説明

車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造

【課題】作動油の漏れ防止性能、油圧回路内への空気の混入防止性能を害することなく、リザーバタンクの上部に形成される開口部を通してタンク内部に作動油を注入する際の作業性を良好とすること。
【解決手段】車体に組付けられ所定量の作動油を内部に収容し上部に大気連通路Apが設けられているリザーバタンク10は、タンク内部をそれぞれ上下に区画する二枚の仕切板13,14を所望の間隔で備えていて、下方の仕切板14には上下方向に貫通する連通孔14aが一端部に形成され、上方の仕切板13には上下方向に貫通する連通孔13aが他端部に形成されている。リザーバタンク10が傾斜していない状態では、少なくとも上方の仕切板13がリザーバタンク10内に収容した作動油の油面Loより上方に配置されている。リザーバタンク10の底部には、可逆式の電動油圧ポンプ20の一対の吸入口21,22が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造に係り、特に、車体に組付けられ所定量の作動油を内部に収容し上部に大気連通路が設けられているリザーバタンクと、操舵力に応じて作動し前記リザーバタンク内の作動油を吸入して吐出する可逆式の電動油圧ポンプと、この電動油圧ポンプの作動に応じて作動する制御弁と、この制御弁と前記電動油圧ポンプの協働作用により制御された作動油の供給・排出に応じて動作して操舵アシスト力を出力する油圧アクチュエータを備えていて、前記電動油圧ポンプの一対の吸入口が前記リザーバタンクの底部に設けられている車両用電動油圧パワーステアリング装置において採用されているリザーバタンクに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
上記した車両用電動油圧パワーステアリング装置において採用されているリザーバタンクは、例えば、下記特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されているリザーバタンクでは、車体が一方または他方(例えば、左方または右方)に傾斜した場合にも、その傾斜角が許容傾斜角以内であれば、リザーバタンク内の作動油がリザーバタンクの上部に設けた大気連通路を通してリザーバタンク外に漏れないように、また、リザーバタンクの底部に設けられている電動油圧ポンプの一対の吸入口が空気に曝されないように、リザーバタンクの上部に形成される開口部(これを通してタンク内部に作動油を注入可能であり、通気可能なキャップが脱着可能に組付けられる部分)の内径が小さくされている。また、リザーバタンクの底部に設けられている電動油圧ポンプの一対の吸入口には、フィルタがそれぞれ設けられている。
【特許文献1】特開2006−112361号公報
【発明の開示】
【0003】
上記した特許文献1に記載されているリザーバタンク構造では、リザーバタンクの上部に形成される開口部の内径が小さいため、これを通してタンク内部に作動油を注入する際の作業性が悪い。また、リザーバタンクの底部に設けられている電動油圧ポンプの一対の吸入口には、フィルタがそれぞれ設けられていて、そのフィルタの面積が小さいため、目詰まりが生じやすく、これに伴う不具合(吸入不良に伴う種々な不具合)が生じやすい。
【0004】
本発明は、上記した問題に対処すべくなされたものであり、車体に組付けられ所定量の作動油を内部に収容し上部に大気連通路が設けられているリザーバタンクと、操舵力に応じて作動し前記リザーバタンク内の作動油を吸入して吐出する可逆式の電動油圧ポンプと、この電動油圧ポンプの作動に応じて作動する制御弁と、この制御弁と前記電動油圧ポンプの協働作用により制御された作動油の供給・排出に応じて動作して操舵アシスト力を出力する油圧アクチュエータを備えていて、前記電動油圧ポンプの一対の吸入口が前記リザーバタンクの底部に設けられている車両用電動油圧パワーステアリング装置において、前記リザーバタンクが、タンク内部をそれぞれ上下に区画する二枚の仕切板を所望の間隔で備えていて、下方の仕切板には上下方向に貫通する連通孔が一端部に形成され、上方の仕切板には上下方向に貫通する連通孔が他端部に形成されていて、前記リザーバタンクが傾斜していない状態で少なくとも前記上方の仕切板は前記リザーバタンク内に収容した作動油の油面より上方に配置されていることに特徴がある。
【0005】
