車両用電源装置
【課題】
発熱を伴う複数のエネルギー蓄積ユニットを含み、経済的且つ安定的に動作する車両用電源装置を提供する。
【解決手段】
車両用電源装置(10)は、発熱を伴う複数のウルトラキャパシタ等のエネルギー蓄積ユニット(20)を収容する熱伝導性材料製のトレイ(34)を備えている。このトレイ(34)は、各々少なくとも1個のエネルギー蓄積ユニット(20)を収容する少なくとも1個のリセプタクル又はハウジング(44)を備え、熱伝導性接着剤又は熱伝導性樹脂製の熱伝導性層(54)が、エネルギー蓄積ユニット(20)及び関連するリセプタクル(44)間に介挿され、エネルギー蓄積ユニット(20)から発生する熱を伝導して放熱するようになっている。
発熱を伴う複数のエネルギー蓄積ユニットを含み、経済的且つ安定的に動作する車両用電源装置を提供する。
【解決手段】
車両用電源装置(10)は、発熱を伴う複数のウルトラキャパシタ等のエネルギー蓄積ユニット(20)を収容する熱伝導性材料製のトレイ(34)を備えている。このトレイ(34)は、各々少なくとも1個のエネルギー蓄積ユニット(20)を収容する少なくとも1個のリセプタクル又はハウジング(44)を備え、熱伝導性接着剤又は熱伝導性樹脂製の熱伝導性層(54)が、エネルギー蓄積ユニット(20)及び関連するリセプタクル(44)間に介挿され、エネルギー蓄積ユニット(20)から発生する熱を伝導して放熱するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、特に、少なくとも1個の電気エネルギー蓄積ユニットを受ける少なくとも1個のリセプタクルを有するトレイを備え、かつ発熱を伴う大容量の少なくとも1個の電気エネルギー蓄積ユニットを少なくとも1個備える車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用電源装置(以下、単に電源装置という)としては、極めて多くのものが知られている。
【0003】
この電源装置は、例えば電動及び/又はハイブリッドタイプの車両の電動機への電源供給に使用される。ここで、ハイブリッドタイプの車両は、電動機及び従来の熱エンジンを併合し、運動エネルギーを回収して、車両バッテリを再充電し、搭載ネットワークに電力を供給するものである。この機能は、一般に電力回収制動と呼ばれ、例えば金属水素化物バッテリが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の如き従来の電源装置には、次に述べるような、多くの解決するべき課題を有する。
【0005】
即ち、エネルギー蓄積ユニットは、多数回の充電放電を繰り返す。例えば、モータの始動時には、大きな放電が行われる。また、例えば電力回収制動期間中に、蓄積ユニットには極めて高い充電が行われる。
【0006】
放電動作時に、電流が開放されるか、又は充電動作時に充電されると、超大容量の蓄積ユニットは、従来のバッテリよりも大きく発熱する。この発熱量は、充放電中に循環する電流の大きさに比例する。
【0007】
更に、この充放電サイクルは、極めて早いペースで継続され、特に、車両が市内を走行時であって、ドライバが車両を高い頻度で停止及び再始動されるときに顕著である。
【0008】
しかし、蓄積ユニットが効率的に電流を蓄積するためには、蓄積ユニットを最高動作温度以下に維持する必要がある。
【0009】
充放電サイクルを迅速に反復すると、蓄積ユニットの温度は、最高動作温度を超えて、極めて急速に上昇する。蓄積ユニットは、閉鎖状態のトレイに収容されているので、その温度上昇はきわめて速くなる。
【0010】
さらに、各蓄積ユニットの寿命は、ユニットが晒される温度変化に依存する。従って、各蓄積ユニットの配置により、1つの蓄積ユニットが、他の蓄積ユニットよりも激しい温度変化に晒されることはよくある。従って、この1つの蓄積ユニットの使用寿命は、他の蓄積ユニットよりも短くなる。
【0011】
1個の蓄積ユニットに欠陥があると、他の蓄積ユニットがまだ使用可能であっても、全ての蓄積ユニットを一度に交換するのが最も簡単である。そのため、不必要な経費を生じることとなる。
【0012】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、本発明の主な目的は、上記の欠点を解消又は軽減し、使用寿命が長く、運転コストが低い電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明の電源装置は、次の如き特徴的な構成を採用している。
本発明の電源装置は、先ずトレイを熱伝導性材料で形成して、蓄積ユニットが放出する熱を、リセプタクルの壁の内面から外面へ伝導させ、次に、トレイを、それぞれが少なくとも1個の蓄積ユニットを収容し、かつ熱伝導性の材料で形成された複数のリセプタクルに分割し、かつ熱伝導性の接着剤又は熱伝導性の樹脂で形成された伝導層を、蓄積ユニット及び関連するリセプタクルの壁の内面間に遊びなく設け、蓄積ユニットの発熱が、リセプタクルの壁の内面へ直接伝導されるようになっていることを特徴とする。
【0014】
本発明の電源装置の他の特徴として、次の何れか、又は組み合わせを備えている。
−上述した熱伝導性の接着剤又は樹脂は電気的に絶縁性である。
−熱伝導性樹脂は、蓄積ユニット及びリセプタクルの壁の間に注入される。
−熱伝導性樹脂は、注入後に硬化されて、蓄積ユニットをリセプタクル内に固定する。
−硬化された熱伝導性樹脂は、弾性変形可能である。
−硬化された熱伝導性樹脂は可撓性を有する。
−硬化された熱伝導性樹脂は接着性を有する。
−リセプタクルは隔壁である。
−各リセプタクルは、その外面がトレイの外面を形成するように、個別の壁を有する。
−リセプタクルの外面は、非平坦である。
−リセプタクルはブラインドであり、電気エネルギー蓄積ユニットが、ブラインドリセプタクルのベースに熱伝導性の接着剤により固定されている。
−この接着剤は、電気的に絶縁性である。
−リセプタクルは垂直を向き、かつ熱伝導性樹脂は、リセプタクルに沿って垂直高さの80%未満まで延びている。
−リセプタクルは、長手方向又は横向きであり、かつ熱伝導性樹脂は、リセプタクルに沿って垂直高さの80%未満まで延びている。
−熱伝導性樹脂は、リセプタクル全体の垂直高さの50%まで延びている。
−熱伝導性樹脂又は接着剤の厚さは、2mm以下である。
−熱伝導性樹脂又は接着剤の厚さは、全体的に1mmである。
−リセプタクルは、細長い形状の共通リセプタクル内に隣接して、1対の電気エネルギー蓄積ユニットを受けるリセプタクルである。
−共通のリセプタクルは、全体的に「8」字状である。
−各リセプタクルは、全体的に「8」字の半分の形状である。
−リセプタクルは、横向き及び/又は長手向きであり、かつエネルギー蓄積ユニット及びトレイのキャップをなすカバーにより閉鎖したトレイに属している。
−トレイは金属製である。
【発明の効果】
【0015】
上述の如き特徴的な構成を採用する本発明の電源装置によると、次の如き効果が奏せられる。先ず、トレイ内に収容される複数のエネルギー蓄積ユニットの温度を均一にすると共に、良好な放熱が行われる。
【0016】
熱伝導性樹脂又は熱伝導性接着剤は、同時に温度変化を伴うことなく、状態変化(固体−液体)を生じるパラフィンの如き熱規制材料とは異なり、状態変化を生じない。
【0017】
一般に熱規制材料であるパラフィンは、熱を蓄積し、かつ僅かに変化する温度以上に過熱するのを抑えるために使用される。
【0018】
本発明で使用される熱伝導性樹脂、又は接着剤、及び熱伝導性トレイは、広範囲に変化する温度の過熱を抑制するために使用される。本発明の解決手段によると、良好な放熱が可能になると共に、高い信頼性が得られる。
【0019】
さらに、パラフィンは、状態変化時に液化するので、エネルギー蓄積ユニット及び/又はリセプタクル間に、特許文献1に開示されているような、特別の弾性カラー等を設ける必要がある。しかし、本発明によると、熱伝導性樹脂又は接着剤は、状態変化することなく、固体のままであり、かつエネルギー蓄積ユニットの固定に使用しているので、上述の如きスペーサを使用する必要はない。
【0020】
従って、本発明の電源装置によると、使用する部品点数を減らし、構成を簡単且つ経済的(即ち、安価)にすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】フランス国特許第2883670号公報
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による電源装置の好適な実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電源装置に使用されるトレイ、及びこのトレイに収容される複数のエネルギー蓄積ユニットの分解斜視図である。
【図3】図2のトレイ内に収容された複数のエネルギー蓄積ユニットの平面図である。
【図4】図3中の線4−4におけるトレイ及びエネルギー蓄積ユニットの断面図である。
【図5】図3中の線5−5におけるトレイ及びエネルギー蓄積ユニットの断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態による電源装置用トレイの図4と同様の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による電源装置用トレイの図5と同様の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による電源装置用トレイの平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による電源装置用ハウジングの分解斜視図である。
【図10】図9に示すハウジングの横断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態による電源装置用ハウジングの外観を示す斜視図である。
【図12】図11に示すハウジングの分解斜視図である。
【図13】図12の電気エネルギー蓄積ユニット用サポートトレイの正面図である。
【図14】本発明の第6実施形態による電源装置用ハウジングの断面図である。
【図15】本発明の第7実施形態による電源装置の正面図である。
【図16】図15に示す電源装置の第1変形例の正面図である。
【図17】図15に示す電源装置の第2変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による電源装置の好適な実施の形態の構成及び動作を、添付図面を参照して詳述する。尚、図中において、記号L、V及びTは、それぞれ長手、垂直及び横方向を示すものとする。また、図中において、対応する構成要素には、説明の便宜上、同じ符号を付してある。
【0024】
図1は、本発明により製造された車両用電源装置(又は電源装置)10のアセンブリを示す。
【0025】
図1において、電源装置10は、少なくとも1個の回転電動機12を、車両の少なくとも1個のバッテリ16に接続するよう設計されている。電動機12にはセンサ14が設けられ、例えば熱エンジンを起動させ、車両の少なくとも1個の車輪を駆動する電気モータとして機能させるか、及び/又は例えば制動期間に車両の運動エネルギーを回収する発電機として機能させる。この回転電動機12は、発電機(又はオルタネータ)−始動機(又はスタータ)と称され、リバーシブルである。この電動機12は、以下の本発明の説明における例示であり、何ら本発明を限定するものではない。
【0026】
発電機−始動機は、リバーシブルであり、発電機モードで動作中には、機械エネルギーを電気エネルギーに変換して、少なくとも1個のバッテリを充電し、及び/又は少なくとも1個の車両搭載ネットワークの消費者に供給可能である。次に、始動モードと称される電気モータモードで動作中には、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、車両の内燃エンジン又は熱エンジンを始動させ、かつ本発明の実施例によると、熱エンジンの失速(又は停止)を防止するか、又は車両の少なくとも1個の車輪を駆動する。
【0027】
この発電機−始動機は、複数のブランチを備えるインバータに属する電流整流手段を備えている。この整流手段は、インバータのブランチにフィットされ、例えばMOSFETタイプの複数のトランジスタによりなり、例えばフランス特許公開第2745444号及び同2745445号などに開示されている電子指令及び制御ユニットにより制御される。
【0028】
この電子指令及び制御ユニットは、センサ14から受け取った回転機の回転子の角度位置等の信号を受けるもので、パワー素子である所謂ドライバを備え、MOSFETタイプのトランジスタを制御するようになっている。本発明の一実施形態によると、ドライバは、インバータのMOSFETタイプのトランジスタで構成されたパワーステージに属し、発電機モードでは、所謂AC/DCリバーシブル交流−直流変換器を構成している。電動機モードでは、インバータのMOSFETトランジスタは、1−0ベースで制御され、回転機の固定子の巻線に全波で指令するか、又は可変パルス幅の指令、即ちPWM(パルス幅変調)と称されるチョッパ技術の指令による変数で制御される。
【0029】
この制御素子は、低パワーの制御ステージに属している。
【0030】
本発明の一実施形態によると、パワーステージは、MOSFETタイプのトランジスタ及びドライバの如きパワー素子を備えるパワーボード(即ち、電力基板)よりなっている。他方、制御ステージは、制御素子が搭載された制御ボードにより構成されている。
【0031】
上述した特許文献(公報)において、発電機−始動機は、多相(ポリフェーズ)である。一実施形態では、国際特許公開公報WO−A−02/08334号及び同03/088471号に開示されているように、この発電機−始動機は、車両用であって、少なくとも2個の電気エネルギー蓄積ユニットを備えている。これらエネルギー蓄積ユニットの1つはバッテリであり、他方はスーパーキャパシタ、即ちウルトラキャパシタと呼ばれている大容量のコンデンサである。
【0032】
上述した国際特許公開公報の前者において、電源装置は、電気回転機を異なる電圧の基板搭載ネットワークに属する2個のバッテリに接続している。
【0033】
