説明

車両統合制御装置

【課題】左右輪差動制限機構作動に伴う操舵トルク変化を精度よく抑制し、走破性と安定性とを両立できる車両統合制御装置を提供する。
【解決手段】制御手段122は、左右輪差動制限機構81を制御し、左右輪差動制限機構81による左右輪差動制限効果をトルク感応特性分として、エンジンの駆動トルクに応じた拘束トルクTeを演算する。そして、左前輪11と右前輪12の回転速度差が閾値を超えると、前記左右輪差動制限効果を回転数感応特性分として、前記回転速度差に応じた拘束トルクTnを演算する。続いて、前記回転速度差から推定された操舵トルク変化に応じてアシストトルクを演算する。さらに、拘束トルクを前記エンジンの駆動トルクに比例した比例拘束トルクTeと前記拘束トルクTnとの合計値に制御し、前記アシストトルクを前記回転速度差に比例した比例拘束トルクTeと回転速度差とに応じて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の姿勢が不安定になる状況下での車両走行、例えば右前輪と左前輪の路面摩擦係数が異なる悪路での左右輪差動制限機構作動時の操舵トルク変化によるハンドル取られ現象の発生を抑制し、車両の走行性能と安定性を向上させた車両統合制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のパワーステアリングにおいて、電動モータの力により操舵補助力を付加することで操舵力を制御可能な操舵補助装置である電動パワーステアリングが採用されている。
この電動パワーステアリングは、油圧パワーステアリング等に比べ電動モータの抵抗等によりフリクションが大きく、ステアリングが中立位置に戻りにくいことから、ステアリング操作時に操舵車輪の左右車輪速差を用いて、ステアリングを中立位置に戻す方向に操舵補助力を付加するように電動パワーステアリングを制御する技術が提案されている。
車両の走行性能向上をねらい左右輪差動制限機構を備える車両では、旋回走行中や左右のタイヤで路面摩擦が異なるμスプリット路走行中などに左右輪差動制限機構が作動した場合、ハンドル取られが発生し、運転者に対してステアリング操作時の違和感を与えることが懸念される。
そこで、このような左右輪差動制限機構を使用する車両における操舵力制御装置としては、左右輪差動制限機構作動時の操舵角および拘束トルク分に応じて操舵補助装置である電動パワーステアリングを制御し、操舵トルク変化によるハンドル取られ現象の発生を抑制し、運転者のステアリング操作時の違和感を解消するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3401336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際の操舵トルク変化は、拘束トルクではなく左右輪の駆動力差に比例することから、上記従来技術のように拘束トルクに比例した制御を行うと、その制御量が過剰となったり、あるいは不足することになる。また、左右輪差動制限機構のロック状態すなわち左右直結状態においては、操舵トルク変化の方向や量が不明であり、操舵補助装置である電動パワーステアリングによる制御が困難となるなど、運転者のステアリング操作時の違和感を解消するには不十分であるという課題があった。
また、一般的な機械式の左右輪差動制限機構による操舵トルク変化の推定は困難であり、同時に操舵トルク変化を電動パワーステアリングで抑制することも困難である。
一方で、拘束トルクを自在に制御可能な電子制御式フロント左右輪差動制限機構を想定すれば、左右輪差動制限機構による操舵トルク変化が容易に推定できる左右輪差動制限機構の制御ロジックを適用することで、操舵トルク変化を精度良く推定することができる。
一般的な機械式左右輪差動制限機構には「トルク感応型」や「回転数感応型」があり、左右輪差動制限機構効果を出せる場面がそれぞれ異なるが、電子制御式の左右輪差動制限機構は制御によって両者のメリットを出すことが可能である。
フロント電子制御式の左右輪差動制限機構に「回転数感応型」を適用し、左右輪差動制限機構の作動に伴う操舵トルク変化を電動パワーステアリングの付加トルクで抑制することも考えられる。
しかし、この装置ではトルク感応型左右輪差動制限の効果は得られない。