本発明による車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造においては、例えば、車体が一方に許容傾斜角以内で傾斜した場合(一端部を下方とするように傾斜した場合)、リザーバタンクも一方に傾斜するものの、上方の仕切板によって作動油がリザーバタンクの上部に向けて流動することが防止されるとともに、下方の仕切板より下方のリザーバタンク内での油面が高位置に維持される。また、例えば、車体が他方に許容傾斜角以内で傾斜した場合(他端部を下方とするように傾斜した場合)、リザーバタンクも他方に傾斜するものの、下方の仕切板によって作動油がリザーバタンクの上部に向けて流動することが防止されるとともに、下方の仕切板より下方のリザーバタンク内での油面が高位置に維持される。
【0006】
このため、本発明においては、リザーバタンクの上部に形成される開口部の内径が大きくても、リザーバタンク内の作動油がリザーバタンクの上部に設けた大気連通路を通してリザーバタンク外に漏れることを的確に防止することができるとともに、リザーバタンクの底部に設けられている電動油圧ポンプの吸入口が空気に曝されることを的確に防止することができて、電動油圧ポンプ、制御弁等を含む油圧回路内への空気の混入を的確に防止することができる。したがって、本発明においては、リザーバタンクの上部に形成される開口部を通してタンク内部に作動油を注入する際の作業性を良好とすることが可能であるとともに、電動油圧ポンプ、制御弁等を含む油圧回路内への空気混入による不具合を未然に防ぐことが可能である。
【0007】
また、本発明においては、リザーバタンク内での上方の仕切板と下方の仕切板の上下方向位置を油面との関係で適宜に設定する(上方の仕切板と下方の仕切板の上下方向位置をスペーサ等を用いて調整する)ことで、車体が一方または他方に傾斜する場合の上記した特性(作動油の漏れ防止性能、油圧回路内への空気の混入防止性能)を変更することが可能であるため、車体の許容傾斜角が異なる種々な車両に最適に実施できて、汎用性が高いものである。
【0008】
また、本発明に実施に際して、前記リザーバタンクには前記電動油圧ポンプがその一対の吸入口をタンク中央底部にて上方に向けて開口させた状態で収納されていて、この電動油圧ポンプと前記下方の仕切板間には、前記リザーバタンクの内部に収容した作動油中に収容されて前記両吸入口を周囲から包囲する支持体が介装されており、この支持体には前記両吸入口への異物混入を防ぐためのフィルタが組付けられるとともに、前記フィルタに向けて作動油を導く導通路が設けられていることも可能である。この場合には、両吸入口への異物混入を一つのフィルタで防ぐことができ、また、面積の大きなフィルタを配設することが可能であり、フィルタの目詰りを抑制することができるとともに、フィルタの脱着性を良好とすることが可能である。
【0009】
また、本発明に実施に際して、前記上方の仕切板の上方には、タンク内部を上下に区画する第3の仕切板が設けられていて、この第3の仕切板には上下方向に貫通する連通孔が一端部に形成されていることも可能である。この場合には、例えば、リザーバタンクが他方に傾斜した状態にて下方の仕切板に形成した連通孔を通して作動油がタンク上方(下方の仕切板と上方の仕切板間の空間部)に向けて漏れることがあって、同作動油が上方の仕切板に形成した連通孔を通してタンク上方に向けて流れることがあっても、その作動油は第3の仕切板によって更なるタンク上方への流動を的確に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は車両用電動油圧パワーステアリング装置の全体構成を示していて、この車両用電動油圧パワーステアリング装置は、車体に組付けられて所定量の作動油を内部に収容するリザーバタンク10と、このリザーバタンク10内の作動油を吸入して吐出する可逆式の電動油圧ポンプ20と、この電動油圧ポンプ20を含む油圧回路に介装されたフェールセーフバルブ30および背圧コントロールバルブ40と、これらのバルブ30,40と電動油圧ポンプ20の協働作用により制御された作動油の供給・排出に応じて動作して操舵アシスト力を出力する油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ50を備えている。
【0011】
電動油圧ポンプ20は、電気制御装置ECUにより作動を制御される電気モータMによって正逆回転駆動されるトロコイドポンプであり、図2に示したように、その一対の吸入口21,22をタンク中央底部にて上方に向けて開口させた状態でリザーバタンク10の底部に収納されている。なお、各吸入口21,22には、吸入チェック弁23,24がそれぞれ介装されている。