この場合に、ウルトラキャパシタは、後述する複数のウルトラキャパシタ一次エネルギー蓄積ユニットにより構成されている。(電気モータモードで動作する)始動モードにおいて、この装置は、発電機−始動機に発電機モードにおける電圧よりも高い電圧を供給する。
【0034】
このタイプの構成により、制動中にエネルギーを回収することが可能であり、かつ2個の配電ネットワーク、少なくとも1個のスイッチ、又は2個のスイッチ付き回路、及びDC/DCコンバータと呼ばれている直流−直流コンバータを備え、電圧変換を可能にし、2つの異なる電圧で動作する。
【0035】
インバータは、電流変換器であるとの知識のもとに、上述した文献を参照して更に詳述する。
【0036】
この構成では、バッテリと電気的に接続された、簡単な発電機の如き電気回転機を使用していることは明らかである。
【0037】
本発明の一実施形態によると、この発電機は、接地された第1端子、及び回路に接続された第2端子間に並列接続されるように設計され、一実施形態では、例えば12ボルトの2個のバッテリを直列に接続可能にし、始動時には、始動機に24ボルトを供給し、車両の始動後には、これら2個のバッテリを並列接続する。
【0038】
従って、この電源装置10は、少なくとも1個の電子コンバータ18、22、及びウルトラキャパシタを有する1個の電気エネルギー蓄積ユニット20を備えている。この装置は、2個のネットワークを備え、その一方は、パワー専用で(エネルギー蓄積ユニット20は直列)、かつエネルギー回収用であり、他方は、エネルギー専用であり、特に基板に搭載された車両ネットワークに接続されたバッテリ16を再充電するか、及び/又は基板搭載されたネットワークに供給する。
【0039】
本発明を限定するものではないが、第1実施形態によると、電源装置10は、DC−DCコンバータ又は直流−直流変換器22を備えている。
【0040】
同様に、本発明の第2実施形態によると、電源装置10は、インバータ18を備えている。このインバータ18は、リバーシブルDC−ACコンバータである。これは、マシンが発電機モードのとき、AC−DCコンバータ(整流ブリッジと呼ばれる場合もある)として動作し、マシンが電気モータモードのときDC−ACコンバータとして動作する。
【0041】
また、本発明の第3実施形態によると、電源装置10は、インバータ18及びDC−DCコンバータ22を備えている。
【0042】
図1に示す本発明の第4実施形態によると、電源装置10は、3個の電子コンバータ、即ちインバータ18、DC−DCコンバータ22、更にバスバー(図示せず)の如きパワーコネクションにより相互に接続された2位置スイッチ30、又は2個のスイッチ30を備えている。
【0043】
上述の構成により、インバータ18は、発電機モードでは、いわゆるAC−DCリバーシブル交流/直流変換器であるか、或いは電気モータモードでは所謂DC−AC直流/交流変換器である。
【0044】
直流/交流変換器22は、エネルギー蓄積ユニット20側の電圧を変換することが可能であり、ある例では6ボルト〜35ボルトの範囲にある電圧を、バッテリ16に適合する電圧に変換する。バッテリ16は、基板に搭載されたネットワークに、例えば約12ボルトの電圧を供給する。
【0045】
2位置スイッチ30又は2個のスイッチ30は、電気マシン12の動作モードの決定を可能にする。
【0046】
具体例では、発電機モードは、2つのフェーズ、即ちいわゆる発電機フェーズ、及びいわゆるエネルギー回収フェーズを備えている。他方、電動機モードは、始動及びダイナミック支援フェーズを備えている。
【0047】
2位置スイッチによるマシン12の動作モードは、次のとおりである。
‐スイッチは、モータモード及びエネルギー回収フェーズで、インバータ18及びエネルギー蓄積ユニット20を接続する。
‐スイッチは、発電機フェーズで、インバータ18及びバッテリ16を接続する。
【0048】
他の実施形態では、スイッチがないことに留意されたい。そのため、電源装置10は、ケーブル24で電気マシン12に接続され、ケーブル26でバッテリ16に接続され、ケーブル28で車両の電源ネットワークに接続されている。
【0049】
電源装置10は、電気マシン12により、車両の運動エネルギーを回収可能にする。「14+X」アーキテクチャの名称で、この機構の詳細が知られている。
【0050】
図1に示すように、電源装置10は、単一のハウジング32を備え、このハウジング内に、電子コンバータ18、22及び電気エネルギー蓄積ユニット20が収容され、これらの構成要素間の接続長は短縮されて、接続インダクタンスの影響を抑制している。
【0051】
更に、フランス特許第2883670号公報の例、及び特にその図5を参照して詳述する。図5は、エネルギー蓄積ユニットを受け、電子コンバータを収容する下トレイ、及び下トレイのカバーをなす上部の斜視図を示している。変形例として、電子コンバータをオフセットし、上部を簡単にすることもある。第1実施形態によると、この上部は、上述したフランス特許の図5に示す如く複数のフィンを有するプレートである。一般に、図2〜図5に示すように、本発明の電源装置のハウジング32の下部は、1個又は複数個の電気エネルギー蓄積ユニット20を受けるトレイ34を形成している。
【0052】
図2〜図5に示す例においては、トレイ34は、直列接続された12個のエネルギー蓄積ユニット20を備えている。
【0053】
エネルギー蓄積ユニット20は、この例ではウルトラキャパシタであり、「スーパーキャパシタ」とも呼ばれている。このウルトラキャパシタは、例えば国際特許文献WO02/080334号に説明されているように、従来のバッテリよりも迅速に、放電及び再充電が可能である。変形例として、これらのエネルギー蓄積ユニット20の少なくとも幾つかを、ウルトラキャパシタと同じ寸法形状のバッテリとすることができる。
【0054】
複数のエネルギー蓄積ユニット20は、同じ外観(即ち、寸法形状)を有する。各ユニット20は、垂直軸を有する円筒状である。各ユニット20のご外周は、筒状の外表面36であり、上端面38及び下端面40は円形である。各ユニット20は、2個の接続端子42を有する。各端子42は、それぞれ、端面38及び40から垂直方向に突出している。
【0055】
一方、トレイ34は、全体的に平行なパイプ状であり、全体的に矩形断面を有する。このトレイ34は、上面は後述する如く開口し、下面は、平坦な水平底壁48で閉じられている。
【0056】
このトレイ34は、エネルギー蓄積ユニット20の形状にマッチする波状の垂直面51を有する。この垂直面51は、トレイ34の基部となる平坦な水平底壁48に対して垂直である。
【0057】
本発明の一実施形態によると、底壁48は、突出する開口ラグ又は鳩目(図示せず)を備え、トレイ34を、ラグ又は鳩目の開口へ貫通したねじ、リベット、又はボルト等の固定手段により、車両のボディ等の冷たい部分である固定部に固定することができる。
【0058】
この場合、ハウジング32の上部は、エネルギー蓄積ユニット20が見えるようにするために、図示していない。この上部は、トレイ34の上面を閉じるためのカバーである。
【0059】
トレイ34は、少なくとも1個のリセプタクル44を備え、これに、少なくとも1個のウルトラキャパシタであるエネルギー蓄積ユニット20が受容される。図2に示す例では、トレイ34は、同じ寸法の6個のリセプタクル44に分割されており、各リセプタクル44は、1対のウルトラキャパシタエネルギー蓄積ユニット20を受け入れている。各対の2個のエネルギー蓄積ユニット20は、長手方向に隣接し、かつ本発明の1つの特徴として、リセプタクル44内で共通の垂直向きに受容されている。これらのリセプタクル44は、細長い形状を有する。
【0060】
各対のエネルギー蓄積ユニット20の下端面40の端子42は、図5に示す如く銅等の導電性材料製のバー45により、電気的に共通接続されている。また、図示しないバーが、上面の端子42を接続している。
【0061】
上述したバーは、複数のエネルギー蓄積ユニット20を直列接続するよう構成され、入力端子及び出力端子を有する。入出力端子の位置は、アプリケーションに依存する。
【0062】
各リセプタクル44は、上面に開口50を有し、この開口50から、1対のエネルギー蓄積ユニット20を、閉じたベースに向けて垂直方向へ移動させることにより、挿入できる。各リセプタクル44は、平坦な水平底壁48により形成される水平のベースにより、その底面が閉鎖されている。
【0063】
図3に示す如く、各リセプタクル44の水平断面は、全体的に略「8」の字状をなしている。
【0064】
更に詳述すると、隣接する1対のエネルギー蓄積ユニット20の各リセプタクル44は、細長い底面46を有する横壁43により区画されており、全体的に略「8」の字状である。図2及び図3に示すように、この底面46は、相互に反対の平坦面を有する2個の中央部により相互接続された2個の円形部を有する。これらの中央部は、図3に示すように、180°以上延びる円形部の端部にそれぞれ接続されている。
【0065】
中央部の平坦面は、全体的に略矩形状であり、図2に示す如く、垂直方向の寸法はその長手寸法よりも大きい。従って、各リセプタクル44は、対向する中央部の平坦面のレベルで狭くなっている。
【0066】
円形部は、それぞれエネルギー蓄積ユニット20を受容できるような寸法を有する。この寸法は、エネルギー蓄積ユニット20の外面36の寸法により決まる。
【0067】
従って、図3から理解しうるように、細長い形状の各リセプタクル44は、各エネルギー蓄積ユニットの略2倍の長手方向の寸法を有し、かつエネルギー蓄積ユニット20とほぼ等しい横幅を有する。
【0068】
図4から明らかなように、各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36は、関連するリセプタクル44の横内面46の付近に少なくとも部分的に配置され、横方向の遊び「j」を有する。
【0069】
横壁43は、垂直外表面51により外部を部分的に制限し、かつ後述するように、隣接する2個のリセプタクル間にある材料により部分的に制限している。各横壁43の厚さは、各リセプタクル44につきほぼ同じである。横壁43の厚さは、表面51のレベルでは比較的小さく、トレイ34の内外面間の熱交換を助けている。
【0070】
また、横壁43の厚さは、図3に示すように、隣接する2個のリセプタクル44間で大きい。
【0071】
説明及び図面から明らかなように、各リセプタクル44は、ブラインド形状であり、上面に開口50を有し、上から下向きに移動させることにより、エネルギー蓄積ユニット20を挿入いうるようになっている。
【0072】
リセプタクル44は、横3列に配列され、各列には4個のエネルギー蓄積ユニット20が設けられている。この配列は、コンパクトであり、トレイは車両バッテリと類似の寸法形状を有する。
【0073】
リセプタクル44は隔壁により分割され、横壁43の少なくとも一部は、隣接する2個のリセプタクル44の共通隔壁又はパーティションを形成している。従って、図5に示すように、1つのリセプタクル44Aの外面52Aの一部は、隣接するリセプタクル44Bの内面46Bを形成している。
【0074】
横壁43の共通隔壁となっていない外表面は、トレイ34の外表面51を形成している。
【0075】
図3及び図5に示す如く、対をなす2個のエネルギー蓄積ユニット20は、垂直の接線と接触している。従って、各リセプタクル44内において、各対のエネルギー蓄積ユニット20の筒状面36の2つの反対部間には、接線の両側において、長手方向の遊びがある。この接線により、1つの対のエネルギー蓄積ユニット20の温度を一層均一にすることが可能である。
【0076】
変形例として、上述した接線をなくし、若干の遊びが生じるようにしてもよい。
【0077】
充放電動作中に、各エネルギー蓄積ユニット20は、その上面38、底面40並びにその筒状面36から強い熱流を放出する。
【0078】
各エネルギー蓄積ユニット20により生じた熱を迅速に放熱するとともに、トレイ34内の各エネルギー蓄積ユニット20の加熱を均一にするために、本発明の電源装置の特徴の1つとして、トレイ34を熱導電性材料により形成し、各エネルギー蓄積ユニット20の発熱を、関連するリセプタクル44の横壁43の内面46から外面へ、可能な限り迅速に伝導させるようにしている。
【0079】
本発明の一実施形態によると、トレイ34は、単一の熱伝導性材料により一体的に形成されている。一実施形態によると、この材料は成型可能な材料であり、トレイ34は成型により一体形成される。
【0080】
また、本発明の一実施形態によると、トレイ34は金属製である。この例においては、トレイ34はアルミニウム製であり、軽量化させるとともに、鋳造により一体加工されている。
【0081】
変形例として、トレイ34をマグネシウムをベースとして形成することもある。例えば、マグネシウムとアルミニウムの合金で製造することもある。
【0082】
図4及び図5に示す如く、関連するリセプタクル44内に、垂直方向に各エネルギー蓄積ユニット20を挿入可能にするため、及び/又はトレイ34の製造上の固有の制約のために、各リセプタクル44の内面46は、垂直方向に対して隙間角度「α」を有し、内面46は、リセプタクル44のベース(又は基部)48に向けて収斂している。この隙間角度により、トレイ34の鋳造による一体成型が可能となる。
【0083】
従って、各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に、横方向の遊び「j」が形成される。各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に沈滞する空気層は、断熱体として作用する。
【0084】
この問題を解決するために、熱伝導特性を有する物質製の(熱)伝導層54が、エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に、迅速かつ遊びなく挿入される。
【0085】
従って、伝導層54は、対をなすエネルギー蓄積ユニット20間に存在する長手方向の遊び53を効果的に充填する。本発明の一実施形態においては、この伝導層54は、電気絶縁性である。
【0086】