そこで、この装置に「トルク感応型」の制御を組み込むことも考えられるが、トルク感応制御が強く働くと左右の車輪が直結状態となり、電動パワーステアリングの付加トルク制御を適切に行うことが困難となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、左右輪差動制限機構作動に伴う操舵トルク変化を精度よく抑制し、運転者のステアリング操作時の違和感を解消できる左右輪差動制限機構ならびに操舵力制御機構の車両統合制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、左右前輪の拘束トルクを制御する電子制御式左右輪差動制限機構と、操舵補助力を付加する操舵力制御機構と、前記左右前輪の回転速度差を検出する車輪速差検出手段を備えた車両の車両統合制御装置であって、前記電子制御式左右輪差動制限機構の拘束トルクを、エンジンの駆動トルクに比例した駆動トルク比例拘束トルクと、前記左右前輪の回転速度差に比例した回転速度差比例拘束トルクとの合計値に制御するとともに、前記操舵補助力を、前記左右前輪の回転速度差に応じて付加する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子制御式左右輪差動制限機構に2つの制御を組み合わせて適用することで、左右輪差動制限効果を高めることができる。
また、駆動トルク比例拘束トルクの最大値を制限することで、操舵トルク変化への影響を小さく抑えることができる。
また、回転速度差比例拘束トルクによる操舵トルク変化を、電動パワーステアリングの補助操舵力によって精度良く抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態の左右輪差動制限機構および操舵力制御機構が適用された車両の構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の左右輪差動制限機構および操舵力制御機構の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態の電子制御式フロント左右輪差動制限機構のトルク感応特性を示す特性図である。
【図4】本発明の実施の形態の電子制御式フロント左右輪差動制限機構の回転数感応特性を示す特性図である。
【図5】本発明の実施の形態の拘束力テーブルTBLを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態の操舵力制御装置を備えた車両1の構成を示す概略構成図である。車両1は、左前輪11、右前輪12、左後輪13および右後輪14を備えている。
左前輪11と右前輪12は車両1の操舵車輪であり、タイロッド21を介して電動パワーステアリング22に連結している。
【0010】
電動パワーステアリング22は、ステアリングギアボックス31、ステアリングシャフト32、ステアリングホイール33および電動モータ34を備えている。
ステアリングギアボックス31には、ステアリングシャフト32を介してステアリングホイール33が連結されている。
そして、運転者によるステアリングホイール33の操作は、ステアリングシャフト32を介してステアリングギアボックス31に伝達される。
さらに、ステアリングギアボックス31を介してタイロッド21が作動して左前輪11および右前輪12の向きを変化させる。
言い換えると、操舵車輪(左前輪11、右前輪12)を操舵する操舵系は、ステアリングギアボックス31、ステアリングシャフト32、ステアリングホイール33を含んで構成されている。
【0011】
また、電動モータ34はステアリングギアボックス31に設けられており、電動モータ34の回転はステアリングギアボックス31に入力され、ステアリングホイール33の操作に対する操舵補助力を発生させる。
すなわち、電動モータ34によって操舵補助力が操舵系に付加される。
【0012】
また、左前輪11、右前輪12、左後輪13および右後輪14には、各車輪に制動力を付与するためのブレーキ41,42,43,44が設けられている。
ブレーキ41は左前輪11に制動力を付与し、ブレーキ42は左前輪12に制動力を付与し、ブレーキ43は左後輪13に制動力を付与し、ブレーキ44は左後輪14に制動力を付与する。
各ブレーキ41,42,43,44は、車両に搭載されているブレーキ油圧ユニット51から供給される油圧により左前輪11、右前輪12、左後輪13および右後輪14への制動力が制御される。
【0013】
左前輪11、右前輪12、左後輪13および右後輪14には、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサがそれぞれ設けられている。
