹出流路60Bと、一対の連結流路56A,56Bとの連通流路を切り替えることができる構成とされている。つまり、この切替ダンパ54Aは、連結流路52Aと連結流路56Aとを連通すると共に吹出流路60Bと連結流路56Bとを連通する状態と、連結流路52Aと連結流路56Bとを連通すると共に吹出流路60Bと連結流路56Aとを連通する状態と、に切替可能に構成されている。
【0108】
同様に、切替ダンパ54Bは、駆動部を有し、この駆動部の駆動によって、連結流路52B及び吹出流路60Aと、一対の連結流路58A,58Bとの連通流路を切り替えることができる構成とされている。つまり、この切替ダンパ54Bは、連結流路52Bと連結流路58Bとを連通すると共に吹出流路60Aと連結流路58Aとを連通する状態と、連結流路52Bと連結流路58Aとを連通すると共に吹出流路60Aと連結流路58Bとを連通する状態と、に切替可能に構成されている。
【0109】
また、この切替ダンパ54A,54Bは、後述する制御ユニット62からの作動信号に応じて作動して上述の連通状態を切り替えるように構成されている。
【0110】
一対の連結流路56A,56B,58A,58Bは、それぞれ中空体で構成されている。一対の連結流路56A,56Bは、切替ダンパ54Aと、除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bとをそれぞれ連通する構成とされ、一対の連結流路58A,58Bは、除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bと、切替ダンパ54Bとをそれぞれ連通する構成とされている。
【0111】
吹出流路60A,60Bは、例えば排気ダクト等により構成されている。一方の吹出流路60Aは、切替ダンパ54Bから送風された空気を例えば車室内の運転席の乗員(第一領域)に向けて吹出するための加湿流路64Aと、切替ダンパ54Bから送風された空気を例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出するための除湿流路66Aと、駆動部の駆動によって切替ダンパ54Bからの送風空気を加湿流路64Aと除湿流路66Aとに振り分けることが可能な切替ダンパ68A,70A(切替手段の一部)と、を備えて構成されている。
【0112】
また、他方の吹出流路60Bは、切替ダンパ54Aから送風された空気を例えば車室内の助手席の乗員(第一領域)に向けて吹出するための加湿流路64Bと、切替ダンパ54Aから送風された空気を例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出するための除湿流路66Bと、駆動部の駆動によって切替ダンパ54Aからの送風空気を加湿流路64Bと除湿流路66Bとに振り分けることが可能な切替ダンパ68B,70B(切替手段の一部)と、を備えて構成されている。
【0113】
制御ユニット62は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えた電気回路で構成されており、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、上述のブロワ12A,12B、除加湿ユニット16のヒータ30及びペルチェ素子32、切替ダンパ54A,54B、切替ダンパ68A,68B,70A,70Bの各動作を制御することができるように構成されている。なお、この制御ユニット62の具体的動作については以下の装置全体の動作と併せて説明する。
【0114】
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50の動作及び作用効果について説明する。
【0115】
制御ユニット62は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「連続運転モード」、「間欠運転モード」、「高湿度運転モード」となり、各モードとされたときには、以下の如くブロワ12A,12B、除加湿ユニット16のヒータ30及びペルチェ素子32、切替ダンパ54A,54B、切替ダンパ68A,68B,70A,70Bの各動作を制御する。
【0116】
図11乃至図13には、制御ユニット62が「連続運転モード」、「間欠運転モード」、「高湿度運転モード」とされたときの車両用除加湿装置50全体の動作状態がそれぞれ示されている。なお、本実施形態では、「連続運転モード」が本発明に係るノーマルモードとされており、「間欠運転モード」及び「高湿度運転モード」が本発明に係る加湿量増大モードとされている。
【0117】
(連続運転モード)
先ず、図11に基づき制御ユニット62が「連続運転モード」とされたときの車両用除加湿装置50全体の動作状態について説明する。
【0118】
制御ユニット62は、「連続運転モード」とされると、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが発熱し他方の平面部34Bが吸熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0119】
また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Aに作動信号を出力し、連結流路52Aと連結流路56Aとが連通されると共に吹出流路60Bと連結流路56Bとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Bに作動信号を出力し、連結流路58Bと連結流路52Bとが連通されると共に吹出流路60Aと連結流路58Aとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Bを切替動作させる。
【0120】
さらに、制御ユニット62は、切替ダンパ68A,70Aに作動信号を出力し、切替ダンパ54Bから送風された空気が加湿流路64Aに案内されるように、この切替ダンパ68A,70Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ68B,70Bに作動信号を出力し、切替ダンパ54Aから送風された空気が除湿流路66Bに案内されるように、この切替ダンパ68B,70Bを切替動作させる。
【0121】
そして、制御ユニット62は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット62は、一対のブロワ12A,12Bの送風量が同一となるようにする(送風量1:1)。
【0122】
これにより、図11(a)に示されるように、一方のブロワ12Aから送風された空気は、連結流路52A,56Aを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Aに導入される。この熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Aの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。一方、他方のブロワ12Bから送風された空気は、連結流路52B,58Bを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Bに導入される。この熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0123】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気は、連結流路58Aを介して切替ダンパ54Bに送風され、この切替ダンパ54Bによって吹出流路60Aに案内され、且つ、この吹出流路60A内でさらに切替ダンパ68A,70Aによって加湿流路64Aに案内される。そして、この加湿空気(矢印A)は、加湿流路64Aから例えば車室内の運転席の乗員(第一領域)に向けて吹出される。
【0124】