本発明の1つの特徴によると、エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に遊びなく迅速に挿入された熱伝導層54は、熱伝導性樹脂又は熱伝導性接着剤である。
【0087】
本発明の一実施形態によると、この熱伝導性接着剤又は熱伝導性樹脂は、電気絶縁性である。
【0088】
この熱伝導性樹脂は、当初液状又は粘性体である。それを、各エネルギー蓄積ユニット20及び関連するリセプタクル44の内面46間に注入すると、エネルギー蓄積ユニット20の配列後に、リセプタクル44を充填する。これにより、熱伝導性樹脂は、2個のエネルギー蓄積ユニット20間に設けられ、対をなす隣接する2個のエネルギー蓄積ユニット20を同じ温度状態とする。
【0089】
この熱伝導性樹脂は、注入後に硬化して熱伝導層54を形成し、エネルギー蓄積ユニット20をリセプタクル44内で横方向、即ち長手方向及び横方向に固定すると有利である。本発明の一実施形態によると、硬化された熱伝導層54は、弾性的に変形可能であり、衝撃を吸収する。
【0090】
すなわち、この熱伝導性樹脂は可撓性を有し、エネルギー蓄積ユニット20の固定にも使用しうる。
【0091】
上述した熱伝導性樹脂の注入操作を可能にするために、エネルギー蓄積ユニット20は、関連するリセプタクル44のベースに、接着剤層56により接着固定可能である。もし、エネルギー蓄積ユニット20が固定されていないと、図5に示す関連するバー45上で不安定になる。
【0092】
上述した熱導電性接着剤56の形成に使用される接着剤は、電気的絶縁体であるのが好ましい。
【0093】
また、上述した接着剤56の層は、熱伝導特性を有する材料で形成するのが効果的である。
【0094】
組立中に、熱伝導性接着剤56による熱伝導性層54は、先ず各リセプタクル44のベース48に付着する。次に、1対のエネルギー蓄積ユニット20を、関連するリセプタクル44内にその開口50から垂直方向に挿入する。
【0095】
次に、熱伝導性樹脂を各リセプタクル44内に注入し、熱伝導性層54を形成する。熱伝導性樹脂の層の厚さは、熱伝導性トレイ34と組み合わせて良好な放熱を行うために、2mm未満であるのが効果的である。本発明の一実施形態によると、この厚さは概ね1mmである。
【0096】
また、熱伝導性接着剤56は、エネルギー蓄積ユニット20をトレイ34に固定するためにも使用される。
【0097】
この接着剤56は、樹脂54の使用量を減少させることができる。図4及び図5において、樹脂54は、リセプタクル44の高さ全体に延びている。変形例として、接着剤56により、樹脂をリセプタクル44の高さの80%未満、例えばリセプタクル44の高さの50%へ延ばすことができる。このことは、図6及び図7に示す第2実施形態についても適用しうる。全体的には「8」の字状であるリセプタクル44の形状により、使用する熱伝導性層54の熱伝導性樹脂の量及び体積を減少させることができる。
【0098】
変形例として、熱導電性樹脂の熱伝導性層54を、接着剤56と同様タイプの接着剤に置換することができる。
【0099】
更に、変形例として、熱伝導性層54及び56を、接着性を有する熱導電性樹脂により形成することもできる。一旦硬化すると、この樹脂は接着性を発揮する。
【0100】
上述した方法において、樹脂を選択して、一旦硬化すると、接着性、可撓性、弾性変形性、および耐衝撃特性を発揮させるようにすることができる。
【0101】
熱導電性樹脂は、硬化して、固体化し、かつ安定した弾性を有するものであるのが好ましい。
【0102】
一般的に、本発明による樹脂又は接着剤は、絶縁性を有し、かつ水やその他の不純物の浸入を阻止する。
【0103】
エネルギー蓄積ユニット20の充放電動作中に、各エネルギー蓄積ユニット20が、その筒状面36を介して放出する熱流は、熱伝導性層54を介して、各リセプタクル44の内面へ直接かつ迅速に伝導する。次に、この熱は、関連する壁43の外面へ伝えられる。
【0104】
従って、熱の一部は、トレイ34の外面51からトレイ34の外部へ直接伝導され、熱の他の一部は、隔壁を形成する横壁43により、他のリセプタクル44へ伝導される。
【0105】
本発明により上述の如く製造された電源装置は、トレイ34内の全てのエネルギー蓄積ユニット20の瞬間温度を、実質的に均一にすることができる。そのため、全てのエネルギー蓄積ユニット20の使用寿命をほぼ同じにする。
【0106】
更に、全てのエネルギー蓄積ユニット20が発する熱は、熱伝導により、トレイ34の外面51へ、直接的又は間接的に伝えられる。
【0107】
トレイ34の外面51は、冷たい空気流、ヒートパイプ、又はその他適当な冷却手段等の冷却手段に、熱的に結合されているのが効果的である。
【0108】
図6及び図7に示す本発明の第2実施形態では、トレイ34は、上述した第1実施形態について説明したものとほぼ同様の外観及び構成を有する。
【0109】
しかし、リセプタクル44は、分割壁を備えていない。即ち、各リセプタクル44は、それぞれの横壁43で仕切られている。
【0110】
従って、各リセプタクル44の各横壁43の外面は、トレイ34の外面51を形成している。各リセプタクル44の横壁43の外面51は、相互に横方向に間隔を有し、リセプタクル44内のエネルギー蓄積ユニット20の発熱を、隣接するリセプタクル44を通すことなくトレイの外へ熱を直接に伝導する。
【0111】
トレイ34の上面58から、リセプタクル44が下方へ垂直に延びている。各リセプタクル44の上部開口が、トレイ34のプレート58に形成されている。
【0112】
トレイ34は、例えば押し出し成型技法で一体形成され、アルミニウム製の水平プレートより垂直下向きに延びる横長領域を有する。このアルミニウム製プレートは、熱により延性が付与され、リセプタクル44を形成可能にしている。
【0113】
この実施形態においても、上述した実施形態と同様に、熱伝導性層54が、各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36及び各リセプタクル44の内面46間に設けられている。また、接着剤層56も設けられ、エネルギー蓄積ユニット20を、トレイ34のベース48に接着している。
【0114】
従って、本発明の第2実施形態による電源装置のトレイ34は、壁の外面51の累積領域又は面積を増加させ、エネルギー蓄積ユニット20の発熱を、より迅速に放熱可能にしている。
【0115】
図9に示す本発明の第3実施形態においては、電源装置は、3対の隣接するエネルギー蓄積ユニット20を備えている。
【0116】
単一のハウジング32があり、これは、エネルギー蓄積ユニット20を収容するためのトレイを構成している。従って、単一の中空部が、エネルギー蓄積ユニット20用の横長のリセプタクル234を形成している。このリセプタクル234は、長手方向を向き、熱伝導樹脂又は熱伝導接着剤54がリセプタクル234の内面とエネルギー蓄積ユニット20の外面との間に設けられている。一実施形態によると、ハウジングはアルミニウム製である。変形例として、ハウジングを銅製とすることである。
【0117】
横長のリセプタクル234は、2個の半円形部、及び半円形部の周端を相互に連結する2個の直線状部を有する。
【0118】
この実施形態によると、上述したその他の全ての実施形態と同様に、ハウジング32、従ってトレイの外面には、破線で示すように、フィン60又はピンのような複数の突起物を備え、ハウジング32の内面、及びハウジング32の外面間の熱交換を増加させている。符号135は、ハウジング32を車両の固定物、例えば車両のボディワーク等に固定するラグを示す。
【0119】
これらのラグ135は開口を有し、ハウジング32を、例えばねじ、ボルト又はリベット等の固定手段により、車両のボディに固定している。
【0120】
図9及び図10の実施形態において、エネルギー蓄積ユニット20は、部分的に長手方向、かつ部分的には横方向にインプラントされている。
【0121】
この実施形態において、ハウジング32は、3グループに分けられた9個のエネルギー蓄積ユニット20に適合する9個の長手リセプタクル44´を形成する長手方向に波打つベースを有する中空のトレイ34を備えている。これらのリセプタクル44´は、図9に最も良く示すように、横隔壁144´で仕切られている。
【0122】
これらの隔壁144´は、中央部が中空であり、エネルギー蓄積ユニット20の端子を通すことができるようになっている。上述した各図の場合と同様に、エネルギー蓄積ユニット20の端子は、導電バー45により相互に接続され、2個の端子146及び147間に、エネルギー蓄積ユニット20を直列接続している。
【0123】
各リセプタクル44´は、筒の一部をなすベースを備えている。
【0124】
また、他のエネルギー蓄積ユニット20がトレイ34の一端に設けられている。このために、このトレイ34には、横方向のリセプタクル144が設けられている。この横方向リセプタクル144は、リセプタクル44´と同様のイメージのものであるが、それは直交している。
【0125】
熱伝導性樹脂層54が、各エネルギー蓄積ユニット20と関連するリセプタクル44´及び144の壁43の内面46との間に、上述した各図の場合と同様に、遊びなく介挿されている。
【0126】
これらのエネルギー蓄積ユニット20は、図10に最もよく示す如く、相互に接触していない。上述したように、壁43のレベルにおける樹脂の厚さは、良好な熱伝導を行うように、2mm以下である。図示の場合には、厚さは1mmである。
【0127】
経済的となるように、樹脂は、波打ちベースを有するトレイ34の高さの80%未満のところまで、延びている。この場合には、出張っているトレイ34の高さの50%以上に延び、図10に示す如く外部へ向いている。このトレイ34の自由端部及び周縁の厚さは厚くなっており、平らなカバー132を受けて、トレイを閉じるためのエッジを形成している。
【0128】
この付加的な厚さは、図示しないシールをフィットさせるためのリセプタクルを有する。このシールは、カバー132により圧縮され、このカバー132には、カバー132をトレイ34に固定するためのねじのような固定手段を挿入するための孔が、離間して設けられている。
【0129】
この場合には電気的絶縁性である熱伝導性樹脂が選択され、これは、硬化させた後に、接着性及び弾性変形特性を有する。
【0130】
この樹脂は、可撓性であると共に不浸透性である。従って、エネルギー蓄積ユニット20は、トレイ34内に保持され、かつ接着性樹脂により、確実に固定されている。
【0131】
トレイ34を閉鎖するためのカバー132は、エネルギー蓄積ユニット20の保護カバーをなしている。
【0132】
トレイ34は、例えばアルミニウム製であり、カバー132は、金属シートである。トレイ34は、例えば鋳成してもよい。
【0133】
樹脂54により、このアセンブリ又は組立体34、132及び20は、取扱及び運搬可能にすることは、他の実施形態についても同様である。
【0134】
図11〜図13に示す実施形態では、ハウジング32は複数の電気エネルギー蓄積ユニット20を受容するトレイ134を備えている。トレイ134は比較的平坦であり、その全体がカバー132により覆われている。このカバー132は、中空状であり、図11から明らかな如く、エネルギー蓄積ユニット20及びトレイ134のキャップをなしている。この実施形態において、カバー132は矩形のベースを有し、このベースは、ベースに対して直交する横エッジで区切られている。この横エッジは、2個の長手方向の側壁、及び2個の横断壁を有する。この実施例におけるカバー132は、アルミニウム製である。ベース及びカバー132のエッジの長手壁には、それぞれ孔141及び140が設けられ、放熱性を良好にしている。この実施形態において、ハウジング32は、例えば車両のブート、又は乗車スペースに取り付けられている。
【0135】
カバー132のエッジの各横断壁には、トレイ134の横方向起立部139に、カバー132をねじ138により固定するために、2個のリブ付きラグが設けられ、各ねじ138は、起立部139のねじ孔に挿入される。
【0136】
この例のトレイ134は、複数のエネルギー蓄積ユニット20を受容するリセプタクル144を備えている。このリセプタクル144は、横断方向を向いている。
【0137】
リセプタクル144は、上述した第1実施形態と同様に、1対のエネルギー蓄積ユニット20を受容するようになっている。これらのリセプタクル144は、エネルギー蓄積ユニット20の筒状外面を受容するのに適当な寸法形状の2個の半円筒状部で仕切られている。各リセプタクル144は、全体的に「8」の字の半分の形状である。各対の2個のエネルギー蓄積ユニット20は、この例では、相互に横断線により局所的に接触している。変形例として、図10の如く非接触とすることもある。リセプタクル144の内面及び対をなすエネルギー蓄積ユニット20の筒状外面間には、遊びを設けることなく、熱伝導層54が図2〜図5の第1実施形態と同様に、ラジアル方向に設けられている。この熱伝導層54は、例えば熱伝導性樹脂からなっている。トレイ134は例えばアルミニウム製である。変形例として、熱伝導性接着剤を上述したように使用することも可能である。
【0138】
トレイ134は、矩形のプレート状であり、横断方向に中空状であって、3対のリセプタクル144が形成され、3対のウルトラキャパシタであるエネルギー蓄積ユニット20が受容される。
【0139】
このトレイ134は、例えば金属製である。本発明の一実施形態においては、アルミニウム製である。
【0140】
このトレイ134は、横方向の両端に、カバー132を固定するための2個の横断方向の起立部139を有し、長手方向には2個のクロス部材142を有する。各クロス部材142の両端には、それぞれ開口を有するラグ135が設けられ、各クロス部材は、起立部139の端部に連結されている。
【0141】
アップライト142は、冷たい取付用部材との接触面積を増大させている。
【0142】
図11に示す如く、ラグ135は、ハウジング32を、例えば車両のボディワークの如き冷たい部材に取り付けるためのものである。この例では、取り付けは、ラグ13の開口へ挿入したねじ137、各種リベット、ボルト又はスタッド等により行われる。
【0143】