【0012】
この電動油圧ポンプ20では、トルクセンサSt(図1参照)によって検出される左方向の操舵トルクに応じて電気モータMが正回転すると、電動油圧ポンプ20から吐出される作動油が油路P1を通して油圧シリンダ50の油室R1に供給されるとともに、油圧シリンダ50の油室R2内にある作動油が油路P2を通して電動油圧ポンプ20またはリザーバタンク10に排出される。これにより、油圧シリンダ50は、左方向への操舵アシスト力を出力する。
【0013】
また、この電動油圧ポンプ20では、トルクセンサStによって検出される右方向の操舵トルクに応じて電気モータMが逆回転すると、電動油圧ポンプ20から吐出される作動油が油路P2を通して油圧シリンダ50の油室R2に供給されるとともに、油圧シリンダ50の油室R1内にある作動油が油路P1を通して電動油圧ポンプ20またはリザーバタンク10に排出される。これにより、油圧シリンダ50は、右方向への操舵アシスト力を出力する。
【0014】
フェールセーフバルブ30は、当該装置の正常時にマニュアルステアを不能とし、当該装置の異常時にマニュアルステアを可能とするものであり、図1に示したように、両油路P1、P2とリザーバタンク10を接続する接続油路P3に介装されていて、通電により閉弁され非通電により開弁されてリザーバタンク10への作動油の自由流れを許す常開の電磁切換弁31と、左右一対のチェック弁32,33によって構成されている。なお、電磁切換弁31の作動は、電気制御装置ECUによって制御されるように構成されている。
【0015】
背圧コントロールバルブ40は、リザーバタンク10と油圧シリンダ50の各油室R1、R2間の連通・遮断を制御するものであり、図1に示したように、両油路P1、P2とリザーバタンク10を接続する接続油路P4に介装されていて、左右一対の圧力制御弁41,42と、一つのチェック弁43によって構成されている。図示左方の圧力制御弁41は、図示右方の油路P1の油圧が所定の圧力に達すると、開作動してタンク側への自由流れを許すように設定されている。図示右方の圧力制御弁42は、図示左方の油路P2の油圧が所定の圧力に達すると、開作動してタンク側への自由流れを許すように設定されている。
【0016】
ところで、この実施形態においては、リザーバタンク10が、図2に示したように、タンク本体11とキャップ12を備えるとともに、タンク内部をそれぞれ上下に区画する二枚の仕切板13,14と、電動油圧ポンプ20の吸入部と下方の仕切板14間に介装されたスペーサ15と支持体16を備えている。
【0017】
タンク本体11は、上端に開口部11aを有していて、下端部にて電動油圧ポンプ20のハウジング29に液密的に組付けられており、内部には所要量の作動油(図2の二点鎖線で示した油面Lo参照)が収容されている。なお、タンク本体11は、外部から内部の油面高さを透視で視認可能な樹脂素材で形成されている。
【0018】
キャップ12は、タンク本体11の上端部外周に形成したねじ部11bに脱着可能に組付けられていて、タンク本体11との間にはタンク内部とタンク外部間での空気流通を常に許容する大気連通路Apが形成されている。これにより、リザーバタンク10内の作動油には常に大気圧が付与されるようになっている。
【0019】
上方の仕切板13は、下方の仕切板14の上に重なるようにしてタンク本体11内にシールリングO1を介して液密的に組付けられており、図示左方の端部には上下方向に貫通する連通孔13aが形成されている。下方の仕切板14は、上方の仕切板13とスペーサ15間にてタンク本体11内にシールリングO2を介して液密的に組付けられており、図示右方の端部には上下方向に貫通する連通孔14aが形成されている。なお、両仕切板13,14は、リザーバタンク10が傾斜していない状態(水平線に対して直角な垂直線に対し傾斜していない図2の状態)でリザーバタンク10内に収容した作動油の油面Loより上方に配置されている。
【0020】
スペーサ15は、筒状に形成されていて、下方の仕切板14と支持体16間にてタンク本体11内に組付けられており、外部から内部の油面高さを透視で視認可能な樹脂素材で形成されている。支持体16は、筒状に形成されていて、タンク本体11内にてスペーサ15と電動油圧ポンプ20の吸入部間に介装されており、電動油圧ポンプ20の吸入部との間にはシールリングO3が介装されている。
【0021】