また、除加湿ユニット16で生成された除湿空気は、連結流路56Bを介して切替ダンパ54Aに送風され、この切替ダンパ54Aによって吹出流路60Bに案内され、且つ、この吹出流路60B内でさらに切替ダンパ68B,70Bによって除湿流路66Bに案内される。そして、この除湿空気(矢印B)は、除湿流路66Bから例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0125】
また、制御ユニット62は、連続運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分を全て放出した状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分飽和状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、次の如く切替動作する。
【0126】
つまり、制御ユニット62は、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが吸熱し他方の平面部34Bが発熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0127】
また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Aに作動信号を出力し、連結流路52Aと連結流路56Bとが連通されると共に吹出流路60Bと連結流路56Aとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Bに作動信号を出力し、連結流路52Bと連結流路58Aとが連通されると共に吹出流路60Aと連結流路58Bとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Bを切替動作させる。
【0128】
これにより、図11(b)に示されるように、一方のブロワ12Aから送風された空気は、連結流路52A,56Bを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Bに導入される。この熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。一方、他方のブロワ12Bから送風された空気は、連結流路52B,58Aを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Aに導入される。この熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0129】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気は、連結流路58Bを介して切替ダンパ54Bに送風され、この切替ダンパ54Bによって吹出流路60Aに案内され、且つ、この吹出流路60A内でさらに切替ダンパ68A,70Aによって加湿流路64Aに案内される。そして、この加湿空気(矢印A)は、加湿流路64Aから例えば車室内の運転席の乗員(第一領域)に向けて吹出される。
【0130】
また、除加湿ユニット16で生成された除湿空気は、連結流路56Aを介して切替ダンパ54Aに送風され、この切替ダンパ54Aによって吹出流路60Bに案内され、且つ、この吹出流路60B内でさらに切替ダンパ68B,70Bによって除湿流路66Bに案内される。そして、この除湿空気(矢印B)は、除湿流路66Bから例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0131】
また、制御ユニット62は、連続運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分飽和状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分を全て放出した状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、ペルチェ素子32及び切替ダンパ54A,54Bを再び切替動作させる(図11(a)参照)。
【0132】
そして、制御ユニット62は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「連続運転モード」を終了するまで、上記動作(図11(a)の動作と図11(b)の動作)を繰り返し行う。これにより、車両用除加湿装置50からは加湿空気(矢印A)及び除湿空気(矢印B)が連続して吹出される。なお、このとき、2〜3g/mの水分量を乗員に供給できる。
【0133】
このように、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50では、制御ユニット62が「連続運転モード」とされたときには、加湿空気及び除湿空気が同時に連続して吹出される。これにより、乗員に湿気を供給して快適な車室内空間を提供できると共に、フロントウィンドウの曇りを確実に防止できる。
【0134】
(間欠運転モード)
次に、図12に基づき制御ユニット62が「間欠運転モード」とされたときの車両用除加湿装置50全体の動作状態について説明する。
【0135】
制御ユニット62は、「間欠運転モード」とされると、切替ダンパ54Aに作動信号を出力し、連結流路52Aと連結流路56Aとが連通されると共に吹出流路60Bと連結流路56Bとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Bに作動信号を出力し、連結流路52Bと連結流路58Bとが連通されると共に吹出流路60Aと連結流路58Aとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Bを切替動作させる。
【0136】
さらに、制御ユニット62は、切替ダンパ68A,70Aに作動信号を出力し、切替ダンパ54Bから送風された空気が除湿流路66Aに案内されるように、この切替ダンパ68A,70Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ68B,70Bに作動信号を出力し、切替ダンパ54Aから送風された空気が除湿流路66Bに案内されるように、この切替ダンパ68B,70Bを切替動作させる。
【0137】
そして、制御ユニット62は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット62は、一対のブロワ12A,12Bの送風量が同一となるようにする(送風量1:1)。
【0138】
これにより、図12(a)に示されるように、各ブロワ12A,12Bから送風された空気は、除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。各熱交換素子28A,28Bに導入された空気は、熱交換素子28A,28Bがヒータ30及びペルチェ素子32によって加熱されていないので、この熱交換素子28A,28Bの内部を通過するときに熱交換素子28A,28Bの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0139】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された除湿空気は、切替ダンパ54A,54Bにそれぞれ送風され、この切替ダンパ54A,54Bによって吹出流路60A,60Bの各除湿流路66A,66Bに案内される。そして、このうち、吹出流路60Aの除湿流路66Aに案内された除湿空気(矢印B1)は、除湿流路66Aから例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出され、吹出流路60Bの除湿流路66Bに案内された除湿空気(矢印B2)は、除湿流路66Bから例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0140】
また、制御ユニット62は、間欠運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、一対の熱交換素子28A,28Bの吸着材が水分飽和状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、次の如く切替動作する。