図12に示す如く、エネルギー蓄積ユニット20の端子42間の電気的接続バー45、及び複数の電子部品よりなるプリント回路145が設けられている。エネルギー蓄積ユニット20が、ウルトラキャパシタ又はスーパーキャパシタよりなる場合のバランスをとり、これらのユニットは、一様に充電されるようにする。
【0144】
この例では、接続バー45及びプリント回路145により直列接続された複数のエネルギー蓄積ユニット20は、トレイ134内に取り付けられたモジュール120を予め形成し、保護カバー132により覆われる。
【0145】
この保護カバー132は、モジュール120を覆うと共に保持している。
【0146】
変形例として、保護カバー132に、トレイ134の如きリセプタクルを設け、エネルギー蓄積ユニット20を、半円筒形のリセプタクルと、トレイ134と対向するカバー132とで挟むこともできる。
【0147】
この電源装置のあらゆる組み合わせ及び変形が可能である。
【0148】
例えば図2〜図5に示す実施形態を、90°回転させ、ベース48を縦向きにすることも可能である。
【0149】
また、変形例として、図11〜図13に示すトレイ134に、図2〜図5と同様の波打つ外壁を設けてもよい。
【0150】
更なる変形例として、図11〜図13のカバー132に、トレイ134のような半円筒状のリセプタクルを設けてもよい。
【0151】
この場合には、エネルギー蓄積ユニットのリセプタクルは、2つの部分を有し、かつエネルギー蓄積ユニット20の外面に適合する全体的な寸法と形状を有し、エネルギー蓄積ユニットを受容するようにする。
【0152】
次に、本発明による電源装置の実施形態である上述したタイプのリセプタクルの例を、図14及び図15を参照して説明する。
【0153】
変形例として、図14から明らかな如く、トレイ134及びカバー132を、熱伝導性材料で形成し、かつ図2〜図5及びエネルギー蓄積ユニット20用のリセプタクル34と同様に、波打つ外壁151を設けることもある。
【0154】
これに対して、図2〜図5の実施形態を、90°回転させて、外壁151を横方向になるようにすることもある。
【0155】
200は、トレイ134及び車両のボディワークの如き冷たい取付部材間の部分的な接触面を示す。201は、保護カバー132の外壁及び空気又は冷たい取付部材間の部分的な接触面を示す。また、154は、エネルギー蓄積ユニット20及びリセプタクル144間の接触面を示す。従って、リセプタクル144の外面は波打っている。
【0156】
本発明の一実施形態によると、接触面154は、図11〜図13に示す如く、熱伝導性かつ電気的絶縁性の熱伝導体である。
【0157】
変形例として、図15に示す如く、エネルギー蓄積ユニット20を、例えば熱伝導性材料で形成されたカバー132、及びトレイ134のリセプタクル144と、熱伝導性接着剤を介して接触させる。この変形例において、トレイ134及び冷たい取付部材間の接触面は、平坦な外面を有するトレイ134の全長に渡り設けられている。同様に、トレイ132の外面、及び空気、又は冷たい取付部材間の接触は、カバー132の全長に渡って行われる。
【0158】
接触面の長さは、適用例に応じて定められることは理解しうると思う。例えば、図14において、少なくとも2面、即ち面200及び201を、相互に連結して単一面とすることができる。
【0159】
また、上述した面201には、必要に応じて、図8に示す如き複数の突起物を設けることもある。
【0160】
図15におけるカバー132は、ねじ138等の固定具により、トレイ134に連結されていることに留意されたい。この固定具は、2つのリセプタクル144間の材料の厚さ方向に螺入される。これにより、エネルギー蓄積ユニット20のねじクランプを形成する2個のパーツ132及び134によりハウジングが形成される。
【0161】
エネルギー蓄積ユニット20の数は、アプリケーション、特に必要とする電圧に依存することは理解しうると思う。即ち、エネルギー蓄積ユニット20の数は、6個又は12個、或いはそれ以外の数であってもよい。例えば、エネルギー蓄積ユニット20は、6個のウルトラキャパシタ、及び2個の通常のバッテリである。
図10に示す実施形態では、リセプタクル234を縦向きとし、図16に示す如く(横方向の長さ当たりの)エネルギー蓄積ユニット20の数を2倍にしている。
【0162】
上述した構成により、ハウジング32の軸方向の長さを一定にし、ハウジング32の厚さを増大させることができる。
【0163】
このことは、図17に示す如く、図15の実施形態に適用可能である。
【0164】
ハウジング32は、車両のブート又は乗車空間等の保護されたエリアに取付可能である。
【0165】
図11〜図15に示すエネルギー蓄積ユニット20、及び図11〜図15に示すトレイを、縦向きにしてもよいことは明らかである。
【0166】
変形例として、エネルギー蓄積ユニット20の断面は、円形以外であってもよいことは明らかである。例えば、エネルギー蓄積ユニット20の断面を、楕円又は多角形とする。このことは、エネルギー蓄積ユニット20を受容するリセプタクルについても当てはまる。
【0167】
リセプタクルは、横向き又は縦向きであってもよい。例えば、図16のハウジング32は、8個のエネルギー蓄積ユニット20を受容可能である。この場合、ハウジング32は、2個の垂直リセプタクル234、及び2個の水平リセプタクルを備えている。
【0168】
複数のエネルギー蓄積ユニット20を、並列に取り付け、各々直列に取り付けられた2つのグループから構成してもよい。
【0169】
本発明の電源装置のトレイ32、34、134及び234により、エネルギー蓄積ユニット20による発熱は急速に放熱され、その結果、エネルギー蓄積ユニット20の許容動作温度を超える急激な温度上昇の阻止が可能となっている。
【0170】
さらに、熱伝導性層の存在により、熱を伝導によって放熱することが可能であり、熱の通過を阻害する空気のエリアは除去される。
【0171】
トレイを熱伝導性材料で形成することにより、複数のエネルギー蓄積ユニット20の温度をほぼ均一に保つことが可能である。
このトレイは、エネルギー蓄積ユニット20、及び冷たい取付部材と間接的に接触している。本発明の一実施形態によると、この冷却源は、車両のボディワークのおける金属の薄板である。変形例として、少なくとも1個のペルチェ効果セルとし、下面を高温とし、冷たい上面をトレイと接触させることもある。
【0172】
また、変形例として、冷気の流れが、図10に示す複数のフィンのように、トレイと一体形成された複数の突起を掃引するようにすることもある。
【0173】
空気流の循環は、例えばエネルギー蓄積ユニット20の温度に基づいて制御される、少なくとも1個のファンにより行われる。
【0174】
また、少なくとも1個のヒートパイプを、トレイ及び例えば冷たいプレートである冷たい取り付け部材間に接続してもよい。更に、変形例として、トレイ及びカバーを、熱伝導性かつ電気絶縁性材料で製造してもよい。
【0175】
エネルギー蓄積ユニット20の外面が電気的絶縁性である場合には、図15及び図17に示すトレイ及びカバーは、金属製であってもよい。
【0176】
熱導電性層54の材料が電気的絶縁性であれば、トレイは、導電性又は電気的絶縁性の何れであってもよい。この層により、各対のエネルギー蓄積ユニット20の温度を一層均一にすることが可能である。
【0177】
図示の例において、複数のエネルギー蓄積ユニット20は、対として相互に接触して取り付けられている。これにより、複数のエネルギー蓄積ユニット20の温度を、更に均一にすることが可能であることが理解できよう。
【0178】
また、リセプタクル144及び234は、仕切壁であり、下側と冷32、34、134及び234は、エネルギー蓄積ユニット20を支持するトレイであることに留意されたい。
【0179】
また、全体的に略「8」の字状のリセプタクルは、細長い形状を有することに留意されたい。
【0180】
一例として、使用する樹脂は、その1つが硬化材である2個のコンポーネントを有するポリウレタン系樹脂でもよい。例えば、RAIGI社からRAIGITANE 4759/RAIGIDURHRの記号で市販されている2コンポーネント樹脂であり、この樹脂は、室温で液状ポリウレタンでる。この黒色樹脂は、可撓性(50ショアHR)を有し、優れた熱衝撃特性を有し、かつ金属やプラスチック部品に対して良好な接着性を有する。従って、この樹脂は、接着性樹脂である。
【0181】
変形例として、WEVO社から市販されているショア硬度が50−55であるPD4431FL樹脂、及び300硬化材の2成分ポリウレタン系樹脂を使用してもよい。
【0182】
以上、本発明の好適な実施形態について詳述した。しかし、これらの実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。なお、上述した説明に基づいて、特定用途に応じて、種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解されると思う。
【符号の説明】
【0183】
10 電源装置
20 エネルギー蓄積ユニット(ウルトラキャパシタ)
32、34 トレイ
36 筒状面
42 端子
43 壁
44 リセプタクル
45 接続バー
46 壁の内面
50 開口
51、52 壁の外面
54 熱導電性層
56 熱伝導性接着剤
60 フィン
120 モジュール
132 保護カバー
134 トレイ
135 ラグ
137 ねじ
138 ねじ
139 起立部
140、141 孔
142 クロス部材
144 リセプタクル
145 プリント回路
151 壁の外面
154 接触面
200 接触面
201 接触面
234 リセプタクル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、特に、少なくとも1個の電気エネルギー蓄積ユニットを受ける少なくとも1個のリセプタクルを有するトレイを備え、かつ発熱を伴う大容量の少なくとも1個の電気エネルギー蓄積ユニットを少なくとも1個備える車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用電源装置(以下、単に電源装置という)としては、極めて多くのものが知られている。
【0003】
この電源装置は、例えば電動及び/又はハイブリッドタイプの車両の電動機への電源供給に使用される。ここで、ハイブリッドタイプの車両は、電動機及び従来の熱エンジンを併合し、運動エネルギーを回収して、車両バッテリを再充電し、搭載ネットワークに電力を供給するものである。この機能は、一般に電力回収制動と呼ばれ、例えば金属水素化物バッテリが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の如き従来の電源装置には、次に述べるような、多くの解決するべき課題を有する。
【0005】
即ち、エネルギー蓄積ユニットは、多数回の充電放電を繰り返す。例えば、モータの始動時には、大きな放電が行われる。また、例えば電力回収制動期間中に、蓄積ユニットには極めて高い充電が行われる。
【0006】
放電動作時に、電流が開放されるか、又は充電動作時に充電されると、超大容量の蓄積ユニットは、従来のバッテリよりも大きく発熱する。この発熱量は、充放電中に循環する電流の大きさに比例する。
【0007】
更に、この充放電サイクルは、極めて早いペースで継続され、特に、車両が市内を走行時であって、ドライバが車両を高い頻度で停止及び再始動されるときに顕著である。
【0008】
しかし、蓄積ユニットが効率的に電流を蓄積するためには、蓄積ユニットを最高動作温度以下に維持する必要がある。
【0009】
充放電サイクルを迅速に反復すると、蓄積ユニットの温度は、最高動作温度を超えて、極めて急速に上昇する。蓄積ユニットは、閉鎖状態のトレイに収容されているので、その温度上昇はきわめて速くなる。
【0010】
さらに、各蓄積ユニットの寿命は、ユニットが晒される温度変化に依存する。従って、各蓄積ユニットの配置により、1つの蓄積ユニットが、他の蓄積ユニットよりも激しい温度変化に晒されることはよくある。従って、この1つの蓄積ユニットの使用寿命は、他の蓄積ユニットよりも短くなる。
【0011】
1個の蓄積ユニットに欠陥があると、他の蓄積ユニットがまだ使用可能であっても、全ての蓄積ユニットを一度に交換するのが最も簡単である。そのため、不必要な経費を生じることとなる。
【0012】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、本発明の主な目的は、上記の欠点を解消又は軽減し、使用寿命が長く、運転コストが低い電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明の電源装置は、次の如き特徴的な構成を採用している。
本発明の電源装置は、先ずトレイを熱伝導性材料で形成して、蓄積ユニットが放出する熱を、リセプタクルの壁の内面から外面へ伝導させ、次に、トレイを、それぞれが少なくとも1個の蓄積ユニットを収容し、かつ熱伝導性の材料で形成された複数のリセプタクルに分割し、かつ熱伝導性の接着剤又は熱伝導性の樹脂で形成された伝導層を、蓄積ユニット及び関連するリセプタクルの壁の内面間に遊びなく設け、蓄積ユニットの発熱が、リセプタクルの壁の内面へ直接伝導されるようになっていることを特徴とする。
【0014】
本発明の電源装置の他の特徴として、次の何れか、又は組み合わせを備えている。
−上述した熱伝導性の接着剤又は樹脂は電気的に絶縁性である。
−熱伝導性樹脂は、蓄積ユニット及びリセプタクルの壁の間に注入される。
−熱伝導性樹脂は、注入後に硬化されて、蓄積ユニットをリセプタクル内に固定する。
−硬化された熱伝導性樹脂は、弾性変形可能である。
−硬化された熱伝導性樹脂は可撓性を有する。
−硬化された熱伝導性樹脂は接着性を有する。
−リセプタクルは隔壁である。
−各リセプタクルは、その外面がトレイの外面を形成するように、個別の壁を有する。
−リセプタクルの外面は、非平坦である。
−リセプタクルはブラインドであり、電気エネルギー蓄積ユニットが、ブラインドリセプタクルのベースに熱伝導性の接着剤により固定されている。
−この接着剤は、電気的に絶縁性である。
−リセプタクルは垂直を向き、かつ熱伝導性樹脂は、リセプタクルに沿って垂直高さの80%未満まで延びている。