車輪速センサ61は左前輪11の車輪速(回転数)を検出するためのセンサである。車輪速センサ62は右前輪12の車輪速(回転数)を検出するためのセンサである。車輪速センサ63は左後輪13の車輪速(回転数)を検出するためのセンサである。車輪速センサ64は右後輪14の車輪速(回転数)を検出するためのセンサである。
【0014】
左前輪11および右前輪12には、左右輪差動制限機構81を備えたフロントデフ82を介して駆動力が伝達される。駆動シャフト83には左前輪11が連結されており、また,駆動シャフト84には右前輪12が連結されている。左右輪差動制限機構81を備えたフロントデフ82を介して駆動シャフト83と駆動シャフト84へ伝達された駆動力により左前輪11および右前輪12が駆動され回転する。
【0015】
左右輪差動制限機構81は、拘束トルクを自在に制御可能な電子制御式フロント左右輪差動制限機構である。この左右輪差動制限機構81は、内蔵された図示されていない電磁クラッチの係合状態に応じて左右の駆動シャフト83,84の相対回転を拘束するトルクを発生し、これにより左前輪11と右前輪12との間に差動制限力を作用させる。左右輪差動制限機構81は、また、制御手段122の一部をなすコントローラ90からの制御によりトルク感応特性を有した左右輪差動制限機構あるいは回転数感応特性を有した左右輪差動制限機構として左右輪差動制限効果を切り替えたり、組み合わせることが可能である。
コントローラ90は、前記電磁クラッチの係合状態を励磁電流を調節することで、左右輪差動制限機構81による拘束トルクを制御する。そして、左右輪差動制限機構81による左右輪差動制限機構効果をトルク感応特性あるいは回転数感応特性に切り替えたり、組み合わせることが可能である。
【0016】
また、制御手段122はステアリングECU71、制動系ECU72および制御系ECU73をも備えている。ステアリングECU71は、操舵力制御機能として、運転者の操舵トルクを軽減するための電動パワーステアリング22による操舵補助力を電動モータ34により前記操舵系に付加する一般的な基本機能を有している。制御手段122は、また、左前輪11および右前輪12の回転速度差を検出する車輪速差検出手段121を備えている。制御手段122は前記電子制御式の左右輪差動制限機構81の拘束トルクを、エンジンからの駆動トルクに比例した駆動トルク比例拘束トルクと、左前輪11および右前輪12の回転速度差に比例した回転速度差比例拘束トルクとの合計値に制御するとともに、電動パワーステアリング22の操舵補助力を前記回転速度差比例拘束トルクと回転速度差とに応じて制御する。
左前輪11と右前輪12との回転速度差Vd1に応じた拘束トルクTn1を図5に示す拘束力テーブルTBLから読み出す。そして、この拘束トルクTn1から操舵トルク変化S1を推定する。
制御手段122は、上述したように、左右輪差動制限機構81による差動制限力を制御する際の拘束トルクTnを、駆動シャフト83および駆動シャフト84の回転数の差に応じた情報として例えば拘束力テーブルTBLとして備えている。
【0017】
制動系ECU72は、車両1を制動する際のABS(Anti−lock Brake System)機能をブレーキ油圧ユニット51を制御することで実現する。
制動系ECU72により実現されるABS機能では、車輪速センサ61,62,63,64により検出された各車輪速にもとづき、車両1の急制動時、低μ路面上での各車輪のロック状態を検出し、このようなロック状態を回避しつつ最適な制動力をブレーキ41,42,43,44により車輪に付与するようにブレーキ油圧ユニット51を制御する。
制御系ECU73は効率のよいエンジン制御を行う。
【0018】
ステアリングECU71、制動系ECU72および制御系ECU73はコンピュータであり、RAM、ROMなどの記憶装置、中央処理装置、タイマ、I/Oポートなどの入出力装置および各種インタフェースなどから構成されている。そして、ステアリングECU71および制動系ECU72には、車輪速センサ61,62,63,64が前記入出力装置を介して接続されている。
また、ステアリングECU71と制動系ECU72と制御系ECU73との間で各種データの送受信を行うための通信機能を備えている。
【0019】
この実施の形態の車両統合制御装置は、制御手段122が図2のフローチャートに示すソフトウェアプログラムを実行することによって、左右輪差動制限機構作動に伴う操舵トルク変化を精度よく抑制し、運転者のステアリング操作時の違和感を解消し、走破性と安定性とを向上させた姿勢安定化制御を実現する。