【0141】
つまり、制御ユニット62は、ヒータ30に作動信号を出力し、このヒータ30を作動させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ68A,70Aに作動信号を出力し、切替ダンパ54Bから送風された空気が加湿流路64Aに案内されるように、この切替ダンパ68A,70Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ68B,70Bに作動信号を出力し、切替ダンパ54Aから送風された空気が加湿流路64Bに案内されるように、この切替ダンパ68B,70Bを切替動作させる。
【0142】
これにより、図12(b)に示されるように、各ブロワ12A,12Bから送風された空気は、除加湿ユニット16の各熱交換素子28A,28Bに導入される。各熱交換素子28A,28Bに導入された空気は、熱交換素子28A,28Bがヒータ30によって加熱されているので、この熱交換素子28A,28Bの内部を通過するときに熱交換素子28A,28Bの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。
【0143】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気は、切替ダンパ54A,54Bにそれぞれ送風され、この切替ダンパ54A,54Bによって吹出流路60A,60Bの各加湿流路64A,64Bに案内される。そして、このうち、吹出流路60Aの加湿流路64Aに案内された加湿空気(矢印A1)は、加湿流路64Aから例えば車室内の運転席の乗員(第一領域)に向けて吹出され、吹出流路60Bの加湿流路64Bに案内された加湿空気(矢印A2)は、加湿流路64Bから例えば車室内の助手席の乗員(第一領域)に向けて吹出される。
【0144】
また、制御ユニット62は、上述の切替動作の後、一定時間(例えば、一対の熱交換素子28A,28Bの吸着材が水分を全て放出した状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、ヒータ30及び切替ダンパ68A,68B,70A,70Bを再び切替動作させる(図12(a)参照)。
【0145】
そして、制御ユニット62は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「間欠運転モード」を終了するまで、上記動作(図12(a)の動作と図12(b)の動作)を繰り返し行う。これにより、車両用除加湿装置50からは加湿空気(矢印A1,A2)及び除湿空気(矢印B1,B2)が交互に連続的に吹出される。
【0146】
このように、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50では、制御ユニット62が「間欠運転モード」とされたときには、一対の熱交換素子28A,28Bが同時且つ間欠的に加熱される。そして、このようにすることで、一対の熱交換素子28A,28Bがヒータ30によって同時に加熱されているときには、この一対の熱交換素子28A,28Bの両方で加湿空気を生成することができる。従って、上述の連続運転モードの場合(図11参照)に比して、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量を増大させることができる。
【0147】
これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。
【0148】
また、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50によれば、車室内という水分量の限られた環境下において、上述の如く間欠運転することでより多くの水分を乗員に供給することができる。
【0149】
(高湿度運転モード)
次に、図13に基づき制御ユニット62が「高湿度運転モード」とされたときの車両用除加湿装置50全体の動作状態について説明する。
【0150】
制御ユニット62は、「高湿度運転モード」とされると、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが発熱し他方の平面部34Bが吸熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0151】
また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Aに作動信号を出力し、連結流路52Aと連結流路56Aとが連通されると共に吹出流路60Bと連結流路56Bとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Bに作動信号を出力し、連結流路52Bと連結流路58Bとが連通されると共に吹出流路60Aと連結流路58Aとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Bを切替動作させる。
【0152】
さらに、制御ユニット62は、切替ダンパ68A,70Aに作動信号を出力し、切替ダンパ54Bから送風された空気が加湿流路64Aに案内されるように、この切替ダンパ68A,70Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ68B,70Bに作動信号を出力し、切替ダンパ54Aから送風された空気が除湿流路66Bに案内されるように、この切替ダンパ68B,70Bを切替動作させる。
【0153】
そして、制御ユニット62は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット62は、一方のブロワ12Aの送風量が他方のブロワ12Bの送風量の1/2倍となるようにする(送風量1:2)。
【0154】
これにより、図13(a)に示されるように、一方のブロワ12Aから送風された空気は、連結流路52A,56Aを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Aに導入される。この熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Aの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。一方、他方のブロワ12Bから送風された空気は、連結流路52B,58Bを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Bに導入される。この熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0155】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気は、連結流路58Aを介して切替ダンパ54Bに送風され、この切替ダンパ54Bによって吹出流路60Aに案内され、且つ、この吹出流路60A内でさらに切替ダンパ68A,70Aによって加湿流路64Aに案内される。そして、この加湿空気(矢印A)は、加湿流路64Aから例えば車室内の運転席の乗員(第一領域)に向けて吹出される。
【0156】
また、除加湿ユニット16で生成された除湿空気は、連結流路56Bを介して切替ダンパ54Aに送風され、この切替ダンパ54Aによって吹出流路60Bに案内され、且つ、この吹出流路60B内でさらに切替ダンパ68B,70Bによって除湿流路66Bに案内される。そして、この除湿空気(矢印B)は、除湿流路66Bから例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0157】
また、制御ユニット62は、高湿度運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分を全て放出した状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分飽和状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、次の如く切替動作する。