−リセプタクルは、長手方向又は横向きであり、かつ熱伝導性樹脂は、リセプタクルに沿って垂直高さの80%未満まで延びている。
−熱伝導性樹脂は、リセプタクル全体の垂直高さの50%まで延びている。
−熱伝導性樹脂又は接着剤の厚さは、2mm以下である。
−熱伝導性樹脂又は接着剤の厚さは、全体的に1mmである。
−リセプタクルは、細長い形状の共通リセプタクル内に隣接して、1対の電気エネルギー蓄積ユニットを受けるリセプタクルである。
−共通のリセプタクルは、全体的に「8」字状である。
−各リセプタクルは、全体的に「8」字の半分の形状である。
−リセプタクルは、横向き及び/又は長手向きであり、かつエネルギー蓄積ユニット及びトレイのキャップをなすカバーにより閉鎖したトレイに属している。
−トレイは金属製である。
【発明の効果】
【0015】
上述の如き特徴的な構成を採用する本発明の電源装置によると、次の如き効果が奏せられる。先ず、トレイ内に収容される複数のエネルギー蓄積ユニットの温度を均一にすると共に、良好な放熱が行われる。
【0016】
熱伝導性樹脂又は熱伝導性接着剤は、同時に温度変化を伴うことなく、状態変化(固体−液体)を生じるパラフィンの如き熱規制材料とは異なり、状態変化を生じない。
【0017】
一般に熱規制材料であるパラフィンは、熱を蓄積し、かつ僅かに変化する温度以上に過熱するのを抑えるために使用される。
【0018】
本発明で使用される熱伝導性樹脂、又は接着剤、及び熱伝導性トレイは、広範囲に変化する温度の過熱を抑制するために使用される。本発明の解決手段によると、良好な放熱が可能になると共に、高い信頼性が得られる。
【0019】
さらに、パラフィンは、状態変化時に液化するので、エネルギー蓄積ユニット及び/又はリセプタクル間に、特許文献1に開示されているような、特別の弾性カラー等を設ける必要がある。しかし、本発明によると、熱伝導性樹脂又は接着剤は、状態変化することなく、固体のままであり、かつエネルギー蓄積ユニットの固定に使用しているので、上述の如きスペーサを使用する必要はない。
【0020】
従って、本発明の電源装置によると、使用する部品点数を減らし、構成を簡単且つ経済的(即ち、安価)にすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】フランス国特許第2883670号公報
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による電源装置の好適な実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電源装置に使用されるトレイ、及びこのトレイに収容される複数のエネルギー蓄積ユニットの分解斜視図である。
【図3】図2のトレイ内に収容された複数のエネルギー蓄積ユニットの平面図である。
【図4】図3中の線4−4におけるトレイ及びエネルギー蓄積ユニットの断面図である。
【図5】図3中の線5−5におけるトレイ及びエネルギー蓄積ユニットの断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態による電源装置用トレイの図4と同様の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による電源装置用トレイの図5と同様の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による電源装置用トレイの平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態による電源装置用ハウジングの分解斜視図である。
【図10】図9に示すハウジングの横断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態による電源装置用ハウジングの外観を示す斜視図である。
【図12】図11に示すハウジングの分解斜視図である。
【図13】図12の電気エネルギー蓄積ユニット用サポートトレイの正面図である。
【図14】本発明の第6実施形態による電源装置用ハウジングの断面図である。
【図15】本発明の第7実施形態による電源装置の正面図である。
【図16】図15に示す電源装置の第1変形例の正面図である。
【図17】図15に示す電源装置の第2変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による電源装置の好適な実施の形態の構成及び動作を、添付図面を参照して詳述する。尚、図中において、記号L、V及びTは、それぞれ長手、垂直及び横方向を示すものとする。また、図中において、対応する構成要素には、説明の便宜上、同じ符号を付してある。
【0024】
図1は、本発明により製造された車両用電源装置(又は電源装置)10のアセンブリを示す。
【0025】
図1において、電源装置10は、少なくとも1個の回転電動機12を、車両の少なくとも1個のバッテリ16に接続するよう設計されている。電動機12にはセンサ14が設けられ、例えば熱エンジンを起動させ、車両の少なくとも1個の車輪を駆動する電気モータとして機能させるか、及び/又は例えば制動期間に車両の運動エネルギーを回収する発電機として機能させる。この回転電動機12は、発電機(又はオルタネータ)−始動機(又はスタータ)と称され、リバーシブルである。この電動機12は、以下の本発明の説明における例示であり、何ら本発明を限定するものではない。
【0026】
発電機−始動機は、リバーシブルであり、発電機モードで動作中には、機械エネルギーを電気エネルギーに変換して、少なくとも1個のバッテリを充電し、及び/又は少なくとも1個の車両搭載ネットワークの消費者に供給可能である。次に、始動モードと称される電気モータモードで動作中には、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、車両の内燃エンジン又は熱エンジンを始動させ、かつ本発明の実施例によると、熱エンジンの失速(又は停止)を防止するか、又は車両の少なくとも1個の車輪を駆動する。
【0027】
この発電機−始動機は、複数のブランチを備えるインバータに属する電流整流手段を備えている。この整流手段は、インバータのブランチにフィットされ、例えばMOSFETタイプの複数のトランジスタによりなり、例えばフランス特許公開第2745444号及び同2745445号などに開示されている電子指令及び制御ユニットにより制御される。
【0028】
この電子指令及び制御ユニットは、センサ14から受け取った回転機の回転子の角度位置等の信号を受けるもので、パワー素子である所謂ドライバを備え、MOSFETタイプのトランジスタを制御するようになっている。本発明の一実施形態によると、ドライバは、インバータのMOSFETタイプのトランジスタで構成されたパワーステージに属し、発電機モードでは、所謂AC/DCリバーシブル交流−直流変換器を構成している。電動機モードでは、インバータのMOSFETトランジスタは、1−0ベースで制御され、回転機の固定子の巻線に全波で指令するか、又は可変パルス幅の指令、即ちPWM(パルス幅変調)と称されるチョッパ技術の指令による変数で制御される。
【0029】
この制御素子は、低パワーの制御ステージに属している。
【0030】
本発明の一実施形態によると、パワーステージは、MOSFETタイプのトランジスタ及びドライバの如きパワー素子を備えるパワーボード(即ち、電力基板)よりなっている。他方、制御ステージは、制御素子が搭載された制御ボードにより構成されている。
【0031】
上述した特許文献(公報)において、発電機−始動機は、多相(ポリフェーズ)である。一実施形態では、国際特許公開公報WO−A−02/08334号及び同03/088471号に開示されているように、この発電機−始動機は、車両用であって、少なくとも2個の電気エネルギー蓄積ユニットを備えている。これらエネルギー蓄積ユニットの1つはバッテリであり、他方はスーパーキャパシタ、即ちウルトラキャパシタと呼ばれている大容量のコンデンサである。
【0032】
上述した国際特許公開公報の前者において、電源装置は、電気回転機を異なる電圧の基板搭載ネットワークに属する2個のバッテリに接続している。
【0033】
この場合に、ウルトラキャパシタは、後述する複数のウルトラキャパシタ一次エネルギー蓄積ユニットにより構成されている。(電気モータモードで動作する)始動モードにおいて、この装置は、発電機−始動機に発電機モードにおける電圧よりも高い電圧を供給する。
【0034】
このタイプの構成により、制動中にエネルギーを回収することが可能であり、かつ2個の配電ネットワーク、少なくとも1個のスイッチ、又は2個のスイッチ付き回路、及びDC/DCコンバータと呼ばれている直流−直流コンバータを備え、電圧変換を可能にし、2つの異なる電圧で動作する。
【0035】
インバータは、電流変換器であるとの知識のもとに、上述した文献を参照して更に詳述する。
【0036】
この構成では、バッテリと電気的に接続された、簡単な発電機の如き電気回転機を使用していることは明らかである。
【0037】
本発明の一実施形態によると、この発電機は、接地された第1端子、及び回路に接続された第2端子間に並列接続されるように設計され、一実施形態では、例えば12ボルトの2個のバッテリを直列に接続可能にし、始動時には、始動機に24ボルトを供給し、車両の始動後には、これら2個のバッテリを並列接続する。
【0038】
従って、この電源装置10は、少なくとも1個の電子コンバータ18、22、及びウルトラキャパシタを有する1個の電気エネルギー蓄積ユニット20を備えている。この装置は、2個のネットワークを備え、その一方は、パワー専用で(エネルギー蓄積ユニット20は直列)、かつエネルギー回収用であり、他方は、エネルギー専用であり、特に基板に搭載された車両ネットワークに接続されたバッテリ16を再充電するか、及び/又は基板搭載されたネットワークに供給する。
【0039】
本発明を限定するものではないが、第1実施形態によると、電源装置10は、DC−DCコンバータ又は直流−直流変換器22を備えている。
【0040】
同様に、本発明の第2実施形態によると、電源装置10は、インバータ18を備えている。このインバータ18は、リバーシブルDC−ACコンバータである。これは、マシンが発電機モードのとき、AC−DCコンバータ(整流ブリッジと呼ばれる場合もある)として動作し、マシンが電気モータモードのときDC−ACコンバータとして動作する。
【0041】
また、本発明の第3実施形態によると、電源装置10は、インバータ18及びDC−DCコンバータ22を備えている。
【0042】
図1に示す本発明の第4実施形態によると、電源装置10は、3個の電子コンバータ、即ちインバータ18、DC−DCコンバータ22、更にバスバー(図示せず)の如きパワーコネクションにより相互に接続された2位置スイッチ30、又は2個のスイッチ30を備えている。
【0043】
上述の構成により、インバータ18は、発電機モードでは、いわゆるAC−DCリバーシブル交流/直流変換器であるか、或いは電気モータモードでは所謂DC−AC直流/交流変換器である。
【0044】
直流/交流変換器22は、エネルギー蓄積ユニット20側の電圧を変換することが可能であり、ある例では6ボルト〜35ボルトの範囲にある電圧を、バッテリ16に適合する電圧に変換する。バッテリ16は、基板に搭載されたネットワークに、例えば約12ボルトの電圧を供給する。
【0045】
2位置スイッチ30又は2個のスイッチ30は、電気マシン12の動作モードの決定を可能にする。
【0046】
具体例では、発電機モードは、2つのフェーズ、即ちいわゆる発電機フェーズ、及びいわゆるエネルギー回収フェーズを備えている。他方、電動機モードは、始動及びダイナミック支援フェーズを備えている。
【0047】
2位置スイッチによるマシン12の動作モードは、次のとおりである。
‐スイッチは、モータモード及びエネルギー回収フェーズで、インバータ18及びエネルギー蓄積ユニット20を接続する。
‐スイッチは、発電機フェーズで、インバータ18及びバッテリ16を接続する。
【0048】
他の実施形態では、スイッチがないことに留意されたい。そのため、電源装置10は、ケーブル24で電気マシン12に接続され、ケーブル26でバッテリ16に接続され、ケーブル28で車両の電源ネットワークに接続されている。
【0049】
電源装置10は、電気マシン12により、車両の運動エネルギーを回収可能にする。「14+X」アーキテクチャの名称で、この機構の詳細が知られている。
【0050】
図1に示すように、電源装置10は、単一のハウジング32を備え、このハウジング内に、電子コンバータ18、22及び電気エネルギー蓄積ユニット20が収容され、これらの構成要素間の接続長は短縮されて、接続インダクタンスの影響を抑制している。
【0051】
更に、フランス特許第2883670号公報の例、及び特にその図5を参照して詳述する。図5は、エネルギー蓄積ユニットを受け、電子コンバータを収容する下トレイ、及び下トレイのカバーをなす上部の斜視図を示している。変形例として、電子コンバータをオフセットし、上部を簡単にすることもある。第1実施形態によると、この上部は、上述したフランス特許の図5に示す如く複数のフィンを有するプレートである。一般に、図2〜図5に示すように、本発明の電源装置のハウジング32の下部は、1個又は複数個の電気エネルギー蓄積ユニット20を受けるトレイ34を形成している。
【0052】
図2〜図5に示す例においては、トレイ34は、直列接続された12個のエネルギー蓄積ユニット20を備えている。
【0053】
エネルギー蓄積ユニット20は、この例ではウルトラキャパシタであり、「スーパーキャパシタ」とも呼ばれている。このウルトラキャパシタは、例えば国際特許文献WO02/080334号に説明されているように、従来のバッテリよりも迅速に、放電及び再充電が可能である。変形例として、これらのエネルギー蓄積ユニット20の少なくとも幾つかを、ウルトラキャパシタと同じ寸法形状のバッテリとすることができる。
【0054】
複数のエネルギー蓄積ユニット20は、同じ外観(即ち、寸法形状)を有する。各ユニット20は、垂直軸を有する円筒状である。各ユニット20のご外周は、筒状の外表面36であり、上端面38及び下端面40は円形である。各ユニット20は、2個の接続端子42を有する。各端子42は、それぞれ、端面38及び40から垂直方向に突出している。