この姿勢安定化制御では、車両1の姿勢が不安定になるような特定の運転状況にある場合であって左右輪差動制限機構が作動するとき、左右輪差動制限機構の作動に伴う操舵トルク変化を精度よく推定し、運転者のステアリング操作時の違和感を解消する。
【0020】
制動系ECU72におけるABS機能では、各車輪速センサ61,62,63,64により検出された各車輪の車輪速から、左前輪11、右前輪12、左後輪13および右後輪14のスリップ率を算出し、算出したスリップ率が最適な値となるようにブレーキ油圧ユニット51から各ブレーキ41,42,43,44へ供給される油圧を制御する。
【0021】
次に動作について説明する。
図2は、この実施の形態の車両統合制御装置の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに従って動作を説明する。
先ず、制御手段122は、エンジンから出力される駆動トルクの演算を行う。また、車輪速差検出手段121は、車輪速センサ61および車輪速センサ62により検出した左前輪11および右前輪12の回転速度から、左前輪11および右前輪12の回転速度差を演算する(ステップS1)。
次に制御手段122は、左右輪差動制限機構81を制御し、左右輪差動制限機構81による左右輪差動制限効果を、図3に示すようなトルク感応特性分として、前記エンジンから出力される駆動トルクに応じた拘束トルクTeを演算する(ステップS2)。
そして、左前輪11および右前輪12の回転速度差が所定の閾値βを超えているか否かを判定し(ステップS3)、左前輪11および右前輪12の回転速度差が閾値βを超えていると、さらにフロント左右輪差動制限機構制御のための演算を行う(ステップS4)。このフロント左右輪差動制限機構制御では、左右輪差動制限機構81による左右輪差動制限効果を図4に示すような回転数感応特性分として、左前輪11および右前輪12の回転速度差に応じた拘束トルクTnを演算する。
続いて、制御手段122はEPS付加制御行う(ステップS5)。このEPS付加制御では、左前輪11および右前輪12の回転速度差から推定された操舵トルク変化に応じてEPSアシストトルクTepsを演算する。この操舵トルク変化は、左前輪11および右前輪12の回転速度差から操舵トルク変化を演算し、推定する。
そして、制御手段122は左右輪差動制限機構81の制御および電動パワーステアリング22の制御を実行する(ステップS6)。左右輪差動制限機構81の制御では、拘束トルクをエンジンからの駆動トルクに比例した比例拘束トルクTeと、左前輪11および右前輪12の回転速度差に比例した左右輪差動制限機構拘束トルクTnとの合計値に制御し、電動パワーステアリング22のEPS制御では、電動パワーステアリング22のアシストトルクTeps、操舵補助力を前記回転速度差に比例した比例拘束トルクTeと回転速度差とに応じて制御する。
【0022】
一方、ステップS3において、左前輪11および右前輪12の回転速度差が閾値βを超えていないと判定すると、左前輪11および右前輪12の回転速度差に応じた拘束トルクTnを零に設定し(ステップS8)、さらにアシストトルクTepsも零に設定する(ステップS9)。
【0023】
なお、駆動トルク比例拘束トルクすなわちトルク感応型拘束トルクの最大値を一定の値に制限する最大値規定手段をさらに備えるように構成すると、操舵トルクへの影響を小さく抑制できる。
また、電動パワーステアリングすなわち操舵力制御機構の制御としては、前記左右前輪の回転速度差に比例した回転速度差比例拘束トルクに応じて前記操舵補助力を設定、制御し、駆動トルク比例拘束トルクは考慮しない。
【0024】
以上、説明したように、この実施の形態によれば、エンジンから出力される駆動トルクを演算するとともに、車輪速センサ61および車輪速センサ62により検出した左前輪11および右前輪12の回転速度から、車輪速差検出手段121が左前輪11および右前輪12の回転速度差を演算する。制御手段122は、左右輪差動制限機構81を制御し、左右輪差動制限機構81による左右輪差動制限効果をトルク感応特性分として、前記エンジンから出力される駆動トルクに応じた拘束トルクTeを演算する。そして、左前輪11および右前輪12の回転速度差が閾値βを超えていると、左右輪差動制限機構81による左右輪差動制限効果を回転数感応特性分として、左前輪11および右前輪12の回転速度差に応じた拘束トルクTnを演算する。