【0158】
つまり、制御ユニット62は、ペルチェ素子32に作動信号を出力し、ペルチェ素子32の一方の平面部34Aが吸熱し他方の平面部34Bが発熱するように、このペルチェ素子32を作動させる。
【0159】
また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Aに作動信号を出力し、連結流路52Aと連結流路56Bとが連通されると共に吹出流路60Bと連結流路56Aとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Aを切替動作させる。また、制御ユニット62は、切替ダンパ54Bに作動信号を出力し、連結流路52Bと連結流路58Aとが連通されると共に吹出流路60Aと連結流路58Bとが連通された連通状態となるように、この切替ダンパ54Bを切替動作させる。
【0160】
また、制御ユニット62は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット62は、一方のブロワ12Aの送風量が他方のブロワ12Bの送風量の1/2倍となるようにする(送風量1:2)。
【0161】
これにより、図13(b)に示されるように、一方のブロワ12Aから送風された空気は、連結流路52A,56Bを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Bに導入される。この熱交換素子28Bに導入された空気は、熱交換素子28Bがペルチェ素子32によって加熱されているので、この熱交換素子28Bの内部を通過するときに熱交換素子28Bの吸着材から放出された水分を得て加湿空気とされる。一方、他方のブロワ12Bから送風された空気は、連結流路52B,58Aを介して除加湿ユニット16の熱交換素子28Aに導入される。この熱交換素子28Aに導入された空気は、熱交換素子28Aがペルチェ素子32によって冷却されているので、この熱交換素子28Aの内部を通過するときに熱交換素子28Aの吸着材によって水分を吸着されて除湿空気とされる。
【0162】
また、このようにして除加湿ユニット16で生成された加湿空気は、連結流路58Bを介して切替ダンパ54Bに送風され、この切替ダンパ54Bによって吹出流路60Aに案内され、且つ、この吹出流路60A内でさらに切替ダンパ68A,70Aによって加湿流路64Aに案内される。そして、この加湿空気(矢印A)は、加湿流路64Aから例えば車室内の運転席の乗員(第一領域)に向けて吹出される。
【0163】
また、除加湿ユニット16で生成された除湿空気は、連結流路56Aを介して切替ダンパ54Aに送風され、この切替ダンパ54Aによって吹出流路60Bに案内され、且つ、この吹出流路60B内でさらに切替ダンパ68B,70Bによって除湿流路66Bに案内される。そして、この除湿空気(矢印B)は、除湿流路66Bから例えばフロントウィンドウの車室側の面(第二領域)に向けて吹出される。
【0164】
また、制御ユニット62は、高湿度運転モードの運転開始後、一定時間(例えば、熱交換素子28Aの吸着材が水分飽和状態となるか、若しくは、熱交換素子28Bの吸着材が水分を全て放出した状態となると予測される時間で、例えば数分間)が経過したときには、ペルチェ素子32及び切替ダンパ54A,54Bを再び切替動作する(図13(a)参照)。
【0165】
また、制御ユニット62は、一対のブロワ12A,12Bを作動させる。このとき、制御ユニット62は、一方のブロワ12Aの送風量が他方のブロワ12Bの送風量の1/2倍となるようにする(送風量1:2)。
【0166】
そして、制御ユニット62は、例えば、外部制御装置(例えば、メイン制御ユニット若しくは操作パネル)からの制御信号若しくは車室内の状況を検出するセンサからの検出信号等に応じて、「高湿度運転モード」を終了するまで、上記動作(図13(a)の動作と図13(b)の動作)を繰り返し行う。これにより、車両用除加湿装置50からは加湿空気(矢印A)及び除湿空気(矢印B)が連続して吹出される。
【0167】
このように、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50では、制御ユニット62が「高湿度運転モード」とされたときには、一対のブロワ12A,12Bの一方が一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱とされている熱交換素子へ送風する送風量と、一対のブロワ12A,12Bの他方が一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子へ送風する送風量との割合が2:1となるように一対のブロワ12A,12Bの送風量が調整されると共に切替ダンパ54A,54Bの動作が切り替えられる。このため、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子へ導入される空気導入量よりも一対の熱交換素子28A,28Bのうち非加熱とされている熱交換素子へ導入される空気導入量の方が多くなる。
【0168】
従って、各熱交換素子28A,28Bにおいては、ペルチェ素子32によって加熱されずに非加熱とされている熱交換素子とされているときには、空気導入量が多いので、吸着材によってより多くの空気から水分を吸着できる。このため、各熱交換素子28A,28Bがその後にペルチェ素子32によって加熱されている熱交換素子とされたときには、吸着材からより多くの水分を導入空気に放出できる。しかも、一対の熱交換素子28A,28Bのうち加熱されている熱交換素子には非加熱とされている熱交換素子よりも少ない量の空気が導入される。以上より、上述の連続運転モードの場合(図11参照)に比して、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿空気単位量当たりの加湿量(加湿空気の絶対湿度)を増大させることができる。なお、このとき、4〜6g/mの水分量を乗員に供給できる。
【0169】
これにより、車室内の様々な状況に応じた加湿量制御を行うことが可能となり、乗員に対し、より一層快適な車室内空間を提供することが可能となる。
【0170】
また、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50によれば、車室内という水分量の限られた環境下において、上述の如く高湿度運転することでより多くの水分を乗員に供給することができる。
【0171】
次に、本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置50の変形例について説明する。
【0172】
上記実施形態において、上述の間欠運転モードのときに、一対のブロワ12A,12Bがヒータ30によって加熱されているときの一対の熱交換素子28A,28Bへ送風する送風量よりも非加熱とされているときの一対の熱交換素子28A,28Bへ送風する送風量の方が多くなるように、制御ユニット26が一対のブロワ12A,12Bの送風量を調整するようにしても良い。このようにすれば、上述の高湿度運転モードのときと同様に、除加湿ユニット16によって加湿空気が生成されるときの加湿空気単位量当たりの加湿量(加湿空気の絶対湿度)を増大させることができる。
【0173】
また、上記実施形態では、各流路が車両上下方向に並べられて構成されていたが、各流路が車両幅方向に並べられて構成されていても良い。
【0174】
また、上記実施形態では、除湿流路66A,66Bからフロントウィンドウの車室側の面に向けられて除湿空気がそれぞれ吹き出されるように構成されていたが、除湿流路66A,66Bからフロントのサイドウィンドウ又はリアのサイドウィンドウ等の車室側の面に向けられて除湿空気が吹き出されるように構成されていても良い。
【0175】
[車両への適用例]
次に、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10の車両80への適用例について説明する。
【0176】