【0055】
一方、トレイ34は、全体的に平行なパイプ状であり、全体的に矩形断面を有する。このトレイ34は、上面は後述する如く開口し、下面は、平坦な水平底壁48で閉じられている。
【0056】
このトレイ34は、エネルギー蓄積ユニット20の形状にマッチする波状の垂直面51を有する。この垂直面51は、トレイ34の基部となる平坦な水平底壁48に対して垂直である。
【0057】
本発明の一実施形態によると、底壁48は、突出する開口ラグ又は鳩目(図示せず)を備え、トレイ34を、ラグ又は鳩目の開口へ貫通したねじ、リベット、又はボルト等の固定手段により、車両のボディ等の冷たい部分である固定部に固定することができる。
【0058】
この場合、ハウジング32の上部は、エネルギー蓄積ユニット20が見えるようにするために、図示していない。この上部は、トレイ34の上面を閉じるためのカバーである。
【0059】
トレイ34は、少なくとも1個のリセプタクル44を備え、これに、少なくとも1個のウルトラキャパシタであるエネルギー蓄積ユニット20が受容される。図2に示す例では、トレイ34は、同じ寸法の6個のリセプタクル44に分割されており、各リセプタクル44は、1対のウルトラキャパシタエネルギー蓄積ユニット20を受け入れている。各対の2個のエネルギー蓄積ユニット20は、長手方向に隣接し、かつ本発明の1つの特徴として、リセプタクル44内で共通の垂直向きに受容されている。これらのリセプタクル44は、細長い形状を有する。
【0060】
各対のエネルギー蓄積ユニット20の下端面40の端子42は、図5に示す如く銅等の導電性材料製のバー45により、電気的に共通接続されている。また、図示しないバーが、上面の端子42を接続している。
【0061】
上述したバーは、複数のエネルギー蓄積ユニット20を直列接続するよう構成され、入力端子及び出力端子を有する。入出力端子の位置は、アプリケーションに依存する。
【0062】
各リセプタクル44は、上面に開口50を有し、この開口50から、1対のエネルギー蓄積ユニット20を、閉じたベースに向けて垂直方向へ移動させることにより、挿入できる。各リセプタクル44は、平坦な水平底壁48により形成される水平のベースにより、その底面が閉鎖されている。
【0063】
図3に示す如く、各リセプタクル44の水平断面は、全体的に略「8」の字状をなしている。
【0064】
更に詳述すると、隣接する1対のエネルギー蓄積ユニット20の各リセプタクル44は、細長い底面46を有する横壁43により区画されており、全体的に略「8」の字状である。図2及び図3に示すように、この底面46は、相互に反対の平坦面を有する2個の中央部により相互接続された2個の円形部を有する。これらの中央部は、図3に示すように、180°以上延びる円形部の端部にそれぞれ接続されている。
【0065】
中央部の平坦面は、全体的に略矩形状であり、図2に示す如く、垂直方向の寸法はその長手寸法よりも大きい。従って、各リセプタクル44は、対向する中央部の平坦面のレベルで狭くなっている。
【0066】
円形部は、それぞれエネルギー蓄積ユニット20を受容できるような寸法を有する。この寸法は、エネルギー蓄積ユニット20の外面36の寸法により決まる。
【0067】
従って、図3から理解しうるように、細長い形状の各リセプタクル44は、各エネルギー蓄積ユニットの略2倍の長手方向の寸法を有し、かつエネルギー蓄積ユニット20とほぼ等しい横幅を有する。
【0068】
図4から明らかなように、各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36は、関連するリセプタクル44の横内面46の付近に少なくとも部分的に配置され、横方向の遊び「j」を有する。
【0069】
横壁43は、垂直外表面51により外部を部分的に制限し、かつ後述するように、隣接する2個のリセプタクル間にある材料により部分的に制限している。各横壁43の厚さは、各リセプタクル44につきほぼ同じである。横壁43の厚さは、表面51のレベルでは比較的小さく、トレイ34の内外面間の熱交換を助けている。
【0070】
また、横壁43の厚さは、図3に示すように、隣接する2個のリセプタクル44間で大きい。
【0071】
説明及び図面から明らかなように、各リセプタクル44は、ブラインド形状であり、上面に開口50を有し、上から下向きに移動させることにより、エネルギー蓄積ユニット20を挿入いうるようになっている。
【0072】
リセプタクル44は、横3列に配列され、各列には4個のエネルギー蓄積ユニット20が設けられている。この配列は、コンパクトであり、トレイは車両バッテリと類似の寸法形状を有する。
【0073】
リセプタクル44は隔壁により分割され、横壁43の少なくとも一部は、隣接する2個のリセプタクル44の共通隔壁又はパーティションを形成している。従って、図5に示すように、1つのリセプタクル44Aの外面52Aの一部は、隣接するリセプタクル44Bの内面46Bを形成している。
【0074】
横壁43の共通隔壁となっていない外表面は、トレイ34の外表面51を形成している。
【0075】
図3及び図5に示す如く、対をなす2個のエネルギー蓄積ユニット20は、垂直の接線と接触している。従って、各リセプタクル44内において、各対のエネルギー蓄積ユニット20の筒状面36の2つの反対部間には、接線の両側において、長手方向の遊びがある。この接線により、1つの対のエネルギー蓄積ユニット20の温度を一層均一にすることが可能である。
【0076】
変形例として、上述した接線をなくし、若干の遊びが生じるようにしてもよい。
【0077】
充放電動作中に、各エネルギー蓄積ユニット20は、その上面38、底面40並びにその筒状面36から強い熱流を放出する。
【0078】
各エネルギー蓄積ユニット20により生じた熱を迅速に放熱するとともに、トレイ34内の各エネルギー蓄積ユニット20の加熱を均一にするために、本発明の電源装置の特徴の1つとして、トレイ34を熱導電性材料により形成し、各エネルギー蓄積ユニット20の発熱を、関連するリセプタクル44の横壁43の内面46から外面へ、可能な限り迅速に伝導させるようにしている。
【0079】
本発明の一実施形態によると、トレイ34は、単一の熱伝導性材料により一体的に形成されている。一実施形態によると、この材料は成型可能な材料であり、トレイ34は成型により一体形成される。
【0080】
また、本発明の一実施形態によると、トレイ34は金属製である。この例においては、トレイ34はアルミニウム製であり、軽量化させるとともに、鋳造により一体加工されている。
【0081】
変形例として、トレイ34をマグネシウムをベースとして形成することもある。例えば、マグネシウムとアルミニウムの合金で製造することもある。
【0082】
図4及び図5に示す如く、関連するリセプタクル44内に、垂直方向に各エネルギー蓄積ユニット20を挿入可能にするため、及び/又はトレイ34の製造上の固有の制約のために、各リセプタクル44の内面46は、垂直方向に対して隙間角度「α」を有し、内面46は、リセプタクル44のベース(又は基部)48に向けて収斂している。この隙間角度により、トレイ34の鋳造による一体成型が可能となる。
【0083】
従って、各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に、横方向の遊び「j」が形成される。各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に沈滞する空気層は、断熱体として作用する。
【0084】
この問題を解決するために、熱伝導特性を有する物質製の(熱)伝導層54が、エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に、迅速かつ遊びなく挿入される。
【0085】
従って、伝導層54は、対をなすエネルギー蓄積ユニット20間に存在する長手方向の遊び53を効果的に充填する。本発明の一実施形態においては、この伝導層54は、電気絶縁性である。
【0086】
本発明の1つの特徴によると、エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36、及び関連するリセプタクル44の内面46間に遊びなく迅速に挿入された熱伝導層54は、熱伝導性樹脂又は熱伝導性接着剤である。
【0087】
本発明の一実施形態によると、この熱伝導性接着剤又は熱伝導性樹脂は、電気絶縁性である。
【0088】
この熱伝導性樹脂は、当初液状又は粘性体である。それを、各エネルギー蓄積ユニット20及び関連するリセプタクル44の内面46間に注入すると、エネルギー蓄積ユニット20の配列後に、リセプタクル44を充填する。これにより、熱伝導性樹脂は、2個のエネルギー蓄積ユニット20間に設けられ、対をなす隣接する2個のエネルギー蓄積ユニット20を同じ温度状態とする。
【0089】
この熱伝導性樹脂は、注入後に硬化して熱伝導層54を形成し、エネルギー蓄積ユニット20をリセプタクル44内で横方向、即ち長手方向及び横方向に固定すると有利である。本発明の一実施形態によると、硬化された熱伝導層54は、弾性的に変形可能であり、衝撃を吸収する。
【0090】
すなわち、この熱伝導性樹脂は可撓性を有し、エネルギー蓄積ユニット20の固定にも使用しうる。
【0091】
上述した熱伝導性樹脂の注入操作を可能にするために、エネルギー蓄積ユニット20は、関連するリセプタクル44のベースに、接着剤層56により接着固定可能である。もし、エネルギー蓄積ユニット20が固定されていないと、図5に示す関連するバー45上で不安定になる。
【0092】
上述した熱導電性接着剤56の形成に使用される接着剤は、電気的絶縁体であるのが好ましい。
【0093】
また、上述した接着剤56の層は、熱伝導特性を有する材料で形成するのが効果的である。
【0094】
組立中に、熱伝導性接着剤56による熱伝導性層54は、先ず各リセプタクル44のベース48に付着する。次に、1対のエネルギー蓄積ユニット20を、関連するリセプタクル44内にその開口50から垂直方向に挿入する。
【0095】
次に、熱伝導性樹脂を各リセプタクル44内に注入し、熱伝導性層54を形成する。熱伝導性樹脂の層の厚さは、熱伝導性トレイ34と組み合わせて良好な放熱を行うために、2mm未満であるのが効果的である。本発明の一実施形態によると、この厚さは概ね1mmである。
【0096】
また、熱伝導性接着剤56は、エネルギー蓄積ユニット20をトレイ34に固定するためにも使用される。
【0097】
この接着剤56は、樹脂54の使用量を減少させることができる。図4及び図5において、樹脂54は、リセプタクル44の高さ全体に延びている。変形例として、接着剤56により、樹脂をリセプタクル44の高さの80%未満、例えばリセプタクル44の高さの50%へ延ばすことができる。このことは、図6及び図7に示す第2実施形態についても適用しうる。全体的には「8」の字状であるリセプタクル44の形状により、使用する熱伝導性層54の熱伝導性樹脂の量及び体積を減少させることができる。
【0098】
変形例として、熱導電性樹脂の熱伝導性層54を、接着剤56と同様タイプの接着剤に置換することができる。
【0099】
更に、変形例として、熱伝導性層54及び56を、接着性を有する熱導電性樹脂により形成することもできる。一旦硬化すると、この樹脂は接着性を発揮する。
【0100】
上述した方法において、樹脂を選択して、一旦硬化すると、接着性、可撓性、弾性変形性、および耐衝撃特性を発揮させるようにすることができる。
【0101】
熱導電性樹脂は、硬化して、固体化し、かつ安定した弾性を有するものであるのが好ましい。
【0102】
一般的に、本発明による樹脂又は接着剤は、絶縁性を有し、かつ水やその他の不純物の浸入を阻止する。
【0103】
エネルギー蓄積ユニット20の充放電動作中に、各エネルギー蓄積ユニット20が、その筒状面36を介して放出する熱流は、熱伝導性層54を介して、各リセプタクル44の内面へ直接かつ迅速に伝導する。次に、この熱は、関連する壁43の外面へ伝えられる。
【0104】
従って、熱の一部は、トレイ34の外面51からトレイ34の外部へ直接伝導され、熱の他の一部は、隔壁を形成する横壁43により、他のリセプタクル44へ伝導される。
【0105】
本発明により上述の如く製造された電源装置は、トレイ34内の全てのエネルギー蓄積ユニット20の瞬間温度を、実質的に均一にすることができる。そのため、全てのエネルギー蓄積ユニット20の使用寿命をほぼ同じにする。
【0106】
更に、全てのエネルギー蓄積ユニット20が発する熱は、熱伝導により、トレイ34の外面51へ、直接的又は間接的に伝えられる。
【0107】
トレイ34の外面51は、冷たい空気流、ヒートパイプ、又はその他適当な冷却手段等の冷却手段に、熱的に結合されているのが効果的である。
【0108】
図6及び図7に示す本発明の第2実施形態では、トレイ34は、上述した第1実施形態について説明したものとほぼ同様の外観及び構成を有する。
【0109】
しかし、リセプタクル44は、分割壁を備えていない。即ち、各リセプタクル44は、それぞれの横壁43で仕切られている。
【0110】
従って、各リセプタクル44の各横壁43の外面は、トレイ34の外面51を形成している。各リセプタクル44の横壁43の外面51は、相互に横方向に間隔を有し、リセプタクル44内のエネルギー蓄積ユニット20の発熱を、隣接するリセプタクル44を通すことなくトレイの外へ熱を直接に伝導する。
【0111】
トレイ34の上面58から、リセプタクル44が下方へ垂直に延びている。各リセプタクル44の上部開口が、トレイ34のプレート58に形成されている。
【0112】
トレイ34は、例えば押し出し成型技法で一体形成され、アルミニウム製の水平プレートより垂直下向きに延びる横長領域を有する。このアルミニウム製プレートは、熱により延性が付与され、リセプタクル44を形成可能にしている。
【0113】
この実施形態においても、上述した実施形態と同様に、熱伝導性層54が、各エネルギー蓄積ユニット20の筒状面36及び各リセプタクル44の内面46間に設けられている。また、接着剤層56も設けられ、エネルギー蓄積ユニット20を、トレイ34のベース48に接着している。
【0114】