この支持体16は、タンク内部に収容した作動油中に収容されていて、電動油圧ポンプ20の両吸入口21,22を周囲から包囲しており、内部には電動油圧ポンプ20の吸入口21,22への異物混入を防ぐためのフィルタ17が組付けられている。また、支持体16の上端部には切欠16aが形成され、この切欠16aによってフィルタ17に向けて作動油を導く導通路が形成されている。なお、当該装置の正常時には、背圧コントロールバルブ40を通して排出される作動油が切欠16aを通してフィルタ17に向けて導かれる。
【0022】
上記のように構成したこの実施形態のリザーバタンク構造においては、例えば、車体が図2の右方に許容傾斜角θR以内で傾斜した場合(右端部を下方とするように傾斜した場合)、図3に示したように、リザーバタンク10も垂直線に対して傾斜角θで右方に傾斜するものの、上方の仕切板13によって作動油がリザーバタンク10の上部に向けて流動することが防止されるとともに、下方の仕切板14より下方のリザーバタンク10内での油面が高位置に維持される。
【0023】
また、例えば、車体が図2の左方に許容傾斜角θL以内で傾斜した場合(左端部を下方とするように傾斜した場合)、図4に示したように、リザーバタンク10も垂直線に対して傾斜角θで左方に傾斜するものの、下方の仕切板14によって作動油がリザーバタンク10の上部に向けて流動することが防止されるとともに、下方の仕切板14より下方のリザーバタンク10内での油面が高位置に維持される。
【0024】
このため、タンク本体11の上端に形成されている開口部11aの内径が図2に示したように大きくても、リザーバタンク10内の作動油がリザーバタンク10の上部に設けた大気連通路Apを通してリザーバタンク10外に漏れることを的確に防止することができるとともに、リザーバタンク10の底部に設けられている電動油圧ポンプ20の両吸入口21,22が空気に曝されることを的確に防止することができて、電動油圧ポンプ20、フェールセーフバルブ30および背圧コントロールバルブ40等を含む油圧回路内への空気の混入を的確に防止することができる。したがって、リザーバタンク10の上部に形成される開口部11aを通してタンク内部に作動油を注入する際の作業性を良好とすることが可能であるとともに、電動油圧ポンプ20、両バルブ30,40等を含む油圧回路内への空気混入による不具合を未然に防ぐことが可能である。
【0025】
また、この実施形態においては、リザーバタンク10内での上方の仕切板13と下方の仕切板14の上下方向位置を油面との関係で適宜に設定する(上方の仕切板13と下方の仕切板14の上下方向位置をスペーサ等を用いて調整する)ことで、車体が右方または左方に傾斜する場合の上記した特性(作動油の漏れ防止性能、油圧回路内への空気の混入防止性能)を変更することが可能であるため、車体の許容傾斜角が異なる種々な車両に最適に実施できて、汎用性が高いものである。
【0026】
また、この実施形態のリザーバタンク10には、電動油圧ポンプ20がその一対の吸入口21,22をタンク中央底部にて上方に向けて開口させた状態で収納されていて、この電動油圧ポンプ20と下方の仕切板14間には、リザーバタンク10の内部に収容した作動油中に収容されて両吸入口21,22を周囲から包囲する支持体16が介装されており、この支持体16には両吸入口21,22への異物混入を防ぐためのフィルタ17が組付けられるとともに、フィルタ17に向けて作動油を導く導通路(切欠16a)が設けられている。このため、両吸入口21,22への異物混入を一つのフィルタ17で防ぐことができ、また、各吸入口21,22の開口面積に比して面積の大きなフィルタ17を配設することが可能であり、フィルタ17の目詰りを抑制することができるとともに、フィルタ17の脱着性を良好とすることが可能である。
【0027】
上記実施形態においては、リザーバタンク10における両仕切板13,14が、リザーバタンク10が傾斜していない状態(図2の状態)でリザーバタンク10内に収容した作動油の油面Loより上方に配置されるように構成して本発明を実施したが、本発明の実施に際しては、少なくとも上方の仕切板13が、リザーバタンク10が傾斜していない状態でリザーバタンク10内に収容した作動油の油面Loより上方に配置されるように構成すればよく、下方の仕切板14はリザーバタンク10が傾斜していない状態でリザーバタンク10内に収容した作動油の油面Loより下方に配置されるように構成して実施することも可能である。
【0028】
また、上記実施形態においては、リザーバタンク10内に二枚の仕切板13,14を所望の間隔で設けて実施したが、図5に示したように、上方の仕切板13の上方にタンク内部を上下に区画する第3の仕切板19を設けて実施することも可能である。第3の仕切板19は、上方の仕切板13の上に重なるようにしてタンク本体11内にシールリングO4を介して液密的に組付けられており、図示右方の端部には上下方向に貫通する連通孔19aが形成されている。