図14には、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10が適用された車両80の側面断面図が示されており、図15には、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10のための操作パネル92の正面図が示されている。なお、図14において示される矢印Fr、矢印Upは、車両前後方向前側、車両上下方向上側をそれぞれ示している。
【0177】
図14に示されるように、この車両80おいて、車両用除加湿装置10(制御ユニット26を除く部分)は、車室82内の天井部84に設置されている。この車両用除加湿装置10に設けられた加湿流路22の吹出口(図1参照)は、例えば、車室82内の天井部84に設けられたノズル86に接続されている。ノズル86は、図示しない駆動部によって吹出方向を変更可能とされ、加湿流路22から送られた加湿空気を主として乗員Pの頭部(より具体的には、顔全体、目、鼻及び口)に居所的に噴射することができるように構成されている。
【0178】
また、車両用除加湿装置10に設けられた除湿流路24の吹出口(図1参照)は、車室82内の天井部84に設けられた吹出口88に接続されている。この吹出口88は、フロントウィンドウ90の車室82側の面に向けて除湿空気を吹出することができるように吹出方向が設定されて構成されている。
【0179】
また、この車両80には、上述の車両用除加湿装置10に加えて、操作パネル92と、距離センサ94と、サーモグラフィ96と、が備えられている。
【0180】
操作パネル92は、車両80に装備されたインストルメントパネル98の例えば車両幅方向中央部に一体的に配置されている。この操作パネル92には、図15に示されるように、美肌モードスイッチ100、目の乾き癒しモードスイッチ102、アレルゲン抑制モードスイッチ104、ALLモードスイッチ106が設けられている。そして、操作パネル92は、上述の各操作スイッチが乗員Pにより操作されたことに応じて、操作信号を制御ユニット26に出力するように構成されている。
【0181】
距離センサ94は、車室82の天井部84にノズル86に隣接して設けられている。この距離センサ94は、例えば、超音波センサやカメラ等により構成されている。そして、距離センサ94は、車室82内の乗員Pの頭部までの距離を測定し、この測定結果に応じた測定信号を制御ユニット26に出力するように構成されている。
【0182】
サーモグラフィ96は、車室82内の天井部84に距離センサ94と並んで設置されている。このサーモグラフィ96は、乗員Pの顔全体の温度分布を検出し、この検出したデータを制御ユニット26に出力することができるように構成されている。
【0183】
制御ユニット26は、インストルメントパネル98の内部などの車両80の適宜位置に配置されている。この制御ユニット26は、上述の操作パネル92からの操作信号、距離センサ94からの測定信号、及びサーモグラフィ96からの検出データに基づいて、後に詳述する如く、車両用除加湿装置10の動作及びノズル86の噴射方向を制御する構成である。
【0184】
また、制御ユニット26には、上述の操作パネル92からの操作信号に基づいて、1回噴射当たりの加湿量、加湿空気の断続噴射の間隔、及び加湿空気の噴射速度を調節すべく、例えば、次の如く情報がデータ化されて予め記憶されている。図16,図17には、制御ユニット26にデータ化されて記憶された情報の内容を示す説明図が示されており、図18には、複数の目的項目と車室82内の絶対湿度のターゲット(目標値)との関係が示されている。
【0185】
先ず、制御ユニット26にデータ化されて記憶された情報の具体的な内容を説明する前に、図18のマップで示される複数の目的項目と車室内の絶対湿度のターゲット(目標値)との関係について説明する。このマップに示されるように、本実施形態では、複数の目的項目として、『車室内の乗員の肌の乾きの防止』、『車室内の乗員の目の乾きの防止』、『車室内のアレルゲンの飛散防止』、『車室内のウィルスの飛散防止』、『車室内のバクテリアの飛散防止』を設定している。
【0186】
一方、『車室内の乗員の肌の乾きの防止』するための車室内の絶対湿度のターゲット(目標値)としては、絶対湿度11g/Kgを設定しており、『車室内の乗員の目の乾きの防止』するための車室内の絶対湿度のターゲット(目標値)としては、絶対湿度7g/Kgを設定しており、『車室内のアレルゲンの飛散防止』、『車室内のウィルスの飛散防止』、『車室内のバクテリアの飛散防止』するための車室内の絶対湿度のターゲット(目標値)としては、絶対湿度9g/Kgを設定している。
【0187】
つまり、図18の折れ線グラフaに示されるように、車室内の絶対湿度が0〜10g/Kgでは車室内の乗員の肌の乾きの防止効果が低く、逆に、車室内の絶対湿度が12〜20g/Kgでは例えば乗員が不快に感じたり車室の窓に曇りが生じたりする。
【0188】
これに対し、車室内の乗員の肌の乾きを防止するためには、車室内の絶対湿度が10〜12g/Kgであることが最適とされている。そこで、本実施形態では、車室内の絶対湿度10〜12g/Kgの中心値である絶対湿度11g/Kgを『車室内の乗員の肌の乾きの防止』するための車室内の絶対湿度のターゲットTa(目標値)として設定している。
【0189】
また、図18の折れ線グラフbに示されるように、車室内の絶対湿度が0〜6g/Kgでは車室内の乗員の目の乾きの防止効果が低く、逆に、車室内の絶対湿度が8〜20g/Kgでは例えば乗員が不快に感じたり車室82の窓に曇りが生じたりする。
【0190】
これに対し、車室内の乗員の目の乾きを防止するためには、車室内の絶対湿度が6〜8g/Kgであることが最適とされている。そこで、本実施形態では、車室内の絶対湿度6〜8g/Kgの中心値である絶対湿度7g/Kgを『車室内の乗員の目の乾きの防止』するための車室内の絶対湿度のターゲットTc(目標値)として設定している。
【0191】
さらに、図18の折れ線グラフc,d,eに示されるように、車室内の絶対湿度が0〜8g/Kgでは車室内のアレルゲンの飛散防止、車室内のウィルスの飛散防止、車室内のバクテリアの飛散防止の効果が低く、逆に、車室内の絶対湿度が10〜20g/Kgでは例えば乗員が不快に感じたり車室の窓に曇りが生じたりする。
【0192】
これに対し、車室内のアレルゲンの飛散、車室内のウィルスの飛散、車室内のバクテリアの飛散を防止するためには、車室内の絶対湿度が8〜10g/Kgであることが最適とされている。そこで、本実施形態では、車室内の絶対湿度8〜10g/Kgの中心値である絶対湿度9g/Kgを『車室内のアレルゲンの飛散防止』、『車室内のウィルスの飛散防止』、『車室内のバクテリアの飛散防止』するための車室内の絶対湿度のターゲットTb(目標値)として設定している。
【0193】
なお、通常、車室内は空調装置等により室温25℃前後に維持される。このため、本実施形態では、ターゲットTa,Tb,Tcを車室内の相対湿度ではなく絶対湿度で設定している。
【0194】
そして、制御ユニット26には、車室82内の絶対湿度を上述のターゲットTa,Tb,Tc(目標値)に維持すべく、図16に示される如く、各ターゲットTa,Tb,Tc毎に、1回噴射当たりの加湿量と加湿空気の断続噴射の間隔とを規定するための加湿パターンPa,Pb,Pcが予め定められて記憶されている。
【0195】
つまり、加湿パターンPaは、上述のターゲットTa(絶対湿度11g/Kg)に対応して設定されたものであり、三つの加湿パターンの中で、1回噴射当たりの加湿量が最も多く、加湿空気の断続噴射の間隔が最も短く設定されている。要するに、ターゲットとする車室82内の湿度が高いほど早く湿度が低下するため、加湿量を多くすると共に噴射間隔を短くしている。
【0196】
また、加湿パターンPbは、上述のターゲットTb(絶対湿度9g/Kg)に対応して設定されたものであり、三つの加湿パターンの中で、1回噴射当たりの加湿量及び加湿空気の断続噴射の間隔が中程度に設定されている。
【0197】