従って、本発明の第2実施形態による電源装置のトレイ34は、壁の外面51の累積領域又は面積を増加させ、エネルギー蓄積ユニット20の発熱を、より迅速に放熱可能にしている。
【0115】
図9に示す本発明の第3実施形態においては、電源装置は、3対の隣接するエネルギー蓄積ユニット20を備えている。
【0116】
単一のハウジング32があり、これは、エネルギー蓄積ユニット20を収容するためのトレイを構成している。従って、単一の中空部が、エネルギー蓄積ユニット20用の横長のリセプタクル234を形成している。このリセプタクル234は、長手方向を向き、熱伝導樹脂又は熱伝導接着剤54がリセプタクル234の内面とエネルギー蓄積ユニット20の外面との間に設けられている。一実施形態によると、ハウジングはアルミニウム製である。変形例として、ハウジングを銅製とすることである。
【0117】
横長のリセプタクル234は、2個の半円形部、及び半円形部の周端を相互に連結する2個の直線状部を有する。
【0118】
この実施形態によると、上述したその他の全ての実施形態と同様に、ハウジング32、従ってトレイの外面には、破線で示すように、フィン60又はピンのような複数の突起物を備え、ハウジング32の内面、及びハウジング32の外面間の熱交換を増加させている。符号135は、ハウジング32を車両の固定物、例えば車両のボディワーク等に固定するラグを示す。
【0119】
これらのラグ135は開口を有し、ハウジング32を、例えばねじ、ボルト又はリベット等の固定手段により、車両のボディに固定している。
【0120】
図9及び図10の実施形態において、エネルギー蓄積ユニット20は、部分的に長手方向、かつ部分的には横方向にインプラントされている。
【0121】
この実施形態において、ハウジング32は、3グループに分けられた9個のエネルギー蓄積ユニット20に適合する9個の長手リセプタクル44´を形成する長手方向に波打つベースを有する中空のトレイ34を備えている。これらのリセプタクル44´は、図9に最も良く示すように、横隔壁144´で仕切られている。
【0122】
これらの隔壁144´は、中央部が中空であり、エネルギー蓄積ユニット20の端子を通すことができるようになっている。上述した各図の場合と同様に、エネルギー蓄積ユニット20の端子は、導電バー45により相互に接続され、2個の端子146及び147間に、エネルギー蓄積ユニット20を直列接続している。
【0123】
各リセプタクル44´は、筒の一部をなすベースを備えている。
【0124】
また、他のエネルギー蓄積ユニット20がトレイ34の一端に設けられている。このために、このトレイ34には、横方向のリセプタクル144が設けられている。この横方向リセプタクル144は、リセプタクル44´と同様のイメージのものであるが、それは直交している。
【0125】
熱伝導性樹脂層54が、各エネルギー蓄積ユニット20と関連するリセプタクル44´及び144の壁43の内面46との間に、上述した各図の場合と同様に、遊びなく介挿されている。
【0126】
これらのエネルギー蓄積ユニット20は、図10に最もよく示す如く、相互に接触していない。上述したように、壁43のレベルにおける樹脂の厚さは、良好な熱伝導を行うように、2mm以下である。図示の場合には、厚さは1mmである。
【0127】
経済的となるように、樹脂は、波打ちベースを有するトレイ34の高さの80%未満のところまで、延びている。この場合には、出張っているトレイ34の高さの50%以上に延び、図10に示す如く外部へ向いている。このトレイ34の自由端部及び周縁の厚さは厚くなっており、平らなカバー132を受けて、トレイを閉じるためのエッジを形成している。
【0128】
この付加的な厚さは、図示しないシールをフィットさせるためのリセプタクルを有する。このシールは、カバー132により圧縮され、このカバー132には、カバー132をトレイ34に固定するためのねじのような固定手段を挿入するための孔が、離間して設けられている。
【0129】
この場合には電気的絶縁性である熱伝導性樹脂が選択され、これは、硬化させた後に、接着性及び弾性変形特性を有する。
【0130】
この樹脂は、可撓性であると共に不浸透性である。従って、エネルギー蓄積ユニット20は、トレイ34内に保持され、かつ接着性樹脂により、確実に固定されている。
【0131】
トレイ34を閉鎖するためのカバー132は、エネルギー蓄積ユニット20の保護カバーをなしている。
【0132】
トレイ34は、例えばアルミニウム製であり、カバー132は、金属シートである。トレイ34は、例えば鋳成してもよい。
【0133】
樹脂54により、このアセンブリ又は組立体34、132及び20は、取扱及び運搬可能にすることは、他の実施形態についても同様である。
【0134】
図11〜図13に示す実施形態では、ハウジング32は複数の電気エネルギー蓄積ユニット20を受容するトレイ134を備えている。トレイ134は比較的平坦であり、その全体がカバー132により覆われている。このカバー132は、中空状であり、図11から明らかな如く、エネルギー蓄積ユニット20及びトレイ134のキャップをなしている。この実施形態において、カバー132は矩形のベースを有し、このベースは、ベースに対して直交する横エッジで区切られている。この横エッジは、2個の長手方向の側壁、及び2個の横断壁を有する。この実施例におけるカバー132は、アルミニウム製である。ベース及びカバー132のエッジの長手壁には、それぞれ孔141及び140が設けられ、放熱性を良好にしている。この実施形態において、ハウジング32は、例えば車両のブート、又は乗車スペースに取り付けられている。
【0135】
カバー132のエッジの各横断壁には、トレイ134の横方向起立部139に、カバー132をねじ138により固定するために、2個のリブ付きラグが設けられ、各ねじ138は、起立部139のねじ孔に挿入される。
【0136】
この例のトレイ134は、複数のエネルギー蓄積ユニット20を受容するリセプタクル144を備えている。このリセプタクル144は、横断方向を向いている。
【0137】
リセプタクル144は、上述した第1実施形態と同様に、1対のエネルギー蓄積ユニット20を受容するようになっている。これらのリセプタクル144は、エネルギー蓄積ユニット20の筒状外面を受容するのに適当な寸法形状の2個の半円筒状部で仕切られている。各リセプタクル144は、全体的に「8」の字の半分の形状である。各対の2個のエネルギー蓄積ユニット20は、この例では、相互に横断線により局所的に接触している。変形例として、図10の如く非接触とすることもある。リセプタクル144の内面及び対をなすエネルギー蓄積ユニット20の筒状外面間には、遊びを設けることなく、熱伝導層54が図2〜図5の第1実施形態と同様に、ラジアル方向に設けられている。この熱伝導層54は、例えば熱伝導性樹脂からなっている。トレイ134は例えばアルミニウム製である。変形例として、熱伝導性接着剤を上述したように使用することも可能である。
【0138】
トレイ134は、矩形のプレート状であり、横断方向に中空状であって、3対のリセプタクル144が形成され、3対のウルトラキャパシタであるエネルギー蓄積ユニット20が受容される。
【0139】
このトレイ134は、例えば金属製である。本発明の一実施形態においては、アルミニウム製である。
【0140】
このトレイ134は、横方向の両端に、カバー132を固定するための2個の横断方向の起立部139を有し、長手方向には2個のクロス部材142を有する。各クロス部材142の両端には、それぞれ開口を有するラグ135が設けられ、各クロス部材は、起立部139の端部に連結されている。
【0141】
アップライト142は、冷たい取付用部材との接触面積を増大させている。
【0142】
図11に示す如く、ラグ135は、ハウジング32を、例えば車両のボディワークの如き冷たい部材に取り付けるためのものである。この例では、取り付けは、ラグ13の開口へ挿入したねじ137、各種リベット、ボルト又はスタッド等により行われる。
【0143】
図12に示す如く、エネルギー蓄積ユニット20の端子42間の電気的接続バー45、及び複数の電子部品よりなるプリント回路145が設けられている。エネルギー蓄積ユニット20が、ウルトラキャパシタ又はスーパーキャパシタよりなる場合のバランスをとり、これらのユニットは、一様に充電されるようにする。
【0144】
この例では、接続バー45及びプリント回路145により直列接続された複数のエネルギー蓄積ユニット20は、トレイ134内に取り付けられたモジュール120を予め形成し、保護カバー132により覆われる。
【0145】
この保護カバー132は、モジュール120を覆うと共に保持している。
【0146】
変形例として、保護カバー132に、トレイ134の如きリセプタクルを設け、エネルギー蓄積ユニット20を、半円筒形のリセプタクルと、トレイ134と対向するカバー132とで挟むこともできる。
【0147】
この電源装置のあらゆる組み合わせ及び変形が可能である。
【0148】
例えば図2〜図5に示す実施形態を、90°回転させ、ベース48を縦向きにすることも可能である。
【0149】
また、変形例として、図11〜図13に示すトレイ134に、図2〜図5と同様の波打つ外壁を設けてもよい。
【0150】
更なる変形例として、図11〜図13のカバー132に、トレイ134のような半円筒状のリセプタクルを設けてもよい。
【0151】
この場合には、エネルギー蓄積ユニットのリセプタクルは、2つの部分を有し、かつエネルギー蓄積ユニット20の外面に適合する全体的な寸法と形状を有し、エネルギー蓄積ユニットを受容するようにする。
【0152】
次に、本発明による電源装置の実施形態である上述したタイプのリセプタクルの例を、図14及び図15を参照して説明する。
【0153】
変形例として、図14から明らかな如く、トレイ134及びカバー132を、熱伝導性材料で形成し、かつ図2〜図5及びエネルギー蓄積ユニット20用のリセプタクル34と同様に、波打つ外壁151を設けることもある。
【0154】
これに対して、図2〜図5の実施形態を、90°回転させて、外壁151を横方向になるようにすることもある。
【0155】
200は、トレイ134及び車両のボディワークの如き冷たい取付部材間の部分的な接触面を示す。201は、保護カバー132の外壁及び空気又は冷たい取付部材間の部分的な接触面を示す。また、154は、エネルギー蓄積ユニット20及びリセプタクル144間の接触面を示す。従って、リセプタクル144の外面は波打っている。
【0156】
本発明の一実施形態によると、接触面154は、図11〜図13に示す如く、熱伝導性かつ電気的絶縁性の熱伝導体である。
【0157】
変形例として、図15に示す如く、エネルギー蓄積ユニット20を、例えば熱伝導性材料で形成されたカバー132、及びトレイ134のリセプタクル144と、熱伝導性接着剤を介して接触させる。この変形例において、トレイ134及び冷たい取付部材間の接触面は、平坦な外面を有するトレイ134の全長に渡り設けられている。同様に、トレイ132の外面、及び空気、又は冷たい取付部材間の接触は、カバー132の全長に渡って行われる。
【0158】
接触面の長さは、適用例に応じて定められることは理解しうると思う。例えば、図14において、少なくとも2面、即ち面200及び201を、相互に連結して単一面とすることができる。
【0159】
また、上述した面201には、必要に応じて、図8に示す如き複数の突起物を設けることもある。
【0160】
図15におけるカバー132は、ねじ138等の固定具により、トレイ134に連結されていることに留意されたい。この固定具は、2つのリセプタクル144間の材料の厚さ方向に螺入される。これにより、エネルギー蓄積ユニット20のねじクランプを形成する2個のパーツ132及び134によりハウジングが形成される。
【0161】
エネルギー蓄積ユニット20の数は、アプリケーション、特に必要とする電圧に依存することは理解しうると思う。即ち、エネルギー蓄積ユニット20の数は、6個又は12個、或いはそれ以外の数であってもよい。例えば、エネルギー蓄積ユニット20は、6個のウルトラキャパシタ、及び2個の通常のバッテリである。
図10に示す実施形態では、リセプタクル234を縦向きとし、図16に示す如く(横方向の長さ当たりの)エネルギー蓄積ユニット20の数を2倍にしている。
【0162】
上述した構成により、ハウジング32の軸方向の長さを一定にし、ハウジング32の厚さを増大させることができる。
【0163】
このことは、図17に示す如く、図15の実施形態に適用可能である。
【0164】
ハウジング32は、車両のブート又は乗車空間等の保護されたエリアに取付可能である。
【0165】
図11〜図15に示すエネルギー蓄積ユニット20、及び図11〜図15に示すトレイを、縦向きにしてもよいことは明らかである。
【0166】
変形例として、エネルギー蓄積ユニット20の断面は、円形以外であってもよいことは明らかである。例えば、エネルギー蓄積ユニット20の断面を、楕円又は多角形とする。このことは、エネルギー蓄積ユニット20を受容するリセプタクルについても当てはまる。
【0167】
リセプタクルは、横向き又は縦向きであってもよい。例えば、図16のハウジング32は、8個のエネルギー蓄積ユニット20を受容可能である。この場合、ハウジング32は、2個の垂直リセプタクル234、及び2個の水平リセプタクルを備えている。
【0168】
複数のエネルギー蓄積ユニット20を、並列に取り付け、各々直列に取り付けられた2つのグループから構成してもよい。
【0169】
本発明の電源装置のトレイ32、34、134及び234により、エネルギー蓄積ユニット20による発熱は急速に放熱され、その結果、エネルギー蓄積ユニット20の許容動作温度を超える急激な温度上昇の阻止が可能となっている。
【0170】
さらに、熱伝導性層の存在により、熱を伝導によって放熱することが可能であり、熱の通過を阻害する空気のエリアは除去される。
【0171】
トレイを熱伝導性材料で形成することにより、複数のエネルギー蓄積ユニット20の温度をほぼ均一に保つことが可能である。
このトレイは、エネルギー蓄積ユニット20、及び冷たい取付部材と間接的に接触している。本発明の一実施形態によると、この冷却源は、車両のボディワークのおける金属の薄板である。変形例として、少なくとも1個のペルチェ効果セルとし、下面を高温とし、冷たい上面をトレイと接触させることもある。