【0029】
図5に示した実施形態においては、例えば、リザーバタンク10が左方に傾斜した状態(図4の状態参照)にて下方の仕切板14に形成した連通孔14aを通して作動油がタンク上方(下方の仕切板14と上方の仕切板13間の空間部)に向けて漏れることがあって、同作動油が上方の仕切板13に形成した連通孔13aを通してタンク上方に向けて流れることがあっても、その作動油は第3の仕切板19によって更なるタンク上方への流動を的確に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施したリザーバタンクを含む車両用電動油圧パワーステアリング装置の全体構成を概略的に示した図である。
【図2】図1に示したリザーバタンク、電動油圧ポンプ、電気モータ等の要部縦断拡大断面図である。
【図3】図2に示したリザーバタンク、電動油圧ポンプ、電気モータ等が右方に傾斜して状態の作動説明図である。
【図4】図2に示したリザーバタンク、電動油圧ポンプ、電気モータ等が左方に傾斜して状態の作動説明図である。
【図5】本発明の変形実施形態を示した図2相当の要部縦断拡大断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10…リザーバタンク、11…タンク本体、11a…開口部、12…キャップ、13…上方の仕切板、13a…上方の仕切板に設けた連通孔、14…下方の仕切板、14a…下方の仕切板に設けた連通孔、15…スペーサ、16…支持体、16a…切欠(導通路)、17…フィルタ、20…電動油圧ポンプ、21,22…吸入口、30…フェールセーフバルブ、40…背圧コントロールバルブ、50…油圧シリンダ、Ap…大気連通路、Lo…作動油の油面、M…電気モータ、ECU…電気制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に組付けられ所定量の作動油を内部に収容し上部に大気連通路が設けられているリザーバタンクと、操舵力に応じて作動し前記リザーバタンク内の作動油を吸入して吐出する可逆式の電動油圧ポンプと、この電動油圧ポンプの作動に応じて作動する制御弁と、この制御弁と前記電動油圧ポンプの協働作用により制御された作動油の供給・排出に応じて動作して操舵アシスト力を出力する油圧アクチュエータを備えていて、前記電動油圧ポンプの一対の吸入口が前記リザーバタンクの底部に設けられている車両用電動油圧パワーステアリング装置において、
前記リザーバタンクが、タンク内部をそれぞれ上下に区画する二枚の仕切板を所望の間隔で備えていて、下方の仕切板には上下方向に貫通する連通孔が一端部に形成され、上方の仕切板には上下方向に貫通する連通孔が他端部に形成されていて、前記リザーバタンクが傾斜していない状態で少なくとも前記上方の仕切板は前記リザーバタンク内に収容した作動油の油面より上方に配置されていることを特徴とする車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造において、前記リザーバタンクには前記電動油圧ポンプがその一対の吸入口をタンク中央底部にて上方に向けて開口させた状態で収納されていて、この電動油圧ポンプと前記下方の仕切板間には、前記リザーバタンクの内部に収容した作動油中に収容されて前記両吸入口を周囲から包囲する支持体が介装されており、この支持体には前記両吸入口への異物混入を防ぐためのフィルタが組付けられるとともに、前記フィルタに向けて作動油を導く導通路が設けられていることを特徴とする車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造において、前記上方の仕切板の上方には、タンク内部を上下に区画する第3の仕切板が設けられていて、この第3の仕切板には上下方向に貫通する連通孔が一端部に形成されていることを特徴とする車両用電動油圧パワーステアリング装置のリザーバタンク構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−230332(P2008−230332A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70353(P2007−70353)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】