さらに、加湿パターンPcは、上述のターゲットTc(絶対湿度7g/Kg)に対応して設定されたものであり、三つの加湿パターンの中で、1回噴射当たりの加湿量が最も少なく、加湿空気の断続噴射の間隔が最も長く設定されている。なお、これらの加湿パターンPa、Pb,Pcは、加湿前の車室内の絶対湿度がおよそ5g/Kgであることを前提として設定されたものである。
【0198】
また、制御ユニット26には、図17(a),(b)のグラフで示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離L(より正確には、距離センサ94と乗員Pとの距離)と、加湿空気の噴射速度V及び1回噴射当たりの加湿量Qとの関係がそれぞれデータ化されて予め記憶されている。
【0199】
つまり、本実施形態では、図17(a)に示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離Lが増加するに従って、一定の増加率で加湿空気の噴射速度Vが速くなるように設定されている。
【0200】
また、図17(b)に示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離Lが増加するに従って、1回噴射当たりの加湿量Qが増加するように設定されている。このとき、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離L1を境に1回噴射当たりの加湿量Qの増加率が増加するように設定されている。
【0201】
なお、上述の各情報がデータ化されて記憶された制御ユニット26の動作については以下に詳述する。
【0202】
次に、上記適用例における車両用除加湿装置10の動作について説明する。
【0203】
図19には、本適用例における車両用除加湿装置10の動作の流れが示されており、図20には、本適用例において車両用除加湿装置10により加湿された車室82内の絶対湿度Hと時間Sとの関係が示されている。
【0204】
先ず、乗員Pが図15に示される操作パネル92に設けられた美肌モードスイッチ100、目の乾き癒しモードスイッチ102、アレルゲン抑制モードスイッチ104、ALLモードスイッチ106のいずれかを操作すると、この操作したスイッチに応じた操作信号が図14に示される制御ユニット26に出力される。
【0205】
制御ユニット26は、上述の如く操作パネル92から出力された操作信号を入力すると、図19のフローチャートで示されるプログラム処理を開始する。制御ユニット26は、図19のフローチャートで示されるプログラム処理を開始すると、先ず、操作パネル92から出力された操作信号に基づいて図16に示される加湿パターンの選定を行う(ステップS1)。
【0206】
すなわち、ステップS1の処理において、制御ユニット26は、操作パネル92から美肌モードスイッチ100が操作されたことに応じて出力された操作信号を入力した場合には、車室82内の絶対湿度をターゲットTa(絶対湿度11g/Kg)として車室82内の乗員Pの肌の乾きを防止すべく、加湿パターンPaを選定する。
【0207】
同様に、ステップS1の処理において、制御ユニット26は、操作パネル92から目の乾き癒しモードスイッチ102が操作されたことに応じて出力された操作信号を入力した場合には、車室82内の絶対湿度をターゲットTc(絶対湿度7g/Kg)として車室82内の乗員Pの目の乾きを防止すべく、加湿パターンPcを選定する。
【0208】
また、ステップS1の処理において、制御ユニット26は、操作パネル92からアレルゲン抑制モードスイッチ104が操作されたことに応じて出力された操作信号を入力した場合には、車室82内の絶対湿度をターゲットTb(絶対湿度9g/Kg)として車室82内のアレルゲン、ウィルス、バクテリアの飛散を防止すべく、加湿パターンPbを選定する。
【0209】
なお、ステップS1の処理において、制御ユニット26は、操作パネル92からALLモードスイッチ106が操作されたことに応じて出力された操作信号を入力した場合には、車室82内の絶対湿度をターゲットTa(絶対湿度11g/Kg)として車室82内に快適空間を実現すべく、加湿パターンPaを選定する。
【0210】
そして、制御ユニット26は、上述の如く、操作パネル92のスイッチに対応する加湿パターンを選定した後、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部(加湿部)との距離を検出する(ステップS2)。すなわち、制御ユニット26は、距離センサ94へ制御信号を出力して距離センサ94を作動させる。距離センサ94は、制御ユニット26から出力された制御信号を入力すると作動し、乗員Pの頭部までの距離に応じた測定信号を制御ユニット26に出力する。そして、制御ユニット26は、距離センサ94から出力された測定信号を入力し、この測定結果をノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離として検出する。
【0211】
続いて、制御ユニット26は、加湿空気の噴射速度(加湿速度)を設定する(ステップS3)。すなわち、制御ユニット26は、図17(a)のグラフで示されるノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離L(より正確には、距離センサ94と乗員Pとの距離)と、加湿空気の噴射速度Vとの関係に基づき、上述のステップS2で検出したノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離から加湿空気の噴射速度を算定し設定(一時的に記憶)する。
【0212】
このとき、制御ユニット26は、図17(a)のグラフで示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離Lが増加するに従って一定の増加率で加湿空気の噴射速度Vが速くなるように、上述の加湿空気の噴射速度を設定する。
【0213】
そして、制御ユニット26は、上述のステップS1で選定した加湿パターンで規定される1回噴射当たりの加湿量の調整を行う(ステップS4)。すなわち、制御ユニット26は、図17(b)のグラフで示されるノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離L(より正確には、距離センサ94と乗員Pとの距離)と、1回噴射当たりの加湿量Qとの関係に基づき、上述のステップS1で選定した加湿パターンで規定される1回噴射当たりの加湿量(標準値)の増減を行う。
【0214】
例えば、加湿パターンPaで標準値として規定されるノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離(標準値)に対し、上述のステップS2で検出したノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離(実測値)が長い場合には、この距離の増加分に相当する加湿量の増加量を図17(b)のグラフで示される関係から算出し、この算出した増加量を上述のステップS1で選定した加湿パターンPaで規定される加湿量(標準値)に加算する。
【0215】
なお、このとき、制御ユニット26は、図17(b)のグラフで示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離Lが増加するに従って1回噴射当たりの加湿量Qが増加するように、上述の1回噴射当たりの加湿量を設定する。また、このときには、図17(b)のグラフで示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離L1を境に1回噴射当たりの加湿量Qの増加率が増加するように、上述の1回噴射当たりの加湿量を設定する。
【0216】
一方、例えば、加湿パターンPaで標準値として規定されるノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離(標準値)に対し、上述のステップS2で検出したノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離(実測値)が短い場合には、この距離の減少分に相当する加湿量の減少量を図17(b)のグラフで示される関係から算出し、この算出した減少量を上述のステップS1で選定した加湿パターンPaで規定される加湿量(標準値)から減算する。