【0172】
また、変形例として、冷気の流れが、図10に示す複数のフィンのように、トレイと一体形成された複数の突起を掃引するようにすることもある。
【0173】
空気流の循環は、例えばエネルギー蓄積ユニット20の温度に基づいて制御される、少なくとも1個のファンにより行われる。
【0174】
また、少なくとも1個のヒートパイプを、トレイ及び例えば冷たいプレートである冷たい取り付け部材間に接続してもよい。更に、変形例として、トレイ及びカバーを、熱伝導性かつ電気絶縁性材料で製造してもよい。
【0175】
エネルギー蓄積ユニット20の外面が電気的絶縁性である場合には、図15及び図17に示すトレイ及びカバーは、金属製であってもよい。
【0176】
熱導電性層54の材料が電気的絶縁性であれば、トレイは、導電性又は電気的絶縁性の何れであってもよい。この層により、各対のエネルギー蓄積ユニット20の温度を一層均一にすることが可能である。
【0177】
図示の例において、複数のエネルギー蓄積ユニット20は、対として相互に接触して取り付けられている。これにより、複数のエネルギー蓄積ユニット20の温度を、更に均一にすることが可能であることが理解できよう。
【0178】
また、リセプタクル144及び234は、仕切壁であり、下側と冷32、34、134及び234は、エネルギー蓄積ユニット20を支持するトレイであることに留意されたい。
【0179】
また、全体的に略「8」の字状のリセプタクルは、細長い形状を有することに留意されたい。
【0180】
一例として、使用する樹脂は、その1つが硬化材である2個のコンポーネントを有するポリウレタン系樹脂でもよい。例えば、RAIGI社からRAIGITANE 4759/RAIGIDURHRの記号で市販されている2コンポーネント樹脂であり、この樹脂は、室温で液状ポリウレタンでる。この黒色樹脂は、可撓性(50ショアHR)を有し、優れた熱衝撃特性を有し、かつ金属やプラスチック部品に対して良好な接着性を有する。従って、この樹脂は、接着性樹脂である。
【0181】
変形例として、WEVO社から市販されているショア硬度が50−55であるPD4431FL樹脂、及び300硬化材の2成分ポリウレタン系樹脂を使用してもよい。
【0182】
以上、本発明の好適な実施形態について詳述した。しかし、これらの実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。なお、上述した説明に基づいて、特定用途に応じて、種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解されると思う。
【符号の説明】
【0183】
10 電源装置
20 エネルギー蓄積ユニット(ウルトラキャパシタ)
32、34 トレイ
36 筒状面
42 端子
43 壁
44 リセプタクル
45 接続バー
46 壁の内面
50 開口
51、52 壁の外面
54 熱導電性層
56 熱伝導性接着剤
60 フィン
120 モジュール
132 保護カバー
134 トレイ
135 ラグ
137 ねじ
138 ねじ
139 起立部
140、141 孔
142 クロス部材
144 リセプタクル
145 プリント回路
151 壁の外面
154 接触面
200 接触面
201 接触面
234 リセプタクル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用電源装置(10)であって、熱を発生し得る少なくとも1つの大容量電気エネルギー蓄積ユニット(20)を収容するトレイ(32)(34)(134)を備え、前記トレイ(32)(34)(134)(334)は、少なくとも1つの電気エネルギー蓄積ユニット(20)を受容する少なくとも1つのリセプタクル(44)(144)(234)を備え、第1に、トレイ(32)(34)(134)は、熱伝導性材料から成り、蓄積ユニットによる熱が、前記リセプタクル(44)(144)(234)の壁(43)の内面(46)から外面(51)(52)(151)へ伝導されるようになっており、第2に、トレイは、複数のリセプタクル(44)(44')(144)に分割され、前記リセプタクル(44)(44')(144)は、それぞれ少なくとも1つの蓄積ユニット(20)を収容するようになっており、各リセプタクルの壁(43)は、前記熱伝導性材料から成り、
熱伝導性接着剤または熱伝導性樹脂から成る熱伝導層(54)が、蓄積ユニット(20)と、関連するリセプタクル(44)(144)(234)の壁(43)の内面(46)との間に、遊びなしに挿入され、蓄積ユニット(20)による熱が、リセプタクル(44)(144)(234)の壁(43)の内面(46)へ直接伝導されるようになっていることを特徴とする車両用電源装置(10)。
【請求項2】
前記熱伝導性樹脂及び前記熱伝導性接着剤は、電気的絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項3】
前記熱伝導性樹脂は、前記エネルギー蓄積ユニット(20)と前記リセプタクル(44)の前記壁(43)との間に注入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項4】
前記熱伝導性樹脂は注入後に硬化され、前記エネルギー蓄積ユニット(20)を、前記リセプタクル(44)内に固定していることを特徴とする請求項3に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項5】
前記硬化された熱伝導性樹脂は、弾性変形可能であることを特徴とする請求項4に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項6】
前記硬化された熱伝導性樹脂は、接着性を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項7】
前記リセプタクル(44)(144)(234)は仕切壁であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項8】
各リセプタクル(44)は、前記リセプタクル(44)の外面(51)が前記トレイ(34)の外面(51)を形成するように、個別の壁(43)を備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項9】
前記リセプタクル(44)(144)の外面(51)(151)は波打っていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項10】
前記リセプタクルはブラインド(44)であり、かつ前記エネルギー蓄積ユニット(20)は、ブラインドリセプタクル(44)のベース(48)に熱伝導性接着剤(56)の層により固定されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項11】
前記リセプタクル(44)(144)(234)は、共通の矩形状のリセプタクル(44)(144)(234)内に隣接配置された前記エネルギー蓄積ユニットを、対として受容していることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項12】
前記共通リセプタクルは、全体的に略「8」の字状であることを特徴とする請求項11に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項13】
前記各リセプタクル(144)は、全体的に「8」の字の半分の形状であることを特徴とする請求項11に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項14】
前記トレイ(44)(134)は、金属製であることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項15】
前記熱伝導性樹脂層の厚さは、2mm以下であることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項1】
車両用電源装置(10)であって、熱を発生し得る少なくとも1つの大容量電気エネルギー蓄積ユニット(20)を収容するトレイ(32)(34)(134)を備え、前記トレイ(32)(34)(134)(334)は、少なくとも1つの電気エネルギー蓄積ユニット(20)を受容する少なくとも1つのリセプタクル(44)(144)(234)を備え、第1に、トレイ(32)(34)(134)は、熱伝導性材料から成り、蓄積ユニットによる熱が、前記リセプタクル(44)(144)(234)の壁(43)の内面(46)から外面(51)(52)(151)へ伝導されるようになっており、第2に、トレイは、複数のリセプタクル(44)(44')(144)に分割され、前記リセプタクル(44)(44')(144)は、それぞれ少なくとも1つの蓄積ユニット(20)を収容するようになっており、各リセプタクルの壁(43)は、前記熱伝導性材料から成り、
熱伝導性接着剤または熱伝導性樹脂から成る熱伝導層(54)が、蓄積ユニット(20)と、関連するリセプタクル(44)(144)(234)の壁(43)の内面(46)との間に、遊びなしに挿入され、蓄積ユニット(20)による熱が、リセプタクル(44)(144)(234)の壁(43)の内面(46)へ直接伝導されるようになっていることを特徴とする車両用電源装置(10)。
【請求項2】
前記熱伝導性樹脂及び前記熱伝導性接着剤は、電気的絶縁体であることを特徴とする請求項1に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項3】
前記熱伝導性樹脂は、前記エネルギー蓄積ユニット(20)と前記リセプタクル(44)の前記壁(43)との間に注入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項4】
前記熱伝導性樹脂は注入後に硬化され、前記エネルギー蓄積ユニット(20)を、前記リセプタクル(44)内に固定していることを特徴とする請求項3に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項5】
前記硬化された熱伝導性樹脂は、弾性変形可能であることを特徴とする請求項4に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項6】
前記硬化された熱伝導性樹脂は、接着性を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項7】
前記リセプタクル(44)(144)(234)は仕切壁であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項8】
各リセプタクル(44)は、前記リセプタクル(44)の外面(51)が前記トレイ(34)の外面(51)を形成するように、個別の壁(43)を備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項9】
前記リセプタクル(44)(144)の外面(51)(151)は波打っていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項10】
前記リセプタクルはブラインド(44)であり、かつ前記エネルギー蓄積ユニット(20)は、ブラインドリセプタクル(44)のベース(48)に熱伝導性接着剤(56)の層により固定されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項11】
前記リセプタクル(44)(144)(234)は、共通の矩形状のリセプタクル(44)(144)(234)内に隣接配置された前記エネルギー蓄積ユニットを、対として受容していることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項12】
前記共通リセプタクルは、全体的に略「8」の字状であることを特徴とする請求項11に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項13】
前記各リセプタクル(144)は、全体的に「8」の字の半分の形状であることを特徴とする請求項11に記載の車両用電源装置(10)。
【請求項14】
前記トレイ(44)(134)は、金属製であることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【請求項15】
前記熱伝導性樹脂層の厚さは、2mm以下であることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の車両用電源装置(10)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2011−508366(P2011−508366A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536518(P2010−536518)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/FR2008/052201
【国際公開番号】WO2009/080936
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(504356166)ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール (47)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/FR2008/052201
【国際公開番号】WO2009/080936
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(504356166)ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール (47)
【Fターム(参考)】
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