続いて、操舵力制御として、左前輪11および右前輪12の回転速度差から推定された操舵トルク変化に応じてアシストトルクTepsを演算する。そして、左右輪差動制限機構81の制御および電動パワーステアリング22の制御を実行し、左右輪差動制限機構81の制御では、拘束トルクをエンジンからの駆動トルクに比例した比例拘束トルクTeと、左前輪11および右前輪12の回転速度差に比例した拘束トルクTnとの合計値に制御し、電動パワーステアリング22の制御では、電動パワーステアリング22のアシストトルクTeps、操舵補助力を前記回転速度差に比例した比例拘束トルクTeと回転速度差とに応じて制御する。従って、左右輪差動制限機構作動に伴う操舵トルク変化を精度よく抑制でき、走破性と安定性とを両立できる操舵力制御装置を提供できる効果がある。
【0025】
また、この実施の形態によれば、駆動トルク比例拘束トルクの最大値を一定の値に制限する最大値規定手段をさらに備えるように構成したので、操舵トルクへの影響を小さく抑えられる操舵力制御装置を提供できる効果がある。
【0026】
また、この実施の形態によれば、左前輪11および右前輪12の回転速度差が所定の閾値βを超えると制御手段122により回転速度差比例拘束トルクである拘束トルクTnが演算されるように構成したので、左右輪差動制限機構81による左右輪差動制限効果を図4に示すような回転数感応特性に切り替えた状態で、左前輪11および右前輪12の回転速度差に応じた演算を行うため、回転速度差比例拘束トルクである拘束トルクTnによる操舵トルク変動を電動パワーステアリング22により精度よく抑制できる効果がある。
【0027】
また、この実施の形態によれば、制御手段122による操舵補助力の制御は左前輪11および右前輪12の回転速度差が所定の閾値を超えるとなされるように構成したので、左前輪11および右前輪12の回転速度差が前記閾値を超える一定の大きさ以上になった場合に操舵補助力が制御されるため、制御手段122の負荷の軽減および回転速度差比例拘束トルクである拘束トルクTnによる操舵トルク変動を効率的に抑制できる効果がある。
【符号の説明】
【0028】
1……車両、11……左前輪、12……右前輪、22……電動パワーステアリング(操舵力制御機構)32……ステアリングシャフト、33……ステアリングホイール、61,62,63,64……車輪速センサ、71……ステアリングECU、81……左右輪差動制限機構、121……車輪速差検出手段、122……制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右前輪の拘束トルクを制御する電子制御式左右輪差動制限機構と、操舵補助力を付加する操舵力制御機構と、
前記左右前輪の回転速度差を検出する車輪速差検出手段を備えた車両の車両統合制御装置であって、
前記電子制御式左右輪差動制限機構の拘束トルクを、エンジンの駆動トルクに比例した駆動トルク比例拘束トルクと、前記左右前輪の回転速度差に比例した回転速度差比例拘束トルクとの合計値に制御するとともに、前記操舵補助力を、前記左右前輪の回転速度差に応じて付加する制御手段を備えたことを特徴とする車両統合制御装置。
【請求項2】
前記駆動トルク比例拘束トルクの最大値を一定の値に制限する最大値規定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の車両統合制御装置。
【請求項3】
回転速度差比例拘束トルクは、前記左右前輪の回転速度差が所定の閾値を超えると前記制御手段により演算される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両統合制御装置。
【請求項4】
前記制御手段による操舵補助力の制御は、前記左右前輪の回転速度差が所定の閾値を超えるとなされる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両統合制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−81821(P2012−81821A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228210(P2010−228210)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】