【0217】
続いて、制御ユニット26は、ノズル86の噴射方向を設定する(ステップS5)。すなわち、制御ユニット26は、サーモグラフィ96を起動させ、このサーモグラフィ96からの検出データを解析し、顔全体、目、鼻及び口の位置を特定する。そして、制御ユニット26は、美肌モードスイッチ100が選択されたときには、ノズル86の噴射方向を乗員Pの顔全体に設定し、目の乾き癒しモードスイッチ102が選択されたときには、ノズル86の噴射方向を乗員Pの目を中心に設定し、アレルゲン抑制モードスイッチ104が選択されたときには、ノズル86の噴射方向を乗員Pの鼻及び口を中心に設定し、ALLモードスイッチ106が選択されたときには、ノズル86の噴射方向を乗員Pの顔全体に設定する。
【0218】
そして、以上の如く、各設定を行った後、制御ユニット26は、ノズル86に制御信号を出力してノズル86の噴射方向を変更すると共に、一対のブロワ12A,12B、ヒータ30、ペルチェ素子32、切替ダンパ20(以上、図1乃至図6参照)に作動信号を出力して装置全体を作動させる(ステップS6)。
【0219】
なお、このとき、制御ユニット26は、美肌モードスイッチ100、目の乾き癒しモードスイッチ102、アレルゲン抑制モードスイッチ104、ALLモードスイッチ106によって選択された各モードのそれぞれについて自動的に「連続運転モード」、「間欠運転モード」、「高湿度運転モード」の各運転モードとなって、一対のブロワ12A,12B、ヒータ30、ペルチェ素子32、切替ダンパ20の各動作を制御する。
【0220】
そして、これにより、操作パネル92の美肌モードスイッチ100が操作された場合には、加湿パターンPaに基づいて、1回噴射当たりの加湿量が多く、加湿空気の断続噴射の間隔が短く設定されて、図20の折れ線グラフaに示される如く、車室82内の絶対湿度がターゲットTaの11g/Kgに維持されるようになる。なお、図20の折れ線グラフaでは、Tα(Tα<Tβ<Tγ)が加湿空気の断続噴射の間隔とされている。
【0221】
このとき、図20の折れ線グラフaで示される如く、ノズル86から加湿空気を断続噴射することでターゲットTaを中心として車室82内の絶対湿度が増減するようになるが、このときの車室82内の絶対湿度の振幅の上下値は上述の車室82内の乗員Pの肌の乾きの防止に最適な湿度範囲10〜12g/Kg内に収まるように調節される。これにより、乗員Pが不快に感じたり車室82の窓に曇りが生じたりすることを防ぎつつ、車室82内の乗員Pの肌の乾きが防止される。
【0222】
同様に、操作パネル92の目の乾き癒しモードスイッチ102が操作された場合には、加湿パターンPcに基づいて、1回噴射当たりの加湿量が少なく、加湿空気の断続噴射の間隔が長く設定されて、車室82内の絶対湿度がターゲットTcの7g/Kgに維持されるようになる。なお、図20の折れ線グラフcでは、Tβ(Tα<Tβ<Tγ)が加湿空気の断続噴射の間隔とされている。
【0223】
このとき、図20の折れ線グラフcで示される如く、ノズル86から加湿空気を断続噴射することでターゲットTcを中心として車室82内の絶対湿度が増減するようになるが、このときの車室82内の絶対湿度の振幅の上下値は上述の車室82内の乗員Pの目の乾きの防止に最適な湿度範囲6〜8g/Kg内に収まるように調節される。これにより、乗員Pが不快に感じたり車室82の窓に曇りが生じたりすることを防ぎつつ、車室82内の乗員Pの目の乾きが防止される。
【0224】
また、操作パネル92のアレルゲン抑制モードスイッチ104が操作された場合には、加湿パターンPbに基づいて、1回噴射当たりの加湿量及び加湿空気の断続噴射の間隔が中程度に設定されて、車室82内の絶対湿度がターゲットTbの9g/Kgに維持されるようになる。なお、図20の折れ線グラフbでは、Tγ(Tα<Tβ<Tγ)が加湿空気の断続噴射の間隔とされている。
【0225】
このとき、図20の折れ線グラフbで示される如く、ノズル86から加湿空気を断続噴射することでターゲットTbを中心として車室82内の絶対湿度が増減するようになるが、このときの車室82内の絶対湿度の振幅の上下値は上述の車室82内のアレルゲンの飛散、車室82内のウィルスの飛散、車室82内のバクテリアの飛散の防止に最適な湿度範囲8〜10g/Kg内に収まるように調節される。これにより、乗員Pが不快に感じたり車室82の窓に曇りが生じたりすることを防ぎつつ、車室82内のアレルゲン、ウィルス、バクテリアの飛散が防止される。
【0226】
なお、操作パネル92のALLモードスイッチ106が操作された場合には、加湿パターンPaに基づいて、1回噴射当たりの加湿量が多く、加湿空気の断続噴射の間隔が短く設定されて、車室82内の絶対湿度がターゲットTaの11g/Kgに維持されるようになる。これにより、乗員Pが不快に感じたり車室82の窓に曇りが生じたりすることを防ぎつつ、乗員Pに対し快適な車室82空間が提供される。
【0227】
また、本実施形態では、ノズル86から車室82内の乗員Pの頭部、より具体的には、顔全体、目、鼻及び口に居所的に加湿空気が噴射されて、ノズル86からの加湿空気が車室82内に飛散することが防止される。
【0228】
さらに、本実施形態では、図17(a)に示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離Lが増加するに従って加湿空気の噴射速度Vが速くなり、ノズル86からの加湿空気がより遠くに飛ばされて乗員Pへ確実に到達される。
【0229】
また、本実施形態では、図17(b)に示される如く、ノズル86と車室82内の乗員Pの頭部との距離Lが増加するに従って1回噴射当たりの加湿量Qが増加され、ノズル86から乗員Pへ到達する加湿空気の量が維持される。
【0230】
また、上述の如く、ノズル86から加湿空気が吹出される一方で、吹出口88からはフロントウィンドウ90の車室82側の面に向けて除湿空気が吹出される。これにより、フロントウィンドウ90の曇りも防止される。
【0231】
なお、上述の如く、美肌モードスイッチ100、目の乾き癒しモードスイッチ102、アレルゲン抑制モードスイッチ104、ALLモードスイッチ106が選択されて、各モードの運転が行われているときには、乗員Pへ向けて吹出された加湿空気と車両80の空調装置からの空調風とが干渉しないように、車両80の空調装置をフロントウィンドウ吹出モード(若しくは、足元吹出モード、フロントウィンドウ吹出モード及び足元吹出モード)に変更されることが望ましい。
【0232】
そして、一定時間経過後、若しくは、図示しない停止スイッチが操作されること等により、制御ユニット26は、上述の各動作を停止させる。以上の如く、本実施形態に係る車両用除加湿装置10は動作する。
【0233】
以上詳述したように、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10によれば、美肌モードスイッチ100、目の乾き癒しモードスイッチ102、アレルゲン抑制モードスイッチ104、ALLモードスイッチ106の選択状況に応じた加湿量制御を行うことができ、乗員Pに対し、より一層快適な車室82内空間を提供することが可能となる。
【0234】
また、本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置10によれば、一対の熱交換素子28A,28Bを交互に加熱するためのペルチェ素子32と、一対の熱交換素子28A,28Bを同時に加熱するためのヒータ30とを備えることにより、車室内の様々な状況に応じたより決め細やかな加湿量制御を行うことが可能となる。
【0235】
次に、本適用例の変形例について説明する。
【0236】
本適用例では、ターゲットTa,Tb,Tcを車室82内の相対湿度ではなく絶対湿度で設定していたが、ターゲットTa,Tb,Tcを車室82内の絶対湿度ではなく相対湿度で設定しても良いことは勿論である。
【0237】
また、本適用例では、車室82内の絶対湿度が予め定められたターゲット(目標値)を維持するように、1回噴射当たりの加湿量及び加湿空気の断続噴射の間隔(加湿間隔)を調節していたが、1回噴射当たりの加湿量及び加湿空気の断続噴射の間隔(加湿間隔)のいずれかを調節するようにしても良い。
【0238】
また、本適用例では、制御ユニット26が、美肌モードスイッチ100等によって選択された各モードのそれぞれについて自動的に「連続運転モード」等の各運転モードとなって、一対のブロワ12A,12B、ヒータ30、ペルチェ素子32、切替ダンパ20の動作を制御するように構成されていたが、図21に示されるように、操作パネル92に連続運転モードスイッチ108、間欠運転モードスイッチ110、高湿度運転モードスイッチ112が設けられ、この各スイッチが選択されることで各運転モードとなって、一対のブロワ12A,12B、ヒータ30、ペルチェ素子32、切替ダンパ20の各動作を制御するように構成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の全体構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の全体構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の連続運転モードのときの動作状態を示す説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の間欠運転モードのときの動作状態を示す説明図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の高湿度運転モードのときの動作状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の第一変形例を示す図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の第二変形例を示す図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置の第三変形例を示す図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置の全体構成を示す図で、(a)は側面図、(b)は要部拡大平面図である。
【図11】本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置の連続運転モードのときの動作状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置の間欠運転モードのときの動作状態を示す説明図である。
【図13】本発明の第二実施形態に係る車両用除加湿装置の高湿度運転モードのときの動作状態を示す説明図である。
【図14】本発明の第一実施形態に係る車両用除加湿装置が適用された車両の側面断面図である。
【図15】図14に示される車両に設けられた操作パネルの正面図である。
【図16】図14に示される制御ユニットにデータ化されて記憶された情報の内容を示す説明図である。
【図17】図14に示される制御ユニットにデータ化されて記憶された情報の内容を示す説明図である。
【図18】複数の目的項目と車室内の絶対湿度のターゲット(目標値)との関係を示す説明図である。
【図19】図14に示される制御ユニットの動作の流れを示すフローチャートである。
【図20】図14に示される車両用除加湿装置により加湿された車室内の絶対湿度と時間との関係を示す説明図である。
【図21】図15に示される操作パネルの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0240】
10,50 車両用除加湿装置
12A,12B ブロワ(送風手段)
12 ブロワ(送風手段)
16 除加湿ユニット(除加湿手段)
20 切替ダンパ(切替手段)
22 加湿流路
24 除湿流路
26 制御ユニット(加湿量増大手段、空気導入量調整手段、送風量調整手段、送風割合制御手段、加熱制御手段)
28A,28B 熱交換素子(一対の熱交換部)
30 ヒータ(加熱部)
32 ペルチェ素子(加熱部)
32A,32B ペルチェ素子(加熱部)
36 調整ダンパ(加湿量増大手段、空気導入量調整手段、送風割合制御手段)
38 ペルチェ素子(加熱部)
54A,54B 切替ダンパ(切替手段)
62 制御ユニット(加湿量増大手段、空気導入量調整手段、送風量調整手段、加熱制御手段)
64A,64B 加湿流路
66A,66B 除湿流路
68A,68B,70A,70B 切替ダンパ(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を吸着可能な吸着材をそれぞれ有する一対の熱交換部、及び、前記一対の熱交換部を加熱するための加熱部、を備えて構成され、前記一対の熱交換部に導入された空気から加湿空気及び除湿空気を生成可能な除加湿手段と、
前記除加湿手段で生成された加湿空気を車室内の乗員領域を含む第一領域へ吹出するための加湿流路と、
前記除加湿手段で生成された除湿空気を前記第一領域と異なる第二領域へ吹出するための除湿流路と、
前記除加湿手段の各熱交換部と前記加湿流路及び前記除湿流路との連通状態を切り替えるための切替手段と、
前記除加湿手段の各熱交換部を介して前記加湿流路及び前記除湿流路から吹出される空気流れを形成するための送風手段と、
ノーマルモードから加湿量増大モードとされたときに、前記除加湿手段によって加湿空気が生成されるときの加湿空気への加湿量を前記ノーマルモードの場合に比して増大させるための加湿量増大手段と、
を備えることを特徴とする車両用除加湿装置。
【請求項2】
前記加湿量増大手段は、前記加熱部によって加熱されている前記熱交換部へ導入される空気導入量よりも非加熱とされている前記熱交換部へ導入される空気導入量の方が多くなるように前記熱交換部への空気導入量を調整するための空気導入量調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用除加湿装置。
【請求項3】
前記空気導入量調整手段は、前記送風手段が前記加熱部によって加熱されている前記熱交換部へ送風する送風量よりも非加熱とされている前記熱交換部へ送風する送風量の方が多くなるように前記送風手段の送風量を調整するための送風量調整手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用除加湿装置。
【請求項4】
前記空気導入量調整手段は、
前記送風手段と前記一対の熱交換部との間に配置されると共に、前記送風手段から送風された空気の前記一対の熱交換部への割合を変更するように動作可能な送風割合変更手段と、
前記送風手段から前記一対の熱交換部のうち前記加熱部によって加熱されている熱交換部へ送風される送風量よりも前記一対の熱交換部のうち非加熱とされている熱交換部へ送風される送風量の方が多くなるように前記送風割合変更手段の動作を制御するための送風割合制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用除加湿装置。
【請求項5】
前記加湿量増大手段は、前記一対の熱交換部を同時且つ間欠的に加熱するように前記加熱部を制御する加熱制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用除加湿装置。
【請求項6】
前記加熱部は、
前記一対の熱交換部を交互に加熱するための第一加熱部と、
前記一対の熱交換部を同時に加熱するための第二加熱部と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の車両用除加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−254637(P2008−254637A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100537(P2007−100537)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】